JP2014520775A - 凝集ポリペプチドから単量体ポリペプチドを分離するための方法 - Google Patents

凝集ポリペプチドから単量体ポリペプチドを分離するための方法 Download PDF

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Abstract

a) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に単量体型と凝集型との比率が4:1以下である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を提供する段階、b) 結合-および-溶出モードでの混合モードクロマトグラフィー、またはフロースルーモードでの疎水性相互作用クロマトグラフィー、またはサイズ排除クロマトグラフィーを行う段階、およびc) 結合-および-溶出モードまたはフロースルーモードでの弱陽イオン交換クロマトグラフィーを行い、それによって、単量体型のポリペプチドを得る段階を含む、単量体型のポリペプチドを得るための方法が本明細書において報告される。

Description

高い凝集体含量を有するポリペプチド調製物の精製の分野における方法が、本明細書において報告される。より詳細には、本明細書において報告される方法は、凝集型のポリペプチドからの単量体型のポリペプチドの分離の分野におけるものである。本方法は、20%超の凝集ポリペプチドを含む未精製ポリペプチド溶液の精製によく適している。精製は、2つのクロマトグラフィー段階のみの組み合わせ、例えば第1の混合モード陽イオン交換クロマトグラフィー段階および第2の陽イオン交換クロマトグラフィー段階の組み合わせによって達成される。
発明の背景
有効な免疫反応は、活性化されている免疫系のT細胞により開始されるが、この活性化は抗原または分裂促進因子により誘導される。T細胞の活性化には、例えば、サイトカインおよびその受容体の発現を含めて、多数の細胞変化が必要である。これらのサイトカインには、とりわけ、IL-15およびIL-2が含まれる。これらのインターロイキンは、ヒトおよびマウスのT細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性T細胞(CTL)およびリンパ球活性化キラー(LAK)細胞の増殖および分化において、ならびに、例えば、抗免疫グロブリン(抗IgM)またはホルボールエステルにより活性化されるB細胞の副刺激において重要な役割を果たす公知の増殖因子である。これらの細胞の増殖は、生物の免疫反応を増強する。
多数の疾患においては、治療上の理由から、患者の免疫系の反応を抑制することが必要である。これらの疾患には、例えば、自己免疫疾患、特にI型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、慢性肝臓病、炎症性腸疾患、移植片対宿主病および移植片拒絶反応が含まれる。1つの治療アプローチは、体液性または細胞性免疫反応を抑制するために、免疫抑制剤、特に拮抗性IL-15もしくはIL-2抗体、またはIL-15もしくはIL-2アンタゴニストを用いることである。
上記のIL-15アンタゴニストは、それだけでまたは融合タンパク質としてアンタゴニスト効果を達成する変異型IL-15 (mut-IL-15)配列である。これらの融合タンパク質は、N末端mut-IL-15断片およびC末端Fc断片、特にマウスIgG2aまたはヒトIgG1からなるポリペプチドである(例えば、WO 97/41232(特許文献1); WO 2004/035622(特許文献2); Kim, Y.S., et al., J. Immunol. 160 (1998) 5742-5748(非特許文献1)を参照のこと)。
一般に、タンパク質のIEP値(等電点、pI)は、タンパク質のイオン交換クロマトグラフィーに重要な特徴である。IEPより下で、タンパク質は、正の正味荷電を得るので、陽イオン交換体に対するクロマトグラフィーによって分離することができ、pIよりも上では、それらは負の正味荷電を持つので、陰イオン交換体が用いられるべきである(例えば、New comprehensive biochemistry, Neuberger, A., and van Deenen, L.L.M. (eds.), Volume 8, Separation Methods, Deyl, Z. (ed.), Elsevier Science Publishers B.V. (1984) page 247(非特許文献2)を参照のこと)。
結合型第VIII因子分子がWO 2009/108806(特許文献3)に報告されている。US 2009/0304669(特許文献4)には、ヒトフューリンの分取精製過程が報告されている。抗体のクロマトグラフィー精製がUS 2009/270596(特許文献5)に報告されている。WO 2009/074634(特許文献6)には、肺送達用の組成物が報告されている。ポリペプチド、抗体可変ドメインおよびアンタゴニストがWO 2008/149147(特許文献7)に報告されている。US 2008/177048(特許文献8)には、水溶性非イオン性有機重合体の存在下での混合モードクロマトグラフィーによる抗体の能力および精製の向上が報告されている。組み換えタンパク質の再折り畳みがUS 2008/008975(特許文献9)に報告されている。US 2007/167613(特許文献10)には、抗体の精製のための過程が報告されている。抗体精製がUS 2007/112178(特許文献11)に報告されている。精製された免疫グロブリン融合タンパク質およびその精製の方法がWO 2009/111347(特許文献12)に報告されている。
Aldingtonら(J. Chrom. B 848 (2007) 64-78)(非特許文献3)は、モノクローナル抗体精製過程のスケールアップについて報告している。ヒトモノクローナルIgM (COU-1)のパイロット規模の精製がTornoeら(J. Immunol. Meth. 205 (1997) 11-17)(非特許文献4)によって報告されている。US 2010/069617(特許文献13)には、タンパク質排除的な両性イオンの存在下での疎水性相互作用媒体に対する混合モードクロマトグラフィーによるタンパク質凝集体の除去の向上が報告されている。
WO 97/41232 WO 2004/035622 WO 2009/108806 US 2009/0304669 US 2009/270596 WO 2009/074634 WO 2008/149147 US 2008/177048 US 2008/008975 US 2007/167613 US 2007/112178 WO 2009/111347 US 2010/069617
Kim, Y.S., et al., J. Immunol. 160 (1998) 5742-5748 New comprehensive biochemistry, Neuberger, A., and van Deenen, L.L.M. (eds.), Volume 8, Separation Methods, Deyl, Z. (ed.), Elsevier Science Publishers B.V. (1984) page 247 Aldingtonら、J. Chrom. B 848 (2007) 64-78 Tornoeら、J. Immunol. Meth. 205 (1997) 11-17
ポリペプチドまたは免疫グロブリンを精製するための方法であって、サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、出発溶液が20%またはそれ以上の凝集体含量を含む、方法、すなわち、高い凝集体含量を有する未精製のポリペプチドまたは免疫グロブリン溶液から凝集体を除去するための方法が、本明細書において報告される。
本方法は、サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に少なくとも20%の高い凝集体負荷を含有する溶液にとりわけ有用である。
高い凝集体負荷を、2つのクロマトグラフィー段階の組み合わせにより低レベルにまで低減させることができる。2つのクロマトグラフィー段階の組み合わせは、20%超の凝集型のポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む未精製のポリペプチドまたは免疫グロブリン溶液の精製の場合に単一のクロマトグラフィー段階と比べて、改善された凝集体除去を提供し、同時に、回収率の増大を提供することが分かった。
混合モードクロマトグラフィー材料および弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、単量体型のポリペプチドを得るために、すなわち単量体型のポリペプチドを凝集型のポリペプチドから分離するために、関心対象のポリペプチドの等電点(IEP)を上回る、すなわちそれよりも高いpH値で操作できることが分かった。
本明細書において報告される1つの局面は、
a) i) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドをフロースルーから回収する段階、または
ii) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階、ならびに
b) 前段階で得られた溶液を弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、そこからポリペプチドを回収し、それによって、単量体型のポリペプチド、すなわち単量体ポリペプチドをもたらす段階
を含む、単量体型のポリペプチド、すなわち単量体ポリペプチドをもたらすための方法である。
1つの態様において、混合モードクロマトグラフィー材料または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料への適用前の溶液のpHは、ポリペプチドの等電点(IEP)を少なくとも0.2 pH単位上回る値に調整される。
1つの態様において、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階は、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料の溶出液から、または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルーからである。
1つの態様において、溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用する段階は、
