以下、本発明に係る放射線撮影管理システム及び放射線撮影管理方法の実施の形態例を図1〜図21を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る放射線撮影管理システム10は、図1に示すように、1以上の医療機関12(医師、歯科医師等が医療行為を行う施設である医院、病院、診療所を含む)と外部の中央管理部14とが公衆回線網16にて接続された形態を有する。
各医療機関12内には、図2に示すように、イントラネットとして用いられるLAN(医療機関内通信網)18と、公衆回線網16に接続される移動通信網20の2つの通信網が設置されている。LAN18と移動通信網20とは相互にデータ通信可能に接続されている。
また、各医療機関12内には、本実施の形態に係る移動型放射線撮影装置22が少なくとも1台備えられている。この移動型放射線撮影装置22は、医療機関12内の病室24内、通路26、診察室28(診療科室)内、手術室30内、管理室32内、及び撮影室34(X線撮影室、放射線撮影室)内を移動可能に構成されている。図2では、図面の制約から、代表的に、病室24、診察室28、手術室30、管理室32及び撮影室34を1つのフロアに描いた例を示しているが、規模の大きい病院等であれば、病棟と管理棟というように、病室24と管理室32等の建屋が別であったり、フロアが異なっている場合等がある。
LAN18は、病室24、診察室28、手術室30及び図示しない固定型の放射線撮影装置が収容される撮影室34の各制御装置であるコンソール36(コンピュータを含む)に接続されると共に、管理室32に配置されたサーバ38に接続されている。サーバ38は、例えば医療機関12内の放射線科において取り扱われる放射線画像情報やその他の情報を統括的に管理する。
移動通信網20には、複数の基地局40が接続され、各基地局40は、隣り合う基地局40の通信範囲42の一部が重複するように病院内に配置されている。
ただし、基地局40の通信範囲42は、病室24内、診察室28内、手術室30内、撮影室34内には、及ばないように配置構成されている。管理室32内及び通路26上に通信範囲42が及ぶように配置構成されている。
つまり、この医療機関12では、サーバ38に被検者の個人情報(名前や年齢や病状等)が記録され、移動型放射線撮影装置22を使って放射線撮影したい被検者名・撮影部位・撮影手技等を医師又は技師がサーバ38に接続された図示しない中央コンピュータ上で選択入力すると、その情報が移動型放射線撮影装置22のコンソール52(図3及び図8参照)に転送されることとなる。また、サーバ38に接続された中央コンピュータは、移動型放射線撮影装置22のコンソール52にて収集される履歴情報等が受信できるようになっている。さらに、この中央コンピュータは外部の中央管理部14とも通信可能に接続されていることから、上述の履歴情報や被検者の個人情報・撮影履歴情報等も送信可能である。
図3は、例として病室24内で移動型放射線撮影装置22を使用している状態の説明図を示す。移動型放射線撮影装置22は、使用しないときは、バッテリへの充電や交換等が容易に行える例えば管理室32に置かれており、使用時は、例えば台車44に一体的に載せられた状態で病室24内等に移動可能となっている。
移動型放射線撮影装置22は、2つのタイプ(第1移動型放射線撮影装置22A及び第2移動型放射線撮影装置22B)がある。第1移動型放射線撮影装置22Aは、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を具備した放射線検出器46を用いた装置であり(図3参照)、第2移動型放射線撮影装置22Bは、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネル48を用いた装置である(図8参照)。なお、以下の説明では、第1移動型放射線撮影装置22A及び第2移動型放射線撮影装置22Bを総称して移動型放射線撮影装置22と記す。
第1移動型放射線撮影装置22Aは、図3に示すように、台車44に、移動機構50と、コンソール52と、放射線源制御装置54と、クレードル56と、バッテリ58とが搭載されている。
移動機構50は、台車44の下部に設置された車輪60、図示しない駆動モータ、該駆動モータの回転力を車輪に伝えるベルトや減速機等を有する。コンソール52は、放射線画像情報を撮影するための撮影情報等を入力するための図示しない入力装置(キーボードや座標入力装置)、入力データや後述する撮影条件(撮影メニュー)、撮影計画、保守計画を表示するディスプレイ62を備えている。放射線源制御装置54は、コンソール52から供給された撮影情報に従って放射線源64を制御し、被検者66(患者)に放射線Xを照射する。クレードル56は、被検者66を透過した放射線Xが照射されることで放射線画像情報が記録される放射線検出器46を内蔵したカセッテ(以下、電子カセッテ68と記す)が装着される。バッテリ58は、駆動モータ、コンソール52、放射線源64、放射線源制御装置54に電力を供給するほか、クレードル56を介して電子カセッテ68に対して電力を供給する。
放射線源64は、アーム部材70を介して放射線源制御装置54に連結される。放射線源64にはさらに撮影領域を表示するための電灯71が併設されている。また、バッテリ58には、充電器72が接続されており、必要に応じてバッテリ58の充電を行うことができるようになっている。バッテリ58は、一般に、鉛蓄電池が使用され、この場合、バッテリ58の充電は時間がかかることから、管理室32で行われる。従って、移動型放射線撮影装置22を使用する場合は、管理室32から出発して撮影計画に従った1つ以上の部屋(病室24、診察室28、手術室30、撮影室34等)を経由して、充電のために再び管理室32に戻るというルート(移動ルート)をたどる。なお、台車44には、該台車44が移動しているかどうか等を検出するための速度センサ74やGPS装置等の位置センサ76、台車44が壁や机、ベッド等に接触(衝突等を含む)したかどうかを検知する接触センサ78(リミッタスイッチ)が搭載されている。
図4は、第1移動型放射線撮影装置22Aのコンソール52の機能ブロック図である。コンソール52は、コンソール制御装置80と、送受信部82と、撮影スイッチ84と、撮影のためのオーダリング情報を管理するオーダリング管理部86と、当該移動型放射線撮影装置22を特定するためのID情報を記憶するIDメモリ88とを備える。
コンソール制御装置80は、クレードル56に設けられたコネクタ90を通じて当該クレードル56に装着され、コネクタ90に電気的に接続された電子カセッテ68に対し、電子カセッテ68側のコネクタ92を通じてバッテリ58から電力を供給すると共に、カセッテ制御装置94(図7参照)を通じて電子カセッテ68と交信する。コンソール制御装置80には、上述の速度センサ74、位置センサ76及び接触センサ78が接続されている。
また、コンソール制御装置80は、送受信部82及び移動通信網20を通じて、外部の中央管理部14との間及び管理室32内のサーバ38との間で信号の送受ができるようになっている。
コンソール52には、入力装置を介して技師の情報(名前やID)を入力することができ、これから回診をスタートするという際に、技師は自分の名前を選択し登録することができる。技師の情報の登録は、技師が例えばバーコード付きのIDカードを携帯していれば、コンソール52に備え付けられた例えばバーコードリーダで登録してもよい。
図5は、第1移動型放射線撮影装置22Aにて使用される電子カセッテ68の内部構成図である。電子カセッテ68は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング100を備える。ケーシング100の内部には、放射線Xが照射されるケーシング100の照射面102側から、被検者66による放射線Xの散乱線を除去するグリッド104、被検者66を透過した放射線Xを検出する放射線検出器46、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板105が順に配設される。なお、ケーシング100の照射面102をグリッド104として構成してもよい。
また、ケーシング100の内部には、電子カセッテ68の電源であるバッテリ106と、該バッテリ106から供給される電力により放射線検出器46を駆動制御するカセッテ制御装置94と、放射線検出器46によって検出した放射線Xの情報を含む信号を移動通信網20を通じて管理室32内のサーバ38との間で送受する送受信端末108とが収容される。カセッテ制御装置94には、コネクタ92が取り付けられており、電子カセッテ68のバッテリ106と送受信端末108のバッテリ114(図6参照)は、それぞれ、第1移動型放射線撮影装置22Aのバッテリ58からクレードル56のコネクタ90(図4参照)、電子カセッテ68のコネクタ92及びカセッテ制御装置94を通じて充電される。また、上述したように、カセッテ制御装置94とコンソール制御装置80とはコネクタ92及びコネクタ90を通じて交信する。
なお、カセッテ制御装置94には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、ケーシング100の照射面102側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
図6は、電子カセッテ68に配置された送受信端末108の機能ブロック図である。送受信端末108としては、既存の携帯端末であるPHS端末を利用することもできる。
この送受信端末108は、マイクロコンピュータ(CPUとフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶手段であるメモリ110等を備える)を有する端末制御部112とバッテリ114とを備えている。
端末制御部112には、操作スイッチ等を有する操作部116と、液晶表示器からなる表示部118とが接続されている。なお、送受信端末108は、表示部118が外部から見える状態で電子カセッテ68に配置することが好ましい。
端末制御部112には、また、アンテナ120により受波した電波(RF信号)をアンテナ共用器122を介して受信し、中間周波数信号にした後、復調し、受信データとして当該端末制御部112に出力する受信部124が接続されている。この場合、端末制御部112は、一定周期で受信部124からの信号を監視し、受信データが送信されてきた場合には受信部124により受信させ、表示部118上にその内容を表示する。
さらに、端末制御部112には、画像メモリ126(図7参照)から読み出されたデータ(放射線画像情報等)を変調し、中間周波数信号からRF信号に変換し、これを電波としてアンテナ共用器122を介してアンテナ120から放射する送信部128が接続されている。
さらにまた、端末制御部112には、受信部124と送信部128のミキサ回路の局部発振周波数を出力する周波数シンセサイザ130が接続されている。
図7は、電子カセッテ68に収容される放射線検出器46とカセッテ制御装置94の機能ブロック図である。放射線検出器46は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層132を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)134のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量136に蓄積した後、各行毎にTFT134を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図7では、光電変換層132及び蓄積容量136からなる1つの画素138と1つのTFT134との接続関係のみを示し、その他の画素138の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ68内に放射線検出器46を冷却する手段を配設することが好ましい。
各画素138に接続されるTFT134には、行方向と平行に延びるゲート線140と、列方向と平行に延びる信号線142とが接続される。各ゲート線140は、ライン走査駆動部144に接続され、各信号線142は、読取回路を構成するマルチプレクサ146に接続される。
ゲート線140には、行方向に配列されたTFT134をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部144から供給される。この場合、ライン走査駆動部144は、ゲート線140を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ148とを備える。アドレスデコーダ148には、カセッテ制御装置94からアドレス信号が供給される。
