JP6356844B1 - 光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学特性に優れ、環状オレフィン系光学フィルムの傷付きを防止することができ、且つ、製造工程での破断が抑制されており、適切なスリップ性、アンチブロッキング性を有する光学積層体を提供する。【解決手段】本発明に係る光学積層体は、硬化性樹脂層Aと、硬化性樹脂層A上に積層された、環状オレフィン系光学フィルム層Bと、環状オレフィン系光学フィルム層B上に積層された、硬化性樹脂層Cと、を備え、前記硬化性樹脂層Aは、ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマーもしくはアクリルポリマーのいずれか一方、及び光重合開始剤を含む、紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、前記環状オレフィン系光学フィルム層Bは、二軸延伸されており、前記硬化性樹脂層Aの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM1と、前記硬化性樹脂層Cの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM2とが、相違し、且つ、ともに150N/mm2以上であり、前記硬化性樹脂層Aにおいて前記環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、前記硬化性樹脂層Cにおいて前記環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、の間の静摩擦係数が1未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体に関する。
近年、フレキシブルデバイス、透明電極フィルムに用いられる基材には、高透過率、低ヘイズのみならず低リタデーション、高耐熱性などの優れた特性が求められてきている。そのような基材として、環状オレフィン樹脂などに代表される光学透明フィルムは、ガラスに近い特性を有することから、薄膜トランジスターや、次世代の透明電極フィルムのベース基材として有望視されている。しかしながら、上記のような光学フィルムは、薄膜トランジスターの回路形成や透明電極フィルム形成時に傷つきが起こり易く、外観不良に繋がる。そこで、フィルム表面の耐傷性を向上させるために、特許文献1のように環状オレフィン樹脂等のオレフィン樹脂層の表面に、表面保護層が設けられている。
しかし、このような光学透明フィルムは、枚葉状態では折り曲げや断裁の際に加えられる応力によって割れを生じてしまうという問題がある。例えば、積層体に張力がかかった状態でロールを介してフィルムを送る、ロールツーロールプロセス中においては、積層体が屈曲したり、ロールとの間で摩擦を生じたりすることにより積層体が割れてしまい、その割れに起因して樹脂フィルムに破断が発生するという不具合が確認されている。このため、一旦フィルムの破断が発生すると、歩留り低下を引き起こすため、製品化の大きな障害となっている。
これに対して、例えば、特許文献2には、環状オレフィン樹脂からなる基材とハードコート層との間にエラストマー層を配置した光学フィルムが開示されており、エラストマー層を緩衝層として機能させることで、割れを防止している。また、特許文献3には、柔軟性のあるハードコート層を用いた光学フィルムが開示されており、これによって、割れを防止している。
特開2012−128086号公報 特許第4803888号公報 特開2015−168095号公報
しかしながら、特許文献2の光学フィルムでは、環状オレフィン樹脂のような脆い材料を基材としているため、ハードコート層の硬さの影響を受け、依然として割れが発生するおそれがある。一方、特許文献3の光学フィルムでは、柔軟性のあるハードコート層が用いられているため、割れを抑制できているものの、ハードコート層の柔軟性によりフィルム同士が付着しやすく、そのため、スリップ性に劣るといった課題がある。特に、ロールに巻き取って使用するときには、フィルム同士が付着し、ロールからの繰り出しを行いにくい、いわゆる、アンチブロッキング性が劣るなどの問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、光学特性に優れ、環状オレフィン系光学フィルムの傷付きを防止することができ、且つ、割れを防止することで製造工程での破断が抑制されており、加えて適切なスリップ性、アンチブロッキング性を有する光学積層体を提供することを目的とする。
本発明に係る光学積層体は、硬化性樹脂層Aと、硬化性樹脂層A上に積層された、環状オレフィン系光学フィルム層Bと、環状オレフィン系光学フィルム層B上に積層された、硬化性樹脂層Cと、を備え、前記硬化性樹脂層Aは、ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマーもしくはアクリルポリマーのいずれか一方、及び光重合開始剤を含む、紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、前記環状オレフィン系光学フィルム層Bは、二軸延伸されており、前記硬化性樹脂層Aの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM1と、前記硬化性樹脂層Cの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM2とが、相違し、且つ、ともに150N/mm2以上であり、前記硬化性樹脂層Aにおいて前記環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、前記硬化性樹脂層Cにおいて前記環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、の間の静摩擦係数が1未満である。