− 疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に、約7.0のpH値を有するトリス緩衝液を含む、約0.5 mol/l〜約1.5 mol/lの塩化ナトリウムおよび約10%〜約15% (v/v)の2-プロパノールの溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前のポリペプチドを含む溶液を、約7.0のpH値、約0.5 mol/l〜約1.5 mol/lの塩化ナトリウム濃度、かつ約10%〜約15% (v/v)の2-プロパノール含量に調整する段階、
− 調整された、ポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用する段階
を含む。
1つの態様において、混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階は、
− 混合モードクロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.7 pH単位〜約1.3 pH単位のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− 混合モードクロマトグラフィー材料に適用する段階の前のポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む溶液を、ポリペプチドまたは免疫グロブリンのそれぞれのIEPプラス約0.7 pH単位〜約1.3 pH単位のpH値に調整する段階、
− 調整された、ポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用する段階、
− ポリペプチドのIEPプラス約1.7 pH単位〜約2.3 pH単位のpH値を有するリン酸緩衝液を含む溶液を適用することにより、混合モードクロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
を含む。
1つの態様において、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、そこからポリペプチドまたは免疫グロブリンを回収する段階は、
− 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.0 pH単位のpH値を有する酢酸緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前のポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む溶液を、ポリペプチドまたは免疫グロブリンそれぞれのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.0 pH単位のpH値に調整する段階、
− 調整された、ポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
− 塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムを約210 mmol/l〜約240 mmol/lの濃度で含む溶液を適用することにより、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドもしくは免疫グロブリンを回収する段階、または、約pH 6.0〜約pH 8.0のpH値の溶液により、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドもしくは免疫グロブリンを回収する段階
を含む。
1つの態様において、回収する段階は、約pH 5.0のpH値、かつ塩化ナトリウム濃度約230 mmol/lにおいてであるか、または回収する段階は、約pH 5.2のpH値、かつ塩化ナトリウム濃度約210 mmol/lにおいてである。
1つの態様において、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、そこからポリペプチドまたは免疫グロブリンを回収する段階は、
− 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、ポリペプチドまたは免疫グロブリンそれぞれのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.2 pH単位のpH値を有する溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前のポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む溶液を、ポリペプチドまたは免疫グロブリンそれぞれのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.2 pH単位のpH値に調整する段階、
− 調整された溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
− フロースルーからポリペプチドまたは免疫グロブリンを回収する段階
を含む。
1つの態様において、緩衝液の濃度は、150 mmol/l未満、かつ1 mmol/l超である。
1つの態様において、調整する段階は、約pH 5.1かつ約100 mmol/l〜約120 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであるか、または約pH 5.5かつ約40 mmol/l〜約55 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであるか、または約pH 6.0かつ約10 mmol/lの酢酸緩衝液によるものである。
1つの態様において、緩衝液はクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液およびMES緩衝液より選択される。
1つの態様において、回収する段階が定組成溶出によるものである。1つの態様において、それぞれの回収する段階が定組成溶出によるものである。
1つの態様において、緩衝液は約1.9 mS/cmの電導度を持つ。
1つの態様において、段階ii)における緩衝液は、約pH 5.3かつ約50 mmol/l〜約75 mmol/lの酢酸緩衝液、または約pH 5.5かつ約7.5 mmol/l〜約15 mmol/lの酢酸緩衝液である。
1つの態様において、回収する段階は、10% (v/v)の約pH 6.0〜約pH 6.5のpH値の酢酸緩衝液の添加によるものであるか、または回収する段階は、60% (v/v)の約pH 8.0のpH値のMES緩衝液の添加によるものである。
1つの態様において、混合モードクロマトグラフィー材料はCapto MMCであり、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料は、フェニルセファロースおよびブチルセファロースより選択され、または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、カルボキシ-メチルセファロースもしくはトヨパールCM-650である。
1つの態様において、ポリペプチドは、Fc部分を含み、かつ段階a)の前の第一段階は、溶液をプロテインAクロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを回収する段階である。1つの態様において、回収する段階は酸性緩衝液によるものである。
1つの態様において、ポリペプチドは免疫グロブリン、または免疫グロブリン融合体、または免疫グロブリンFc領域融合タンパク質である。1つの態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドがFc領域のN末端に融合されているポリペプチド-Fc領域融合ポリペプチドである。
1つの態様において、ポリペプチドはSEQ ID NO:02のアミノ酸配列を持つ。
本明細書において報告される全ての態様は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
pH 5.2, 200 mmol/l NaClでのCM-セファロースFFからのmutIL15-Fcの例示的な溶出プロファイル: 10 mmol/lのクエン酸ナトリウムpH 5.2中4 mgのmutIL15-Fcを5 mlのHiTrap(商標) CM-セファロースFFカラムに負荷した; 溶出は同じ緩衝液中200 mmol/lのNaClでの段階溶出によって行った。1番目のピーク(プール)中の単量体mutIL15-Fcの収率は77%であった; プール画分中の凝集体の量は2.2%であった; 2番目のピークの画分には30〜90%の凝集mutIL15-Fcが含有されていた; 強固に結合された凝集体は1 mol/lのNaClで溶出された(3番目のピーク)。 MES緩衝液系(pH 5.0/pH 8.0)におけるCM-セファロースFFからのmutIL15-Fcの例示的な溶出プロファイル: 95.5%の単量体純度まで予め精製されたmutIL15-FcをpH 5.0にてCM-セファロースFFカラムに負荷した; 溶出は、pHを増大させること(60%の緩衝液Bの段階、およそpH 5.8)によって開始された; 1番目のピーク(プール)中の単量体mutIL15-Fcの収率は80%であった。プール画分中の凝集体の量は1%まで引き下げられた; 2番目のピークの画分にはおよそ20%の凝集mutIL15-Fcが含有されていた。 結合-および-溶出モードでのプロテインAアフィニティークロマトグラフィー。 結合-および-溶出モードでの混合モードクロマトグラフィー。 結合-および-溶出モードでの弱陽イオン交換クロマトグラフィー。
発明の詳細な説明
ポリペプチドまたは免疫グロブリンを精製するための方法、すなわち、未精製のポリペプチドまたは免疫グロブリン溶液から凝集体を除去するための方法が、本明細書において報告される。本方法は、サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、少なくとも20%の高い凝集体負荷を含有する溶液にとりわけ有用である。
本明細書において報告される1つの局面は、
a) (i) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の全ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階、または
