JP2017128554A - タンパク質の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液から効率的に抗体の凝集体を除去する方法を提供する。【解決手段】目的タンパク質の単量体と凝集体とを含む水溶液を、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を備え、カチオン交換基密度が30mmol/Lより高いカチオン交換クロマトグラフィー担体により、フロースルーする精製方法であり、水溶液中の凝集体の含有率が3%以下であり、目的タンパク質の単量体と凝集体をカチオン交換クロマトグラフィー担体1mLあたり0.5g以上ロードし、凝集体を50%以上低減させる、精製方法。【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質の精製方法に関する。
免疫グロブリン(抗体)は、免疫反応を司る生理活性物質である。近年、医薬品、診断薬あるいは対応する抗原タンパク質の分離精製材料等の用途において、その利用価値が高まっている。抗体は免疫した動物の血液あるいは抗体産生能を保有する細胞の細胞培養液又は動物の腹水培養液から取得される。但し、それらの抗体を含有する血液や培養液は、抗体以外のタンパク質、又は細胞培養に用いた原料液に由来する複雑な夾雑成分を包含し、それらの不純物成分から抗体を分離精製するには、煩雑で長時間を要する操作が通常必要である。
液体クロマトグラフィーは、抗体の分離精製に重要である。抗体を分離するためのクロマトグラフィー手法として、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び逆相クロマトグラフィー等があり、これらの手法を組み合わせることで抗体が分離精製される。
イオン交換クロマトグラフィー工程は、吸着剤表面のイオン交換基を固定相として移動相中に存在する対イオンを可逆的に吸着することにより分離を行う方法である。吸着剤の形状としては、ビーズや、平膜、中空糸等の膜などが採用されており、これらの基材にカチオン交換基又はアニオン交換基を結合したものが吸着剤として市販されている。
カチオン交換基を有する吸着剤では、低塩濃度の抗体溶液を吸着材に接触させることにより、抗体を吸着させ、移動相の塩濃度を高めることにより、吸着させた生理活性物質を溶出させる精製が一般的に行われており、抗体の単量体と、抗体の2量体等の凝集体と、を分離することがしばしば目的とされている。更に、より良好な方法として、フロースルー精製も提案されている。
フロースルー精製とは、目的物質よりも不純物を選択的に吸着させる精製方法である。そのため、従来の吸着、溶出を利用した方法に比べ、緩衝液(バッファー)の節約や工程の簡略化につながる。
特許文献1には、樹脂上に芳香族と弱カチオン交換基を有する低分子化合物を結合させた、フロースルー精製に用いるマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂が開示されている。
特許文献2には、強カチオン交換基を有するモノマー単位と、非荷電であるモノマー単位と、の共重合体を担体に固定したカチオン交換クロマトグラフィー担体によるフロースルー精製が開示されており、凝集体を効率的に除去できるとしている。
特許第4776615号公報 国際公開第2014/171437号
特許文献1には、プロテインAと抗体が凝集した凝集体をフロースルー精製により除去することが開示されているが、抗体同士の凝集体の除去能に関しては開示されていない。また、特許文献1に係るクロマトグラフィー樹脂にかけられる抗体の量は少ない。
特許文献2には、強カチオン交換基を主とするカチオン交換クロマトグラフィー担体によるフロースルーモードでの抗体の凝集体の除去方法が開示されている。しかし、本発明者らは検討の結果、強カチオン交換基を主とするカチオン交換クロマトグラフィー担体では、抗体溶液中の抗体の凝集体の含有率が少なくても、効率的に抗体の凝集体を除去できる抗体溶液の量が増加しないことを見出した。このように、強カチオン交換基を主とするカチオン交換クロマトグラフィー担体は、抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液であっても抗体溶液の処理量が少なく、抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液のフロースルー精製には適さない場合があることを本発明者らは見出した。なお、抗体溶液の処理量とは、カチオン交換クロマトグラフィー担体に導入することができる抗体溶液の全量である。
このように、抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液から抗体の凝集体を効率よく除去する方法は従来見出されていない。そこで、本発明は、抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液から効率的に抗体の凝集体を除去する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて、研究開発を行った。その結果、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を有するカチオン交換クロマトグラフィー担体を用いるフロースルー精製により、抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液から効率的に抗体の凝集体を除去出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の形態によれば、目的タンパク質の単量体と凝集体とを含む水溶液を、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を備え、カチオン交換基密度が30mmol/Lより高いカチオン交換クロマトグラフィー担体により、フロースルーする精製方法であり、水溶液中の凝集体の含有率が3%以下であり、目的タンパク質の単量体と凝集体をカチオン交換クロマトグラフィー担体1mLあたり0.5g以上ロードし、凝集体を50%以上低減させる、精製方法が提供される。
上記の精製方法において、タンパク質が、カチオン交換クロマトグラフィー担体1mLに対し、10mg以上吸着される条件でフロースルー精製を行ってもよい。目的タンパク質の単量体を78%以上回収してもよい。目的タンパク質を含む水溶液のpHが5以上10以下であってもよい。目的タンパク質を含む水溶液の電気伝導度が0.1mS/cm以上20mS/cm以下であってもよい。目的タンパク質の単量体と凝集体とを含む水溶液がさらに、プロテインAを含み、カチオン交換クロマトグラフィー担体によるフロースルーにより、プロテインAを低減させてもよい。
上記の精製方法において、カチオン交換クロマトグラフィー担体が、基材と、基材に固定された共重合体と、を備えていてもよい。共重合体が、共有結合により基材に固定されていてもよい。共重合体が、カチオン交換基を有するモノマー単位と、電荷を持たない中性モノマー単位と、を備えていてもよい。共重合体において、カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合よりも、中性モノマー単位の質量割合が高くてもよい。共重合体において、カチオン交換基を有するモノマー単位と、非荷電であるモノマー単位と、のモル比において、カチオン交換基を有するモノマー単位の方が大きくてもよい。カチオン交換基が、弱カチオン交換基のみからなっていてもよい。弱カチオン交換基が、カルボン酸基であってもよい。カチオン交換クロマトグラフィー担体が膜状であってもよい。
上記の精製方法において、目的タンパク質が抗体タンパク質であってもよい。抗体タンパク質が、モノクローナル抗体であってもよい。
本発明に係る精製方法によれば、抗体の凝集体の含有率が少ない抗体溶液から効率的に抗体の凝集体を除去することが可能となる。
抗体溶液をサイズ排除クロマトグラフィーにかけた際の吸光度のグラフである。 図1のグラフの拡大図である。 実施例1から10、及び比較例1から6の結果を示す表である。
以下、本発明の好適な実施の形態(以下において、「実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部材の組み合わせ等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
