JP2015002250A - 積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペーストおよび積層セラミックコンデンサ - Google Patents
積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペーストおよび積層セラミックコンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
Description
近年、MLCCの小型化、高集積化(多層化)および大容量化が求められており、このためには内部電極を薄層化することが求められている。
特許文献1には、MLCC電極の薄膜化には、内部電極形成に用いるニッケル粉末の粒子の大きさと共に、その粒子形状が球状であることが重要であることが記載されている。
[2]前記金属コロイド粒子のゼータ電位が、分散液のpH4〜12において、−60〜−20mVの範囲にある[1]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
(但し、分散液中の金属コロイド粒子の濃度が金属として0.1重量%の時)
[3]前記金属コロイド粒子が安定化剤としてカルボン酸化合物を吸着している[1]または[2]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[4]前記金属コロイド粒子の平均一次粒子径(DM1)が1〜150nmの範囲にある[1]〜[3]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[5]前記金属コロイド粒子が鎖状金属コロイド粒子である[1]〜[4]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[6]前記金属コロイド粒子がIB族、IIIB族、IVB族、VIA族、VIII族から選ばれる少なくとも1種の元素の金属、合金およびこれらの混合物である[1]〜[5]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[7]前記IB族の元素がAg、Cu、Auから選ばれる少なくとも1種であり、IIIB族の元素がInであり、前記IVB族の元素がSnであり、前記VIA族の元素がWであり、前記VIII族の元素がNi、Co、Pdから選ばれる少なくとも1種である[6]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[8]前記結晶性チタン酸塩微粒子がMTiO3で表される酸素八面体構造のペロブスカイト型結晶であり、MがIIA族元素から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類元素である[1]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[9]前記結晶性チタン酸塩微粒子の元素MがBaおよび/またはSrである[8]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[11]前記結晶性チタン酸塩微粒子の結晶子径(DCT)が5〜50nmの範囲にある[1]、[8]〜[10]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[12]前記結晶性チタン酸塩微粒子の濃度(CT)が、得られる内部電極層中の含有量(WT)が固形分として5〜30重量%となる範囲にあり、
前記金属微粒子の濃度(CM)が、得られる内部電極層中の含有量(WM)が固形分として70〜95重量%となる範囲にあり、
前記濃度(CT)と前記濃度(CM)との比(CT/CM)が、0.06〜0.42の範囲にある[1]〜[11]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[13]前記ペースト中のバインダー成分の濃度が1〜20重量%の範囲にあり、溶剤の濃度が0〜30重量%の範囲にある[1]〜[12]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[14]前記金属コロイド粒子の平均一次粒子径(DM1)と結晶性チタン酸塩微粒子の平均粒子径(DT)との比(DM1/DT)が0.1〜2の範囲にある[1]〜[13]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
[15]前記[1]〜[14]の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペーストを、塗布し、乾燥し、還元処理し、ついで加熱処理して得られた内部電極層を、2層以上有することを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
[16]さらに、還元処理の前に加熱処理によりバインダー成分が除去されてなる[15]の積層セラミックコンデンサ。
[17]内部電極層と内部誘電体層が順次積層されてなる[15]、[16]の積層セラミックコンデンサ。
またこのようなペーストを用いて形成された内部電極層と誘電体とが積層された積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体層と内部電極とが剥離することもなく、内部電極にクラック生じることもなく、薄層化あるいは高集積化が可能であり、製品の歩留まりも高く、信頼にも優れている。
積層セラミックコンデンサ内部電極形成用ペースト
本発明に係る積層セラミックコンデンサ内部電極形成用ペーストは、金属コロイド粒子からなる金属微粒子と結晶性チタン酸塩微粒子とバインダー成分と溶剤とを含む。
本発明に用いる金属コロイド粒子は、コロイド状に分散した粒子であり、表面に電荷を有し、それ自体分散安定性が高いものであり、通常の金属粒子とは、凝集したり、沈降したりすることがないという点で相違している。
金属コロイド粒子のゼータ電位が、−60mV未満の場合は金属コロイド微粒子の鎖状化が進まず、鎖状化による効果、即ち、粒界抵抗の減少効果が不充分となり、電気伝導度の向上効果が不充分となる場合がある。
ゼータ電位は、電気泳動法、流動電位法、超音波振動電位法、光散乱電気泳動法等で測定することができるが、本発明では光散乱電気泳動法を採用する。
カルボン酸化合物としては、アンス酸、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシナフトエ酸、没食子酸、クレソチン酸、パラヒドロキシ安息香酸、オルト−アセチルサリチル酸、リンゴ酸、マンデル酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ベンゼンカルボン酸、ギ酸、酢酸、ブタン酸、プロピオン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、グリコール酸、L−アスコルビン酸、マル酸、マレイン酸、アジピン酸等およびこれらの塩および混合物が挙げられる。
