JP2016108287A - カチオン交換クロマトグラフィー担体を用いた生理活性物質の精製方法 - Google Patents

カチオン交換クロマトグラフィー担体を用いた生理活性物質の精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素イオン指数6〜9での抗体の精製において、抗体の結合キャパシティーが大きく、且つ、高流速処理が可能な、カチオン交換体膜を提供することを課題とする。
【解決手段】不純物と生理活性物質を含む混合溶液を、カチオン交換クロマトグラフィー担体に接触させ、バインドアンドエリュート法により純度の向上した生理活性物質を得る精製方法であって、
前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、
(1)基材と、前記基材の表面に固定された共重合体と、を備え、前記共重合体がモノマー単位として(メタ)アクリルアミド類化合物及び/又は(メタ)アクリレート類化合物を含み、
(2)少なくとも弱カチオン交換基を含み、カチオン交換基を当該担体の体積1Lあたり30mmolより高い密度で有する、
精製方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、弱カチオン交換基を有するイオン交換クロマトグラフィー担体を用いた生理活性物質の精製方法、より詳しくはバインドアンドエリュート法による精製方法、に関する。
免疫グロブリン(抗体)は、免疫反応を司る生理活性物質である。近年、医薬品、診断薬あるいは対応する抗原タンパク質の分離精製材料等の用途において、その利用価値が高まっている。抗体は免疫した動物の血液あるいは抗体産生能を保有する細胞の細胞培養液又は動物の腹水培養液から取得される。但し、それらの抗体を含有する血液や培養液は、抗体以外のタンパク質、又は細胞培養に用いた原料液に由来する複雑な夾雑成分を包含し、それらの不純物成分から抗体を分離精製するには、煩雑で長時間を要する操作が通常必要である。
液体クロマトグラフィーは、抗体の分離精製に重要である。抗体を分離するためのクロマトグラフィー手法として、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び逆相クロマトグラフィー等があり、これらの手法を組み合わせることで抗体が分離精製される。
イオン交換クロマトグラフィーは、吸着剤表面のイオン交換基を固定相として移動相中に存在する対イオンを可逆的に吸着することにより分離を行う方法である。吸着剤の形状としては、ビーズや、平膜、中空糸等の膜などが採用されており、これらの基材にカチオン交換基又はアニオン交換基を結合したものが吸着剤として市販されている。
近年、液体クロマトグラフィー担体として、高速処理が可能な膜形状の担体が使用されている。従来のビーズ状担体は、高速処理において吸着容量が大幅に低下するという課題があったが、膜形状の担体は、その構造的特徴から、高速処理においても吸着容量が低下し難いという利点がある。
ところで、カチオン交換基を有する吸着材を用いる精製方法では、低塩濃度の抗体溶液を吸着材に接触させることにより、抗体をいったん吸着材に吸着させ、その後、移動相の塩濃度を高めることにより、吸着させた生理活性物質を移動相に溶出させる、バインドアンドエリュート精製が一般的に行われている。バインドアンドエリュート法は、抗体をいったん吸着材に吸着させた後に、洗浄液で吸着材を洗浄し不純物成分を洗い流すことが可能であるため、高い分離能を発揮する。
生理活性物質の工業的な精製プロセスにおいては、近年、上述のバインドアンドエリュート法と他の精製方法とを組み合わせた、以下の組合せが一般的に用いられている。
a.生理活性物質と不純物を含む混合溶液をプロテインAクロマトグラフィー担体で精製して、第1溶出液を得る工程
b.上記第1の溶出液を、アニオン交換クロマトグラフィー担体でフロースルー精製して、第2溶出液を得る工程
c.上記第2の溶出液を、カチオン交換クロマトグラフィー担体でバインドアンドエリュート精製して、第3溶出液を得る工程
上記b.アニオン交換クロマトグラフィー工程における移動相のpHは、抗体の等電点(PI)より低いpHが選択される。移動相のpHを、抗体のPIよりも低くすることで、アニオン交換クロマトグラフィー担体への抗体の結合容量を小さくすることが可能となる。一方、不純物である宿主細胞由来タンパク質(HCP)、核酸(DNA)、ウイルス、脱離プロテインA等を高効率に除去するためには、pHが高い移動相が適している。上記の理由から、b.アニオン交換クロマトグラフィー工程における移動相のpHは、抗体のPI(一般的に8〜10)よりもすこし低い、6〜9が選択されている。
一方、上記c.カチオン交換クロマトグラフィー工程において、第2溶出液をカチオン交換クロマトグラフィー担体に供給する時の移動相のpHは、抗体の等電点(PI)よりかなり低いpHが選択される。移動相のpHを、抗体のPIよりもかなり低くすることで、カチオン交換クロマトグラフィー担体への抗体の吸着漏れによる収率低下を防ぐことが可能となる。
このように、b.工程とc.工程とでは、移動相の好ましいpHが異なることから、通常は、b.アニオン交換クロマトグラフィー工程で得られた上記第2溶出液を、次のc.カチオン交換クロマトグラフィー担体に供給する前に、上記第2溶液にバッファー交換や酸塩基滴定を行うことで、次に続くc.カチオン交換クロマトグラフィーに最適な移動相の条件に調整される。具体的には、pHが6〜9の第2溶出液を、バッファー交換や酸滴定によって、pHを4〜5に調整した後、c.カチオン交換クロマトグラフィー担体に提供される。
特許文献1では、アニオン交換クロマトグラフィー工程においてpH8の移動相を採用し、アニオン交換クロマトグラフィー工程で得られた溶出液を酸滴定によってpH4.5〜5に調整した後、カチオン交換クロマトグラフィー担体に供給する、抗体の精製方法が開示されている。
しかしながら、抗体の工業的な精製プロセスにおいては、効率化の観点で、b.アニオン交換クロマトグラフィー工程で得られた上記第2溶出液を、バッファー交換や酸塩基滴定を行うことなく、そのまま次のc.カチオン交換クロマトグラフィー担体に供給する方法が求められている。クロマトグラフィー工程間のバッファー交換や酸塩基滴定は、精製プロセス全体の効率を低下させるだけではなく、目的物質である生理活性物質の品質低下のリスク要因として、問題視されている。
また、特許文献2では、シリカビーズに弱カチオン交換基を有する共重合体を結合させたクロマトグラフィー担体が開示されている。
特許文献3では、強カチオン交換基を有するモノマーと非荷電モノマーを担体にグラフト重合を施したフロースルーに適したクロマトグラフィー担体が開示されている。
特表2007−525412号公報 特許第5234727号公報 特開2013−189427号公報
特許文献1に開示されている抗体の精製方法は、アニオン交換クロマトグラフィー工程とカチオン交換クロマトグラフィー工程の間に酸滴定をおこなっているため、精製工程が複雑であり、前述のとおり抗体にとっての品質リスクを有している。さらに、カチオン交換工程でビーズ状の担体を用いていることから、高速処理が出来ない。
