JP2017078155A - 保護フィルム、フィルム積層体、および偏光板 - Google Patents
保護フィルム、フィルム積層体、および偏光板 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明に係る保護フィルムは、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートとジオールとジイソシアネートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートI、または、イソシアネート基含有アルキル(メタ)アクリレートとジオールとジイソシアネートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートII由来の構造を有する繰り返し単位IまたはIIからなるブロックAと、(メタ)アクリル当量が90g/eq以上500g/eq以下である(メタ)アクリレート基含有原料由来の構造を有する繰り返し単位からなるブロックBによって形成された保護フィルムであって、上記ウレタン(メタ)アクリレートIおよびIIは、複数種類の飽和環状脂肪族構造を有し、面内および厚み方向の位相差値がゼロに近い。
【選択図】なし
Description
中でも、液晶セルの駆動モードがIPSやFFSの液晶ディスプレイにおいては、駆動原理的に広い視野角が得られるため、位相差フィルムを使用しなくても良く、この場合、位相差フィルムに該当する箇所には、フィルムの面内方向および厚み方向の位相差値がゼロに近いフィルム(いわゆるゼロ位相差フィルム)を用いることができる。
モノマーaであるウレタン(メタ)アクリレートIまたはII由来の構造を有する繰り返し単位IまたはIIからなるブロックAによって形成された保護フィルム、もしくは、
上記ブロックAと、モノマーbである(メタ)アクリレート基含有原料由来の構造を有する繰り返し単位からなるブロックBによって形成された保護フィルムであって、
上記ウレタン(メタ)アクリレートIは、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートとジオールとジイソシアネートとの反応物であり、
上記ウレタン(メタ)アクリレートIIは、イソシアネート基含有アルキル(メタ)アクリレートとジオールとジイソシアネートとの反応物であり、
上記ウレタン(メタ)アクリレートIおよびIIは、複数種類の飽和環状脂肪族構造を有し、
上記(メタ)アクリレート基含有原料は、(メタ)アクリル当量が90g/eq以上500g/eq以下であり、
23℃で波長590nmにおける面内位相差値(Re)が0nm以上10nm以下であり、かつ、23℃で波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)が−10nm以上10nm以下であることを特徴とする保護フィルム。
上記保護フィルムの少なくとも片面に、
(1)上記保護フィルムを支持するフィルム基材、
(2)耐擦傷性を有するハードコート層、
(3)光を散乱させる防眩層、および、
(4)上記保護フィルム上に備えられた高屈折率層と、上記高屈折率層に備えられた低屈折率層とで構成された反射防止層、の何れかを備えることを特徴とするフィルム積層体。
偏光フィルムの少なくとも片面に、上記保護フィルムを備えることを特徴とする偏光板。
本発明に係る保護フィルムは、モノマーaであるウレタン(メタ)アクリレートIまたはII由来の構造を有する繰り返し単位からなるブロックAによって形成された重合体、または、上記ブロックAとモノマーbである(メタ)アクリレート基含有原料由来の構造を有する繰り返し単位からなるブロックBによって形成された共重合体であり、上記ブロックAの繰り返し単位は、複数種類の飽和環状脂肪族構造を有し、上記ブロックBの繰り返し単位は、(メタ)アクリル当量が90g/eq以上500g/eq以下の(メタ)アクリレート基含有原料からなる。
すなわち、当該保護フィルムにおいて、重合体、または、共重合体を形成するマトリックスは、ウレタン(メタ)アクリレートIまたはII由来の構造を有する繰り返し単位からなるブロックAと、(メタ)アクリル当量が90g/eq以上500g/eq以下である(メタ)アクリレート基含有原料単量体単位からなるブロックBによって形成されている。加えて、上記モノマーaおよびbは、その構造異性体であっても良いし、上記モノマーaおよびbとその構造異性体との混合物であっても良い。