上記光学積層体においては、前記マルテンス硬さM2を、前記マルテンス硬さM1より大きくすることができる。
上記各光学積層体においては、前記硬化性樹脂層Cが、2官能以上の重合性官能基を有する多官能アクリレートを含み、さらに、ケイ素微粒子またはケイ素化合物微粒子を少なくとも1種含むものとすることができる。
上記各光学積層体において、硬化性樹脂層Aは、さらに、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ビニル基、及びイソシアネート基から選択される群のうち、少なくとも1種類以上を含む単量体を含有することができる。
上記各光学積層体においては、前記硬化性樹脂層Aの表面における算術平均粗さRaを9nm以下とすることができる。
上記各光学積層体においては、MD方向及びTD方向の破断伸度を、ともに1%以上とすることができる。
上記各光学積層体においては、前記環状オレフィン系光学フィルム層Bは、以下の式(1)に示される面内リタデーション(Re)が10nm以下とすることができる。
Re(nm)=|nx−ny|×d (1)
但し、nx :前記環状オレフィン系光学フィルム層Bの面内の遅相軸方向の屈折率、ny:前記環状オレフィン系光学フィルム層Bの面内の進相軸方向の屈折率、d(nm):前記環状オレフィン系光学フィルム層Bの平均厚み
本発明に係る光学積層体によれば、環状オレフィン系光学フィルムの傷付きを防止することができ、且つ、割れを防止することで製造工程での破断が抑制されており、加えて適切なスリップ性、アンチブロッキング性を有することができる。
光学積層体の層構成を示す図である。 180°折り曲げ試験の測定方法を示す図である。 実施例及び比較例の評価値を示す表である。
以下、本発明に係る光学フィルムの一実施形態について説明する。本発明に係る光学フィルムは、硬化性樹脂層A、環状オレフィン系光学フィルム層B、及び硬化性樹脂層Cが、この順で積層されたものである。以下、各層について、詳細に説明する。
<1.硬化性樹脂層A>
本発明に係る硬化性樹脂層Aは、ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマーもしくはアクリルポリマーのいずれか一方、及び光重合開始剤を含む、紫外線硬化性樹脂組成物を含有する。
アクリルオリゴマーとしては特に限定されないが、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものをはじめとして、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどを用いることができる。また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いることができる。
アクリルポリマーとしては特に限定されないが、例えば下記のモノマー群より構成されるホモポリマーあるいはコポリマーを用いることができる。すなわち、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n − ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2 − エチルへキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n − ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、n − ステアリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのアクリレート化合物、2 − ヒドロキシエチルアクリレート、2 − ヒドロキシエチルメタクリレート、2 − ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノメタクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレートなどのジメタクリレート化合物などが挙げられる。
また、活性線硬化型のアクリルポリマー、または熱硬化型のアクリルポリマーのモノマーあるいはオリゴマーを成分として含んでも良い。
活性線硬化型のアクリルポリマーまたは熱硬化型のアクリルポリマーとは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
ウレタンアクリレートとしては、例えば、(a)ウレタン骨格と、2官能以上の(メタ)アクリロイル基とを有するウレタンアクリレート(以下、単に「(a)成分」ともいう場合がある。)を含有するものを採用することができる。
