JP3868924B2 - 貯湯式給湯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプユニットにより加熱した給湯用の湯を貯える貯湯槽を備える貯湯式給湯装置に関するものであり、特に、貯えられた湯を利用して給湯の他に暖房器を備えたときの給湯配管および給湯用の湯を循環する循環回路の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の貯湯式給湯装置として、例えば、図5に示すように、給湯用の湯を内部に貯える貯湯槽100と、この貯湯槽100内の最下部の水を貯湯槽100内の最上部に送る第1循環回路110と、この第1循環回路110を流れる水を加熱して高温の湯とするヒートポンプユニット120と、このヒートポンプユニット120により加熱され貯湯槽100内の最上部に貯えられた高温の湯を循環して貯湯槽100内に戻す第2循環回路130と、この第2循環回路130を流れる高温の湯と被加熱物とを熱交換して第2循環回路130を流れる高温の湯を中温の湯とする熱交換手段140と、貯湯槽100内の湯が貯湯槽100外で消費されるときに、この貯湯槽100内の湯を貯湯槽100外に送る給湯配管150と、貯湯槽100内の湯が給湯配管150を通って貯湯槽100外で消費されるときに、貯湯槽100内の最下部に水を供給する給水配管160とを備える貯湯式給湯装置が開示されている。
【0003】
そして、上記給湯配管150には給湯水栓170から出湯する出湯温度を調節する混合弁180が設けられ、この混合弁180により貯湯槽100内の湯と給水配管160からの水とを混合させて給湯水栓170から必要とする出湯温度の給湯水を給湯するようにしている。さらに、浴槽内の浴水を熱交換手段140に循環する第3循環回路190が設けられ、貯湯槽100内の湯を熱源とする熱交換手段140によって浴水を追い焚きして浴槽内の浴水を保温するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−122351号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記貯湯式給湯装置によれば、貯湯槽100内の湯が給湯配管150を通って貯湯槽100外で消費されるとき、すなわち、貯湯槽100内の湯を給湯するときは、貯湯槽100内の上方の湯が流出して貯湯槽100内の最下部に給水配管160から水が供給するようになっているが、貯湯槽100内の高温の湯を貯湯槽100外に循環させて、浴水の追い焚きなどの熱源として利用し、熱交換の終了した中温の湯を貯湯槽100内に戻す構成とした場合に、例えば、熱交換を行っているときに給湯が行なわれると、貯湯槽100内の最下部には中温の湯と水とが供給され混合される。
【0006】
従って、ヒートポンプユニット120を作動させて高温の湯を貯湯しようとすると、水よりも湯温の高い中温の湯をヒートポンプユニット120で加熱することになる。因みに、ヒートポンプ式の貯湯式給湯装置においては、凝縮器に導かれる給湯用の水の湯温が低いほど運転効率が向上するため、中温の湯が多く占められて凝縮器に導かれる湯温が高いとヒートポンプユニット120の運転効率が低下する問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであり、貯えられた高温の湯を利用して給湯の他に暖房器等の熱源として利用する貯湯式給湯装置において、ヒートポンプユニットの運転効率の低下を防止することが可能な貯湯式給湯装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項11に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、給湯用の湯を内部に貯える貯湯槽(1)と、この貯湯槽(1)内の最下部の水を、貯湯槽(1)内の最上部に送る第1循環回路(20)と、この第1循環回路(20)に設けられ、第1循環回路(20)を流れる水を加熱して高温の湯とするヒートポンプユニット(2)と、このヒートポンプユニット(2)により加熱され、貯湯槽(1)内の最上部に貯えられた高温の湯を、循環して貯湯槽(1)内に戻す第2循環回路(43)と、この第2循環回路(43)に設けられ、貯湯槽(1)内の高温の湯を流通させ被加熱物と熱交換して中温の湯に変換させる熱交換手段(81)と、貯湯槽(1)内の湯が貯湯槽(1)外で消費されるときに、貯湯槽(1)内の湯を貯湯槽(1)外に送る給湯配管(13、14、17a、17b)と、貯湯槽(1)内の湯が給湯配管(13、14、17a、17b)を通って貯湯槽(1)外で消費されるときに、貯湯槽(1)内の最下部に水を供給する給水配管(12)とを備える貯湯式給湯装置であって、
第2循環回路(43)は、貯湯槽(1)内の高温の湯が熱交換手段(81)に流通されて貯湯槽(1)内に戻される中温の湯を、貯湯槽(1)内の高温の湯と水との間に設けられた下流側端部(42a、42b、42c)に戻すように構成するとともに、給湯配管(13、14、17a、17b)は、貯湯槽(1)内の湯が給湯配管(13、14、17a、17b)を通って貯湯槽(1)外で消費されるときに、下流側端部(42a、42b、42c)よりも上方の部位に設けられた上流側端部(14a、14b、14c)から貯湯槽(1)内の湯を出湯させるように構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、熱交換手段(81)により熱交換されて第2循環回路(43)から貯湯槽(1)内に戻る中温の湯は、貯湯槽(1)内の高温の湯と水との間に設けられた下流側端部(42a、42b、42c)に戻すように構成することにより、貯湯槽(1)内において、湯温の異なる水の比重差により、中温の湯と水との混合がし難い。これにより、ヒートポンプユニット(2)は、貯湯槽(1)の最下部にある低温の水から優先的に加熱するため、ヒートポンプユニット(2)の運転効率の低下を防止することが可能である。
【0010】
また、給湯配管(13、14、17a、17b)を上流側端部(14a、14b、14c)からも貯湯槽(1)内の湯を出湯させるように構成したことにより、上流側端部(14a、14b、14c)から高温の湯よりも低い中温の湯を積極的に出湯させることができる。
【0011】
また、この上流側端部(14a、14b、14c)を下流側端部(42a、42b、42c)より上方に設けたことにより、第2循環回路(43)から戻される中温の湯を下流側端部(42a、42b、42c)と上流側端部(14a、14b、14c)との間に、中温の湯の貯める層が形成できるため、貯湯槽(1)外に消費されるときに中温の湯の下限域が上方に移動しても中温の湯の出湯を多くすることができる。従って、高温の湯の出湯を抑制して中温の湯を積極的に出湯することができるため貯湯槽(1)の容量を小型化とすることが可能である。
