JP2014523896A - ニトリル化合物の調製 - Google Patents

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Abstract

本発明は、式I及びIIに示す新規なニトリル化合物に関する。
(I)式I
Figure 2014523896


(式中、Xは−CH又は−C≡Nである)。
(II)式II
Figure 2014523896


(式中、Xは−CH又は−C≡Nであり、Yはそれぞれ、−OH又はRC(O)O−から独立して選択され、Rはそれぞれ、C1〜21アルキル基から独立して選択される)。又、本発明は、式I及びIIに示すニトリル化合物の調製プロセス並びにニトリル化合物の使用に関する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、オレイン酸から出発するニトリル化合物の調製に関する。又、本発明は、例えば、ポリマー、特にポリアミドの調製におけるこのような化合物、新規な中間体、及び新規な中間体の使用に関する。
例えば、オレイン酸等のC18天然化合物を使用し、例えば、アミノ酸等の窒素の官能性が取り込まれた種々の相対的に短い鎖状化合物を調製する場合がある。こうした窒素の官能性を有する短鎖化合物への可能な経路は、出発化合物である同一の炭素長の不飽和ニトリルの形成を介する。出発化合物が、不飽和の1価酸の場合(例えば、オレイン酸等)、同一の炭素長の不飽和モノニトリルを得ることができる。また一方、出発化合物が、不飽和2価酸の場合、不飽和ジニトリルを得ることができる。例えば、国際公開第2010/089512号パンフレット及び本パンフレット中において引用されている文献に記載されているように、発酵による酸化によって不飽和1価酸から、同一の炭素長を有する不飽和2価酸を得ることができる。出発の1価酸に対して、同様の又は異なる鎖長を有する不飽和2価酸は、例えば、メタセシスによって不飽和1価酸から得ることができる。この方法は、当業者にとって周知のものであり、例えば、国際公開第2010/089512号パンフレット及び本パンフレット中において引用されている文献にも記載されている。
オレイン酸(即ち、シス−オクタデカ−9−エン酸)は、再生可能な又はバイオ系の炭素源であることから、出発化合物として使用される場合が多い。石油系の炭素源の量は有限であり、且つ、オレイン酸を使用することでこうしたプロセスによって、正味の二酸化炭素排出が削減するため、これより、石油系の炭素源に基づいたプロセスに比べて、オレイン酸を使用するプロセスが有利になる。
窒素の官能性を天然源である不飽和脂肪酸に取り込むことが、国際公開第2010/089512号パンフレットに記載されている。本明細書では、どのようにオレイン酸がアミノ酸に変換されるかが記載されている。初めに、オレイン酸を発酵させ、対応する1、18−2価酸(即ち、オクタデカ−9−エンジニトリル)が生成し、次いで、この2価酸はアンモニアと接触させることによってジニトリルに変換される。このジニトリルは、更に小さな8−シアノオクタン酸に酸化的に開裂される(オレイン酸と比較して半数の炭素原子を有する)。本明細書では、ニトリル基は、触媒反応工程において水素の作用によってアミン基に変換され、9−アミノノナン酸が生成する。
オレイン酸を9−アミノノナン酸に変換するこの経路の不利な点としては、オレインジニトリル(oleic di−nitrile)(1、18−ジニトリル)の二重結合を酸化的に開裂させるために、オゾンが使用されることである。オゾンを使用することによって、プロセスが高価になる。英国特許第743491号明細書に記載されるように、過酸化水素を使用して二重結合を酸化できることが言及されている。また一方、英国特許第743491号明細書には、酸性条件でオレイン酸の二重結合を酸化するために過酸化水素を使用することが記載されている。本文献では、ニトリルの官能性を保持しつつ、どのように不飽和ジニトリルの二重結合を酸化することができるかが教示されていない。ニトリル基は、特に過酸化水素水の存在下、とりわけ塩基性条件で、尚又、酸性条件で、加水分解を受け易いことが知られている。従って、不飽和オレイン酸由来のC18ニトリルの過酸化水素に基づく酸化的開裂方法を使用することは、窒素の官能性を(部分的に)損失する危険性に直面しており、これは、酸化開裂によって生成する最終生成物が、ポリマーのアミノ官能基化モノマーとして使用される際に、たとえ軽微な程度生じるに過ぎないにせよ、許容されるものではない。
従って、本発明の目的は、こうした不利な点を克服又は少なくとも低減させることである。更に、本発明の目的は、式I
Figure 2014523896