金属コロイド粒子の平均一次粒子径(DM1)が前記範囲の下限よりも小さいものは得ること自体が困難であり、得られたとしても、結晶性が著しく低いため、導電性が不充分となり、また、緻密な内部電極層が形成できない場合がある。
なかでも、Niコロイド粒子またはNiを主成分とした前記Ni以外の元素の金属とからなるNi系合金コロイド粒子は安価で高い導電性を示すので好適に用いることができる。
例えば、本発明で好適に用いることのできるNi系ナノ微粒子は、例えば、JETI、Vol.60,NO.10(2012)、p182に記載された方法は好適に採用することができる。
また、液相還元法では、金属塩水溶液に、必要に応じて安定化剤を添加し、還元剤を添加することによって調製することができる。
還元剤の使用量は、金属塩の還元性によっても異なるが、金属塩1モルに対し、水溶性の還元剤化合物の場合は0.5〜10モル、さらには1〜5モルの範囲にあることが好ましい。
なお、水素などのガスの場合は、所望の金属微粒子が生成するに充分な量を供給することが好ましい。
また、還元する際の温度は概ね10〜80℃の範囲にあることが好ましい。
前記した金属コロイド粒子はペースト中で単分散状態(非凝集状態)にあってもよいが、本発明では、金属コロイド粒子が鎖状に連結していることが好ましい。そのためには、予め金属コロイド粒子が鎖状に連結した鎖状金属コロイド粒子を用いることが好ましい。
このときの連鎖している金属コロイド粒子の数は平均一次粒子径(DM1)によっても異なるが、概ね3〜100個、さらには5〜50個の範囲にあることが好ましい。
ここで、再び添加する金属塩は単分散の金属コロイド粒子を連鎖させる役割をしている。
置換方法としては、溶剤の沸点によっても異なるが、蒸留法(共沸法)あるいは、凍結乾燥あるいは真空乾燥等によって粉体とした後、ペーストに用いる溶媒に再分散させる等の方法を採用することができる。
本発明に用いる結晶性チタン酸塩微粒子は、MTiO3で表される酸素八面体構造のペロブスカイト型結晶であり、Mは1種のアルカリ土類元素であることが好ましく、具体的には、Be、Mg、Ca、Sr、BaおよびRaのいずれかである。本発明では、BaおよびSrの少なくともいずれかを用いることが好ましい。
結晶性チタン酸塩微粒子の平均粒子径(DT)は5〜50nm、さらには10〜30nmの範囲にあることが好ましい。
(CT/CM)((WT/WM)も同じ)が小さいと、結晶性チタン酸塩微粒子が少なく、誘電体層と内部電極層との密着性が不充分となる場合がある。(CT/CM)((WT/WM)も同じ)が高すぎても、金属コロイド粒子が少なく、電気伝導性が不充分となる場合がある。
前記比(DM1/DT)が高すぎても、内部電極層の緻密化が不充分となったり、内部電極層と誘電体層との密着性が不充分になる場合があり、加えて内部電極層表面の凹凸が大きくなり電流漏洩が生じる場合がある。
本発明に用いるバインダー成分としては、従来公知の電極形成用ペーストに用いられる樹脂を用いることができる。
ペースト中のバインダー濃度は、1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%の範囲にあることが望ましい。この範囲にあると、緻密電気特性に優れた内部電極層を形成することができる。
バインダー成分として、具体的には、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
本発明に用いる溶剤としては、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、パラフィン系炭化水素等およびこれらの混合溶剤が挙げられる。
例えば、三本ロール法、ホモミキサー法、遊星撹拌機等による分散処理は好適に採用することができる。
上記した積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペーストを基材に塗布し、乾燥し、還元処理し、ついで加熱処理することによって内部電極層を形成することができる。
本発明にかかる積層セラミックコンデンサは、前記積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペーストを、塗布し、乾燥し、還元処理し、ついで加熱処理して得られた内部電極層を、2層以上有することを特徴とする。
通常、内部電極層は、基材表面に形成される。本発明に用いる基材としては、絶縁性(高誘電率)のセラミックシートが用いられる。
塗布方法としては、ドクターバー法、転写印刷法、パターン印刷法、スリットコーター法、アプリケーター法、キャピラリーコーター法等が挙げられる。
乾燥方法は、ペースト中の溶剤を除去できれば特に制限は無く、従来公知の方法を採用することができる。
乾燥後、内部電極層表面に誘電体層を形成する。誘電体層の形成には、従来公知の積層セラミックコンデンサ内部誘電体層形成用のペーストを用いることができる。
内部誘電体層形成用のペーストとして具体的には、前記した内部電極層形成用ペーストにおいて、金属微粒子を含まない以外は他の成分は同様のペーストが用いられる。
以降、内部電極層、内部誘電体層を所望の積層数となるように繰り返し形成する。
積層後、還元処理、ついで、加熱処理して積層セラミックコンデンサを得る。本発明では、還元処理工程でバインダー成分を概ね除去することができるが、前記の最終の乾燥工程の後、還元処理の前にバインダー成分をあらかじめ、加熱処理して除去してもよい。
前記乾燥後、あるいは前記加熱処理(A)のバインダー成分除去後、還元処理する。これによって、金属コロイド粒子同士の融着が促進され、内部電極層の導電性が高くなる。
温度が低いと、金属コロイド粒子同士の融着が促進されない場合があり、このため、導電性が不充分となる場合がある。温度が高すぎても、金属粒子コロイド同士の融着が促進されすぎ、表面が平滑な内部電極層を形成できない場合がある。
加熱処理温度は概ね700〜1500℃、さらには800〜1200℃の範囲にあることが好ましい。このときの雰囲気は、酸化雰囲気でもよく、不活性ガス雰囲気でもよいが、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。この工程を加熱処理(B)とすることもある。
加熱処理温度が低すぎると、内部誘電体層と内部電極層との密着性が不充分となったり、各層の緻密化が不充分となる場合がある。加熱処理温度が高すぎても、加熱温度が高く金属コロイド粒子同士の融着が促進されすぎ、平滑な薄膜が得られない場合がある。
