JP2015004508A - 貯湯式給湯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】貯湯タンク内の湯水中に正または負の浮力が作用する噴流が流入する場合に、貯湯タンクの蓄熱量の減少を抑制できる貯湯式給湯機を提供すること。【解決手段】本発明に係る貯湯式給湯機は、湯水を貯留する貯湯タンク1と、貯湯タンク1内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、を備え、噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される噴流の軌道に関する指標Lmが、浮力が作用する方向と逆の方向への噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、噴流の流入口(中温水戻り口16)の断面積が設計されている。【選択図】図1

Description

本発明は、貯湯式給湯機に関する。
貯湯タンクに湯を貯え、必要時に浴槽や蛇口などの給湯端末に供給する貯湯式給湯機が広く用いられている。貯湯タンク内には、水道等の水源から供給される低温水が下層側に貯留される。貯湯タンク内の低温水は、ヒートポンプ等の加熱手段に送られて沸き上げられて高温水(湯)となる。この高温水は、貯湯タンクに戻り、貯湯タンク内の上層側に貯留される。
このような貯湯式給湯機において、浴槽の湯水(浴槽水)を追焚きするための追焚熱交換器を備えたものがある。追焚き運転時には、貯湯タンクから取り出した高温水と浴槽水とが追焚熱交換器に循環し、高温水から浴槽水へ伝熱させることにより、浴槽水を加熱する。高温水は、追焚熱交換器で浴槽水に熱を与えることによって温度が低下し、中間的な温度の中温水となる。この中温水は、貯湯タンクの中間部分の高さ位置に設けられた中温水戻り口から貯湯タンク内に流入する。
従来、貯湯式給湯機では、貯湯タンクに複数の温度センサを異なる高さで設置し、それらの検出温度に基づいて貯湯タンク内の鉛直方向の温度分布を推定することにより、貯湯タンクの蓄熱量を計算している。しかしながら、温度センサの数が限られている等の理由により、貯湯タンク内の温度分布を正確に推定することができない場合がある。
下記特許文献1には、貯湯タンク内の温度分布を正確に推定するために、熱エネルギー収支式を直接解く方法が開示されている。すなわち、特許文献1に開示された方法では、貯湯タンク内を上下方向に複数の層に分割した各層の温度を、各層へ接続する配管からの流入熱量と、各層の温度と外気温度との差に基づく放熱量と、各層に対し上下に隣接する層との伝熱量との総和から算出するようにしている。
特開2010−54131号公報
追焚き運転時には、中温水戻り口から貯湯タンク内に中温水の噴流が流入するために、貯湯タンク内の温度分布が複雑に変動する。その場合、噴流の温度と、タンク内の水温とが異なると、水の密度差による浮力の影響が生ずる。特許文献1に開示された方法では、噴流が浮力を受ける場合には、水の熱伝導率が大きくなったものとして熱エネルギー収支式を解くことにより、その影響を模擬している。
貯湯タンク内の湯水中に正または負の浮力が作用する噴流が流入する際に貯湯タンク内が大きく混合されると、貯湯タンクの蓄熱量が減少する可能性がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、貯湯タンク内の湯水中に正または負の浮力が作用する噴流が流入する場合に、貯湯タンクの蓄熱量の減少を抑制できる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
本発明に係る貯湯式給湯機は、湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、を備え、噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される噴流の軌道に関する指標Lmが、浮力が作用する方向と逆の方向への噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、噴流の流入口の断面積が設計されているものである。
また、本発明に係る貯湯式給湯機は、湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される噴流の軌道に関する指標Lmが、浮力が作用する方向と逆の方向への噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、噴流の流量を制御する制御手段と、を備えるものである。
また、本発明に係る貯湯式給湯機は、湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、噴流の流入口を鉛直方向の異なる位置に切り替え可能な切替手段と、噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される噴流の軌道に関する指標Lmが、浮力が作用する方向と逆の方向への噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、切替手段により流入口を切り替える制御手段と、を備えるものである。
