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生分解性複合材料
本発明は、生分解性複合材料及びその製造方法に関する。本発明による生分解性複合材料は好ましくは、再生医療分野において、とりわけ骨再生用の一時的な骨欠損充填剤として使用することができる骨再建材料である。
骨欠損(Bone defects)及びその処置は長い間知られてきた。例えば、骨欠損は、外傷性事象(骨折)の場合に生じるおそれがある。加えて、骨欠損は、疾患、例えば腫瘍、骨粗しょう症により起こる骨溶解、又は歯槽堤萎縮症の場合等の負荷の欠乏によってももたらされるおそれがある。それらのいずれの場合にも、再生手段によって処置する必要がある骨の欠損(osseous defects)が存在する。
移植に適する内因性(自己)骨のリザーバはごく限られている。別の位置における再建用の骨の切除は、腸骨稜領域、顎若しくは顎角、脛骨の頭において、又は肋骨若しくは腓骨の切除によって行われる可能性がある。限定される適用区域に加えて、自己骨の切除は、骨の切除のための更なる手術、及び結果として起こる切除位置における不快感等の、患者にとって著しいリスクを伴う。
自己骨の切除に加えて、ヒトのドナーからのドナーの骨(同種骨、同種移植片)について言及する。このような骨は、骨からあらゆるアレルギー性の異物を除去するために、面倒な化学的方法を用いて処理される。拒絶反応のリスクに加えて、ドナーの年齢及び生活様式に応じた骨塩の差異についても考慮すべきであり、絶対的に再現可能な調製方法後であっても再現可能な治療結果が保証されない。これは、刊行物である非特許文献1に記載されている。
自己骨を置換する更なる可能な方法として、あらゆる有機材料を除去するような方法で哺乳類の骨を処理する様々な試みが為されてきた。これらの場合にも、免疫反応の残存リスク、及びそれと同時に、疾患が種の壁を越える可能性が依然として存在する。今日では、いわゆる異種骨置換材料の場合におけるこのようなリスクを最低限に抑えるために、高度に複雑な技術が使用されている。
上述のリスクに加えて、生物由来の多くの材料はX線不透過性に関する問題も有しているため、治療者は、X線画像において骨移植片を健康な骨環境と識別するのに大変な困難を感じる場合があり、したがって必ずしも、欠損の充填が成功し完了したことを満足のいくように確認すること、及び治癒の進行をモニタリングすることができるとは限らない。それ故、特許文献1は、放射線不透過性マーカーを備える、脱灰骨片及び部分的に脱灰された骨片からなる骨移植片を提案している。
代替的な生体材料の開発は、代謝並びに自然な骨再建プロセス及び骨分解プロセスの知識を必要とする。骨は絶えず骨芽細胞によって形成され、破骨細胞によって再吸収される。生体材料の分解は、細胞吸収及び加水分解(hydrolytic degradation)によって起きる。
隣接細胞に影響を及ぼす、哺乳類細胞によって分泌されるシグナルタンパク質は、1960年代に特定された(非特許文献2)。シグナルタンパク質は、骨を誘起するように作用する、すなわち、骨の成長を誘起することができる。これらのいわゆる骨形成タンパク質(BMP)及び様々な成長因子、例えば、形質転換成長因子β(TGF−β)、インスリン様成長因子(IGF)及び他のサイトカインは、骨の成長を大いに促進させる。哺乳類の骨又は他の身体部分からそれらが抽出されないように、組換え生物工学を用いてこれらのタンパク質を産出しようとする努力が為されている。材料を徐放させるために、サイトカインが上部又は内部に固定化されたマトリックスが提案されている。このようなマトリックスは、例えば、骨再建材料、バイオセラミック、有機ポリマー、またコラーゲン又はゼラチンであり得る。
自己骨、ドナーの骨又は異種骨の使用に関連する上述の複数の問題の結果として、自然骨材料の使用に取って代わるか又はそれを補うことができる合成生体材料形態の代替物の研究が早期に始まっている。
合成生体材料の場合、骨置換材料と骨再建材料とで区別される。骨置換材料は、吸収性でないか又はごく僅かしか吸収性でなく、治癒が完了した時点で、欠損部に骨/骨置換材料構成体を形成する。対照的に、骨再建材料は、完全に吸収性であり、一定時間経過後に内因性の局所的な骨によって置換される。合成骨置換材料又は骨再建材料は、例えば、焼結したか又は溶液から析出したリン酸カルシウム、例えばヒドロキシアパタイト(HA、Ca10(PO(OH))若しくはβ−リン酸三カルシウム(β−TCP、Ca(PO);バイオセラミック、例えばバイオガラス若しくはガラスセラミック;又は、生分解性プラスチックからなる。典型的な骨置換材料は、例えば、HA又はチタンからなる。典型的な骨再建材料は、β−TCP、バイオガラス、吸収性ガラスセラミック、又はポリエステル等の生分解性プラスチックからなる。
骨再建媒体の再生能力は、かなりの程度まで、その多孔度の特異的なモルフォロジによって求められる。孔及び空隙は、血液及び体液の浸透にとって、細胞に栄養分を供給するのに、また材料の崩壊/分解にとって重要である。相互連結するミクロポア網目構造は主に材料の生体適合性を確実なものとするが、100μm〜500μmのサイズ範囲の相互連結するマクロポアは主に材料を介しての骨の成長を促進させる。複合材料及び細粒体の両方において、骨の内部成長挙動との関係が記載される場合、顆粒間の空間も同様に孔と認識されるものとする。
粒径及び粒子のモルフォロジも、骨再建媒体の再生能力にとって極めて重要なものである。小さい粒子は、炎症、無菌性炎症反応をもたらす。例えば、とりわけ人工関節の接合面の摩耗が、巨大な異物清掃細胞(マクロファージ)による粒子の食作用性除去によって引き起こされる炎症反応をもたらすことが長い間知られている。食作用として知られるこのプロセスは、簡単に言えばマクロファージによる又はその中への粒子の組込み及びその後の粒子の除去と説明することができる。マクロファゴサイトーシス(Macrophagocytosis)は数ある研究の主題である。GONZALEZ他(非特許文献3)は、食作用性粒子(0.325μm及び5.5μm)及び非食作用性粒子(200μm)を報告している。PETERS他は、β−リン酸三カルシウムで構成される生体材料に関して、食作用現象を回避するために、平均粒径が7μm〜10μm以上の範囲にあるべきであると記している(非特許文献4)。
