JP2007184386A - 誘電体層付導電性基材、その製造方法、キャパシタ及びプリント配線基板 - Google Patents

誘電体層付導電性基材、その製造方法、キャパシタ及びプリント配線基板 Download PDF

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Seishiro Yamakawa
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Kunitaka Fujiyoshi
国孝 藤吉
Yoko Taniguchi
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Abstract

【課題】高価且つ大型の装置を必要とせずに、容易に高い誘電特性を有する誘電体層を形成することができるキャパシタ及びそれを備えたプリント配線基板を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも一表面に誘電体層が形成された誘電体層付導電性基材において、
前記誘電体層が、金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物と樹脂成分とを含有することを特徴とする誘電体層付導電性基材を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性基材表面に誘電体層が形成された誘電体層付導電性基材、その製造方法、キャパシタ及びプリント配線板に関する。
近年、電子機器の高機能化が進むにつれて、電子機器に組み込まれるコンデンサ等の電子部品の高密度化が要求されている。
こうした要求に応えるべく、従来プリント配線板等の表面に実装していたコンデンサを、プリント配線板の表面やプリント配線板の内層に薄層キャパシタとして組込む方法が検討されている。このような薄層キャパシタは、導電性基材上に薄型で高誘電率の誘電体層を形成することにより得られる。このような誘電体層を導電性基材上に形成する方法としては、高誘電率の無機粉末と樹脂とからなるポリマーコンポジットを用いて誘電体層を形成する方法、セラミックスを含有するペーストを導電性基材上に塗布した後、焼結することによりセラミックスの誘電体層を形成する方法、CVD法等の気相法を用いて誘電体層を形成する方法等が知られている。
前記ポリマーコンポジットを用いて誘電体層を形成する方法として、下記特許文献1には、熱硬化性樹脂と無機充填材とを含む樹脂組成物の硬化物から構成される誘電体層が形成された積層板であって、誘電体層中に無機充填材として水熱合成法で合成されたチタン酸ジルコン酸バリウムを含有し、誘電体層全体の厚みが10〜60μmであり、500Vの電圧を印加した際の体積抵抗率が、誘電体層の厚みが40〜60μmの場合に1012〜1016Ω・cmであり、誘電体層の厚みが10〜40μmの場合に1010〜1016Ω・cmであることを特徴とする積層板が記載されている。前記水熱合成法で形成された無機充填材は凝集しやすく、誘電体層中で均一に分散させることが困難であるために誘電体層の誘電率が不均一となる問題があった。このような場合に、均質な誘電体層を得るためには10μm以上のような厚みの誘電体層を形成する必要があるが、誘電体層における静電容量密度はその厚みに対して反比例することから、誘電体層が厚くなればなるほど静電容量密度が小さくなるため厚い誘電体層は好ましくない。
また、前記セラミックスキャパシタを用いて誘電体層を形成する方法としては、下記特許文献2には32〜98%のBaTiO3と、2〜60%の亜鉛バリウムほう酸塩フリットと、0〜8%のBi23とを、質量%でもって含むことを特徴とするキャパシタ誘電体厚膜組成物を用いる方法が記載されている。このようなセラミックス成分を用いて得られる誘電体層は、組成物をコーティングした後に、誘電体層内部の空隙を減少させて密度を高めて、また、結晶化度を高めるために、通常850℃程度の高温で焼成する必要がある。このような焼成工程においては、金属製の導電性基材の酸化を防ぐために低酸素濃度雰囲気が実現できる高価且つ大型の焼成炉が必要となり、また、高温で焼成を行なうために、誘電体層にクラックが発生するという問題があった。
前記CVD法等の気相法を用いた方法としては下記特許文献3の(0009)には、誘電体層等の形成方法として、例えば、蒸着、化学的気相成長(CVD)、プラズマCVD、電子線エピタキシー、スパッタリング、反応性スパッタリングなどの気相法により誘電体層を形成する方法が記載されている。このような気相法を用いる場合にも、高価且つ大型の真空装置等が必要であり、また、連続的な製造処理が困難であるという問題もあった。
一方、前記各種方法とは別の方法として、下記特許文献4には、ゾル‐ゲル法を用いて得られる結晶粒子が分散している分散液を用いて導電性基材上に塗膜を形成し、その塗膜を乾燥及び焼成することによりキャパシタ誘電体を形成する技術が開示されている。前記技術によれば薄い誘電体層を形成できるが、450℃以上の温度で焼成する必要があるために、導電性基材の酸化による変質、あるいは誘電体層にクラックが発生するという問題があった。
特開2003―39587号公報 特開平10―149947号公報 特開2003―158378号公報 特開2005―44833号公報