本発明によれば、貯湯タンク内の湯水中に正または負の浮力が作用する噴流が流入する場合に、貯湯タンクの蓄熱量の減少を抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。 図1に示す貯湯式給湯システムにおける制御部と各機器との接続関係を示す図である。 中温水戻り口のノズル(流入口)から正の浮力を持つ噴流が貯湯タンク内に流入した場合の現象を表す模式的な断面図である。 指標Lmと噴流の軌道との関係を示す図である。 指標Lmをタンク幅Wtで除して規格化したLm(横軸)と、渦高さZbをタンク幅Wtで除して規格化したZb(縦軸)との関係を示した図である。 貯湯タンク内温度分布の計算モデルを説明するための図である。 本発明の実施の形態1における均等分配モデルの概念を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の温度分布計算方法を適用した実験結果を示す図である。 均等分配モデルに均等混合モデルを付加した温度分布計算方法を適用した実験結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
《機器構成》
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す構成図である。図1に示す貯湯式給湯機は、貯湯ユニットAと、加熱手段としての熱源ユニットBと、リモコン(リモートコントローラ)7とを有している。貯湯ユニットAは、貯湯タンク1と、一般給湯側混合弁2aと、風呂給湯側混合弁2bと、減圧弁3と、電磁弁4と、制御部10と、水ポンプ14a,14b,14cと、風呂追焚熱交換器15と、断熱材20と、後述するセンサ類とを有しており、これらの要素が金属製の外装ケース30に収められている。貯湯タンク1は、ステンレスなどの金属製もしくは樹脂などで構成され、略円筒形状をなしている。貯湯タンク1の外側には、断熱材20が配置されており、高温の湯(以下、高温水とも称する)を長時間保温することができる。
風呂追焚熱交換器15の1次側には、貯湯タンク1の上部からの往き配管と、貯湯タンク1の中温水戻り口16への戻り配管とが接続されている。風呂追焚熱交換器15の2次側には、浴槽5との往復配管が接続されている。風呂追焚熱交換器15の1次側および2次側流路にはそれぞれポンプ14bおよび14cが接続されている。なお、図1に示す構成例では貯湯タンクの数が1つであるが、2つもしくはこれ以上の貯湯タンクを直列もしくは並列に接続し、貯湯ユニットA内に設置してもよい。
熱源ユニットBは、市水温度の水(以下、水もしくは低温水と称する)を目標の貯湯温度まで昇温加熱する熱交換器などの加熱器(図示せず)が内蔵されている加熱手段である。熱源ユニットBは、例えばCOやHFCなどを冷媒としたヒートポンプであり、圧縮機(図示せず)、水と冷媒熱交換する水熱交換器(凝縮器、図示せず)、外気と熱交換する空気熱交換器(蒸発器、図示せず)、膨張弁(図示せず)などから構成されている。ただし、本発明における加熱手段は、ヒートポンプに限定されるものではない。本発明では、加熱手段を電気ヒーターなどに置き換えても良いし、加熱手段を貯湯タンク1に内蔵する構成としてもよい。
風呂給湯側混合弁2bから給湯された給湯水は、浴槽5に貯留される。混合栓6は、一般給湯側混合弁2aから給湯された温水と、水源から供給される市水とを混合して給湯する。混合栓6には、シャワー(図示せず)などが接続される場合もある。
リモコン7は、本貯湯式給湯機とユーザーとの間で情報の入出力(給湯温度の設定や浴槽5への給湯の開始又は停止操作など)を行うためのユーザーインターフェース装置である。リモコン7は、浴室用と台所用などの複数個設置してもよい。
続いて、本貯湯式給湯機の配管構成について説明する。水源から混合栓6側へ分岐したあと、減圧弁3を経てシステムに流入する市水温度の水は、貯湯タンク1と、混合弁2a,2bとに、それぞれ供給される。貯湯タンク1の下部には市水の導入管と、貯湯タンク1内の下部の水を熱源ユニットBへ送水するための管とが接続されている。貯湯タンク1の下部から送水された水は、熱源ユニットBで目標温度まで加熱昇温されて、熱源ユニットBから貯湯タンク1の上部へと繋がる配管を経て貯湯タンク1内の上部に戻される。貯湯タンク1と熱源ユニットBとの間の水の循環はポンプ14aにて行われる。なお、ポンプ14aは熱源ユニットB内に内蔵する構成としてもよい。
貯湯タンク1の上部には出湯用の配管が接続されており、この配管を通って貯湯タンク1から出た高温水は2つに分岐して一般給湯側混合弁2aと風呂給湯側混合弁2bとに分配される。一方、混合弁2a,2bの水側入口には水源からの水配管がそれぞれ接続されている。混合弁2a,2bは、それぞれ、高温水と低温水とを混合して温度調節することによって温水を生成し、給湯を行う。風呂側は、風呂給湯側混合弁2bと浴槽5とが電磁弁4を経由して配管接続されており、風呂給湯側混合弁2bから給湯された温水が浴槽5に溜まる構成となっている。また、一般給湯側は、一般給湯側混合弁2aから給湯された温水が、混合栓6にて水源からの水と更に混合された上で、給湯される。なお、図1の例では、混合栓6が1つであるが、混合栓6は、例えば台所や洗面所の蛇口、浴室のカラン兼シャワーなどに接続されるものであり、2つ以上の複数でもよく、混合弁の数を増やしてそれぞれの混合栓6に対応する構成としてもよい。また、混合弁2a,2bは、例えばサーボモータ等の駆動源により弁体を駆動する電動弁であり、弁体が動くことにより高温水と水の混合比率を調整して給湯温度を制御できる構造のものである。