骨再建媒体の更に重要な特性は、例えば、生体適合性、安全性、とりわけ機械強度、吸収性、全多孔度、骨欠損に対する適応性、及び主治医にとっての取扱い易さである。
生体適合性は、ヒト組織との合成材料の適合性を決定するため、骨再建媒体の基本要件である。多数の因子が生体適合性の役割を担う。例えば、骨再建媒体の表面の性質は、全体設計(例えば、粒径、粒子モルフォロジ、全多孔度、並びに、顆粒間多孔度及び顆粒内多孔度のモルフォロジ、すなわち、骨再建媒体の個々の顆粒状粒子内及び顆粒状粒子間の孔径分布及び孔の相互連結)、並びに、化学組成と同じくらい生体適合性にとって重要である。内因性防御細胞は該材料を異物として特定しないように、骨再建媒体が、物理的特徴及び化学的特徴の観点から、置換される骨組織に適合することが極めて重要である。しかしながら、骨再建媒体は、結局は内因性成分でないため、常に異物のように振る舞うと考えられる。
生体適合性を増大させるために、例えば、骨が、約30%の1型コラーゲンと、70%のカルシウム欠乏炭酸アパタイトとからなることを前提として、骨類似物を得ることが可能であることから、合成生体材料にコラーゲンを添加することが提案されている。コラーゲンは、生体適合性であり、骨形成細胞(骨芽細胞)の接着に好ましいマトリックスを形成する。1型コラーゲンは、最も一般的な改質剤であり、再生医療分野及び組織工学において一般に用いられるものである。コラーゲンは、ヒト及び動物の組織、例えば、皮膚又は腱から抽出することができる。コラーゲンとリン酸カルシウムとで構成される有機無機複合体は、in vitro石灰化によって、又は従来の混合及び凍結乾燥プロセスによって得ることができる。
例えば、ヒドロキシアパタイトを含む複合体内のコラーゲンが記載されている(非特許文献5)。複合体の表面は、骨芽細胞特異的なインテグリンと基材表面との相互作用にプラスの効果を有するArg−Gly−Asp(RGD)タンパク質配列を有する。コラーゲンとヒドロキシアパタイトとで構成される複合材料、並びに様々な製造方法は、Wahl及びCzernuskaの刊行物にも記載されている(非特許文献6)。
機械強度を増大させるために、特許文献2は、ガラスセラミック、とりわけ、例えば化学組成CaKNa(POを有するアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミックの使用を提案している。材料はケイ酸塩でドープされていてもよく、加えて、機械安定性の増大に加えて、生物活性の増大及び長い吸収時間を示す。
全体設計及び/又は化学組成の異なる、数ある更なる合成骨置換材料又は骨再建材料が知られている。例えば、骨置換材料又は骨再建材料は、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35、特許文献36、特許文献37、特許文献38、及び特許文献39に記載されている。
合成生体材料中における生物活性化合物の使用は既に提案されている。例えば、骨形成タンパク質、成長因子、抗生物質及び更なる生物活性化合物と併用される骨置換材料又は骨再建材料が、例えば、特許文献40、特許文献41、特許文献42、特許文献43、特許文献44、特許文献45、及び特許文献46に記載されている。
既知の市販されている骨置換材料及び骨再建材料が多数あるにもかかわらず、整形外科分野における骨の欠損及び同様に口腔領域又は顎顔面領域における欠損の処置は、治療者に大きな課題を残す。この理由は、今まで、骨組織の物理的特徴及び化学的特徴に最適に適合すると同時に、所望の機械強度、吸収性、骨欠損に対する適応性、及び主治医にとっての取扱い易さを備える、利用可能な材料が存在しなかったからである。
これまでに知られている骨置換材料及び骨再建材料の欠点は、それらが往々にして所望特性の1つのみに最適化されていることである。例えば、良好な機械強度を有する骨置換材料及び骨再建材料の場合、吸収性、骨欠損に対する適応性、及び主治医にとっての取扱い易さが一般的に制限される。
既知の骨置換材料及び骨再建材料の更なる問題はそれらの低X線不透過性であり、その結果、処置の成功をモニタリングすることができない。
また、これまでに知られている骨置換材料及び骨再建材料の孔のモルフォロジ及び粒径は問題を引き起こすおそれがある。例えば、過度に長く紆曲した孔を有する骨置換材料及び骨再建材料を介しても骨が完全には成長しない可能性がある。例えばPALMによって記載されているように、過度に長い相互連結するマクロポア系も、微生物がマクロポア系の閉端部に留まり、抗生物質による全身処置を免れるリスクを抱えている(非特許文献7)。さらに、小さ過ぎるか、又は吸収中若しくは摩耗の結果として小さい粒子へと崩壊する粒子を有する骨置換材料及び骨再建材料は、炎症反応を引き起こすおそれがある。非内因性組織である骨置換材料及び骨再建材料が常に異物のように振る舞うため、炎症、無菌性炎症反応の発現は依然として、骨置換材料及び骨再建材料を使用する場合に観察される共通の問題である。
欧州特許第0932373号 欧州特許第1413321号 欧州特許出願公開第0267624号 独国実用新案第29922585号 独国特許第3717818号 国際公開第2004/112855号 欧州特許第1413323号 欧州特許第0941130号 国際公開第2009/00445号 米国特許出願公開第2003/009235号 欧州特許第0164483号 米国特許第4,795,467号 欧州特許第0243178号 欧州特許第0984745号 独国特許出願公開第3414924号 独国特許出願公開第4222763号 独国特許第3784646号 米国特許第5,071,436号 欧州特許第0309241号 欧州特許第0386253号 欧州特許出願公開第1891984号 国際公開第98/22154号 欧州特許第1150726号 欧州特許第1270025号 米国特許出願公開第2005/0159820号 米国特許第7,189,263号 国際公開第02/22045号 独国特許出願公開第102006026000号 国際公開第03/022319号 米国特許出願公開第2008/0187571号 国際公開第2006/031196号 米国特許第7,544,212号 国際公開第2005/051447号 国際公開第2006/095154号 米国特許出願公開第2006/0172918号 国際公開第03/071991号 独国特許出願公開第102005034421号 米国特許出願公開第2002/0133238号 欧州特許出願公開第0302847号 国際公開第89/09787号 国際公開第89/09788号 独国特許第69403439号 国際公開第02/051449号 国際公開第96/39202号 欧州特許第1372748号 欧州特許出願公開第1719531号