(ii) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の全ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用して、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料のフロースルー中のポリペプチドを回収する段階、
ならびに
b) (i) ポリペプチドを含む段階a)で得られた溶液を弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から単量体型のポリペプチドを回収し、それによって、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から単量体型のポリペプチドをもたらす段階、または
(ii) ポリペプチドを含む段階a)で得られた溶液を弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルー中の単量体型のポリペプチドを回収し、それによって、
弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルー中の単量体型のポリペプチドをもたらす段階
を含む、単量体型のポリペプチドをもたらすための方法である。
混合モードクロマトグラフィー材料および弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、単量体型のポリペプチドを得るために、すなわち単量体型のポリペプチドを凝集型のポリペプチドから分離するために、関心対象のポリペプチドの等電点(IEP)を上回る、すなわちそれよりも高いpH値で操作できることが分かった。
本明細書において報告される方法は、抗体、抗体融合ポリペプチドまたはFc領域融合ポリペプチドのような、任意のFc領域含有ポリペプチドに適用することができ、本明細書において提供される情報を用いて過度の負担なく当業者によって判定かつ実施されうるポリペプチドの等電点(pI)に基づき、ごくわずかな、産物特異的な改変が必要とされるだけである。本明細書において報告される方法により、関心対象の新しい分子に必要とされるパラメータの選択が、導かれかつ低減されるので、本方法は、産物特異的な適合のためのごくわずかな必要条件だけで実践することができる。
本明細書において報告される方法は、既定のモード(結合-および-溶出、フロースルー)でのクロマトグラフィー段階の独特な組み合わせを含む。
本明細書において報告される方法は、
− 無菌製造に適している、
− 簡単である、例えば、分取サイズ排除クロマトグラフィーが必要ない、直線勾配溶出が必要ない、
− 費用効率が高い、例えば、プロセス段階の収率が高い、クロマトグラフィー材料の費用が低い、必要とされるクロマトグラフィー材料の量が少ない、塩の濃度が低い、利用される塩の種類および濃度に起因して廃棄物処理の負担が低い、
− 低容量のプロセスである、例えば、低塩濃度溶液の使用によって、大々的希釈または緩衝液交換の段階を省略することができる、
− 拡大縮小可能である、例えば、比較的高い結合能および/または負荷密度のそれぞれにより、必要とされるクロマトグラフィー段階において、カラム体積を少なく保つことができ、製造規模の扱いが容易である、ならびに
− 高濃度の腐食性化合物、例えば塩化ナトリウムを必要としない。
「単量体型の」という用語は、ポリペプチドまたは免疫グロブリンのそれぞれが、さらなるポリペプチドまたは免疫グロブリンと結び付いていない、すなわち共有結合的にも非共有結合的にも結び付いていないことを意味する。「単量体型の」という用語は、分子の100%が単量体型で存在することを必ずしも意味するわけではない。それは、分子が本質的に単量体型である、すなわち分子の少なくとも90%が単量体型である、または分子の少なくとも95%が単量体型である、または分子の少なくとも98%が単量体型である、または分子の少なくとも99%が単量体型である、または分子の99%超が単量体型であることをさらに意味する。
「凝集型の」という用語は、ポリペプチドまたは免疫グロブリンのそれぞれが、さらなる、すなわち少なくとも1つの、ポリペプチドまたは免疫グロブリンと、共有結合的にまたは非共有結合的に結び付いていることを意味し、それは、分析的サイズ排除クロマトグラフィーによって、または非還元条件下でのSDS-ポリアクリルアミド電気泳動によって特定することができ、単量体型から分離することができる。「凝集型の」という用語は、分子の100%が凝集型で存在することを必ずしも意味するわけではない。それは、分子が本質的に凝集型である、すなわち分子の少なくとも90%が凝集型である、または分子の少なくとも95%が凝集型である、または分子の少なくとも98%が凝集型である、または分子の少なくとも99%が凝集型である、または分子の99%超が凝集型であることをさらに意味する。
「約」という用語は、その後に続く値が厳密な値ではなく、その値の+/-10%、またはその値の+/-5%、またはその値の+/-2%、またはその値の+/-1%である範囲の中心点であることを意味する。値が百分率で与えられる相対値である場合、「約」という用語はまた、その後に続く値が厳密な値ではなく、その値の+/-10%、またはその値の+/-5%、またはその値の+/-2%、またはその値の+/-1%である範囲の中心点であることを意味し、範囲の上限は100%の値を超えることはできない。
「混合モードクロマトグラフィー」という用語は、混合モードクロマトグラフィー材料と、ポリペプチドまたは免疫グロブリンのそれぞれとの間のイオン性相互作用および疎水性相互作用の両方に基づいた結合機構を利用するクロマトグラフィー法を意味する。混合モードクロマトグラフィー材料は、両タイプの相互作用に基づく分子の結合のためのリガンドを含む。クロマトグラフィー材料と、ポリペプチドまたは免疫グロブリンのそれぞれとの間の「イオン性相互作用」は、「イオン交換クロマトグラフィー」の条件下で確立される。「疎水性相互作用」は「疎水性相互作用クロマトグラフィー」の条件下で確立される。「疎水性相互作用材料」という用語は、共有結合されている疎水性残基を含む不動の固定相として用いられる高分子量マトリックスを意味する。「疎水性相互作用クロマトグラフィー材料」は、高いイオン強度でおよび移動相中の疎水性溶媒なしで疎水性分子を結合することができる。それによって、ポリペプチドは「疎水性相互作用クロマトグラフィー材料」に、その疎水性部分を利用して結合することができる。結合は、移動相への溶媒、カオトロピック剤もしくは界面活性剤の添加によって、または温度を下げることによって移動相のイオン強度を低下させることにより、低減される。結合したポリペプチドまたは免疫グロブリンは、移動相へ放出される。結合-および-溶出モードに加えて、疎水性クロマトグラフィーは「フロースルーモード」で行うことができる。「フロースルーモード」という用語は、単量体型のポリペプチドが移動相中に残存するのに対し、凝集型のポリペプチドおよび不純物が疎水性相互作用材料に結合されるように条件が選択される、クロマトグラフィーモードを意味する。疎水性リガンドの性質に依り、「疎水性相互作用材料」は、例えば「フェニル」または「ブチル」または「Capto MMC」樹脂といわれる。Capto MMC樹脂は、疎水性相互作用のためのフェニル基およびイオン性相互作用のためのカルボキシル基を含有するリガンドを保有する。
「弱陽イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、「弱陽イオン交換材料」を利用するクロマトグラフィー法を意味する。本出願内で用いられる「イオン交換材料」という用語は、イオン交換クロマトグラフィーにおいて固定相として用いられる、共有結合された荷電置換基を保有する不動の高分子量マトリックスを意味する。全体の電荷の中立性のために、非共有結合の対イオンがそれに結合している。「イオン交換材料」は、その非共有結合された対イオンを周囲溶液の同様に荷電したイオンと交換する能力がある。その交換可能な対イオンの電荷に依って、「イオン交換材料」は、「陽イオン交換材料」または「陰イオン交換材料」といわれる。荷電基(置換基)の性質に依って、「イオン交換材料」は、例えば陽イオン交換樹脂の場合、スルホン酸樹脂(S)、またはスルホプロピル樹脂(SP)、またはカルボキシメチル樹脂(CM)といわれる。荷電基/置換基の化学的性質に依って、「イオン交換材料」は、共有結合した荷電置換基の強度に依り強イオン交換樹脂または弱イオン交換樹脂としてさらに分類されうる。例えば、強陽イオン交換樹脂は荷電置換基として、スルホプロピル基のような、スルホン酸基を持つ一方で、弱陽イオン交換材料は荷電置換基として、カルボキシメチル基のような、カルボン酸基を持つ。1つの態様において、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、カルボキシメチル陽イオン交換クロマトグラフィー材料、すなわちカルボキシメチル基を含むクロマトグラフィー材料である。
「mutIL15-Fc」という用語は、N末端変異または非変異IL-15部分とC末端Fc部分とからなる融合ポリペプチドを意味する。この融合ポリペプチドは、本発明者らの研究室において十分な量で利用可能であって、一例として用いられており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。1つの態様において、ポリペプチドまたは免疫グロブリンは、インターロイキン-15部分とSEQ ID NO: 1または2のヒト由来Fc部分との融合ポリペプチドである。そのような分子は、実施例1ならびにWO 2005/100394のSEQ ID NO: 3および4 (マウスFc部分を有する)に報告されている。
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリンの結合パートナーへの結合に直接関わらないが、しかしさまざまなエフェクター機能を示す免疫グロブリンの部分を意味する。重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依って、免疫グロブリンはクラス: IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMに分けられる。これらのクラスの一部はサブクラス(アイソタイプ)に、すなわちIgGはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に、またはIgAはIgA1およびIgA2にさらに分けられる。免疫グロブリンが属するクラスにしたがって、免疫グロブリンの重鎖定常領域は、それぞれ、α (IgA)、δ (IgD)、ε (IgE)、γ (IgG)、およびμ (IgM)と呼ばれる。免疫グロブリンの「Fc領域」は、当業者に周知の用語であり、全長免疫グロブリンのパパイン切断に基づいて定義される。1つの態様において、ポリペプチドまたは免疫グロブリンは、ヒトFc領域またはヒト由来のFc領域を含む融合ポリペプチドである。