(式中、Xは−CH又は−C≡Nである)に示すニトリル化合物の生成プロセスを利用可能にすることである。
ここにおいて、炭素−炭素二重結合の酸化的開裂をもたらすことなしに二重結合を酸化する適切な条件で、オクタデカ−9−エンニトリル又はオクタデカ−9−エンジニトリルを過酸化水素と接触させ、対応する式Iに示すC−18ニトリル誘導体を生成する工程を少なくとも含む、式Iに示すニトリル化合物の調製プロセスによって、式Iに示すニトリル化合物が調製可能であり、且つ、不利な点が解決可能、又は少なくとも低減可能であることが判明した。従って、式Iに示す化合物は、C9及びC10において酸素化の官能性を含む。好ましくは、このプロセス工程は、エポキシ化触媒の存在下で実施される。
このプロセスの重要な利点としては、完全に新規な化合物類、特に式I
Figure 2014523896


(式中、Xは−CH又は−C≡Nである)に示す化合物が利用可能になることである。
同一及び非同一のジアステレオマーの両方を得ることができる。従って、一実施形態によれば、本発明は、式Iのニトリル化合物の同一のジアステレオマーに関する。別の実施形態によれば、本発明は、式Iのニトリル化合物の非同一のジアステレオマーに関する。
又、式Iのニトリル化合物の光学異性体の両方を含むラセミ混合物を得ることが可能である。
好ましくは、式Iの化合物において、Xは−C≡Nである。
二重結合が、炭素−炭素開裂をもたらすことなしに、部分的に酸化されているこのようなオレイン酸由来のC18ニトリルは、8−シアノオクタン酸より得られるモノマーである9−アミノノナン酸の生成のプロセスにおける重要な中間体である。更に、こうした化合物は、オキシ官能基化1、18−ジアミンC18モノマー(ニトリル基の水素添加によって得られた)用の中間体として、又は、例えば、界面活性剤又は潤滑剤(の中間体)として、使用可能である。エポキシド開環重合技術を介して、こうした化合物は、単独重合プロセスにおいて、又は、例えば、二酸化炭素を用いてニトリル官能基化ポリカーボネートを生成する共重合プロセスにおいてのいずれかで、こうしたモノマーとして作用することも可能である。
本発明の更なる目的は、式II
Figure 2014523896


(式中、Xは−CH又は−C≡Nであり、Yはそれぞれ、=O、−OH、−OOH、又はRCOO−から独立して選択され、Rはそれぞれ、C1〜21アルキル基から独立して選択される)に示すニトリル化合物の生成プロセスを利用可能にすることである。
前述の式において、
Figure 2014523896


は、単結合又は二重結合のいずれかによって、隣接したC原子に結合する置換基Yを表している。これは、置換基Yの性質に基づくものである。
ここにおいて、
・炭素−炭素二重結合の酸化的開裂をもたらすことなしに二重結合を酸化する適切な条件で、オクタデカ−9−エンニトリル又はオクタデカ−9−エンジニトリルを過酸化水素と接触させ、対応する式Iに示すC−18ニトリル誘導体が生成する工程と、
・式IIに示すニトリル化合物を生成する条件で、第1の工程のC18ニトリル酸化生成物を、水、過酸化水素、及び/又はカルボン酸RC(O)OH(Rは1〜21の炭素原子を有するアルキル基である)と接触させる工程と、
を少なくとも含む、式IIに示すニトリル化合物の調製プロセスによって、式IIに示すニトリル化合物が調製可能であり、且つ、不利な点が解決可能、又は少なくとも低減可能であることが判明した。
式IIに示すニトリル化合物の生成を触媒する第2の工程において、ブレンステッド酸若しくはルイス酸、又は金属触媒が存在することが好ましい。こうした触媒を組み合わせて使用することもできる。又、第1の工程及び第2の工程は、同一の反応媒体において、並びに、同一の条件で、連続的に実行することができる。
本明細書に記載されるように、式IIに示すオレイン酸誘導体の生成プロセスの更なる利点としては、式II
Figure 2014523896