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本発明の目的は、従来技術に比して改善された特性、例えば、食作用の防止による異物反応の発現の低減、高いX線不透過性、並びに良好な取扱い易さ及び骨欠損に対する適応性を有する、新たな生分解性複合材料、とりわけ骨再建材料の提供である。
本発明は、改善された特性を有する生分解性複合材料、とりわけ骨再建材料に関する。
その目的のために、本発明は、少なくとも、無機成分(a)と、無機成分(b)と、少なくとも1つの有機成分(c)とを含有し、無機成分(a)の密度と無機成分(b)の密度とが異なることを特徴とする、生分解性複合材料を提供する。
特に、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料であって、該複合材料が少なくとも、無機成分(a)と、無機成分(b)と、少なくとも1つの有機成分(c)とを含有し、無機成分(a)が顆粒状材料であり、各顆粒が、顆粒の体積に対して30体積%〜40体積%の顆粒内多孔度を有し、無機成分(b)が顆粒状材料であり、各顆粒が、顆粒の体積に対して60体積%〜70体積%の顆粒内多孔度を有し、無機成分(a)の密度と無機成分(b)の密度とが異なることを特徴とする、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料が提供される。
「生分解性」という用語は、複合材料が、患者の体内で細胞吸収及び/又は加水分解によって分解され得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、「無機成分」という用語は、骨置換材料又は骨再建材料として好適な生体適合性の無機材料を意味する。このような材料は、従来技術において知られており、例えば、バイオセラミック、とりわけリン酸カルシウムセラミック、SiO、NaO、KO、CaO及び/又はPを含有するバイオガラス、ガラスセラミック、又はそれらの混合物が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「有機成分」という用語は、骨置換材料又は骨再建材料に使用することができる生体適合性の有機化合物又は生体適合性の有機材料を意味する。このような化合物又は材料は、従来技術において知られており、例えば、ポリエステル等の生分解性プラスチック、乳酸若しくはグリコール酸のポリマー、ゼラチン、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カルシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール、アルブミン、キトサン、ポリペプチド、タンパク質及び抗生物質が挙げられる。
好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)が、複合材料に対して2重量%〜20重量%の量で存在し、無機成分(b)が、複合材料に対して60重量%〜78重量%の量で存在し、有機成分(c)が、複合材料に対して10重量%〜20重量%の量で存在するが、但し、複合材料中に含まれるこれらの成分の総量が100重量%以下であるものとすることを特徴とする。
生分解性複合材料は、無機成分(a)の密度がおよそ0.8g/cm〜1.5g/cmであり、無機成分(b)の密度がおよそ0.5g/cm〜0.9g/cmであるが、但し、無機成分(b)の密度が無機成分(a)のものよりも小さく、密度の差が少なくとも0.1g/cmであることを更に特徴とすることができる。
生分解性複合材料は、無機成分(a)の嵩密度がおよそ0.8g/cm〜1.5g/cmであり、無機成分(b)の嵩密度がおよそ0.5g/cm〜0.9g/cmであるが、但し、無機成分(b)の嵩密度が無機成分(a)のものよりも小さく、密度の差が少なくとも0.1g/cmであることを更に特徴とすることができる。
密度の差は、無機成分(a)の密度と無機成分(b)の密度との差である(密度の差=[無機成分(a)の密度]−[無機成分(b)の密度])。
生分解性複合材料は無機成分(d)を更に含有していてもよい。好ましくは、このような複合材料は、無機成分(a)が、複合材料に対して2重量%〜20重量%の量で存在し、無機成分(b)が、複合材料に対して60重量%〜78重量%の量で存在し、無機成分(d)が、複合材料に対して0.1重量%〜28重量%の量で存在し、有機成分(c)が、複合材料に対して10重量%〜20重量%の量で存在するが、但し、複合材料中に含まれるこれらの成分の総量が100重量%以下であるものとすることを特徴とする。好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)及び/又は無機成分(b)及び/又は存在する場合、無機成分(d)が、ミクロポア及び/又はメソポア及び/又はマクロポアを含有することを特徴とすることができる。本発明によれば、10μm未満の孔がミクロポアであり、10μm〜50μmの孔がメソポアであり、50μmを超える孔がマクロポアである。好ましくは、ミクロポア、メソポア及び/又はマクロポアが相互連結していてもよい。より好ましくは、ミクロポアが、離散的なメソポア及びマクロポアが均質に分布するように導入されている、相互連結する網目構造を形成する。