また、信号線142には、列方向に配列されたTFT134を介して各画素138の蓄積容量136に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器150によって増幅される。増幅器150には、サンプルホールド回路152を介してマルチプレクサ146が接続される。マルチプレクサ146は、信号線142を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ154とを備える。アドレスデコーダ154には、カセッテ制御装置94からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ146には、A/D変換器156が接続され、A/D変換器156によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御装置94に供給される。
カセッテ制御装置94は、放射線検出器46を構成するライン走査駆動部144のアドレスデコーダ148及びマルチプレクサ146のアドレスデコーダ154に対してアドレス信号を供給するアドレス信号発生部158と、放射線検出器46によって検出された放射線画像情報を記憶する画像メモリ126と、当該電子カセッテ68を特定するためのカセッテID情報を記憶するカセッテIDメモリ160と、インタフェース162とを備える。
インタフェース162は、送受信端末108を通じて放射線画像情報の送信要求信号を受信する一方、カセッテIDメモリ160に記憶されたカセッテID情報、画像メモリ126に記憶された放射線画像情報を送受信端末108を通じて送信する。
一方、第2移動型放射線撮影装置22Bは、図8に示すように、上述した第1移動型放射線撮影装置22Aとほぼ同様の構成を有するが、クレードル56の代わりに画像読取装置170が設置されている点で異なる。この場合、コンソール制御装置80は、図9に示すように、画像読取装置170に設けられたコネクタ172を通じて該画像読取装置170に装着され、バッテリ58から電力を画像読取装置170に供給すると共に、画像読取装置170と交信する。
この画像読取装置170は、図9に示すように、放射線撮影によって蓄積性蛍光体パネル48に蓄積された放射線エネルギを、励起光を照射することにより、放射線画像情報として読み取る読取部174と、該読取部174にて読み取られた放射線画像情報を記憶する画像メモリ176と、該画像メモリ176に記憶された放射線画像情報に対して画像処理(補正処理を含む)を行う画像処理部178と、当該画像読取装置170を特定するための読取装置ID情報を記憶する読取装置IDメモリ180と、インタフェース182と、少なくとも放射線画像情報を含む信号を移動通信網20を通じて管理室32内のサーバ38に送信する送受信端末184とを備える。
また、この画像読取装置170は、図10に示すように、ケーシング186の上部に、カセッテ装填部188が配設される。カセッテ装填部188に形成された装填口190には、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体パネル48を収納したカセッテ192が装填される。装填口190に近接して、カセッテ192に配設されたバーコードの識別情報を読み取るバーコードリーダ194と、カセッテ192の蓋部材196のロックを解除するロック解除機構198と、蓋部材196が開蓋されたカセッテ192から蓄積性蛍光体パネル48を吸着して取り出す吸着盤200と、該吸着盤200によって取り出された蓄積性蛍光体パネル48を挟持搬送するニップローラ202とが配設される。
ニップローラ202に連設して、複数の搬送ローラ204a〜204g及び複数のガイド板206a〜206fが配設され、これらにより湾曲搬送路208が構成される。湾曲搬送路208は、カセッテ装填部188から下方向に延在した後、最下部において略水平状態となり、次いで、略鉛直上方向に延在する。これにより、画像読取装置170の小型化が図られている。
ニップローラ202と搬送ローラ204aとの間には、読取処理が終了した蓄積性蛍光体パネル48に残存する放射線画像情報を消去するための消去部210が配設される。消去部210は、消去光を出力する冷陰極管等の消去光源212を有する。
湾曲搬送路208の最下部に配設される搬送ローラ204d、204e間には、プラテンローラ214が配設される。そして、プラテンローラ214の上部には、蓄積性蛍光体パネル48に蓄積記録された放射線画像情報を読み取る走査ユニット216が配設される。
走査ユニット216は、励起光であるレーザビームLBを導出して蓄積性蛍光体パネル48を走査する励起部218と、レーザビームLBによって励起されて出力される放射線画像情報に係る輝尽発光光を読み取る読取部174とを備える。
励起部218は、レーザビームLBを出力するレーザ発振器220と、レーザビームLBを蓄積性蛍光体パネル48の主走査方向に偏向する回転多面鏡であるポリゴンミラー222と、レーザビームLBを反射させ、プラテンローラ214上を通過する蓄積性蛍光体パネル48に導く反射ミラー224とを備える。
読取部174は、一端部がプラテンローラ214上の蓄積性蛍光体パネル48に近接して配置される集光ガイド226と、集光ガイド226の他端部に連結され、蓄積性蛍光体パネル48から得られた輝尽発光光を電気信号に変換するフォトマルチプライヤ228とを備える。なお、集光ガイド226の一端部には、輝尽発光光の集光効率を高めるための集光ミラー230が近接して配設される。フォトマルチプライヤ228によって読み取られた放射線画像情報は、該画像読取装置170内に設置された画像処理部において画像処理(補正処理を含む)が行われるようになっている。読取部174からの放射線画像情報は、図9に示すように、画像メモリ176に記憶され、さらに画像処理部178によって画像処理されて読取装置ID情報と共に送受信端末184及び移動通信網20を通じて管理室32内のサーバ38に送信される。
ここで、移動型放射線撮影装置22を使用して放射線撮影を行う場合の動作について説明する。
移動型放射線撮影装置22は、例えば、医師による病室24の回診中に、被検者66の放射線画像の撮影が必要となった際に使用される。そのため、撮影対象である被検者66の被検者情報は、撮影に先立ち、コンソール52のオーダリング管理部86(図4及び図9参照)に予め登録しておく。また、撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合にも、これらの撮影条件をオーダリング管理部86に予め登録しておく。以上の準備作業が終了した状態において、被検者66に対する放射線撮影が遂行される。
例えば第1移動型放射線撮影装置22Aを使って放射線画像の撮影を行う場合、医師又は担当する放射線技師(技師)は、被検者66を挟んで放射線源64と対向する所定位置に、照射面102(図5参照)を放射線源64側とした状態で電子カセッテ68を設置する。次いで、撮影スイッチ84を操作して撮影を行う。第2移動型放射線撮影装置22Bにおいても同様である。
放射線源制御装置54は、コンソール52のオーダリング管理部86より当該被検者66の撮影部位に係る撮影条件をコンソール制御装置80を通じて取得し、取得した撮影条件に従って放射線源64を制御することにより、所定の線量からなる放射線Xを被検者66に照射する。
そして、第1移動型放射線撮影装置22Aにおいて、被検者66を透過した放射線Xは、電子カセッテ68のグリッド104によって散乱線が除去された後、放射線検出器46に照射され、放射線検出器46を構成する各画素138の光電変換層132によって電気信号に変換され、蓄積容量136に電荷として保持される(図7参照)。次いで、各蓄積容量136に保持された被検者66の放射線画像情報である電荷情報は、カセッテ制御装置94を構成するアドレス信号発生部158からライン走査駆動部144及びマルチプレクサ146に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ライン走査駆動部144のアドレスデコーダ148は、アドレス信号発生部158から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線140に接続されたTFT134のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ146のアドレスデコーダ154は、アドレス信号発生部158から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部144によって選択されたゲート線140に接続された各画素138の蓄積容量136に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線142を介して順次読み出す。
放射線検出器46の選択されたゲート線140に接続された各画素138の蓄積容量136から読み出された放射線画像情報は、各増幅器150によって増幅された後、各サンプルホールド回路152によってサンプルホールドされ、マルチプレクサ146を介してA/D変換器156に供給され、デジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御装置94の画像メモリ126に一旦記憶される。
同様にして、ライン走査駆動部144のアドレスデコーダ148は、アドレス信号発生部158から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線140に接続されている各画素138の蓄積容量136に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線142を介して読み出し、マルチプレクサ146及びA/D変換器156を介してカセッテ制御装置94の画像メモリ126に記憶させる。
放射線撮影後の電子カセッテ68は、第1移動型放射線撮影装置22Aのクレードル56に装着される。
このとき、クレードルのコネクタ90及び電子カセッテのコネクタ92同士が接続されると、コンソール制御装置80は、オーダリング管理部86に登録されている被検者66の被検者情報をコネクタ90及びコネクタ92を通じて電子カセッテ68のインタフェース162(図7参照)に供給する。インタフェース162は、画像メモリ126に記憶されている放射線画像情報と被検者情報とを関連付け、関連付けた状態の放射線画像情報を画像メモリ126に記憶する。
この後、インタフェース162は、送受信端末108を通じての移動通信網20への放射線画像情報の転送を許可するが、病室24内が通信範囲42内になっていないので、病室24内で送受信端末108から放射線画像情報の送信処理が行われることはない。
当該第1移動型放射線撮影装置22Aが病室24を出て、電子カセッテ68(の送受信端末108)が、移動通信網20の該当基地局40の通信範囲42に入ると、換言すれば、送受信端末108が該当基地局40の所定の電波強度を受信したとき、その旨をインタフェース162(カセッテ制御装置94)に伝える。
これにより、インタフェース162は、画像メモリ126から放射線画像情報を読み出し、送受信端末108の端末制御部112(図6参照)に転送する。端末制御部112は、画像メモリ126からインタフェース162を通じて転送されてきた放射線画像情報を送信部128、アンテナ共用器122、及びアンテナ120を通じて通信範囲42を有する該当基地局40に送信する。該当基地局40は、受信した放射線画像情報を移動通信網20、及びLAN18を通じて管理室32のサーバ38に転送する。
一方、第2移動型放射線撮影装置22Bにおいては、放射線撮影後のカセッテ192が、第2移動型放射線撮影装置22Bの画像読取装置170に装着され、カセッテ192内の蓄積性蛍光体パネル48に蓄積された放射線画像情報が読み取られて画像メモリ176(図9参照)に記憶される。そして、この場合も、放射線画像情報と被検者情報とが関連付けられて送受信端末184、基地局40、移動通信網20及びLAN18を通じて管理室32のサーバ38に転送される。
管理室32のサーバ38に転送された放射線画像情報は、LAN18を通じて、例えば、診察室28のコンソール36を利用する医師等により診察等の利用に即座に供することができる。
なお、図2に示すように、例えば、移動型放射線撮影装置22が病室24から診察室28あるいは図示しない次の病室24への通路26上の移動中に、隣り合う基地局40、40の通信範囲42、42が重なるように構成されているので、電波強度の強い方の通信範囲42に順次切り替えて移動することができることから、通路26の移動中に通信が途切れることなく放射線画像情報をサーバ38に転送することができる。従って、次の病室24での放射線画像情報の撮影の際には、同一の電子カセッテ68の画像メモリ126や画像読取装置170の画像メモリ176に上書き記憶することができる。これにより、電子カセッテ68の画像メモリ126及び画像読取装置170の画像メモリ176の容量を、1枚分の放射線画像情報を記録可能なメモリ容量にすることが可能となる。