実施の形態に係るタンパク質の精製方法は、目的タンパク質の単量体と凝集体とを含む水溶液を、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を備え、カチオン交換基密度が30mmol/Lより高いカチオン交換クロマトグラフィー担体により、フロースルーする精製方法であり、水溶液中の凝集体の含有率が3%以下であり、目的タンパク質の単量体と凝集体をカチオン交換クロマトグラフィー担体1mLあたり0.5g以上ロードし、目的タンパク質の凝集体を50%以上低減させる、精製方法である。ここで、凝集体の含有率とは、水溶液中における、抗体の単量体と凝集体の全質量に対する、凝集体の質量の割合をいう。
実施の形態に係る目的タンパク質は、特に限定されないが、抗体タンパク質でありうる。抗体タンパク質は、ヒト抗体タンパク質であってもよく、ヒト以外のウシ及びマウス等の哺乳動物由来抗体タンパク質であってもよい。あるいは、抗体タンパク質は、ヒトIgGとのキメラ抗体タンパク質、及びヒト化抗体タンパク質であってもよい。ヒトIgGとのキメラ抗体タンパク質とは、可変領域がマウスなどのヒト以外の生物由来であるが、その他の定常領域がヒト由来の免疫グロブリンに置換された抗体タンパク質である。また、ヒト化抗体タンパク質とは、可変領域のうち、相補性決定領域(complementarity−determining region: CDR)がヒト以外の生物由来であるが、その他のフレームワーク領域(framework region: FR)がヒト由来である抗体タンパク質である。ヒト化抗体タンパク質は、キメラ抗体タンパク質よりも免疫原性がさらに低減される。抗体タンパク質は単に抗体とも表記する。
実施の形態に係る抗体タンパク質のクラスアイソタイプ及びサブクラスは特に限定されない。例えば、抗体タンパク質は、定常領域の構造の違いにより、IgG,IgA,IgM,IgD,及びIgEの5種類のクラスに分類される。しかし、実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体が精製対象とする抗体タンパク質は、5種類のクラスの何れであってもよい。また、ヒト抗体タンパク質においては、IgGにはIgG1からIgG4の4つのサブクラスがあり、IgAにはIgA1とIgA2の2つのサブクラスがある。しかし、実施の形態に係る抗体タンパク質のサブクラスは、いずれであってもよい。なお、Fc領域にタンパク質を結合したFc融合タンパク質等の抗体関連タンパク質も、実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体が精製対象とする抗体タンパク質に含まれ得る。
さらに、抗体タンパク質は、由来によっても分類することができる。しかし、実施の形態に係る抗体タンパク質は、天然のヒト抗体タンパク質、遺伝子組換え技術により製造された組換えヒト抗体タンパク質、モノクローナル抗体タンパク質、及びポリクローナル抗体タンパク質の何れであってもよい。これらの抗体タンパク質の中でも、実施の形態に係る抗体タンパク質としては、抗体医薬としての需要や重要性の観点から、ヒトIgGが好適であるが、これに限定されない。
実施の形態に係る目的タンパク質の凝集体とは、目的タンパク質の単量体が複数凝集して形成されるものである。目的タンパク質の凝集体とは、例えば、目的タンパク質(それ自体は2量体等の会合体であってもよい)の2量体及び3量体等の低次の凝集体、4量体以上の高次の凝集体、及びそれらの混合物の少なくともいずれかを指す。
フロースルーとは、不純物となる凝集体などを吸着除去して、目的タンパク質を透過して回収する精製方法をいう。例えば、抗体タンパク質の単量体が目的物で、抗体タンパク質の凝集体が不純物である場合、抗体タンパク質の単量体は概して吸着剤の表面を流れ、抗体タンパク質の凝集体が概して吸着剤に結合する。この時、抗体タンパク質の単量体は吸着剤に吸着されてもよいが、抗体タンパク質の凝集体がより選択的に吸着剤に吸着されることにより、抗体タンパク質の単量体が精製される。
スルホン酸基等の強カチオン交換基を主とする強カチオン交換体を用いるフロースルー精製による凝集体除去効率は、凝集体の含有率への依存性が小さいため、抗体溶液における凝集体の含有率が多くても、凝集体が効率的に除去できる。しかし、凝集体の含有率の少ない抗体溶液では、効率的に凝集体を除去できる抗体溶液の量は大きく増加しない(国際公開第2014/171437号参照)。一方、本発明の実施の形態における、弱カチオン交換基を備え、カチオン交換基密度が30mmol/Lより高いカチオン交換クロマトグラフィー担体によるフロースルー精製は、理由は定かではないが、凝集体の含有率への依存性が大きい傾向にあり、凝集体の含有率の少ない抗体溶液であれば、効率的に凝集体を除去できる抗体溶液の量が増加する傾向にある。ここで、抗体溶液の量とは、カチオン交換クロマトグラフィー担体に導入することができる抗体溶液の全量である。そのため、本発明の実施の形態によるカチオン交換体によるフロースルー精製では、凝集体の含有率が少ないほど、効率的な精製が可能となる。凝集体の含有率が少ないとは、凝集体の含有率が、例えば、3.0%以下、2.9%以下、2.8%以下、2.7%以下、2.6%以下、2.5%以下、2.4%以下、2.3%以下、2.2%以下、2.1%以下、2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、あるいは0.5%以下等であることをいう。
また、実施の形態で処理可能な抗体溶液に含まれる目的タンパク質の単量体と凝集体の全量、換言すれば、実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体にロードすることができる目的タンパク質の単量体と凝集体の全量は、カチオン交換クロマトグラフィー担体1mLあたり、0.50g以上であれば特に限定されないが、精製効率の点から好ましい例として、0.60g以上、0.70g以上、0.80g以上、0.90g以上、1.00g以上、1.01g以上、1.10g以上、1.20g以上、1.30g以上、1.40g以上、1.50g以上、1.60g以上、1.70g以上、1.80g以上、1.90g以上、2.00g以上、2.10g以上、2.20g以上、2.30g以上、2.40g以上、2.50g以上、2.60g以上、2.70g以上、2.80g以上、2.90g以上、3.00g以上等が挙げられる。
実施の形態に係る精製方法によれば、目的タンパク質の凝集体が50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上低減する。ここで、目的タンパク質の凝集体の低減割合とは、実施の形態に係るフロースルーによる精製前の凝集体の含有率に対する、精製後の凝集体の含有率を、1から引いた値の%表示をいい、以下の算出式で求められる。
低減割合(%)
=100−((精製後の凝集体の含有率/精製前の凝集体の含有率)×100)
実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体は、基材上に、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を有する。少なくとも1種類の弱カチオン交換基を有していれば、強カチオン交換基を有していてもよく、あるいは強カチオン交換基を有していなくともよい。弱カチオン交換基としては、例えばカルボン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基等が挙げられ、強カチオン交換基としては、スルホン酸等が挙げられる。
「カチオン交換基密度」とは、カチオン交換クロマトグラフィー担体1リットル当たりのカチオン交換基のモル数の濃度として一般的に表される、カチオンイオン交換クロマトグラフィー担体におけるカチオン交換基の濃度を意味する。
実施の形態に係るカチオン交換基密度は、30mmol/L以上であれば特に限定されないが、タンパク質処理量の観点から、より高い方が好ましい傾向にある。そのようなイオン交換基密度として、例えば50mmol/L以上、70mmol/L以上、80mmol/L以上、90mmol/L以上、100mmol/L以上、110mmol/L以上、120mmol/L以上、130mmol/L以上、140mmol/L以上、150mmol/L以上、160mmol/L以上、170mmol/L以上、180mmol/L以上、190mmol/L以上、200mmol/L以上、210mmol/L以上、220mmol/L以上、230mmol/L以上、240mmol/L以上、250mmol/L以上、260mmol/L以上、270mmol/L以上、280mmol/L以上、290mmol/L以上、300mmol/L以上、310mmol/L以上、320mmol/L以上、330mmol/L以上、340mmol/L以上、350mmol/L以上、360mmol/L以上、370mmol/L以上、380mmol/L以上、390mmol/L以上、あるいは400mmol/L以上等が挙げられる。