本発明は、導電性基材上に誘電体層を形成する際に、高価な真空装置や加熱装置を必要とせず、また、導電性基材が酸化したり、誘電体層にクラックが発生するという問題が生じる高温での熱処理も必要とせずに製造することができる、高い誘電特性を有する誘電体層を備えた誘電体層付導電性基材、前記誘電体層付導電性基材を用いて得られるキャパシタ及びプリント配線基板を提供することを課題とする。
請求項1の発明は、導電性基材の少なくとも一表面に誘電体層が形成されてなる誘電体層付導電性基材において、前記誘電体層が、樹脂成分と金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物とを含有することを特徴とする誘電体層付導電性基材。
また請求項2の発明は、前記誘電体層中の結晶性金属酸化物の割合が50〜95質量%である請求項1に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項3の発明は、前記誘電体層の厚みが0.3〜2μmである請求項1又は請求項2に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項4の発明は、前記誘電体層の1MHzにおける静電容量密度が10nF/cm以上であり、10Vにおける体積抵抗率が1011Ωcm以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項5の発明は、前記樹脂成分が硬化性樹脂である請求項1〜4の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項6の発明は、前記導電性基材が銅箔である請求項1〜5の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項7の発明は、少なくとも一表面に誘電体層が形成された誘電体層付導電性基材において、前記誘電体層が、導電性基材の表面に金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液を塗布したのち、加熱することにより結晶性金属酸化物からなる層を形成し、さらに、前記結晶性金属酸化物からなる層の表面に樹脂成分を塗布したのち、加熱することにより形成されうるものであることを特徴とする誘電体層付導電性基材である。
また、請求項8の発明は、前記分散液中に含有される結晶性金属酸化物の粒子の数平均粒子径が0.01〜0.15μmである請求項7に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項9の発明は、前記分散液中に含有される結晶性金属酸化物の粒子が、数平均粒子径が異なる2種以上の粒子群の混合物からなるものである請求項7又は請求項8に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項10の発明は、前記分散液が数平均粒子径の異なる2種の粒子群が混合されてなる場合において、一方の粒子群の数平均粒子径が他方の粒子群の数平均粒子径の2倍以上である請求項9に記載の誘電体層付導電性基材である。
また、請求項11の発明は、導電性基材の表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液を塗布したのち、100〜300℃で加熱することにより金属酸化物層を形成する工程、前記形成された金属酸化物層の表面に樹脂成分を塗布することにより樹脂層を形成する工程を備えることを特徴とする誘電体層付導電性基材の製造方法である。
また、請求項12の発明は、前記結晶性金属酸化物の粒子の数平均粒子径が0.01〜0.15μmである請求項11に記載の誘電体層付導電性基材の製造方法である。
また、請求項13の発明は、請求項1〜10の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材の誘電体層の表面に、導電性層を形成して得られることを特徴とするキャパシタである。
また、請求項14の発明は、プリント配線基板において、請求項13に記載のキャパシタを備えることを特徴とするプリント配線基板である。
請求項1の誘電体層付導電性基材は、誘電損失が低く、また高い静電容量密度を有する誘電体層を備えた導電性基材である。
また、請求項2の誘電体層付導電性基材は、誘電体層中の結晶性金属酸化物の割合が50〜95質量%であるために、さらに高い静電容量密度を有する誘電体層付導電性基材を得ることができる。
また、請求項3の誘電体層付導電性基材は、誘電体層の厚みが0.3〜2μmのように非常に薄いために、さらに高い静電容量密度を有する誘電体層付導電性基材である。
また、請求項4の誘電体層付導電性基材は、誘電損失が低く、静電容量密度及び体積抵抗率が高い誘電体層付導電性基材である。
また、請求項5の誘電体層付導電性基材は、樹脂成分が硬化性樹脂であるために、樹脂成分の塗布及び硬化が容易であり、容易に製造されるものである。
また、請求項6の誘電体層付導電性基材は、導電性基材に汎用性の高い銅箔を用いることにより工業的生産性が高いものである。
また、請求項7の誘電体層付導電性基材は、優れた誘電特性を有する誘電体層付導電性基材である。
また、請求項8の誘電体層付導電性基材は、誘電体層の金属酸化物が、数平均粒子径が0.01〜0.15μmである結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液を導電性基材上に塗布することにより形成されるために、薄い誘電体層を形成することが可能である。従って、低い誘電損失を有し、且つ、静電容量密度が高い誘電体層付導電性基材が得られる。