次に、貯湯ユニットAに設けられたセンサ類と制御部10について説明する。混合弁2a,2bの出口側には給湯流量を検出する流量センサが設けられている。すなわち、一般給湯側混合弁2aの出口側には流量センサ11aが設けられ、風呂給湯側混合弁2bの出口には流量センサ11bが設けられている。また、貯湯タンク1内の水を沸き上げる際に熱源ユニットBと貯湯タンク1との間を循環する水の流量を計測する流量センサ11cと、風呂追焚熱交換器15と貯湯タンク1との間を流れる1次側流路の水流量を計測する流量センサ11dとが設けられている。そして、配管内を流れる湯水の温度を検出する温度センサとして、混合弁水側入口の水温計測用の温度センサ12cと、混合弁高温水側入口の高温水温度計測用と貯湯タンク1最上部の温度計測用とを兼用する温度センサ13aと、一般給湯側混合弁2a出口側の給湯温度計測用の温度センサ12aと、風呂給湯側混合弁2b出口側の給湯温度計測用の温度センサ12bと、熱源ユニットBにて加熱昇温された湯の沸上温度計測用の温度センサ12dと、風呂追焚熱交換器15の1次側から貯湯タンク1へ戻る水温を計測する温度センサ12fと、浴槽5から風呂追焚熱交換器15の2次側に送られる水温を計測する温度センサ12eとが設けられている。また、貯湯タンク1には、温度センサ13aに加えて、貯湯タンク1の中間部における貯湯水温を計測する温度センサ13bが設けられている。なお、各温度センサの設置方法としては、配管やタンクの表面にろう付け、溶接、ねじ固定、フォルダ固定するなどの方法や、水温を直接測るように配管やタンクの内部にセンサを埋没させる設置方法などでもよい。
図2は、制御部10と各機器との接続関係を示す図である。図2に示すように、制御部10は、センサ類、リモコン7、熱源ユニットB、混合弁2a,2b、電磁弁4、ポンプ14a,14b,14cの各々に対し、通信ケーブルにより有線接続されており、信号の授受が可能となっている。なお、制御部10と、各機器との通信は、無線経由としてもよい。
制御部10は、貯湯ユニットAに内蔵されており、温度、流量などのセンサ類の出力に基づいて計測を行う測定部(図示せず)と、測定結果に基づき演算、比較、判定などの処理を行う演算部(図示せず)と、演算結果に基づき、弁類などを駆動するための駆動部(図示せず)と、熱源ユニットBへの運転情報などを送受信する送受信部(図示せず)とを含んで構成されている。また、演算部によって得られた結果や予め定められた関数などを計算する近似式やテーブルなどを記憶する記憶部(図示せず)も内蔵しており、必要に応じてこれらの記憶内容を参照、書き換えることが可能である。上記測定、演算、駆動などの処理はマイコンにより処理され、記憶部は半導体メモリーなどによって構成される。また、制御部10には、マイコンによる処理結果をLEDやモニターなどにより表示したり、警告音などを出力したり、電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)により遠隔地へ情報を出力する出力部(図示せず)や、リモコン7や基板上のスイッチ類からの操作入力、もしくは電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)からの通信データ情報を入力する入力部(図示せず)が更に設けられていてもよい。なお、上記構成例では、制御部10を貯湯ユニットAに内蔵する構成としたが、貯湯ユニットAにメイン制御部を、熱源ユニットB側に制御部の機能の一部を持つサブ制御部を設けて、メインとサブ間ではデータ通信を行うことにより連携処理を行う構成や、リモコン7にそれらの機能を持たせる構成、あるいはこれらの外部に制御部を別置する形態などとしてもよい。
更に、本実施形態における制御部10は、温度分布計算手段110を有している。温度分布計算手段110は、後述する温度分布計算方法に基づき、貯湯タンク1内の湯水の鉛直方向の温度分布を計算する。
《貯湯動作説明》
貯湯タンク1の下部に接続された配管から取り出された低温水は、熱源ユニットBに送られ、沸き上げられて高温水となり、配管を経て貯湯タンク1へ戻り、上部から貯湯タンク1内に流入する。このように、熱源ユニットBと貯湯タンク1との間では循環回路が形成されて、貯湯タンク1内の低温水は順次高温に沸き上げられて貯湯タンク1に貯湯される。この貯湯運転(沸き上げ運転)は、基本的には電力料金が安価な夜間に行われる。貯湯タンク1の沸き上げ湯温は、リモコン7で予め設定することが可能である。深夜時間帯に、熱源ユニットBのヒートポンプにより、貯湯タンク1の水温を目標沸き上げ湯温まで沸き上げる。昼間時間帯に貯湯量が不足する場合には、熱源ユニットBを運転して貯湯タンク1に追加貯湯することも可能である。熱源ユニットBのヒートポンプは、沸き上げる水の入水温度が高いと運転効率が低下するという特性がある。このため、貯湯タンク1内は、なるべく温度混合しておらず、低温水と高温水とが明確に分かれている状態が望ましい。
《給湯動作説明》
(一般給湯側への給湯動作)
一般給湯側への給湯温度は、予めリモコン7にて設定することが可能である。混合栓6を開くと、制御部10は、一般給湯側の温度センサ12aでの検出温度が、設定されている給湯温度となるように、一般給湯側混合弁2aを制御して、貯湯タンク1上部から給湯した高温水と、水源からの水とを混合する。
