JP2015010284A - ポケット付編地の編成方法 - Google Patents

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【課題】 必要な空針の本数が少なくてもよく、グランド編地が筒状編地になっても、筒状の切りポケット編地を確実に編成することができる、ポケット付編地の編成方法を提供する。【解決手段】 (a)で、両編地編成工程で編成される切りポケット編地2,3と、接合箇所までのグランド編地1との両編地を、編幅方向に隣接する区間に分けてそれぞれ筒状に編成する。(b)に示す伏目処理工程で、グランド編地1の前針床に係止されている編地端部で、編幅方向の両側に設ける接合箇所1a,1bに、切りポケット編地2,3の前針床側終端部2a,3bがそれぞれ接合される。空針の本数を少なくすることができるので、グランド編地が筒状編地になっても、筒状のポケット編地を確実に編成することができる。後針床側終端部2c,3dには、(c)に示すグランド編地4が続く。【選択図】図1

Description

本発明は、横編機を使用し、筒状のグランド編地中でコース方向に延びる開口部を有するように、切りポケットを形成することができる、ポケット付編地の編成方法に関する。
従来から、少なくとも前後一対の針床を有する横編機を使用して、表地に切込みを入れて内側に袋を付けたような、切りポケットを有する編地の編成方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1による切りポケットでは、編地として一体的に編成する過程で、グランド編地中にコース方向に延びる開口部を有し、グランド編地の裏側に隠れるようにポケット編地が形成される。また、横編機を使用すれば、サイドポケット付きの筒状編地も編成可能である(たとえば、特許文献2参照)。
特許第3406097号公報 特開2005−89887号公報
特許文献1に開示されている編成方法では、前身頃などの単層編地をグランド編地としているので、前後一対の針床を使用して針抜き編成を行い、グランド編地を一方の針床に係止しながら、グランド編地の編地幅内で、ポケット編地を筒状に編成することができる。ポケット編地の編成には、ポケット編地としての編幅分の編目数に対応する本数の空針を必要とし、一方の針床で針抜き編成でグランド編地を係止する編針の間の空針と、他方の針床の編針とを用いて行う。グランド編地が筒状編地になると、グランド編地の編目を前後の針床で係止する必要があり、残りの空針を用いればポケット編地の編成は可能でも、ポケット編地の目移しや伏目処理は、空針を使用する条件により編成が困難になる。
特許文献2に開示されている編成方法では、ポケットの開口部がウエール方向に延び、コース方向に延びる開口部は得られない。
本発明の目的は、必要な空針の本数が少なくてもよく、グランド編地が筒状編地になっても、筒状の切りポケット編地を確実に編成することができる、ポケット付編地の編成方法を提供することである。
本発明は、前後に針床を備える横編機を用い、筒状のポケット編地を備える筒状のグランド編地を、ポケットの開口部がコース方向となるように編成する、ポケット付編地の編成方法において、
ポケット編地との接合箇所までのグランド編地と、ポケット編地との両編地を、編幅方向に隣接する区間に分けてそれぞれ筒状に編成する両編地編成工程と、
両編地編成工程で編成したグランド編地とポケット編地とで、同じ針床側で隣接するそれぞれの編地の端部編目について、ポケット編地端部の編目をグランド編地の区間内に移動して、重ね目を形成した後、続けて新たな編目を形成する伏目処理と、伏目処理した編目に隣接したグランド編地端部について、重ね目を形成した後、続けて新たな編目を形成する伏目処理とを交互に繰返し、ポケット編地端部およびグランド編地端部の編目を減らしながら、ポケット編地端部をグランド編地端部側に回し込む伏目処理工程と、
伏目処理工程で減らしを行った後に残るグランド編地とポケット編地の編目に続けて新たな編目を形成し、グランド編地の編成を行うグランド編地編成工程とを、
含むことを特徴とするポケット付編地の編成方法である。
また本発明の前記伏目処理工程では、
ポケット編地端部の複数の編目を、グランド編地の区間内の空針に重ね目を形成するように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するポケット編地側開始処理と、