つまり、電子カセッテ68に搭載される画像メモリ126及び画像読取装置170の画像メモリ176の記憶容量が小さい場合(1撮影分)であっても、複数の病室24の被検者66の各放射線画像情報を遅滞なく放射線画像の収集設備であるサーバ38に送信することができる。
電子カセッテ68や画像読取装置170が病室24内に存在するか否か、すなわち、病室24から退出したかどうかを判定するのに通信範囲42により判定する他、例えば、電子カセッテ68や画像読取装置170に、RFIDカードを取り付けておき、このRFIDカードの読取装置を病室24のドア近傍に取り付けておくことで、退出検出機構を構成するようにすることもできる。電子カセッテ68や画像読取装置170のRFIDカードの電波を前記読取装置により検出したとき、移動中であると判断することができる。
また、電子カセッテ68や画像読取装置170が移動中であるかどうかの判断は、電子カセッテ68がクレードル56を通じてコンソール52に接続されているとき、あるいは電子カセッテ68が画像読取装置170に装填されているときに、コンソール制御装置80により、速度センサ74及び(又は)位置センサ76を通じて移動型放射線撮影装置22が移動していると判断したとき、電子カセッテ68や画像読取装置170の移動中であると判断するようにしてもよい。
そして、移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置80は、上述した各種手段のほかに、図11に示すように、当該移動型放射線撮影装置22の使用履歴や保守履歴等の履歴情報(ログ)を記憶するログメモリ250と、設定又は変更された撮影計画や保守計画を記憶する計画情報メモリ252と、オーダリング情報等に基づいて撮影計画及び保守計画を作成する計画情報作成部254と、ID情報、オーダリング情報、履歴情報等を分析要求指示と共に外部の中央管理部14に送信する情報送信部256と、中央管理部14での分析結果(オーダリング情報及び履歴情報等に基づいて少なくともバッテリに関して分析した結果を含む)を受け取る分析結果受取部258と、移動型放射線撮影装置22の起動時に受け取った分析結果を撮影計画に反映させる第1フィードバック部260と、移動型放射線撮影装置22の起動後のイベント発生時に受け取った分析結果を撮影計画に反映させる第2フィードバック部262と、移動型放射線撮影装置22の終了時に受け取った分析結果を保守計画に反映させる第3フィードバック部264と、イベントが発生するたびに、バッテリ容量を更新予測する容量更新予測部266と、受け取った分析結果に基づいて使用すべき移動型放射線撮影装置22を選択指示するガイダンス部268とを備える。イベント発生時としては、例えば技師が移動型放射線撮影装置22を1つの病室24に移動させて1人の被検者66に対する放射線撮影の準備を行っている時点、1人の被検者66に対する放射線撮影を終えた時点、新たな撮影メニューが追加(被検者の追加を含む)された時点等がある。また、ガイダンス部268は、1つの医療機関12に2台以上の移動型放射線撮影装置22が存在する場合に設置される。このガイダンス部268は、管理室32のサーバ38に接続された中央コンピュータに設置してもよい。この場合、使用予定の移動型放射線撮影装置22のID情報を中央管理部14に送信するID送信部と共に設置すれば、移動型放射線撮影装置22を起動せずに、事前に使用すべき移動型放射線撮影装置22を知ることができる。
オーダリング情報には、放射線源64による撮影に必要な撮影メニュー、移動型放射線撮影装置22を操作する技師に関する技師情報、被検者66(患者)に関する被検者情報が含まれる。
撮影メニューは、被検者66の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件であり、例えば、撮影部位、撮影方法等の条件を挙げることができる。さらに、本実施の形態では、優先度が設定できるようになっている。技師情報は、当該技師の熟練度が挙げられる。熟練度としては、再撮影の頻度(再撮影率)や経験年数が挙げられる。被検者情報は、個人情報、病棟情報、過去の再撮影情報等が挙げられる。個人情報としては、被検者66の年齢、病歴、体格、体脂肪率、性別等であり、病棟情報としては被検者がいる病室24の位置等であり、過去の再撮影情報は、いままで再撮影を何度行ったかの情報である。
移動型放射線撮影装置22の使用履歴は、バッテリ58の使用回数(充電回数)、放射線源64の使用回数(曝射数)、台車44の通算走行距離、台車44の加減速の回数、台車44の接触回数(衝突回数)、読取機(電子カセッテ68又は画像読取装置170)の種類、移動型放射線撮影装置22のロット情報等が挙げられる。
例えばバッテリ58に関しては、バッテリ容量の残量を検出するセンサが設置されていれば、バッテリ58の残量を定期的(イベント発生毎;例えば、撮影・移動開始・停止時・読取動作時等)に計測して、以下の履歴表を作成してログメモリ250に残す。
また、走行距離や加減速の回数の履歴は、上述のバッテリ58とほぼ同じような履歴表を作成してログメモリ250に記録する。移動距離は、速度センサ74、車輪60の回転数等からカウンタにて計数することで得られ、加減速の回数は、急ブレーキや急加速を検出するセンサからの出力をカウンタにて計数することで得ることができる。この場合も、イベント発生毎に記録するようにしてもよい。
接触回数の履歴(障害物にぶつかって、動力が停止した履歴)については、接触センサ78からの出力をカウンタにて計数すると共に、その時刻等を記録する等が挙げられる。
読取機(電子カセッテ68や画像読取装置170)の動作に関する履歴は、バッテリ58の情報と統合してもよい。つまり、何時何分に動作したかを記録する等である。
その他、電灯71の履歴については、撮影領域を表示するための電灯71の使用回数を計数することが挙げられる。もちろん、計数値をディスプレイ62に表示するようにしてもよい。
放射線源64の使用履歴については、放射線撮影時のmAs値・管電圧を収集する。mAs値・管電圧の収集方法は、撮影時に設定される値を自動収集できるシステムを使用してもよいし、フォトタイマー等を撮影時に設置して実測値を採り、その結果を収集してもよい。曝射の回数は、撮影スイッチ84が押された回数をカウントする機構を設けたり、撮影のための回路に電流・電圧があるしきい値を超えた回数をカウントして、コンソール52にフィードバックするシステムでもよい。
また、使用履歴として、下記のような移動型放射線撮影装置22固有の情報も管理するようにしてもよい。下記の情報は、技師が入力装置を介して入力したり、サービスマンが部品を交換すると、使用履歴の情報を書き換えるような運用が考えられる。
・線源(ターゲット、フィルタ、フィラメント)の材料
・再撮影の回数(技師情報と関連付けて保存)
・ロット情報:移動型放射線撮影装置自体のロット情報やバッテリ等の部品単位のロット情報等
・保守履歴(線源のターゲットをいつ交換したか等の情報)
そして、例えば使用履歴のバッテリ58の使用回数(充電回数)は、技師が入力装置を介して充電回数を更新入力してもよいし、別途、バッテリ58の充電を計数するカウンタを設けて、カウンタの計数値から得るようにしてもよい。バッテリ58の使用回数は、新品に交換した時点あるいは修理を行った時点で0にリセットされる。放射線源64の使用回数(曝射数)は、技師が入力装置を介して曝射数を更新入力してもよいし、別途、線源による曝射を計数するカウンタを設けて、カウンタの計数値から得るようにしてもよい。放射線源64の使用回数は、新品に交換した時点あるいは修理を行った時点で0にリセットされる。電灯71の使用回数は、技師が入力装置を介して使用回数を更新入力してもよいし、別途、電灯71のスイッチのON操作を計数するカウンタを設けて、カウンタの計数値から得るようにしてもよい。電灯71の使用回数は、新品に交換した時点あるいは修理を行った時点で0にリセットされる。台車44の通算走行距離は速度センサ74からの出力信号を積分した結果を積算することによって得るようにしてもよい。台車44の通算走行距離は、移動機構50を新品に交換した時点あるいは修理を行った時点で0にリセットされる。台車44の加減速の回数は、速度センサ74からの出力信号を微分した結果(絶対値)が所定のしきい値(絶対値)を超えた場合に計数値を更新することで得るようにしてもよい。台車44の加減速の回数は、移動機構50を新品に交換した時点あるいは修理を行った時点で0にリセットされる。台車44の接触回数(衝突回数)は、接触センサ78からの出力をカウンタにて計数することによって得られる。台車44の接触回数は、移動機構50を新品に交換した時点あるいは修理を行った時点で0にリセットされる。上述した0へのリセットは、技師が入力装置を介して行うようにしてもよいし、メンテナンス時にカウンタを0にリセットすることで行うことができる。読取機の種類は、技師が入力装置を介して読取機の種類を入力してもよいし、移動型放射線撮影装置22のロット情報から得るようにしてもよい。移動型放射線撮影装置22のロット情報は、コンソール制御装置80のメモリに記録されたOS(オペレーションシステム)のうち、システムエリアに記録されたロット情報を読み出すことで得るようにしてもよい。
保守履歴としては、移動型放射線撮影装置22を構成する各種部品毎に、新品に交換した時期、修理を行った時期、修理した回数の情報が挙げられる。これらの情報は技師が入力装置を介して入力することで記録することができる。
そして、撮影計画は、移動型放射線撮影装置22の移動ルートと撮影の順番(撮影メニューの配列)等があり、保守計画は、移動型放射線撮影装置22を構成する各種部品について、それぞれ点検すべき時期、部品交換すべき時期等の情報が挙げられる。
従って、計画情報作成部254は、例えば、移動型放射線撮影装置22の起動後、サーバ38から送られてくるオーダリング情報を受け取り、撮影要求のあった1以上の撮影メニューとバッテリ58の容量(満充電のときの容量:既定値)から最適な移動ルートと撮影メニューの順番に関する情報を作成し、撮影計画として計画情報メモリ252に保存する。
また、計画情報作成部254は、サーバ38に対し、該サーバ38に記憶されている保守計画(前回の使用時において更新された保守計画)の送信を要求する。なお、初期段階では、例えば技師が入力装置を使って部品の点検時期や交換時期を入力して保守計画を作成し、サーバ38に記憶させるようにしている。
一方、外部の中央管理部14は、図12に示すように、移動型放射線撮影装置22毎に設定された複数のデータベースDBと、移動型放射線撮影装置22から分析要求指示と共に送られてくるID情報、オーダリング情報、履歴情報等を受け取る情報受取部270と、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、再撮影に関する分析を行う第1分析部272Aと、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、撮影メニューの追加に関する分析を行う第2分析部272Bと、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、1回の曝射に対する消費電力量の比率に関する分析を行う第3分析部272Cと、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、単位走行距離(例えば1m)に対する消費電力量の比率に関する分析を行う第4分析部272Dと、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、満充電のときのバッテリ容量に関する分析を行う第5分析部272Eと、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信する第1分析結果送信部274と、受け取った履歴情報に基づいてバッテリ58の劣化に関する分析を行う第6分析部272Fと、受け取った履歴情報に基づいて放射線源64のターゲットの劣化に関する分析を行う第7分析部272Gと、受け取った履歴情報に基づいて放射線源64のフィルタの劣化に関する分析を行う第8分析部272Hと、受け取った履歴情報に基づいて放射線源64のフィラメントの劣化に関する分析を行う第9分析部272Iと、受け取った履歴情報に基づいて電灯71の劣化に関する分析を行う第10分析部272Jと、受け取った履歴情報に基づいて電子カセッテ68の劣化に関する分析を行う第11分析部272Kと、受け取った履歴情報に基づいて画像読取装置170の劣化に関する分析を行う第12分析部272Lと、受け取った履歴情報に基づいて移動機構50の劣化に関する分析を行う第13分析部272Mと、第6分析部272F〜第13分析部272Mからの各分析結果を、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信する第2分析結果送信部276と、要求のあった移動型放射線撮影装置22と関連する移動型放射線撮影装置22(同一の医療機関12に設置された移動型放射線撮影装置22)に関する履歴情報を該当するデータベースDBから読み出す関連情報読出部278と、同一の医療機関12に設置された2台以上の移動型放射線撮影装置22のうち、いずれの移動型放射線撮影装置22を使用すればよいかの分析を行う第14分析部272Nと、第14分析部272Nからの分析結果を要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信する第3分析結果送信部280とを有する。