内部電極の表面粗さ(Ra)が大きいと、内部電極の表面に凹凸が生じ、内部電極表面の平滑性がなくなり、電流漏洩の問題が生じ、得られるコンデンサの電気特性(静電容量、絶縁抵抗値等)が不充分となる場合がある。
誘電体層の平均厚みが薄すぎると、誘電体層の誘電率が低く誘電体層として十分な性能が得られない場合がある。
以下に、実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定するものではない。
金属コロイド粒子(1)の調製
硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO3)26H2O)(関東化学(株)製)50g、クエン酸水和物(キシダ化学(株)製)0.5gと1−ブタノール450gと混合し、撹拌しながらマイクロ波照射機(J-SIENCE(株)製:グリーンモチーフIc)にてマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。このとき、液が緑色から黒色に変化した。ついで、硝酸ニッケル六水和物5gを混合し、再びマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。ついで、金属微粒子分散液を遠心分離し、上澄みを除去した後、真空乾燥して鎖状に連鎖したNiの金属コロイド粒子(1)を調製した。
得られた金属コロイド粒子(1)について、以下のようにして平均一次粒子径(DM1)、連結数、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
金属コロイド粒子(1)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、10個の鎖状粒子について一次粒子の連結数を数え、その平均値を連結数とし、100個の一次粒子について粒子径を測定し、その平均値を平均一次粒子径(DM1)とした。
金属コロイド粒子(1)0.1gを水9.9gに分散させ、ゼータサイザー(マルバーン社製:ゼータサイザーZS)にて測定した。
水酸化バリウム8水和物(和光純薬工業(株))50gと2-メトキシエタノール(メチルセロソルブ)315gとをビーカーに入れ、超音波を照射しながら30℃で20分間溶解操作をして水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-1)を調製した。この時、Ba濃度は6.0重量%、水分含有量が6.2重量%であった。
ついで、窒素ガス雰囲気下、グローブボックス中にて、水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-2)170gに、Ba/Ti原子比が1となるようにテトライソプロポキシチタン(マツモトファインケミカル(株)製:オルガチックスTA−10)24.6gを混合した。工程(b)
25℃、2時間で添加してテトライソプロポキシチタンの加水分解を行った。工程(c)
金属コロイド粒子(1)72g、結晶性チタン酸塩(1)18gおよびエチルセルロース粉末10gを、タピネオール系溶剤(テルピネオール)50gに添加し、あわとり練太郎(シンキー社製:AR−250)にて一次分散させ、ついで、三本ロール((株)井上製作所製:HHCタイプ)にて二次分散させて積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(1-1)を調製した。この組成を表に示す。
チタン酸バリウム(堺化学(株)製:BT−01、平均粒子径=400nm)90gとエチルセルロース系粉末10gをタピネオール系溶剤56.5gに添加し、あわとり練太郎(シンキー社製:AR−250)にて一次分散させ、ついで、三本ロール((株)井上製作所製:HHCタイプ)にて二次分散させて積層セラミックコンデンサ内部誘電体層形成用ペースト(1-2)を調製した。この組成を表に示す。
チタン酸バリウムセラミックシート(厚さ=4.0μm)に積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(1-1)をスクリーン印刷にてパターン印刷し、乾燥し、ついで600℃で1時間加熱処理した。
この操作を繰り返して各々20層を形成した。
積層セラミックコンデンサ(1)を垂直に切断し、断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影し、各層の厚みを測定し、その平均値として各々表に示す。
積層セラミックコンデンサ(1)の最上部表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着、剥離したときの内部誘電体層が剥離せず残存している升目の数を、以下の3段階に分類することによって密着性を評価した(表1)。
残存升目の数100個 : ○
残存升目の数90〜99個: △
残存升目の数89個以下 : ×
静電容量は(図1)のラテラル型の回路にて測定し直流200Vの電圧をかけた際の値を使用し下式より求めた。
C=Q/V R=I/V Q:電荷(eq)C:静電容量(F) V:電圧 I:電流値(A)
R:絶縁抵抗値
直流破壊電圧値はコンデンサに直流電圧をかけ、電流が100μA流れた際の値を電圧値とした。
絶縁抵抗値は、100μA電流が流れる際の電圧の関係から求めた。
損失係数は理論値と実測値との差であり、交流におけるリアクタンス(充電→放電→充電)時の静電容量及び抵抗値を測定した。その際、抵抗値と静電容量の関係をプロットし理論値からのずれを求め損失係数とした。
構造欠点は得られた積層コンデンサの膜断面をSEMで確認しその凹凸構造よりRaを求めた。
積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(2-1)の調製
金属コロイド粒子(1)67.5g、結晶性チタン酸塩(1)22.5gおよびエチルセルロース粉末10gをタピネオール系溶剤50gに添加し、自転公転攪拌機(シンキー社製:AR−250)にて一次分散させ、ついで、三本ロール((株)井上製作所製:HHCタイプ)にて二次分散させて積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(2-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(2-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(2)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(2)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(3-1)の調製
