JP2015002900A - 乗物用シートのクッション体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡性樹脂により形成され着座面側に配置される第1の層61と、発泡性樹脂により形成され支持部材側に配置される第2の層62と、第1の層61と第2の層62の間に位置する第3の層63と、を備えている乗物用シート1のクッション体6であって、第1の層61よりも第2の層62のほうが密度が低く、第3の層63は、第1の層61及び第2の層62よりも高硬度である構成とする。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1には、支持板の上方に比較的柔らかい層を設け、支持板の下方に比較的硬い層を設けたクッション体について記載されている。
また、特許文献2には、布材を中間層としてその上部側の層を低密度低硬度とし、その下側の層を高密度高硬度としたクッション体が記載されている。
先ず、第1の発明は、発泡性樹脂により形成され着座面側に配置される第1の層と、発泡性樹脂により形成され支持部材側に配置される第2の層と、第1の層と第2の層の間に位置する第3の層と、を備えている乗物用シートのクッション体であって、第1の層よりも第2の層のほうが密度が低く、第3の層は、第1の層及び第2の層よりも高硬度であることを特徴とする。
なお、本明細書における前後方向、上下方向、左右方向などの方向は、図1に示したXが前方向、Yが左方向、Zが上方向と規定される。例えば、通常、着座者Pが着座した際に視界に入るほうが前方で、視界に入らない後頭部側が後方となる。
本実施の形態の乗物用シート1は、車両に用いられる乗物用シート1である。また、運転席又は助手席よりも後側に配置されるリヤシートであり、いわゆるベンチシートである。また、当該乗物用シート1は、ヘッドレスト4と、着座者Pの背凭れ部となるシートバック3と、主として大腿部周りを支える着座面を形成するシートクッション2を備えている。
シートクッション2及びシートバック3は、金属板で構成されたクッションパンがクッション体6を支持する支持部材5となるように構成している。また、クッション体6の外側面の少なくとも一部をシートカバー8で覆う構成とすることで、着座者Pとクッション体6が直に接することが無いように構成している。
クッション体6には、通常のクッション体6で使用される密度である0.045±0.005g/cm3程度で形成された第1の層61と、第1の層61よりも低密度で形成された第2の層62と、第1の層61及び第2の層62よりも高硬度の部位である第3の層63と、を設けている。通常の密度で形成された第1の層61は、着座者Pと接することになる着座面側に配置されるものであり、それよりも低密度で形成された第2の層62はクッション体6を支持する支持部材5が存在する支持面側に配置されるものである。また、第1の層61と第2の層62の間に第3の層63を設けている。
当該構成を採用することにより、着座者Pから第1の層61に対して局所的に荷重がかけられた場合においても、高硬度の部位である第3の層63の存在により、荷重が分散される。したがって、低密度の第2の層62に対して局所的な荷重がかかることを抑制することが可能となる。このため、低密度の第2の層62が局所的に変形することが抑制され、クッション体6の耐久性を向上させることが可能となる。
本実施の形態においては、第1の層61と第3の層63となる部材を一度に形成する。そのため、ウレタン原液が含浸可能な不織布を発泡成形用の金型にセットし、当該第1の層61を形成するためのウレタン原液を金型内に注入する。ウレタン原液を加熱し、発泡成形を行うと、ウレタン原液が気泡を含みながら膨らんで固化することにより第1の層61を形成するとともに、不織布にウレタン原液が含浸して固化するため、第1の層61よりも高硬度の第3の層63が形成される。つまり、第1の層61と第3の層63が一体化した状態で形成される。なお、不織布に含浸した状態のウレタン原液が固化することで、第3の層63は、不織布単体よりも、不織布が存在しない第1の層61よりも硬度が高くなる。本明細書では、第1の層61と第3の層63が一体化した構造体を着座者側構造体71と称する場合がある。
また、第2の層62を形成するウレタンフォームは第1の層61のウレタンフォームよりも硬質に形成されている。
なお、シートカバー8は支持面側構造体72に備えられた固定具91に掛けるようにして固定される。具体的には、固定具91は、支持面側構造体72にインサート成形されたワイヤであり、当該ワイヤに対してシートカバー8の端部に備えられた係合部材93が掛けられる。固定具91に対して係合部材93を掛けることで、クッション体6に対してシートカバー8が密着するように固定される。また、シートカバー8で覆われたクッション体6は図示しない係止部材を用いて支持部材5であるクッションパンに係止される。
また、図2に示すように、第2の層62の少なくとも一部はシートクッション2の前側つまりはクッション体6の前側よりも後側が薄く構成されている。詳しくは、第2の層62は着座者Pの坐骨下となる部位H2が薄く構成されており、膝寄りの大腿部下となる部位T2はそれより厚く構成されている。
そして、シートクッション2の構成要素であるクッション体6は、その前側に第1の層61よりも第2の層62のほうが厚い領域である低密度優勢領域を備えており、その後側には、第2の層62よりも第1の層61のほうが厚い領域である高密度優勢領域を備えている。
これは、着座した際に最も荷重がかかる部分である坐骨下はクッション性の高い第1の層61を厚くし、反対に荷重としてはそれほどかからない膝寄りの大腿部下は薄くするという思想による。当該構成とすることにより、大腿部をしっかりと受け止めるようにすることが可能となり、着座感を改善することが可能となる。また、挫骨下に関してはクッション性の高い第1の層61を厚くすることで、十分なクッション性を確保することが可能となる。
また、クッション体6の着座者P側の部分が通常の密度で構成されているため、乗り心地を確保することが可能となる。
