以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1〜図4を用い、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスとしてのセンサーについて説明する。図1は、第1実施形態に係る電子デバイスとしてのセンサーの概略を示し、(a)はモールドパッケージを省略した平面図であり、(b)は正断面図である。図2は、センサーに用いられる機能素子としてのセンサーデバイスの概略を示す斜視図である。図3は、図2に示すセンサーデバイスの概略を示す平面図であり、蓋部材を省略(透視)した図である。図4は、図3に示すセンサーデバイスのB−B線断面図である。なお、図2〜4では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸が図示されている。以下では、X軸に平行な方向(左右方向)を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向(上下方向)を「Z軸方向」と言う。また、以下では、説明の便宜上、図2中の紙面手前側(Z軸方向)を「上」、紙面奥側(Z軸方向)を「下」、右側(X軸方向)を「右」、左側(X軸方向)を「左」と言う。なお、本実施形態では、機能素子としてのセンサーデバイスに用いられている素子部としての素子片を加速度、角速度等の物理量を測定するための物理量センサー素子として説明する。
(センサーの構成)
先ず、図1(a)、図1(b)を用いて第1実施形態における電子デバイスとしてのセンサーの構成について説明する。図1に示す電子デバイスとしてのセンサー80は、ベース基板81と、ベース基板81の面81a上に設けられた中継基板82と、中継基板82上に載置された機能素子としてのセンサーデバイス1と、センサーデバイス1などを覆うモールド部材85とを含んでいる。
センサーデバイス1は、第1基材としての絶縁基板2と、この絶縁基板2に接合、支持された素子部としての素子片3と、素子片3を覆うように設けられた第2基材としての蓋部材5とを有する。なお、センサーデバイス1については、後述にて詳細を説明する。
ベース基板81は、一面(上面)81aと一面(上面)81aと表裏関係にある下面81bを有する矩形形状の板材である。エポキシ系樹脂基板を用いたベース基板81では、図示はしないがベース基板81の一面(上面)81aに、配線パターンが設けられており、その一部にセンサーデバイス1などとの電気的接続を図るためのパッド電極86、87が設けられている。配線パターン、およびパッド電極86、87は、例えば銅(Cu)などの導電体層がフォトリソグラフィー法を用いたエッチング加工などによってパターン化された配線層である。また、セラミック基板を用いたベース基板81では、図示はしないが前述のエポキシ系樹脂基板と同様にベース基板81の一面(上面)81aに、配線パターンが設けられており、その一部にセンサーデバイス1などとの電気的接続を図るためのパッド電極86、87が設けられている。セラミック基板の場合の配線パターン、およびパッド電極86、87は、一般に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属配線材料をセラミックス絶縁材料上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)などのめっきを施すことにより形成される。
ベース基板81の下面81bには、外部接続端子89が設けられている。外部接続端子89は、図示しない接続配線により、配線パターン、パッド電極86、87と電気的に接続されており、センサー80の実装用端子としての機能を有している。
なお、ベース基板81の形状は矩形形状に限定されるものではない。また、ベース基板81の構成材料としては、電気的絶縁性が確保されていれば特に限定されない。
中継基板82は、ベース基板81の一面(上面)81a上に、樹脂接着剤83によって接続されている。中継基板82は、熱変化、あるいは外部からの圧力印加などによって生じるベース基板81の応力変化のセンサーデバイス1への伝導を抑制する機能を有している。中継基板82は、平面視でベース基板81より小さく、且つセンサーデバイス1の外形より小さな外形の略矩形形状であり、ベース基板81側に第3面82b、センサーデバイス1側に第2面82aを有している。即ち、中継基板82の第3面82b(中継基板82の外形)は、ベース基板81の外形の内側に収まり、且つ中継基板82の第2面82a(中継基板82の外形)は、センサーデバイス1の裏面(第1面)2a、換言すればセンサーデバイス1の外形の内側に収まる大きさに設けられている。なお、本例では、中継基板82の外形形状を略矩形形状として説明したが、矩形形状に限られるものではなく、他の外形形状であってもよい。
中継基板82は、ガラス入りエポキシ樹脂板、セラミック板、ガラス板、あるいは半導体基板などを用いることができる。なお、中継基板82は、ヤング率がセンサーデバイス1を構成する第1基材としての絶縁基板2のヤング率より高い部材を用いることが好ましい。このような部材を用いることにより、ベース基板81に変形(応力)が生じても、ヤング率の高い中継基板82は変形が抑えられ、絶縁基板2に応力が伝わりにくくできること、および中継基板82よりヤング率低い絶縁基板2の弾性によって応力解放を促進させることができる。これにより、ベース基板81の応力が、センサーデバイスに伝導することを抑制することが可能となる。
樹脂接着剤83は、例えばエポキシ系接着剤が用いられている。中継基板82は、その第3面82bがベース基板81の一面(上面)81aに対向して接続されている。センサーデバイス1の載置方向から見た平面視で、中継基板82、センサーデバイス1、およびベース基板81の外形形状は、それぞれ略矩形状をなしている。
ここで、中継基板82の第3面82bは、ベース基板81の一面(上面)81aの内に収まって接続されている。即ち、ベース基板81の一面(上面)81aが中継基板82より、その外周側に張り出している。
また、後述するセンサーデバイス1は、中継基板82の第3面82bと表裏関係となる第2面82aに配置され、接合材としての樹脂接着剤84によって接続されている。センサーデバイス1は、その第1面としての裏面2aが中継基板82の第2面82aに対向して接続されている。中継基板82の第2面82a、換言すれば中継基板82の外形は、センサーデバイス1の裏面(第1面)2aの内側、換言すれば中継基板82の外形の内側に収まって接続されている、即ち、センサーデバイス1は、その裏面(第1面)2aが中継基板82の外形の外側に張り出して、中継基板82に樹脂接着剤84によって接続されている。