実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体のカチオン交換基密度を求める方法として、強酸などを用いてカチオン交換基を全てプロトン化した後に、塩基を用いて中和し、逆滴定により測定する方法がある。また、カチオン交換基のカウンターカチオンをリチウムイオンに置換した後に、強酸で処理し、溶出するリチウムの量を測定する方法もある。これらの方法により、カチオン交換基密度が測定できる。ここで、カチオン交換基密度は、高カチオン交換基密度と、弱カチオン交換基密度と、の計である。
強カチオン交換基密度を測定する方法として、例えば、強酸などを用いて強カチオン交換基を全てプロトン化した後に、塩化ナトリウム水溶液を加え、溶出してくる塩化水素を滴定することにより測定する方法がある。
弱カチオン交換基密度は、カチオン交換基密度から、強カチオン交換基密度を差し引くことにより求めることが出来る。
実施の形態に係るフロースルー精製においては、固定相と移動相が平衡にあり、固定相上の目的タンパク質単量体と、移動相に存在するタンパク質凝集体と、が置換することにより、効率的に凝集体が除去できると考えられる。そのため、必ずしも理論に拘束されるものではないが、フロースルー精製の後に、カチオン交換クロマトグラフィー担体1mLに対して、10mg以上のタンパク質が吸着される条件で、実施の形態に係るフロースルー精製が実施されることが好ましい。ここで、フロースルー精製の後にカチオン交換クロマトグラフィー担体に吸着されているタンパク質とは、目的タンパク質の凝集体のみならず、単量体をも含みうる。より好ましい範囲として、20mg以上、30mg以上、40mg以上等が挙げられ、特に好ましい範囲として、50mg以上、60mg以上、70mg以上、80mg以上等が挙げられる。カチオン交換クロマトグラフィー担体に吸着されているタンパク質の量は、下記式で表されるように、フロースルー精製した際の、目的タンパク質の単量体と凝集体の回収率(%)から求めることができる。
吸着量=タンパク質のロード量−タンパク質のロード量×回収率/100
実施の形態に係る、純度の向上したタンパク質単量体を得る精製方法は、タンパク質の単量体とタンパク質の凝集体とを含む混合溶液から、タンパク質の単量体を精製する精製方法であって、上述したカチオン交換クロマトグラフィー担体に対し、混合溶液を接触させることを含む。実施の形態に係る精製方法によるタンパク質の単量体の回収率は、例えば78%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上である。目的タンパク質の単量体の回収率は、下記式に基づいて算出される。なお、下記式において、目的タンパク質を含む水溶液の処理量とは、カチオン交換クロマトグラフィー担体に導入された目的タンパク質を含む水溶液の全量である。
目的タンパク質の回収率(%)=(目的タンパク質水溶液の回収量(mL)×回収水溶液における目的タンパク質単量体の含有量(mg/mL))/(目的タンパク質を含む水溶液の処理量(mL)×処理前の水溶液における目的タンパク質単量体の含有量(mg/mL))×100
目的タンパク質を含む水溶液の溶媒としての緩衝液の水素イオン濃度(pH)は、処理するタンパク質の等電点や、大きさなどにより異なり、適宜最適条件を検討する必要があるが、弱カチオン交換基の荷電量の観点から、5.0以上が好ましく、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは6.5以上、さらにさらに好ましくは6.6以上、特に好ましくは7.0以上がある。また、タンパク質の安定性の観点から、10.0以下が好ましく、より好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9.0以下、特に好ましくは8.5以下である。
実施の形態に係るクロマトグラフィーの移動相としては、強酸、強アルカリ以外の緩衝液(バッファー)を利用すればよく、有機溶媒を必要としないものである。ここで、緩衝液とは緩衝能を有する水溶液であって、具体的には、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、及び酢酸緩衝液等が挙げられるが、通常利用される緩衝液であれば特に限定されるものではない。塩化ナトリウムや塩化カリウム等の無機塩類は含んでも含まなくてもよく、その塩類の濃度は0mmol/L以上100mmol/L以下であり、好ましくは、0mmol/L以上80mmol/L以下、より好ましくは、0mmol/L以上50mmol/L以下である。また、バッファー濃度は1mmol/L以上100mmol/L以下であり、好ましくは2mmol/L以上70mmol/L以下であり、さらに好ましくは5mmol/L以上50mmol/L以下である。ここで、バッファー濃度とは、バッファーの有効成分の濃度のことをいう。例えば、酢酸バッファーであれば、通常酢酸と酢酸ナトリウムから調整されるが、その時の、酢酸と酢酸ナトリウムの合計の濃度である。また、トリスバッファーでは、トリスヒドロキシメチルアミノメタンの濃度のことをいう。酢酸−トリスバッファー等のように表記されるバッファーについては、前者の濃度のことであり、酢酸−トリスでは酢酸の濃度のことであり、トリス−酢酸であればトリスの濃度のことである。
なお、緩衝溶液における無機塩類の濃度が100mmol/Lより高いと、遮蔽効果が大きくなり、カチオン交換クロマトグラフィー担体が凝集体等の不純物を保持することが困難となる傾向にある。
目的タンパク質を含む水溶液の電気伝導度は、0.1mS/cm以上20mS/cm以下、0.3mS/cm以上15mS/cm以下、0.5mS/cm以上10mS/cm以下、0.7mS/cm以上7mS/cm以下、0.8mS/cm以上5mS/cm以下、0.9mS/cm以上4.5mS/cm以下、好ましくは1.0mS/cm以上3.9mS/cm以下である。電気伝導度が20mS/cmを超えると、遮蔽効果が大きくなり、カチオン交換クロマトグラフィー担体が凝集体等の不純物を保持することが困難となる傾向にある。
また、不純物として凝集体以外にプロテインAが除去されてもよい。プロテインAは、プロテインAをリガンドに有するクロマトグラフィー工程により抗体溶液に混入し得るが、実施の形態では、混入したプロテインAも効果的に抗体溶液から除去することが可能である。
実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体の基材の形状は特に限定されず、ビーズ状、膜状等が挙げられるが、処理速度の観点から膜状であることが好ましい。
ビーズ状の基材の材料としては、特に限定されないが、ガラス、シリカ、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、架橋アガロース、架橋デキストラン、架橋ポリビニルアルコール、及び架橋セルロースなどが使用できる。
膜状の基材の形状としては、平膜状、中空糸状、不織布状、モノリス、キャピラリー、焼結体、円板、及び円筒状等が挙げられる。また、膜状の基材の材料も特に限定されないが、ポリオレフィン系重合体や、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、セルロース等から構成されていることが好ましい。
ポリオレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン及びフッ化ビニリデンなどのオレフィン単独重合体、該オレフィンの2種以上の共重合体、又は1種もしくは2種以上のオレフィンと、パーハロゲン化オレフィンと、の共重合体などが挙げられる。パーハロゲン化オレフィンとしては、テトラフルオロエチレン及び/又はクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度に優れ、かつタンパク質などの夾雑物の高い吸着容量が得られる点で、ポリエチレン又はポリフッ化ビニリデンが好ましい。また、ポリアミドとしてとしては、特に限定されないが、ナイロン6(ε−カプロラクタムの重縮合体)、ナイロン11(ウンデカンラクタムの重縮合体)、ナイロン12(ラウリルラクタムの重縮合体)、ナイロン66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合体)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合体)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体)、ナイロン9T(ノナンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体)、ナイロンM5T(メチルペンタンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体)、ナイロン621(カプロラクタムとラウリルラクタムの共縮重合体)、p−フェニレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体、m−フェニレンジアミンとイソフタル酸の共縮重合体等が挙げられる。ポリエステルとしては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
本発明の実施の形態に係る基材は、例えば複数の細孔を有する。細孔径は特に限定されないが、例えば5nm以上10000nm以下であり、好ましくは10nm以上、50nm以上、100nm以上、又は150nm以上である。好適な細孔径は、基材の形態や、表面修飾の方法により異なるが、例えば200nm以上400nm以下、400nm以上600nm以下、600nm以上1000nm以下、1000nm以上1500nm以下、1500nm以上2000nm以下、2000nm以上3000nm以下、3000nm以上4000nm以下、4000nm以上5000nm以下、5000nm以上6000nm以下、6000nm以上7000nm以下、7000nm以上8000nm以下、8000nm以上9000nm以下、9000nm以上10000nm以下等がある。
実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体は、例えば、基材に共重合体が固定された構造を有する。
固定とは、共重合体が基材内に保持されていることを意味し、共有結合のように強い結合により保持されていてもよいし、水素結合、イオン結合、疎水性結合、ファンデルワールス力等のように弱い結合であってもよい。また、明確な結合でなく、物理的に基材内に保持されていてもよい。
基材に共有結合により、共重合体を固定する方法として、グラフト重合がある。グラフト重合法としては、放射線グラフト重合法や、表面リビングラジカル重合法が挙げられる。
放射線グラフト重合法で基材表面に共重合体を固定する場合、基材にラジカルを生成させるためにはいかなる手段も採用しうるが、基材に電離性放射線を照射すると、基材全体に均一なラジカルが生成するため、好適である。電離性放射線の種類としては、γ線、電子線、β線、及び中性子線等が利用できるが、工業規模での実施には電子線又はγ線が好ましい。電離性放射線はコバルト60、ストロンチウム90、及びセシウム137などの放射性同位体から、又はX線撮影装置、電子線加速器及び紫外線照射装置等により得られる。
電離性放射線の照射線量は、1kGy以上1000kGy以下が好ましく、より好ましくは2kGy以上500kGy以下、さらに好ましくは5kGy以上200kGy以下である。照射線量が1kGy未満では、ラジカルが均一に生成しにくくなる傾向にある。また、照射線量が1000kGyを超えると、基材の物理的強度の低下を引き起こす傾向にある。
電離性放射線の照射によるグラフト重合法には、一般に基材にラジカルを生成した後、次いでラジカルを反応性化合物と接触させる前照射法と、基材を反応性化合物と接触させた状態で基材にラジカルを生成させる同時照射法と、に大別される。実施の形態においては、いかなる方法も適用しうるが、オリゴマーの生成が少ない前照射法が好ましい。
基材に、水素結合等により共重合体を固定する場合、例えばあらかじめ共重合体を合成し、その共重合体を基材にコーティングする方法などがある。そのコーティングの方法として、共重合体を直接塗布する方法や、共重合体を良溶媒に溶解させ、基材に含浸させた後乾燥する方法、また、共重合体を良溶媒に溶解させ、基材に含浸させた後、貧溶媒を添加し、共重合体を析出させる方法等がある、
実施の形態において、共重合体の重合時に使用する溶媒は、反応性化合物を均一溶解できるものであれば特に限定されない。このような溶媒として、例えば、メタノールやエタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンや2−ブタノン等のケトン類、水、又はそれらの混合物等が挙げられる。
共重合体は、その組成に、荷電を持たない中性モノマー単位であって、親水性及び/又は疎水性の化合物であるモノマー単位を1又は複数種類含んでいてもよい。これらの親水性及び/又は疎水性モノマー単位になるモノマーを、カチオン交換基を有するモノマーと共重合させることにより、カチオン交換基同士の距離が離されるため、より選択的に抗体の凝集体を吸着しやすくなると考えられる。
さらに、タンパク質の単量体と、タンパク質の凝集体と、の吸着力の差別化の観点から、共重合体及び共重合体合成時の仕込み時において、中性モノマー単位の質量割合は、カチオン交換を有するモノマー単位の質量割合よりも高いことが好ましく、より好ましくは、2倍以上であり、更に好ましくは3倍以上である。
実施の形態における共重合体における、カチオン交換基を有するモノマー単位の質量、及び中性モノマー単位の質量は、以下のように求めることが出来る。
(カチオン交換基モノマー単位の質量)=
(カチオン交換基密度×担体体積×カチオン交換基モノマー単位の分子量)
(中性モノマー単位の質量)=
(カチオン交換担体質量―基材質量―カチオン交換基モノマー単位の質量)
これらの質量比により、カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合、及び中性のモノマー単位の質量割合を求めることができる。
また、別の表現方法として、共重合体及び共重合体合成時の仕込み比率において、中性モノマー単位である、親水性モノマー単位及び/又は疎水性モノマー単位のモル比が、カチオン交換を有するモノマー単位のモル比よりも高いことが好ましく、より好ましくは、2倍以上であり、更に好ましくは3倍以上である。
また、抗体は疎水性相互作用の性質を有するため、膜状基材の疎水性が強いと、疎水性相互作用により、抗体が膜状基材に吸着され、目的の抗体の回収率が低下することがある。この現象に対し、共重合体の重合時に親水性モノマーを導入することにより、抗体が膜状基材へ吸着することを防ぐことが出来る。そのような親水性モノマーとして、アクリルアミド、メタアクリルアミド、並びにジメチルアクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、及びN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。あるいは、上記のような親水性モノマーとして、アクリレート、メタアクリレート、並びに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、及び2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
あるいは、共重合体の重合時に疎水性モノマーを導入し、疎水性相互作用を活かすことにより抗体の単量体と、抗体の凝集体と、の吸着選択性を上げることもできる。一般に抗体の凝集体は、抗体の単量体よりも強い疎水性相互作用を示す。適した疎水性モノマーを選択することにより、抗体の単量体と、抗体の凝集体と、の疎水性相互作用の差を顕著にし、高い選択性を実現し得る。そのような疎水性モノマーとして、スチレン類、アルキルアクリルアミド類、アルキルメタクリルアミド類、アルキルアクリレート類、及びアルキルメタクリレート類等があるが、力学的強度の観点から、アルキルアクリルアミド類、アルキルメタクリルアミド類、アルキルアクリレート類、及びアルキルメタクリレート類が挙げられる。アルキル基に関しては、炭素数4以上の直鎖又は分岐状のアルキル基であれば、抗体に対し、実質的に疎水性相互作用を発現しうる。共重合体は、芳香族や複素芳香族を含んでも含まなくてもよいが、含む場合は、疎水性が強すぎることやπ−πスタッキング等により、しばしば共重合体が伸縮し、後述のような立体的な吸着を妨げることがあることから、実施の形態では含まないことが好ましい。