金属コロイド粒子(1)81g、結晶性チタン酸塩(1)9gおよびエチルセルロース粉末10gをタピネオール系溶剤50gに添加し、あわとり練太郎(シンキー社製:AR−250)にて一次分散させ、ついで、三本ロール((株)井上製作所製:HHCタイプ)にて二次分散させて積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(3-1)を調製した。 この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(3-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(3)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(3)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属コロイド粒子(2)の調製
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2(6・H2O)・(関東化学(株)製)50g、クエン酸水和物(キシダ化学(株)製)2.0gと1−ブタノール450gと混合し、撹拌しながらマイクロ波照射機(J-SIENCE(株)製:グリーンモチーフIc)にてマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。このとき、液が緑色から黒色に変化した。ついで、硝酸ニッケル5gを混合し、再びマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。ついで、金属コロイド微粒子分散液を遠心分離し、上澄みを除去した後、真空乾燥して鎖状に連鎖したNiの金属コロイド粒子(2)を調製した。
得られた金属コロイド粒子(2)について、平均一次粒子径(DM1)、連結数、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属コロイド粒子(2)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(4-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(4-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(4)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(4)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属コロイド粒子(3)の調製
硝酸ニッケル(Ni(NO3)26・H2O)(関東化学(株)製)50g、クエン酸水和物(キシダ化学(株)製)0.4gと1−ブタノール450gと混合し、撹拌しながらマイクロ波照射機(J-SIENCE(株)製:グリーンモチーフIc)にてマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。このとき、液が緑色から黒色に変化した。ついで、硝酸ニッケル5gを混合し、再びマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。ついで、金属コロイド微粒子分散液を遠心分離し、上澄みを除去した後、真空乾燥して鎖状に連鎖したNiの金属コロイド粒子(3)を調製した。
得られた金属コロイド粒子(3)について、平均一次粒子径(DM1)、連結数、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属コロイド粒子(3)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(5-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極形成用ペースト(5-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(5)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(5)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属コロイド粒子(4)の調製
銀コロイド微粒子(日揮触媒化成(株)製:MK−5001AGV、平均粒子径10nm、濃度10重量%)100gにクエン酸Naを3g添加し1時間撹拌後、両性イオン交換樹脂(三菱化学(株)製SMNUPB)を用いてpHを3.5になるまでイオン交換した。次いで水素ガスにて10秒間バブリングを行った。この時のクエン酸量はAg100重量部に対して2重量部であった。ついで、金属コロイド微粒子分散液を遠心分離し、上澄みを除去した後、真空乾燥して銀コロイド微粒子が鎖状に連鎖した金属コロイド粒子(4)を調製した。
得られた金属コロイド粒子(4)について、平均一次粒子径(DM1)、連結数、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属コロイド粒子(4)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(6-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(6-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(6)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(6)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属コロイド粒子(5)の調製
硝酸銅(Cu(NO3)23H2O)(関東化学(株)製)50gと、クエン酸水和物(キシダ化学(株)製0.86gと1−ブタノール450gと混合し、撹拌しながらマイクロ波照射機(J-SIENCE(株)製:グリーンモチーフIc)にてマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。このとき、液が緑色から黒色に変化した。ついで、硝酸銅(Cu(NO3)23H2O)5gを混合し、再びマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。ついで、金属コロイド微粒子分散液を遠心分離し、上澄みを除去した後、真空乾燥して銅コロイド微粒子が鎖状に連鎖した金属コロイド粒子(5)を調製した。