【0012】
さらに、ヒートポンプユニット(2)の電源を、例えば、料金設定の安い深夜電力を用いて高温の湯を貯える貯湯式給湯装置においては、高温の湯の出湯を抑制することができるため、深夜時間帯以外の昼間時間帯において、追加沸き上げ運転の時間の短縮化が図れる。これにより、維持費が安くできる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、第2循環回路(43)は、下流側端部(42a、42b、42c)を貯湯槽(1)の高さ方向に複数個に分けて接続しており、貯湯槽(1)内において下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温に基づいて、下流側端部(42a、42b、42c)の複数個の一つを選択して中温の湯を貯湯槽(1)内に戻すように構成するとともに、
給湯配管(13、14、17a、17b)は、上流側端部(14a、14b、14c)を貯湯槽(1)の高さ方向に複数個に分けて接続しており、貯湯槽(1)内において上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温に基づいて、上流側端部(14a、14b、14c)の複数個の一つを選択して貯湯槽(1)内の湯を出湯するように構成したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、下流側端部(42a、42b、42c)を複数個設けて、その下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温に基づいて、その下流側端部(42a、42b、42c)の一つを選択して中温の湯を貯湯槽(1)内に戻すように構成するにより、例えば、第2循環回路(43)から貯湯槽(1)内に戻る中温の湯に湯温の変動があっても、その
中温の湯に見合う湯温の下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位に戻すことで、貯湯槽(1)内の湯の温度勾配を逆転して不要な混合が発生することを防止することが可能である。
【0015】
また、同じように、上流側端部(14a、14b、14c)を複数個設けて、その上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温に基づいて、その上流側端部(14a、14b、14c)の一つを選択して中温の湯を貯湯槽(1)内の湯を出湯するように構成したことにより、確実に中温の湯を出湯することができる。これにより、高温の湯よりも積極的に中温の湯の出湯を多くすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、第2循環回路(43)は、下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温を、所定温度、または熱交換手段(81)を流通した中温の湯の戻り温度のいずれか一方を判定基準として比較し、下流側端部(42a、42b、42c)の複数個の一つを選択して中温の湯を貯湯槽(1)内に戻すことを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、具体的には、所定温度、または戻り温度のいずれか一方と下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温とを比較することで、貯湯槽(1)内の湯の温度勾配を逆転して不要な混合が発生することを防止することが可能である。
【0018】
請求項4に記載の発明では、貯湯槽(1)には、この貯湯槽(1)内の貯湯量および貯湯温度を検出する貯湯温度検出手段(36b〜36g)が貯湯槽(1)の高さ方向に複数個設けられ、下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温は、貯湯温度検出手段(36b〜36g)の複数個の一つから検出することを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、この種の貯湯槽(1)には、貯湯量および貯湯温度を検出するための貯湯温度検出手段(36b〜36g)が貯湯槽(1)の高さ方向に設けられているので、これらを活用することにより容易に下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温を検出できる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、下流側端部(42a、42b、42c)には、この下流側端部(42a、42b、42c)近傍の貯湯槽(1)内の湯温を検出する湯温検出手段(36j、36k)が設けられ、下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温は、湯温検出手段(36j、36k)により検出することを特徴としている。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、下流側端部(42a、42b、42c)近傍に湯温検出手段(36j、36k)が設けられることにより、上述した請求項4よりも精度の良い湯温を検出することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明では、給湯配管(13、14、17a、17b)は、上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温を、所定温度、または給湯設定温度のいずれか一方を判定基準として比較し、上流側端部(14a、14b、14c)の複数個の一つを選択して貯湯槽(1)内の湯を出湯することを特徴としている。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、具体的には、所定温度、または給湯設定温度のいずれか一方と上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温とを比較することで、例えば、給湯設定温度では概して45℃程度以下であるため高温の湯よりも積極的に中温の湯の出湯を多くすることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、貯湯槽(1)には、この貯湯槽(1)内の貯湯量および貯湯温度を検出する貯湯温度検出手段(36b〜36g)が貯湯槽(1)の高さ方向に複数個設けられ、上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温は、貯湯温度検出手段(36b〜36g)の複数個の一つから検出することを特徴としている。