また、請求項9の誘電体層付導電性基材は、平均粒子径が異なる2種以上の結晶性金属酸化物の粒子群の混合物を含有する分散液を用いて、緻密な結晶性金属酸化物を含有する誘電体層が形成される。従って、更に、低い誘電損失を有し、且つ、静電容量密度が高い誘電体層が形成された誘電体層付導電性基材が得られる。
また、請求項10の誘電体層付導電性基材は、前記誘電体層付導電性基材において、結晶性金属酸化物が更に緻密になり、さらに、低い誘電損失を有し、且つ、静電容量密度が高い誘電体層を有するものである。
また、請求項11の誘電体層付導電性基材の製造方法によれば、従来の金属酸化物粒子を用いて誘電体層を形成する際に必要であった、高温での焼結工程を必要とせず、低温での加熱工程のみにより誘電体層を形成することができる。従って、高温での焼結工程で生じる導電性基材の酸化や誘電体層のクラックの発生を抑制することができる。また、このような製造方法によれば、従来の誘電体層の形成のように、特別な設備を必要とせずに、主として塗布工程のみにより形成することができるために、製造が容易であり、また、大面積の誘電体層付導電性基材も容易に形成できる。
また、請求項12の誘電体層付導電性基材の製造方法によれば、薄くて高い誘電特性の誘電体層を導電性基材上に容易に形成することができる。
また、請求項13のキャパシタは容易に製造される高い静電容量密度の高性能の薄膜キャパシタである。
また、請求項14のプリント配線板はプリント配線板の表面にキャパシタを形成させたり又はプリント配線基板の内層に組込むことができ、電子機器の高機能化や軽薄短小化に寄与することができる。
本発明の誘電体層付導電性基材は、導電性基材の少なくとも一表面に誘電体層が形成されてなる誘電体層付導電性基材において、前記誘電体層が、樹脂成分と金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物とを含有することを特徴とするものである。
前記誘電体層付導電性基材の製造方法の一例について、以下に詳しく説明する。
本発明に用いられる金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物としては、ゾルーゲル法により金属アルコキシドの加水分解生成物が縮合することによって得られる結晶性の金属酸化物であり、例えば、1種以上の金属アルコキシドを0.5mol/L以上の高濃度で溶媒中に溶解させた前駆体溶液を低温で加水分解し、更に、必要に応じて、結晶化を促進するために所定温度で所定時間エージング処理することにより得られるものである。
前記金属アルコキシドは、A及びBを金属元素とし、Oを酸素元素として、ペロブスカイト化合物を一般式ABO3で表したときのA金属元素とB金属元素の各金属アルコキシドであり、A金属元素は元素周期律表の第1B族、第2A族、第2B族、第3A族、第4B族、第5B族、及び第8族から選ばれる少なくとも1種以上であり、B金属元素は元素周期律表の第4A族、第4B族、及び第5B族から選ばれる少なくとも1種以上とすることができる。金属アルコキシドに含まれる金属は、目的とするペロブスカイト化合物を構成する金属元素とする必要があるが、金属アルコキシドとする際のアルコキシドの種類に制約はない。
ここで、A金属元素としては、例えば、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Pb、Bi、Fe、Co、Ni等が挙げられ、また、B金属元素としては、Ti、Zr、Hf、Sn、Sb等が挙げられる。更に、ペロブスカイト化合物において、A金属元素又はB金属元素の一部をそれぞれ置換可能な他の金属元素と入れ換えることも可能で、例えばBaTiO3の場合では、Baの一部を1種以上のA金属元素、例えばSr、Y、Laで置き換えて(Ba1―xSr)TiO3、(Ba1-x-y-zSrxLayz)TiO3とすることも可能である。
金属アルコキシドとしては単一の金属アルコキシドをペロブスカイト化合物の組成となるように複数種類組み合わせて使用しても、複合アルコキシドを使用してもよい。
前記単一の金属アルコキシドとしては、例えば、バリウムメトキシド、バリウムエトキシド、バリウムプロポキシド、バリウムブトキシド、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、トリエトキシイットリウム、トリイソプロポキシイットリウム、トリエトキシランタン、トリイソプロポキシランタン、ジエトキシストロンチウム、ジイソプロポキシストロンチウム等が挙げられる。
また、複合アルコキシドとしては、例えば、バリウムチタンメトキシド、バリウムチタンエトキシド、バリウムチタンプロポキシド、バリウムチタンブトキシド、ストロンチウムチタンメトキシド、ストロンチウムチタンエトキシド、ストロンチウムチタンプロポキシド、ストロンチウムチタンブトキシド、等が挙げられる。
これらの中では、複合アルコキシドとしては、バリウムチタンエトキシドが有機溶剤への溶解性の点から好ましく、単一の金属アルコキシドの組合せとしてはバリウムエトキシドとチタンプロポキシドとの組み合わせが有機溶剤への溶解度が高く,バリウムとチタンとの複合アルコキシドを容易に形成することができる点から好ましい。