(式中、Xは−CH又は−C≡Nであり、Yはそれぞれ、=O、−OH、−OOH、及びRC(O)O−から独立して選択され、Rはそれぞれ、C1〜21アルキル基から独立して選択される)に示す新規な化合物類を利用可能にすることである。
同一及び非同一のジアステレオマーの両方を得ることができる。従って、一実施形態によれば、本発明は、式IIの化合物の同一のジアステレオマーに関する。別の実施形態によれば、本発明は、式IIの化合物の非同一のジアステレオマーに関する。又、式IIの化合物の光学異性体の両方を含むラセミ混合物を得ることが可能である。
好ましくは、Yはそれぞれ、−OH及びRC(O)O−から独立して選択される。
好ましくは、Rはそれぞれ、C1〜C5アルキル基、より好ましくは、C1〜C3アルキル基から独立して選択され、最も好ましくは、Rはそれぞれ、CHである。アルキル基は、直鎖型又は分岐型であることができるが、直鎖型の基が好ましい。
好ましくは、式IIのニトリル化合物では、Xは−CHであり、且つ、YはともにRC(O)O−であるか、又はYは1つが−OH及び1つがRCO(O)−であるかのいずれかである。従って、Xが−CHである場合、Y基はともに同時に−OHであることはない。
式IIに示す好ましい化合物は、例えば、Yがともに−OH、又はYがともに、RがメチルであるRC(O)O−である等の、Yがともに同一なものであるように選択される化合物である。式IIに示す別の好ましい化合物類は、例えば、Yは1つが−OH及びYのもう1つが、RがメチルであるRC(O)O−である等の、Yがともに異なるものである化合物である。
こうした化合物は、オキシ官能基化1、18−ジアミンC18モノマー用の中間体として(ニトリル基の水素添加によって得られた)、又は例えば、界面活性剤又は潤滑剤(の中間体)として、使用可能である。
ここにおいて、利用可能である有利な化合物類は、この場合、ジニトリルが形成されるため、Xが−C≡Nであるように選択される、式I又はIIに示す化合物である。本発明によれば、過酸化水素での酸化を介して、オクタデカ−9−エンジニトリルから形成できるように、こうしたジニトリル化合物は、8−シアノオクタン酸の中間体として非常に適切であり、その結果、8−シアノオクタン酸への100%の炭素効率を有する経路における中間体を構成する。
ここにおいて、利用可能である別の有利な化合物類は、Xが−CHであるように選択され、この結果、モノニトリルを生成する、式I又はIIに示す化合物類である。
ここにおいて、式IIに示す化合物は、C9−C10炭素−炭素結合を酸化的に開裂するための適切な条件で、式IIに示す化合物を過酸化水素又は二酸素と接触させる以下の工程を少なくとも含むプロセスによって、8−シアノオクタン酸に転換可能である。
8−シアノオクタン酸を調製するこのプロセスの利点としては、従来技術のプロセスよりも、はるかに経済的であることである。更に、オクタデカ−9−エンジニトリルに基づく場合、全体のプロセスは、高い炭素効率を有し、酸化的開裂において8−シアノオクタン酸の2つの同等物を生成する。炭素効率とは、生成物を形成するために使用される、本明細書ではオレイン酸である出発物質からの炭素原子のパーセントであることを意味する。このプロセスは、開裂が二酸素でなされる場合、酸化的開裂に関連した全体の酸化剤コストに対して、特にコスト効率がよい。
プロセスの簡素化に関しては、このプロセスは、特に簡素なプロセス設計に基づいており、第1の工程が、第2の工程と適合性のある媒体中で実施される場合、第2の酸化的開裂工程を実施する上で中間生成物を単離することなしに、第1の工程で得られたC18ニトリル酸化生成物を含む媒体が使用できる。このような媒体の例は、酢酸であり、この場合、強酸性触媒の影響の下、式Iに示すC18−ニトリル誘導体は、エポキシ化剤である過酢酸のその場での形成を介して、過酸化水素を用いてオクタデカ−9−エンニトリル又はオクタデカ−9−エンジニトリルから生成可能である。式Iに示すC18−ニトリル誘導体は、水、過酸化水素、及び/又は酢酸と反応し、式IIに示すニトリル化合物を生成する。
第1の工程が、一方で二酸素を用いた金属を触媒とする酸化的開裂に基づく第2の工程と適合性のある溶媒含有媒体において、金属触媒を伴わない酸性触媒の下でなされた場合、酸化剤コストが低いこと及び簡素なプロセス設計に関連した組み合わさった有利性は、特に明白である。その場合には、中間生成物を単離することなしに、金属触媒と二酸素を、第1の工程で得られたC18ニトリル酸化生成物を含む媒体に直接送り込むことができ、且つ、2つ以上の金属触媒を分離するために費用のかかる工程は必要ではない。
8−シアノオクタン酸は、9−アミノノナン酸に変換可能である。8−シアノオクタン酸におけるニトリル基は、アミノを含む9−アミノノナン酸が形成される当業者に周知の方法によって水素添加可能である。9−アミノノナン酸は、とりわけ、例えば、ポリアミド等のポリマーの生成において使用することができる。
更に、本発明は、これらに制限されるものではないが、以下の例にて説明される。
[実験]
一般的な様式で前記記載したいくつかの化合物の調製を以下に示す。
[実施例1:同一−8、8’−(オキシラン−2、3−ジイル)ジオクタンニトリルの調製]
Figure 2014523896