得られた金属コロイド粒子(5)について、平均一次粒子径(DM1)、連結数、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属コロイド粒子(5)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(7-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(7-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(7)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(7)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属コロイド粒子(6)の調製
硝酸ニッケル(Ni(NO3)26H2O)・(関東化学(株)製)50g、クエン酸水和物(キシダ化学(株)製)1.0gと1−ブタノール450gと混合し、撹拌しながらマイクロ波照射機(J-SIENCE(株)製:グリーンモチーフIc)にてマイクロ波(波長2.45GHz)を30秒間照射した。このとき、液が緑色から黒色に変化した。ついで、金属コロイド微粒子分散液を遠心分離し、上澄みを除去した後、真空乾燥してNiの金属コロイド粒子(6)を調製した。
得られた金属コロイド粒子(6)について、以下のようにして平均一次粒子径(DM1)、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属コロイド粒子(6)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(8-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(8-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(8)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(8)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
結晶性チタン酸塩(2)の調製
実施例1において、ロータリーエバポレーター用い、温度70℃、減圧度0.015MPaで5時間、水分除去操作を行って水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-3)を調製した。この時、水分含有量が0.2重量%であった。工程(a)
水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-3)のBaO濃度は7.0重量%、水分含有量は0.2重量%であった。
実施例1において、結晶性チタン酸塩(2)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(9-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(9-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(9)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(9)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
結晶性チタン酸塩(3)の調製
水酸化バリウム8水和物(和光純薬工業(株))50gと2-メトキシエタノール315gとをビーカーに入れ、超音波を照射しながら40℃で20分間溶解操作をして水酸化バリウム・2-メトキシエタノール溶液(1-1)を調製した。この時、Ba濃度は6.0重量%、水分含有量が6.2重量%であった。工程(a)
以下、水分除去することなく実施例1と同様にして結晶性チタン酸塩(3)分散液を調製し、ついで、実施例1と同様にして結晶性チタン酸塩(3)の結晶形と結晶子径(1)、平均粒子径(1)を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、結晶性チタン酸塩(3)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(10-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(10-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(10)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(10)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属微粒子粉末(R1)の調製
金属微粒子粉末(R1)としてニッケル粉末(東邦チタニウム(株)製:400ナノ品、平均粒子径400nm)を用いた。なお、ニッケル粉末について、平均一次粒子径(DM1)、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属微粒子粉末(R1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(8-1)を調製した。この組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(R1-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(R1)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(R1)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計のコンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属微粒子粉末(R2)の調製
金属微粒子粉末(R2)として銀粉末(DOWAエレクトロニクス(株)製:スーパーファイン銀粉−2、平均粒子径300nm)を用いた。銀粉末について、平均一次粒子径(DM1)、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属微粒子粉末(R2)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(9-1)を調製した。 このときの組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(R2-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(R2)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(R2)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計コンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