上記(a)ウレタン骨格と、2官能以上の(メタ)アクリロイル基とを有するウレタンアクリレートとしては特に限定されないが、例えば、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つ、ウレタン骨格をもつ、紫外線硬化型樹脂等の活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。上記(a)成分は、硬化性樹脂層Aに屈曲性を付与する。
上記(a)成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を挙げることができる。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマー、プレポリマー、ポリマーを挙げることができる。特に、多価アルコール類にポリカーボネート系ポリオール類を用いたポリカーボネート系ウレタンアクリレートが好ましい。ポリカーボネート系ウレタンアクリレートを用いることで、形成された硬化性樹脂層Aが優れた伸縮性と強靭性を示すことができる。
(a)成分の含有量は、硬化性樹脂層Aを形成する樹脂組成物を100重量%として、10〜90重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。(a)成分の含有量を上述の範囲とすることで、硬化性樹脂層Aが伸張性や屈曲性により優れる。
(a)成分の重量平均分子量(Mw)は3000〜50万が好ましく、5000〜20万がより好ましい。(a)成分の重量平均分子量を上述の範囲とすることで、硬化性樹脂層Aに柔軟性を付与することができる。(a)成分の重量平均分子量が3000以上であると、硬化性樹脂層A中の架橋密度が高くなり過ぎることを抑制することができる。
硬化性樹脂層Aは、更に、(b)主鎖にウレタン骨格を有しない3官能以上の重合性官能基を有する多官能アクリレート(以下、単に「(b)成分」ともいう場合がある。)を含有することが好ましい。当該(b)成分は、主鎖にウレタン骨格を有していなければよく、側鎖にウレタン結合を含んでもよい。上記(b)成分は、主鎖にウレタン骨格をもたず、3官能以上の重合性官能基を有することで、硬化性樹脂層A中に架橋構造を形成する。このため、上記(b)成分を含有する構成とすることで、硬化性樹脂層Aの耐擦傷性、耐摩耗性をより向上させることができる。
上記(b)成分としては特に限定されないが、例えば、主鎖にウレタン骨格を有しない3官能以上の重合性官能基を有する活性エネルギー線硬化性アクリレート樹脂が挙げられ、中でも、主鎖にウレタン骨格を有しない3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化性樹脂を好適に用いることができる。
上記(b)主鎖にウレタン骨格を有しない3官能以上の重合性官能基を有する多官能アクリレートとしては、(メタ)アクリル系モノマーを重合して得られる重合体を用いてもよい。
上記(b)成分としては、また、公知の各種重合性化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシル基を分子中に有さない多官能アクリレート系化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(b)成分としては、また、プレポリマー、オリゴマーを用いることができ、これらの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(b)成分に用いられる多官能ポリエステル(メタ)アクリレートとして、市販品では、M−8030(東亜合成株式会社製)等が挙げられる。
さらに、上記(b)成分に用いられる多官能アクリルポリマーとして、市販品では、ヒタロイド7975D(Mw15000/商品名;日立ケミカル)、ヒタロイド7988(Mw60000/商品名;日立ケミカル)、ヒタロイド(Mw78000/商品名;日立ケミカル)、アクリット8kx−01(商品名;大成ファインケミカル(株)製)等が挙げられる。
(b)成分の含有量は、硬化性樹脂層Aを形成する樹脂組成物を100重量%として、5〜60重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。(b)成分の含有量を上述の範囲とすることで、硬化性樹脂層Aが伸張性や屈曲性により優れる。
(b)成分の重量平均分子量(Mw)は、1000〜50万が好ましく、2000〜10万がより好ましい。(b)成分の重量平均分子量が1000以上であると、硬化性樹脂層Aが良好な屈曲性を示し、さらに硬化性樹脂層A内の架橋密度が大きくなり、硬化性樹脂層Aに良好な耐擦傷性、耐摩耗性、耐タック性を付与することができる。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、オキシムエステル化合物、α−アミノアルキルフェノン化合物、及び、α−ヒドロキシアルキルフェノン化合物等が好ましく挙げられる。光ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2011−95716号公報に記載の段落0031〜0042に記載の光重合開始剤を用いることができる。