(E)−オクタデカ−9−エンジニトリル0.10000gとNaHCO0.2334gの混合物の4.0mLアセトン溶液を、氷水浴中で冷却した。撹拌中、oxone(登録商標)0.5365gの4.0mL水溶液を、30分の間に小分けして加えた。混合物は、18時間に渡り室温に温め、次いでCHCI200mL及び水10mLを反応混合物に加え、明瞭な2相系を得た。有機相は、NaSOを通して乾燥させると共に蒸発させ、無色の油として生成物0.10gを得た。
抜粋H NMRデータ(300MHz、CDCl):δ2.56(m、2H、CH)、2.26(t、4H、CH)、1.57(q、4H、CH)。抜粋13C NMRデータ(75MHz、CDCl):δ119.66、58.50。
[実施例2:非同一−8、8’−(オキシラン−2、3−ジイル)ジオクタンニトリルの調製]
Figure 2014523896


この生成物は、(E)−オクタデカ−9−エンジニトリルの代わりに(Z)−オクタデカ−9−エンジニトリルを使用した以外は、実施例1と同一の手順を用いて調製した。
[実施例3:非同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンジニトリルの調製]
Figure 2014523896


同一−8、8’−(オキシラン−2、3−ジイル)ジオクタンニトリル0.10gの5.0gTHF溶液に、70%HClO0.0988gの1.9104g水溶液を0.50mL加えた。室温で24時間放置後、混合物を、CHCl250mLで希釈し、水性の小滴に分離した。混合物をNaCO通して乾燥させると共に蒸発させ、白色粉体として生成物0.10gを得た。
抜粋H NMRデータ(300MHz、CDCl):δ3.57(m、2H、CH)、2.33(t、4H、CH)、1.65(q、4H、CH)。抜粋13C NMRデータ(75MHz、CDCl):δ119.91、74.66。
[実施例4:同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンジニトリルの調製]
Figure 2014523896


この生成物は、同一−8、8’−(オキシラン−2、3−ジイル)ジオクタンニトリルの代わりに非同一−8、8’−(オキシラン−2、3−ジイル)ジオクタンニトリルを使用した以外は、実施例3と同一の手順を用いて調製した。
[実施例5:非同一−1、16−ジシアノ−9−ヒドロキシヘキサデカン−8−イルアセタートの調製]
Figure 2014523896