グランド編地端部の複数の編目を、ポケット編地側開始処理で新たに形成した編目にポケット編地から離れる側で隣接する空針に重ね目を形成するように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するグランド編地側開始処理とで、それぞれ伏目処理を開始し、
ポケット編地端部の編目について、ポケット側開始処理で新たに形成した編目に重ねるように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するポケット編地側継続処理と、
グランド編地端部の編目について、グランド側開始処理で新たに形成した編目に重ねるように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するグランド編地側継続処理とを、
交互に繰返すことを特徴とする。
また本発明で、前記ポケット編地側開始処理および前記グランド編地側開始処理で重ね目を形成する空針は、移動するポケット側編地端部とグランド側編地端部とを移動前に係止する針床に対向する針床に配置され、前記新たな編目は裏目となることを特徴とする。
本発明によれば、両編地編成工程で、ポケット編地との接合箇所までのグランド編地と、ポケット編地との両編地を、編幅方向に隣接する区間に分けてそれぞれ筒状に編成することができる。ポケット編地をグランド編地外で係止することで空針を確保することが可能となり、筒状のグランド編地内でポケット編地の編成や目移し用に空針を設けることも不要となる。ポケット編地とグランド編地とは、伏目処理工程で、ポケット編地端部およびグランド編地端部の編目を減らして、ポケット編地端部をグランド編地端部側に回し込みながら、コース方向に延びる開口部を形成する状態で、接合することができる。グランド編地編成工程では、伏目処理工程で減らしを行った後に残るグランド編地とポケット編地の編目に続けて新たな編目を形成し、グランド編地の編成を続けることができる。
また本発明によれば、伏目処理工程は、ポケット編地側とグランド編地側とにそれぞれ一本ずつの空針の使用で行うことができる。
また本発明によれば、伏目処理工程では、伏目が裏側に形成されるので、表側をフラットで綺麗に仕上げることができる。
図1は、本発明の一実施例であるポケット付編地の編成方法の概略的な手順を示す図である。 図2は、図1(b)に示す伏目処理工程の一部を示す編成図である。 図3は、図1(b)に示す伏目処理工程で、図2に続く一部を示す編成図である。 図4は、図1(c)に示すポケット付編地5の編組織を示す図である。
以下、図1〜図4で本発明の一実施例について説明する。各図の説明では、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、各図の説明では、当該図面には存在せずに先に説明する図には存在する符号を用いて説明する場合がある。
図1は、本発明の一実施例であるポケット付編地5の編成方法の概略的な手順を示す。ポケット付編地5は、前後に針床を備える横編機を用い、筒状の切りポケット編地2,3を備える筒状のグランド編地1,4を、切りポケット編地2,3の開口部がコース方向となるように、両編地編成工程と、伏目処理工程と、グランド編地編成工程とで編成する。
図1(a)は、両編地編成工程で編成される切りポケット編地2,3と、切りポケット編地2,3との接合箇所までのグランド編地1との両編地を、編幅方向に隣接する区間に分けてそれぞれ筒状に編成した状態を示す。次に図1(b)に示す伏目処理工程で、グランド編地1の前針床に係止されている編地端部で、編幅方向の両側に設ける接合箇所1a,1bに、切りポケット編地2,3の前針床側終端部2a,3bがそれぞれ接合される。切りポケット編地2,3の後針床側終端部2c,3dには、図1(c)に示すグランド編地4が続く。
図1(b)は、伏目処理工程で、切りポケット編地2,3をグランド編地1に接合した状態を示す。筒状の切りポケット編地2,3は、筒状のグランド編地1の外側に付属し、前針床側端部2a,3bをグランド編地の接合箇所1a,1bに伏目処理で接合した編地端部と、後針床側端部2c,3dとの間が開口部となる。伏目処理工程では、伏目が裏側に形成されるので、表側をフラットで綺麗に仕上げることができる。