特許文献2に開示されているシリカビーズに共重合体を結合させたクロマトグラフィー担体も、高流速での処理が出来ない。
また、特許文献3に開示されているカチオン交換膜は、フロースルー精製に最適化されているため、固体担体上の低密度(1ないし30mmol/L)のカチオン交換基の使用を特徴としており、担体のカチオン交換基密度に制限がある。
このように、移動相のpHが6〜9である場合において、生理活性物質の結合容量大きく、且つ、高流速処理が可能なカチオン交換クロマトグラフィー担体は開示されていない。
そこで、本発明は、生理活性物質のバインドアンドエリュート精製において、移動相のpHを6〜9とした場合でも、担体の生理活性物質の結合容量が大きく、且つ、高流速処理が可能な、カチオン交換クロマトグラフィー担体を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて、研究開発を行った。その結果、弱カチオン交換基を有する担体は、高流速処理にも対応可能で、移動相のpHを6〜9とした場合でも、生理活性物質の結合容量が大きいため、生理活性物質、とりわけ抗体、のバインドアンドエリュート精製に適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
不純物と生理活性物質を含む混合溶液を、カチオン交換クロマトグラフィー担体に接触させ、バインドアンドエリュート法により純度の向上した生理活性物質を得る精製方法であって、
前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、
(1)基材と、前記基材の表面に固定された共重合体と、を備え、前記共重合体がモノマー単位として(メタ)アクリルアミド類化合物及び/又は(メタ)アクリレート類化合物を含み、
(2)少なくとも弱カチオン交換基を含み、カチオン交換基を当該担体の体積1Lあたり30mmolより高い密度で有する、
精製方法。
[2]
前記共重合体において、前記カチオン交換基を有するモノマー単位以外のモノマー単位が、疎水性モノマー単位及び/又は親水性モノマー単位である、[1]に記載の精製方法。
[3]
前記共重合体が、モノマー単位として少なくとも1種類の疎水性モノマー単位を含む、[1]又は[2]に記載の精製方法。
[4]
前記疎水性モノマー単位が、炭素数4以上の直鎖又は分岐状のアルキル基を有する、[2]又は[3]に記載の精製方法。
[5]
前記弱カチオン交換基が、アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、アクリル酸化合物モノマー又はメタクリル酸化合物モノマーのいずれかの由来である、[1]〜[4]のいずれかに記載の精製方法。
[6]
前記弱カチオン交換基が、メタクリル酸モノマー由来である、[5]に記載の精製方法。
[7]
前記共重合体において、前記カチオン交換基を有するモノマー単位以外の前記疎水性モノマー単位及び前記親水性モノマー単位の合計の質量割合が、前記カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合よりも高い、[2]〜[6]のいずれかに記載の精製方法。
[8]
前記カチオン交換基が、弱カチオン交換基のみからなる、[1]〜[7]のいずれかに記載の精製方法。
[9]
前記カチオン交換基が、弱カチオン交換基と強カチオン交換基の混合である、[1]〜[7]のいずれかに記載の精製方法。
[10]
前記強カチオン交換基が、スルホン酸基である、[9]に記載の精製方法。
[11]
前記共重合体が、共有結合により前記基材の表面に固定されている、[1]〜[10]のいずれかに記載の精製方法。
[12]
前記共重合体が、親水性モノマー単位として、(メタ)アクリルアミド類化合物を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の精製方法。
[13]
前記共重合体が、親水性モノマー単位として、イソプロピルアクリルアミドを含む、[1]〜[12]のいずれかに記載の精製方法。
[14]
前記共重合体が、親水性モノマー単位として、(メタ)アクリレート類化合物を含む、[1]〜[13]のいずれかに記載の精製方法。
[15]
前記共重合体が、親水性モノマー単位として、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む、[1]〜[11]、[14]のいずれかに記載の精製方法。
[16]
前記基材が、ポリエチレンを含む、[1]〜[15]のいずれかに記載の精製方法。
[17]
前記共重合体が、前記基材を構成する材料とグラフト重合されており、そのグラフト率が20〜200%である、[16]に記載の精製方法。
[18]
前記基材が、ポリフッ化ビニリデンである、[1]〜[15]のいずれかに記載の精製方法。
[19]
前記共重合体が、前記基材を構成する材料にグラフト重合されており、そのグラフト率が、5〜100%である、[18]に記載の精製方法。
[20]
前記共重合体が、重合性官能基を2つ以上含むモノマー単位を含む、[1]〜[19]のいずれかに記載の精製方法。
[21]
前記重合性官能基が、(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリレート由来である、[20]に記載の精製方法。
[22]
前記生理活性物質が、生体分子である[1]〜[21]のいずれかに記載の精製方法。
[23]
前記生体分子が、抗体である、[22]に記載の精製方法。
[24]
生理活性物質の回収率が80%以上である、[1]〜[23]のいずれかに記載の精製方法。
[25]
前記生理活性物質が、抗体タンパク質の単量体である、[1]〜[24]のいずれかに記載の精製方法。
[26]
前記不純物が、抗体タンパク質の2量体以上の凝集体を含む、[1]〜[25]のいずれかに記載の精製方法。
[27]
b.不純物と生理活性物質を含む混合液を、アニオン交換クロマトグラフィー担体でフロースルー精製して、第1溶出液を得る工程、及び、
c.上記第1の溶出液を、[1]〜[26]のいずれかに記載の方法で精製して、第2溶出液を得る工程、
を含む、生理活性物質の精製方法。
[28]
a.不純物と生理活性物質を含む混合液をプロテインAクロマトグラフィー担体で精製して、第1溶出液を得る工程、
b.上記第1の溶出液を、アニオン交換クロマトグラフィー担体でフロースルー精製して、第2溶出液を得る工程、及び、
c.上記第2の溶出液を、[1]〜[26]のいずれかに記載の方法で精製して、第3溶出液を得る工程、
を含む、生理活性物質の精製方法。
[29]
前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、膜状である、[1]〜[28]のいずれかに記載の精製方法。
[30]
前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、基材とこの表面に固定されたグラフト重合体とを有する構造である、[1]〜[29]のいずれかに記載の精製方法。
[31]
前記b.工程と、前記c.工程の間に、バッファー交換、及び、バッファー組成の調整いずれの処理もしない、[27]〜[30]のいずれかに記載の精製方法。
[32]
前記b.工程と、前記c.工程が連続して行われる、[31]に記載の精製方法。