ここで、樹脂接着剤84は、低弾性樹脂であることが好ましい。低弾性樹脂としては、シリコーン系樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ形樹脂などを主剤とする樹脂接着剤を例示することができる。なお、本実施形態では、シリコーン系樹脂を主剤とする接着剤を用いている。このように、樹脂接着剤84を低弾性樹脂とすることにより、低弾性樹脂によって応力の吸収、解放がなされ、ベース基板81に生じる大きな応力変化がセンサーデバイス1(素子片3)に伝導することを抑制することが可能となる。
上述のように、ベース基板81とセンサーデバイス1とが、ベース基板81およびセンサーデバイス1より平面面積の小さな中継基板82と接続されていることにより、ベース基板81における応力を伝える伝導面積を小さくすることができる。換言すれば、ベース基板81の応力による変形は、ベース基板81の外側(外周側)ほど大きくなり、ベース基板81の内側(中心側)では変形が小さくなる。したがって、平面面積の小さな中継基板82をベース基板81の外形の内側に配置し、中継基板82を介してセンサーデバイス1を接続することで、ベース基板81の変形の小さな、即ち応力の小さな領域でのセンサーデバイス1の接続を行うことができる。さらに、センサーデバイス1の第1面としての裏面2aは、中継基板82の第2面82aの外形の外側に張り出しており、センサーデバイス1の外周端は自由端となっている。このように、センサーデバイス1が自由端を有しているため、伝導された応力はこの自由端で解放することができる。これらにより、ベース基板81に生じた応力変化のセンサーデバイス1への伝導を緩和することが可能となり、応力によるセンサーデバイス1の特性変化を抑制することができ、センサーデバイス1の測定精度を向上させることが可能となる。
モールド部材85は、絶縁性樹脂などによる被覆部材であり、ベース基板81の一面(上面)81a、中継基板82を介してベース基板81の一面(上面)81aに接続されたセンサーデバイス1などを覆っている。モールド部材85は、例えばトランスファーモールド法を用いた熱硬化性樹脂(エポキシ系樹脂など)によって形成される。なお、本例のモールド部材85は、ベース基板81の外周に沿った外周面を有する構成としているが、必ずしもベース基板81の外周に沿っていなくてもよく、被覆が必要な部材、部分が覆われることができればその形状は問わない。また、モールド部材85の上面もフラット(平面形状)でなく、凹凸がある形状であってもよい。
(センサーデバイス)
次に、機能素子としてのセンサーデバイスの構成について図2〜図4を用いて説明する。図2に示す機能素子としてのセンサーデバイス1は、第1基材としての絶縁基板2と、この絶縁基板2に接合、支持されたセンサー素子としての素子片3と、素子片3に電気的に接続された導体パターン4と、素子片3を覆うように設けられた第2基材としての蓋部材5とを有する。以下、センサーデバイス1を構成する各部を順次詳細に説明する。
(絶縁基板)
先ず、図3および図4を用いて絶縁基板2について説明する。絶縁基板2は、素子片3を支持する機能を有する。この絶縁基板2は、板状をなし、その上面(一方の面)には、内部空間の一部として空洞部21が設けられている。この空洞部21は、絶縁基板2を平面視したときに、後述する素子片3の可動部33、可動電極部36、37および連結部34、35を包含するように形成されていて、内底を有する。このような空洞部21は、素子片3の可動部33、可動電極部36、37および連結部34、35が絶縁基板2に接触するのを防止する逃げ部を構成する。これにより、素子片3の可動部33の変位を許容することができる。
なお、この逃げ部は、空洞部21(内底を有する凹形状)に代えて、絶縁基板2をその厚さ方向(図示Z軸方向)に貫通する開口部であってもよい。また、本実施形態では、空洞部21の平面視形状は、矩形形状(具体的には長方形)をなしているが、これに限定されるものではない。
また、絶縁基板2の上面には、前述した空洞部21の外側に、その外周に沿って、上面から掘り込まれた窪み部22、23、24が設けられている。この窪み部22、23、24は、平面視で導体パターン4に対応した形状をなしている。具体的には、窪み部22は、後述する導体パターン4の配線41および電極44に対応した形状をなし、窪み部23は、後述する導体パターン4の配線42および電極45に対応した形状をなし、窪み部24は、後述する導体パターン4の配線43および電極46に対応した形状をなす。
また、窪み部22の電極44が設けられた部位の深さは、窪み部22の配線41が設けられた部位よりも深くなっている。同様に、窪み部23の電極45が設けられた部位の深さは、窪み部23の配線42が設けられた部位よりも深くなっている。また、窪み部24の電極46が設けられた部位の深さは、窪み部24の配線43が設けられた部位よりも深くなっている。
このように窪み部22、23、24の一部の深さを深くすることにより、センサーデバイス1の製造時において、素子片3を形成する前の基板が電極44、45、46と接合してしまうのを防止することができる。
絶縁基板2の構成材料としては、具体的には、高抵抗なシリコン材料、ガラス材料を用いるのが好ましく、特に、素子片3がシリコン材料を主材料として構成されている場合、アルカリ金属イオン(可動イオン)を含むガラス材料(例えば、パイレックス(登録商標)ガラスのような硼珪酸ガラス)を用いるのが好ましい。これにより、素子片3がシリコンを主材料として構成されている場合、絶縁基板2と素子片3とを陽極接合することができる。
また、絶縁基板2の構成材料は、素子片3の構成材料との熱膨張係数差ができるだけ小さいことが好ましく、具体的には、絶縁基板2の構成材料と素子片3の構成材料との熱膨張係数差が3ppm/℃以下であるのが好ましい。これにより、絶縁基板2と素子片3との接合時等に高温化にさらされても、絶縁基板2と素子片3との間の残留応力を低減することができる。
また、絶縁基板2の外形形状が略矩形形状を例示して説明したが、矩形形状に限るものではなく、他の形状であってもよい。
(素子片)
次に、図3および図4を用いて素子片3について説明する。素子片3は、固定部31、32と、可動部33と、連結部34、35と、可動電極部36、37と、固定電極部38、39とで構成されている。この固定部31、32、可動部33、連結部34、35および可動電極部36、37は、一体的に形成されている。