図1(c)は、グランド編地編成工程でグランド編地4の編成を行った状態を示す。グランド編地4は、伏目処理工程で減らしを行った後に残るグランド編地1の接合箇所1a,1bを除く編目と、切りポケット編地2,3の後針床側端部2c,3dの編目とに続けて新たな編目を形成する。
図2および図3は、図1(b)に示す伏目処理工程の一部を示す。編成に使用する横編機としては、前後に各上下二段の針床を備える四枚ベッド機を使用する。前針床および後針床の下段は、FD,BDでそれぞれ示す。後針床の上段はBUで示す。本実施例の説明では、前針床の上段は使用しない。伏目処理工程は、ポケット編地側とグランド編地側とにそれぞれ一本ずつの空針を使用して行うことができる。
手順S0は、図1(a)に示すような両編成工程が終了した状態を示す。ただし、切りポケット編地2は、片側のみ示す。図1(a)に示す右側の切りポケット編地3も、以下に説明する左側の切りポケット編地2をグランド編地1の左側に付属させる方法と同様にして、グランド編地1の右側に付属させることができる。説明の便宜上、グランド編地1の編目をa〜nで示し、切りポケット編地2の編目を1〜8で示す。製品として編成する編地では、より多数の編目を対象とする。
手順S1およびS2は、切りポケット編地2の前針床側終端部2aの複数の編目を、グランド編地1の区間内のBUの空針に重ね目を形成するように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するポケット編地側開始処理を示す。すなわち、手順S1では、FDの編目1と編目aとをBUの編針nと編針mとにそれぞれ移しし、FDの編目4,3,2を右に2ピッチ分移動して、編目2をBUに目移ししている編目1に重ねる。手順S2では、BDの編目5をFDの編目4の左隣側に目移しし、BUで編目1に編目2を重ねた編目に対し、新たな編目を形成する。
手順S3およびS4は、グランド編地1の端部に設ける接合箇所1aの複数の編目を、ポケット編地側開始処理で新たに形成した編目に切りポケット編地2から離れる側で隣接する空針に重ね目を形成するように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するグランド編地側開始処理を示す。すなわち、手順S3では、FDの編目bをBUに目移ししている編目aに重ねる。手順S4では、BUで編目aに編目bを重ねた編目に対し、手順S2で新たな編目を形成するために使用した編糸で新たな編目を形成する。
手順S5およびS6は、切りポケット編地2の前針床側終端部2aの編目について、ポケット側開始処理で新たに形成した編目に重ねるように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するポケット編地側継続処理を示す。すなわち、手順S5では、FDの編目5,4,3を右に2ピッチ分移動して、編目3をBUに目移しし、手順S4で新たに形成した編目に重ねる。手順S6では、BUで編目3を重ねた編目に対し、新たな編目を形成し、BDの編目6をFDの編目5の左隣側に目移しする。
手順S7およびS8は、グランド編地1の端部に設ける接合箇所1aの編目について、グランド側開始処理で新たに形成した編目に重ねるように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するグランド編地側継続処理を示す。すなわち、手順S7では、FDの編目cをBUに目移しし、手順S4で新たに形成した編目に重ねる。手順S8では、BUで編目cを重ねた編目に対し、新たな編目を形成する。
以下、手順S5から手順S8と同様にポケット編地側継続処理とグランド編地側継続処理とを繰返す。この繰返しで、切りポケット編地2の前針床側終端部2aおよびグランド編地1の端部に設ける接合箇所1aの編目を減らしながら、切りポケット編地2の後針床側終端部2cをグランド編地1の端部に設ける接合箇所1a側に回し込む。
たとえば、手順S9は、FDの編目6,5,4を右に2ピッチ分移動して、編目4をBUに目移しし、手順S6で新たに形成した編目に重ねた状態を示す。手順S10は、手順S9で重ねた編目に、さらに新たな編目を形成するとともに、BDの編目7を編目6の左隣側に目移しした状態を示す。これらの手順S9およびS10は、ポケット編地側継続処理の一部となる。