本発明の精製方法によれば、移動相のpHを6〜9とした生理活性物質の精製において、抗体の結合容量が大きく、且つ、高流速処理での生理活性物質精製が可能となる。
実施例1〜4の結果を示すグラフである。 実施例5〜8の結果を示すグラフである。 実施例1、9及び10の結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下において、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下に示す本実施形態は、本発明を説明するための例示であって、本発明を下記のものに特定するものではない。本発明は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
実施の形態に係るカチオン交換クロマトグラフィー担体は、基材と、基材の表面に固定された共重合体と、を備え、共重合体が、モノマー単位として(メタ)アクリルアミド類化合物及び/又は(メタ)アクリレート類化合物を含み、当該担体が、少なくとも弱カチオン交換基を含み、カチオン交換基を当該担体の体積1Lあたり30mmolより高い密度で有する。
「(メタ)アクリルアミド類化合物」とは、(メタ)アクリルアミドを基本骨格に持つモノマーないしはモノマー単位であり、基本骨格以外の構造により、親水性にも疎水性にもなり得る。また、「(メタ)アクリレート類化合物」とは、(メタ)アクリレートを基本骨格に持つモノマーないしはモノマー単位であり、基本骨格以外の構造により、親水性にも疎水性にもなり得る。
「密度」とは、カチオン交換クロマトグラフィー担体1リットル当たりに含まれるカチオン交換基のモル数であり、カチオン交換クロマトグラフィー担体におけるカチオン交換基の濃度を意味する。
なお、本明細書中、「担体」は、交換体、吸着剤又は固定相と表現することもある。
本実施形態において、カチオン交換クロマトグラフィー担体は、生理活性物質の精製に用いられる。生理活性物質とは、生体の特定の生理調節機能に対して作用する性質を有する化学物質をいい、具体例としては、例えば、抗体タンパク質の単量体成分が挙げられる。また、この場合の不純物としては、例えば抗体タンパク質の2量体以上の凝集体が挙げられる。
生理活性物質の一例である抗体タンパク質は、生化学における一般的な定義のとおり、脊椎動物の感染防禦機構としてBリンパ球が産生する糖タンパク質分子(ガンマグロブリン又は免疫グロブリンともいう)である。例えば、本実施形態の精製方法で精製できる抗体タンパク質は、ヒトの医薬品として使用され、投与対象であるヒトの体内にある抗体タンパク質と実質的に同一の構造を有する。
抗体タンパク質は、ヒト抗体タンパク質であってもよく、ヒト以外のウシ及びマウス等の哺乳動物由来抗体タンパク質であってもよい。あるいは、抗体タンパク質は、ヒトIgGとのキメラ抗体タンパク質、及びヒト化抗体タンパク質であってもよい。ヒトIgGとのキメラ抗体タンパク質とは、可変領域がマウスなどのヒト以外の生物由来であるが、その他の定常領域がヒト由来の免疫グロブリンに置換された抗体タンパク質である。また、ヒト化抗体タンパク質とは、可変領域のうち、相補性決定領域(complementarity−determining region: CDR)がヒト以外の生物由来であるが、その他のフレームワーク領域(framework region: FR)がヒト由来である抗体タンパク質である。ヒト化抗体タンパク質は、キメラ抗体タンパク質よりも免疫原性がさらに低減される。
本実施形態の精製方法の精製対象の一例である抗体タンパク質のクラス(アイソタイプ)及びサブクラスは特に限定されない。例えば、抗体タンパク質は、定常領域の構造の違いにより、IgG,IgA,IgM,IgD,及びIgEの5種類のクラスに分類される。しかし、本実施形態において精製対象とする抗体タンパク質は、5種類のクラスの何れであってもよい。また、ヒト抗体タンパク質においては、IgGにはIgG1〜IgG4の4つのサブクラスがあり、IgAにはIgA1とIgA2の2つのサブクラスがある。しかし、本実施形態において精製対象とする抗体タンパク質のサブクラスは、いずれであってもよい。なお、Fc領域にタンパク質を結合したFc融合タンパク質等の抗体関連タンパク質も、本実施形態において精製対象とする抗体タンパク質に含まれ得る。
さらに、抗体タンパク質は、由来によっても分類することができる。しかし、本実施形態において精製対象とする抗体タンパク質は、天然のヒト抗体タンパク質、遺伝子組換え技術により製造された組換えヒト抗体タンパク質、モノクローナル抗体タンパク質、及びポリクローナル抗体タンパク質の何れであってもよい。これらの抗体タンパク質の中でも、抗体医薬としての需要や重要性の観点から、ヒトIgGが好適であるが、これに限定されない。
本実施形態におけるカチオン交換クロマトグラフィー担体は、基材と、これの表面に固定された共重合体とを備える。
基材の形状に限定はないが、膜状であることが好ましく、この場合、平面形状(平膜状)に限られず、例えば、中空糸状であってもよい。
基材の材料は、特に限定されないが、機械的性質保持のために、ポリオレフィン系重合体から構成されていることが好ましい。
ポリオレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン及びフッ化ビニリデンなどのオレフィン単独重合体、該オレフィンの2種以上の共重合体、又は1種もしくは2種以上のオレフィンと、パーハロゲン化オレフィンと、の共重合体などが挙げられる。パーハロゲン化オレフィンとしては、テトラフルオロエチレン及び/又はクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度に優れ、かつタンパク質などの夾雑物の高い吸着容量が得られる点で、ポリエチレン又はポリフッ化ビニリデンが好ましい。
基材は、例えば複数の細孔を有していてもよい。細孔径は、特に限定されないが、例えば5〜1000nmであり、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上、特に好ましくは150nm以上、あるいは400nm以上である。また、基材膜表面積の観点から、好ましくは900nm以下、より好ましくは800nm以下、さらに好ましくは700nm以下、特に好ましくは650nm以下である。細孔径が5nm以下であると、分離できる抗体タンパク質の分子量が低くなる傾向にある。また細孔径が1000nm以上であると、当該基材の表面積が少なくなり、不純物の結合容量が小さくなる傾向にある。
また、基材表面に固定する共重合体のグラフト率が高い場合や、共重合体中の親水性モノマーが占める割合が高い場合、細孔が共重合体によって塞がりやすい傾向にあり、このような場合は、150〜650nm程度の孔径が特に好ましい。
本実施形態におけるカチオン交換クロマトグラフィー担体は、弱カチオン交換基を少なくとも有し、かつ、当該担体の体積1Lあたり30mmolよりも高い密度でカチオン交換基を有する。
ここで、カチオン交換基は、弱カチオン交換基一種類のみであってもよいし、2種類以上の組合せであってもよい。