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、上述した請求項4と同じように、貯湯量および貯湯温度を検出するための貯湯温度検出手段(36b〜36g)を活用することにより容易に上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温を検出できる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、上流側端部(14a、14b、14c)には、この上流側端部(14a、14b、14c)近傍の貯湯槽(1)内の湯温を検出する湯温検出手段(36h、36i)が設けられ、上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温は、湯温検出手段(36h、36i)により検出することを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、上流側端部(14a、14b、14c)近傍に湯温検出手段(36j、36k)が設けられることにより、上述した請求項7よりも精度の良い湯温を検出することができる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、給湯配管(13、14、17a、17b)には、貯湯槽(1)外で消費される必要温度の湯を調節する第1、第2混合弁(16a、16b)と必要温度以上の湯を調節する第3混合弁(16c)とが設けられ、この第3混合弁(16c)は、上流側端部(14a、14b、14c)から出湯される湯のうち、貯湯槽(1)内の最上部に貯えられた高温の湯と、上流側端部(14a、14b、14c)から出湯される湯とを混合させて貯湯槽(1)外で消費される湯の必要温度以上の湯に調節して第1、第2混合弁(16a、16b)に供給することを特徴としている。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、具体的には、第1、第2混合弁(16a、16b)の上流に必要温度以上の湯を調節する第3混合弁(16c)を設けることにより、貯湯槽(1)内の最上部に貯えられた高温の湯の出湯を抑制させ、かつ上流側端部(14a、14b、14c)から中温の湯を積極的に出湯させることができる。
【0030】
さらに、第2循環回路(43)から貯湯槽(1)内に戻された中温の湯は、暫くは温度勾配があるために上流側端部(14a、14b、14c)から導出される湯温のバラツキが大きい。そこで、必要温度以上の高めの設定温度による混合を第3混合弁(16c)で調節することにより、第1、第2混合弁(16a、16b)における出湯温度の安定が図れる。
【0031】
請求項10に記載の発明では、被加熱物は、床暖房ユニット(80)、暖房器、または乾燥器の熱媒体であり、熱交換手段(81)は、第2循環回路(43)を流れる高温の湯と熱媒体とを熱交換する熱交換器であることを特徴としている。請求項10に記載の発明によれば、給湯の他に床暖房ユニット(80)、暖房器、または乾燥器等の用途に高温の湯を利用する貯湯式給湯装置であっても、熱交換器81から発生する中温の湯を積極的に給湯に利用できる。
【0032】
請求項11に記載の発明では、ヒートポンプユニット(2)は、冷媒が二酸化炭素であることを特徴としている。請求項11に記載の発明によれば、ヒートポンプユニット(2)の冷媒に二酸化炭素を採用することにより、超臨界域を用いることで第1循環回路(20)を流れる水を加熱する冷媒の温度(圧縮機からの吐出温度)を高くすることができる。従って、高温の湯を効率良く沸き上げることができる。
【0033】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を適用した第1実施形態の貯湯式給湯装置を図1および図2に基づいて説明する。図1は、貯湯式給湯装置の概略構成を示す模式図である。1は耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)の貯湯槽であり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。貯湯槽1は縦長形状であり、その底面には導入口12aが設けられ、この導入口12aには貯湯槽1内の最下部に水道水を導入する給水配管である導入管12が接続されている。
【0035】
導入管12には温度検出手段である給水サーミスタ31が設けられており、導入管12内の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。また、導入管12には導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節する減圧弁32が設けられている。そして、導入管12の給水サーミスタ31および減圧弁32が設けられた位置より下流側と後述する混合弁16a、16bとはバイパス経路である配管12b、12cにより繋がれている。
【0036】
一方、貯湯槽1の最上部には導出口13aが設けられ、導出口13aには貯湯槽1内の湯を導出するための給湯経路である導出管13が接続されている。また、貯湯槽1の側面部には給湯経路の上流側端部である複数(本例では3個)の導出口14a、14b、14cが設けられ、これらの導出口14a、14b、14cには貯湯槽1内の湯を導出するための給湯経路である導出管14が接続されている。
【0037】
また、導出管14には複数(本例では二つ)の三方弁15b、15cが設けられており、三方弁15bの一方の入口側が下方に位置する導出口14aに連通され、もう一方の入口側が導出口14bに連通され、出口側がもう一つの三方弁15cの入口側と連通するように配設されている。三方弁15c側のもう一方の入口側が導出口14cに連通され、出口側が後述する第3混合弁である中温水混合弁16cの入口側と連通するように配設されている。この三方弁15b、15cは中温水混合弁16cの入口側に供給する湯温を選択するための切換弁であって複数の導出口14a、14b、14cのいずれか一つを選択するように後述する制御装置200により制御される。なお、これらの導出口14a、14b、14cの配設位置については詳しくは後述する。
【0038】
次に、第3混合弁である中温水混合弁16cは、後述する第1、第2混合弁16a、16bの入口側に供給する湯温を調節する温度調節弁であって、導出管13と導出管14との合流点に配置されており、開口面積比を調節することにより、導出管13からの湯と導出管14からの湯との混合比を調節できるようになっている。因みに、この中温水混合弁16cでは、設定温度が下流に設けた後述する第1、第2混合弁16a、16bの必要温度である給湯設定温度よりも高めに設定されている。
【0039】