(風呂給湯側への給湯動作)
浴槽5への給湯温度は、予めリモコン7にて設定することが可能である。湯張りを行うためには、まずリモコン7で、湯張りスイッチを押す。これにより湯張りの指令が出力され、制御部10が、風呂側の温度センサ12bでの検出温度が設定された浴槽湯温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への湯張りを開始する。浴槽5への湯張り開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、リモコン7で予め設定された浴槽湯量に到達するまで、湯張りを継続する。積算流量が、設定された浴槽湯量に到達すると、電磁弁4を閉じて湯張りを完了する。
(浴槽水の追焚き動作)
リモコン7からの指令により、浴槽5内の湯水(以下、「浴槽水」と称する)が冷めたときにこれを加熱するための追焚き運転が実行される。なお、本発明において「追焚き」とは、浴槽水の温度を上昇させることのみならず、浴槽水を保温することをも含む概念である。浴槽追焚き運転が開始されると、風呂追焚熱交換器15の1次側および2次側流路に接続されているポンプ14bおよび14cが駆動する。これにより、貯湯タンク1からの高温水と浴槽5の湯水とを熱交換することが可能となり、浴槽水を加熱することができる。貯湯タンク1の所定の高さ位置には、中温水戻り口16が設けられている。貯湯タンク1からの高温水は、風呂追焚熱交換器15で浴槽水と熱交換して温度低下し、中温水(40〜60℃程度)となる。この中温水は、戻り配管を通り、中温水戻り口16から貯湯タンク1内に流入する。中温水戻り口16から流入した中温水は、貯湯タンク1内の湯水と混合し、両者の温度差異により貯湯タンク1内の温度分布が複雑に変化する。このとき、温度混合が過剰に進むと、貯湯タンク1の蓄熱量が減少する。また、前述のようにヒートポンプの運転性能は沸き上げる水の入水温度によって決まるため、温度混合が過剰に進むと入水温度が上昇し、システム効率が低下するという課題もある。
《貯湯タンク1内の湯水の温度分布計算方法》
貯湯タンク1内の湯水の温度分布を正確に推定するためには、水の流れの影響および温度差により生じる浮力を考慮して貯湯タンク1内の流れと温度拡散を解く必要がある。また、一般に、有限体積のタンク内に高流速噴流を流入させた場合には、噴流の対向壁面への衝突の影響を考慮する必要がある。始めに高流速噴流流入時の現象について説明する。
図3は、中温水戻り口16のノズル(流入口)41から正の浮力を持つ噴流が貯湯タンク1内に流入した場合の現象を表す模式的な断面図である。図3中、符号42は、ノズル41から流入した中温水の噴流の軌道を示し、符号50は、ノズル41と対向する対向壁面(貯湯タンク1の内壁)を示す。また、中温水戻り口16のノズル41と対向壁面50との距離をタンク幅Wtとする。ここで、正の浮力とは、噴流が流入する箇所の貯湯タンク1内の湯水(以下、「タンク水」とも称する)の温度に対し、噴流の温度が高い場合に発生する浮力である。水の密度は温度が高くなるほど小さくなる。このため、噴流の温度の方がタンク水の温度より高い場合には、噴流の密度が周囲のタンク水の密度より小さく軽いため、ノズル41から水平方向に流入した噴流は、正の(鉛直上方向の)浮力を受けて、貯湯タンク1内で鉛直上方へ軌道42が曲がる流れとなる。
浮力を受ける噴流は浮力噴流と呼ばれ、図3に示す正の浮力のほかに、負の浮力(噴流の密度がタンク水の密度より大きい場合)がある。正の浮力の場合も負の浮力の場合も現象的にはほぼ同じ(作用する方向の違いのみ)であるので、図3では正の浮力の場合について代表して説明する。正の浮力を受ける噴流は、図3に示すように上方に曲がり、噴流の軌道42が対向壁面50と交わる場合には、噴流と対向壁面50との衝突が発生し、浮力の作用方向と逆の方向(以下、「浮力逆方向」と称する)に噴流の一部が跳ね返る。この跳ね返った噴流は、周囲との温度差(密度差)により進行方向に対し逆方向の浮力を受け(抗力)、徐々に速度減衰し、先端部で渦60を成して、浮力逆方向への動きが停止する。ここで、図3に示すように、噴流軸中心からの渦60の高さをZbで表す。
噴流の流速が低い場合、もしくは対向壁面50までの距離(タンク幅Wt)が大きい場合には、浮力噴流と対向壁面50との衝突が発生せず、噴流は浮力方向にのみ影響する。この場合は、Zb=0となる。
続いて、浮力噴流の軌道に関する指標Lm[m]と、渦高さZb[m]との関係について説明する。指標Lmは、次式(数1)〜(数3)により定められる。
(数1)
Lm=M 3/4/B 1/2
(数2)
=u
(数3)
=g(ΔρJ,T/ρ)Q
ここで、B:噴流の浮力流束[m/s]、g:重力加速度[m/s]、M:噴流の運動量流束[m/s]、Q:噴流の体積流量[m/s]、u:噴流の流速[m/s]、ΔρJ,T:噴流とタンク水との密度差[kg/m]、ρ:タンク水の密度[kg/m
である。
指標Lmは、噴流の運動量流束Mと浮力流束Bとの比から導かれる、長さの単位を持つスケールであり、ノズル41から放出される噴流の初期値から前記(数1)〜(数3)式に基づいて算出される。図3に示すように、指標Lmは、噴流(運動量を持った流体)が浮力に逆らって進む距離を表している。指標Lmが小さいほど、噴流の軌道は浮力に大きく影響される。