硬化性樹脂層Aは、さらに、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ビニル基、及びイソシアネート基から選択される群のうち、少なくとも1種類以上を含む単量体を含有することができる。これにより、硬化性樹脂層Aの最表層の硬さを向上することができる。
硬化性樹脂層Aの厚みは特に限定されないが、0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。上記厚みが厚過ぎると、製造が困難になるおそれがあり、また、経済性に劣るおそれがある。上記厚みが薄過ぎると、耐傷性に劣るおそれがある。
また、硬化性樹脂層Aの表面における算術平均粗さRaは、9nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがさらに好ましい。算術平均粗さRaは、JIS R 1683に準拠し、例えば、走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所製)にて測定することができる。具体的な測定方法としては、例えば、硬化性樹脂層Aの表面に対し、50μm×50μmの領域内での算術平均粗さRaを算出することができる。
硬化性樹脂層Aの表面には、後述するように、例えばスパッタリングなどで透明導電膜を成膜した場合に表面抵抗が上昇したり、CVDなどでガスバリア膜を成膜した場合にバリア性能が劣る等の問題が生じることがある。したがって、算術平均粗さRaを上記のようにすることが好ましい。
<2.環状オレフィン系光学フィルム層B>
環状オレフィン系光学フィルム層Bは、オレフィン系樹脂を含有し、光学用途に用いるのに適したフィルムであれば特に限定されない。上記光学用途に用いるのに適したフィルムとは、例えば、透明性が高いフィルムが挙げられる。上記環状オレフィン系光学フィルムBの全光線透過率は90%以上が好ましい。また、上記環状オレフィン系光学フィルムBのヘイズは1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
環状オレフィン系光学フィルムBに含まれる環状オレフィン系樹脂としては、オレフィン系光学フィルムBを、光学用途に用いるのに適したフィルムとすることができれば特に限定されないが、環状オレフィンポリマーであることが好ましい。環状オレフィン系樹脂フィルム層Bが、環状オレフィンポリマーを含有することで、光学特性に優れ、且つ、耐熱性に優れるフィルム層となる。
上記環状オレフィンポリマーとしては、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するポリマーが挙げられる。耐候性および防湿性等の観点から、主鎖に脂環式構造を有することが好ましい。
環状オレフィンポリマーの脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造等が挙げられるが、機械的強度、耐熱性等に優れる点で、シクロアルカン構造を有するものが好ましい。
上記環状オレフィンポリマーは、環状オレフィンホモポリマーであってもよいし、環状オレフィンコポリマーであってもよい。中でも、耐熱性に優れる点で、環状オレフィンコポリマーが好ましい。
上記環状オレフィンコポリマーとしては、例えば、ノルボルネンとエチレンとのコポリマーが挙げられる。ノルボルネンとエチレンとのコポリマーは、ノルボルネンとエチレンとの質量換算における共重合比率が80:20〜90:10であることが好ましい。共重合比率がこの範囲であれば、ガラス転移温度は170℃〜200℃になる。この範囲よりもノルボルネンの比率が低い場合は、ガラス転移温度が170℃未満となるため耐熱性が低下するおそれがある。また、この範囲よりもエチレンの比率が低い場合は、必要な後工程(コーティング工程、薄膜形成工程等)に耐える強度のフィルムに加工することが困難となるおそれがある。
環状オレフィンコポリマーとして、上記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーを含有するフィルムの市販品としては、「F1フィルム」(商品名、グンゼ(株)製)が挙げられる。
上記ノルボルネンとエチレンとのコポリマーは、通常、屈折率が1.49〜1.55程度であり、通常、光線透過率が90.8%〜93.0%程度である。なお、ノルボルネンとエチレンとのコポリマーには、紫外線吸収剤、無機や有機のアンチブロッキング剤、滑剤、静電気防止剤、安定剤等の各種公知の添加剤が合目的に添加されていてもよい。
なお、環状オレフィン系光学フィルム層Bに含まれる環状オレフィン系樹脂は、上記樹脂に限定されず、公知のオレフィン系樹脂を用いることができる。このような公知のオレフィン系樹脂としては、例えば、特開2013−202989号公報、特開2003−103718号公報、特開平5−177776号公報、又は特表2003−504523号公報に記載のものが挙げられる。
環状オレフィン系光学フィルム層Bの環状オレフィン系樹脂の含有量は、当該オレフィン系光学フィルム層Bを100重量%として、70重量%以上が好ましく、80質量%がより好ましく、90重量%以上が更に好ましい。
環状オレフィン系光学フィルムBの厚みは特に限定されないが、20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。上記厚みが厚過ぎると、光学積層体が柔軟性に劣るおそれがある。上記厚みが薄過ぎると、光学積層体の強度が低下するおそれがある。