より好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)、無機成分(b)及び/又は存在する場合、無機成分(d)の多孔度が、いずれの場合にも、無機成分の全体積に対して20体積%〜85体積%であることを特徴とすることができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)が、生物活性で多角形の丸みのある粒子を含有する顆粒状材料であり、該粒子が、リン酸カルシウム、及び/又はナトリウムを含有する及び/又はカリウムを含有する及び/又はカルシウムを含有する及び/又はケイ酸塩を含有する、酸性及び/又は中性及び/又はアルカリ性のバイオガラス、ガラスセラミック、又はそれらの混合物からなることを更に特徴とすることができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)及び/又は無機成分(b)及び/又は存在する場合、無機成分(d)が、生物活性で多角形の丸みのある粒子を含有する顆粒状材料であり、該粒子が、リン酸カルシウム結晶格子の結晶構造を何ら変化させることなく、リン酸カルシウムに対して0重量%〜25重量%のケイ酸ガラス添加剤を有するリン酸カルシウムからなり、リン酸カルシウムが、β−リン酸三カルシウム、好ましくは0重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム一水和物、無水リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、ウイトロカイト、リン酸八カルシウム、ヒドロキシアパタイト、オキシアパタイト、A型炭酸アパタイト、B型炭酸アパタイト、カルシウム欠乏ヒドロキシアパタイト、非晶質リン酸カルシウム、非晶質炭酸含有リン酸カルシウム、アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック、又はそれらの混合物から選択されることを更に特徴とすることができる。
さらに、生分解性複合材料は、好ましくは無機成分(a)が、1000μm〜2000μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料であり、無機成分(b)が、150μm〜500μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料であり、存在する場合、無機成分(d)が、150μm〜500μmのサイズの粒子と、無機成分(a)又は無機成分(b)の多孔度に基づきおよそ50体積%〜60体積%という全多孔度とを有する顆粒状材料であることを特徴とすることができる。
全多孔度は存在する全ての孔の合計を表す。多孔度は、顆粒内多孔度(すなわち、無機成分(a)、無機成分(b)又は無機成分(d)の1つの単一の顆粒に含まれる孔)と、顆粒間多孔度(すなわち、対象となる無機成分の顆粒同士間の隙間によって形成される孔)とに分けられる。全多孔度は、対象となる無機成分の顆粒の嵩密度及びタンピング密度(tamped densities)に基づいて求められる。対象となる無機成分の嵩密度(重量/体積)は、メスシリンダに無機成分を所定容量(体積)まで充填して、秤量により無機成分の重量を測定することによって求められる。その後、タンピング体積計の500回の往復運動によって材料をタンピングし、メスシリンダ内の体積を再度測定する。確認された密度(重量/体積)がタンピング密度を示す。タンピング体積計は市販されており、例えば、Erweka社製のタンピング体積計SVM22である。タンピング体積の測定は、EuropeanPharmacopoeia, Ph. Eur 4, 2002; Chapter 2.9.15 Bulk and tamped densitiesに従って行う。
好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)が、150μm〜500μmのサイズ及び0.9g/cm〜1.5g/cmの密度の粒子を有する顆粒状材料であり、無機成分(b)が、1000μm〜2000μmのサイズ及び0.6g/cm〜0.8g/cmの密度の粒子を有する顆粒状材料であることを特徴とすることができる。
顆粒状無機生体材料は通常、様々な粒径範囲で入手可能である。例えば、バイオセラミックの比較的大きい破片の粉砕、及び篩いカスケードを用いて篩い分けることによるその後の分離によって、特定の粒径(顆粒直径)の粒子を手に入れることができる。篩分けには、商用篩分け機、例えばFritsch Analysette 3振動篩分け機を利用することができる。特定サイズ(粒径)の粒子を有する顆粒状材料は、既定のメッシュサイズ(平均値)、例えば0.15mm、0.25mm、0.5mm、1mm、2mm、4mmの好適な試験篩いを(DIN4197に従って)用いることによって得ることができる。例えば、150μm〜500μmのサイズの粒子は、初めにメッシュサイズ0.5mm(500μm)の試験篩いを用いてバイオセラミックを篩い分けた後、篩いを通過した材料(500μm以下の粒子)を、メッシュサイズ0.15mm(150μm)の試験篩いを用いて篩い分けることによって手に入れることができ、残分(篩い上の残留物)は、150μm〜500μmのサイズを有する粒子となるのに対し、篩いを通過した粒子は150μm以下のサイズを有する。篩分け後、個々の画分を秤量することによって、それらの分布を求める。
好ましくは、無機成分(a)が、無機成分の単一の粒子の体積に対して、30体積%〜40体積%、好ましくは35体積%の顆粒内多孔度(すなわち、単一の顆粒(粒子)に含まれる全てのミクロポア、メソポア及び/又はマクロポアの合計)を有する。
好ましくは、無機成分(b)が、無機成分の単一の粒子の体積に対して、60体積%〜70体積%、好ましくは60体積%の顆粒内多孔度を有する。
好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)が、一次粒子が少なくとも10μmのd50値を有する顆粒状材料であることを特徴とすることができる。d50値はレーザ光散乱によって求められる。その目的のために、対応する製品が市販されており、例えば、NeNeレーザ(波長632.8nm、レーザ出力4mW、レーザクラスIIIB)を有するFritsch Analysette 22レーザ粒子分粒機であり、粒径分布はFraunhofer理論又はMie理論に従って算出される。
「一次粒子」は、焼結により凝集して顆粒を形成する無機成分の出発粒子であると認識され、顆粒は、一次粒子が互いに堅く結合する一次粒子の凝集体である。