弱カチオン交換基とは、pHの変化によって、プロトンを受け取ったり失ったりするカチオン基をいう。強カチオン交換基はpHの変化によってプロトンを受け取ったり失ったりしないので、広いpH域で同じ荷電状態を保つのに対して、弱カチオン交換基はpHの変化によってプロトンを受け取ったり失ったりするので、イオン交換容量がpHによって変動するといった特徴がある。弱カチオン交換基の具体例としては、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基等が挙げられる。弱カチオン交換基は、移動相のpHにより、荷電量を変化させることが可能である。そのため、移動相のpHを変化させることにより、カチオン交換クロマトグラフィー担体の電荷密度の調整が可能となる。
弱カチオン交換基を基材の表面に導入(固定)する方法に限定はないが、例えば、弱カチオン交換基を有するモノマーを、基材を構成する材料と共重合させる方法がある。そのようなモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸化合物、及びメタクリル酸化合物等が挙げられる。
アクリル酸化合物としては、例えば、2−アクリロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2−アクリロイロキシエチルフタル酸等が挙げられる。メタクリル酸化合物としては、例えば、2−メタクリロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2−メタクリロイロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
また、弱カチオン交換基に変換可能な官能基を有するモノマーを基材を構成する材料と共重合させ、その後、官能基変換により、弱カチオン交換基を導入してもよい。
このような官能基としては、例えば、エステル類等が挙げられ、このような官能基を有するモノマーとしては、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、アリルアクリレート、及びアリルメタクリレート等が挙げられる。これらをモノマーとして共重合に用いた後、酸性条件により脱保護し、エステルをカルボン酸基へと変換できる。
本実施形態におけるカチオン交換クロマトグラフィー担体は、少なくとも1種類の弱カチオン交換基を有していればよく、この他に一種類又は複数種類の強カチオン交換基を有していてもよいし、あるいは強カチオン交換基を有していなくてもよい。ただし、カチオン交換基を、合計で、当該担体の体積1Lあたり30mmol/Lよりも高い密度で有していなければならない。
カチオン交換クロマトグラフィー担体が弱カチオン交換基を有していることにより、pHを変化させることによって弱カチオン交換基の荷電量を調整し、カチオン交換クロマトグラフィー担体全体の荷電量を微調整することが出来る。
さらに、カチオン交換クロマトグラフィー担体に強カチオン交換基を導入すると、pHに対する荷電量変化を鈍感にさせ、再現性を向上させることが可能となる。ほぼ全ての強カチオン交換基は、抗体精製における実用的な抗体溶液のpH領域で荷電しているため、荷電量が一定である。したがって、カチオン交換クロマトグラフィー担体に強カチオン交換基が存在することで、常に一定以上の荷電量が保証される。また、カチオン交換クロマトグラフィー担体に強カチオン交換基が存在することで、pH微変化によってカチオン交換クロマトグラフィー担体の性能が大きく左右されることを抑制可能である。強カチオン交換基としては、スルホン酸基等が挙げられる。
本実施形態において、カチオン交換クロマトグラフィー担体のカチオン交換基合計の密度は30mmol/L以上である。30mmol/Lよりも低い場合、荷電させることが可能なカチオン交換基量が低くなるため、吸着容量の低下に加え、適用できる抗体種が狭くなる傾向にある。
なお、カチオン交換基は、カチオン交換クロマトグラフィー担体が強カチオン交換基を有する場合、弱カチオン交換基と強カチオン交換基の合計で、担体1Lあたり30mmol/Lよりも多く存在していればよいが、このうち、弱カチオン交換基の密度が、5mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは10mol/L以上、さらに好ましくは15mmol/L以上である。このような密度で弱カチオン交換基が存在すると、担体の電荷密度の調整が容易となる。
本実施形態におけるカチオン交換クロマトグラフィー担体が備える共重合体は、例えば共有結合により基材に固定されている。
基材に共重合体を固定する方法に限定はないが、例えば、グラフト重合が挙げられる。グラフト重合法としては、例えば、放射線グラフト重合法や、表面リビングラジカル重合法が挙げられる。
放射線グラフト重合法で基材表面に共重合体を固定する場合、基材にラジカルを生成させるためにはいかなる手段も採用しうるが、基材に電離性放射線を照射すると、基材全体に均一なラジカルが生成するため、好適である。電離性放射線の種類としては、γ線、電子線、β線、及び中性子線等が利用できるが、工業規模での実施には電子線又はγ線が好ましい。電離性放射線はコバルト60、ストロンチウム90、及びセシウム137などの放射性同位体から、又はX線撮影装置、電子線加速器及び紫外線照射装置等により得られる。
電離性放射線の照射線量は、1kGy以上1000kGy以下が好ましく、より好ましくは2kGy以上500kGy以下、さらに好ましくは5kGy以上200kGy以下である。照射線量が1kGy未満では、ラジカルが均一に生成しにくくなる傾向にある。また、照射線量が1000kGyを超えると、基材の物理的強度の低下を引き起こす傾向にある。
電離性放射線の照射によるグラフト重合法には、一般に基材にラジカルを生成した後、次いでラジカルを反応性化合物と接触させる前照射法と、基材を反応性化合物と接触させた状態で基材にラジカルを生成させる同時照射法と、に大別される。本実施形態においては、いかなる方法も適用しうるが、オリゴマーの生成が少ない前照射法が好ましい。
本実施形態において共重合体の重合時に使用する溶媒は、反応性化合物を均一溶解できるものであれば特に限定されない。このような溶媒として、例えば、メタノールやエタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンや2−ブタノン等のケトン類、水、又はそれらの混合物等が挙げられる。
基材の表面に固定される共重合体は、その組成に、カチオン交換基を有するモノマー単位に加え、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、アクリレート類及びメタアクリレート類の化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の中性化合物をモノマー単位として含む。さらに、共重合体は、その組成に、その他の中性の化合物をモノマー単位として1又は複数種類含んでいてもよい。
これらのモノマー単位は、カチオン交換クロマトグラフィー担体を洗浄する際の現実的な酸や塩基条件に対して安定であり、洗浄による膜の性能低下を防ぎ、更に膜の強度を下げにくくする傾向にある。
また中性モノマーを、カチオン交換基を有するモノマーと共重合させることにより、カチオン交換基同士の距離を適度に離し、より選択的に抗体凝集体を吸着しやすくなると考えられる。