なお、噴流の体積流量Qは、流量センサ11dにより検出することができる。噴流の流速uは、噴流の体積流量Qとノズル41の断面積とに基づいて算出することができる。噴流の温度は、温度センサ12fにより検出することができる。また、温度分布計算手段110には、水の密度と温度との関係が記憶されており、その関係を用いてΔρJ,Tおよびρを算出することができる。温度分布計算手段110は、それらの値を用いて、前記(数1)〜(数3)式に基づき、指標Lmを算出する。
図4は、指標Lmと噴流の軌道との関係を示す図である。図4に示すように、噴流噴出方向の距離をx[m]とおくと、x/Lm<1では運動量が支配的な噴流型となり、x/Lm>5では浮力が支配的なプルーム型となる。
図5は、指標Lmをタンク幅Wtで除して規格化したLm(横軸)と、渦高さZbをタンク幅Wtで除して規格化したZb(縦軸)との関係を示した図である。貯湯タンク1内の湯水の温度分布を正確に推定するためには、ノズル41から流入する噴流が対向壁面50に衝突して渦60が発生するか否かを判定することが重要となるため、上記規格化を行った。図5中、符号101はタンク水が高粘度(低温)の場合の関係を示し、符号102はタンク水が低粘度(高温)の場合の関係を示す。
図4で説明したx/Lmと、Lmとは逆数の関係にある。Lmが小さい領域、例えばLm<0.2〜0.4程度の領域では噴流がプルーム状となり渦60が形成されにくい条件となり、Lmがそれより大きい領域では徐々に運動量が支配的な直線的噴流となり噴流が対向壁面50に衝突して渦60が形成され易い条件となる。
図5に示すように、Zbは、Lmが小さいときには浮力噴流がプルーム的であるため壁面衝突の影響を受けず、Zb=0であるが、Lmが所定の閾値を超えると壁面衝突の影響を受けるためZb>0となる。この領域では、Zbは、Lmの増加に対し直線に近い状態で上昇する傾向となる。
また、Zbは、支配的な拡散側のタンク水の粘性の影響を受け、タンク水が高粘度(低温)の場合には大きく(図5中の符号101で示す関係)、低粘度(高温)の場合には小さくなる傾向となる(図5中の符号102で示す関係)。これは、次の理由による。噴流が対向壁面50に衝突した場合に、対向壁面50に沿って浮力逆方向に流れる流れの流速は低く、層流となる。この層流が周囲のタンク水を巻き込み、末端で渦60を形成する。層流噴流の巻き込み量は、粘性に比例する。この場合、巻き込み量は、支配的な拡散側のタンク水の粘性の影響を受ける。このため、タンク水が高粘度となる低温時の巻き込み量の方が、高温時と比べて大きくなる(水の粘度は低温ほど高いため)。従って、タンク水が高粘度(低温)の場合には、低粘度(高温)の場合と比べて、対向壁面50に沿って浮力逆方向に流れる層流の巻き込み量が大きくなる結果、浮力の減衰すなわち噴流に対する抗力の低下が生じることから、Zbが大きくなる。
温度分布計算手段110は、図5に示すようなLmとZbとの関係(またはLmとZbとの関係)を記憶しており、その関係と前述の方法で算出された指標Lmとに基づいて、渦高さZbを算出することができる。その際、LmとZbとの関係(またはLmとZbとの関係)をタンク水の温度に基づいて補正した上で、渦高さZbを算出するようにしてもよい。指標Lmが所定の閾値(図5の横軸切片にタンク幅Wtを乗じた値)以下の場合には、渦高さZbはゼロとなり、指標Lmが上記閾値以上となる領域では指標Lmの増加と共に渦高さZbが大きくなる。
続いて、貯湯タンク1内の鉛直方向の温度分布を計算する計算モデルについて説明する。図6は、貯湯タンク1内の温度分布の計算モデルを説明するための図である。図6に示すように、この計算モデルでは、貯湯タンク1内の湯水を上部から順に複数の層(1〜n層)の小区間に分割している。噴流は、i番目(ノードi)の層に流入する。分割された各層内の湯水は、完全に混合すると仮定する。次式(数4)は、本実施形態の計算モデルにおいて、各層ごとの熱量の収支(出入り)と温度変化との関係を表す熱エネルギー収支式である。温度分布計算手段110は、各層ごとに、次式(数4)を一定時間間隔ごとに逐次解いて、各層の温度を算出することができる。
(数4)
Cρ(∂T/∂t)+Cρu(∂T/∂z)+GCΔTT,J(1/AΔz)
=λ(∂/∂z
ここで、
:貯湯タンク1の水平断面面積[m]、C:水の比熱[J/(kg・K)]、G:噴流の質量流量[kg/s] 、t:時間[s]、T:貯湯タンク1内の湯水の温度[℃]、u:鉛直方向の流速[m/s]、z:鉛直方向軸[m]、ΔTT,J:噴流と貯湯タンク1内の湯水との温度差[℃]、Δz:タンク分割層高さ[m]、λ:水の熱伝導率[W/(m・K)]
である。噴流の質量流量Gは、噴流の体積流量Qに噴流の密度を乗ずることにより算出することができる。
前述したように、浴槽追焚き運転時には、貯湯タンク1の上部から高温水が流出して風呂追焚熱交換器15に送られ、風呂追焚熱交換器15から流出した中温水が中温水戻り口16のノズル41から貯湯タンク1内に流入する。このため、中温水戻り口16のノズル41より上側の領域の湯水は、全体として徐々に上方向に移動する。流速uは、そのような上方向への移動速度であり、流量センサ11dにより検出される風呂追焚熱交換器15の1次側の循環流量と貯湯タンク1の水平断面面積Aとに基づいて算出することができる。また、前記(数4)式では、貯湯タンク1の外表面からの放熱項を省略しているが、必要に応じて追加してもよい。