移動型放射線撮影装置22毎に設定されたデータベースDBは、それぞれ対応する移動型放射線撮影装置22のID情報、当該移動型放射線撮影装置22が設置された医療機関12のID情報、当該移動型放射線撮影装置22と関連する移動型放射線撮影装置22(同一の医療機関12に設置された別の移動型放射線撮影装置22)のID情報、当該移動型放射線撮影装置22のオーダリング情報の時系列ファイル(要求日付順)、使用履歴の時系列ファイル(要求日付順)、分析結果の時系列ファイル(要求日付順)等が格納されている。そして、当該移動型放射線撮影装置22に関して分析要求があるたびに、当該移動型放射線撮影装置22から送信されたオーダリング情報、使用履歴が該当する時系列ファイルに新たに登録されると共に、後述する分析による結果が該当する時系列ファイルに新たに登録されて、その推移が明確になるように配列されている。また、関連する移動型放射線撮影装置22に関するデータベースDBには、移動型放射線撮影装置22の選択分析(第14分析部272N)にて使用される曝射回数、移動距離、充電回数の各しきい値(消耗度と定義する)が登録されている。上述のデータ構造は、他のデータベースDBについても同様である。
第1分析部272A〜第5分析部272Eでの分析処理は、基本的には以下のような方法で行われる。
(1)第1分析部272A(再撮影に関する分析)
(a)技師情報:再撮影の頻度に応じて再撮影の比率(再撮影の頻度が0の場合を1とする)を設定する。頻度が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAaとする。
(b)技師情報:経験年数に応じて再撮影の比率(経験年数10年の場合を1とする)を設定する。経験年数が短いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAbとする。
(c)被検者情報:被検者66の年齢に応じて再撮影の比率(年齢が20歳の場合を1とする)を設定する。被検者の年齢が低いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAcとする。
(d)被検者情報:被検者66の再撮影情報(再撮影の頻度)に応じて再撮影の比率(再撮影の頻度が0の場合を1とする)を設定する。頻度が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAdとする。
被検者66毎に、上述の比率Aa、Ab、Ac、Adを取得し、これら比率を乗算して、被検者66毎の総合的な再撮影の比率を求める。そして、各被検者66について、再撮影の回数を統計的に分析する。上述の比率Aa、Ab、Ac、Adの算出や統計的な分析は、複数のデータベースDBのうち、使用形態が類似する移動型放射線撮影装置22のデータベースDBからデータマイニングに基づいて行ってもよい。以下、同様である。この分析結果のデータ形態としては、再撮影が予想される被検者66のID番号とその再撮影回数とが組になって配列されたデータ列に、再撮影に関する分析結果を示すコード名が付加されたデータ形態が考えられる。
(2)第2分析部272B(撮影メニューの追加に関する分析)
(e)被検者情報:病歴の数に応じて撮影メニュー追加の比率(病歴の数が1の場合を1とする)を設定する。病歴の数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAeとする。
そして、各被検者66について、撮影メニューの追加数を統計的に分析する。この分析結果のデータ形態としては、撮影メニューの追加が予想される被検者66のID番号とその撮影メニューの追加数とが組になって配列されたデータ列に、撮影メニューの追加数に関する分析結果を示すコード名が付加されたデータ形態が考えられる。
(3)第3分析部272C(1回の曝射に対する消費電力量の比率に関する分析)
(f)被検者情報:被検者66の体格(体重)に応じて管電圧及びmAs値を設定することから、体重に応じて1回の曝射に対する消費電力量の比率(標準的な体重の場合を1とする)を設定する。体重が大きいほど比率が高くなるように設定する。この比率をAfとする。
(g)被検者情報:体脂肪率に応じて管電圧及びmAs値を設定することから、体脂肪率に応じて1回の曝射に対する消費電力量の比率(標準的な体脂肪の場合を1とする)を設定する。体脂肪率が高いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAgとする。
なお、上述の比率Af及びAgに関しては、性別で画一的に管電圧及びmAs値を設定しておき、その後、体格や体脂肪率によって微調整するようにしてもよい。
(h)使用履歴:バッテリ58の使用回数(充電回数)に応じて1回の曝射に対する消費電力量の比率(新品のバッテリ58の比率を1とする)を設定する。使用回数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAhとする。
(i)使用履歴:放射線源64の使用回数(曝射数)に応じて1回の曝射に対する消費電力量の比率(新品の線源の比率を1とする)を設定する。使用回数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAiとする。
(j)使用履歴:電灯71の使用回数に応じて1回の曝射に対する消費電力量の比率(新品の電灯の比率を1とする)を設定する。使用回数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAjとする。
(k)使用履歴:読取機の種類によって1回の曝射に対する消費電力量の比率を設定する。この比率をAkとする。例えば画像読取装置170を使用する型式であれば、比率Akを1に設定し、電子カセッテ68を用いる型式であれば、比率Akを例えば0.5に設定する。
そして、被検者66毎に、上述の比率Af、Ag、Ah、Ai、Aj、Akを取得し、これら比率を乗算して、被検者66毎の1回の曝射に対する消費電力量の総合的な比率を求める。この分析結果のデータ形態としては、被検者66のID番号と対応する1回の曝射に対する消費電力量の総合的な比率とが組になって配列されたデータ列に、1回の曝射に対する消費電力量の比率に関する分析結果を示すコード名が付加されたデータ形態が考えられる。
(4)第4分析部272D(単位走行距離に対する消費電力量の比率に関する分析)
(l)使用履歴:バッテリ58の使用回数(充電回数)に応じて単位走行距離に対する消費電力量の比率(新品のバッテリの比率を1とする)を設定する。使用回数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAlとする。
(m)使用履歴:台車44の通算走行距離に応じて単位走行距離に対する消費電力量の比率(通算走行距離が0の場合を1とする)を設定する。通算走行距離が長いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAmとする。
(n)使用履歴:台車44の加減速(急発進、急停止)の回数に応じて単位走行距離に対する消費電力量の比率を設定する。回数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAnとする。
(o)使用履歴:台車44の接触回数(衝突回数)に応じて単位走行距離に対する消費電力量の比率を設定する。回数が多いほど比率が高くなるように設定する。この比率をAoとする。
そして、上述の比率Al、Am、An、Aoを取得し、これら比率を乗算して、単位走行距離に対する消費電力量の総合的な比率を求める。この分析結果のデータ形態としては、単位走行距離に対する消費電力量の分析結果を示すコード名と、単位走行距離に対する消費電力量の総合的な比率とが配列されたデータ形態が考えられる。
(5)第5分析部272E(満充電のときのバッテリ容量の比率に関する分析)
(p)使用履歴:バッテリ58の使用回数(充電回数)に応じて満充電のときのバッテリ容量の比率(新品のバッテリ58の比率を1とする)を設定する。使用回数が多いほど比率が低くなるように設定する。この比率をApとする。この満充電のときのバッテリ容量の比率の算出は、バッテリ58の種類に応じて行ってもよいし、複数のデータベースDBのうち、同種のバッテリ58を搭載した移動型放射線撮影装置22のデータベースDBからデータマイニングに基づいて行ってもよい。バッテリ58の種類は、移動型放射線撮影装置22のロット情報から容易に識別することができる。この分析結果のデータ形態としては、満充電のときのバッテリ容量の分析結果を示すコード名と、満充電のときのバッテリ容量の比率とが配列されたデータ形態が考えられる。
第1分析結果送信部274は、分析結果を要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信するための第1送信ファイルを作成する。第1送信ファイルは、例えば第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を順番に配列したデータ列と、その先頭に、要求のあった移動型放射線撮影装置22のID番号を付したデータ構造を有する。そして、第1分析結果送信部274は、作成した第1送信ファイルを、要求のあった移動型放射線撮影装置22に向けて送信する。
次に、第6分析部272F〜第13分析部272Mでの分析処理は、基本的には以下のような方法で行われる。
(6)第6分析部272F(バッテリ58の劣化に関する分析)
使用履歴におけるバッテリ58の使用回数(充電回数)に基づいてバッテリ58の劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品のバッテリ58の劣化度を初期劣化度Ra0(=0)とし、修理による劣化度を求めるための係数(修理係数)をKar、修理回数をNar、新品に交換しなければならない劣化度を限界劣化度Ram、新品に交換するまでの平均的な使用回数を許容使用回数Nam、現在の使用回数をNaとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
バッテリの現在の劣化度
=Ra0+Kar×Nar+{(Ram/Nam)×Na}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置のバッテリの次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。これは、過去の劣化度の推移等から統計的に求めることができる。この分析結果のデータ形態としては、バッテリの保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。なお、上述した第3分析部272Cでの比率Ah及び第4分析部272Dでの比率Alを、このバッテリ58の現在の劣化度に基づいて設定してもよい。
(7)第7分析部272G(放射線源64のターゲットの劣化に関する分析)
使用履歴におけるターゲットの使用回数(新品からの曝射数)に基づいて線源のターゲットの劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品のターゲットの劣化度を初期劣化度Rb0(=0)とし、修理係数をKbr、修理回数をNbr、限界劣化度をRbm、許容使用回数をNbm、現在の使用回数をNbとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
ターゲットの現在の劣化度
=Rb0+Kbr×Nbr+{(Rbm/Nbm)×Nb}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22のターゲットの次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。この分析結果のデータ形態としては、ターゲットの保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。
(8)第8分析部272H(放射線源64のフィルタの劣化に関する分析)
使用履歴におけるフィルタの使用回数(新品からの曝射数)に基づいて放射線源64のフィルタの劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品のフィルタの劣化度を初期劣化度Rc0(=0)とし、修理係数をKcr、修理回数をNcr、限界劣化度をRcm、許容使用回数をNcm、現在の使用回数をNcとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