また、共重合体は、重合性官能基を2つ以上含むモノマー単位を含まず、架橋構造を持たなくてもよい。あるいは、モノマー単位中に重合性官能基を2つ以上含むモノマー単位を含み、架橋構造を有していてもよい。しかし、共重合体は、実質的に非架橋構造であることが好ましい。実質的に非架橋とは、架橋構造を有していても、実質的に性能に影響を及ぼさない程度に架橋度の低いことをいう。共重合体が実質的に非架橋であるが、重合性官能基を2つ以上含むモノマー単位の質量割合は、例えば10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.1%以下であり、低いほど好ましい。
モノマー中に重合性官能基を2つ以上含むモノマーは、特に限定されないが、重合性官能基としてはオレフィンが挙げられる。そのようなモノマーとして、(メタ)アクリルアミド系モノマーや(メタ)アクリレート系モノマー、又はそれらの官能基が混合したモノマーが挙げられる。(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスメタクリルアミド、N,N’−プロピレンビスメタクリルアミド、及びN,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスメタクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオールジアクリレート、4、4’−チオジベンゼンチオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、4、4’−チオジベンゼンチオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びペンタエリトリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
担体がグラフト重合体である場合、グラフト重合によるグラフト鎖の結合率(グラフト率)は、基材の密度により、最適値が異なりうる。例えば基材が膜状ポリエチレンの時は、吸着容量の観点から20%以上が好ましく、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上である。また、力学的に安定な強度を確保するという観点から、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下、更に好ましくは100%以下である。グラフト率は以下の式によって表わされる。
dg(%)=(w1−w0)/w0×100
ここで、w0は反応前の基材の重量、w1はグラフト鎖が導入された基材の重量である。
基材が膜状ポリフッ化ビニリデンの時は、ポリフッ化ビニリデンはポリエチレンに比べ、密度が高いため、適したグラフト率がポリエチレンの時と異なる。基材膜がポリフッ化ビニリデンの時は、吸着容量の観点から5%以上が好ましく、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。また、力学的に安定な強度を確保するという観点から、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
また、カチオン交換基を有する共重合体が基材に固定されていることにより、基材表面上にカチオン交換基が分布している場合に比べ、立体的に吸着することが可能となる。そのため、タンパク質の単量体に比べ、タンパク質の凝集体はより強固に吸着され、タンパク質の単量体を高い純度で得ることが可能となる。したがって、共重合体が、少なくとも弱カチオン交換基を有し、1又は複数種類のカチオン交換基を有していることが好ましい。また、共重合体が架橋構造であると、共重合体の立ち上がりを抑えることにより、通液圧を抑制するといったメリットがあるが、先述の、立体的に吸着することを妨げるため、実質的に非架橋構造であることが望ましい。
また、共重合体において親水性モノマーが少ないと、共重合体が伸縮して立体的な吸着が不可能となるため、立体的な吸着をするには、ある程度以上の含有量が必要である。そのような共重合体中の親水性モノマーの質量割合として、30%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。
実施の形態において実施されるカチオン交換クロマトグラフィーによる精製工程に加え、任意の精製工程と組み合わせることにより、精製物の純度をさらに向上しうる。
そのような工程として、例えば、プロテインAによるアフィニティー精製工程、アニオン交換クロマトグラフィーによる精製工程、疎水性クロマトグラフィーによる精製工程、ゲル濾過クロマトグラフィーによる工程、デプスフィルターによる精製工程、活性炭による精製工程、ウィルス除去フィルターによるウィルス除去工程等が挙げられる。
以下に、実施の形態を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは実施の形態を何ら限定するものではない。
(実施例1)
実施例1では、放射線グラフト重合法によって、カルボン酸基を有する中空糸状のカチオン交換膜1を合成し、フロースルー精製に用いた。
1)放射線グラフト重合
基材としてポリエチレン多孔質中空糸を用い、放射線グラフト重合によってその表面に2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びメタクリル酸をグラフト重合させ、カルボン酸基を有する中空糸状のカチオン交換膜を合成した。以下にその合成方法を具体的に説明する。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.08g、ブチルメタクリレート1.54g、メタクリル酸0.57gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液240mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、5.31g、グラフト率77%のカチオン交換膜を得た。
得られた中空糸1本の体積を測定したところ、1.05mLであった。この中空糸をエタノールにより親水化し、水に置換した。水を除去した後、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10mL加えた。1時間放置した後、水酸化ナトリウム水溶液を取り出し、純水10mLを加えた。更に1時間放置した後、純水を回収することにより、膜内に残った水酸化ナトリウムを回収した。回収した水酸化ナトリウム溶液を統合し、0.1mol/L塩酸により滴定をおこなったところ、中和に7.93mL要した。ブランクが9.77mLであったことから、水酸化ナトリウムと反応した、膜が有する弱カチオン交換基は184umolであることが分かった。これを測定した中空糸の体積で除すると弱カチオン交換基密度を求めることが出来、カチオン交換基密度は175mmol/Lであった。また、カチオン交換基モノマー単位及び中性モノマー単位の質量割合は、それぞれ、0.103及び0.897であった。
その後、該中空糸をモジュール化(膜体積0.25mL)し、カチオン交換膜1とした。
2)細胞培養液の調整
抗体タンパク質として、AE6F4抗体(ヒトモノクロナール抗体)を0.164g/L含む培養上澄みを用意した。AE6F4産生細胞は、九州大学大学院農学研究院、片倉喜範准教授よりご提供頂いた。AE6F4抗体産生細胞の培養は、文献(日本生物工学会講演要旨集、1994年、65巻、65ページ)を参考に培養した。AE6F4抗体産生細胞を含む培養液を、ろ過膜(旭化成メディカル社製、商品名 BioOptimal(登録商標) MF−SL)を用いてろ過し、不純物と抗体を含む抗体溶液(培養上澄)を取得した。ろ過は、提供者の取扱い説明書を参考に実施した。
3)プロテインAカラムによる抗体タンパク質の精製
リン酸緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム+150mmol/L NaCl(pH8.0))150mLで平衡化したプロテインAカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス製、MabSelect Sureを充填したカラム)に、ろ過した抗体溶液を添加し、プロテインAに抗体タンパク質を吸着させた。次に、カラムにリン酸緩衝液(20mmol/Lのリン酸ナトリウム+150mmol/L NaCl(pH8.0))20mLを通液して洗浄した後、カラムに溶出緩衝液(100mmol/Lクエン酸ナトリウム(pH3.6))を240mL通液して、プロテインAカラムから抗体タンパク質を溶出させて、不純物がある程度低減された抗体溶液を回収した。