非同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンジニトリル0.10gとパラ‐トルエンスルフォン酸一水和物0.0013gの混合物の2.5mL脱水CHCl溶液に、トリメチルオルトアセタート0.15mLを加えた。室温で21時間撹拌後、窒素気流によって揮発物質を除去した。残留物に、水0.20mLと酢酸0.80mLの混合物を加え、得られた溶液を150分間撹拌した。混合物にMTBE25mLを加え、有機相を水10mLで2回、次いで、飽和NaHCO水溶液5mLで2回抽出した。有機相は、NaSOを通して乾燥させると共に蒸発させ、僅かに黄色の非常に粘性のある油として生成物0.11gを得た。
抜粋H NMRデータ(300MHz、CDCl):δ4.75(m、1H、CH)、3.58(m、1H、CH)、2.27(t、4H、CH)、2.01(s、3H、CH)、1.58(m、4H、CH)。抜粋13C NMRデータ(75MHz、CDCl):δ171.10、119.76、77.41、72.89。
[実施例6:同一−1、16−ジシアノ−9−ヒドロキシヘキサデカン−8−イルアセタートの調製]
Figure 2014523896


この生成物は、非同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンジニトリルの代わりに同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンジニトリルを使用した以外は、実施例5と同一の手順を用いて調製した。
[実施例7:非同一−1、16−ジシアノヘキサデカン−8、9−ジイルジアセタートの調製]
Figure 2014523896


非同一−1、16−ジシアノ−9−ヒドロキシヘキサデカン−8−イルアセタート0.11g、無水酢酸(4.0mL)4.0mL、及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.24gの混合物の25mL脱水ピリジン溶液を、室温にて3時間撹拌した。この混合物に、8/2のヘプタン/酢酸エチル25mLを加え、有機相を、飽和CuSO水溶液25mLで3回抽出し、ピリジンを除去した。有機相は、NaSOを通して乾燥させると共に蒸発させ、生成物0.12gを得た。
[実勢例8:同一−1、16−ジシアノヘキサデカン−8、9−ジイルジアセタートの調製]
Figure 2014523896


この生成物は、非同一−1、16−ジシアノ−9−ヒドロキシヘキサデカン−8−イルアセタートの代わりに同一−1、16−ジシアノ−9−ヒドロキシヘキサデカン−8−イルアセタートを使用した以外は、実施例7と同一の手順を用いて調製した。
[実施例9:同一−1−シアノ−9−ヒドロキシヘプタデカン−8−イルアセタート及び同一−1−シアノ−8−ヒドロキシヘプタデカン−9−イルアセタートの混合物の調製]
Figure 2014523896


同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンニトリル0.38gとパラ‐トルエンスルフォン酸一水和物0.0030gの混合物の2.5mL脱水CHCl溶液に、トリメチルオルトアセタート0.50mLを加えた。室温で21時間撹拌後、窒素気流によって揮発物質を除去した。残留物に、水0.25mLと酢酸1.05mLの混合物を加え、得られた溶液を90分間撹拌した。混合物にMTBE25mLを加え、有機相を水10mLで2回、次いで、飽和NaHCO水溶液5mLで2回抽出した。有機相は、NaSOを通して乾燥させると共に蒸発させ、僅かに黄色の非常に粘性のある油として生成物0.42gを得た。
抜粋H NMRデータ(300MHz、CDCl):δ4.68(m、1H、CH)、3.42(m、1H、CH)、2.20(t、2H、CH)、1.93(s、3H、CH)、1.49(m、4H、CH)、0.73(t、3H、CH)。抜粋13C NMRデータ(75MHz、CDCl):δ170.68、119.47、76.37、76.23、71.87、71.84。
[実施例10:その場で生成した過酢酸によるシス−オクタデカ−9−エンニトリルのエポキシ化、その後のエポキシド開環による同一−1−シアノ−9−ヒドロキシヘプタデカン−8−イルアセタート及び同一−1−シアノ−8−ヒドロキシヘプタデカン−9−イルアセタートの調製]
Figure 2014523896