無機成分(a)、無機成分(b)及び無機成分(d)の顆粒(顆粒状材料の粒子)の粒径は、150μm〜4000μmとすることができる。好ましくは、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)の顆粒状材料は、63μm未満である一次粒子が焼結したもので構成され得る。本発明によれば、63μm未満でかつ少なくとも10μmのd50値の一次粒子の使用が好ましい。
好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)が、いずれの場合にも、β−リン酸三カルシウムに対して0重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤、又はβ−リン酸三カルシウムに対して0重量%〜100重量%のアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤、とりわけCaKNa(POを有する純相β−リン酸三カルシウムで構成される顆粒状材料であることを特徴とすることができる。
特に好ましくは、生分解性複合材料は、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)が、いずれの場合にも、β−リン酸三カルシウムに対して0重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成される顆粒状材料、又は(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミックに対して)1重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有するアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック、とりわけSiでドープされたCaKNa(POで構成される顆粒状材料であることを特徴とすることができる。
β−リン酸三カルシウムに対して0重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成される顆粒状材料は、構成成分Mについて以下に記載されるように調製することができる。
(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミックに対して)1重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜5重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有するアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミックで構成される顆粒状材料は、構成成分Nについて以下に記載されるように調製することができる。
さらに、生分解性複合材料は、少なくとも1つの有機成分(c)が、ゼラチン、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カルシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール、アルブミン、キトサン、有機的に加工されたか若しくは脱灰された同種骨若しくは異種骨、合成ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、骨形成タンパク質、又はそれらの組合せから選択されることを特徴とすることができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、少なくとも1つの有機成分(c)のコラーゲンが天然コラーゲン及び/又は再生(renatured)コラーゲンであることを特徴とすることができる。
さらに、生分解性複合材料は、好ましくは少なくとも1つの有機成分(c)のコラーゲンが、動物由来、好ましくはブタ又はウシ由来のものであることを特徴とすることができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、少なくとも1つの有機成分(c)のコラーゲンが、I型コラーゲン、II型コラーゲン若しくはIII型コラーゲン、又はそれらの組合せであることを特徴とすることができる。
さらに、生分解性複合材料は、少なくとも1つの有機成分(c)の骨形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP9、BMP10、BMP11、BMP12、BMP14、BMP15、BMP16、IGF、TGF、PDGF、GDF1、GDF3、GDF5、GDF6、GDF7、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、又はそれらの組合せから選択されることを特徴とすることができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、少なくとも1つの有機成分(c)が、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)を封入し、及び/又は、無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)の孔中に入れられ、これらの孔を塞ぐことを特徴とすることができる。
さらに、生分解性複合材料は、少なくとも1つの有機成分(c)と無機成分(a)、無機成分(b)及び存在する場合、無機成分(d)とが架橋していることを特徴とすることができる。
生分解性複合材料は、添加剤として、複合材料の孔中及び/又は表面上に、(i)改質セルロース、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せから選択されるヒドロゲル形成物質の水溶液、及び/又は(ii)少なくとも1つの抗菌物質、創傷治癒促進物質、骨成長促進物質、及び/又は凝固阻害物質を含む更なる成分を含有することを更に特徴とすることができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、複合材料の密度が、0.1g/cm〜2g/cm、好ましくは0.2g/cm〜0.4g/cmであることを特徴とすることができる。「複合材料の密度」は、メスシリンダに複合材料を所定容量まで充填して、秤量により複合材料の重量を確認することによって求められる嵩密度(重量/体積)を表す。