「結合-および-溶出モード」という用語は、精製されるべき関心対象の物質を含有する溶液を、固定相、好ましくは固相と接触させ、それによって関心対象の物質が固定相に結合する、精製方法の操作モードを意味する。結果として、関心対象の物質は固定相に保持されるが、関心対象以外の物質はフロースルーまたは上清とともに除去される。関心対象の物質はその後、第2段階で固定相から溶出され、それによって、溶出液とともに固定相から回収される。
「緩衝溶液」という用語は、酸性物質またはアルカリ性物質の添加または放出によるpHの変化が、溶解した緩衝物質によって同じレベルにされている溶液を意味する。そのような特性を有する任意の緩衝物質を用いることができる。一般的には、薬学的に許容される緩衝物質が用いられる。1つの態様において、緩衝溶液は、リン酸および/もしくはその塩からなるリン酸緩衝溶液、または酢酸およびその塩からなる酢酸緩衝溶液、またはクエン酸および/もしくはその塩からなるクエン酸緩衝溶液、またはモルホリン緩衝溶液、または2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸緩衝溶液、またはヒスチジン緩衝溶液、またはグリシン緩衝溶液、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)緩衝溶液より選択される。別の態様において、緩衝溶液は、リン酸緩衝溶液、または酢酸緩衝溶液、またはクエン酸緩衝溶液、またはヒスチジン緩衝溶液より選択される。任意で、緩衝溶液は、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、クエン酸ナトリウム、またはクエン酸カリウムのような、さらなる塩を含んでもよい。
「免疫グロブリン結合体」という用語は、ペプチド結合を介してさらなるポリペプチドに結合された免疫グロブリン重鎖または軽鎖の少なくとも1つのドメインを含むポリペプチドを意味する。さらなるポリペプチドは、ホルモン、または毒素、または増殖因子受容体(growth receptor)、または抗融合ペプチド、または補体因子などのような、非免疫グロブリンペプチドでありうる。
「フロースルーモード」という用語は、精製されるべき関心対象の物質、例えば単量体型の免疫グロブリンを含有する溶液を、固定相、好ましくは固相と接触させ、それによって関心対象の物質がその固定相に結合しない、精製方法の操作モードを意味する。結果として、関心対象の物質は、フロースルー(精製方法がクロマトグラフィー法である場合)または上清(精製方法がバッチ法である場合)のいずれかの中に得られる。同様に溶液中に存在した、関心対象以外の物質、例えば凝集型の免疫グロブリンは、固定相に結合し、そのようにして溶液から除去される。これは、関心対象以外の物質の100%が溶液から除去されることを必ずしも意味するものではなく、関心対象以外の物質の本質的に100%が除去される、すなわち、関心対象以外の物質の少なくとも50%が溶液から除去される、好ましくは関心対象以外の物質の少なくとも75%が溶液から除去される、好ましくは関心対象以外の物質の少なくとも90%が溶液から除去される、好ましくは関心対象以外の物質の95%超が溶液から除去されることを意味する。
混合モード陽イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーのどちらかを利用する単一のクロマトグラフィー精製段階においては、許容される回収率、またさらには高い回収率と凝集ポリペプチドの除去とを同時に達成することができない。つまり、十分な凝集体除去を得るために、回収率の低減を受け入れる必要がある。
2つのクロマトグラフィー段階の組み合わせは、20%超の凝集型のポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む未精製のポリペプチドまたは免疫グロブリン溶液の精製の場合に、単一のクロマトグラフィー段階と比べて、改善された凝集体除去を提供し、同時に、回収率の増大を提供することが分かった。
本明細書において報告される1つの局面は、
a) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドまたは免疫グロブリンの20%またはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を提供する段階、
b) 溶液を、結合-および-溶出モードで混合モードクロマトグラフィー材料に、またはフロースルーモードで疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドまたは免疫グロブリンを回収する段階、ならびに
c) 前段階で得られた溶液を、結合-および-溶出モードまたはフロースルーモードで弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドまたは免疫グロブリンを回収し、それによって、単量体型のポリペプチドまたは免疫グロブリンを得る段階および凝集型のポリペプチドまたは免疫グロブリンを除去する段階
を含む、単量体型のポリペプチドまたは免疫グロブリンから凝集型のポリペプチドまたは免疫グロブリンを除去するための方法である。
1つの態様において、混合モードクロマトグラフィー材料および/または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用される溶液のpH値は、ポリペプチドの等電点を少なくとも0.2 pH単位上回る。
1つの態様において、緩衝液の濃度は、150 mmol/l未満、かつ1 mmol/l超である。
「に適用する段階」という用語は、精製されるべき関心対象の物質を含有する溶液をクロマトグラフィー材料と接触させる、クロマトグラフィー法の部分的段階を意味する。これは、a) クロマトグラフィー材料が位置付けられたクロマトグラフィー装置に溶液が加えられること、またはb) クロマトグラフィー材料が溶液に加えられることを意味する。a)の場合、精製されるべき関心対象の物質を含有する溶液は、クロマトグラフィー材料を通過し、クロマトグラフィー材料と溶液中の物質との間の相互作用を可能にする。例えばpH、電導度、塩濃度、温度、および/または流速などの条件に依って、溶液の一部の物質はクロマトグラフィー材料に結合し、したがって、溶液から除去される。他の物質は溶液中に残存する。溶液中に残存している物質は、フロースルー中に見出すことができる。「フロースルー」はクロマトグラフィー装置の通過後に得られる溶液を意味し、これは、適用された、関心対象の物質を含有する溶液、あるいはカラムを洗い流すために、またはクロマトグラフィー材料に結合された1種もしくは複数種の物質の溶出を引き起こすために用いられる緩衝液のどちらかでありうる。1つの態様において、クロマトグラフィー装置はカラム、またはカセットである。関心対象の物質を精製段階の後に、例えば沈殿、塩析、限外ろ過、透析ろ過、凍結乾燥、アフィニティークロマトグラフィー、または溶媒容積の低減(solvent volume reduction)などの、当業者によく知られた方法により溶液から回収して、実質的に均質な形態の関心対象の物質を得ることができる。b)の場合、クロマトグラフィー材料を、例えば固体として、精製されるべき関心対象の物質を含有する溶液に加え、クロマトグラフィー材料と溶液中の物質との間の相互作用を可能にする。相互作用の後、クロマトグラフィー材料は、例えばろ過によって除去されるが、関心対象の物質は、クロマトグラフィー材料に結合されて、それとともに溶液から除去されるか、またはクロマトグラフィー材料に結合されず、溶液中に残存するかのどちらかである。
1つの態様において、弱陽イオン交換クロマトグラフィー段階は、フロースルーモードで行われる。別の態様において、弱陽イオン交換クロマトグラフィーは、ポリペプチドの等電点を最大2.5 pH単位上回るまでの範囲のpH値で行われる。1つの態様において、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域を含む融合ポリペプチドである。別の態様において、ポリペプチドは免疫グロブリンである。
本明細書において報告される方法は、IL-15変種とヒト免疫グロブリンFc領域とからなる融合ポリペプチドを用い以下において例示される。これは、単に一例として例示されており、限定と解釈されてはならない。真の範囲は特許請求の範囲に記載されている。
単量体型および凝集型の融合ポリペプチドを含む未精製の培養上清を、異なるクロマトグラフィー段階の組み合わせにより精製することができる。組み換えプロテインA (例えばMabSelectSuRe)でのクロマトグラフィーにより、(SECによって判定した場合に)可溶性凝集体として20%超の、すなわち約30%の融合ポリペプチドを含む溶液が得られる。MabSelectXtraでのクロマトグラフィーにより、可溶性凝集体として約40%〜50%の融合ポリペプチドを含む溶液が得られる。
1つの態様において、段階a)の後かつ段階b)の前に、溶液は、結合-および-溶出モードでプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料に適用され、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料から回収される。
混合モードクロマトグラフィー材料に、または疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用される溶液は、約20%、別の態様において約30%、およびさらなる態様において約40%の、凝集型のポリペプチドまたは免疫グロブリンを含む。
1つの態様において、ポリペプチドまたは免疫グロブリンは、酸性クエン酸緩衝溶液を適用することにより、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料から回収される。
本発明の具体的な態様
1. a) i) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドをフロースルーから回収する段階、または
ii) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階、ならびに