ブロックAに係るウレタン(メタ)アクリレートIまたはII由来の構造とは、ウレタン(メタ)アクリレートIまたはII単量体単位、すなわち、モノマーであるウレタン(メタ)アクリレートIまたはIIにおける、(メタ)アクリレート基の2重結合が開裂した構造を意味し、(メタ)アクリレート基の2重結合が開裂した部位を主に両末端に有しているため、2官能性である。
−CO−NH−R1−NH−CO−・・・(構造A)
−O−R3−O−・・・(構造C)
当該繰り返し単位は、例えば、(1)R1を含むジイソシアネート、(2)R3を含むジオール、および、(3)水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、または、イソシアネート基含有アルキル(メタ)アクリレートを用いて得たウレタン(メタ)アクリレートから得ることができ、容易に製造可能である。一例として、上記構造A、および構造Cの割合は、m+1:m、または、m:m+1とすることができ、上記mは1〜4の整数を示す。
−O−R2−CO−・・・(構造B)
当該繰り返し単位は、例えば、R1を含むジイソシアネート、R2を含むエステル(任意に使用される)、R3を含むジオールに加えて、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、または、イソシアネート基含有アルキル(メタ)アクリレートを用いて得たウレタン(メタ)アクリレートから得ることができ、容易に製造可能である。一例として、上記構造A、構造Bおよび構造Cの割合は、m+1:m(r+s):m、m:m(r+s):m+1、m:k+n:m+1とすることができる。上記mは1〜4の整数を示し、rおよびsはそれぞれ0〜2の整数を示し、かつ、rとsとの和は1〜2であり、kは0〜2の整数を示し、nは0〜2の整数を示す。
ブロックBに係る(メタ)アクリレート基含有原料由来の構造とは、(メタ)アクリレート基含有原料単量体単位、すなわち、モノマーである(メタ)アクリレート基含有原料における、(メタ)アクリレート基の2重結合が重合した構造を意味する。
単官能の(メタ)アクリレート基含有原料としては、:メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、
;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの飽和/不飽和環状(メタ)アクリレート、
;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、などの水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2官能の(メタ)アクリレート基含有原料としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ジオールとジカルボン酸からなるポリエステルジ(メタ)アクリレート、ジオールとジイソシアネートからなるポリウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能の(メタ)アクリレート基含有原料としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ポリオールとポリカルボン酸からなるポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオールとポリイソシアネートからなるポリウレタン(メタ)アクリレート、デンドリマー構造を有する(メタ)アクリレート、側鎖に(メタ)アクリレートを有するアクリルオリゴマーなどが挙げられる。
上記ブロックAの(メタ)アクリレート由来の部位は、他のブロックA、またはブロックBの(メタ)アクリレート基含有原料由来の部位と結合しており、上記ブロックBについても同様である(−ブロックA−ブロックA−、または、−ブロックA−ブロックB−、または、−ブロックB−ブロックB−)。
本発明に係る保護フィルムは、シリカ粒子を含有することが望ましい。これにより、保護フィルム表面の親水性が向上し、水溶性接着剤との接着性が向上する。シリカ粒子は、有機置換基を有しない通常のシリカ(SiO2)であってもよいし、有機置換基を有する有機性シリカ粒子であってもよい。