また、この環状オレフィン系光学フィルム層Bは、二軸延伸により形成される。例えば、未延伸の環状オレフィン系光学フィルムをMD方向(機械流れ方向)及びTD方向(MD方向に直交する方向)に延伸することで、形成される。二軸延伸することにより、未延伸の環状オレフィン光学フィルムと比較して、靱性が高く、フィルム単体での割れを防止することができる。
このとき、延伸の条件は適宜設定することができるが、例えば、以下の式(1)に示される面内リタデーション(Re)が10nm以下になるように、延伸することができる。
Re(nm)=|nx−ny|×d (1)
但し、nx:環状オレフィン系光学フィルム層Bの面内の遅相軸方向の屈折率、ny:環状オレフィン系光学フィルム層Bの面内の進相軸方向の屈折率、d(nm):環状オレフィン系光学フィルム層Bの平均厚み
なお、面内リタデーション値は、自動複屈折計(KOBRA−WR:王子計測機器(株)製)を用い、フィルム表面に対し垂直方向から波長590nmにおける位相差を測定することにより算出することができる。
<3.硬化性樹脂層C>
硬化性樹脂層Cは、オレフィン系光学フィルム層Bにおいて、硬化性樹脂層Aが積層される面とは反対側に積層される層である。
硬化性樹脂層Cを形成する樹脂としては、本発明の光学積層体の光学特性を低下させず、また、製造工程での破断の抑制を妨げなければ特に限定されない。
硬化性樹脂層Cは、(c)2官能以上の重合性官能基を有する多官能アクリレート(以下、単に「(c)成分」ともいう場合がある。)を含有することが好ましい。硬化性樹脂層Cが、上記(c)成分を含有する構成とすることで、硬化性樹脂層Cがより硬度に優れ、これにより本発明の光学積層体の耐傷性をより向上させることができる。上記多官能アクリレート(c)は、上記硬化性樹脂層Aが含有する多官能アクリレートと同一のものを用いることもできる。
硬化性樹脂層Cは、更に、(d)ケイ素微粒子またはケイ素化合物微粒子(以下、単に「(d)成分」ともいう場合がある。)を含有することが好ましい。ケイ素微粒子またはケイ素化合物微粒子としては、特に限定されないが、例えば二酸化ケイ素のようなケイ素酸化物粒子が挙げられる。
上記(d)成分の数平均粒子径は、0.001μ m〜2μmが好ましく、0.003μm〜1μmがさらに好ましく、0.005μm〜0.5μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
ケイ素酸化物粒子( 例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
硬化性樹脂層Cは、更に、レベリング剤や帯電防止剤などのような表面改質剤を含有していてもよい。
硬化性樹脂層Cの厚みは特に限定されないが、0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。上記厚みが厚過ぎると、光学積層体が破断し易くなるおそれがある。上記厚みが薄過ぎると、耐傷性に劣るおそれがある。
<4.光学積層体の物性>
<4−1.硬さ>
本発明の光学積層体においては、硬化性樹脂層Aの硬さと硬化性樹脂層Cの硬さとが相違し、且つ所定の硬さを有している。例えば、硬化性樹脂層Aの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM1と、前記硬化性樹脂層Cの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM2とが、相違し、且つ、ともに150N/mm2以上とすることができる。なお、これらの硬さM1,M2は、160N/mm2以上であることがさらに好ましい。マルテンス硬さM1,M2がともに150N/mm2以上であるので、例えばITOのような内部応力をもった透明導電膜を硬化性樹脂層Aに積層した場合に、硬化性樹脂層Aの柔軟性に起因するクラックや、白化を防止することができる。
マルテンス硬さは、ISO14577−1に準拠し、ダイナミック超微小硬度計DUH−211((株)島津製作所)にて測定することができる。圧子として、稜間角115度の三角すい圧子を
用い、上記のように、試験力10mNの条件で測定することができる。そして、具体的なマルテンス硬さは、以下の式により算出される値である。
マルテンス硬さ[N/mm2]=荷重[μN]/(24.5×(深さ最大値hmax(μm)2
なお、マルテンス硬さM1,M2の上限は、特には限定されないが、例えば、220N/mm2以下であることが好ましく、200N/mm2以下であることがさらに好ましい。これは、硬すぎると割れが生じるおそれがあることによる。
また、硬化性樹脂層Aのマルテンス硬さM1と、硬化性樹脂層Cのマルテンス硬さのM2とは、相違していればよいが、特に、マルテンス硬さM2が、マルテンス硬さM1よりも高いことが好ましい。M2がM1より高いことで、ロール状に巻き取った際に上記(d)成分の沈み込みを防止でき、表面の凹凸が大きいままのため、ブロッキングを抑制することができる。
<4−2.静摩擦係数>