基材の表面に固定される共重合体は、以上に例示した以外のモノマー単位をさらに有していてもよいが、例えば、アクリルニトリルは、アルカリにより加水分解されやすいため、アクリルニトリルをモノマー単位として用いると、アルカリ洗浄により性能が損なわれる傾向にあるため、その含有量はこの点に留意して決定する必要がある。また、スチレン類等の芳香族を含むモノマー単位も、膜を堅くし、脆くなる傾向にあるため、その含有量はこの点に留意して決定する必要がある。
さらに、抗体単量体と抗体凝集体の吸着力の差別化の観点から、共重合体において、カチオン交換基を有さない中性モノマーの質量割合が、カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合よりも高いことが好ましく、より好ましくは、2倍以上であり、更に好ましくは3倍以上である。
なお、本実施形態において、共重合体は、カチオン交換基を有するモノマー単位および中性モノマー単位のみから成り立っているため、カチオン交換基を有するモノマー単位の質量、および、中性モノマー単位の質量は、以下のように求めることが出来る。
(カチオン交換基モノマー単位の質量)=
(カチオン交換基密度×担体体積×カチオン交換基モノマー単位の分子量)
(中性モノマー単位の質量)=
(カチオン交換クロマトグラフィー担体質量−基材質量−カチオン交換基モノマー単位質量)
これらの質量比により、カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合および、中性のモノマー単位の質量割合を求めることができる。
また、精製対象の一例である抗体は疎水性相互作用の性質を有するため、基材の疎水性が強過ぎると、疎水性相互作用により、抗体が基材に吸着され、目的の抗体の回収率が低下することがある。この現象に対しては、基材表面に共重合体を固定する際の重合時に親水性モノマーを導入することにより、抗体が基材へ吸着することを防ぐことが出来る。
そのような親水性モノマーとして、アクリルアミド、メタアクリルアミド、並びにジメチルアクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、及びN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。あるいは、上記のような親水性モノマーとして、アクリレート、メタアクリレート、並びに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、及び2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
あるいは、共重合体の重合時に疎水性モノマーを導入し、疎水性相互作用を活かすことにより抗体単量体と不純物である抗体凝集体の吸着選択性を上げることもできる。一般に抗体凝集体は、抗体単量体よりも強い疎水性相互作用を示す。したがって、適した疎水性モノマーを選択することにより、抗体単量体と抗体凝集体の疎水性相互作用の差を顕著にし、高い選択性を実現し得る。
そのような疎水性モノマーとしては、スチレン類、アルキルアクリルアミド類、アルキルメタクリルアミド類、アルキルアクリレート類、及びアルキルメタクリレート類等が挙げられるが、この中でも、力学的強度の観点から、アルキルアクリルアミド類、アルキルメタクリルアミド類、アルキルアクリレート類、及びアルキルメタクリレート類が望ましい。アルキル基に関しては、炭素数4以上の直鎖又は分岐状のアルキル基であれば、抗体に対し、実質的に疎水性相互作用を発現しうる。
また、共重合体は、モノマー単位中に重合性官能基を2つ以上含むモノマー単位を含んでいてもよく、このようなモノマーを共重合させることにより、架橋構造が構築される。架橋構造の利点は、グラフト鎖の立ち上がりを抑制し、通液圧を抑制させるという点にある。
モノマー中に重合性官能基を2つ以上含むモノマーとしては、特に限定されないが、重合性官能基としてはオレフィンが挙げられる。そのようなモノマーとして、(メタ)アクリルアミド系モノマーや(メタ)アクリレート系モノマー、又はそれらの官能基が混合したモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスメタクリルアミド、N,N’−プロピレンビスメタクリルアミド、及びN,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスメタクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオールジアクリレート、4、4’−チオジベンゼンチオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、4、4’−チオジベンゼンチオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びペンタエリトリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
グラフト重合によるグラフト鎖の結合率(グラフト率)は、基材の密度により、最適値が異なりうる。
基材がポリエチレンの時は、吸着容量の観点からグラフト率は20%以上が好ましく、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上である。また、力学的に安定な強度を確保するという観点から、好ましくは200%以下、より好ましくは150%以下、更に好ましくは100%以下である。グラフト率dgは以下の式によって表わされる。
dg(%)=(w1−w0)/w0×100
ここで、w0は反応前の基材の質量、w1はグラフト鎖が導入された基材の質量である。
基材がポリフッ化ビニリデンの時は、ポリフッ化ビニリデンはポリエチレンに比べ、密度が高いため、適したグラフト率がポリエチレンの時と異なる。基材がポリフッ化ビニリデンの時は、吸着容量の観点からグラフト率5%以上が好ましく、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。また、力学的に安定な強度を確保するという観点から、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下である。
本実施形態においては、カチオン交換基を有する共重合体が基材の表面に固定されていることにより、基材表面上にカチオン交換基が直接分布している場合に比べ、吸着対象物を立体的に吸着することが可能となる。そのため、抗体単量体に比べ、抗体凝集体はより強固にカチオン交換基に吸着され、抗体単量体を高い純度で得ることが可能となる。
全カチオン交換基密度を測定する方法としては、例えば、強酸などを用いてカチオン交換基を全てプロトン化した後に、塩基を用いて中和し、逆滴定により測定する方法が挙げられる。また、カチオン交換基のカウンターカチオンをリチウムイオンに置換した後に、強酸で処理し、溶出するリチウムの量を測定する方法もある。これらの方法により、全カチオン交換基密度が測定できる。
また、強カチオン交換基密度を測定する方法としては、例えば、強酸などを用いて強カチオン交換基を全てプロトン化した後に、塩化ナトリウム水溶液を加え、溶出してくる塩化水素を滴定することにより測定する方法が挙げられる。