前記金属アルコキシドは、好ましくは、0.5mol/L以上の高濃度で溶媒中に溶解されて、前駆体溶液に調整される。
前記溶媒としては、金属アルコキシドを高濃度、例えば、0.5mol/L以上の濃度で溶解する溶媒であれば特に種類に制限はなく、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール等)、ケトン系(メチルエチルケトン、アセトン等)等の有機溶媒を単独で使用しても、相溶性のある溶媒同士を組み合わせて混合溶媒としたものを使用してもよい。
そして、前記前駆体溶液を低温で加水分解し、必要に応じて、所定温度で所定時間エージング処理することにより結晶性金属酸化物の粒子を含むゲルが生成される。
前駆体溶液の加水分解は、前駆体溶液に、好ましくは−60〜0℃、さらに好ましくは−50〜0℃で加水分解液を添加することにより行われる。
前記加水分解液の具体例としては、例えば、無機酸、有機酸、水酸化物、有機アミン類等の酸性又はアルカリ性の水溶液、水と相溶性のある有機溶媒の水溶液、または水があげられる。
前記加水分解液を添加する場合には、その添加量を調整することにより得られる結晶性金属酸化物粒子の粒子径を制御することができる。なお、前記添加量は前駆体溶液がゲル化しない範囲で行なうことが好ましく、加水分解する温度が低いほど、より多くの加水分解液を添加することができ、粒子径の調整の幅が広がるために好ましい。
例えば、前記バリウムエトキシドとチタンプロポキシドとの組み合わせからなる金属アルコキシドを加水分解する場合には、−30℃において前駆体溶液中のチタンのモル数に対して水のモル数が16倍程度以上になるように加水分解液を添加すると前駆体溶液がゲル化するが、−50℃においては前駆体溶液中のチタンのモル数に対して水のモル数が100倍程度以上になるように添加してもゲル化しない。
前記バリウムエトキシドとチタンプロポキシドとの組み合わせからなる金属アルコキシドを加水分解する場合には、加水分解液の添加量は前駆体溶液中のチタンのモル数に対して水のモル数が4倍以上、更には16倍以上になるように添加することが好ましい。前記水のモル数が4倍未満になると結晶性の高いチタン酸バリウムの粒子を得ることが難しく、また結晶性の高いチタン酸バリウムの粒子を得るために要する時間が長くなるために、製造コストが高くなり、工業的価値に乏しい。このため、添加量は所望の平均粒子径を得るために必要な量に調整して添加すればよい。
前記加水分解後のエージング処理は、例えば、0〜60℃で1〜480時間、さらには、20〜60℃で24〜168時間行なうことが好ましい。エージング処理することで、結晶性金属酸化物の粒子の結晶化度を高めることができる。
なお、本発明における結晶性とは、X線回折装置によりXRDパターンを測定し、そのパターンに基づいて結晶成分からの回折ピークと非晶質成分からの干渉性散乱強度曲線(ハローパターン)の分離を行いそれぞれの積分強度を算出し、式(1)によって積分強度の総和に占める回折ピークの積分強度の割合から求めた結晶化度Xcが70%以上の状態をいう。
Figure 2007184386
(Sc:回折ピークの積分強度、Sa:ハローパターンの積分強度、Xc:結晶化度)
このようにして得られる結晶性金属酸化物の粒子の数平均粒子径としては、0.01〜0.15μm、さらには、0.03〜0.14μmであることが、薄い誘電体層を形成することができ、誘電体層の静電容量密度を高くすることができる点から好ましい。なお、前記数平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布計により測定された数平均粒子径である。
前記数平均粒子径が小さすぎる場合には結晶構造が充分に成長せず、誘電体としての特性が不充分になり、大きすぎる場合には薄い誘電体層を形成することが困難であり、また、薄く形成したとしても誘電体層の厚みに対して粒子が大きすぎるため、誘電体層の厚み方向に充分な数の粒子を積み重ねることができず、絶縁性が低下する傾向がある。
そしてこのようにして得られた、結晶性金属酸化物の粒子を含むゲルを溶媒中に分散させることにより、導電性基材上に誘電体層を形成するために用いる分散液が得られる。
分散液を調製する際に使用される溶媒は、結晶性金属酸化物の粒子の種類により適宜選択して用いられるが、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール等)、ケトン系(メチルエチルケトン、アセトン等)等の有機溶媒や水を使用することができる。また、粉砕したゲルの分散を容易にするためには、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等の高分子系や、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の低分子系の分散剤を使用してもよい。なお、分散剤の種類と添加量はゲルの種類とゲルを分散させる溶媒の種類により適宜選定して使用する必要がある。
さらに、前記分散液にはシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤等の各種表面処理剤等を添加して結晶性金属酸化物の粒子の表面を活性化してもよい。
なお、分散される結晶性金属酸化物の粒子は、前記加水分解の条件により、スラリー状又は塊状となる場合があるが、このような場合には、生成したゲルを溶媒中に投入し、機械的粉砕、あるいは超音波を使用した粉砕を行ないながら溶媒中に分散させてもよい。