シス−オクタデカ−9−エンニトリル4.30gの100mL酢酸溶液に、96%HSOを100μL加えた。混合物を100℃に加熱し、50%過酸化水素0.93mLを一度に加えた。混合物を1時間撹拌した。過酸化物試験は陰性であったが、少量のNaSO(10%溶液)水溶液を加えることによって、全ての検出不能な残留過酸化物は消失した。ロータリーエバポレーション(rotary evaporation)によって酢酸及び水を除去した後に、残留物をジクロロメタン中で採取した。溶液は、NaSOを通して乾燥させ濾過し、濾過水はロータリーエバポレーションによって濃縮し、ワックス状の固形物が残った。H NMRによって、これが、同一−1−シアノ−9−ヒドロキシヘプタデカン−8−イルアセタート及び同一−1−シアノ−8−ヒドロキシヘプタデカン−9−イルアセタートの混合物を含むことが示された。
この混合物を穏やかに鹸化させること(室温でのメタノール中のKCO)によって得られた同一−9、10−ジヒドロキシオクタデカンジニトリルの13C NMRの定量では、ニトリル加水分解を示しておらず、シス−オクタデカ−9−エンニトリルのニトリルの官能性は、酸性の二重結合酸化条件で存続することが例証された。

Claims (15)

  1. 式Iに示すニトリル化合物
    Figure 2014523896


    (式中、Xは−CH又は−C≡Nである)。
  2. 式IIに示すニトリル化合物
    Figure 2014523896


    (式中、Xは−CH又は−C≡Nであり、Yはそれぞれ、=O、−OH、−OOH、及びRC(O)O−から独立して選択され、Rはそれぞれ、C1〜21アルキル基から独立して選択される)。
  3. Xは−C≡Nである、請求項1に記載のニトリル化合物。
  4. Yはそれぞれ、−OH及びRC(O)O−から独立して選択される、請求項2に記載のニトリル化合物。
  5. Xは−C≡Nである、請求項2に記載のニトリル化合物。
  6. Xは−CHであり、且つ、YはともにRC(O)O−であるか、又はYは1つは−OH及び1つはRCO(O)−であるかのいずれかである、請求項2に記載のニトリル化合物。
  7. Yの1つはOH及びYのもう1つはRC(O)O−である、請求項5に記載のニトリル化合物。
  8. Rはそれぞれ、C1〜C5アルキル基から独立して選択される、請求項1〜7のいずれかに記載のニトリル化合物。
  9. Rはメチルである、請求項8に記載のニトリル化合物。
  10. 請求項1に記載のニトリル化合物の又は請求項2に記載のニトリル化合物の光学異性体の両方を含むラセミ混合物。
  11. 炭素−炭素二重結合の酸化的開裂をもたらすことなしに前記二重結合を酸化する適切な条件で、オクタデカ−9−エンニトリル又はオクタデカ−9−エンジニトリルを過酸化水素と接触させる工程を少なくとも含む、式Iに示すニトリル化合物の調製プロセス。
  12. 界面活性剤の若しくは潤滑剤の中間体としての、又は界面活性剤若しくは潤滑剤としての式Iに示す化合物の使用。
  13. a.炭素−炭素二重結合の酸化的開裂をもたらすことなしに前記二重結合を酸化する適切な条件で、オクタデカ−9−エンニトリル又はオクタデカ−9−エンジニトリルを過酸化水素と接触させ、対応する式Iに示すC−18ニトリル誘導体を生成する工程と、
    b.式IIに示す前記ニトリル化合物を生成する条件で、第1の工程の式Iに示す前記C18ニトリル誘導体を、水、過酸化水素、及び/又はRは1〜21の炭素原子を有するアルキル基であるカルボン酸RC(O)OHと接触させる工程と、
    を少なくとも含む、式IIに示すニトリル化合物の調製プロセス。
  14. オキシ官能基化1、18−ジアミンC18モノマー(前記ニトリル基の水素添加によって得られた)用の中間体としての、又は、界面活性剤の若しくは潤滑剤の調製のための中間体としての、又は界面活性剤若しくは潤滑剤としての式IIに示す化合物の使用。
  15. 前記C9−C10炭素−炭素結合を酸化的に開裂するための適切な条件で、式IIに示す前記化合物を過酸化水素又は二酸素と接触させる工程を少なくとも含む、8−シアノオクタン酸の調製プロセス。
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