素子片3は、例えば加速度、角速度等の物理量の変化に応じて、可動部33および可動電極部36、37が、連結部34、35を弾性変形させながら、X軸方向(+X軸方向または−X軸方向)に変位する。このような変位に伴って、可動電極部36と固定電極部38との間の隙間、および可動電極部37と固定電極部39との間の隙間の大きさがそれぞれ変化する。即ち、このような変位に伴って、可動電極部36と固定電極部38との間の静電容量、および可動電極部37と固定電極部39との間の静電容量の大きさがそれぞれ変化する。したがって、これらの静電容量に基づいて、加速度、角速度等の物理量を検出することできる。
固定部31、32は、それぞれ、前述した絶縁基板2の上面に接合されている。具体的には、固定部31は、絶縁基板2の上面の空洞部21に対して−X軸方向側(図中左側)の部分に接合され、また、固定部32は、絶縁基板2の上面の空洞部21に対して+X軸方向側(図中右側)の部分に接合されている。また、固定部31、32は、平面視したときに、それぞれ、空洞部21の外周縁を跨ぐように設けられている。
なお、固定部31、32の位置および形状等は、連結部34、35や導体パターン4等の位置および形状等に応じて決められるものであり、前述したものに限定されない。
2つの固定部31、32の間には、可動部33が設けられている。本実施形態では、可動部33は、X軸方向に延びる長手形状をなしている。なお、可動部33の形状は、素子片3を構成する各部の形状、大きさ等に応じて決められるものであり、前述したものに限定されない。
可動部33は、固定部31に対して連結部34を介して連結されるとともに、固定部32に対して連結部35を介して連結されている。より具体的には、可動部33の左側の端部が連結部34を介して固定部31に連結されるとともに、可動部33の右側の端部が連結部35を介して固定部32に連結されている。この連結部34、35は、可動部33を固定部31、32に対して変位可能に連結している。本実施形態では、連結部34、35は、図3にて矢印aで示すように、X軸方向(+X軸方向または−X軸方向)に可動部33を変位し得るように構成されている。
具体的に説明すると、連結部34は、2つの梁341、342で構成されている。そして、梁341、342は、それぞれ、Y軸方向に蛇行しながらX軸方向に延びる形状をなしている。言い換えると、梁341、342は、それぞれ、Y軸方向に複数回(本実施形態では3回)折り返された形状をなしている。なお、各梁341、342の折り返し回数は、1回または2回であってもよいし、4回以上であってもよい。
同様に、連結部35は、Y軸方向に蛇行しながらX軸方向に延びる形状をなす2つの梁351、352で構成されている。なお、連結部34、35は、可動部33を絶縁基板2に対して変位可能に支持するものであれば、前述したものに限定されず、例えば、可動部33の両端部から+Y軸方向および−Y軸方向にそれぞれ延出する1対の梁で構成されていてもよい。
このように絶縁基板2に対してX軸方向に変位可能に支持された可動部33の幅方向での一方側(+Y軸方向側)には、可動電極部36が設けられ、他方側(−Y軸方向側)には、可動電極部37が設けられている。可動電極部36は、固定電極部38に対して間隔を隔てて対向する。また、可動電極部37は、固定電極部39に対して間隔を隔てて対向する。
可動電極部36は、可動部33から+Y軸方向に突出し、櫛歯状をなすように並ぶ複数の可動電極指361〜365を備えている。この可動電極指361、362、363、364、365は、−X軸方向側から+X軸方向側へ、この順に並んでいる。同様に、可動電極部37は、可動部33から−Y軸方向に突出し、櫛歯状をなすように並ぶ複数の可動電極指371〜375を備える。この可動電極指371、372、373、374、375は、−X軸方向側から+X軸方向側へ、この順に並んでいる。
このように複数の可動電極指361〜365および複数の可動電極指371〜375は、それぞれ、可動部33の変位する方向(すなわちY軸方向)に並んで設けられている。これにより、後述する固定電極指382、384、386、388と可動電極部36との間の静電容量、および、固定電極指381、383、385、387と可動電極部36との静電容量を可動部33の変位に応じて効率的に変化させることができる。同様に、後述する固定電極指392、394、396、398と可動電極部37との間の静電容量、および、固定電極指391、393、395、397と可動電極部37との静電容量を可動部33の変位に応じて効率的に変化させることができる。そのため、センサーデバイス1を物理量センサー装置として用いた場合に検出精度を優れたものとすることができる。
固定電極部38は、前述した可動電極部36の複数の可動電極指361〜365に対して間隔を隔てて噛み合う櫛歯状をなすように並ぶ複数の固定電極指381〜388を備える。このような複数の固定電極指381〜388の可動部33とは反対側の端部は、それぞれ、絶縁基板2の上面の空洞部21に対して+Y軸方向側の部分に接合されている。そして、各固定電極指381〜388は、その固定された側の端を固定端とし、自由端が−Y軸方向へ延びている。
この固定電極指381〜388は、−X軸方向側から+X軸方向側へ、この順に並んでいる。そして、固定電極指381、382は、対をなし、前述した可動電極指361、362の間に、固定電極指383、384は、対をなし、可動電極指362、363の間に、固定電極指385、386は、対をなし、可動電極指363、364の間に、固定電極指387、388は、対をなし、可動電極指364、365の間に臨むように設けられている。
ここで、固定電極指382、384、386、388は、それぞれ、第1固定電極指であり、固定電極指381、383、385、387は、それぞれ、絶縁基板2上で当該第1固定電極指に対して空隙(間隙)を介して離間した第2固定電極指である。このように、複数の固定電極指381〜388は、交互に並ぶ複数の第1固定電極指および複数の第2固定電極指で構成されている。言い換えれば、可動電極指の一方の側に第1固定電極指が配置され、他方の側に第2固定電極指が配置されている。