シリカ粒子を含有した保護フィルムを得るには、例えば、シリカゾルと、上記モノマーa、または、上記モノマーaおよびbとを混合した後に硬化させる手法が挙げられる。上記シリカゾルとは、分散媒にシリカ粒子を分散させたものであり、典型的にはコロイダルシリカを使用することができる。
本発明に係る保護フィルムは、保護フィルムの成膜性、面内方向および厚み方向の位相差値、引張弾性率を損なわなければ、紫外線吸収剤、レベリング剤や帯電防止剤等、各種添加剤を含有させてもよい。これにより、保護フィルムに紫外線吸収特性、剥離特性、帯電防止特性を付与することが可能である。
Re=(nx−ny)×d (i)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (ii)
次に、フィルム積層体について説明する。本発明に係るフィルム積層体は、上記保護フィルムの少なくとも片面に、
(1)上記保護フィルムを支持するフィルム基材、
(2)耐擦傷性を有するハードコート層、
(3)光を散乱させる防眩層、および、
(4)上記保護フィルム上に備えられた高屈折率層と、上記高屈折率層に備えられた低屈折率層とで構成された反射防止層、の何れかを備えるものである。
もちろん、上記フィルム積層体は、保護フィルムの両面に任意の上記(1)〜(4)を備えていてもよい。すなわち、両面に同種の層(例えば、保護フィルムの表面に(1)、裏面に(1))または異種の層(例えば、保護フィルムの表面に(1)、裏面に(2)、または、表面に(2)、裏面に(3))を備えていてもよい。さらには、(1)〜(4)には他の(1)〜(4)の層が備えられており、積層構造であってもよい。以下、(1)〜(4)について説明する。
本発明に係る保護フィルムは、他のフィルムと積層された状態で一体的に取り扱うことができる。また、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等のコーティング法によって、保護フィルムをフィルム基材上に形成することでフィルム積層体を製造する場合、フィルム基材をフィルム積層体の一部としてそのまま利用することもできる。
また、通常、保護フィルムと偏光フィルムとを紫外線硬化型接着剤にて貼合することから、フィルム基材が紫外線照射を妨げないよう、紫外線吸収能を有しないことが好ましい。さらには、偏光板に他のフィルムを設け、表示装置まで加工する各種製造工程において光学特性を検査することもあり、偏光板の基本構成である、偏光フィルムおよび保護フィルムの光学特性測定への影響を最小限とすることができるよう、フィルム基材は透明性を有することが好ましい。このような観点から、フィルム基材として、離型層を有するポリエステルフィルム基材が好ましく用いられる。
ハードコート層はハードコート性を有する。本発明におけるハードコート性とは、JIS K5600:1999に準拠し、ハードコート層表面を荷重500g、速度1mm/sの条件下での鉛筆法による引っかき硬度が2H以上、もしくは、
スチールウール(日本スチールウール社、番手#0000)で、ハードコート層表面を荷重250g/cm2の条件下で10往復擦った後、目視評価で傷が10本以下、の少なくともいずれか一方を満たす状態を指す。
電離放射線硬化型樹脂は、そのままで電離放射線照射により硬化可能であるが、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。この場合の光重合開始剤としては、保護フィルムの項で説明したものと同様のものを使用することができる。
防眩層は、光を散乱させる防眩機能を有し、外部ヘイズおよび/または内部ヘイズによって防眩機能を実現するものであり、防眩層は、表面に凹凸が形成されているか、内部に透光性微粒子を含有している、または、その両方である。
防眩層のポリエステル基材側の表面凹凸の形状は、求められる防眩性によって決定される。より好適な凹凸の形状は粗さ、JIS B0601:2001に準拠し、パラメータRaおよびSmおよび平均傾斜角によって規定することが可能であり、Ra:0.01μm以上、Sm:50μm以上500μm以下、平均傾斜角:0.1°以上3.0°以下であることがより好ましい。
反射防止層は、低屈折率層と高屈折率層とから構成される。低屈折率層とは、隣接する高屈折率層(ハードコート層、防眩層、または、保護フィルム)よりも屈折率が低い層であり、高屈折率層と積層された状態で低屈折率層側からの光の反射防止に寄与する。なお、ここで高屈折率、低屈折率というのは絶対的な屈折率を規定するものではなく、2つの層の屈折率を相対的に比較して高い、または、低いと規定しているのであり、両者が下記(iii)の関係を有する時に最も反射率が低くなるとされている。