4)凝集体調整
得られた抗体溶液の一部に塩酸を加え、pH3に調整し、一時間放置した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、多量の凝集体を含む抗体溶液を調整した。
5)凝集体を含む抗体溶液調整
プロテインAカラムから得られた抗体溶液を15mmol/トリス緩衝液(pH7.0)にバッファー交換した溶液と、多量の凝集体を含む抗体溶液を15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)にバッファー交換した溶液を任意の割合で混合し、凝集体を含む抗体溶液を調整した。
6)凝集体量の測定
得られた抗体溶液1を下記の条件により、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)装置を用いて測定した。
カラム:ACQUITY YPLC BEH200 SEC1.7um(Waters社製)
カラム温度:30℃
システム:ACQUITY UPLC H CLASS(waters社製)
移動相:0.1mol/Lリン酸水素二ナトリウム+0.2mol/L L(+)−アルギニン水溶液(塩酸でpH6.7に調整)
その結果、図1のクロマトチャートが得られ、それを拡大したものが図2である。図2の(1)及び(2)のピークで現れるものは抗体の凝集体であり、(3)で現れるピークは単量体である。
7)フロースルー精製
カチオン交換膜1に、抗体タンパク質の凝集体成分(不純物)と単量体成分(目的の生理活性物質)を含む抗体溶液を接触させた。抗体溶液の組成は、凝集体成分(1)が1.36%、凝集体成分(2)が1.47%、単量体が97.17%であり、凝集体成分の合計は3%以下であった。加えた抗体溶液の量は30mL(5.13mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。カチオン交換膜1にロードされた抗体タンパク質の量は、153.90mg(30mL×5.13mg/mL)であり、膜体積が0.25mLであるから、抗体タンパク質は、カチオン交換膜1の1mLあたり約616mgロードされた。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で40mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例2)
実施例2では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が1.43%、凝集体成分(2)が1.55%、単量体が97.02%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は50mL(5.06mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で60mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
また、実施例2では、カチオン交換膜1によるフロースルー精製前後のプロテインAの混入量を測定した。プロテインAはTHCHNOLOGIES社のPROTEIN A ELISA を用い、UV測定により定量した。フロースルー精製前のプロテインAの量が目的の抗体に対し3.6ppmであったのに対し、フロースルー精製後は、0.6ppmであり、プロテインAが除去されていた。
(実施例3)
実施例3では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が0.69%、凝集体成分(2)が1.19%、単量体が98.12%である抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は60mL(5.31mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で70mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例4)
実施例4では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が0.40%、凝集体成分(2)が1.02%、単量体が98.58%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は80mL(5.12mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で90mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例5)
実施例5では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が0.38%、凝集体成分(2)が1.05%、単量体が98.57%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は100mL(5.18mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で110mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例6)
実施例6では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が0.34%、凝集体成分(2)が0.61%、単量体が99.05%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は130mL(5.03mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で140mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例7)
実施例7では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が0.29%、凝集体成分(2)が0.59%、単量体が99.12%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は150mL(5.17mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で160mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。また、実施例7では、実施例2と同様に、フロースルー精製前後のプロテインAの混入量を測定した。フロースルー精製前のプロテインA量が目的の抗体に対し2.8ppmであったのに対し、フロースルー精製後は、0.5ppmであり、プロテインAが除去されていた。
(実施例8)
実施例8では、以下に説明するカチオン交換膜2を用いた。カチオン交換2は次のように合成した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.85g、ブチルメタクリレート0.77g、メタクリル酸0.57gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液240mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径2.0mm、内径1.1mm、平均孔径0.45umのポリフッ化ビニリデン多孔質中空糸5.80g(15cm、30本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、8.26g、グラフト率44%のカチオン交換膜を得た。実施例1と同様に測定して、カチオン交換基密度は198mmol/Lであった。これをモジュール化(膜体積0.11mL)し、実施例8に係るカチオン交換膜2とした。また、カチオン交換基モノマー及び中性モノマーの質量割合は、それぞれ、0.104及び0.896であった。