好ましくは、生分解性複合材料は、複合材料の比表面積が、0.1m/g〜2m/g、好ましくは0.2m/g〜0.4m/gであることを特徴とすることができる。比表面積は、Brunauer Emmett and Teller(BET)に従ってガス吸着法を用いて求められる。
好ましくは、生分解性複合材料は、複合材料の密度と比表面積との比率が、0.1〜3、好ましくは0.5〜0.7又は1.5〜2.0であることを特徴とすることができる。
生分解性複合材料は、好ましくは複合材料の燃焼分析に従い、密度と体積収縮との比率が、0.1〜1.0、好ましくは0.2〜0.3又は0.5〜0.7であることを更に特徴とすることができる。燃焼分析では、複合材料を、空気中で30分超(最大2時間)800℃で「燃やす」。体積収縮は、燃焼前後に水置換法を用いてサンプルの体積を測定することによって確認される。燃焼分析前の体積と燃焼分析後の体積との差を用いて、体積収縮を確認する。
生分解性複合材料は、標準的な幾何学形状、好ましくは矩形、平行六面体、円柱形若しくは立方体の形状で、又は骨欠損形状、好ましくは寛骨臼の中空形状若しくは抜歯窩の円錐形状で存在することができる。
好ましくは、生分解性複合材料は、無菌状態とすることができる。
本発明によれば、生分解性複合材料はまた上述の特性のあらゆる組合せを含み、好ましい特性の組合せが特に好ましい。
本発明は更に本発明による複合材料を製造する方法であって、
(S1)少なくとも1つの有機成分(c)を含水溶液に添加する工程であって、懸濁液を形成する工程と、
(S2)工程(S1)による懸濁液に、無機成分(a)と、無機成分(b)と、存在する場合、無機成分(d)と、任意に架橋剤とを添加するとともに、これらの成分を混合する工程であって、溶液を形成する工程と、
(S3)工程(S2)による溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させる工程であって、複合材料を形成する工程と、
を含む、方法に関する。
好ましくは、本発明による方法は、工程(S3)において、凍結乾燥後に更に、複合材料を、80℃〜120℃で0.25時間〜48時間熱処理にかけることを特徴とすることができる。
さらに、本発明による方法は、架橋剤として、有機酸、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は有機酸の水溶液若しくはアルコール溶液、又は、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、n−ブチル酸、イソブチル酸、ペンタン酸(吉草酸)、n−吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル酪酸、ピバル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、D−乳酸、L−乳酸及びそれらのラセミ体、β−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシ吉草酸、β−ヒドロキシ吉草酸、γ−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシマロン酸(タルトロン酸)、D−ヒドロキシコハク酸(リンゴ酸)、L−ヒドロキシコハク酸及びそれらのラセミ体、鏡像異性的に純粋なジヒドロキシコハク酸(酒石酸)及びそれらのラセミ体(ラセミ酸)、プロペン酸(アクリル酸)、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、メソシュウ酸、アセトンジカルボン酸、オキサロ酢酸、アコニット酸、トリカルバリル酸、アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ゲニピン、グルコース、フルクトース、マルトース、デキストロース、サッカロース、又はそれらの組合せの水溶液若しくはアルコール溶液を、工程(S1)による懸濁液に添加することを特徴とすることができる。
好ましくは、本発明による方法は、工程(S2)による溶液を、ガスの導入によって又は機械的操作によって発泡させ、発泡溶液を用いて工程(3)を行い、凍結乾燥又は熱処理の前後いずれかに複合材料の成形を行うことを特徴とすることができる。
別段の指示がない限り、本明細書中に含まれる量及び重量パーセント(重量%)は全て、複合材料の全重量に関するものである。
連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の本発明による生分解性複合材料を、
(i)少なくとも1つの有機成分(c)を含水溶液に添加することであって、懸濁液を形成することと、
(ii)(i)による懸濁液に、無機成分(a)として、1000μm〜2000μmのサイズ及び0.8g/cm〜1.5g/cmの嵩密度の粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(b)として、150μm〜500μmのサイズ及び0.8g/cm〜1.5g/cmの嵩密度の粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(d)として、150μm〜500μmのサイズ及び0.8g/cm〜1.5g/cmの嵩密度の粒子を有する顆粒状材料と、任意に架橋剤とを添加するとともに、これらの成分を混合することであって、溶液を形成することと、
(iii)(ii)による溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させることであって、複合材料を形成することと、
によって製造することができる。
好ましくは、工程(ii)において、酢酸を架橋剤として使用する。
無機成分(a)、無機成分(b)及び無機成分(d)としては、純相β−リン酸三カルシウムが特に適している。