また、撓むことが可能なウレタンフォームで第1の層61が構成されているとともに、硬質ながらも撓みを持たせることが可能なウレタンフォームで第2の層62が構成されているため、乗り心地が改善され得る。
また、第1の層61の下に硬度の高い第3の層63が存在するため、第1の層61を圧力分布の良い形状にすることが可能となる。
また、1乃至10mmの可撓性の不織布に樹脂を含浸させて固化することにより硬度の高い層を形成しているため、異物感を感じにくくなる。また、異物感を感じにくいことから第1の層61を薄くすることが可能となる。したがって、より一層の軽量化を図ることが可能となる。
また、第1の層61と第2の層62との間の全ての領域に硬質な第3の層63が設けられているため、なだらかな圧力分布を得ることが可能となる。
また、クッション体6は第1の層61の挫骨下の部位H1の厚みを厚くし、膝寄りの大腿部下の部位T1の厚みをそれより薄くする構成としていることから、クッション性の無いクッションパンにより支持されているにも関わらず、着座者Pの着座感をよくすることが可能であり得る。
また、第3の層63よりも着座者P側に位置する第1の層61において、後方側に厚い領域を形成するとともに、前方側に薄い領域を形成しているため、着座時に大腿部が支えられている感覚をもたらすことが可能となり得る。更には、低密度である第2の層62の領域を大きくすることが可能であるので、軽量化の効果をあげることが可能となる。
また、第2の層62を形成することにより、クッション体6全体の形状を所望の形状とすることができる。特に、支持部材5の形状を特殊形状にすることなく、着座者Pを適切に支持することが可能な乗物用シート1とすることが可能となる。
まず、第1段階としてウレタン原液を発泡成形して成形体を形成する。第2段階として当該発泡成形した成形体の片面に対してウレタン原液をかける。これにより、発泡成形した成形体の表層にウレタン原液を含浸させる。第3段階としてウレタン原液をかけた発泡成形体を加熱し、発泡成形体にかけたウレタン原液を発泡成形させる。すると、第1段階で形成した成形体の上に一体化するように発泡体が形成される。この状態では、第1段階で形成した成形体の表層に染込んだウレタン原液が固化しているため、当該表層部分は他の部位よりも硬くなる。この部位が変形例においては第3の層63となる。
当該変形例においては、不織布を設ける必要性が無いため、部品点数を減らすことが可能である。また不織布を設定する工程を省くことができるため、作業性が向上する。なお、第1段階で成形する成形体は第1の層61に相当するものであっても第2の層62に相当するものであってもかまわない。
例えば、第3の層は不織布のような面状繊維体に樹脂を含浸させて固化させた形態のもので無くともよく、たとえば、スラブウレタンのような多孔性高分子材に樹脂を含浸させて固化させる形態にすることも可能である。
また、第2の層及び第3の層が一体化されており、第1の層は別体として設けることも可能であるし、第3の層が第1の層にも第2の層にも一体化されていないものとすることも可能である。例えば、第3の層は第1の層や第2の層と別体で設けたフェルトなどを使用することも可能である。
また、第1の層と第2の層と第3の層は全てが一体化しているものとすることも可能である。この場合、第1の層と第3の層を一体化させた後に、更に第2の層を接合一体化することなどで構成可能である。
また、発泡性樹脂は、ウレタンを用いなくてもよく、公知の他の発泡性樹脂を使用することが可能である。
また、シートクッションに使用する場合に限らず、シートバックなどにも使用可能である。この際、シートクッション及びシートバックの双方に本発明のクッション体を採用しても良いし、どちらか一方だけに採用するものとしても良い。
また、クッション体はリヤシートに使用するものに限らず、運転席などのフロントシートに使用することも可能である。
また、クッション体における各層の密度は、本実施の形態に記載されているものに限らず、適宜定めることが可能である。
また、形成されたクッション体に対して別体のシートカバーを覆う構成とすることに限らず、シートカバーとクッション体が一体化しているものとすることも可能である。
また、板状のクッションパンによりクッション体を支持する構成とすることに限らず、面状のバネによりクッション体を支持する構成とすることも可能である。ただし、弾性的な構造を備えていないクッションパンに本発明のクッション体を支持させるほうが、本発明を適用する利益を享受しやすい。
また、支持面側構造体と着座者側構造体が一体化していないものであることに限らず、支持面側構造体と着座者側構造体を接着剤などにより一体化させるものとすることも可能である。
また、乗物としては、車両であることに限らず、飛行機やヘリコプターなど空中を飛行する乗物や、船舶や潜水艇など海面や海中などを移動する乗物としてもよい。
2 シートクッション
3 シートバック
5 支持部材
6 クッション体
8 シートカバー
61 第1の層
62 第2の層
63 第3の層
P 着座者
Claims (3)
- 発泡性樹脂により形成され着座面側に配置される第1の層と、発泡性樹脂により形成され支持部材側に配置される第2の層と、第1の層と第2の層の間に位置する第3の層と、を備えている乗物用シートのクッション体であって、
第1の層よりも第2の層のほうが密度が低く、第3の層は、第1の層及び第2の層よりも高硬度であることを特徴とする乗物用シートのクッション体。 - 請求項1に記載の乗物用シートのクッション体であって、
第3の層は、樹脂が可撓性の面状部材の内部に進入した状態で固化することにより形成されていることを特徴とする乗物用シートのクッション体。 - 請求項1又は2に記載の乗物用シートのクッション体が配設された乗物用シートであって、
クッション体は、シートクッションの構成要素であり、クッション体の前側には、第1の層よりも第2の層のほうが厚い低密度優勢領域を備えており、クッション体の後側には、第2の層よりも第1の層のほうが厚い高密度優勢領域を備えていることを特徴とする乗物用シート。
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