このようにして得られる分散液中の結晶性金属酸化物の粒子の濃度としては、0.01〜2mol/L、さらには0.1〜1mol/Lであるのが好ましい。前記濃度が低すぎる場合には、一定の厚みの膜厚を得るために、後述のスピンコート等による塗布を多くの回数を繰り返す必要があるため、製造工程上好ましくなく、高すぎる場合には分散液の溶液粘度が高くなる傾向があり、誘電体層の膜厚の調整が困難になる傾向がある。
なお、前記分散液に含有される結晶性金属酸化物の粒子としては数平均粒子径が異なる2種以上の結晶性金属酸化物の粒子群を混合してなるものであってもよい。この場合、数平均粒子径が大きな結晶性金属酸化物の粒子により形成される空隙に、数平均粒子径が小さな結晶性金属酸化物の粒子が充填され、結晶性金属酸化物の粒子が緻密に充填された充填密度が高い誘電体層を形成することができ、従って、低い誘電損失と高い静電容量密度を有する誘電体層を得ることができるため好ましい。
前記分散液が数平均粒子径の異なる2種の粒子群を含有する場合においては、数平均粒子径が大きい方の粒子群の粒子の数平均粒子径が、小さいほうの粒子群の粒子の数平均粒子径の2倍以上、更には2.5倍以上であることが充填がより密になるために好ましい。この場合、大きい方の粒子群と小さいほうの粒子群との混合比としては、含有される結晶性金属酸化物粒子の体積比(大粒子群/小粒子群)で80/20〜60/40であることが充填が密になるために好ましい。
次に、このようにして得られた分散液を用いて導電性基材の表面に誘電体層を形成する方法を説明する。
導電性基材に誘電体層を形成するための方法としては、誘電体層を形成する導電性基材の表面に、結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液を塗布したのち、100〜300℃に加熱して金属酸化物層を形成させた後、前記金属酸化物層の表面に樹脂を塗布することにより樹脂層を形成する方法が挙げられる。
なお、前記100〜300℃での加熱工程は、従来の金属酸化物粒子を用いた誘電体層を形成する方法である450℃以上の加熱工程に比べて加熱温度が大幅に低いものであり、このような温度で加熱する場合には、導電性基材の酸化劣化や、得られる誘電体層や基材にクラックや変形が発生することを抑制することができる。しかしながら、このように比較的低い温度で加熱する場合には、高温での焼結工程に比べて、金属酸化物粒子間に空隙が残る場合がある。このような空隙の存在は、誘電特性を低下させ、また、誘電特性の周波数依存性や体積抵抗の電圧依存性が高くなる原因になる。本発明における誘電体層を構成する前記樹脂成分は、前記金属酸化物層に存在する空隙を、樹脂成分を塗布することにより埋めて、空隙に起因する誘電特性の低下を抑制するものである。
前記導電性基材としては導電性を有するものであれば特に限定はされないが,銅,金,銀,白金,ニッケル,ステンレス,アルミニウム,鉄およびこれらの合金からなる箔,また,これら金属箔をポリイミド等の支持体上に貼り合わせたもの,あるいは,絶縁物の表面にメッキあるいは真空蒸着法等によって前記金属を被覆したものが用いられる。これらの中では銅箔が好ましい。
なお、導電性基材としては、表面粗さが小さいものが好ましく、具体的には十点平均粗さ(RZ)が2μm以下、更には1.5μm以下であるのが誘電層の抵抗率が高くなるため好ましい。また、その下限は、結晶性金属酸化物の粒子の数平均粒子径にもよるが、通常、0.01μm程度である。前記十点平均粗さが2μmを越える場合には、体積抵抗が小さくなる傾向がある。
なお、十点平均粗さ(Rz)はJIS B 0601準拠の測定方法で導電性基材の表面を表面粗さ測定器により測定して,測定部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(絶対値)の平均と、最も低い谷底から5番目までの谷底における標高(絶対値)の平均値との和によって求めたものである。
導電性基材表面に分散液を塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、電気泳動電着法等の方法が挙げられる。
これらの中では、特にスピンコーティング法で塗布することが膜厚の調整が容易である点から好ましい。スピンコーティング法を用いた場合にはスピンコートの回数や分散液の濃度を調整することにより所望の膜厚に調整することができる。
分散液は、塗膜形成するのに作業性の良い1〜100cP程度に溶液粘度に調整しておくことが好ましい。前記範囲に調整することで、効率よく、又均一な厚みに塗布することができ、得られる誘電体層の誘電特性も均質なものになる。
そして、前記のように結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液が塗布された導電性基材を、例えば、100〜300℃、好ましくは、120〜150℃程度で10分間〜1時間程度で加熱することにより、分散液中の溶媒が除去されるとともに、結晶が成長して金属酸化物層を形成することができる。加熱温度が低すぎる場合には、加熱工程による結晶の成長が充分に見られず、また、加熱温度が高すぎる場合には導電性基材が酸化劣化したり、また、得られる誘電体層にクラックが発生することにより体積抵抗率が低下するおそれがある。
次に、前記金属酸化物層の表面に樹脂成分を塗布する工程について説明する。