有機成分(c)としては、ブタコラーゲン、好ましくはブタ1型コラーゲン若しくはブタ3型コラーゲン、又はそれらの混合物が特に適している。
さらに、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の本発明による生分解性複合材料を、
(i)ブタコラーゲンを含水溶液に添加することであって、懸濁液を形成することと、
(ii)(i)による懸濁液に、無機成分(a)として、β−リン酸三カルシウムに対して2重量%〜10重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成され、1000μm〜2000μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(b)として、β−リン酸三カルシウムに対して2重量%〜10重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成され、150μm〜500μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、架橋剤として酢酸とを添加するとともに、これらの成分を混合することであって、溶液を形成することと、
(iii)(ii)による溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させることであって、複合材料を形成することと、
によって製造することができる。
さらに、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の本発明による生分解性複合材料を、
(i)ブタコラーゲンを含水溶液に添加することであって、懸濁液を形成することと、
(ii)(i)による懸濁液に、無機成分(a)として、(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤に対して)1重量%〜5重量%のケイ素でドープされるアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤で構成され、1000μm〜2000μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(b)として、(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤に対して)1重量%〜5重量%のケイ素でドープされるアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤で構成され、150μm〜500μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、架橋剤として酢酸とを添加するとともに、これらの成分を混合することであって、溶液を形成することと、
(iii)(ii)による溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させることであって、複合材料を形成することと、
によって製造することができる。
新規な生分解性複合材料の利点は、上に述べたように、実施形態において、モデル化されるか、混練されるか又は元の形状に戻すことができる、骨再建又は骨置換用の可撓性材料が提供されることである。したがって、本発明による複合材料は、著しい取扱い易さを示し、対象となる骨欠損に合わせて調整することができる。本発明による複合材料は、生体適合性かつ骨結合性である、すなわち、新たに形成される骨のためのガイドウェイを形成する。さらに、本発明による複合材料の成分は全て生体によって吸収され得る、すなわち、細胞による分解又は加水分解を受けることができる。
特有の利点は、本発明による複合材料が、より高いX線不透過性のために移植位置で生物学的環境と区別され得ることから、治癒プロセスを放射線によってモニタリングすることができることである。
本発明による複合材料の更なる利点は、使用される成分の滞留時間の違いにある。滞留時間とは、材料が100%吸収されるまでに生体内に留まる時間の長さである。少なくとも1つの有機成分(c)の滞留時間は、無機成分(a)、無機成分(b)及び適用可能であれば、無機成分(d)のものよりも短い。理想的には、無機成分が、比較的ゆっくりと成長する骨に3ヶ月〜6ヶ月かけて完全に置換されるのに対し、有機成分はわずか3週間〜8週間の滞留時間を有する。調製法によって、有機成分を例えば架橋してもよく、これによって、3週間〜8週間の有機成分の滞留時間を制御可能に調整することが可能となる。有機成分の阻害効果によって、無機成分の再結晶化、例えばリン酸カルシウムの相転移が起こらないことが確実なものとなる。
さらに、本発明による複合材料は、特定の適用手段を用いた適用に限定されず、汎用、すなわち、医療分野、とりわけ歯科医療分野及び形成外科分野で一般的なあらゆる適用手段、例えば、スパチュラ、メス、鉗子、刷毛、ナイフ、又は射出システム若しくはカートリッジシステム等に適する。
本発明による複合材料は、止血性(haemostatic (haemostyptic) properties)を有しかつ本発明による複合材料に血管(血管形成)及び組織をもたらす、すなわち血管及び結合組織が骨治癒の早期段階で本発明による複合材料中へ成長する連通孔基本構造をする。血管は、細胞及び初期組織コンパートメントに、本発明による複合材料内で酸素及び栄養分を供給することを可能とする。十分に寸法安定性の結合組織構造が存在するまでに、有機成分は完全に吸収される。本発明による複合材料は、骨の成長を促進させる内因性の局所的な骨によって置換され、そのプレースホルダー機能の結果として、より速く成長する結合組織の内部成長を防止する。
本発明による複合材料の更なる利点は、その機械的に非常に安定な構造である。この構造は、本発明による複合材料の多孔度を増大させて、その生物活性を向上させることができる。さらに、本発明による複合材料の構造は、有機酸による長時間の処理後にのみ材料が攻撃されるか又は分解するように安定化されている。本発明による0時間〜6時間の酸の作用は、相安定性にも一次粒子のサイズにも影響を及ぼさない。6時間作用させた後にのみ、一次粒子のサイズの認識可能な低減が起こるが、これは依然として、食作用を起こす臨界閾値を下回るものでない。