第1固定電極指382、384、386、388と第2固定電極指381、383、385、387とは、絶縁基板2上で互いに分離している。言い換えると、第1固定電極指382、384、386、388と、第2固定電極指381、383、385、387は、絶縁基板2上において、互いに連結されておらず、島状に孤立している。これにより、第1固定電極指382、384、386、388と第2固定電極指381、383、385、387とを電気的に絶縁することができる。そのため、第1固定電極指382、384、386、388と可動電極部36との間の静電容量、および、第2固定電極指381、383、385、387と可動電極部36との間の静電容量を別々に測定し、それらの測定結果に基づいて、高精度に物理量を検出することができる。
本実施形態では、固定電極指381〜388が絶縁基板2上で互いに分離している。言い換えると、固定電極指381〜388は、それぞれ、絶縁基板2上において、互いに連結されておらず、島状に孤立している。これにより、固定電極指381〜388のY軸方向での長さを揃えることができる。そのため、各固定電極指381〜388と絶縁基板2との各接合部の十分な接合強度を得るのに必要な面積を確保しつつ、固定電極指381〜388の小型化を図ることができる。そのため、センサーデバイス1の耐衝撃性を優れたものとしつつ、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。
同様に、固定電極部39は、前述した可動電極部37の複数の可動電極指371〜375に対して間隔を隔てて噛み合う櫛歯状をなすように並ぶ複数の固定電極指391〜398を備える。このような複数の固定電極指391〜398の可動部33とは反対側の端部は、それぞれ、絶縁基板2の上面の空洞部21に対して−Y軸方向側の部分に接合されている。そして、各固定電極指391〜398は、その固定された側の端を固定端とし、自由端が+Y軸方向へ延びている。
この固定電極指391、392、393、394、395、396、397、398は、−X軸方向側から+X軸方向側へ、この順に並んでいる。そして、固定電極指391、392は、対をなし、前述した可動電極指371、372の間に、固定電極指393、394は、対をなし、可動電極指372、373の間に、固定電極指395、396は、対をなし、可動電極指373、374の間に、固定電極指397、398は、対をなし、可動電極指374、375の間に臨むように設けられている。
ここで、固定電極指392、394、396、398は、それぞれ、第1固定電極指であり、固定電極指391、393、395、397は、それぞれ、絶縁基板2上で当該第1固定電極指に対して空隙(間隙)を介して離間した第2固定電極指である。このように、複数の固定電極指391〜398は、交互に並ぶ複数の第1固定電極指および複数の第2固定電極指で構成されている。言い換えれば、可動電極指の一方の側に第1固定電極指が配置され、他方の側に第2固定電極指が配置されている。
第1固定電極指392、394、396、398と第2固定電極指391、393、395、397とは、前述した固定電極部38と同様、絶縁基板2上で互いに分離している。これにより、第1固定電極指392、394、396、398と可動電極部37との間の静電容量、および、第2固定電極指391、393、395、397と可動電極部37との間の静電容量を別々に測定し、それらの測定結果に基づいて、高精度に物理量を検出することができる。
本実施形態では、複数の固定電極指391〜398は、前述した固定電極部38と同様、絶縁基板2上で互いに分離している。これにより、各固定電極指391〜398と絶縁基板2との各接合部の面積を十分なものとしつつ、固定電極指391〜398の小型化を図ることができる。そのため、センサーデバイス1の耐衝撃性を優れたものとしつつ、センサーデバイス1の小型化を図ることができる。
素子片3(即ち、固定部31、32、可動部33、連結部34、35、複数の固定電極指381〜388、391〜398および複数の可動電極指361〜365、371〜375)は、後述する1つの基板をエッチングすることにより形成されたものである。
これにより、固定部31、32、可動部33、連結部34、35、複数の固定電極指381〜388、391〜398および複数の可動電極指361〜365、371〜375の厚さを厚くすることができる。また、これらの厚さを簡単且つ高精度に揃えることができる。このようなことから、センサーデバイス1の高感度化を図ることができるとともに、センサーデバイス1の耐衝撃性を向上させることができる。
また、素子片3の構成材料としては、前述したような静電容量の変化に基づく物理量の検出が可能であれば特に限定されないが、半導体が好ましく、具体的には、例えば、単結晶シリコン、ポリシリコン等のシリコン材料を用いるのが好ましい。すなわち、固定部31、32、可動部33、連結部34、35、複数の固定電極指381〜388、391〜398および複数の可動電極指361〜365、371〜375は、それぞれ、シリコンを主材料として構成されているのが好ましい。
シリコンはエッチングにより高精度に加工することができる。そのため、シリコンを主材料として素子片3を構成することにより、素子片3の寸法精度を優れたものとし、その結果、物理量センサー装置であるセンサーデバイス1の高感度化を図ることができる。また、シリコンは疲労が少ないため、センサーデバイス1の耐久性を向上させることもできる。また、素子片3を構成するシリコン材料には、リン、ボロン等の不純物がドープされているのが好ましい。これにより、素子片3の導電性を優れたものとすることができる。
また、素子片3は、前述したように、絶縁基板2の上面に固定部31、32および固定電極部38、39が接合されることにより、絶縁基板2に支持されている。本実施形態では、図示しない絶縁膜を介して絶縁基板2と素子片3とが接合されている。
素子片3(具体的には、前述した固定部31、32および各固定電極指381〜388、391〜398)と絶縁基板2との接合方法は、特に限定されないが、陽極接合法を用いるのが好ましい。これにより、固定部31、32および固定電極部38、39(各固定電極指381〜388、391〜398)を絶縁基板2に強固に接合することができる。そのため、センサーデバイス1の耐衝撃性を向上させることができる。また、固定部31、32および固定電極部38、39(各固定電極指381〜388、391〜398)を絶縁基板2の所望の位置に高精度に接合することができる。そのため、物理量センサー装置であるセンサーデバイス1の高感度化を図ることができる。この場合、前述したようにシリコンを主材料として素子片3を構成し、かつ、アルカリ金属イオンを含むガラス材料で絶縁基板2を構成する。