前記樹脂成分は、導電性基材の表面に形成された前記金属酸化物層の表面に塗布され、前記樹脂成分の塗布により、金属酸化物層に存在する空隙が埋められる。
前記樹脂成分の塗布方法としては、金属酸化物層を形成する際に用いられるのと同様のスピンコーティング法等の前記各種塗布方法を用いることができる。塗布される樹脂成分の樹脂溶液としては、固形分が10質量%以下であり,10cP以下の粘度であることが塗布作業性の点から好ましい。
前記樹脂成分としては,エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、イソシアネート樹脂等の熱又は光硬化性樹脂等や各種熱可塑性樹脂等が用いられ、特に好ましい樹脂成分としては、体積抵抗率が1012Ωcm以上のエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
そして、このように塗布された樹脂成分は、加熱、又は、紫外線照射等により硬化される。
本方法によれば結晶性金属酸化物の粒子間に形成される空隙を樹脂成分により効率よく埋めることができる。高温での焼結工程に供することなく金属酸化物層を形成する場合には、高温での焼結工程に供して形成される金属酸化物層に比べて比較的多くの空隙が粒子間に存在することがある。この場合、前記樹脂成分を塗布することにより金属酸化物層中の空隙を埋めることにより、誘電体層の体積抵抗率が向上し、また、誘電損失を低減することができ、さらに、誘電特性の周波数依存性や体積抵抗率の電圧依存性を小さくすることができる。
前記のようにして導電性基材上に誘電体層を形成することにより、本発明の誘電体層付導電性基材が得られる。
このようにして形成された本発明の誘電体層付導電性基材の誘電体層は、結晶性金属酸化物粒子から形成される金属酸化物と樹脂成分とを含有するものであり、金属酸化物と樹脂成分との割合は、誘電体層全体に対し、金属酸化物50〜95質量%、樹脂成分5〜50質量%であることが好ましい。
前記樹脂成分の割合が低すぎる場合には、充分に誘電体層の絶縁性を向上させることができず、また、誘電損失も充分に低減させることができず、さらに、誘電特性の周波数依存性や体積抵抗率の電圧依存性も充分に抑制することができなくなり、高すぎる場合には結晶性金属酸化物粒子同士の接触を阻害し、低誘電率である樹脂成分が多すぎるために静電容量密度が充分に高くならない傾向がある。
そして、本発明における誘電体層の膜厚としては、0.3〜2μm、更には0.5〜1μmであることが好ましい。前記膜厚が薄すぎる場合には絶縁性が著しく低下するおそれがあり、厚すぎる場合には静電容量密度が小さくなり、また、製造時において誘電体層にクラックが生じるおそれがある。
本発明の誘電体層付導電性基材は、その厚みが薄いにもかかわらず優れた電気的特性を有する。具体的には、静電容量密度が10nF/cm以上であり、10Vにおける体積抵抗率が1011Ωcm以上である。なお、その上限は特に限定されず、高いほうが好ましい。
従って、本発明の誘電体層付導電性基材を用いて得られるキャパシタは、従来の薄膜キャパシタに比べて薄膜でありながら優れた誘電特性を有するものであり、また、その製造においても、分散液及び樹脂成分を導電性基材に塗布し、低温加熱するだけで得られるために、従来のように高価且つ大型の装置が必要な誘電体層形成方法に比べて、低コストで誘電体層を形成することができ、従って、低コストで薄膜キャパシタを製造することができる。また、誘電体層を塗布工程により形成することができるために、誘電体層の大面積化にも容易に対応できる。
本発明のキャパシタは、誘電体層付導電性基材の誘電体層が形成されている面を別の導電性基材の表面と対向するように配置し、加熱・加圧成形することにより貼り合せて形成される。
前記別の導電性基材としては、キャパシタの電極となる銅箔等の金属薄膜そのものでも、また、予め銅張り配線基板等に貼られた銅箔のように、プリプレグを介して貼り付けられたものであってもよい。
また、前記誘電体層上に無電解メッキあるいは真空蒸着法等の気相法によってニッケル,銅,白金,金,銀等の金属膜を形成してキャパシタとしてもよい。
なお、本発明のキャパシタはプリント配線基板の表面に形成されても、また、多層プリント配線板の内層に形成されてもよい。
前記プリント配線基板の表面にキャパシタを形成する具体的態様についての一例を、図1に基づいて説明する。
はじめに、図1(A)に示すような導電性基材1の表面に、結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液をスピンコート法等により所望の厚みに塗布し、加熱することにより金属酸化物層を形成し、更に、金属酸化物層の表面にスピンコート法等により樹脂成分を塗布して、硬化させて樹脂層を形成することにより、図1(B)に示すような導電性基材1の表面に誘電体層2が形成された誘電体層付導電性基材3が得られる。
次に、図1(C)及び(D)に示すように片面又は両面に銅箔が貼られた銅張積層板4の表面に誘電体層付導電性基材3を貼り合せて、加熱・加圧することにより接着する。なお、貼り合わせは減圧下で行なわれることが好ましい。
次に、図1(E)に示すように銅張積層板4に貼り合わされた誘電体層付導電性基材3の導電性基材1の表面をフォトレジストの手法に準じてフォトマスクしてフォトレジスト層5を形成し、図1(F)及び(G)において、回路パターンを露光した後ケミカルエッチングを施すことにより回路部6を形成する。そして、図1(H)のように、マスキングを溶解させることにより、表面にキャパシタ8が形成されたプリント配線基板7が得られる。