カチオン交換膜2を用い、凝集体成分(1)が0.61%、凝集体成分(2)が1.06%、単量体が98.33%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は80mL(4.94mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜2を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で90mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例9)
実施例9では以下に説明するカチオン交換膜3を用いた。カチオン交換膜3は次のように合成した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.50g、ジエチレングリコールジメタクリレート1.36g、メタクリル酸0.51gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液240mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、5.16g、グラフト率72%のカチオン交換膜を得た。実施例1と同様に測定して、カチオン交換基密度は176mmol/Lであった。これをモジュール化(膜体積0.25mL)し、実施例9に係るカチオン交換膜3とした。また、カチオン交換基モノマー及び中性モノマーの質量割合は、それぞれ、0.105及び0.895であった。
カチオン交換膜3を用い、凝集体成分(1)が0.51%、凝集体成分(2)が1.09%、単量体が98.40%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は80mL(5.08mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜3を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で90mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(実施例10)
実施例10では以下に説明するカチオン交換膜4を用いた。カチオン交換膜4は次のように合成した。N−イソプロピルアクリルアミド3.09g、ブチルメタクリレート1.54g、メタクリル酸0.51gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液240mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、5.31g、グラフト率77%のカチオン交換膜を得た。実施例1と同様に測定して、カチオン交換基密度は176mmol/Lであった。これをモジュール化(膜体積0.25mL)し、実施例10に係るカチオン交換膜3とした。また、カチオン交換基モノマー及び中性モノマーの質量割合は、それぞれ、0.105及び0.895であった。
カチオン交換膜4を用い、凝集体成分(1)が0.49%、凝集体成分(2)が1.07%、単量体が98.44%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は80mL(5.12mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜4を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で90mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体成分の含有率は減少していた。結果を図3に示す。
(比較例1)
比較例1では、カチオン交換膜1を用い、凝集体成分(1)が2.69%、凝集体成分(2)が2.13%、単量体が95.18%であって、凝集体の含有率が3%より多い15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は50mL(5.18mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜1を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で60mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体は38%のみ減少した。結果を図3に示す。
(比較例2)
比較例2では以下に説明するカチオン交換膜5を用いた。カチオン交換膜5は次のように合成した。N−イソプロピルアクリルアミド3.6g、ブチルメタクリレート1.2g、グリシジルメタクリレート1.2gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液280mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、5.16g、グラフト率72%のカチオン交換膜を得た。
放射線グラフト重合法によりグラフト鎖を導入した中空糸を、亜硫酸ナトリウムと、IPAと、の混合水溶液(亜硫酸ナトリウム/IPA/純水=10/15/75wt%)200gに投入し、80℃で24時間反応を行い、グラフト鎖中のエポキシ基を強カチオン交換基であるスルホン酸基に変換した。反応後、この中空糸を純水で洗浄した。その後、この中空糸を0.5mol/L硫酸中に投入し、80℃で2時間反応を行うことで、グラフト鎖中に残存していたエポキシ基をジオール基に変換した。実施例1と同様に測定して、カチオン交換基密度は40mmol/Lであった。これをモジュール化(膜体積0.25mL)し、比較例2に係るカチオン交換膜5とした。
カチオン交換膜5を用い、凝集体成分(1)が1.48%、凝集体成分(2)が1.42%、単量体が97.10%である15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は30mL(5.02mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)10mLでカチオン交換膜7を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で40mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体は49%のみ減少した。結果を図3に示す。
(比較例3)
比較例3では以下に説明するカチオン交換膜6を用いた。カチオン交換膜6は次のように合成した。N−イソプロピルアクリルアミド3.09g、ブチルメタクリレート1.88g、メタクリル酸0.17gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液240mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、5.13g、グラフト率71%のカチオン交換膜を得た。実施例1と同様に測定して、カチオン交換基密度は26mmol/Lであり、30mmol/Lより低かった。これをモジュール化(膜体積0.25mL)し、比較例3に係るカチオン交換膜6とした。
カチオン交換膜6を用い、凝集体成分(1)が1.18%、凝集体成分(2)が1.63%、単量体が97.19%である15mmol/Lトリス緩衝液(pH7.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は30mL(4.93g/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/L酢酸緩衝液(pH7.0)10mLでカチオン交換膜6を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で40mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体は28%のみ減少した。結果を図3に示す。
(比較例4)
比較例4では以下に説明するカチオン交換膜7を用いた。カチオン交換膜7は次のように合成した。N−イソプロピルアクリルアミド3.6g、ブチルメタクリレート1.8g、グリシジルメタクリレート0.6gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液280mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させたポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させたところ、5.14g、グラフト率71%のカチオン交換膜を得た。
