JP5742611B2 - 温度分布計算方法および貯湯式給湯機 - Google Patents
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Description
《機器構成》
図1は、本発明の実施の形態1の温度分布計算方法を実施する機能を有する貯湯式給湯機を示す構成図である。図1に示す貯湯式給湯機は、貯湯ユニットAと、加熱手段としての熱源ユニットBと、リモコン(リモートコントローラ)7とを有している。貯湯ユニットAは、貯湯タンク1と、一般給湯側混合弁2aと、風呂給湯側混合弁2bと、減圧弁3と、電磁弁4と、制御部10と、水ポンプ14a,14b,14cと、風呂追焚熱交換器15と、断熱材20と、後述するセンサ類とを有しており、これらの要素が金属製の外装ケース30に収められている。貯湯タンク1は、ステンレスなどの金属製もしくは樹脂などで構成され、略円筒形状をなしている。貯湯タンク1の外側には、断熱材20が配置されており、高温の湯(以下、高温水とも称する)を長時間保温することができる。
貯湯タンク1の下部に接続された配管から取り出された低温水は、熱源ユニットBに送られ、沸き上げられて高温水となり、配管を経て貯湯タンク1へ戻り、上部から貯湯タンク1内に流入する。このように、熱源ユニットBと貯湯タンク1との間では循環回路が形成されて、貯湯タンク1内の低温水は順次高温に沸き上げられて貯湯タンク1に貯湯される。この貯湯運転(沸き上げ運転)は、基本的には電力料金が安価な夜間に行われる。貯湯タンク1の沸き上げ湯温は、リモコン7で予め設定することが可能である。深夜時間帯に、熱源ユニットBのヒートポンプにより、貯湯タンク1の水温を目標沸き上げ湯温まで沸き上げる。昼間時間帯に貯湯量が不足する場合には、熱源ユニットBを運転して貯湯タンク1に追加貯湯することも可能である。熱源ユニットBのヒートポンプは、沸き上げる水の入水温度が高いと運転効率が低下するという特性がある。このため、貯湯タンク1内は、なるべく温度混合しておらず、低温水と高温水とが明確に分かれている状態が望ましい。
(一般給湯側への給湯動作)
一般給湯側への給湯温度は、予めリモコン7にて設定することが可能である。混合栓6を開くと、制御部10は、一般給湯側の温度センサ12aでの検出温度が、設定されている給湯温度となるように、一般給湯側混合弁2aを制御して、貯湯タンク1上部から給湯した高温水と、水源からの水とを混合する。
浴槽5への給湯温度は、予めリモコン7にて設定することが可能である。湯張りを行うためには、まずリモコン7で、湯張りスイッチを押す。これにより湯張りの指令が出力され、制御部10が、風呂側の温度センサ12bでの検出温度が設定された浴槽湯温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への湯張りを開始する。浴槽5への湯張り開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、リモコン7で予め設定された浴槽湯量に到達するまで、湯張りを継続する。積算流量が、設定された浴槽湯量に到達すると、電磁弁4を閉じて湯張りを完了する。
リモコン7からの指令により、浴槽5内の湯水(以下、「浴槽水」と称する)が冷めたときにこれを加熱するための追焚き運転が実行される。なお、本発明において「追焚き」とは、浴槽水の温度を上昇させることのみならず、浴槽水を保温することをも含む概念である。浴槽追焚き運転が開始されると、風呂追焚熱交換器15の1次側および2次側流路に接続されているポンプ14bおよび14cが駆動する。これにより、貯湯タンク1からの高温水と浴槽5の湯水とを熱交換することが可能となり、浴槽水を加熱することができる。貯湯タンク1の所定の高さ位置には、中温水戻り口16が設けられている。貯湯タンク1からの高温水は、風呂追焚熱交換器15で浴槽水と熱交換して温度低下し、中温水(40〜60℃程度)となる。この中温水は、戻り配管を通り、中温水戻り口16から貯湯タンク1内に流入する。中温水戻り口16から流入した中温水は、貯湯タンク1内の湯水と混合し、両者の温度差異により貯湯タンク1内の温度分布が複雑に変化する。このとき、温度混合が過剰に進むと、貯湯タンク1の蓄熱量が減少する。また、前述のようにヒートポンプの運転性能は沸き上げる水の入水温度によって決まるため、温度混合が過剰に進むと入水温度が上昇し、システム効率が低下するという課題もある。