フィルタの現在の劣化度
=Rc0+Kcr×Ncr+{(Rcm/Ncm)×Nc}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22のフィルタの次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。この分析結果のデータ形態としては、フィルタの保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。
(9)第9分析部272I(フィラメントの劣化に関する分析)
使用履歴におけるフィラメントの使用回数(新品からの曝射数)に基づいて線源のフィラメントの劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品のフィラメントの劣化度を初期劣化度Rd0(=0)とし、修理係数をKdr、修理回数をNdr、限界劣化度をRdm、許容使用回数をNdm、現在の使用回数をNdとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
フィラメントの現在の劣化度
=Rd0+Kdr×Ndr+{(Rdm/Ndm)×Nd}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22のフィラメントの次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。この分析結果のデータ形態としては、フィラメントの保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。
(10)第10分析部272J(電灯71の劣化に関する分析)
使用履歴における電灯71の使用回数に基づいて電灯の劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品の電灯の劣化度を初期劣化度Re0(=0)とし、修理係数をKer、修理回数をNer、限界劣化度をRem、許容使用回数をNem、現在の使用回数をNeとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
電灯の現在の劣化度
=Re0+Ker×Ner+{(Rem/Nem)×Ne}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22の電灯71の次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。これは、過去の劣化度の推移等から統計的に求めることができる。この分析結果のデータ形態としては、電灯71の保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。なお、上述した第3分析部272Cでの比率Ajを、この電灯71の現在の劣化度に基づいて設定してもよい。
(11)第11分析部272K(電子カセッテ68の劣化に関する分析)
第1移動型放射線撮影装置22Aにおいては、使用履歴の曝射数に基づいて電子カセッテ68の劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品の電子カセッテ68の劣化度を初期劣化度Rf0(=0)とし、修理係数をKfr、修理回数をNfr、限界劣化度をRfm、許容使用回数をNfm、現在の使用回数をNfとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
カセッテの現在の劣化度
=Rf0+Kfr×Nfr+{(Rfm/Nfm)×Nf}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった第1移動型放射線撮影装置22Aの電子カセッテ68の次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。この分析結果のデータ形態としては、電子カセッテ68の保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。
(12)第12分析部272L(画像読取装置170の劣化に関する分析)
第2移動型放射線撮影装置22Bにおいては、使用履歴の曝射数に基づいて画像読取装置170の劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品の画像読取装置170の劣化度を初期劣化度Rg0(=0)とし、修理係数をKgr、修理回数をNgr、限界劣化度をRgm、許容使用回数をNgm、現在の使用回数をNgとしたとき、以下の演算式にて求めることができる。
画像読取装置の現在の劣化度
=Rg0+Kgr×Ngr+{(Rgm/Ngm)×Ng}
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった第2移動型放射線撮影装置22Bの画像読取装置170の次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。この分析結果のデータ形態としては、画像読取装置170の保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。
(13)第13分析部272M(移動機構50の劣化に関する分析)
使用履歴における台車44の通算走行距離、台車44の加減速の回数、台車44の接触回数(衝突回数)に基づいて移動機構50の劣化度を求める。この劣化度は、例えば新品の移動機構50の劣化度を初期劣化度Rh0(=0)とし、修理係数をKhr、修理回数をNhr、台車44の通算走行距離による劣化度を求めるための係数(走行係数)をKh1、通算走行距離をNh1、台車44の加減速の回数による劣化度を求めるための係数(加減速係数)をKh2、加減速の回数をNh2、台車44の接触回数による劣化度を求めるための係数(接触係数)をKh3、接触回数をNh3としたとき、以下の演算式にて求めることができる。
移動機構50の現在の劣化度
=Rh0+Khr×Nhr+Kh1×Nh1+Kh2×Nh2
+Kh3×Nh3
得られた劣化度に基づいて、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22の移動機構50の次の点検時期や、新品への交換時期を分析する。この分析結果のデータ形態としては、移動機構50の保守に関する分析結果を示すコード名と、点検時期及び新品への交換時期とが配列されたデータ形態が考えられる。なお、上述した第4分析部272Dでの比率Am、An及びAoを、この移動機構50の現在の劣化度に基づいて一括して設定してもよい。
上述の(6)〜(13)における各種劣化度、係数の算出、点検時期、新品への交換時期は、複数のデータベースDBのうち、使用形態が類似する移動型放射線撮影装置22のデータベースDBからデータマイニングに基づいて行ってもよい。
第2分析結果送信部276は、分析結果を要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信するための第2送信ファイルを作成する。第2送信ファイルは、例えば第6分析部272F〜第13分析部272Mからの各分析結果を順番に配列したデータ列と、その先頭に、要求のあった移動型放射線撮影装置22のID番号を付したデータ構造を有する。そして、第2分析結果送信部276は、作成した第2送信ファイルを、要求のあった移動型放射線撮影装置22に向けて送信する。
次に、第14分析部272Nでの分析処理は、基本的には以下のような方法で行われる。
(14)第14分析部272N(使用すべき移動型放射線撮影装置22の選択に関する分析)
第14分析部272Nでの処理を説明する前に、関連情報読出部278での処理を説明すると、該関連情報読出部278は、要求のあった移動型放射線撮影装置22のID情報に対応するデータベースDBから当該移動型放射線撮影装置22と関連する移動型放射線撮影装置22(同一の医療機関12に設置された別の移動型放射線撮影装置22)のID情報を読み出す。
読み出したID情報が無効データ(関連する移動型放射線撮影装置22は存在しない)であれば、第14分析部272Nでの分析処理は行わない。
読み出したID情報が有効であれば、第14分析部272Nでの分析処理が行なわれる。第14分析部272Nでは、当該移動型放射線撮影装置22の使用履歴と、関連する移動型放射線撮影装置22の使用履歴を参照しながら、これら移動型放射線撮影装置22の曝射回数、移動距離及び充電回数の少なくとも1つが対応する消耗度を超えていなければ、これら移動型放射線撮影装置22が平均的に使用されるように、今回使用されるべき移動型放射線撮影装置22を選択する。これら移動型放射線撮影装置22の曝射回数、移動距離及び充電回数がいずれも対応する消耗度を超えていれば、これら移動型放射線撮影装置22のうち、例えば充電回数が一番少ない移動型放射線撮影装置22以外の移動型放射線撮影装置22を今回使用されるべき移動型放射線撮影装置22として選択する。今回選択されなかった移動型放射線撮影装置22は、緊急用に使用されることになる。
第3分析結果送信部280は、分析結果を要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信するための第3送信ファイルを作成する。第3送信ファイルは、第14分析部272Nからの分析結果(使用すべき移動型放射線撮影装置22のID情報)に、移動型放射線撮影装置22の選択に関する分析結果を示すコード名を付したデータ構造を有する。関連する移動型放射線撮影装置が存在しなければ、その旨を示すコード名が付される。もちろん、移動型放射線撮影装置22の曝射回数、移動距離及び充電回数がいずれも対応する消耗度を超えた分析結果であれば、使用しない緊急用の移動型放射線撮影装置22のID情報と、該緊急用の移動型放射線撮影装置22を重点的にチェックするための定期メンテナンス時のチェックメニューも付加したデータ構造にすることが好ましい。そして、第3分析結果送信部280は、作成した第3送信ファイルを、要求のあった移動型放射線撮影装置22並びに管理室32のサーバ38に向けて送信する。
中央管理部14の第1分析結果送信部274、第2分析結果送信部276及び第3分析結果送信部280から送信された情報は、移動型放射線撮影装置22の分析結果受取部258にて受け取られ、そのうち、第1分析結果送信部274からの情報(第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果)が第1フィードバック部260又は第2フィードバック部262に送られ、第2分析結果送信部276からの情報(第6分析部272F〜第13分析部272Mからの各分析結果)が第3フィードバック部264に送られ、第3分析結果送信部280からの情報(第14分析部272Nからの分析結果)がガイダンス部268に送られる。
第1フィードバック部260は、移動型放射線撮影装置22の起動時に、既に作成されている撮影計画に対して、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を反映させる。第2フィードバック部262は、移動型放射線撮影装置22の起動後のイベント時に、進行中の撮影計画に対して、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を反映させる。第3フィードバック部264は、移動型放射線撮影装置22の終了時に、既に作成されている保守計画に対して、第6分析部272F〜第13分析部272Mからの各分析結果を反映させる。これら第1フィードバック部260、第2フィードバック部262及び第3フィードバック部264での処理は後述する。
一方、ガイダンス部268は、第14分析部272Nからの分析結果をコンソール52のディスプレイ62に表示する。起動した移動型放射線撮影装置22が選択されていなければ、緊急用に使用すべき移動型放射線撮影装置22として指定されたこととなるため、技師は、当該移動型放射線撮影装置22での使用を取りやめて、選択された他の移動型放射線撮影装置22を起動する。
もちろん、サーバ38に接続された中央コンピュータに、上述したように、使用予定の移動型放射線撮影装置22のID情報を中央管理部14に送信するID送信部と共にガイダンス部268を設置していれば、中央コンピュータに第14分析部272Nからの分析結果が送信されてくるため、中央コンピュータのディスプレイにその分析結果を表示させて、選択された移動型放射線撮影装置22を確認し、該選択された移動型放射線撮影装置22を起動することで、無駄な起動操作を防止することが可能となる。
本実施の形態に係る放射線撮影管理システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