具体的には、第1、第2混合弁16a、16bの給湯設定温度が、例えば43℃を要求されるときは、この温度よりも3〜5℃程度以上となるように必要温度以上の高めに設定している。これにより、概して、高温の湯が導出される導出口13aよりも中温の湯が導出される導出口14a、14b、14cから積極的に導出させるようにしている。
【0040】
そして、この中温水混合弁16cの出口側には、給湯するときの出湯温度を給湯設定温度に温度調節する第1、第2混合弁16a、16bが配設された給湯経路である配管17a、17bが接続されている。配管17aは、台所、洗面などの図示しない給湯水栓に通ずる給湯配管であり、配管17bは浴室などの図示しない給湯水栓、シャワー、浴槽水栓などに通ずる給湯配管である。
【0041】
また、配管17a、17bにはそれぞれ温度検出手段である給湯サーミスタ33a、33bおよび34と給湯検出手段である流量カウンタ35a、35bとが設けられており、給湯サーミスタ33a、33bは配管17a、17b内の温度情報を、流量カウンタ35a、35bは配管17a、17b内の流量情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0042】
なお、給湯サーミスタ34は、中温水混合弁16cの出口側、つまり、第1、第2混合弁16a、16bのそれぞれ一方の入口側に供給する湯温の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。また、導出管13、14、配管17a、17bからなる構成が、本実施形態における給湯配管である。
【0043】
第1、第2混合弁16a、16bはともに、配管17a、17bの下流端に設けられた図示しない給湯水栓が開弁したときに、必要温度である給湯設定温度に温度調節するための温度調節弁であって、開口面積比を調節することにより、中温水混合弁16cからの混合された湯と配管12b、12cからの水道水との混合比を調節できるようになっている。
【0044】
なお、第1、第2混合弁16a、16bおよび中温水混合弁16cはともにサーボモータ等の駆動源により弁体を駆動して各経路の開度を調節する電動弁であり、後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0045】
次に、貯湯槽1の下部には、貯湯槽1内の最下部の水を吸入するための吸入口18が設けられ、貯湯槽1の上方には、貯湯槽1内の最上部に湯を吐出する吐出口19が設けられている。吸入口18と吐出口19とは循環回路20で接続されており、循環回路20の一部はヒートポンプユニット2内に配置されている。
【0046】
このヒートポンプユニット2は、図示しない圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器などの冷媒機能部品からなる超臨界ヒートポンプである。なお、この超臨界ヒートポンプとは、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となるヒートポンプサイクルを言い、例えば、二酸化炭素、エチレン、エタン、酸化窒素などを冷媒とするヒートポンプサイクルである。
【0047】
ここで、冷媒機能部品のうち、凝縮器(図示せず)は、圧縮機(図示せず)から吐出される冷媒と吸入口18から導いた水とを熱交換する水熱交換器である。また、圧縮機(図示せず)は、冷媒を吸入圧縮する圧縮機構と、この圧縮機構を駆動する電動モータとが一体となった電動圧縮機であって、動力源として交流電力を用い、おもに、料金設定の最も安い深夜時間帯の深夜電力を用いて、貯湯槽1内の湯を沸き上げる蓄熱運転を行っているが、昼間時間帯においても貯湯槽1内最上部の湯温が低下してくると沸き上げ運転を行なうよう制御される。
【0048】
因みに、超臨界ヒートポンプによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温(例えば、85℃〜90℃程度)の湯を貯湯槽1内に貯えることができる。また、ヒートポンプユニット2は、本実施形態における加熱手段であり、循環回路20は本実施形態における第1循環回路である。なお、ヒートポンプユニット2は後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0049】
また、貯湯槽1の外壁面には、貯湯量および貯湯温度を検出するための貯湯温度検出手段である複数(本例では7つ)の水位サーミスタ36a、36b、36c、36d、36e、36f、36gが縦方向(貯湯槽1の高さ方向)にほぼ等間隔に配置され、貯湯槽1内に満たされた水の各水位レベルでの温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0050】
従って、制御装置200は、水位サーミスタ36a〜36gからの温度情報に基づいて、貯湯槽1内上方の沸き上げられた湯と貯湯槽1内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出できるとともに、これにより貯湯量が検出できるようになっている。
【0051】
なお、これらのうち水位サーミスタ36aは、貯湯槽1の最上部外壁面に設けられており、導出口13aや後述する吸入口41に吸入される高温の湯の温度である貯湯槽1内最上部の湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。また、水位サーミスタ36cは前述の導出口14cとほぼ同一の高さ、水位サーミスタ36dは導出口14bより少々上方の高さに配置されている。これにより、それぞれの導出口14b、14cから導出される湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。
【0052】
さらに、水位サーミスタ36dは後述する吐出口42cとほぼ同一の高さ、水位サーミスタ36eは後述する吐出口42bより少々上方の高さに配置されている。これにより、それぞれの吐出口42b、42c近傍の湯温を検出する湯温サーミスタの機能も有している。
【0053】
次に、貯湯槽1の上方には、貯湯槽1内最上部の高温の湯を吸入するための吸入口41が設けられ、貯湯槽1の中ほどから下方にかけて、貯湯槽1内に戻り湯を吐出する複数(本例では三つ)の下流側端部である吐出口42a、42b、42cが設けられている。この吸入口41と吐出口42a、42b、42cとは第2循環回路である循環回路43で接続されており、循環回路43の一部は熱交換手段である熱交換器81内に配置されている。この熱交換器81は対向流型の熱交換器であり、循環回路43を流れる高温の湯と後述する循環回路82を流れる被加熱物である熱媒体(本例では水)とを熱交換できるようになっている。
【0054】