貯湯タンク1内の湯水の温度分布を正確に推定するためには、水の流れの影響および温度差により生じる浮力を考慮して貯湯タンク1内の流れと温度拡散を解く必要がある。また、一般に、有限体積のタンク内に高流速噴流を流入させた場合には、噴流の対向壁面への衝突の影響を考慮する必要がある。始めに高流速噴流流入時の現象について説明する。
Lm=MJ 3/4/BJ 1/2
(数2)
MJ=uJQJ
(数3)
BJ=g(ΔρJ,T/ρT)QJ
ここで、BJ:噴流の浮力流束[m4/s3]、g:重力加速度[m/s2]、MJ:噴流の運動量流束[m4/s2]、QJ:噴流の体積流量[m3/s]、uJ:噴流の流速[m/s]、ΔρJ,T:噴流とタンク水との密度差[kg/m3]、ρT:タンク水の密度[kg/m3]
である。
Cρ(∂TT/∂t)+Cρuz(∂TT/∂z)+GJCΔTT,J(1/AxΔz)=λ(∂2TT/∂z2)
ここで、
Ax:貯湯タンク1の水平断面面積[m2]、C:水の比熱[J/(kg・K)]、GJ:噴流の質量流量[kg/s] 、t:時間[s]、TT:貯湯タンク1内の湯水の温度[℃]、uz:鉛直方向の流速[m/s]、z:鉛直方向軸[m]、ΔTT,J:噴流と貯湯タンク1内の湯水との温度差[℃]、Δz:タンク分割層高さ[m]、λ:水の熱伝導率[W/(m・K)]
である。噴流の質量流量GJは、噴流の体積流量QJに噴流の密度を乗ずることにより算出することができる。
2a 一般給湯側混合弁
2b 風呂給湯側混合弁
3 減圧弁
4 電磁弁
5 浴槽
6 混合栓
7 リモコン
10 制御部
11a,11b,11c,11d 流量センサ
12a〜12f,13a,13b 温度センサ
14a,14b,14c ポンプ
15 風呂追焚熱交換器
16 中温水戻り口
41 ノズル
42 噴流の軌道
50 対向壁面
60 渦
A 貯湯ユニット
B 熱源ユニット
Claims (7)
- タンク内の液体中に正または負の浮力が作用する噴流が流入する場合に、前記タンク内を鉛直方向に複数の層に分割し、前記複数の層の各層の熱量の収支と温度変化との関係を表す熱エネルギー収支式に基づいて、前記タンク内の鉛直方向の温度分布を計算する方法であって、
前記熱エネルギー収支式は、前記噴流により流入する熱量を表す項を含み、
前記噴流に浮力が作用する領域を分配区間とし、前記分配区間内の各層の前記熱エネルギー収支式において、前記噴流と同じ温度または前記噴流の温度に応じた温度の液体が前記分配区間内の各層に所定の分配比で分配されると想定して前記噴流により流入する熱量を表す項を計算する温度分布計算方法。 - 前記分配区間の全体を混合したと仮定した場合の温度の液体が前記分配区間内の各層に前記所定の分配比で再分配されると想定して温度分布を計算する請求項1記載の温度分布計算方法。
- 前記噴流の運動量流束と浮力流束とに基づいて、前記噴流の軌道に関する指標Lmを算出する指標算出ステップと、
前記指標Lmに基づいて、前記浮力が作用する方向と逆の方向への前記噴流の混合が発生するか否かを判定する逆方向混合判定ステップと、
を備え、
前記逆方向混合判定ステップで前記逆の方向への前記噴流の混合が発生すると判定された場合には、前記噴流が流入する高さより前記逆の方向に前記分配区間を拡大した上で温度分布を計算する請求項1または2記載の温度分布計算方法。 - 前記逆方向混合判定ステップでは、前記指標Lmと、前記噴流の流入口から対向壁面までの距離Wtとの関係Lm*に基づいて、前記逆の方向への前記噴流の混合が発生するか否かを判定する請求項3記載の温度分布計算方法。
- 前記逆方向混合判定ステップで前記逆の方向への前記噴流の混合が発生すると判定された場合には、前記分配区間を拡大する幅Zbを前記指標Lmに基づいて算出し、前記噴流が流入する高さより前記逆の方向に前記幅Zbだけ前記分配区間を拡大する請求項3または4記載の温度分布計算方法。
- 前記所定の分配比とは、前記噴流の流入量の均等割りである請求項1乃至5の何れか1項記載の温度分布計算方法。
- 湯水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯水中に噴流を流入させる噴流流入手段と、
前記噴流流入手段により、前記貯湯タンク内の湯水中に正または負の浮力が作用する噴流が流入する場合に、前記貯湯タンク内の鉛直方向の温度分布を請求項1乃至6の何れか1項記載の温度分布計算方法により計算する温度分布計算手段と、
を備える貯湯式給湯機。
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