本発明に係る光学積層体においては、硬化性樹脂層Aの環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、硬化性樹脂層Cの環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、の間の静摩擦係数が1未満である。静摩擦係数が1未満であることは、適切なスリップ性を有していることを示し、ロールからの光学積層体の繰り出しを円滑に行えるということを示している。
静摩擦係数の測定は、ASTM−D−1894に準拠し、例えば、表面性測定機トライボギアHEIDON14FW(新東科学(株)製)にて測定することができる。具体的な測定方法としては、一対の光学積層体を移動テーブルに固定し、硬化性樹脂層Aと硬化性樹脂層Cとを接触させて滑らせたときの試験力(荷重)を計測し、下記式から静摩擦係数を算出することができる。
静摩擦係数:μs=ピーク試験力/重り
測定条件:平板圧子63.5×63.5mm、荷重200gf、表面圧力0.49kPa、速度5.0mm/sec、移動距離50mm
<4−3.破断伸度>
本発明に係る光学積層体のMD方向及びTD方向の破断伸度は、製造工程でのロールツーロールプロセスにおいて、破断伸度が1%以上であれば、光学積層体の破断を抑制することができる。なお、光学積層体が破断することを十分に抑制するという観点から、2%以上であることがより好ましく、3%以上であることが更に好ましい。例えば、JIS K 7127に準ずる方法により、オートグラフAGX−500N((株)島津製作所製)にて、引張破断伸度を測定することができる。
<5.光学積層体の製造方法>
本発明に係る光学積層体の製造方法としては、硬化性樹脂層A、環状オレフィン系光学フィルム層B、及び硬化性樹脂層Cをこの順に積層することができれば特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。例えば、環状オレフィン系光学フィルムBの一方面に硬化性樹脂層Aの形成用組成物を塗布し、且つ、もう一方の面に硬化性樹脂層Cの形成用組成物を塗布する。そして、これらの組成物を乾燥させた後、UV照射装置により紫外線を照射して硬化させると、本発明の光学積層体を製造することができる。
上記環状オレフィン系光学フィルム層Bに、上記各形成用組成物を塗布する方法は、特には限定されない。例えば、巻き取られた環状オレフィン系光学フィルム層Bのロールから、環状オレフィン系光学フィルム層Bを繰り出しながら、上記各形成用組成物をロールナイフで塗布する方法が挙げられる。
上記各形成用組成物を乾燥させる方法は特に限定されない。例えば、各形成用組成物を、環状オレフィン系光学フィルム層B上に塗布された状態で乾燥器内を通過させる方法が挙げられる。このときの乾燥温度は、40〜100℃であることが好ましい。
また、紫外線照射の条件は、積算照射量200〜1000mJ/cm2が好ましい。但し、紫外線照射の条件は、硬化させる組成物の粘度等の条件によって適宜設定される。
<6.光学積層体の用途>
以上のような光学積層体は、種々の用途に用いることができる。例えば、硬化性樹脂層A上に、金属系の無機物、有機物をCVD,スパッタリング等により積層することができる。具体的には、透明導電膜、ガスバリアフィルム、反射防止フィルムなどの各種の層を積層することができる。一方、硬化性樹脂層C上には、例えば、粘着層が形成され、光学積層体を他の部材に取り付けるのに用いることができる。
<7.特徴>
上記のように、硬化性樹脂層Aと硬化性樹脂層Cとは硬さが相違し、且つ静摩擦係数が1未満であるため、両者の密着性が低下していることが示される。例えば、この積層体をロールに巻き取った後、これを繰り出すときには、積層体同士、つまり硬化性樹脂層Aと硬化性樹脂層Cとが密着するのが防止され、円滑に繰り出すことができる。すなわち、スリップ性及びアンチブロッキング性を向上することができる。
環状オレフィン系光学フィルム層Bは二軸延伸により形成されているため、靱性が高く、割れを防止することができる。
硬化性樹脂層Aと硬化性樹脂層Cとは、マルテンス硬さが150N/mm2以上であるため、ある程度の硬さを維持することができる。そのため、これらの層の上に、無機層をクラックや白化等の不具合なく積層することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
<1.光学積層体の作製>
以下では、実施例1及び比較例1〜7の作製について説明する。実施例1及び比較例1〜6は、硬化性樹脂層A、環状オレフィン系光学フィルム層B、硬化性樹脂層Cの3層で構成された光学積層体であるが、比較例7は環状オレフィン系光学フィルム層のみで構成されている。
<1−1.実施例1>
厚み100μmのF1フィルム(グンゼ(株)製)を、厚み40μm、位相差10nm以下になるように二軸延伸し、環状オレフィン系光学フィルム層Bを得た。そして、その一方の面に、以下の樹脂組成物溶液(1)をワイヤーバー#02Sでコートし、60℃で2分間乾燥した後、UV照射(積算光量1000mJ/cm2)にて硬化させた。その結果、厚み1μmの硬化性樹脂層Aが製膜された。同様に、環状オレフィン系光学フィルム層Bの他方の面に、以下の樹脂組成物溶液(2)をワイヤーバー#02Sでコートし、60℃で2分間乾燥した後、UV照射(積算光量1000mJ/cm2)にて硬化させた。その結果、厚み1μmの硬化性樹脂層Cが製膜された。
<1−1−1.樹脂組成物溶液(1)の調製>