そして、循環回路43の熱交換器81が設けられた部位より下流側には、循環回路43内に湯を循環するためのウォータポンプ47と、戻り温度を検出する温度検出手段である水温サーミスタ48が設けられている。この水温サーミスタ48は循環回路43内の熱交換器81による熱交換後の中温の湯の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0055】
また、循環回路43の水温サーミスタ48が設けられた部位より下流側には、複数(本例では二つ)の三方弁49a、49bが配設されており、三方弁49aの一方の出口側が下方に位置する吐出口42aに連通され、もう一方の出口側がもう一つの三方弁49bの入口側に連通するように配設されている。そして、三方弁49bは、一方の出口側が吐出口42bに連通され、もう一方の出口側が吐出口42cに連通するように配設されている。
【0056】
この三方弁49a、49bは、熱交換器81による熱交換後の中温の湯を複数の吐出口42a、42b、42cのうち一つを選択して貯湯槽1内に戻すための切換弁であって後述する制御装置200により制御される。なお、上方の吐出口42b、42cは、図1に示すように、上述した水位サーミスタ36d、36eの近傍にそれぞれ設けられている。
【0057】
ここで、貯湯槽1に設けられた循環回路43の戻り位置となる下流側端部である複数の吐出口42a、42b、42cと、給湯配管13、14、17a、17bの出湯位置となる上流側端部である導出口14a、14b、14cとの位置関係について説明する。本実施形態では、図1に示すように、出湯位置である導出口14a、14b、14cを戻り位置である吐出口42a、42b、42cよりも上方に位置するように設けられている。
【0058】
これは、熱交換器81により熱交換された中温の湯をできるだけ高温の湯と水との間に戻すとともに、貯湯槽1内の湯を給湯配管13、14、17a、17bを通って貯湯槽1内に消費するときにできるだけ多くの中温の湯を導出させるように導出口14a、14b、14cを吐出口42a、42b、42cよりも上方に設けたものである。
【0059】
従って、熱交換器81により中温の湯の層が形成された後に、貯湯槽1内の湯が外部に導出されると貯湯槽1内の最下部に導入管12から水が供給されて中温の湯の層が上方に移動するが、導出口14a、14b、14cを上方に設けることにより中温の湯を多く導出することができる。
【0060】
次に、80は床暖房ユニットであり、熱交換器81と、この熱交換器81で熱交換された熱媒体を循環する循環回路82と、熱交換器81で加熱された熱媒体で床暖房を行なう床暖房熱交換器83と、循環回路82に熱媒体を循環するウォータポンプ84等により構成されている。
【0061】
なお、循環回路82の熱交換器81の入口近傍および出口近傍には、水温サーミスタ85、86が配設され、循環回路82内において熱交換器81に流入する熱媒体および熱交換器81から流出する熱媒体の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。また、本実施形態では、熱交換器の熱媒体の被加熱物として床暖房ユニット80を構成したが、床暖房ユニット80に限らず、浴室内を暖房する浴室暖房器や浴室内を乾燥する浴室乾燥器などを構成しても良い。
【0062】
次に、200は制御手段である制御装置であり、各サーミスタ31、33a、33b、34、36a〜36g、48、85、86からの温度情報、流量カウンタ35a、35bからの流量情報および図示しない操作盤に設けられた操作スイッチからの信号等に基づいて、後述するようにヒートポンプユニット2、第1、第2混合弁16a、16b、中温水混合弁16c、三方弁15b、15c、49a、49b、ウォータポンプ47、84等を制御するように構成されている。なお、図示しない操作盤は、浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置され、操作盤以外は、屋外等の適所に設置されている。
【0063】
次に、以上の構成による貯湯式給湯装置の作動を説明する。給湯装置の図示しない電源スイッチがオンされている場合には、制御装置200は、貯湯槽1に設けられた各サーミスタからの温度情報等や、図示しない操作盤により設定された時刻情報等に基づいて、適宜ヒートポンプユニット2を作動させ貯湯槽1内の水を加熱して高温の湯(例えば85℃の湯)とする。
【0064】
そして、図示しない操作盤の床暖房スイッチがオンされた場合(床暖房予約タイマーによりスイッチがオンされた場合を含む)には、制御装置200は、ウォータポンプ47、84を作動し、貯湯槽1内の最上部より吸入口41から循環回路43内に高温の湯を吸入するとともに、循環回路82内に熱媒体を循環させる。
【0065】
これにより、熱交換器81において循環回路43を流れる高温の湯と熱交換された循環回路82内の熱媒体により、床暖房熱交換器83を介して床暖房を行なうことができる。なお、このとき、制御装置200は、水位サーミスタ36a、および水温サーミスタ48、85、86からの温度情報に基づいて、熱交換器81および床暖房熱交換器83における熱交換が良好に行なわれるようにウォータポンプ47、84を作動制御する。
【0066】
また、制御装置200は、床暖房を行なう制御を実行しているとき、水位サーミスタ36d、36eおよび水温サーミスタ48からの温度情報に基づいて、熱交換器81で熱交換され温度が低下した中温の湯(例えば60℃の湯)を戻り位置である複数の吐出口42a、42b、42cのいずれか一つを選択して三方弁49a、49bを制御している。
【0067】
つまり、図2に示す制御装置200のフローチャートに基づいて戻り位置および後述する出湯位置を選択して切り換えを行なうようにしている。ここでは、図2(a)に示すように、戻り位置を選択するときの制御処理により選択切り換えを行なうものであり、ステップ210にて制御処理がスタートする。まず、ステップ220にて水位サーミスタ36d、36eにより検出された吐出口42b、42c近傍の湯温と、水温サーミスタ48により検出された戻り温度とを読み込む。
【0068】
そして、ステップ230にて、吐出口42b、42c近傍の湯温が戻り温度以下か否かを判定する。例えば、戻り温度が60℃であって、湯温がそれよりも以下のときには、ステップ240にて、その湯温を検出した部位よりも上側の吐出口42b、42cを選択して三方弁49a、49bにより切り換える。なお、最上部の吐出口42cの湯温が貯湯温度以下のときは吐出口42cを選択する。
【0069】
一方、ステップ230にて、湯温が戻り温度よりも超えていたときにはステップ250において、その湯温を検出した部位よりも下側の吐出口42a、42b、42cを選択して三方弁49a、49bにより切り換える。これにより、戻り温度にほぼ同一の湯温である部位に設けられた吐出口42a、42b、42cのいずれかから中温の湯を戻すことができる。