(導体パターン)
導体パターン4は、前述した絶縁基板2の上面(固定電極部38、39側の面)上に設けられている。この導体パターン4は、配線41、42、43と、電極44、45、46とで構成されている。
配線41は、前述した絶縁基板2の空洞部21の外側に設けられ、空洞部21の外周に沿うように形成されている。そして、配線41の一端部は、絶縁基板2の上面の外周部(絶縁基板2上の蓋部材5の外側の部分)上において、電極44に接続されている。配線41は、前述した素子片3の第1固定電極指である各固定電極指382、384、386、388および各固定電極指392、394、396、398に電気的に接続されている。ここで、配線41は、各第1固定電極指に電気的に接続された第1配線である。
また、配線42は、前述した配線41の内側、かつ、前述した絶縁基板2の空洞部21の外側でその外周縁に沿って設けられている。そして、配線42の一端部は、前述した電極44に対して間隔を隔てて並ぶように絶縁基板2の上面の外周部(絶縁基板2上の蓋部材5の外側の部分)上において、電極45に接続されている。ここで、配線42は、各第2固定電極指に電気的に接続された第2配線である。
配線43は、絶縁基板2上の固定部31との接合部から、絶縁基板2の上面の外周部(絶縁基板2上の蓋部材5の外側の部分)上に延びるように設けられている。そして、配線43の固定部31とは反対側の端部は、前述した電極44、45に対して間隔を隔てて並ぶように絶縁基板2の上面の外周部(絶縁基板2上の蓋部材5の外側の部分)上において、電極46に接続されている。
このような配線41〜43の構成材料としては、それぞれ、導電性を有するものであれば、特に限定されず、各種電極材料を用いることができる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In3O3、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物(透明電極材料)、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、配線41〜43の構成材料としては、透明電極材料(特にITO)を用いるのが好ましい。配線41、42がそれぞれ透明電極材料で構成されていると、絶縁基板2が透明基板である場合、絶縁基板2の固定電極部38、39側の面上に存在する異物等を絶縁基板2の固定電極部38、39とは反対の面側から容易に視認することができる。そのため、高感度な物理量センサー装置としてセンサーデバイス1を提供することができる。
また、電極44〜46の構成材料としては、それぞれ、前述した配線41〜43と同様、導電性を有するものであれば、特に限定されず、各種電極材料を用いることができる。本実施形態では、電極44〜46の構成材料として、後述する突起471、472、481、482の構成材料と同じものが用いられている。
このような配線41、42(第1配線および第2配線)が絶縁基板2の上面に設けられていることにより、配線41を介して第1固定電極指382、384、386、388と可動電極部36との間の静電容量および第1固定電極指392、394、396、398と可動電極部37との間の静電容量を測定するとともに、配線42を介して第2固定電極指381、383、385、387と可動電極部36との間の静電容量および第2固定電極指391、393、395、397と可動電極部37との間の静電容量を測定することができる。
本実施形態では、電極44および電極46を用いることにより、第1固定電極指382、384、386、388と可動電極部36との間の静電容量および第1固定電極指392、394、396、398と可動電極部37との間の静電容量を測定することができる。また、電極45および電極46を用いることにより、第2固定電極指381、383、385、387と可動電極部36との間の静電容量および第2固定電極指391、393、395、397と可動電極部37との間の静電容量を測定することができる。また、このような配線41、42は、絶縁基板2の上面上(すなわち固定電極部38、39側の面上)に設けられているので、固定電極部38、39に対する電気的接続およびその位置決めが容易である。そのため、センサーデバイス1の信頼性(特に、耐衝撃性および検出精度)を向上させることができる。
また、配線41および電極44は、前述した絶縁基板2の窪み部22内に設けられ、配線42および電極45は、前述した絶縁基板2の窪み部23内に設けられ、配線43および電極46は、前述した絶縁基板2の窪み部24内に設けられている。これにより、配線41〜43が絶縁基板2の板面から突出するのを防止することができる。そのため、各固定電極指381〜388、391〜398と絶縁基板2との接合(固定)を確実なものとしつつ、固定電極指382、384、386、388、392、394、396、398と配線41との電気的接続および固定電極指381、383、385、387、391、393、395、397と配線42との電気的接続を行うことができる。同様に、固定部31と絶縁基板2との接合(固定)を確実なものとしつつ、固定部31と配線43との電気的接続を行うことができる。ここで、配線41〜43の厚さをそれぞれtとし、前述した窪み部22〜24の配線41が設けられた部分の深さをそれぞれdとしたとき、t<dなる関係を満たす。
これにより、例えば固定電極指391と配線41上の絶縁膜との間には、図示しない隙間が形成される。この隙間と同様の隙間が他の各固定電極指と配線41、42上の絶縁膜との間にも形成されている。この隙間により、センサーデバイス1の製造において、絶縁基板2と、素子片3との陽極接合時に生じるガスを排出することができる。
同様に、図示しないが、蓋部材5と配線43上の絶縁膜との間には、隙間が形成されている。この隙間が蓋部材5と配線41、42上の絶縁膜との間にも形成されている。これらの隙間は、蓋部材5内を減圧したり、不活性ガスを充填したりすることに用いることができる。なお、これらの隙間は、蓋部材5と絶縁基板2とを接着剤により接合する際に、接着剤により塞いでもよい。
第1配線である配線41上には、導電性を有する第1突起である複数の突起481および複数の突起482が設けられている。複数の突起481は、複数の第1固定電極指である固定電極指382、384、386、388に対応して設けられ複数の突起482は、複数の第1固定電極指である固定電極指392、394、396、398に対応して設けられている。