b) 前段階で得られた溶液を弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、そこからポリペプチドを回収し、それによって、単量体型のポリペプチドをもたらす段階
を含む、単量体型のポリペプチドをもたらすための方法。
2. 混合モードクロマトグラフィー材料および/または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用される溶液が、ポリペプチドの等電点を少なくとも0.2 pH単位かつ多くても2.5 pH単位上回るpH値を持つことを特徴とする、態様1の方法。
3. 混合モードクロマトグラフィー材料および/または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用される溶液が、1 mmol/l〜150 mmol/lの緩衝液濃度を有する緩衝溶液であることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
4. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からの回収が弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料の溶出液からであることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
5. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からの回収が弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルーからであることを特徴とする、態様1〜3のいずれか一つの方法。
6. 溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用する段階が、
− 疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に、約7.0のpH値を有する緩衝液を含む、約0.5 mol/l〜約1.5 mol/lの塩化ナトリウムおよび約10%〜約15% (v/v)の2-プロパノールの溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、約7.0のpH値、約0.5 mol/l〜約1.5 mol/lの塩化ナトリウム濃度、かつ約10%〜約15% (v/v)の2-プロパノール含量に調整する段階、
− 調整された、前記ポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用する段階
を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
7. 緩衝液がトリス緩衝液であることを特徴とする、態様6の方法。
8. 混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階が、
− 混合モードクロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.7 pH単位〜約1.3 pH単位のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、ポリペプチドのIEPプラス約0.7 pH単位〜約1.3 pH単位のpH値に調整する段階、
− 調整された、前記ポリペプチドを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用する段階、
− ポリペプチドのIEPプラス約1.7 pH単位〜約2.3 pH単位のpH値を有するリン酸緩衝液を含む溶液を適用することにより、混合モードクロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
9. 混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階が、
− 混合モードクロマトグラフィー材料に、約pH 5.5のpH値を有する酢酸緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、約pH 5.5のpH値に調整する段階、
− 調整された前記溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用する段階、
− 約pH 6.5のpH値を有するリン酸緩衝液を含む溶液を適用することにより、混合モードクロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
を含むことを特徴とする、態様1〜7のいずれか一つの方法。
10. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階が、
− 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.0 pH単位のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.0 pH単位のpH値に調整する段階、
− 調整された、前記ポリペプチドを含む溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
− 塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムを約210 mmol/l〜約240 mmol/lの濃度で含む溶液を適用することにより、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階、または、約pH 6.0〜約pH 8.0のpH値の溶液により、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
11. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階が、
− 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、約pH 5.0〜約pH 5.4のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、約pH 5.0〜約pH 5.4のpH値に調整する段階、
− 調整された前記溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
− 塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムを約100 mmol/l〜約230 mmol/lの濃度で含む溶液を適用することにより、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階、または、約pH 6.0〜約pH 8.0のpH値の溶液により、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
を含むことを特徴とする、態様8の方法。
12. 回収する段階において、pH値が約pH 5.0でありかつ塩化ナトリウム濃度が約230 mmol/lであるか、またはpH値が約pH 5.2でありかつ塩化ナトリウム濃度が約210 mmol/lであることを特徴とする、態様10または11の方法。
13. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階が、
− 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.2 pH単位のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.2 pH単位のpH値に調整する段階、
− 調整された前記溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
− フロースルーからポリペプチドを回収する段階
を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
14. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階が、
− 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、約pH 5.0〜約pH 5.4のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
− クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、約pH 5.0〜約pH 5.4のpH値に調整する段階、
− 調整された前記溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
− フロースルーからポリペプチドを回収する段階
を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
15. 調整する段階が約pH 5.1かつ約100 mmol/l〜約120 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであるか、または約pH 5.5かつ約40 mmol/l〜約55 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであるか、または約pH 6.0かつ約10 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであることを特徴とする、態様13または14の方法。
16. 緩衝液がクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液およびMES緩衝液より選択されることを特徴とする、態様3〜14のいずれか一つの方法。
17. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料がカルボキシメチル弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料であること、および弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階が弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルーからであることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
18. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料がカルボキシメチル弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料であること、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に用いられる緩衝液が酢酸緩衝液であること、および弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料から回収する段階が弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルーからであることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
19. 回収する段階が定組成溶出によるものであることを特徴とする、態様10〜18のいずれか一つの方法。
20. 緩衝液が約1.9 mS/cmの電導度を持つことを特徴とする、態様8〜19のいずれか一つの方法。
21. 段階ii)における緩衝液が、約pH 5.3かつ約50 mmol/l〜約75 mmol/lの酢酸緩衝液、または約pH 5.5かつ約7.5 mmol/l〜約15 mmol/lの酢酸緩衝液であることを特徴とする、態様8〜9および16〜20のいずれか一つの方法。
22. 回収する段階が、10% (v/v)の約pH 6.0〜約pH 6.5のpH値の酢酸緩衝液の添加によるものであるか、または回収する段階が、60% (v/v)の約pH 8.0のpH値のMES緩衝液の添加によるものであることを特徴とする、態様10〜12および18〜21のいずれか一つの方法。
23. 混合モードクロマトグラフィー材料が、疎水性クロマトグラフィー基および陽イオン交換クロマトグラフィー基、例えばCapto MMCを含むクロマトグラフィー材料であり、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料が、フェニルセファロースおよびブチルセファロースより選択され、かつ/または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料が、カルボキシメチル陽イオン交換クロマトグラフィー材料、例えばカルボキシ-メチルセファロースもしくはトヨパールCM-650であることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
24. ポリペプチドがFc部分を含み、かつ第一段階が、溶液をプロテインAクロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを酸性緩衝液により回収する段階であることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
25. ポリペプチドが免疫グロブリン、または免疫グロブリン融合体、または免疫グロブリンFc領域融合体であることを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
26. ポリペプチドがSEQ ID NO:02のアミノ酸配列を持つことを特徴とする、前記態様のいずれか一つの方法。
以下の実施例、配列表および図面は、本発明の理解を補助するために提供されており、その真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の趣旨から逸脱することなく記載の手順に改変を加えることができると理解されたい。
配列表の説明
SEQ ID NO:01
ヒト変異型インターロイキン15-Fc領域融合ポリペプチドの核酸配列。
SEQ ID NO:02
ヒト変異型インターロイキン15-Fc領域融合ポリペプチドのアミノ酸配列。
定義
「単量体回収率」という用語は、実験全体のカラム溶出において見出される単量体を意味し、カラムに負荷された単量体に対しての、全溶出において見出された単量体の比率として計算される。
「単量体収率」という用語は、さらに処理される価値のある質でカラムから溶出された精製単量体を意味し、カラムに負荷された単量体に対しての、溶出および精製された単量体の比率として計算される。
「%単量体」という用語は、サンプル中の単量体型のmutIL15-Fcの部分的画分を意味し、サンプル中の、mutIL15-Fcの全量、すなわち単量体型および凝集型のポリペプチドの合計に対しての、単量体mutIL15-Fの比率として計算される。
「HMW」(=高分子量)という用語は、凝集型のポリペプチドを意味する。
実施例1
mutIL15-Fcの産生
インターロイキン-15/Fc融合タンパク質は、国際特許出願WO 1997/041232、WO 2005/100394およびWO 2005/100395に報告されているデータおよび方法にしたがって調製された。
実施例2
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによる精製
実施例1で得られた未精製の培養上清をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料MabSelectSuRe (GE Healthcare, Uppsala, Sweden)に適用した。カラムにカラム体積1 mlあたり最大14 mgのタンパク質を負荷した。結合したmutIL15-Fc融合タンパク質を100 mMクエン酸緩衝液pH 3.6で溶出させた。溶出の前にさらなる洗浄段階を導入して、宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質を除去した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料から76.6%〜78.4%のmutIL15-Fcが回収された。
(表1)プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによる精製
Figure 2014520775
実施例3
混合モードクロマトグラフィーによる精製
プロテインAで精製されたmutIL15-Fcを、透析および/または適切なストック溶液の添加によって必要とされるpH値および塩濃度に調整し、その後、25 mMの酢酸緩衝液pH 5.5で予め平衡化された混合モードクロマトグラフィーカラムに適用した。混合モードクロマトグラフィー材料として、Capto MMCを用いた(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)。カラムにカラム体積1 mlあたり最大20 mgのタンパク質を負荷した。25 mMのリン酸ナトリウムpH 6.5を含む溶液を、カラムからのタンパク質の回収に用いた。
(表2)混合モードクロマトグラフィー材料による凝集体除去
Figure 2014520775
(表3)混合モードクロマトグラフィー材料によるHCP除去
Figure 2014520775
mutIL15-Fc回収率は58.3%であった。
(表4)混合モードクロマトグラフィーによる精製
Figure 2014520775
実施例4
疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製
a) フェニルセファロース
プロテインAで精製されたmutIL15-Fc (およそ12 mg)を、適切なストック溶液の添加によって必要とされる塩および2-プロパノール濃度に調整し、1.5 mol/l NaClおよび10% (v/v) 2-プロパノールを含む20 mMトリス-HCl緩衝液, pH 7.0で予め平衡化されたフェニルセファロースカラムHP (GE Healthcare, Uppsala, Sweden)に適用した。適用された溶液にはおよそ30%の凝集タンパク質が含有されていた。強固に結合されたタンパク質の除去は、50% (v/v) 2-プロパノールを含む100%の20 mMトリス-HCl緩衝液, pH 7.0で達成された。カラムは5 ml/分の流速で操作された。
1.5 mol/l NaClおよび10% (v/v) 2-プロパノールを含む20 mMトリス-HCl緩衝液, pH 7.0中でmutIL15-Fcをカラムに適用した。これらの条件下で、mutIL15-Fcはフロースルー中に見出されたが、凝集体はクロマトグラフィー材料に結合された。この非結合法において、適用されたmutIL15-Fc単量体のおよそ60%がフロースルー中に94%の純度で6%の凝集体とともに回収された。
(表5)フェニルセファロースHPによる精製
Figure 2014520775
b) ブチルトヨパール
プロテインAで精製されたmutIL15-Fc (およそ11 mg)を、適切なストック溶液の添加によって必要とされる塩および2-プロパノール濃度に調整し、20 mmol/lトリス/HCl pH 7.0、0.5 mol/l NaCl、15% (v/v) 2-プロパノールで予め平衡化されたブチルトヨパール-650Mカラム(Tosoh Bioscience GmbH, Stuttgart, Germany)に適用した。適用された溶液にはおよそ30%の凝集タンパク質が含有されていた。強固に結合されたタンパク質の除去は、50% (v/v) 2-プロパノールを含む100%の20 mMトリス-HCl緩衝液, pH 7.0で達成された。カラムは5 ml/分の流速で操作された。
プロテインAで精製されたmutIL15-Fcを20 mmol/lトリス/HCl pH 7.0、0.5 mol/l NaCl、15% (v/v) 2-プロパノール中でカラムに負荷した場合に、単量体mutIL15-Fcの75%がフロースルーから95%の純度で5%の凝集体とともに回収された。
(表6)ブチルトヨパール-650Mによる精製
Figure 2014520775
実施例5
弱陽イオン交換クロマトグラフィーによる精製
a) 結合-および-溶出モード
mutIL15-Fcを含むプロテインAアフィニティークロマトグラフィーの回収溶液を緩衝液A中で平衡化した。これはAmicon Ultra 15装置(30 kDa MWCO, Millipore, 注文番号UFC803096)を用いてまたは透析ろ過によって行われた。サンプルを、緩衝液Aで予め平衡化されたCM-セファロースFFカラム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)に適用した。溶出は、緩衝液Bを用いて勾配または段階溶出プロファイルで達成された。カラムは2〜2.5 ml/分で操作された。