【0070】
ところで、貯湯槽1内の湯または水は、温度の異なる水の比重差により高温の湯ほど上部に低温の水ほど下部に貯えられている。上述のように三方弁49a、49bを切換制御することで、熱交換器81で熱交換された後の中温の湯を、高温の湯と水との間に戻すことにより、貯湯槽1内の湯の温度勾配を逆転して不要な混合の発生を防止することが可能である。
【0071】
次に、流量カウンタ35a、35bが配管17a内、もしくは配管17b内の水の流れを検出したときは、給湯水栓、シャワー、風呂等のいずれかで貯湯された湯を給湯用に使用されているということである。このとき制御装置200は、給湯設定温度に応じ、給水サーミスタ31、水位サーミスタ36aおよび給湯サーミスタ33a、33b、34からの温度情報に基づいて第1、第2混合弁16a、16bおよび中温水混合弁16cの制御を行なう。
【0072】
ところで、中温水混合弁16cは、上述したように第1、第2混合弁16a、16bの給湯設定温度よりも高めの設定温度(例えば、給湯設定温度+3〜5℃程度)が設定されているので、制御装置200は、水位サーミスタ36d、36eおよび高めの設定温度(例えば、給湯設定温度+3〜5℃程度)からの温度情報に基づいて戻り位置である複数の導出口14a、14b、14cのいずれか一つを選択して、中温水混合弁16cの入口側と連通状態となるように三方弁15b、15cを制御するようにしている。
【0073】
ここでは、図2(b)に示すように、出湯位置を選択するときの制御処理により選択切り換えを行なうものであり、ステップ310にて制御処理がスタートする。まず、ステップ320にて水位サーミスタ36d、36eにより検出された導出口14b、14c近傍の湯温と、給湯設定温度とを読み込む。
【0074】
そして、ステップ330にて、導出口14b、14c近傍の湯温が給湯設定温度以下か否かを判定する。例えば、給湯設定温度が43℃であって、湯温がそれよりも以下のときには、ステップ340にて、その湯温を検出した部位よりも上側の導出口14b、14cを選択して三方弁15b、15cにより切り換える。なお、導出口14cの湯温が給湯設定温度以下のときは導出口14cを選択する。
【0075】
一方、ステップ330にて、湯温が給湯設定温度よりも超えていたときにはステップ350において、その湯温を検出した部位よりも下側の導出口14a、14bを選択して三方弁15b、15cにより切り換える。これにより、給湯設定温度にほぼ同一の湯温である部位に設けられた導出口14a、14b、14cのうちいずれか一つから中温の湯を中温水混合弁16cの入口側に出湯することができる。
【0076】
そして、水位サーミスタ36aの検出温度と、水位サーミスタ36d、36e36fのうち選択された水位サーミスタの検出温度とから中温水混合弁16cの開口面積比を概略調節し、その後給湯サーミスタ34からの温度情報に基づいて給湯温度が高めの設定温度(例えば、給湯設定温度+3〜5℃程度)となるように中温水混合弁16cの開口面積比を微細制御する。
【0077】
そして、給水サーミスタ31の検出温度と給湯サーミスタ34の検出温度とから第1混合弁16aの開口面積比を概略調節し、その後給湯サーミスタ33aからの温度情報に基づいて出湯温度が給湯設定温度となるように第1混合弁16aの開口面積比を微細制御する。これにより、給湯水栓から給湯設定温度に温度調節された給湯用の湯が出湯できる。
【0078】
なお、本実施形態では、ステップ330において、出湯位置を選定する判定基準として、導出口14b、14c近傍の湯温と給湯設定温度とを比較したが、給湯設定温度を高めの設定温度(例えば、給湯設定温度+3〜5℃程度)としても良い。これによれば、給湯配管13から出湯する高温の湯を抑制できる。従って、上流側端部である導出口14a、14b、14cから中温の湯を積極的に出湯させることができる。
【0079】
次に、以上の第1実施形態の貯湯式給湯装置によれば、熱交換器81により熱交換されて循環回路43から貯湯槽1内に戻る中温の湯は、貯湯槽1内の高温の湯と水との間に設けられた下流側端部である吐出口42a、42b、42cに戻すように構成することにより、貯湯槽1内において、湯温の異なる水の比重差により、中温の湯と水との混合がし難い。これにより、ヒートポンプユニット2は、貯湯槽1の最下部にある低温の水から優先的に加熱するため、ヒートポンプユニット2の運転効率の低下を防止することが可能である。
【0080】
また、給湯配管13、14、17a、17bを上流側端部である導出口14a、14b、14cからも貯湯槽1内の湯を出湯させるように構成したことにより、導出口14a、14b、14cから高温の湯よりも低い中温の湯を積極的に出湯させることができる。
【0081】
また、この導出口14a、14b、14cを吐出口42a、42b、42cより上方に設けたことにより、循環回路43から戻される中温の湯を吐出口42a、42b、42cと導出口14a、14b、14cとの間に、中温の湯の貯める層が形成できるため、貯湯槽1外に消費されるときに中温の湯の下限域が上方に移動しても中温の湯の出湯を多くすることができる。従って、高温の湯の出湯を抑制して中温の湯を積極的に出湯することができるため貯湯槽1の容量を小型化とすることが可能である。
【0082】
さらに、ヒートポンプユニット2の電源を、例えば、料金設定の安い深夜電力を用いて高温の湯を貯える貯湯式給湯装置においては、高温の湯の出湯を抑制することができるため、深夜時間帯以外の昼間時間帯において、追加沸き上げ運転の時間の短縮化が図れる。これにより、維持費が安くできる。
【0083】
また、吐出口42a、42b、42cを複数個設けて、その吐出口42a、42b、42cを接続した部位近傍の湯温に基づいて、その吐出口42a、42b、42cの一つを選択して中温の湯を貯湯槽1内に戻すように構成するにより、例えば、循環回路43から貯湯槽1内に戻る中温の湯に湯温の変動があっても、その中温の湯に見合う湯温の吐出口42a、42b、42cを接続した部位に戻すことで、貯湯槽1内の湯の温度勾配を逆転して不要な混合が発生することを防止することが可能である。
【0084】
また、同じように、導出口14a、14b、14cを複数個設けて、その導出口14a、14b、14cを接続した部位近傍の湯温に基づいて、その導出口14a、14b、14cの一つを選択して中温の湯を貯湯槽1内の湯を出湯するように構成したことにより、確実に中温の湯を出湯することができる。これにより、高温の湯よりも積極的に中温の湯の出湯を多くすることができる。
【0085】