n2=(n1)1/2・・・(iii)
(n1は高屈折率層の屈折率、n2は低屈折率層の屈折率)
次に、本発明の保護フィルムを備える偏光板について説明する。本発明に係る偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に、上記保護フィルムを備えるものである。
水溶性接着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのPVA系接着剤を使用できる。
[保護フィルム形成工程]
本発明に係る保護フィルムの製造方法は、上記保護フィルムを製造できれば特に限定されないが、一例として、以下の工程(A1)および(A2)を含む保護フィルム形成工程を含む方法が挙げられる。
工程(A1):エネルギー線硬化型組成物を、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に塗布する。
工程(A2):塗布後、上記エネルギー線硬化型組成物を硬化させて保護フィルムを形成する。
−CO−NH−R1−NH−CO−・・・(構造A)
−O−R2−CO−・・・(構造B)
−O−R3−O−・・・(構造C)
ウレタン(メタ)アクリレートIIが得られる。
フィルム積層体の製造方法のバリエーションとして、保護フィルム形成工程(A1)および(A2)の前に、機能層形成工程(B)を含む製造方法が挙げられる。機能層形成工程(B)は、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に、機能層の原料であるエネルギー線硬化型組成物を塗布し、硬化させてフィルム基材に機能層を形成する。
本発明に係る偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に本発明に係る保護フィルムを備える。本発明に係る偏光板の製造方法では、上記保護フィルムを偏光フィルムに貼合する点が重要であり、貼合手法は公知の手法を採用すればよく、特に限定されるものではない。
(C2−1)塗工工程で塗布された紫外線硬化型接着剤面に偏光フィルム(またはフィルム積層体の保護フィルム側)を重ねて加圧する貼合工程、
(C3−1)偏光フィルムに紫外線硬化型接着剤を介して保護フィルムが貼合されたフィルム積層体に対して、紫外線照射装置から紫外線を照射することにより、紫外線硬化型接着剤を硬化させる硬化工程、
(C4)必要に応じて積層フィルムからフィルム基材(支持基材)を剥離除去する剥離工程。
(C2−2)プラズマ処理またはコロナ処理を行った面と偏光フィルムを、水溶性接着剤を介して重ねて加圧する貼合工程、
(C3−2)偏光フィルムに水溶性接着剤を介して保護フィルムが貼合されたフィルム積層体に対して、加熱乾燥を行い、水溶性接着剤を硬化させる硬化工程、
(C4)必要に応じて積層フィルムからフィルム基材(支持基材)を剥離除去する剥離工程。
デジタルリニアゲージD−10HSおよびデジタルカウンタC−7HS(株式会社尾崎製作所製)を用いて、保護フィルムの膜厚を測定した。
〔面内方向および厚み方向の位相差値〕
位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器株式会社製)を用いて、上記式(i)および(ii)に基づき、23℃にて測定波長590nmにおける面内方向の位相差値(Re)および厚み方向の位相差値(Rth)を測定した。
〔引張弾性率〕
保護フィルムを15mm×160mmのサイズに裁断したサンプルフィルムに対し、その長辺を引張方向として、「テンシロン RTF−24」(ヤマト科学製)を用いて、つかみ具間が100mmとなるようにサンプルフィルムの両端をつかみ具に保持し、温度23℃±5℃、相対湿度50%RH±10%RHにて測定荷重レンジ40N、測定速度20mm/minにおける応力−ひずみ曲線の最大傾きから引張弾性率を求めた。
〔偏光フィルムとの接着性〕
エネルギー線硬化型接着剤での接着性:
保護フィルムにエネルギー線硬化型接着剤として「ユニディックV−9510」(DIC社製)を厚さ約2μmとなる様にバーコーターで塗布した後、塗布面をPVA系偏光フィルムとラミネーターで貼合し、保護フィルム側からピーク照度800mW/cm2、積算光量2000mJ/cm2の条件で高圧水銀ランプを照射することで紫外線硬化させ、偏光板を得た。この偏光板から保護フィルムを手で引き剥がし、剥がれなかった場合を◎、剥がす際に強い抵抗感がある場合を○、そもそも接着していない場合や容易に剥がれた場合を×と判定した。