そして、複数の突起481を介して固定電極指382、384、386、388と配線41とが電気的に接続されるとともに、複数の突起482を介して固定電極指392、394、396、398と配線41とが電気的に接続されている。これにより、配線41と他の部位との不本意な電気的接続(短絡)を防止しつつ、各固定電極指382、384、386、388、392、394、396、398と配線41との電気的接続を行うことができる。
同様に、第2配線である配線42上には、導電性を有する第2突起である複数の突起471および複数の突起472が設けられている。複数の突起471は、複数の第2固定電極指である固定電極指381、383、385、387に対応して設けられ、複数の突起472は、複数の第2固定電極指である固定電極指391、393、395、397に対応して設けられている。
そして、複数の突起471を介して固定電極指381、383、385、387と配線42とが電気的に接続されるとともに、複数の突起472を介して固定電極指391、393、395、397と配線42とが電気的に接続されている。これにより、配線42と他の部位との不本意な電気的接続(短絡)を防止しつつ、各固定電極指381、383、385、387、391、393、395、397と配線42との電気的接続を行うことができる。
このような突起471、472、481、482の構成材料としては、それぞれ、導電性を有するものであれば、特に限定されず、各種電極材料を用いることができる。例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Al等の金属単体またはこれらを含む合金等の金属が好適に用いられる。このような金属を用いて突起471、472、481、482を構成することにより、配線41、42と固定電極部38、39との間の接点抵抗を小さくすることができる。
また、配線41〜43の厚さをそれぞれtとし、前述した窪み部22〜24の配線41が設けられた部分の深さをそれぞれdとし、突起471、472、481、482の高さをそれぞれhとしたとき、d≒t+hなる関係を満たす。
また、図示しないが、配線41〜43上には、絶縁膜が設けられている。なお、突起471、472、481、482、50上には、絶縁膜を形成せず、突起の表面が露出している。この絶縁膜は、導体パターン4と素子片3との不本意な電気的接続(短絡)を防止する機能を有する。これにより、配線41、42と他の部位との不本意な電気的接続(短絡)をより確実に防止しつつ、各第1固定電極指382、384、386、388、392、394、396、398と配線41との電気的接続および各第2固定電極指381、383、385、385、387、391、393、395、397と配線42との電気的接続を行うことができる。また、配線43と他の部位との不本意な電気的接続(短絡)をより確実に防止しつつ、固定部31と配線43との電気的接続を行うことができる。
絶縁膜は、突起471、472、481、482、50および電極44〜46の形成領域を除いて、絶縁基板2の上面の略全域に亘って形成されている。なお、絶縁膜の形成領域は、配線41〜43を覆うことができれば、これに限定されず、例えば、絶縁基板2の上面の素子片3との接合部位や蓋部材5との接合部位を除くような形状をなしていてもよい。
このような絶縁膜の構成材料としては、特に限定されず、絶縁性を有する各種材料を用いることができるが、絶縁基板2がガラス材料(特に、アルカリ金属イオンが添加されたガラス材料)で構成されている場合、二酸化珪素(SiO2)を用いるのが好ましい。これにより、前述したような不本意な電気的接続を防止するとともに、絶縁基板2の上面の素子片3との接合部位に絶縁膜が存在していても、絶縁基板2と素子片3とを陽極接合することができる。
また、絶縁膜の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、10〜1000nm程度であるのが好ましく、10〜200nm程度であるのがより好ましい。このような厚さの範囲で絶縁膜を形成すると、前述したような不本意な電気的接続を防止することができる。また、絶縁基板2がアルカリ金属イオンを含むガラス材料で構成され、かつ、素子片3がシリコンを主材料として構成されている場合、絶縁基板2の上面の素子片3との接合部位に絶縁膜が存在していても、絶縁膜を介して絶縁基板2と素子片3とを陽極接合することができる。
(蓋部材)
次に、図2および図4を用いて蓋部材5について説明する。蓋部材5は、前述した素子片3を保護する機能を有する。本実施形態の蓋部材5は、平面形状が矩形の板状をなし、その一方の面である下面に内部空間の一部として凹部51が設けられている。この凹部51は、素子片3の可動部33および可動電極部36、37等の変位を許容するように形成されている。
そして、蓋部材5の下面の凹部51よりも外側の部分は、前述した絶縁基板2の上面に接合されている。本実施形態では、図示しない絶縁膜を介して絶縁基板2と蓋部材5とが接合されている。蓋部材5と絶縁基板2との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤を用いた接合方法、陽極接合法、直接接合法等を用いることができる。また、蓋部材5の構成材料としては、前述したような機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、シリコン材料、ガラス材料等を好適に用いることができる。
上述のセンサーデバイス1は、ベース基板81の一面(上面)81a上に樹脂接着剤83によって接続された中継基板82に、樹脂接着剤84によって接続されている。そして、絶縁基板2に設けられている電極44、45、46と、ベース基板81に設けられているパッド電極86とが、金属配線(ボンディングワイヤー)88によって電気的に接続されている。なお、本形態では3つの金属配線88の例で説明したが、配線数はこれに限らない。
(効果)