10 mmol/lのクエン酸緩衝液を用いて、mutIL15-FcはpH 3.0〜pH 5.4のpH範囲でCM-セファロースに完全に結合した。pH 5.5でサンプルの約3分の1がフロースルー中に回収された。pH 6.0で、mutIL15-Fcの主画分はCM-セファロースに結合しなかった。それゆえ、結合-および-溶出モードでのCM-セファロースによる精製はpH 5.0〜pH 5.5のpH範囲で行われた。
直線塩勾配を用いた場合に、単量体mutIL15-Fcは凝集mutIL15-Fcの前に溶出した。pH値が高いほど、単量体mutIL15-Fcと凝集mutIL15-Fcの分離は良好となり、pH 5.0でまたはpH 5.2で溶出ピークの前半において凝集体を含まない画分をもたらした。
段階溶出を用いた場合に、mutIL15-Fcは200 mmol/lの塩化ナトリウム溶液で回収された。5 mlのHiTrapカラムを用いて、主に単量体mutIL15-Fc (およそ98%の純度、収率77%)が鋭いピークとして溶出し、これに続く2番目のピークには凝集mutIL15-Fc (およそ90%の凝集体)が含有されていた(図1参照)。強固に結合されたタンパク質は、1 mol/l NaClで溶出された。クロマトグラムから、単量体タンパク質(最初のピーク)の溶出の間に、pH値はおよそpH 4.0まで低下したことを認めることができる。2番目のピークの溶出の間に、pHはpH 4.7まで部分的に回復された。このpH値の変化は、タンパク質の負荷なしで実験を行った場合にも観察された。
単量体および凝集体のピークの適時分離は、カラムのカラム長を増加させることで改善することができる。例えば、pH 5.2 (10 mmol/lのクエン酸)で、単量体mutIL15-Fcは、200 mmol/l NaClを用いての5 mlのHiTrapカラムと比べて15 mlのカラムから同じ純度(98%)かつさらに良好な収率(90%)で溶出された。この実験でのカラム負荷は、1 mg/ml未満のカラムベッド体積であった。
カラム負荷を段階的に増加させた場合、CM-セファロースFFカラムの分離度は徐々に減少した。低いカラム負荷(0.36 mg/mlカラムベッド体積、10 mmol/lのクエン酸pH 5.2)で、200 mmol/lの塩化ナトリウム溶液を用いて完全に分離した2つのピークが溶出された。さらに高いカラム負荷(5.3 mg/ml)では、2つのピークが重なり合った。最初の(単量体の)ピークにおける凝集mutIL15-Fcの量は、総タンパク質の量の増加とともに増加した。低いカラム負荷では、3%未満の凝集体の画分を単量体ピークから回収することができた。さらに高い負荷では、15%未満の凝集体を含有する単量体ピークの画分はなかった。
最良の結果は210 mmol/l NaCl pH 5.2で得られた(81%の収率、98.5%の純度)。塩濃度を+/- 10 mmol/lだけ変化させることで、分離に影響が及び、結果的に低い純度および/または収率となった。負荷緩衝液のpH値が+/- 0.2 pH単位変化すると、210 mmol/l NaClでの単量体mutIL15-Fcの溶出は、強い純度低下(20%超の凝集体)に至った。pH 5.0で、精製mutIL15-Fc (98.6%の純度)を中等度の収率(58%)で回収するには、230 mmol/lのNaClが必要であった。pH 5.4で、150 mmol/l超のNaCl濃度による溶出は、凝集体の溶出をもたらす。
カラム平衡化およびタンパク質負荷のために10 mMのクエン酸緩衝液pH 5.2に代えて、35 mmol/lの酢酸緩衝液pH 5.0または10 mMのMES緩衝液pH 5.0、すなわち約1.9 mS/cmの電導度(クエン酸緩衝液と同じ電導度)を有するpH 5.0〜pH 5.5のpH範囲の緩衝溶液を用いることができる。例えば、35 mM酢酸緩衝液, pH 5.0により、mutIL15-Fcは2つの別個のピークで溶出し、ここで1番目のピークには主に単量体タンパク質(1%〜8%の凝集体)が含有され、2番目のピークには主に凝集体(60%〜95%)が含有されていた。
段階溶出法のためNaClの代わりにKClを用い、180 mmol/lのKClで、NaClよりも良好な分離がもたらされた。180 mmol/lのKClにより、溶出ピークの上昇端に単量体のショルダーが認められたのに対し、180 mmol/lのNaClではピーク分離が認められなかった。220 mmol/lのNaClの使用により、単量体の良好な分離がもたらされた(100%の純度、70%の収率)。
酢酸緩衝液によるpH勾配およびpH 5.0 (緩衝液A)〜pH 6.5 (緩衝液B)の勾配を用いて、単量体が凝集体の前に溶出した。勾配が浅いほど、凝集体からの単量体の分離はそれだけ良好であった。mutIL15-Fcの結合はpH 5.0で完全であった。最良の精製結果は、平衡化および負荷をpH 5.0で行い、溶出を10%の緩衝液B pH 6.0で行った場合(溶出ピーク最大値ではおよそpH 5.3という結果になる)に得られた。メインのピークには負荷単量体mutIL15-Fcの68%が99.5%の純度で含有されていた。カラム負荷は0.3 mg/mlカラムベッド体積であった。クロマトグラフィー条件をほんのわずかだけ変化させた場合に、単量体タンパク質の精製は再び悪化した: 溶出を11%の緩衝液Bで行った場合に、97.5%の純度で64%の単量体しか回収することができなかった。
緩衝液AおよびBに、それぞれ、pH 5.0およびpH 8.0のMES緩衝液を用いて、60%の緩衝液Bの段階(およそpH 5.8)で、98.5%の単量体ピークおよび96%の単量体収率を得た。精製の質に及ぼすカラム負荷の影響を下記表に要約する。
(表7)MESによるpH勾配を用いたCM-セファロースFFからのmutIL15-Fc単量体の収率および純度に及ぼすカラム負荷の影響
Figure 2014520775
トヨパールCM-650M (Tosoh Bioscience GmbH, Stuttgart, Germany, 注文番号43203)で行った比較分離実験により、CM-セファロースFFカラムで得られたものと類似の結果がもたらされた。
(表8)結合-および-溶出モードでのCM-セファロースFFによる精製
Figure 2014520775
Figure 2014520775
Figure 2014520775
b) フロースルーモード
溶液を下記表に記載の各負荷緩衝液に対して透析した。単量体mutIL15-Fc融合タンパク質は、負荷緩衝液のフロースルー中に回収された(定組成溶出)。凝集体および断片は、200 mMの塩化ナトリウムを含む溶液による単一段階の溶出で回収された。
(表9)フロースルーモードでのCM-セファロースFFによる精製
Figure 2014520775
Figure 2014520775
Figure 2014520775
Figure 2014520775
実施例6
強陽イオン交換クロマトグラフィーによる精製
カラムに負荷する前に、mutIL15-Fcを透析により、それぞれ、10 mmol/lのクエン酸ナトリウムpH 5.0、5.2および5.5中で平衡化した。負荷の後に、溶出は、塩勾配の増大で、または1 mol/lのNaClを補充した平衡化緩衝液による段階溶出プロファイルで、達成された。カラムは2 ml/分で操作された。
mutIL15-FcはpH 5.0、5.2および5.5でSP-セファロースFF (GE Healthcare, Uppsala, Sweden)に、ならびにpH 5.2でトヨパールSP-650 M (Tosoh Bioscience GmbH, Stuttgart, Germany, 注文番号43202)に完全に結合した。mutIL15-Fcの溶出は、負荷の終了後および塩勾配の開始前のカラムの再平衡化の間に始まった。メインのピークにおいて、単量体mutIL15-Fcは、用いた媒体、pHおよび溶出条件とは無関係に、凝集タンパク質よりも早く、しかし全面的に重なり合い、凝集体からの単量体型の有意な分離を可能としない形で溶出した。
(表10)スルホプロピル媒体による精製
Figure 2014520775
実施例7
プロテインAクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカルボキシメチルセファロースによる精製
実施例1で得られた未精製の培養上清をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料MabSelectXtra (GE Healthcare, Uppsala, Sweden)に適用した。カラムにカラム体積1 mlあたり約12 mgのタンパク質を負荷した。結合したmutIL15-Fc融合タンパク質を100 mMの酢酸ナトリウム緩衝液pH 3.2で溶出させた。溶出の前にさらなる洗浄段階を導入して、宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質を除去した。約80%のmutIL15-Fcが回収された。
プロテインAで精製されたmutIL15-Fcを、SECを用いてさらに精製した。回収されたプール単量体含有画分は、およそ95.5%の純度(4.5%の凝集体)を含有していた。
カルボキシメチルセファロースクロマトグラフィーの場合、実施例5に報告のpH勾配(pH 5.0 / pH 8.0)を伴うMES緩衝液系を用いた。
図2に示され、表11に要約されているように、中等度に凝集されたサンプルをカラムに負荷した場合に高い純度でmutIL15-Fcが得られた。7 mg/mlの比較的高いカラム負荷でさえ、純度99%の単量体を80%の収率で回収することができた。
(表11)CM-セファロースFFによる予精製サンプルの精製
Figure 2014520775
実施例8
プロテインAクロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、およびカルボキシメチル-セファロースによる精製
実施例1で得られた未精製の培養上清をプロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料MabSelectSuRe (GE Healthcare, Uppsala, Sweden)に適用した。カラムにカラム体積1 mlあたり最大14 mgのタンパク質を負荷した。結合したmutIL15-Fc融合タンパク質を100 mMクエン酸緩衝液pH 3.6で溶出させた。溶出の前にさらなる洗浄段階を導入して、宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質を除去した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー材料から76.6%〜78.4%のmutIL15-Fcが回収された(図3a)。