先ず、図13のステップS1において、病棟の複数の被検者66のうち、移動型放射線撮影装置22を使用して放射線撮影すべき被検者66が医師によって選定され、選定された各被検者66にそれぞれ対応した撮影メニュー(撮影部位、枚数等)を含むオーダリング情報が作成されて、管理室32のサーバ38に保存される。
同一の医療機関に、複数の移動型放射線撮影装置22が設置されていれば、ステップS2以降において、使用すべき移動型放射線撮影装置22の選択処理が行われる。
すなわち、ステップS2において、技師が移動型放射線撮影装置22を起動すると、情報送信部256は、ID情報を分析要求指示(使用すべき移動型放射線撮影装置22の選択に関する分析要求)と共に外部の中央管理部14に送信する。
ステップS3において、中央管理部14での処理が行われる。すなわち、中央管理部14の情報受取部270は、移動型放射線撮影装置22から分析要求指示と共に送られてくるID情報を受け取る。
ステップS4において、関連情報読出部278は、要求のあった移動型放射線撮影装置22のID情報に対応するデータベースDBから当該移動型放射線撮影装置22と関連する移動型放射線撮影装置22(同一の医療機関12に設置された別の移動型放射線撮影装置22)のID情報を読み出す。
ステップS5において、関連情報読出部278は、当該移動型放射線撮影装置22に関連する移動型放射線撮影装置22が存在するか否かを判別する。読み出したID情報が無効データ(関連する移動型放射線撮影装置22は存在しない)であれば、第14分析部272Nでの分析処理は行わず、ステップS7に進み、第3分析結果送信部280は、関連する移動型放射線撮影装置22が存在しないことを示すコード名が付された第3送信ファイルを作成し、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信する。
一方、ステップS5において、読み出したID情報が有効であると判別された場合、ステップS6に進み、第14分析部272Nでの分析処理が行われる。すなわち、第14分析部272Nは、データベースDBに登録された当該移動型放射線撮影装置22の使用履歴と、関連する移動型放射線撮影装置22の使用履歴を参照しながら、これら移動型放射線撮影装置22の曝射回数、移動距離及び充電回数とそれぞれ対応する消耗度とを比較する。
曝射回数、移動距離及び充電回数のいずれか1つが、対応する消耗度を超えていなければ、これら移動型放射線撮影装置22が平均的に使用されるように、今回使用されるべき移動型放射線撮影装置22を選択する。
曝射回数、移動距離及び充電回数のいずれもが、対応する消耗度を超えていれば、これら移動型放射線撮影装置22のうち、例えば充電回数が一番少ない移動型放射線撮影装置22以外の移動型放射線撮影装置22を今回使用されるべき移動型放射線撮影装置22として選択する。
ステップS7において、第3分析結果送信部280は、第14分析部272Nからの分析結果(使用すべき移動型放射線撮影装置22のID情報)を、要求のあった移動型放射線撮影装置22並びに管理室32のサーバ38に向けて送信する。
ステップS8以降において、移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置80での処理が行われる。すなわち、ステップS8において、分析結果受取部258は、中央管理部14での分析結果(第3送信ファイル)を受け取る。
ステップS9において、ガイダンス部268は、第3送信ファイルに含まれる情報をコンソール52のディスプレイ62に表示する。上述したように、起動した移動型放射線撮影装置22が選択されていなければ、緊急用に使用すべき移動型放射線撮影装置22として指定されたこととなるため、技師は、当該移動型放射線撮影装置22での使用を取りやめて、選択された他の移動型放射線撮影装置22を起動する。
次に、起動した移動型放射線撮影装置22を使用して、放射線撮影を行いながら最適な撮影計画を作成し直していく処理、及び保守計画を更新する処理について図14〜図19を参照しながら説明する。
先ず、図14のステップS101において、移動型放射線撮影装置22におけるコンソール制御装置80の計画情報作成部254は、サーバ38に対し、該サーバ38に記憶されているオーダリング情報の送信を要求する。計画情報作成部254は、サーバ38から送られてくるオーダリング情報を受け取り、撮影要求のあった1以上の撮影メニューとバッテリ58の容量(満充電のときの容量:既定値)から最適な移動ルートと撮影メニューの順番に関する情報を作成し、撮影計画として計画情報メモリ252に保存する。
ステップS102において、情報送信部256は、ID情報、撮影計画に含まれるオーダリング情報(撮影メニュー等)、履歴情報等を分析要求指示と共に外部の中央管理部に送信する。
ステップS103以降において、中央管理部14での処理が行われる。すなわち、ステップS103において、中央管理部14の情報受取部270は、移動型放射線撮影装置22から分析要求指示と共に送られてくるID情報、撮影計画に含まれるオーダリング情報(撮影メニュー等)、履歴情報等を受け取る。
ステップS104において、第1分析部272Aは、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、再撮影に関する分析を行う。ステップS105において、第2分析部272Bは、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、撮影メニューの追加に関する分析を行う。ステップS106において、第3分析部272Cは、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、1回の曝射に対する消費電力量の比率に関する分析を行う。ステップS107において、第4分析部272Dは、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、単位走行距離(例えば1m)に対する消費電力量の比率に関する分析を行う。ステップS108において、第5分析部272Eは、受け取った情報並びにデータベースDBの情報に基づいて、満充電のときのバッテリ容量に関する分析を行う。
ステップS109において、第1分析結果送信部274は、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を含む第1送信ファイルを作成し、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信する。
ステップS110以降において、移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置80での処理が行われる。すなわち、ステップS110において、分析結果受取部258は、中央管理部14での分析結果(第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を含む第1送信ファイル)を受け取る。
ステップS111において、第1フィードバック部260は、受け取った第1送信ファイルに含まれる分析結果を撮影計画に反映させる。ここで、第1フィードバック部260での処理を図16のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップS201において、例えば第1分析部272Aでの分析結果にて指摘された再撮影が予想される被検者66について、再撮影の回数分だけ曝射数を加算する。すなわち、撮影計画に登録されている曝射数に、再撮影の回数分の曝射数を加算する。
その後、ステップS202において、第2分析部272Bでの分析結果にて指摘された撮影メニューの追加が予想される被検者66について、撮影メニューの追加数だけ曝射数を加算する。
そして、ステップS203において、第3分析部272Cでの分析結果(1回の曝射に対する消費電力量の比率)を各曝射について反映させて、撮影計画に含まれる全曝射での消費電力量を計算し直す。
また、ステップS204において、第4分析部272Dでの分析結果(単位走行距離に対する消費電力量の比率)を、撮影計画に挙げられた移動ルートの走行距離に基づく消費電力量の計算に反映させて、台車44の移動に伴う消費電力量を計算し直す。
さらに、ステップS205において、移動型放射線撮影装置22のバッテリ58の満充電のときの容量(既定値)に第5分析部272Eの分析結果(満充電のときのバッテリ容量の比率)を乗算した値を、現在のバッテリ容量(予測値)とし、所定のレジスタに登録する。
ステップS206において、現在のバッテリ容量の予測値と上述のように計算し直された全消費電力量とを比較する。現在のバッテリ容量の予測値と全消費電力量との関係が、現在のバッテリ容量の予測値≧全消費電力量であれば、既に作成された撮影計画を修正せずに、そのまま使用する。
前記ステップS206において、現在のバッテリ容量の予測値<全消費電力量であると判別された場合は、既に作成された撮影計画を修正する。この修正処理は、先ず、ステップS207において、現在のバッテリ容量の予測値と全消費電力量とに基づいて最適な移動ルート(撮影メニューの順番を含む)を解析する。ステップS208において、最適な移動ルートが見つかったか否かが判別され、見つかれば、ステップS209に進み、新たな移動ルートに基づく撮影計画を作成して、計画情報メモリ252に再登録する。
前記ステップS208において、最適な移動ルートが見つからないと判別された場合は、ステップS210に進み、優先度の最も低い1つの撮影メニューを削除し、再度、最適な移動ルートを再設定して撮影計画を作成し直す。その後、図14のステップS2以降の処理に戻り、優先度の最も低い1つの撮影メニューを削除した後のオーダリング情報等を中央管理部14に送信して、再度分析を行う。
上述のステップS206又はステップS209での処理が終了した段階で、撮影計画が決定されることとなり、次のステップS211に進んで、移動型放射線撮影装置22は、決定した撮影計画を管理室32のサーバ38に送信し、サーバ38に記録する。これによって、医師は、決定された撮影計画に基づいて、次の撮影メニューの作成、撮影メニューの再登録等を行うことになる。決定した撮影計画は、移動型放射線撮影装置22のコンソール52のディスプレイ62に表示され、技師が一目で確認できるようになっている。
図14のルーチンに戻り、第1フィードバック部260での処理が終了した後、ステップS112に進み、第2フィードバック部262での処理が行われる。以下、場合分けをして第2フィードバック部262での処理を説明する。
最初に、技師が移動型放射線撮影装置22を1つの病室24に移動させて1人の被検者66に対する放射線撮影の準備を行っている段階(第1イベント発生時)での処理を図17を参照しながら説明する。
先ず、ステップS301において、容量更新予測部266は、上述した所定のレジスタに登録されている現在のバッテリ容量(予測値)から移動型放射線撮影装置22が移動してきたルートの走行距離に相当する消費電力量を差し引いて、現在のバッテリ容量(予測値)を更新し、上述の所定のレジスタに登録し直す。
ステップS302において、計画情報作成部254は、現時点の撮影計画に含まれる移動ルートのうち、移動型放射線撮影装置22が移動してきたルートを削除して撮影計画を更新する。
ステップS303において、情報送信部256は、ID情報、撮影計画に含まれるオーダリング情報(撮影メニュー等)、履歴情報等を分析要求指示と共に外部の中央管理部14に送信する。このとき、第1イベント発生時の分析要求指示であることを示すコードも併せて送信するようにしてもよい。
ステップS304において、中央管理部14での処理が行われる。この処理は、上述したステップS104〜ステップS109(図14参照)と同様であるため、その説明を省略する。この中央管理部14での処理によって、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を含む第1送信ファイルが要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信される。なお、移動型放射線撮影装置22から第1イベント発生時の分析要求指示であることを示すコードが送信されていれば、第1イベントにおいて必要な情報、例えば第1分析部272A、第2分析部272B及び第4分析部272Dでの分析結果のみを第1送信ファイルに登録して、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信するようにしてもよい。
ステップS305において、移動型放射線撮影装置22の分析結果受取部258は、中央管理部14での分析結果(第1送信ファイル)を受け取る。
ステップS306において、第2フィードバック部262は、受け取った第1送信ファイルに含まれる分析結果を撮影計画に反映させる。先ず、図16のステップS201〜ステップS203に準じた処理を行って、撮影計画に含まれる全曝射での消費電力量を計算する。