前記(数4)式は、温度拡散としては、熱伝導(右辺の項)しか考慮していない。このような前記(数4)式をそのまま解くと、噴流流入部(ノズル41)が存在する層(図6中のノードiの層)の温度のみが過剰に変化する計算結果が得られるが、そのような計算結果は実際の温度分布とは異なる。実際には、浮力噴流が流入すると、噴流流入部の層だけでなく、正の浮力の場合には噴流流入部より上側の層にも温度拡散が生じ、負の浮力の場合には噴流流入部より下側の層にも温度拡散が生ずる。これは、噴流の軌道42が浮力の影響によって曲がることにより、正の浮力の場合には噴流流入部より上側の層にも噴流が混合し、負の浮力の場合には噴流流入部より下側の層にも噴流が混合するためである。
本実施形態では、上述した点を補正するため、以下に説明する均等分配モデルを適用する。図7は、本発明の実施の形態1における均等分配モデルの概念を説明するための図である。均等分配モデルでは、図7に示すように、正または負の浮力が作用する浮力噴流が流入した場合に、噴流に浮力が作用する領域を均等分配区間とし、この均等分配区間内の各層に、噴流と同じ温度(または噴流の温度に応じた温度)の水が同量ずつ分配されると想定する。
ここで、「噴流に浮力が作用する領域」とは、正の浮力が作用する噴流の場合、噴流流入部(ノズル41)の高さから上側であって、貯湯タンク1内の湯水の密度が噴流の密度以上となる領域(すなわち、貯湯タンク1内の湯水の温度が噴流の温度以下となる領域)である。図7(a)に示す例は、貯湯タンク1内の最上部まで均等分配区間となっているが、噴流の温度より高い温度の湯水が貯湯タンク1内に存在する場合には、貯湯タンク1内の湯水の温度が噴流の温度以下である高さまでの範囲が均等分配区間となる。
また、負の浮力が作用する噴流の場合には、「噴流に浮力が作用する領域」とは、噴流流入部の高さから下側であって、貯湯タンク1内の湯水の密度が噴流の密度以下となる領域(すなわち、貯湯タンク1内の湯水の温度が噴流の温度以上となる領域)である。図7(b)に示す例は、貯湯タンク1内の最下部まで均等分配区間となっているが、噴流の温度より低い温度の湯水が貯湯タンク1内に存在する場合には、貯湯タンク1内の湯水の温度が噴流の温度以上である高さまでの範囲が均等分配区間となる。
また、浮力逆方向に渦60が形成される場合(Zb>0の場合)には、噴流は、噴流流入部より浮力逆方向側にも混合するので、噴流流入部より浮力逆方向側にも温度拡散が発生する。このため、この場合には、均等分配区間を浮力逆方向側にも拡げた方が、より正確な温度分布を計算することができる。この場合、浮力逆方向側に温度拡散が生ずる範囲は渦高さZbに等しいことが本発明者の研究により明らかとなっている。
そこで、本実施形態では、温度分布計算手段110は、指標Lmに基づいて、浮力逆方向側への噴流の混合(温度拡散)が発生するか否かを判定し、浮力逆方向側への噴流の混合(温度拡散)が発生すると判定された場合には、均等分配区間を浮力逆方向側に拡大する。すなわち、指標Lmが所定の閾値(図5の横軸切片にタンク幅Wtを乗じた値)以下の場合には、Zb=0であるので、渦60が形成されないため、浮力逆方向側への噴流の混合(温度拡散)は発生しないと判定する。この場合には、均等分配区間を拡大する必要はないので、前述した「噴流に浮力が作用する領域」のみを均等分配区間とする。これに対し、指標Lmが上記閾値を超える場合には、Zb>0であるので、渦60が形成され、浮力逆方向側への噴流の混合(温度拡散)が発生すると判定する。この場合には、図7に示すように、噴流流入部より浮力逆方向側に渦高さZbの分だけ均等分配区間を拡大する。ただし、この均等分配区間の拡大は、貯湯タンク1の下端(正の浮力の場合)または上端(負の浮力の場合)を限度とする。
本実施形態では、上記のようにして設定された均等分配区間内の各層に、噴流と同じ温度の水が噴流の流入量の均等割りで分配されると想定して、温度分布を計算する。すなわち、温度分布計算手段110は、各層の熱エネルギー収支式を計算する際、噴流流量Gを均等分配区間に属する層数で除した値を均等分配流量とし、均等分配区間内の各層に噴流と同じ温度の水が上記均等分配流量で流入するものとして、前記(数4)式を修正して計算を行う。具体的には、次のようにして計算を行う。
前記(数4)式において、左辺第3項は、噴流により流入する熱量を表している。均等分配モデルを適用しないで前記(数4)式を計算する場合には、噴流流入部が存在する層(図6中のノードiの層)にのみ、この左辺第3項が算入される。これに対し、本実施形態のように均等分配モデルを適用して前記(数4)式を修正して計算する場合には、この左辺第3項の噴流流量Gを上記均等分配流量に置換することにより、1層当たりに均等分配される噴流の熱量(以下、「均等分配熱量」と称する)を算出し、この均等分配熱量を均等分配区間内の各層について算入して計算を行う。
図8は、本発明の実施の形態1の温度分布計算方法を適用した実験結果を示す図である。図8中の左側の図は、均等分配モデルのZbを考慮しない場合(渦高さZbの範囲を均等分配区間に含めない場合)の温度分布計算結果(線)と、温度実測データ(マーク)との比較結果を表す。図8中の右側の図は、均等分配モデルのZbを考慮した場合(渦高さZbの範囲を均等分配区間に含めた場合)の温度分布計算結果(線)と、温度実測データ(マーク)との比較結果を表す。この実験では、全高60cmの試験用タンクを用い、高さ30cmの位置から噴流を流入させた。実験条件は、タンク内の水温15℃、噴流温度65℃、噴流流速0.60m/s、Lm=0.47、Zb>0であり、浮力噴流が対向壁面に衝突する流速条件である。図中のφは、タンク換水率(=タンク積分流入流量÷タンク容積)を表しており、時間の経過とともにφが大きくなる。