水溶性接着剤での接着性:
保護フィルム表面を500mW・分/m2の強度でコロナ処理し、コロナ処理面にPVA水溶液(固形分率3%)を厚さ約0.2μmとなる様にバーコーターで塗布した後、塗布面をPVA系偏光フィルムとラミネーターで貼合し、80℃で5分乾燥することで偏光板を得た。この偏光板から保護フィルムを手で引き剥がし、剥がれなかった場合を◎、剥がす際に強い抵抗感がある場合を○、そもそも接着していない場合や容易に剥がれた場合を×と判定した。
化合物1aの合成:
トリシクロデカンジメタノール196.29g(1モル)とε−カプロラクトン228.28g(2モル)をフラスコに仕込み、120℃まで昇温し、触媒としてモノブチルスズオキシド50ppmを添加した。その後、窒素気流下で、残存したε−カプロラクトンがガスクロマトグラフィーで1%以下になるまで反応を行い、ジオール(1)を得た。
化合物1bの合成:
ジオール(1)の合成量を2倍に変更し、イソホロンジイソシアネートの使用量を2モルから3モルに変更した以外は製造例1と同様にして、繰り返し単位を生じさせるモノマーである化合物1bを得た(化合物1bは、両末端がアクリレート基である以外は、一般式(1a)においてmが2である構造と共通する)。
化合物1cの合成:
ジオール(1)の合成量を3倍に変更し、イソホロンジイソシアネートの使用量を2モルから4モルに変更した以外は製造例1と同様にして、化合物1cを得た(化合物1cは、両末端がアクリレート基である以外は、一般式(1a)においてmが3である構造と共通する)。
化合物2の合成:
トリシクロデカンジメタノール196.29g(1モル)とε−カプロラクトン228.28g(2モル)をフラスコに仕込み、120℃まで昇温し、触媒としてモノブチルスズオキシド50ppmを添加した。その後、窒素気流下で、残存したε−カプロラクトンがガスクロマトグラフィーで1%以下になるまで反応を行い、ジオール(2)を得た。
化合物3の合成:
ε−カプロラクトン114.14g(1モル)、および2−ヒドロキシエチルアクリレート116.12g(1モル)を窒素気流下、120℃で反応させ、100質量部のε−カプロラクトン114.14g(1モル)に対して、触媒として株式会社クレハ製球状活性炭BACを5質量部添加し、2−ヒドロキシエチルアクリレートのラジカル重合を抑制するため、4−メトキシフェノールを重合系全体に対して500ppm添加した。その後、ε−カプロラクトンがガスクロマトグラフィーで1%以下になるまで反応を行い、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(3)を得た。
別のフラスコにイソホロンジイソシアネートトリマー624.77g(1モル)を仕込み、反応温度70℃でε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(3)690.78g(3モル)、ジブチルスズラウレート0.35gを加え、残存イソシアネート基が0.1%になるまで反応を行い、下記一般式(5a)で示される、繰り返し単位を生じさせるモノマーであるウレタンアクリレート(化合物3、アクリル当量452g/eq)を得た。
化合物4の合成:
フラスコにシリカ粒子として市販のMEK(メチルエチルケトン)分散型コロイダルシリカ(1次粒子径:10〜15nm、固形分30%)を600gとトリエトキシフェニルシラン 24.0g(0.1モル)とを入れ、十分撹拌しながら30℃で24時間反応させたのち、反応物の固形分率が40%となるよう分散媒を揮発させ、有機性シリカ粒子(化合物4)を含む分散液を得た。
化合物5の合成:
フラスコにシリカ粒子として市販のMEK(メチルエチルケトン)分散型コロイダルシリカ(1次粒子径:10〜15nm、固形分30%)を600gとトリメトキシ(3−メタクリロイルオキシプロピル)シラン 24.8g(0.1モル)とを入れ、十分撹拌しながら30℃で24時間反応させたのち、反応物の固形分率が40%となるよう分散媒を揮発させ、反応性シリカ粒子(化合物5)を含む分散液を得た。
アプリケーターを用いて、パナック社製非シリコーン系剥離PET SG−1(38μm厚さ)の剥離層側に下記保護フィルム形成用エネルギー線硬化型組成物(P1)を塗布した。エネルギー線硬化型組成物(P1)はトルエンで希釈されており、固形分率(NV)が50%である。