アクリルポリマー(ユニディックV−6840、DIC(株)製)を25部と、ウレタンアクリレートプレポリマー(AH−600、共栄社化学(株)製)を60部と、多官能メタクリレート単量体(TMPT、新中村化学工業(株)製)を15部と、全樹脂成分に対して重合開始剤(イルガキュア184、BASF製)を3部とを、固形分濃度が50%になるように溶媒(MEK)で希釈し、樹脂組成物溶液(1)を調製した。
<1−1−2.樹脂組成物溶液(2)の調製>
多官能アクリレートA−9300(新中村化学工業(株)製)を85部、シリカ微粒子(シーホスターKE−P10、(株)日本触媒製)を15部加え、固形分濃度が35%になるように溶媒(MIBK)で希釈し、樹脂組成物溶液(2)を調製した。
<1−2.比較例1>
実施例1の環状オレフィン系光学フィルム層Bを、厚さが50μmのゼオノアフィルムZF16(日本ゼオン(株)製)に変更した。このフィルムは未延伸である。その他の構成は実施例1と同じである。
<1−3.比較例2>
実施例1の環状オレフィン系光学フィルム層Bを、厚さが100μmの未延伸F1フィルム(グンゼ(株)製)に変更した。その他の構成は実施例1と同じである。
<1−4.比較例3>
硬化性樹脂層Aについて、実施例1の樹脂組成物溶液(1)を、多官能メタクリレート単量体を除いた、以下の樹脂組成物(3)に変更した。その他の構成は実施例1と同じである。
<1−4−1.樹脂組成物溶液(3)の調製>
アクリルポリマー(ユニディックV−6840、DIC(株)製)を30部と、ウレタンアクリレートプレポリマー(AH−600、共栄社化学(株)製)を70部と、全樹脂成分に対して重合開始剤(イルガキュア184、BASF製)を3部とを、固形分濃度が50%になるように溶媒(MEK)で希釈し、樹脂組成物溶液(3)を調製した。
<1−5.比較例4>
硬化性樹脂層Cについて、実施例1の硬化性樹脂層(2)からシリカ微粒子を除いた、以下の樹脂組成物(4)に変更した。その他の構成は実施例1と同じである。
<1−5−1.樹脂組成物溶液(4)の調製>
多官能アクリレートA−9300(新中村化学工業(株)製)を100部加え、固形分濃度が35%になるように溶媒(MIBK)で希釈し、樹脂組成物溶液(4)を調製した。
<1−6.比較例5>
硬化性樹脂層A、Cをともに、実施例1と同じ硬化性樹脂層Aで構成した。その他の構成は実施例1と同じである。
<1−7.比較例6>
硬化性樹脂層A、Cをともに、実施例1と同じ硬化性樹脂層Cで構成した。その他の構成は実施例1と同じである。
<1−8.比較例7>
実施例1の環状オレフィン系光学フィルム層Bのみで構成した。
<2.評価方法>
上記実施例及び比較例1〜7に対し、以下の評価を行った。なお、マルテンス硬さ、破断伸度、静摩擦係数、算術平均粗さRa、及びリタデーションについては、上述したとおりである。
<2−1.全光線透過率(Tt)>
JIS−K−7361−1に準拠し、ヘイズメーターNDH5000(日本電色工業(株)製)にて測定した。
<2−2.ヘイズ>
JIS−K−7136に準拠し、ヘイズメーターNDH5000(日本電色工業(株)製)にて測定した。
<2−3.無機膜積層評価>
上記実施例及び比較例1〜7に係る積層体を、スパッタリング装置(アルバック製、型番:SPW−020S)内に配置し、装置内部を減圧するとともに酸素ガスを導入した。その後、ターゲットにインジウム及びスズを用いて、硬化性樹脂層A面側に表面抵抗が200Ω/sq.以上250Ω/sq.以下を目標値とした透明導電膜(ITO膜)を成膜した。
最終生成物として得た透明導電膜の表面抵抗を四端子法にて測定し、表面抵抗が目標値どおり、200Ω/sq.以上250Ω/sq以下.であれば「○」250Ω/sqよりも大きければ「×」として評価した。さらに、デジタルマイクロスコープVHX−2000((株)キーエンス製)により製膜後の導電膜のクラック及び白化の有無を確認し、スパッタ面にクラックや白化が見られなかった場合を「○」、見られた場合を「×」として評価した。
<2−4.擦傷性>
上記実施例及び比較例1〜7から、幅50mm×長さ100mmの大きさの試験片を切り出した。そして、各試験片をテーブルに固定し、スチールウール#0000に200gの荷重をかけて、10往復摺動させた。その後、上記の方法でヘイズを測定し、摺動前と後のヘイズの差を測定した。摺動前と後のヘイズの差が1.5%以下であれば「○」、1.5%以上であれば「×」として評価した。なお、摺動前と後のヘイズの差が1.5%以下であればロールツーロールプロセスの搬送時の傷付き防止が期待できる。
<2−5.180°折り曲げ試験>
上記実施例及び比較例1〜7をから、幅50mm×長さ100mmの大きさの試験片を切り出した。そして、図2に示すように、試験片を二つ折りにし、端部同士を市販の粘着テープで貼り合せ、機台Aに載置した。続いて、2つ折りにより得られる幅50mm×長さ50mmの機台Aに接している面と反対の面に、底面が直径100mmの円形のおもりW(1000g)を静置し、その際に各試験片の破断が生じるか否かを確認した。試験片の破断が生じなかった場合を「○」、破断が生じた場合を「×」として評価した。
<3.評価>
上記各評価試験の結果を図3に示す。
・比較例1:環状オレフィン系光学フィルム層Bとして、環状オレフィンポリマーが未延伸であるため、