プロテインAで精製されたmutIL15-Fcを、透析および/または適切なストック溶液の添加によって必要とされるpH値および塩濃度に調整し、その後、25 mMの酢酸緩衝液pH 5.5で予め平衡化された混合モードクロマトグラフィーカラムに適用した。混合モードクロマトグラフィー材料として、Capto MMCを用いた(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)。カラムにカラム体積1 mlあたり最大20 mgのタンパク質を負荷した。25 mMのリン酸ナトリウムpH 6.5を含む溶液を、カラムからのタンパク質の回収に用いた(図3b)。
Capto MMC溶出液を75 mM酢酸ナトリウム緩衝液pH 5.3に対して透析した。CM-セファロースカラムにカラム体積1 mlあたり最大5 mgのタンパク質を負荷した。単量体mutIL15-Fc融合タンパク質は、負荷段階でのフロースルー中に回収された。凝集体および断片は、200 mMの塩化ナトリウムを含む溶液による単一段階の溶出で回収された(図3c)。ここに記述した条件の下で行ったCM-セファロースクロマトグラフィーの凝集体除去能を表12に示す。mutIL15-Fcの収率はこの段階で約81%である。
(表12)アフィニティークロマトグラフィーおよび混合モードクロマトグラフィー後の第3のクロマトグラフィー段階としての、フロースルーモードでのCMセファロースクロマトグラフィーによる凝集体除去
Figure 2014520775

Claims (15)

  1. a) i) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドをフロースルーから回収する段階、または
    ii) サイズ排除クロマトグラフィーによって判定した場合に、凝集型が、溶液中の総ポリペプチドの20%もしくはそれ以上である、単量体型および凝集型のポリペプチドを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階、ならびに
    b) 前段階で得られた溶液を弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、そこからポリペプチドを回収し、それによって、単量体型のポリペプチドをもたらす段階
    を含む、単量体ポリペプチドをもたらすための方法。
  2. 混合モードクロマトグラフィー材料および/または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用される溶液が、前記ポリペプチドの等電点を少なくとも0.2 pH単位かつ多くても2.5 pH単位上回るpH値を持つことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 混合モードクロマトグラフィー材料および/または弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用される溶液が、約1 mmol/l〜約150 mmol/lの緩衝液濃度を有する緩衝溶液であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  4. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からの回収が、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料の溶出液からまたは弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料のフロースルーからであることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  5. 溶液を疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用する段階が、
    − 疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に、約7.0のpH値を有するトリス緩衝液を含む、約0.5 mol/l〜約1.5 mol/lの塩化ナトリウムおよび約10%〜約15% (v/v)の2-プロパノールの溶液を適用する段階、
    − クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、約7.0のpH値、約0.5 mol/l〜約1.5 mol/lの塩化ナトリウム濃度、かつ約10%〜約15% (v/v)の2-プロパノール含量に調整する段階、
    − 前記ポリペプチドを含む溶液を、疎水性相互作用クロマトグラフィー材料に適用する段階
    を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  6. 混合モードクロマトグラフィー材料に適用して、混合モードクロマトグラフィー材料から回収する段階が、
    − 混合モードクロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.7 pH単位〜約1.3 pH単位のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
    − クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、ポリペプチドのIEPプラス約0.7 pH単位〜約1.3 pH単位のpH値に調整する段階、
    − 前記ポリペプチドを含む溶液を、混合モードクロマトグラフィー材料に適用する段階、
    − ポリペプチドのIEPプラス約1.7 pH単位〜約2.3 pH単位のpH値を有するリン酸緩衝液を含む溶液を適用することにより、混合モードクロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
    を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  7. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを回収する段階が、
    − 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.0 pH単位のpH値を有する緩衝液を含む溶液を適用する段階、
    − クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.0 pH単位のpH値に調整する段階、
    − 前記ポリペプチドを含む溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
    − 塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムを約210 mmol/l〜約240 mmol/lの濃度で含む溶液を適用することにより、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階、または、約pH 6.0〜約pH 8.0のpH値の溶液により、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料からポリペプチドを回収する段階
    を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  8. 回収する段階において、pH値が約pH 5.0でありかつ塩化ナトリウム濃度が約230 mmol/lであるか、またはpH値が約pH 5.2でありかつ塩化ナトリウム濃度が約210 mmol/lであることを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用して、ポリペプチドを回収する段階が、
    − 弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.2 pH単位のpH値を有する溶液を適用する段階、
    − クロマトグラフィー材料に適用する段階の前の、前記ポリペプチドを含む溶液を、ポリペプチドのIEPプラス約0.2 pH単位〜約1.2 pH単位のpH値に調整する段階、
    − 前記溶液を、弱陽イオン交換クロマトグラフィー材料に適用する段階、
    − フロースルーからポリペプチドを回収する段階
    を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  10. 調整する段階が、約pH 5.1かつ約100 mmol/l〜約120 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであるか、または約pH 5.5かつ約40 mmol/l〜約55 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであるか、または約pH 6.0かつ約10 mmol/lの酢酸緩衝液によるものであることを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 緩衝液がクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液およびMES緩衝液より選択されることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか一項記載の方法。
  12. 回収する段階が定組成溶出によるものであることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項記載の方法。
  13. 緩衝液が約1.9 mS/cmの電導度を持つことを特徴とする、請求項6〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 段階ii)における緩衝液が、約pH 5.3かつ約50 mmol/l〜約75 mmol/lの酢酸緩衝液、または約pH 5.5かつ約7.5 mmol/l〜約15 mmol/lの酢酸緩衝液であることを特徴とする、請求項9および10〜13のいずれか一項記載の方法。
  15. 回収する段階が、10% (v/v)の約pH 6.0〜約pH 6.5のpH値の酢酸緩衝液の添加によるものであるか、または回収する段階が、60% (v/v)の約pH 8.0のpH値のMES緩衝液の添加によるものであることを特徴とする、請求項7、8、および11〜14のいずれか一項記載の方法。
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