金属微粒子粉末(R3)の調製
金属微粒子粉末(R3)として銅粉末(住友金属鉱山(株)製:UCP−030、平均粒子径450nm)を用いた。銅粉末について、平均一次粒子径(DM1)、ゼータ電位を測定し、結果を表に示す。
実施例1において、金属微粒子粉末(R3)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(10-1)を調製した。 このときの組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(R3-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(R3)を作製した。
得られた積層セラミックコンデンサ(R3)について、内部電極層厚み、内部誘電体層厚み、合計コンデンサ厚み、表面粗さ(構造欠陥)、密着性、静電容量、絶縁抵抗値、損失係数および直流破壊電圧を測定し、結果を表に示す。
積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(R4-1)の調製
実施例1にて調製した金属コロイド粒子(1)90g、およびエチルセルロース粉末10gをタピネオール系溶剤50gに添加し、あわとり練太郎(シンキー社製:AR−250)にて一次分散させ、ついで、三本ロール((株)井上製作所製:HHCタイプ)にて二次分散させて積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(R4-1)を調製した。 このときの組成を表に示す。
実施例1において、積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト(R4-1)を用いた以外は同様にして積層セラミックコンデンサ(R4)を作製した。
Claims (17)
- 金属コロイド粒子からなる金属微粒子と結晶性チタン酸塩微粒子とバインダー成分と溶剤とを含んでなることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記金属コロイド粒子のゼータ電位が、分散液のpH4〜12において、−60〜−20mVの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
(但し、分散液中の金属コロイド粒子の濃度が金属として0.1重量%の時) - 前記金属コロイド粒子が安定化剤としてカルボン酸化合物を吸着していることを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記金属コロイド粒子の平均一次粒子径(DM1)が1〜150nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記金属コロイド粒子が鎖状金属コロイド粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記金属コロイド粒子がIB族、IIIB族、IVB族、VIA族、VIII族から選ばれる少なくとも1種の元素の金属、合金およびこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記IB族の元素がAg、Cu、Auから選ばれる少なくとも1種であり、IIIB族の元素がInであり、前記IVB族の元素がSnであり、前記VIA族の元素がWであり、前記VIII族の元素がNi、Co、Pdから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記結晶性チタン酸塩微粒子がMTiO3で表される酸素八面体構造のペロブスカイト型結晶であり、MがIIA族元素から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類元素であることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記結晶性チタン酸塩微粒子の元素MがBaおよび/またはSrであることを特徴とする請求項8に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記結晶性チタン酸塩微粒子の平均粒子径(DT)が5〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1、8および9のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記結晶性チタン酸塩微粒子の結晶子径(DCT)が5〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1、8〜10のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記結晶性チタン酸塩微粒子の濃度(CT)が、得られる内部電極層中の含有量(WT)が固形分として5〜30重量%となる範囲にあり、
前記金属微粒子の濃度(CM)が、得られる内部電極層中の含有量(WM)が固形分として70〜95重量%となる範囲にあり、
前記濃度(CT)と前記濃度(CM)との比(CT/CM)が、0.06〜0.42の範囲にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。 - 前記ペースト中のバインダー成分の濃度が1〜20重量%の範囲にあり、溶剤の濃度が0〜30重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 前記金属コロイド粒子の平均一次粒子径(DM1)と結晶性チタン酸塩微粒子の平均粒子径(DT)との比(DM1/DT)が0.1〜2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペースト。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極層形成用ペーストを、塗布し、乾燥し、還元処理し、ついで加熱処理して得られた内部電極層を、2層以上有することを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
- さらに、還元処理の前に加熱処理によりバインダー成分が除去されてなることを特徴とする請求項15に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 内部電極層と内部誘電体層が順次積層されてなることを特徴とする請求項15または16に記載の積層セラミックコンデンサ。
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