一方、プリント配線基板7を用いてプリント配線基板の内層にキャパシタを形成する場合の具体的態様について、図2に基づいて説明する。
図2(A)及び(B)のように、プリント配線基板7のキャパシタ8が形成された面にプリプレグ9を載置した後、図2(C)のようにプリプレグ9の表面に銅薄膜10を貼り合わせた後、加熱・加圧成形によりキャパシタ8が内層されたプリント配線基板11を得る。
得られたプリント配線基板11は、図2(D)のように、公知のレーザー加工による穴あけと無電解銅めっきにより、ビアホールの接続部12が形成される。
そして、外層表面に貼りあわされた銅薄膜10に回路パターン13を公知のエッチングの手法により形成し、回路パターン13が形成された内層にキャパシタを備えたプリント配線基板14が得られる。
さらに、このようにして形成されたプリント配線基板は、プリプレグや内層回路を積層して、加熱・加圧成形することにより、多層配線基板として用いても良い。
以下に本発明の内容を実施例を用いて更に具体的に説明する。
はじめに、金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液の調製方法について説明する。
(結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液の調製)
乾燥窒素雰囲気下において、メタノールと2−メトキシエタノールの混合溶媒(体積比3:2)にBa(OC2とTi(OCH(CHを1mol/Lずつ溶解させて、1mol/LのBaTiO前駆体溶液を調整した。
そして、前記前駆体溶液を−50℃に保持し、水・メタノール混合溶液(1:1(体積%))を攪拌しながら滴下して加水分解を行なった。
なお、水・メタノール混合液(加水分解液)は前駆体溶液のBa及びTiのモル数に対して合計で加水分解液に含まれる水の量が、それぞれ表1に記載の倍率になるような量を滴下した。
前記加水分解の終了後、0.5℃/minで30℃まで昇温し、そのまま30℃で7日間エージングして、ゲルの結晶化を行ないBaTiOからなる結晶性金属酸化物粒子を得た。そして、エージング終了後、得られたゲルを一部取り出し、2−メトキシエタノール中に超音波分散させて結晶性金属酸化物の粒子の7質量%分散液を調製した。
得られた結晶性金属酸化物粒子の数平均粒子径の測定は、動的光散乱法による粒度分布計(大塚電子(株)製のDLS−800)により行ない、また、結晶化度はX線回折装置(マックサイエンス社製のMXP18)により行った。結果を表1に示す。
Figure 2007184386
〈実施例1〉
表1に記載の結晶性金属酸化物粒子Bを含有する分散液を2−メトキシエタノールにより溶液粘度が2cPになるように調整し、十点平均粗さ(Rz)が1.4μmの銅箔上に数滴落とし、1500rpmで5秒間、その後3000rpmで25秒間の条件のスピンコーティング工程を行った。前記スピンコーティング工程を5回繰り返した後、150℃で10分間の熱処理を行なった。前記工程を1工程として3回繰り返し、最後に150℃で1時間熱処理してBaTiO薄膜を形成した。
次に、前記BaTiO薄膜の表面にフェノール樹脂の2−メトキシエタノール溶液(1質量%溶液)を滴下してスピンコーティングを行なった。なお、この際、前記結晶性金属酸化物粒子の割合と樹脂成分との割合が95:5(質量%)になるように塗布した。
その後、150℃に設定したオーブン中に1時間放置して熱処理を行ないフェノール樹脂を硬化させて誘電体層を形成した。
形成された誘電体層表面の状態を走査型電子顕微鏡により観察すると、結晶性金属酸化物Bの粒子の輪郭がそのまま観察された。
また、光電子分光分析装置によって,誘電体層表面から誘電体層をアルゴンイオンによって1分間に5nmの速度でエッチングしながらバリウム(Ba)、チタン(Ti)、酸素(O)及び炭素(C)の濃度の測定を行い、銅箔が露出するまでに測定されたそれぞれの濃度を積算し、誘電体層中の金属酸化物粒子Cと熱硬化性樹脂との割合を測定したところ95:5(質量%)であった。
そして、前記得られた誘電体層の誘電特性を評価した。
誘電損失及び静電容量密度の測定は、誘電体層の表面に直径1mmのアルミニウム電極を付け、インピーダンスアナライザー(アジレント社製のHP4192A)を使用して、周波数10Hz〜1MHzの範囲で測定し、代表値として1MHzのときの誘電損失及び静電容量密度を評価した。
また、体積抵抗率についてはpAメーター(アジレント社製のHP4140B)を使用して、5V及び10Vで体積抵抗率の測定を行なった。
結果を表2に示す。
〈実施例2〜13、比較例1,2〉
結晶性金属酸化物粒子の種類、フェノール樹脂溶液の濃度及び加熱温度等の諸条件を変えた以外は実施例1と同様にして各誘電体層を形成し、誘電体層の誘電特性等を評価した。結果を表2及び表3に示す。
Figure 2007184386
Figure 2007184386
〈実施例14〜23〉
結晶性金属酸化物を含有する分散液として、表4に記載のように数平均粒子径の異なる2種の金属酸化物の粒子群を混合してなる分散液を用いて、表4の組成の誘電体層を形成した以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