ステップS307において、第4分析部272Dでの分析結果(単位走行距離に対する消費電力量の比率)を、撮影計画(移動型放射線撮影装置22が移動したルートは削除済み)に挙げられた移動ルートの走行距離に基づく消費電力量の計算に反映させて、台車44の移動に伴う消費電力量を計算し直す。
さらに、ステップS308において、以後の最適な移動ルートを探索し直す。ここでの処理は、上述した図16のステップS206以降の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS308での処理が終了した段階で、撮影計画の更新が決定されることとなり、次のステップS309に進んで、移動型放射線撮影装置22は、更新された撮影計画を管理室32のサーバ38に送信し、サーバ38に記録する。
次に、技師が移動型放射線撮影装置22を使用して1人の被検者66に対する放射線撮影を終了した段階(第2イベント発生時)での処理を図18を参照しながら説明する。
先ず、ステップS401において、容量更新予測部266は、上述した所定のレジスタに登録されている現在のバッテリ容量(予測値)から今回の曝射数に基づく消費電力量を差し引いて、現在のバッテリ容量(予測値)を更新し、上述の所定のレジスタに登録し直す。
ステップS402において、計画情報作成部254は、現時点の撮影計画に含まれるオーダリング情報(撮影メニュー等)のうち、放射線撮影を終えた被検者66に関するオーダリング情報を削除して撮影計画を更新する。
ステップS403において、情報送信部256は、ID情報、撮影計画に含まれるオーダリング情報(撮影メニュー等)、履歴情報等を分析要求指示と共に外部の中央管理部14に送信する。このとき、第2イベント発生時の分析要求指示であることを示すコードも併せて送信するようにしてもよい。
ステップS404において、中央管理部14での処理が行われる。この処理は、上述したステップS104〜ステップS109(図14参照)と同様であるため、その説明を省略する。この中央管理部14での処理によって、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を含む第1送信ファイルが要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信される。なお、移動型放射線撮影装置22から第2イベント発生時の分析要求指示であることを示すコードが送信されていれば、第2イベントにおいて必要な情報、例えば第1分析部272A〜第3分析部272Cでの分析結果のみを第1送信ファイルに登録して、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信するようにしてもよい。
ステップS405において、移動型放射線撮影装置22の分析結果受取部258は、中央管理部14での分析結果(第1送信ファイル)を受け取る。
ステップS406において、第2フィードバック部262は、受け取った第1送信ファイルに含まれる分析結果を撮影計画に反映させる。先ず、図16のステップS201〜ステップS203に準じた処理を行って、撮影計画(今回、放射線撮影を行った被検者66に関するオーダリング情報は削除済み)に含まれる全曝射での消費電力量を計算し直す。
さらに、ステップS407において、以後の最適な移動ルートを探索し直す。ここでの処理は、上述した図16のステップS206以降の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS408での処理が終了した段階で、撮影計画の更新が決定されることとなり、次のステップS409に進んで、移動型放射線撮影装置22は、更新された撮影計画を管理室32のサーバ38に送信し、サーバ38に記録する。
次に、新たな撮影メニューが追加(被検者66の追加を含む)された段階(第3イベント発生時)での処理を図19を参照しながら説明する。
先ず、ステップS502において、計画情報作成部254は、現時点の撮影計画に新たなオーダリング情報(撮影メニュー等)を追加して撮影計画を更新する。
ステップS503において、情報送信部256は、ID情報、撮影計画に含まれるオーダリング情報(撮影メニュー等)、履歴情報等を分析要求指示と共に外部の中央管理部14に送信する。このとき、第3イベント発生時の分析要求指示であることを示すコードも併せて送信するようにしてもよい。
ステップS504において、中央管理部14での処理が行われる。この処理は、上述したステップS104〜ステップS109(図14参照)と同様であるため、その説明を省略する。この中央管理部14での処理によって、第1分析部272A〜第5分析部272Eからの各分析結果を含む第1送信ファイルが要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信される。なお、移動型放射線撮影装置22から第3イベント発生時の分析要求指示であることを示すコードが送信されていれば、第3イベントにおいて必要な情報、例えば第1分析部272A〜第3分析部272Cでの分析結果のみを第1送信ファイルに登録して、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信するようにしてもよい。
ステップS505において、移動型放射線撮影装置22の分析結果受取部258は、中央管理部14での分析結果(第1送信ファイル)を受け取る。
ステップS506において、第2フィードバック部262は、受け取った第1送信ファイルに含まれる分析結果を撮影計画に反映させる。先ず、図16のステップS201〜ステップS203に準じた処理を行って、撮影計画(新たなオーダリング情報を追加済み)に含まれる全曝射での消費電力量を計算し直す。
さらに、ステップS507において、以後の最適な移動ルートを探索し直す。ここでの処理は、上述した図16のステップS206以降の処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS508での処理が終了した段階で、撮影計画の更新が決定されることとなり、次のステップS509に進んで、移動型放射線撮影装置22は、更新された撮影計画を管理室32のサーバ38に送信し、サーバ38に記録する。
図15でのルーチンに戻り、ステップS113以降において、移動型放射線撮影装置22の終了時における処理、すなわち、撮影計画に基づいた移動型放射線撮影装置22による放射線撮影を終えて、移動型放射線撮影装置22を管理室32に移動した段階での処理が行われる。
先ず、ステップS113において、技師は、例えば入力装置を介して保守計画の送信を要求する。計画情報作成部254は、サーバ38に対し、該サーバ38に記憶されている保守計画(前回の使用時において更新された保守計画)の送信を要求する。
ステップS114において、計画情報作成部254は、サーバ38から送られてくる保守計画を受け取り、計画情報メモリ252に保存する。
ステップS115において、情報送信部256は、ID情報、履歴情報等を分析要求指示と共に外部の中央管理部14に送信する。
ステップS116以降において、中央管理部14での処理が行われる。すなわち、ステップS116において、中央管理部14の情報受取部270は、移動型放射線撮影装置22から分析要求指示と共に送られてくるID情報、履歴情報等を受け取る。
ステップS117において、第6分析部272Fは、受け取った履歴情報に基づいてバッテリ58の劣化に関する分析を行う。また、ステップS118において、第7分析部272Gは、受け取った履歴情報に基づいて放射線源64のターゲットの劣化に関する分析を行い、ステップS119において、第8分析部272Hは、受け取った履歴情報に基づいて放射線源64のフィルタの劣化に関する分析を行い、ステップS120において、第9分析部272Iは、受け取った履歴情報に基づいて放射線源64のフィラメントの劣化に関する分析を行う。さらに、ステップS121において、第10分析部272Jは、受け取った履歴情報に基づいて電灯71の劣化に関する分析を行う。また、ステップS122において、第11分析部272Kは、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22が第1移動型放射線撮影装置22Aであれば(ID情報にて認識)、受け取った履歴情報に基づいて電子カセッテ68の劣化に関する分析を行う。一方、分析要求指示のあった移動型放射線撮影装置22が第2移動型放射線撮影装置22Bであれば(ID情報にて認識)、ステップS123において、第12分析部272Lは、受け取った履歴情報に基づいて画像読取装置170の劣化に関する分析を行う。また、ステップS124において、第13分析部272Mは、受け取った履歴情報に基づいて移動機構50の劣化に関する分析を行う。
ステップS125において、第2分析結果送信部276は、第6分析部272F〜第13分析部272Mからの各分析結果を含む第2送信ファイルを作成し、要求のあった移動型放射線撮影装置22に送信する。
ステップS126以降において、移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置80での処理が行われる。すなわち、ステップS126において、分析結果受取部258は、中央管理部14での分析結果(第6分析部272F〜第13分析部272Mからの各分析結果を含む第2送信ファイル)を受け取る。
ステップS127において、第3フィードバック部264は、受け取った第2送信ファイルに含まれる分析結果を保守計画に反映させる。具体的には、第3フィードバック部264は、既に計画情報メモリ252に記憶されている保守計画を、第6分析部272Fでの分析結果(バッテリ58の次の点検時期、新品への交換時期)、第7分析部272Gでの分析結果(放射線源64のターゲットの次の点検時期、新品への交換時期)、第8分析部272Hでの分析結果(放射線源64のフィルタの次の点検時期、新品への交換時期)、第9分析部272Iでの分析結果(放射線源64のフィラメントの次の点検時期、新品への交換時期)、第10分析部272Jでの分析結果(電灯71の次の点検時期、新品への交換時期)、第1移動型放射線撮影装置22Aであれば、第11分析部272Kでの分析結果(電子カセッテ68の次の点検時期、新品への交換時期)、第2移動型放射線撮影装置22Bであれば、第12分析部272Lでの分析結果(画像読取装置170の次の点検時期、新品への交換時期)、第13分析部272Mでの分析結果(移動機構50の次の点検時期、新品への交換時期)に書き換えて、保守計画を更新する。そして、移動型放射線撮影装置22は、更新した保守計画を管理室32のサーバ38に送信し、サーバ38に記録する。
ステップS127での処理が終了した段階で、移動型放射線撮影装置22の終了時における処理が終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、移動型放射線撮影装置22の少なくとも使用履歴に関する情報からバッテリ58の劣化状況や消耗品等の使用頻度の情報を遠隔地で管理することができ、しかも、移動型放射線撮影装置22を遠隔地で管理することができる。
また、移動型放射線撮影装置22の少なくとも使用履歴に関する情報に基づいて分析した結果を撮影計画や保守計画に反映させて表示することで、最適な撮影計画をリアルタイムに技師に認識させることができ、また、将来における消耗品の点検、交換時期をリアルタイムに技師に把握させることができる。
特に、本実施の形態では、リアルタイムに進行するオーダリング情報や技師情報、被検者情報に基づいて、再撮影の回数や撮影メニューの追加、消費電力量、バッテリ容量を予測し、その予測に基づいて撮影計画を再構築するようにしている。そのため、突然の再撮影や撮影メニューの追加があっても迅速に対処することが可能となり、技師は余裕をもって移動型放射線撮影装置を操作することが可能となる。また、中央管理部14において、オーダリング情報、被検者情報、履歴情報に基づいて、線源の劣化度合いに応じた1回の曝射に対する消費電力量の比率、移動機構50の劣化度合いに応じた単位走行距離に対する消費電力量の比率、バッテリ58の劣化度合いに応じた満充電のときのバッテリ容量の比率についての分析を行うようにしている。そのため、撮影計画に含まれる移動ルート、オーダリング情報から導き出される総合的な消費電力量を、放射線源64や移動機構50の劣化度合いに応じて可能な限り正確に割り出すことができ、しかも、満充電のときのバッテリ容量を、バッテリ58の劣化度合いに応じて可能な限り正確に割り出すことができ、無理のない撮影計画の構築を実現することができる。
さらに、移動型放射線撮影装置22の終了時に、放射線源64(ターゲット、フィルタ、フィラメント)、移動機構50、電子カセッテ68、画像読取装置170の劣化度合いに応じて各部品の点検時期や、新品への交換時期を予測して保守計画を書き換えるようにしているため、技師は、移動型放射線撮影装置22に対するメンテナンスのスケジュール設定、移動型放射線撮影装置22に対する予算設定を容易に行うことができ、放射線撮影の業務に集中させることができる。