表1に記載の94.5質量部の化合物1aを、表3の配合表に記載の化合物とそれに対応する質量部に変更し、当該変更以外は実施例1と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表4に示す。
表2に記載のエネルギー線硬化型組成物(P2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表4に示す。尚、表2に記載の化合物4の分散液は固形分率40%であるため、P2には5質量部の化合物4が含まれることとなる。
表2に記載の化合物1a、および、化合物4の分散液を、表3の配合表に記載の化合物とそれに対応する質量部に変更し、当該変更以外は実施例1と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表4に示す。
さらに、比較例4で形成した硬化膜は、上記説明と同様に化合物2が柔軟な骨格を持つことから、非常に軟らかく、引張弾性率の低い保護フィルムとなった。
Claims (12)
- モノマーaであるウレタン(メタ)アクリレートIまたはII由来の構造を有する繰り返し単位IまたはIIからなるブロックAによって形成された保護フィルム、もしくは、
上記ブロックAと、モノマーbである(メタ)アクリレート基含有原料由来の構造を有する繰り返し単位からなるブロックBによって形成された保護フィルムであって、
上記ウレタン(メタ)アクリレートIは、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートとジオールとジイソシアネートとの反応物であり、
上記ウレタン(メタ)アクリレートIIは、イソシアネート基含有アルキル(メタ)アクリレートとジオールとジイソシアネートとの反応物であり、
上記ウレタン(メタ)アクリレートIおよびIIは、複数種類の飽和環状脂肪族構造を有し、
上記(メタ)アクリレート基含有原料は、(メタ)アクリル当量が90g/eq以上500g/eq以下であり、
23℃で波長590nmにおける面内位相差値(Re)が0nm以上10nm以下であり、かつ、23℃で波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)が−10nm以上10nm以下であることを特徴とする保護フィルム。 - 上記繰り返し単位IおよびIIは、
飽和環状脂肪族構造R1を含む下記構造A、および、
飽和環状脂肪族構造R3を含む下記構造Cを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム。
−CO−NH−R1−NH−CO−・・・(構造A)
−O−R3−O−・・・(構造C) - 上記繰り返し単位IおよびIIは、
さらに、飽和脂肪族鎖R2を含む下記構造Bを含むことを特徴とする請求項2に記載の保護フィルム。
−O−R2−CO−・・・(構造B) -
上記R1が、3−メチレン−3,5,5-トリメチルシクロヘキサン環であり、R3がジメチレントリシクロデカン環であることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の保護フィルム。 - シリカ粒子をさらに含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の保護フィルム。
- 上記シリカ粒子が、有機置換基を有する有機性シリカ粒子であることを特徴とする、請求項8に記載の保護フィルム。
- 引張弾性率が1500MPa以上であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の保護フィルム。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載の保護フィルムの少なくとも片面に、
(1)上記保護フィルムを支持するフィルム基材、
(2)耐擦傷性を有するハードコート層、
(3)光を散乱させる防眩層、および、
(4)上記保護フィルム上に備えられた高屈折率層と、上記高屈折率層に備えられた低屈折率層とで構成された反射防止層、の何れかを備えることを特徴とするフィルム積層体。 - 偏光フィルムの少なくとも片面に、請求項1〜11の何れか1項に記載の保護フィルムを備えることを特徴とする偏光板。
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