弱カチオン交換基密度は、全カチオン交換基密度から、強カチオン交換基密度を差し引くことにより求めることが出来る。
本実施形態における、純度の向上した生理活性物質を得る精製方法は、不純物と生理活性物質を含む混合溶液から、生理活性物質を精製する精製方法であって、上述したカチオン交換クロマトグラフィー担体に対し、混合溶液を接触させることを含む。
本実施形態に係る精製方法による生理活性物質の回収率は、例えば80%以上である。回収率は、下記式に基づいて算出される。
回収率=(抗体回収量×処理後単量体成分純度)/(抗体処理量×処理前単量体成分
純度)
本実施形態におけるカチオン交換クロマトグラフィー担体は、バインドアンドエリュート法を採用する場合に特に効果的である。
バインドアンドエリュート法とは、目的の生理活性物質をクロマトグラフィー担体にいったん結合(バインド)させ、その後、目的の生理活性物質を溶出(エリュート)させて回収する精製方法を言う。
例えば、目的の生理活性物質を不純物との混合物から精製する場合、まず、生理活性物質は吸着剤に結合し、不純物の一部は吸着剤に結合せずに通過する。次いで、移動相の塩濃度やpHを変化させることにより、目的の生理活性物質のみを移動相に溶出させ、回収する。
なお、これに対し、フロースルー法とは、不純物をクロマトグラフィー担体に結合させ、目的の生理活性物質は材料をフロースルーする精製方法を言う。
例えば、抗体タンパク質の単量体が目的物で、抗体タンパク質の凝集体が不純物である場合、抗体タンパク質単量体は吸着剤を流れ、抗体タンパク質の凝集体が吸着剤に結合する。この時、抗体タンパク質の単量体は吸着剤に吸着されてもよいが、抗体タンパク質の凝集体がより選択的に吸着剤に吸着されることにより、抗体タンパク質の単量体が精製される。
本実施形態の精製方法において、移動相に限定はなく、例えば、中性の緩衝液を利用することができ、この場合有機溶媒を必要としない。ここで、緩衝液とは塩類を含む水溶液であって、具体的には、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、及び酢酸緩衝液等が挙げられるが、通常利用される緩衝液であれば特に限定されるものではない。
緩衝液における無機塩類の濃度が1mmol/Lより低いと、緩衝能が低く、再現性が取りづらい傾向にある。また、塩類の濃度が100mmol/Lより高いと、イオン交換基の乖離度が低くなり、凝集体等の不純物を保持することが困難となる傾向にある。
塩類の濃度を電気伝導度という尺度で表すと、好ましくは0.5〜20mS/cmであり、より好ましくは、0.5〜15mS/cm、さらに好ましくは0.5〜10mS/cmである。
本実施形態において、カチオン交換クロマトグラフィー工程で抗体を含む溶液をカチオン交換クロマトグラフィー担体に供給する時の移動相のpHは、生理活性物質の等電点(PI)より低い値が選択される。移動相のpHを、生理活性物質のPIよりも低くすることで、カチオン交換クロマトグラフィー担体への抗体の結合容量を大きくすることが可能となる。
一般的には、カチオン交換クロマトグラフィー工程における移動相のpHは、生理活性物質のPIよりかなり低い値(具体的には4〜5)とされるが、本実施形態においては、移動相の具体的なpHは、例えばpH6〜9とすることができ、好ましくは6.5〜8.5であり、さらに好ましくは7.0〜8.0である。
また、本実施形態のカチオン交換クロマトグラフィーによる精製と、アニオン交換クロマトグラフィーによる精製を組み合わせることにより、精製物の純度をさらに向上しうる。
従来のカチオン交換クロマトグラフィー担体は、pH6〜9における生理活性物質の結合容量は十分ではなかったため、pH6〜9の条件下で行われるアニオン交換クロマトグラフィーによる精製と組み合わせてカチオン交換クロマトグラフィー担体による精製を行う場合には、両工程の間に、移動相のpHをバッファー交換や酸塩基滴定によってカチオン交換クロマトグラフィー担体に適するように調整する必要があった。
しかしながら、本実施形態のカチオン交換クロマトグラフィー担体を用いた精製においては、移動相のpHがアニオン交換クロマトグラフィーのそれと同等であってもよいので、クロマトグラフィー工程の間に移動相の調整が不要となる。
本実施形態において、生理活性物質から分離される不純物とは、特に限定を受けないが、例えば、宿主細胞由来のタンパク質(HCP)、DNA,アフィニティークロマトグラフィー工程由来の不純物である、プロテインA等が挙げられる。
本実施形態の精製方法による精製とアニオン交換クロマトグラフィー担体による精製を組み合わせて行う場合、アニオン交換クロマトグラフィー担体による精製工程は、本実施形態の方法による精製工程の前であってもよいし、後であってもよい。
しかしながら、本実施形態のカチオン交換クロマトグラフィー担体を用いた精製においては、移動相のpHがアニオン交換クロマトグラフィーのそれと同等であってもよく、その結果、クロマトグラフィー工程の間に移動相の調整が不要という観点から、アニオン交換クロマトグラフィー担体による精製の後に、カチオン交換クロマトグラフィー担体による精製においても好適に用いることができる。
アニオン交換クロマトグラフィー担体は、特に限定を受けないが、膜状であれば、高流速が可能であり、より効率の良い精製工程の構築が可能である。また、アニオン交換クロマトグラフィー担体は、基材上にグラフト重合鎖を有する構造であってもよい。
アニオン交換クロマトグラフィー担体の構造は、特に限定を受けないが、基材上にグラフト重合体を有する構造であれば、不純物に立体的に吸着することが出来るため、より高い不純物除去性が期待できる。
アニオン交換クロマトグラフィー担体による精製方法については、特に限定を受けないが、フロースルー精製であればより効率的に精製することが可能である。
カチオン交換クロマトグラフィー担体による精製工程と、アニオン交換クロマトグラフィー担体による精製工程の間に、バッファー交換をしてもよいし、しなくてもよい。バッファー交換をしない場合、より効率的な精製が出来る。
カチオン交換クロマトグラフィー担体における精製工程と、陰イオン交換クロマトグラフィー担体における精製工程は、連続で行ってもよいし、片方の工程終了後、一旦タンクに貯蔵し、次の工程を行ってもよい。
以下に、実施の形態を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは実施の形態を何ら限定するものではない。
(実施例1)
基材としてポリエチレン多孔質中空糸を用い、放射線グラフト重合によってその表面に2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びメタクリル酸をグラフト重合させ、カルボン酸基を有する中空糸状のカチオン交換膜を合成した。以下にその合成方法を具体的に説明する。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.08g、ブチルメタクリレート1.54g、メタクリル酸0.57gを50容量%t−ブチルアルコール水溶液240mLに溶解させ、30分間窒素バブリングしたものを反応液として用いた。外径3.0mm、内径2.0mm、平均孔径0.25umのポリエチレン多孔質中空糸3.00g(15cm、15本)を密閉容器に入れて、容器内の空気を窒素で置換した。その後、容器の外側からドライアイスで冷却しながら、γ線25kGyを照射し、ラジカルを発生させた。得られたラジカルを有するポリエチレン多孔質中空糸をガラス容器に移し、200Pa以下に減圧することにより、反応管内の酸素を除いた。これに40℃に調整した上記反応液を、140mL導入し、16時間静置した。その後、中空糸をメタノールで洗浄し、真空乾燥機中で真空乾燥させ、5.31g、グラフト率77%のカチオン交換膜を得た。