手順S11は、FDの編目7,6,5を右に2ピッチ分移動して、編目5をBUに目移しし、手順S10で新たに形成した編目に重ねた後で、新たな編目を形成し、BDの編目8をFDの編目7の左隣側に目移しした状態を示す。本実施例では、手順S11で伏目処理工程を終了する。なお、伏目処理としては、種々の方法が知られているので、説明した方法とは異なる方法を利用することもできる。本実施例の伏目処理は、手順S2〜S11における重ね目に対して続けて編目を形成するニット編成で、全て後針床にて裏目を形成している。つまり、伏目処理を裏目で行っており、形成された編目は接合された編地の裏側に配置されることで、表側をフラットで綺麗に仕上げることができる。
図4は、図1(c)に示すポケット付編地5の編組織を示す。図4(a)は、図1(c)のポケット付編地5に相当する全体形状を示す。切りポケット編地2,3の前針床側終端部2a,3bおよびグランド編地1の接合箇所1a,1bの伏目接合箇所と、後針床側終端部2c,3dとの間に、開口部が形成されている。筒状の切りポケット編地2,3は、この開口部から、筒状のグランド編地1,4の内側に押込まれている。図4(b)は、切りポケット編地3側の開口部を拡大して示す。
図4(c)は、切りポケット編地3とグランド編地1,4との接合箇所の裏側を示す。グランド編地1と切りポケット編地3との伏目による接合箇所が裏側に形成されるので、図4(b)に示すように、表側をフラットで綺麗に仕上げることができる。
1,4 グランド編地
1a,1b 接合箇所
2,3 切りポケット編地
2a,3b 前針床側終端部
2c,3d 後針床側終端部

Claims (3)

  1. 前後に針床を備える横編機を用い、筒状のポケット編地を備える筒状のグランド編地を、ポケットの開口部がコース方向となるように編成する、ポケット付編地の編成方法において、
    ポケット編地との接合箇所までのグランド編地と、ポケット編地との両編地を、編幅方向に隣接する区間に分けてそれぞれ筒状に編成する両編地編成工程と、
    両編地編成工程で編成したグランド編地とポケット編地とで、同じ針床側で隣接するそれぞれの編地の端部編目について、ポケット編地端部の編目をグランド編地の区間内に移動して、重ね目を形成した後、続けて新たな編目を形成する伏目処理と、伏目処理した編目に隣接したグランド編地端部について、重ね目を形成した後、続けて新たな編目を形成する伏目処理とを交互に繰返し、ポケット編地端部およびグランド編地端部の編目を減らしながら、ポケット編地端部をグランド編地端部側に回し込む伏目処理工程と、
    伏目処理工程で減らしを行った後に残るグランド編地とポケット編地の編目に続けて新たな編目を形成し、グランド編地の編成を行うグランド編地編成工程とを、
    含むことを特徴とするポケット付編地の編成方法。
  2. 前記伏目処理工程では、
    ポケット編地端部の複数の編目を、グランド編地の区間内の空針に重ね目を形成するように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するポケット編地側開始処理と、
    グランド編地端部の複数の編目を、ポケット編地側開始処理で新たに形成した編目にポケット編地から離れる側で隣接する空針に重ね目を形成するように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するグランド編地側開始処理とで、それぞれ伏目処理を開始し、
    ポケット編地端部の編目について、ポケット側開始処理で新たに形成した編目に重ねるように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するポケット編地側継続処理と、
    グランド編地端部の編目について、グランド側開始処理で新たに形成した編目に重ねるように移動し、形成した重ね目に対して新たな編目を形成するグランド編地側継続処理とを、
    交互に繰返すことを特徴とする請求項1記載ポケット付編地の編成方法。
  3. 前記ポケット編地側開始処理および前記グランド編地側開始処理で重ね目を形成する空針は、移動するポケット側編地端部とグランド側編地端部とを移動前に係止する針床に対向する針床に配置され、前記新たな編目は裏目となることを特徴とする、請求項2記載のポケット付編地の編成方法。
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