中央管理部14は、医療機関12の外部に設置されることから、数多くの医療機関12と接続することができる。そのため、中央管理部14では、技師情報、被検者情報・履歴情報等がさまざまな医療機関12から送られるため、これらの情報を集約することができる。その結果、各情報を統計的に解析し、各医療機関12に対して最適な撮影計画(撮影順・経路等)を決定することができる。つまり、統計的分析において、母集団を増やすことができ、同一対象の予測値についてばらつきを抑制することが可能となる。特に、データマイニングを用いた分析において有益であり、様々な事象から総合的に分析を行うことができ、個々の移動型放射線撮影装置22にとって最適な予測値を提供することが可能となる。
従って、例えば技師の再撮影率を記録しておき、再撮影率の低い技師が担当であった場合には、電池容量をギリギリまで使用可能な経路を設定し、再撮影率が高い技師が担当であった場合には、バッテリ容量に余裕を持たせた経路を設定することが可能となる。あるいは、被検者に児童(年齢があるしきい値以下)が多く含まれている場合には、体動により再撮影が増える可能性があるので、バッテリ容量に余裕を持たせた経路を設定することが可能となる。これらの最適な経路の決定は、これから撮影する情報(技師情報、被検者情報、履歴情報等)と中央管理部14で保有する過去の同情報の類似度を検索し、最も類似度が高かった過去の情報と同様の経路を提示しても可能となる。
なお、上述の実施の形態では、事前に撮影計画及び保守計画を作成するようにしている。これは、中央管理部14との通信が途絶えた場合に、独自の撮影計画及び保守計画で移動型放射線撮影装置22を稼働させることができるというメリットがある。
また、保守計画に関しては、例えば過去の部品交換履歴とそれに至った経緯を中央管理部14で集約することができるため、現時点での移動型放射線撮影装置22の使用状況の履歴をもとに、中央管理部14にある過去の類似の使われ方を検索して、その場合の交換までにかかった日数を求めることで、「あと○○日でフィラメント交換(予想)」のように予測して、医療機関12側に通知するシステムを構築することができる。
また、本実施の形態では、同一の医療機関12に2台以上の移動型放射線撮影装置22が設置されている場合に、第14分析部272Nによって、使用すべき移動型放射線撮影装置22を選択して、医療機関12側に通知するようにしたので、移動型放射線撮影装置22の使用当初においては、2台以上の移動型放射線撮影装置22をその劣化具合が平均的になるように、偏りなく使用することができ、1つの移動型放射線撮影装置22に使用が集中してしまうということがない。そして、使用日数が経過して、すべての移動型放射線撮影装置22がある程度まで劣化した段階からは、特定の移動型放射線撮影装置22を緊急用に使用せず、他の移動型放射線撮影装置22を使用するように通知がなされることから、全ての移動型放射線撮影装置22がほぼ同時期に使用不能に陥るということがなく、他の移動型放射線撮影装置22が修理点検等で使用不能になった場合でも、緊急用の移動型放射線撮影装置22を使用することができ、移動型放射線撮影装置22が全く使用できないという弊害を防止することができる。
この場合、第14分析部272Nから、緊急用の移動型放射線撮影装置22のID情報も一緒に送信された場合は、緊急用の移動型放射線撮影装置22を重点的にチェックするための定期メンテナンス時のチェックメニューが付加されているため、このチェックメニューをサービスマンに配信することで、緊急用の移動型放射線撮影装置22を、いざというときに使えるように、メンテナンスを行わせることが可能となる。
本実施の形態では、中央管理部14が分析処理を行っているが、例えば中央管理部14からは経路選択のアルゴリズム部のみを医療機関12の中央コンピュータに配信して、経路の決定は医療機関12の中央コンピュータが行うようにしてもよい。さらには、同様のアルゴリズム部を移動型放射線撮影装置22のコンソール52にダウンロードして、移動型放射線撮影装置22のコンソール52が行うようにしてもよい。
そして、本実施の形態の他の変形例としては、以下の例が挙げられる。
(1)中央管理部14に設置された第1分析部272A〜第13分析部272Mのいずれかを管理室32のサーバ38や移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置80に設置して、いくつかの項目の分析を医療機関12側で行うようにしてもよい。これにより、中央管理部14との通信が途絶えた場合であっても、独自の撮影計画及び保守計画を、中央管理部14からの予測値ほどの正確性はないが、稼働に支障が来たさない程度の正確さで構築することができる。
(2)コンソール制御装置80に設置されたログメモリ250、計画情報メモリ252、情報送信部256、分析結果受取部258、第1フィードバック部260、第2フィードバック部262、第3フィードバック部264、ガイダンス部268を管理室32のサーバ38にも設置して、サーバ38からでも撮影計画や保守計画の再構築を行えるようにしてもよい。特に、ガイダンス部268をサーバ38に設置することで、2台以上の移動型放射線撮影装置22のうち、いずれの移動型放射線撮影装置22を起動すればよいかを事前に確認することができるというメリットがある。
(3)例えば中央管理部14、あるいは管理室32のサーバ38に、第1フィードバック部260、第2フィードバック部262、第3フィードバック部264の少なくとも1つを設置して、移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置80での演算処理を軽減させるようにしてもよい。
(4)保守計画の設定、更新を、移動型放射線撮影装置22ではなく、管理室32のサーバ38にて行うようにしてもよい。この場合も、移動型放射線撮影装置22のコンソール制御装置での演算処理を軽減させることができる。
(5)撮影計画及び保守計画の作成から分析結果の反映を中央管理部14で行うようにしてもよい。規模の小さな医療機関12や、一般家庭での在宅撮影、被災地での放射線撮影にも容易に適用させることができる。
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
例えば、移動通信網20は、通信範囲42が一部重複する複数の基地局40を含むものであるので、電子カセッテ68の送受信端末108又は画像読取装置170の送受信端末184を、移動型放射線撮影装置22に装着された無線送受信可能な既存の携帯端末、例えば、PHS端末とすることで既存の通信インフラを利用でき、移動型放射線撮影装置22と放射線画像情報の収集設備との間の通信インフラの整備が不要となる。もちろん、携帯端末として、PHS端末と同程度の電波発振強度を有するものを利用することができる。この場合、移動型放射線撮影装置22による一般家庭での在宅撮影も可能となる。すなわち、撮影現場室は、手術室30、病室24、診察室28に限ることなく、一般家庭における在宅介護室等、撮影室34以外の現場室で撮影することが可能である。
例えば、電子カセッテ68に収容される放射線検出器46は、入射した放射線Xの線量を画素138によって直接電気信号に変換するものであるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
さらに、全基地局40の間で同期信号を用いてフレーム送信タイミングを1スロットずつずらしながら基地局40と電子カセッテ68の送受信端末108又は画像読取装置170の送受信端末184との間で通信フレーム(複数スロットから構成されている)の送受信を行い、且つ、隣接する基地局40をそれぞれ異なる周波数を用いてそれぞれの通信範囲42の一部が重なるように配置する。そして、電子カセッテ68(送受信端末108)又は画像読取装置170(送受信端末184)の進行方向手前の基地局40のフレーム内最終スロットのタイミングに、次の基地局40のフレーム内先頭スロットを送信するように全基地局40がタイミング制御を行いながら、送受信端末108又は送受信端末184は、通信フレームで通信するだけでなく、通信フレームの最終スロットで他の基地局40からの受信を試みて、他の基地局40と安定して通信ができる状態と判断できれば、通信する基地局40を変更することで、中央管理部14や管理室32のサーバ38との通信を途切れることなく、且つ、確実に行うことができる。
電子カセッテ68やカセッテ192は、手術室30等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ68やカセッテ192を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ68やカセッテ192を繰り返し続けて使用することができる。
また、電子カセッテ68については、図20に示すように構成すると、一層好適である。
すなわち、電子カセッテ68には、ケーシング100の放射線照射面側に、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線290が形成される。このガイド線290を用いて、電子カセッテ68に対する被検者66等の被写体の位置決めを行い、また、放射線Xの照射範囲を設定することにより、放射線画像情報を適切な撮影領域に記録することができる。
電子カセッテ68の撮影領域外の部位には、電子カセッテ68に係る各種情報を表示する表示部292を配設する。この表示部292には、電子カセッテ68に記録される被検者66等の被写体のID情報、電子カセッテ68の使用回数、累積曝射線量、電子カセッテ68に内蔵されているバッテリ106の充電状態(残容量)、放射線画像情報の撮影条件、被検者66の電子カセッテ68に対するポジショニング画像等を表示させる。この場合、技師は、例えば、表示部292に表示されたID情報に従って被検者66等の被写体を確認すると共に、電子カセッテ68が使用可能な状態にあることを事前に確認し、表示されたポジショニング画像に基づいて被検者66等の被写体の所望の撮影部位を電子カセッテ68に位置決めして、最適な放射線画像情報の撮影を行うことができる。
また、電子カセッテ68に取手部294を形成することにより、電子カセッテ68の取り扱い、持ち運びが容易になる。
電子カセッテ68の側部には、ACアダプタの入力端子296と、USB(Universal Serial Bus)メモリ298を装着するためのUSB端子300と、メモリカード302を装填するためのカードスロット304とを配設すると好適である。
入力端子296は、電子カセッテ68に内蔵されているバッテリ106の充電機能が低下しているとき、あるいは、バッテリ106を充電するのに十分な時間を確保できないとき、ACアダプタを接続して外部から電力を供給することにより、当該電子カセッテ68を直ちに使用可能な状態とすることができる。
USB端子300又はカードスロット304は、電子カセッテ68が基地局40、移動通信網20、及びLAN18を通じてコンソール36及びサーバ38等の外部機器との間で無線通信による情報の送受信を行うことができないときに利用することができる。すなわち、USB端子300にUSBメモリ298を装着し、このUSBメモリ298に必要な情報を記録した後、USBメモリ298を取り外して外部機器に装着することにより、情報の送受信を行うことができる。また、カードスロット304にメモリカード302を装填し、このメモリカード302に必要な情報を記録した後、メモリカード302を取り出して外部機器に装填することにより、情報の送受信を行うことができる。
手術室30、診察室28、撮影室34や病院内の必要な個所には、図21に示すように、電子カセッテ68が装填され、内蔵されるバッテリ106の充電を行うクレードル306を配置すると好適である。この場合、クレードル306は、バッテリ106の充電だけでなく、バッテリ106の節電のために電子カセッテ68の送受信端末108を用いることに代替してクレードル306の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、基地局40、移動通信網20及びLAN18を介してサーバ38に送信するようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル306に装填された電子カセッテ68に記録された放射線画像情報を含めることができる。
また、クレードル306に表示部308を配設し、この表示部308に、装填された電子カセッテ68の充電状態や、電子カセッテ68から取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
また、複数のクレードル306をLAN18に接続し、各クレードル306に装填されている電子カセッテ68の充電状態をLAN18を介してコンソール36やサーバ38により収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ68の所在を確認できるように構成することもできる。