このような構成の第1実施形態の電子デバイスとしてのセンサー80は、以下の効果を有している。センサー80は、ベース基板81と機能素子としてのセンサーデバイス1とが、ベース基板81およびセンサーデバイス1より平面面積の小さな中継基板82と接続されていることにより、ベース基板81における応力を伝える伝導面積を小さくすることができる。平面面積の小さな中継基板82をベース基板81の外形の内側に配置し、中継基板82を介してセンサーデバイス1を接続することで、ベース基板81の変形の小さな、即ち応力の小さな領域でのセンサーデバイス1の接続を行うことができる。さらに、センサーデバイス1の第1面としての裏面2aは、中継基板82の第2面82aの外形の外側に張り出しており、センサーデバイス1の外周端は自由端となっている。このように、センサーデバイス1が自由端を有しているため、伝導された応力はこの自由端で解放することができる。これらにより、ベース基板81に生じた応力変化のセンサーデバイス1への伝導を緩和することが可能となり、応力によるセンサーデバイス1の特性変化を抑制することができ、センサーデバイス1の測定精度を向上させることが可能となる。
また、中継基板82とセンサーデバイス1との接続が低弾性樹脂の樹脂接着剤84によって行われているため、低弾性樹脂である樹脂接着剤84によって応力の吸収、解放がなされ、ベース基板81に生じる大きな応力変化がセンサーデバイス1(素子部としての素子片3)に伝導することを抑制することが可能となる。
また、中継基板82には、ヤング率がセンサーデバイス1を構成する第1基材としての絶縁基板2のヤング率より高い部材を用いる。これにより、中継基板82よりヤング率の低い絶縁基板2の弾性によってベース基板81から中継基板82を介して伝導する応力の解放を促進させることができる。
これらにより、第1実施形態のセンサー80は、ベース基板81から中継基板82を介してセンサーデバイス1(素子片3)に伝導する応力を減少させることができる。これにより、ベース基板81に生じる大きな応力変化の影響を素子部としての素子片3が受け難くなり、素子片3の測定精度、即ちセンサー80の測定精度を向上、維持させることが可能となる。
<第2実施形態>
図5を用い、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスとしてのセンサーについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスとしてのセンサーの概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。なお、本第2実施形態の説明では、前述した第1実施形態と同様な構成については同符号を付し説明を省略する。なお、図5(a)は、センサーを構成するモールド部材を省略した状態を示している。
図5に示す第2実施形態の電子デバイスとしてのセンサー80aは、前述の第1実施形態の構成と比し、中継基板82と機能素子としてのセンサーデバイス1との接続方法が異なる。センサー80aは、ベース基板81と、ベース基板81の一面(上面)81a上に設けられた中継基板82と、中継基板82上に載置されたセンサーデバイス1と、センサーデバイス1などを覆うモールド部材85とを含んでいる。なお、センサーデバイス1、ベース基板81、中継基板82、モールド部材85については、前述の第1実施形態と同様な構成であるので同符号を付して説明を省略する。
センサーデバイス1は、絶縁基板2と、この絶縁基板2に接合、支持された素子片3と、素子片3を覆うように設けられた蓋部材5とを有する。なお、センサーデバイス1の詳細構成については、前述の第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
中継基板82は、第1実施形態と同様に、ベース基板81の一面(上面)81a上に、接合材としての樹脂接着剤83によって接続されている。中継基板82の形態は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。中継基板82の第3面82b(中継基板82の外形)は、ベース基板81の一面(上面)81aの外形の内側に収まって接続されている。即ち、ベース基板81の一面(上面)81aが中継基板82の外形より外側に張り出している。
センサーデバイス1は、中継基板82の第2面82a側に設けられているバンプ91によって、センサーデバイス1の第1面である裏面2a(絶縁基板2の一面)が接続され、中継基板82上に固定されている。なお、バンプ91は、例えば金(Au)、はんだ、銅(Cu)などの金属バンプ、あるいは樹脂をコアとし、その表面に金属層を設けた所謂樹脂コアバンプなどで形成することができる。第1実施形態と同様に、センサーデバイス1は、その第1面としての裏面2aが中継基板82の第2面82aに対向して接続されている。中継基板82の第2面82a(中継基板82の外形)は、センサーデバイス1の裏面(第1面)2aの外形の内側に収まって接続されている、即ち、センサーデバイス1の裏面(第1面)2aが、中継基板82の外形より外側に張り出すように接続されている。
このような第2実施形態のセンサー80aは、前述の第1実施形態のセンサー80の効果に加えて以下の効果を有している。第2実施形態のセンサー80aにおいて、センサーデバイス1は、中継基板82の第2面82a側に設けられているバンプ91によって、センサーデバイス1の第1面である裏面2a(絶縁基板2の一面)が接続され、中継基板82上に固定されている。このように、センサーデバイス1がバンプ91を用いて中継基板82に接続されることにより、センサーデバイス1と中継基板82との接合面積を小さくすることができる。また、バンプ91の柔軟性によっても応力解放が可能であり、接合面積の減少と併せてベース基板81に生じる応力変化が素子片3に伝導することを抑制することが可能となる。これにより、ベース基板81に生じる応力変化の影響を素子片3が受け難くなり、素子片3の測定精度、即ちセンサー80aの測定精度を向上、維持させることが可能となる。
<第3実施形態>
図6を用い、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスとしてのセンサーについて説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスとしてのセンサーの概略を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。なお、本第3実施形態の説明では、前述した第1実施形態と同様な構成については同符号を付し説明を省略する。なお、図6(a)は、センサーを構成するモールド部材を省略した状態を示している。