また、戻り位置の選択を戻り温度と吐出口42b、42c近傍の湯温とを比較することで、貯湯槽1内の湯の温度勾配を逆転して不要な混合が発生することを防止することが可能である。同じように、出湯位置の選択を給湯設定温度と導出口14b、14c近傍の湯温とを比較することで、高温の湯よりも積極的に中温の湯の出湯を多くすることができる。なお、給湯設定温度よりも高めの設定温度(例えば、給湯設定温度+3〜5℃程度)とすることにより、中温の湯の出湯をより多くすることができる。
【0086】
また、吐出口42b、42c近傍の湯温および導出口14b、14c近傍の湯温を貯湯量および貯湯温度の温度分布状態を検出するための貯湯温度検出手段である水位サーミスタ36b〜36gが貯湯槽1の高さ方向に設けられているので、これらを活用することにより容易に吐出口42a、42b、42c近傍および導出口14a、14b、14c近傍の湯温を検出できる。
【0087】
また、配管17aもしくは配管17bを介して給湯を行なうときには、ヒートポンプユニット2により加熱され貯湯槽1内に貯えられた高温の湯ばかりでなく、床暖房ユニット80に熱を供給し貯湯槽1内に戻った中温の湯も出湯することが可能である。
【0088】
また、第1、第2混合弁16a、16bの上流側に高めの設定温度の湯温に調節する中温水混合弁16cを設けることにより、貯湯槽1内の最上部に貯えられた高温の湯の出湯を抑制させ、かつ上流側端部から中温の湯を積極的に出湯させることができる。
【0089】
また、循環回路43から貯湯槽1内に戻された中温の湯は、暫くは温度勾配があるために導出口14a、14b、14cから導出される湯温のバラツキが大きい。そこで、高めの設定温度による混合を中温水混合弁で調節することにより、第1、第2混合弁16a、16bにおける出湯温度の安定が図れる。
【0090】
また、暖房向けに熱交換器81を設けて給湯の他に高温の湯を利用する貯湯式給湯装置であっても熱交換器81から発生する中温の湯を積極的に給湯に利用できる。さらに、ヒートポンプユニット2の冷媒に二酸化炭素を採用することにより、超臨界域を用いることで循環回路20を流れる水を加熱する冷媒の温度(圧縮機からの吐出温度)を高くすることができる。従って、高温の湯を効率良く沸き上げることができる。
【0091】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、下流側端部である吐出口42b、42c近傍の湯温および上流側端部である導出口14b、14c近傍の湯温を貯湯量および貯湯温度を検出するための貯湯温度検出手段である複数(本例では7つ)の水位サーミスタ36a〜36gによって検出したが、これに限らず、図3に示すように、導出口14b、14cおよび吐出口42b、42cにそれらの近傍の湯温を検出する湯温検出手段である湯温サーミスタ36h〜36jを設けてこれらの湯温センサより湯温を検出しても良い。
【0092】
これによれば、第1実施形態よりも正確な湯温の検出ができるとともに、循環回路43の戻り温度に応じた吐出口42a、42b、42c、および給湯設定温度に応じた導出口14a、14b、14cの選択がより精度良くできる。
【0093】
(第3実施形態)
以上の実施形態では、図2(a)に示すように、下流側端部である吐出口42a、42b、42cの戻り位置を選択するときにステップ230にて吐出口42b、42c近傍の湯温と水温サーミスタ48により検出された戻り温度とを比較したが、これに限らず、図4(a)に示すように、所定温度(例えば、60℃)を予め設定しておいて、ステップ230aにて、吐出口42b、42c近傍の湯温が所定温度以下か否かを判定するようにしても良い。
【0094】
同様に、図2(b)に示すように、上流側端部である導出口14a、14b、14cの出湯位置を選択するときにステップ330にて導出口14b、14c近傍の湯温と水温サーミスタ48により検出された戻り温度とを比較したが、これに限らず、図4(b)に示すように、所定温度(例えば、60℃)を予め設定しておいて、ステップ330aにて、導出口14b、14c近傍の湯温が所定温度以下か否かを判定するようにしても良い。
【0095】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、以上の実施形態では、循環回路43の下流側端部である吐出口42a、42b、42cを3箇所設けたが、これに限定されるものではない。また、導出管14、および配管17a、17bの上流側端部である導出口14a、14b、14cにおいても同様に3個に限定されるものではない。また、以上の実施形態では、最下部の吐出口42a、導出口14aの近傍の湯温を検出しなかったが、水位サーミスタ36fにより検出しても良い。
【0096】
また、以上の実施形態では、熱交換手段である熱交換器81は、循環回路43を流れる高温の湯と床暖房ユニット80の熱媒体とを熱交換するものであったがこれに限定されるものではない。例えば、浴室や洗面室などを暖房する暖房器、および浴室内を乾燥する乾燥器の熱媒体と熱交換させてもよい。なお、乾燥器は暖房器とは異なり外気を導入させることで浴室内の乾燥を促進させることができる。また、以上の実施形態では、ヒートポンプユニット2の電源に深夜電力を用いたが、これに限らず、昼間時間帯の交流電力を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態における(a)は制御装置200の戻り位置の選択の制御処理を示すフローチャート、(b)は制御装置200の出湯位置の選択の制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第3実施形態における(a)は制御装置200の戻り位置の選択の制御処理を示すフローチャート、(b)は制御装置200の出湯位置の選択の制御処理を示すフローチャートである。
【図5】従来技術における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1…貯湯槽
2…ヒートポンプユニット
12…導入管(給水配管)
13、14…導出管(給湯配管)
14a、14b、14c…導出口(上流側端部)
16a…第1混合弁
16b…第2混合弁
16c…中温水混合弁(第3混合弁)
17a、17b…配管(給湯配管)
20…循環回路(第1循環回路)
36b〜36g…水位サーミスタ(貯湯温度検出手段)
36h〜36k…湯温サーミスタ(湯温検出手段)
42a、42b、42c…吐出口(下流側端部)
43…循環回路(第2循環回路)
80…床暖房ユニット
81…熱交換器(熱交換手段)

Claims (11)

  1. 給湯用の湯を内部に貯える貯湯槽(1)と、
    前記貯湯槽(1)内の最下部の水を、前記貯湯槽(1)内の最上部に送る第1循環回路(20)と、
    前記第1循環回路(20)に設けられ、前記第1循環回路(20)を流れる水を加熱して高温の湯とするヒートポンプユニット(2)と、
    前記ヒートポンプユニット(2)により加熱され、前記貯湯槽(1)内の最上部に貯えられた高温の湯を、循環して前記貯湯槽(1)内に戻す第2循環回路(43)と、