放射線グラフト重合法によりグラフト鎖を導入した中空糸を、亜硫酸ナトリウムと、IPAと、の混合水溶液(亜硫酸ナトリウム/IPA/純水=10/15/75wt%)200gに投入し、80℃で24時間反応を行い、グラフト鎖中のエポキシ基を強カチオン交換基であるスルホン酸基に変換した。反応後、この中空糸を純水で洗浄した。その後、この中空糸を0.5mol/L硫酸中に投入し、80℃で2時間反応を行うことで、グラフト鎖中に残存していたエポキシ基をジオール基に変換した。実施例1と同様に測定して、カチオン交換基密度は18mmol/Lであり、30mmol/Lより低かった。これをモジュール化(膜体積0.25mL)し、比較例4に係るカチオン交換膜7とした。
カチオン交換膜7を用い、凝集体成分(1)が0.95%、凝集体成分(2)が1.81%、単量体が97.24%である15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は30mL(5.21mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)10mLでカチオン交換膜7を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で60mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけたところ、凝集体は74%減少した。結果を図3に示す。
(比較例5)
比較例5では、カチオン交換膜7を用い、凝集体成分(1)が0.97%、凝集体成分(2)が1.98%、単量体が97.05%である15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は50mL(4.78mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)10mLでカチオン交換膜7を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で55mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけた結果を図3に示す。
(比較例6)
比較例6では、カチオン交換膜7を用い、凝集体成分(1)が0.29%、凝集体成分(2)が1.12%、単量体が98.59%である15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)の抗体溶液をフロースルー精製した。加えた抗体溶液の量は50mL(4.78mg/mLの濃度)であり、流速は1.5mL/分、温度は25℃であった。抗体溶液を流した後、流速1.5mL/分で流れる25℃の15mmol/L酢酸緩衝液(pH6.0)10mLでカチオン交換膜7を洗浄した。フロースルー工程と洗浄工程で55mLの溶液を回収した。回収した溶液をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size Exclusion Chromatography)にかけた結果を図3に示す。
実施例2と比較例1の結果の比較から、実施例に係るカチオン交換担体を用いて、行主体の含有率が3%よりも多い抗体溶液を処理すると、凝集体除去性能が低下することが分かる。実施例1と比較例2の結果の比較から、カチオン交換基密度が30mmol/L以上でも、弱カチオン交換基が無ければ、凝集体除去性能が低いことが分かる。実施例1と比較例3の結果の比較から、弱カチオン交換基を有していても、カチオン交換基密度が30mmol/Lより低いと凝集体除去性能が低いことが分かる。
実施例2は、実施例1とほぼ同程度の凝集体量割合の抗体溶液を、カチオン交換膜1mLあたり1012mg処理したものである。
比較例4の結果から、カチオン交換膜が強カチオン交換基を備える場合は、30mmol/L以下のカチオン交換基密度でも、カチオン交換膜1mLあたりの抗体の処理量が625mgのように少量であれば、凝集体除去性能が高いことが分かる。しかし、実施例2と、比較例5の結果より、3%以下の凝集体割合の抗体をカチオン交換膜1mLあたり約1000mg処理する際には、強カチオン交換基密度30mmol/L以下のカチオン交換担体を用いる(比較例5)より、実施例に係るカチオン交換担体を用いた方が凝集体除去性能が高いことが分かる。
実施例2ないし7の結果から、実施例に係るカチオン交換担体を用いると、凝集体割合が低い抗体溶液ほど、多量の抗体を処理できることが分かる、一方、比較例5と比較例6の結果から、強カチオン交換基のみを持つカチオン交換担体では、凝集体量が低くても、凝集体除去性能は高くならず、抗体処理量は向上しないことが分かる。
以上より、弱カチオン交換基を有し、カチオン交換基密度が30mmol/L以上のカチオン交換クロマトグラフィー担体を用い、凝集体量が3%以下といった低含有率の抗体溶液をフロースルー精製することにより、効率的に凝集体が除去できる。

Claims (16)

  1. 目的タンパク質の単量体と凝集体とを含む水溶液を、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を備え、カチオン交換基密度が30mmol/Lより高いカチオン交換クロマトグラフィー担体により、フロースルーする精製方法であり、
    前記水溶液中の前記凝集体の含有率が3%以下であり、
    前記目的タンパク質の単量体と凝集体を前記カチオン交換クロマトグラフィー担体1mLあたり0.5g以上ロードし、
    前記凝集体を50%以上低減させる、精製方法。
  2. タンパク質が、前記カチオン交換クロマトグラフィー担体1mLに対し、10mg以上吸着される条件でフロースルー精製を行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記目的タンパク質の単量体を78%以上回収する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記目的タンパク質を含む水溶液のpHが5以上10以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記目的タンパク質を含む水溶液の電気伝導度が0.1mS/cm以上20mS/cm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記目的タンパク質の単量体と凝集体とを含む水溶液がさらに、プロテインAを含み、前記カチオン交換クロマトグラフィー担体によるフロースルーにより、前記プロテインAを低減させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の精製方法。
  7. 前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、基材と、前記基材に固定された共重合体と、を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の精製方法。
  8. 前記共重合体が、共有結合により基材に固定されている、請求項7に記載の方法。
  9. 前記共重合体が、カチオン交換基を有するモノマー単位と、電荷を持たない中性モノマー単位と、を備える、請求項7又は8に記載の精製方法。
  10. 前記共重合体において、前記カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合よりも、前記中性モノマー単位の質量割合が高い、請求項9に記載の精製方法。
  11. 前記共重合体において、カチオン交換基を有するモノマー単位と、非荷電であるモノマー単位と、のモル比において、前記カチオン交換基を有するモノマー単位の方が大きい、請求項7から9のいずれか1項に記載の精製方法。
  12. 前記カチオン交換基が、弱カチオン交換基のみからなる、請求項1から11のいずれか1項に記載の精製方法。
  13. 前記弱カチオン交換基が、カルボン酸基である、請求項12に記載の精製方法。
  14. 前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が膜状である、請求項1から13のいずれか1項に記載の精製方法。
  15. 前記目的タンパク質が抗体タンパク質である、請求項1から14のいずれか1項に記載の精製方法。
  16. 前記抗体タンパク質が、モノクローナル抗体である、請求項15に記載の精製方法。
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