以上説明したように、本実施形態によれば、貯湯タンク1内に浮力噴流が流入する場合に、噴流に浮力が作用する領域を均等分配区間とし、この均等分配区間内の各層に噴流が均等に分配されて混合すると想定して貯湯タンク1内の鉛直方向の温度分布を計算することにより、簡便な計算で高精度に温度分布を推定することができる。
また、図8の実験結果にも示されるように、Lm(またはLm)に基づいてZb>0(またはZb>0)であるか否かを判定し、Zb>0(またはZb>0)である場合には渦高さZbの範囲を均等分配区間に含めるようにすることにより、浮力噴流が対向壁面に衝突し、浮力逆方向に渦60が形成されて浮力逆方向への温度拡散が生ずる場合においても、温度分布を正確に推定することができる。このようなZbの考慮の有無の違いは、図8中の破線丸部に明らかに表れている。浮力噴流の流速が速く、噴流が対向壁面で跳ね返る条件であっても、Zbを考慮した上記の計算方法を採用することにより、貯湯タンク1内の温度分布を実測に近く、精度良く予測することが可能となる。
本実施形態では、均等分配区間内の各層に噴流と同じ温度の液体が流入量の均等割りで同量ずつ分配されると想定して温度分布を計算する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明では、上記均等分配区間と同様の区間を分配区間とし、この分配区間内の各層に、噴流と同じ温度または噴流の温度に応じた温度の液体が、所定の分配比で分配されると想定して温度分布を計算してもよい。この場合、所定の分配比とは、例えば、分配区間の端部に近づくにつれて徐々に分配量を減少させるような分配比や、噴流流入部やこれに近い層への分配量が他の層への分配量より多くなるような分配比などが挙げられる。このようにして所定の分配比を設定し、分配区間内で流入量分布を設けることで計算結果を実測値により近づけることができる場合もあり、計算条件に応じて所定の分配比を変更することも可能である。
図9は、均等分配モデルに、以下に説明する均等混合モデルを付加した温度分布計算方法を適用した実験結果を示す図である。図9中の左側の図は、均等混合モデルを付加しない場合の温度分布計算結果(線)と温度実測データ(マーク)との比較結果を表す。図9中の右側の図は、均等混合モデルを付加した場合の温度分布計算結果(線)と温度実測データ(マーク)との比較結果を示す。この実験において、タンク内には、初期状態(φ=0.0)で、図中の初期分布の線で示す温度勾配が形成されている。この温度勾配部の上端(40℃)に、40℃の噴流を流速0.60m/sで流入させた。噴流流入部では噴流とタンク水とが等温の初期状態であり、このとき噴流は浮力の影響を受けず直進して対向壁面に衝突する。噴流流入部より上部は、実測では40℃の噴流を流入させているにも関わらず温度が徐々に低下している。これは、温度が40℃より低い噴流流入部の下部と上部とが上下方向に混合しているためである。均等混合モデルを付加しない均等分配モデルでは、40℃の噴流が均等分配する計算のため、40℃の噴流流入部上部が温度低下する計算結果にはなりえない。これに対し、均等混合モデルを均等分配モデルに付加することにより、上記のような実測との差異を解消し、正確な温度分布を推定することが可能となる。
均等混合モデルでは、均等分配区間の全体を混合したと仮定した場合の温度(噴流の熱量が均等分配区間に流入したときの均等分配区間全体の混合平均温度)の液体が均等分配区間内の各層に再分配されると想定し、温度分布を計算する。このとき、各層に再分配される流量は、噴流の均等分配流量(均等割り)と同じ流量か、もしくは均等分配流量に比例した量(倍数)とする。均等分配流量に比例した量とする場合、その比例係数は、実測と比較して傾向が合う比例係数を予め設定することにより、計算精度を向上させることができる。
以上説明した均等混合モデルを均等分配モデルに付加した計算を行うことにより、図9中の右側の図に示すように、噴流流入部上部の温度が40℃から低下し、実測に近い計算結果を得ることができる。なお、図8の実験条件の場合には、均等混合モデルの付加の有無にかかわらず、計算結果は同じである(同一温度部分が混合すると仮定されるため)。このように、均等混合モデルは、特に温度勾配部に噴流が流入する場合に有効な計算方法であり、均等分配モデルに常時付加することで、浮力噴流のあらゆる条件での温度分布計算の精度を更に向上することが可能となる。
なお、上記の説明では、均等混合モデルとして、混合平均温度の液体が均等分配区間の各層に均等に再分配される計算モデルの例を説明したが、本発明では、均等分配区間と同様の区間を分配区間とし、この分配区間内の各層に、混合平均温度の液体が、前述したような所定の分配比で再分配されると想定して温度分布を計算してもよい。すなわち、均等混合モデルを付加する場合においても、分配区間内で流入量分布を設けてもよい。
また、均等分配区間において、前記(数4)式の右辺の水の熱伝導率λを均等分配区間において大きくすることにより、均等分配区間内の温度拡散速度を擬似的に増速することでも、均等混合モデルを付加した場合と同様の計算結果を得ることができる。このときの熱伝導率λは、実測との比較により適切な値を決定することで計算精度を高めることができる。