Figure 2007184386
本発明の実施例1で形成された誘電体層と樹脂成分を含有しない比較例1で形成された誘電体層とを比べると、5V及び10Vにおける体積抵抗率が、比較例1では0.02×1012(Ω・cm)、0.0002×1012(Ω・cm)と非常に小さく、誘電体層としての充分な機能を発揮しえないものであった。また、比較例1では、体積抵抗率の電圧による依存性が大きいのに対して、実施例1においては、どちらも2×1012(Ω・cm)であり体積抵抗率に電圧依存性がなかった。
また、実施例10においては、膜厚が0.3μmもの薄膜の誘電体層が形成でき、高い静電容量密度を有するものとなっている。
さらに、実施例12及び13のように、加熱温度が100℃及び300℃の場合でも各種電気的特性はほとんど変わらず、特に100℃程度で誘電体層を形成することができるために、特別な装置を必要とせずに誘電体層を形成することができ、また、低温で加熱するために誘電体層や導電性基材に反りやクラックの発生等の悪影響を与えることがない。
また、数平均粒子径が異なる2種の結晶性金属酸化物の粒子を用いた実施例18においては、静電容量44nF/cm2もの高い誘電体層を形成することができる。
このように、本実施例で得られる誘電体層付導電性基材の製造には特別な装置を必要とせず、塗布工程により容易に、高い誘電特性を有する誘電体層を形成することができる。
表面にキャパシタを備えたプリント配線基板の製造工程を示す模式図である。 内層にキャパシタを備えたプリント配線基板の製造工程を示す模式図である。
符号の説明
1 導電性基材
2 誘電体層
3 誘電体層付導電性基材
4 銅張積層板
5 フォトレジスト層
6 回路部
7 表面にキャパシタを備えたプリント配線基板
8 キャパシタ
9 プリプレグ
10 銅薄膜
11 内層にキャパシタを備えた配線基板
12 接続部(ビアホール)
13 回路パターン
14 回路パターンが形成された内層にキャパシタを備えた多層プリント配線板

Claims (14)

  1. 導電性基材の少なくとも一表面に誘電体層が形成されてなる誘電体層付導電性基材において、
    前記誘電体層が、樹脂成分と金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物とを含有することを特徴とする誘電体層付導電性基材。
  2. 前記誘電体層中の結晶性金属酸化物の割合が50〜95質量%である請求項1に記載の誘電体層付導電性基材。
  3. 前記誘電体層の厚みが0.3〜2μmである請求項1又は請求項2に記載の誘電体層付導電性基材。
  4. 前記誘電体層の1MHzにおける静電容量密度が10nF/cm以上であり、10Vにおける体積抵抗率が1011Ωcm以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材。
  5. 前記樹脂成分が硬化性樹脂である請求項1〜4の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材。
  6. 前記導電性基材が銅箔である請求項1〜5の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材。
  7. 少なくとも一表面に誘電体層が形成された誘電体層付導電性基材において、
    前記誘電体層が、導電性基材の表面に金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液を塗布したのち、加熱することにより結晶性金属酸化物からなる層を形成し、さらに、前記結晶性金属酸化物からなる層の表面に樹脂成分を塗布したのち、加熱することにより形成されうるものであることを特徴とする誘電体層付導電性基材。
  8. 前記分散液中に含有される結晶性金属酸化物の粒子の数平均粒子径が0.01〜0.15μmである請求項7に記載の誘電体層付導電性基材。
  9. 前記分散液中に含有される結晶性金属酸化物の粒子が、数平均粒子径が異なる2種以上の粒子群の混合物からなるものである請求項7又は請求項8に記載の誘電体層付導電性基材。
  10. 前記分散液が数平均粒子径の異なる2種の粒子群が混合されてなる場合において、一方の粒子群の数平均粒子径が他方の粒子群の数平均粒子径の2倍以上である請求項9に記載の誘電体層付導電性基材。
  11. 導電性基材の表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合により形成される結晶性金属酸化物の粒子を含有する分散液を塗布したのち、100〜300℃で加熱することにより金属酸化物層を形成する工程、前記形成された金属酸化物層の表面に樹脂成分を塗布することにより樹脂層を形成する工程を備えることを特徴とする誘電体層付導電性基材の製造方法。
  12. 前記結晶性金属酸化物の粒子の数平均粒子径が0.01〜0.15μmである請求項11に記載の誘電体層付導電性基材の製造方法。
  13. 請求項1〜10の何れか1項に記載の誘電体層付導電性基材の誘電体層の表面に、導電性層を形成して得られることを特徴とするキャパシタ。
  14. プリント配線基板において、請求項13に記載のキャパシタを備えることを特徴とするプリント配線基板。
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