得られた中空糸1本の体積を測定したところ、1.05mLであった。この中空糸をエタノールにより親水化し、水に置換した。水を除去した後、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10mL加えた。1時間放置した後、水酸化ナトリウム水溶液を取り出し、純水10mLを加えた。更に1時間放置した後、純水を回収することにより、膜内に残った水酸化ナトリウムを回収した。回収した水酸化ナトリウム溶液を統合し、0.1mol/L塩酸により滴定をおこなったところ、中和に7.93mL要した。ブランクが9.77mLであったことから、水酸化ナトリウムと反応した、膜が有する弱カチオン交換基は184umolであることが分かった。これを測定した中空糸の体積で除すると弱カチオン交換基密度を求めることが出来、カチオン交換基密度は175mmol/Lであった。また、カチオン交換基モノマー単位および中性モノマー単位の質量割合は、それぞれ、0.103および0.897であった。
その後、該中空糸をモジュール化(膜体積0.25mL)し、カチオン交換クロマトグラフィー担体1とした。
次いで、生理活性物質(抗体タンパク質)として、AE6F4抗体(ヒトモノクロナール抗体)含有液(抗体タンパク質濃度5mg/mL)を用い、カチオン交換クロマトグラフィー担体1の10%動的結合容量(10%DBC)を測定した。10%DBCは、下記式に基づいて算出される。
10%DBC={5[mg/mL]×(担体に供給した抗体タンパク質含有溶液の抗体タンパク質濃度の10%に相当する濃度の溶液が担体から漏れ出るまで、担体に供給した溶液の体積)[mL]}/担体体積[mL]
なお、抗体タンパク質濃度は、吸光度法(280nm)により測定した。
具体的には、カチオン交換クロマトグラフィー担体1(膜体積0.25mL)をAKTA FPLC(GEヘルスケアジャパン製)に装着し、1M NaOH水溶液を2.5mL、1M NaCl水溶液を25mL通液した後、15mM 酢酸緩衝液(pH5.0)を1.5mL/分の流速で、25mL通液し、膜を平衡化した。膜の平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH5.0)に抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、膜から0.5mg/mLの抗体タンパク質濃度の溶液が漏れ出るまで、0.25mL/分の流速で供給した。10%DBCを測定した結果、10%DBCは14.3mg/mLであった。
(実施例2)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH6.0)を用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH6.0)に抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例1と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは33.7mg/mLであった。
(実施例3)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH7.0)を用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH7.0)に抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例1と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは112.7mg/mLであった。
(実施例4)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH8.0)を用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH8.0)に抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例1と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは147.1mg/mLであった。
(実施例5)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH5.0)+50mM NaClを用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH5.0)+50mM NaClに抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例1と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは15.9mg/mLであった。
(実施例6)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH6.0)+50mM NaClを用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH6.0)+50mM NaClに抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例1と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは27.5mg/mLであった。
(実施例7)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH7.0)+50mM NaClを用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH7.0)+50mM NaClに抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例3と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは35.0mg/mLであった。
(実施例8)
平衡化の緩衝液として15mM 酢酸緩衝液(pH8.0)+50mM NaClを用い、平衡化後、15mM酢酸緩衝液(pH8.0)+50mM NaClに抗体タンパク質を5mg/mLの濃度で含有する溶液を、供給液として用いた以外は、実施例4と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは47.5mg/mLであった。
(実施例9)