靱性が悪く、180°折り曲げ試験で割れが発生した。
・比較例2:環状オレフィン系光学フィルム層Bとして、環状オレフィンコポリマーが未延伸であるため、
靱性が悪く、180°折り曲げ試験で割れが発生した。また、環状オレフィンコポリマーを用いていることから、材料としての靱性も悪い。したがって、破断伸度も低くなっており、工程上の破断は抑制できないと考えられる。
・比較例3:硬化性樹脂層Aとして、樹脂組成物(3)を用いた。これにより、マルテンス硬さM1が150N/mm2以下となり、軟らかいため、その上に透明導電膜を成膜すると、クラック及び白化が確認された。そのため、目標値通りの表面抵抗が得られていない。また、擦傷性も悪化している。
・比較例4:硬化性樹脂層Cとして、ケイ素微粒子またはケイ素化合物微粒子を含まない樹脂組成物(4)を用いたため、表面の凹凸が小さくなったと考えられる。その結果、硬化性樹脂層Aと硬化性樹脂層Cとの接触面積が大きくなり、静摩擦係数が測定できなかった。したがって、スリップ性、アンチブロッキング性に劣っている。
・比較例5:環状オレフィン系光学フィルム層を挟む硬化性樹脂層A,Cとして、同じ材料を用いている。特に、両硬化性樹脂層として、軟らかい樹脂組成物(1)を用いているため、フィルム同士がひっついてしまい、その結果、静摩擦係数が測定できなかった。したがって、スリップ性が劣っている。
・比較例6:環状オレフィン系光学フィルム層を挟む硬化性樹脂層として、同じ材料を用いている。特に、両硬化性樹脂層として、硬い樹脂組成物(2)を用いているため、180°折り曲げ試験で割れが発生した。また、樹脂組成物(2)は、ケイ素微粒子が含有されているため、硬化性樹脂層Aの表面の凹凸が大きくなり、算術平均粗さRaが大きくなっている。そのため、この硬化性樹脂層A上に積層される透明導電膜の表面抵抗が250Ω/sqよりも大きくなり、透明導電膜の成膜にも影響がでている。
・比較例7:硬化性樹脂層A,Cを有していないため、擦傷性が著しく劣っている。また算術平均粗さRaが小さいので、硬化性樹脂層Aと硬化性樹脂層Cとの接触面積が大きくなり、静摩擦係数は測定できなかった。
・実施例1:
比較例と比べ、いずれの特性も良好であり、割れが防止でき、スリップ性及びアンチブロッキング性が向上している。

Claims (7)

  1. 硬化性樹脂層Aと、
    硬化性樹脂層A上に積層された、環状オレフィン系光学フィルム層Bと、
    環状オレフィン系光学フィルム層B上に積層された、硬化性樹脂層Cと、
    を備え、
    前記硬化性樹脂層Aは、ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマーもしくはアクリルポリマーのいずれか一方、及び光重合開始剤を含む、紫外線硬化性樹脂組成物を含有し、
    前記環状オレフィン系光学フィルム層Bは、二軸延伸されており、
    前記硬化性樹脂層Aの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM1と、前記硬化性樹脂層Cの表面における試験力10mNでのマルテンス硬さM2とが、相違し、且つ、ともに150N/mm2以上であり、
    前記硬化性樹脂層Aにおいて前記環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、前記硬化性樹脂層Cにおいて前記環状オレフィン系光学フィルム層Bとは反対側の面と、の間の静摩擦係数が1未満である、光学積層体。
  2. 前記マルテンス硬さM2が、前記マルテンス硬さM1より大きい、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記硬化性樹脂層Cが、2官能以上の重合性官能基を有する多官能アクリレートを含み、さらに、ケイ素微粒子またはケイ素化合物微粒子を少なくとも1種含む、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 硬化性樹脂層Aは、さらに、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ビニル基、及びイソシアネート基から選択される群のうち、少なくとも1種類以上を含む単量体を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 前記硬化性樹脂層Aの表面における算術平均粗さRaが9nm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の光学積層体。
  6. MD方向及びTD方向の破断伸度が、ともに1%以上である、請求項1から5のいずれかに記載の光学積層体。
  7. 前記環状オレフィン系光学フィルム層Bは、以下の式(1)に示される面内リタデーション(Re)が10nm以下である、請求項1から6のいずれかに記載の光学積層体。
    Re(nm)=|nx−ny|×d (1)
    但し、nx :前記環状オレフィン系光学フィルム層Bの面内の遅相軸方向の屈折率、ny:前記環状オレフィン系光学フィルム層Bの面内の進相軸方向の屈折率、d(nm):前記環状オレフィン系光学フィルム層Bの平均厚み
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