なお、図1および図2に示す貯湯式給湯機において、追焚き運転時に風呂追焚熱交換器15からの中温水が貯湯タンク1の中間部に浮力噴流として流入するが、この際に貯湯タンク1内が大きく混合されると、貯湯タンク1の蓄熱量が減少する可能性がある。このため、中温水戻り口16から貯湯タンク1内に浮力噴流が流入する際には、浮力逆方向への混合を抑制することが望ましく、そのためには、渦60が形成されないようにすること(すなわちZb=0となること)が理想である。この理想を実現するため、次の何れかの構成を採用するようにしてもよい。
(構成1)前記(数1)〜(数3)式により算出される指標Lmが、所定の閾値(図5の横軸切片にタンク幅Wtを乗じた値)以下であれば、Zb=0となる。噴流の流速uが小さいほど、指標Lmは小さくなる。また、中温水戻り口16のノズル41の断面積が大きいほど、噴流の流速uは小さくなる。従って、中温水戻り口16のノズル41の断面積が大きいほど、指標Lmは小さくなる。そこで、実際の追焚き運転の条件範囲において生じ得る噴流流量Qおよび噴流温度の全範囲において指標Lmが上記閾値以下となるように、中温水戻り口16のノズル41の断面積を予め設計しておくことにより、常にZb=0とすることができる。
(構成2)噴流流量Qが小さいほど、指標Lmは小さくなる。そこで、制御部10によりポンプ14bの回転数を制御し、流量センサ11bで検出される噴流流量Qが、指標Lmが上記閾値に等しくなる値以下となるように制御することにより、Zb=0とすることができる。
(構成3)図示を省略するが、貯湯タンク1に複数の中温水戻り口(噴流流入口)を異なる高さ位置に設け、風呂追焚熱交換器15から戻る中温水をそれら複数の中温水戻り口のうちの何れかに選択的に流入させる流路切替手段を設ける。この構成によれば、中温水戻り口を異なる高さに切り替えることにより、噴流流入部のタンク水の温度を選択することができる。噴流に作用する浮力が大きいほど、指標Lmは小さくなる。このため、噴流流入部のタンク水と噴流との温度差が大きいほど、指標Lmは小さくなる。そこで、制御部10により上記流路切替手段を制御し、上記指標Lmが上記閾値以下となるように、タンク水と噴流との温度差が大きい中温水戻り口を選択することにより、Zb=0とすることができる。
上記の構成1〜3の何れかを採用することにより、追焚き運転時に風呂追焚熱交換器15からの中温水が貯湯タンク1の中間部に浮力噴流として流入する際の混合を抑制することができ、貯湯タンク1の蓄熱量の減少を抑制することができる。また、貯湯タンク1内の下部の水温の上昇を抑制することができるので、ヒートポンプ沸き上げ時にヒートポンプに入水する水温の上昇を防ぐことによる高効率ヒートポンプ運転を実現することが可能となり、省エネルギーが図れる。
1 貯湯タンク、2a 一般給湯側混合弁、2b 風呂給湯側混合弁、3 減圧弁、4 電磁弁、5 浴槽、6 混合栓、7 リモコン、10 制御部、11a,11b,11c,11d 流量センサ、12a〜12f,13a,13b 温度センサ、14a,14b,14c ポンプ、15 風呂追焚熱交換器、16 中温水戻り口、41 ノズル、42 噴流の軌道、50 対向壁面、60 渦、A 貯湯ユニット、B 熱源ユニット

Claims (3)

  1. 湯水を貯留する貯湯タンクと、
    前記貯湯タンク内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、
    を備え、
    前記噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される前記噴流の軌道に関する指標Lmが、前記浮力が作用する方向と逆の方向への前記噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、前記噴流の流入口の断面積が設計されている貯湯式給湯機。
  2. 湯水を貯留する貯湯タンクと、
    前記貯湯タンク内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、
    前記噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される前記噴流の軌道に関する指標Lmが、前記浮力が作用する方向と逆の方向への前記噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、前記噴流の流量を制御する制御手段と、
    を備える貯湯式給湯機。
  3. 湯水を貯留する貯湯タンクと、
    前記貯湯タンク内の湯水中に、正または負の浮力が作用する噴流を流入させる噴流流入手段と、
    前記噴流の流入口を鉛直方向の異なる位置に切り替え可能な切替手段と、
    前記噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて算出される前記噴流の軌道に関する指標Lmが、前記浮力が作用する方向と逆の方向への前記噴流の混合が発生する所定の閾値以下となるように、前記切替手段により前記流入口を切り替える制御手段と、
    を備える貯湯式給湯機。
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