平衡化後、抗体タンパク質を、膜から0.5mg/mLの抗体タンパク質が漏れ出るまで、0.75mL/分の流速で供給した以外は、実施例3と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは98.9mg/mLであった。
(実施例10)
平衡化後、膜から0.5mg/mLの抗体タンパク質が漏れ出るまで、1.5mL/分の流速で供給した以外は、実施例3と同様の方法で10%DBCを測定した。その結果、10%DBCは85.1mg/mLであった。
本発明の精製方法は、生理活性物質の精製分離一般に適しており、特に、アニオン交換クロマトグラフィー担体を用いたフロースルー精製と組み合わせる場合に有利に採用できる。

Claims (32)

  1. 不純物と生理活性物質を含む混合溶液を、カチオン交換クロマトグラフィー担体に接触させ、バインドアンドエリュート法により純度の向上した生理活性物質を得る精製方法であって、
    前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、
    (1)基材と、前記基材の表面に固定された共重合体と、を備え、前記共重合体がモノマー単位として(メタ)アクリルアミド類化合物及び/又は(メタ)アクリレート類化合物を含み、
    (2)少なくとも弱カチオン交換基を含み、カチオン交換基を当該担体の体積1Lあたり30mmolより高い密度で有する、
    精製方法。
  2. 前記共重合体において、前記カチオン交換基を有するモノマー単位以外のモノマー単位が、疎水性モノマー単位及び/又は親水性モノマー単位である、請求項1に記載の精製方法。
  3. 前記共重合体が、モノマー単位として少なくとも1種類の疎水性モノマー単位を含む、請求項1又は2に記載の精製方法。
  4. 前記疎水性モノマー単位が、炭素数4以上の直鎖又は分岐状のアルキル基を有する、請求項2又は3に記載の精製方法。
  5. 前記弱カチオン交換基が、アクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、アクリル酸化合物モノマー又はメタクリル酸化合物モノマーのいずれかの由来である、請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
  6. 前記弱カチオン交換基が、メタクリル酸モノマー由来である、請求項5に記載の精製方法。
  7. 前記共重合体において、前記カチオン交換基を有するモノマー単位以外の前記疎水性モノマー単位及び前記親水性モノマー単位の合計の質量割合が、前記カチオン交換基を有するモノマー単位の質量割合よりも高い、請求項2〜6のいずれかに記載の精製方法。
  8. 前記カチオン交換基が、弱カチオン交換基のみからなる、請求項1〜7のいずれかに記載の精製方法。
  9. 前記カチオン交換基が、弱カチオン交換基と強カチオン交換基の混合である、請求項1〜7のいずれかに記載の精製方法。
  10. 前記強カチオン交換基が、スルホン酸基である、請求項9に記載の精製方法。
  11. 前記共重合体が、共有結合により前記基材の表面に固定されている、請求項1〜10のいずれかに記載の精製方法。
  12. 前記共重合体が、親水性モノマー単位として、(メタ)アクリルアミド類化合物を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の精製方法。
  13. 前記共重合体が、親水性モノマー単位として、イソプロピルアクリルアミドを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の精製方法。
  14. 前記共重合体が、親水性モノマー単位として、(メタ)アクリレート類化合物を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の精製方法。
  15. 前記共重合体が、親水性モノマー単位として、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む、請求項1〜11、14のいずれかに記載の精製方法。
  16. 前記基材が、ポリエチレンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の精製方法。
  17. 前記共重合体が、前記基材を構成する材料とグラフト重合されており、そのグラフト率が20〜200%である、請求項16に記載の精製方法。
  18. 前記基材が、ポリフッ化ビニリデンである、請求項1〜15のいずれかに記載の精製方法。
  19. 前記共重合体が、前記基材を構成する材料にグラフト重合されており、そのグラフト率が、5〜100%である、請求項18に記載の精製方法。
  20. 前記共重合体が、重合性官能基を2つ以上含むモノマー単位を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の精製方法。
  21. 前記重合性官能基が、(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリレート由来である、請求項20に記載の精製方法。
  22. 前記生理活性物質が、生体分子である請求項1〜21のいずれかに記載の精製方法。
  23. 前記生体分子が、抗体である、請求項22に記載の精製方法。
  24. 生理活性物質の回収率が80%以上である、請求項1〜23のいずれかに記載の精製方法。
  25. 前記生理活性物質が、抗体タンパク質の単量体である、請求項1〜24のいずれかに記載の精製方法。
  26. 前記不純物が、抗体タンパク質の2量体以上の凝集体を含む、請求項1〜25のいずれかに記載の精製方法。
  27. b.不純物と生理活性物質を含む混合液を、アニオン交換クロマトグラフィー担体でフロースルー精製して、第1溶出液を得る工程、及び、
    c.上記第1の溶出液を、請求項1〜26のいずれかに記載の方法で精製して、第2溶出液を得る工程、
    を含む、生理活性物質の精製方法。
  28. a.不純物と生理活性物質を含む混合液をプロテインAクロマトグラフィー担体で精製して、第1溶出液を得る工程、
    b.上記第1の溶出液を、アニオン交換クロマトグラフィー担体でフロースルー精製して、第2溶出液を得る工程、及び、
    c.上記第2の溶出液を、請求項1〜26のいずれかに記載の方法で精製して、第3溶出液を得る工程、
    を含む、生理活性物質の精製方法。
  29. 前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、膜状である、請求項1〜28のいずれかに記載の精製方法。
  30. 前記カチオン交換クロマトグラフィー担体が、基材とこの表面に固定されたグラフト重合体とを有する構造である、請求項1〜29のいずれかに記載の精製方法。
  31. 前記b.工程と、前記c.工程の間に、バッファー交換、及び、バッファー組成の調整いずれの処理もしない、請求項27〜30のいずれかに記載の精製方法。
  32. 前記b.工程と、前記c.工程が連続して行われる、請求項31に記載の精製方法。
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