図6に示す第3実施形態の電子デバイスとしてのセンサー80bは、前述の第1実施形態の構成と比し、中継基板として半導体素子92を用いているところが異なる。センサー80bは、ベース基板81と、ベース基板81の一面(上面)81a上に設けられた中継基板としての半導体素子92と、半導体素子92の第2面としての裏面92b上に載置された機能素子としてのセンサーデバイス1と、センサーデバイス1などを覆うモールド部材85とを含んでいる。なお、センサーデバイス1、ベース基板81、モールド部材85については、前述の第1実施形態と同様な構成であるので同符号を付して説明を省略する。
センサーデバイス1は、絶縁基板2と、この絶縁基板2に接合、支持された素子片3と、素子片3を覆うように設けられた蓋部材5とを有する。なお、センサーデバイス1の詳細構成については、前述の第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
中継基板としての半導体素子(集積回路)92は、第3面としての能動面92a側に設けられたバンプ93と、能動面92aと表裏関係の第2面としての裏面92bとを有している。半導体素子92は、センサーデバイス1の素子片3を駆動振動させ、検出された信号を処理、制御するなどの機能を有している。そして、半導体素子92は、ベース基板81に設けられているパッド電極86、87などを含む図示しない配線パターンにバンプ93によって電気的接続をとって固定されている。バンプ93は、例えば金(Au)、銅(Cu)などで形成することができる。第1実施形態の中継基板82と同様に、半導体素子92の第3面としての能動面92a(半導体素子92の外形)は、ベース基板81の一面(上面)81aの外形の内側に収まって接続されている。即ち、ベース基板81の一面(上面)81aが半導体素子92の外形より外側に張り出している。
センサーデバイス1は、半導体素子92の裏面92bに、樹脂接着剤84によって、第1面である裏面2a(絶縁基板2の一面)が接続されている。第1実施形態と同様に、センサーデバイス1は、その第1面としての裏面2aが中継基板としての半導体素子92の裏面92bに対向して接続されている。半導体素子92の裏面92bの外形は、センサーデバイス1の裏面(第1面)2aの外形の内側に収まって接続されている、即ち、センサーデバイス1の裏面(第1面)2aが、半導体素子92の外形の外側に張り出すように接続されている。
そして、センサーデバイス1は、絶縁基板2に設けられている電極44、45、46と、ベース基板81に設けられているパッド電極86とが、金属配線(ボンディングワイヤー)88によって電気的に接続されている。なお、本実施形態では3つの金属配線88の例で説明したが、配線数はこれに限らない。また、図示しないが、半導体素子92と他の電気的接続が行われていてもよい。
このような第3実施形態のセンサー80bは、前述の第1実施形態のセンサー80、および第2実施形態のセンサー80aの効果に加えて以下の効果を有している。第3実施形態のセンサー80bにおいては、中継基板として半導体素子92を用いている。半導体素子92は、センサーデバイス1の素子片3を駆動振動させ、検出された信号を処理、制御するなどの機能を有しているため、この半導体素子92とセンサーデバイス1とを一つのパッケージ内に収めた、所謂1チップ化されたセンサーデバイスを提供することができる。換言すれば、センサーデバイス1の小型化に寄与することができる。
なお、前述の実施形態では、ベース基板81上に一つのセンサーデバイス1を搭載したセンサー80、80a、80bで説明したがこれに限らず、ベース基板81上に複数のセンサーデバイス1を搭載した構成のセンサーにも適用可能である。
また、前述の実施形態では、電子デバイスとしてセンサーを例に説明したがこれに限らず、他の電子デバイスとして、例えば素子部として振動素子を用いた振動デバイス、素子部として回路素子を用いた回路装置などにも適用することが可能である。
[電子機器]
次いで、本発明の一実施形態に係るセンサー80、80a、80bを適用した電子機器について、図7〜図9に基づき、詳細に説明する。なお、説明では、角速度を検出する素子片3を備えたセンサー80を適用した例を示している。
図7は、本発明の一実施形態に係るセンサー80を備える電子機器としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成の概略を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、角速度を検出する機能を備えたセンサー80が内蔵されている。
図8は、本発明の一実施形態に係るセンサー80を備える電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成の概略を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、角速度センサー等として機能するセンサー80が内蔵されている。
図9は、本発明の一実施形態に係るセンサー80を備える電子機器としてのデジタルスチールカメラの構成の概略を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、従来のフィルムカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチールカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送、格納される。また、このデジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなデジタルスチールカメラ1300には、角速度センサー等として機能するセンサー80が内蔵されている。
なお、本発明の一実施形態に係るセンサー80は、図7のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図8の携帯電話機、図9のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等の電子機器に適用することができる。
[移動体]
図10は移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車506には本発明に係るセンサー80が搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車506には、センサー80を内蔵してタイヤ509などを制御する電子制御ユニット508が車体507に搭載されている。また、センサー80は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。