    前記第2循環回路(43)に設けられ、前記貯湯槽(1)内の高温の湯を流通させ被加熱物と熱交換して中温の湯に変換させる熱交換手段(81)と、
    前記貯湯槽(1)内の湯が前記貯湯槽(1)外で消費されるときに、前記貯湯槽(1)内の湯を前記貯湯槽(1)外に送る給湯配管(13、14、17a、17b)と、
    前記貯湯槽(1)内の湯が前記給湯配管(13、14、17a、17b)を通って前記貯湯槽(1)外で消費されるときに、前記貯湯槽(1)内の最下部に水を供給する給水配管(12)とを備える貯湯式給湯装置であって、
    前記第2循環回路(43)は、前記貯湯槽(1)内の高温の湯が前記熱交換手段(81)に流通されて前記貯湯槽(1)内に戻される前記中温の湯を、前記貯湯槽(1)内の高温の湯と水との間に設けられた下流側端部(42a、42b、42c)に戻すように構成するとともに、
    前記給湯配管(13、14、17a、17b)は、前記貯湯槽(1)内の湯が前記給湯配管(13、14、17a、17b)を通って前記貯湯槽(1)外で消費されるときに、前記下流側端部(42a、42b、42c)よりも上方の部位に設けられた上流側端部(14a、14b、14c)から前記貯湯槽(1)内の湯を出湯させるように構成したことを特徴とする貯湯式給湯装置。
  2. 前記第2循環回路(43)は、前記下流側端部(42a、42b、42c)を前記貯湯槽(1)の高さ方向に複数個に分けて接続しており、前記貯湯槽(1)内において前記下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温に基づいて、前記下流側端部(42a、42b、42c)の複数個の一つを選択して前記中温の湯を前記貯湯槽(1)内に戻すように構成するとともに、
    前記給湯配管(13、14、17a、17b)は、前記上流側端部(14a、14b、14c)を前記貯湯槽(1)の高さ方向に複数個に分けて接続しており、前記貯湯槽(1)内において前記上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温に基づいて、前記上流側端部(14a、14b、14c)の複数個の一つを選択して前記貯湯槽(1)内の湯を出湯するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
  3. 前記第2循環回路(43)は、前記下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温を、所定温度、または前記熱交換手段(81)を流通した前記中温の湯の戻り温度のいずれか一方を判定基準として比較し、前記下流側端部(42a、42b、42c)の複数個の一つを選択して前記中温の湯を前記貯湯槽(1)内に戻すことを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
  4. 前記貯湯槽(1)には、前記貯湯槽(1)内の貯湯量および貯湯温度を検出する貯湯温度検出手段(36b〜36g)が前記貯湯槽(1)の高さ方向に複数個設けられ、前記下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温は、前記貯湯温度検出手段(36b〜36g)の複数個の一つから検出することを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯装置。
  5. 前記下流側端部(42a、42b、42c)には、前記下流側端部(42a、42b、42c)近傍の前記貯湯槽(1)内の湯温を検出する湯温検出手段(36j、36k)が設けられ、前記下流側端部(42a、42b、42c)を接続した部位近傍の湯温は、前記湯温検出手段(36j、36k)により検出することを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯装置。
  6. 前記給湯配管(13、14、17a、17b)は、前記上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温を、所定温度、または給湯設定温度のいずれか一方を判定基準として比較し、前記上流側端部(14a、14b、14c)の複数個の一つを選択して前記貯湯槽(1)内の湯を出湯することを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
  7. 前記貯湯槽(1)には、前記貯湯槽(1)内の貯湯量および貯湯温度を検出する貯湯温度検出手段(36b〜36g)が前記貯湯槽(1)の高さ方向に複数個設けられ、前記上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温は、前記貯湯温度検出手段(36b〜36g)の複数個の一つから検出することを特徴とする請求項6に記載の貯湯式給湯装置。
  8. 前記上流側端部(14a、14b、14c)には、前記上流側端部(14a、14b、14c)近傍の前記貯湯槽(1)内の湯温を検出する湯温検出手段(36h、36i)が設けられ、前記上流側端部(14a、14b、14c)を接続した部位近傍の湯温は、前記湯温検出手段(36h、36i)により検出することを特徴とする請求項6に記載の貯湯式給湯装置。
  9. 前記給湯配管(13、14、17a、17b)には、前記貯湯槽(1)外で消費される必要温度の湯を調節する第1、第2混合弁(16a、16b)と前記必要温度以上の湯を調節する第3混合弁(16c)とが設けられ、前記第3混合弁(16c)は、前記上流側端部(14a、14b、14c)から出湯される湯のうち、前記貯湯槽(1)内の最上部に貯えられた高温の湯と、前記上流側端部(14a、14b、14c)から出湯される湯とを混合させて前記貯湯槽(1)外で消費される湯の前記必要温度以上の湯に調節して前記第1、第2混合弁(16a、16b)に供給することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載の貯湯式給湯装置。
  10. 前記被加熱物は、床暖房ユニット(80)、暖房器、または乾燥器の熱媒体であり、前記熱交換手段(81)は、前記第2循環回路(43)を流れる前記高温の湯と前記熱媒体とを熱交換する熱交換器であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の貯湯式給湯装置。
  11. 前記ヒートポンプユニット(2)は、冷媒が二酸化炭素であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の貯湯式給湯装置。
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