本発明による複合材料の特別な利点は、創傷治癒の問題が比較的起こりにくいことである。例えば、本発明による複合材料の孔は、抗生物質による全身処置を免れる病原体が初期に材料に侵入することができないように、移植のときには塞がれていることが好ましい。孔にコラーゲンを充填する場合、好ましければ、抗生物質を開いたスポンジ様のコラーゲン構造に通すことも可能である。さらに、移植後の創傷治癒の急性期には、マクロファゴサイトーシス活性の増大が常に観測される。このような急性炎症反応の結果として、可溶性無機バイオセラミックが攻撃される可能性があり、これによって、小さい副次的な粒子への崩壊がもたらされる。これらの小さい副次的な粒子は次に、更なる食作用反応を引き起こし、それに応じて、無菌性異物反応のリスクが大いに増大するおそれがある。本発明による複合材料は機械的に非常に安定な構造を有するため、このようなプロセスは回避される。移植後の初期における早発性の粒子崩壊に対する更なるセーフガードは、有機成分による無機成分の好ましい完全な封入によってもたらされる。本発明による複合材料の表面構造は一様であるため、とりわけ有機成分が無機成分を完全に封入すれば、特に生体適合性となる。
市販の骨置換材料との本発明による複合材料の比較用X線画像である。A:0.2g/cmの密度を有する本発明によるコラーゲン/TCP複合体、B:0.4g/cmの密度を有する本発明によるコラーゲン/TCP複合体、C:VITOSS Foam Pack(低密度)、D:VITOSS Foam Strip(高密度)。本発明による複合材料の性質は、市販品の場合よりも一様であるため、より生体適合性である。さらに、顆粒状粒子は、それらの密度差から更に顕著なものとなり、その結果、X線不透過性が高くなり、本材料の骨環境は、X線画像でより容易に見ることができる。 A:150μm〜500μm及びB:500μm〜1000μmのセラミックの粒径を示す、本発明による2つのゼラチン/セラミック複合材料の透過中のX線画像である。高いX線不透化度及び一様な表面構造を確認することができる。 酢酸による処理前後の本発明によるコラーゲン/TCP複合体の粉末X線ディフラクトグラムである。PDFファイル番号55−898は、バーチャートの形で、参照用に純相β−リン酸三カルシウムを示す。非晶質のハローがコラーゲンの反射によって生ずる。リン酸カルシウムの相純度が酢酸の作用による影響を受けないことが分かる。 図4 有機成分としてコラーゲンを有する本発明による複合材料の一実施形態のセラミック表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。セラミックの多孔質構造がコラーゲンによって覆われているため、コラーゲンが孔を塞ぎ、またコラーゲン繊維が無機成分の顆粒を架橋させることが分かるであろう。
実施例に基づいて本発明を以下で説明する。
本発明による複合材料の調製のために、構成成分A、B、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、O、P、Q及びRを準備する。これらの構成成分は以下の通りである:
構成成分A:99%の純相β−リン酸三カルシウム、粒状、嵩密度1.1±0.1g/cm及び粒径63μm未満(d50=15±5μm)。
構成成分B:75±5重量%のSiOと、9±3重量%のMgOと、15±5重量%のNaOとからなる生体吸収性焼結ガラス。かかるガラスは、欧州特許出願第03090348(公開1413321)号及び欧州特許出願第03090349(公開1413322)号の出願番号の特許に記載されている。
構成成分C:下記元素組成を有する化学式CaKNa(POの急速吸収性のガラスセラミック:23±2重量% Ca、11.5±2重量% K、6.5±2重量% Na、55±2重量% PO、2.5±1重量% Mg。この種類のガラスセラミックは、欧州特許出願第03/090348(公開1413321)号及び欧州特許出願第03/090349(公開1413322)号の出願番号の特許に記載されている。
構成成分D:注入を目的とする水。
構成成分E:10μm未満の粒径を有する炭酸水素アンモニウム。
構成成分F:10μm〜50μmの粒径を有する炭酸水素アンモニウム。
構成成分G:50μm〜500μmの粒径を有する炭酸水素アンモニウム。
構成成分H:構成成分Aが、回転運動を行う皿形造粒機上に構成成分Dとともに断続的に噴霧されるため、雪だるま式に膨らんでいく。1000℃における5時間の焼結操作、及びその後の篩分け後に、球状顆粒が、およそ30%〜40%の多孔度及び約1.2g/cmの密度を有する150μm〜5000μmの画分で形成された。粉末X線回折によって純相β−リン酸三カルシウムが確認される。測定ガスとしてクリプトンを用いたBET法によって測定した比表面積は0.1m/g〜0.15m/gの範囲の値を示した。
構成成分I:構成成分Aを、10重量%の構成成分E、20重量%の構成成分F及び10重量%の構成成分Gと均質混合させ、冷間静水圧加圧にかける。80℃における12時間の昇華プロセス及びその後の1000℃における5時間の焼結操作後に、粉砕及び篩分けを行う。その後の1000℃における5時間の焼結操作によって、150μm〜8000μmのサイズの顆粒が得られ、これは、約65%の多孔度及び0.8g/cmの嵩密度を有し、粉末X線回折によれば純相である。孔分布は離散的である、換言すると、ミクロポア、すなわち10μm未満の孔のみが互いに相互連結している。メソポア(10μm〜50μm)及びマクロポア(50μm超)は、相互連結するミクロポア網目構造中に離散的に分布しており、ミクロポアを介して血液及び体液にアクセス可能である。粉末X線回折によって純相β−リン酸三カルシウムが確認される。測定ガスとしてクリプトンを用いるBET法を用いた測定によって、0.15m/g〜0.2m/gの比表面積が判明した。
構成成分K:Schwartzwalder−Somers法に従って製造される、45ポアズパーインチ(pores per inch)(ppi、1000μmの孔径に相当)の孔径分布を有する網状ポリウレタンスポンジ。
構成成分L:Schwartzwalder−Somers法に従って製造される、80ポアズパーインチ(ppi、500μmの孔径に相当)の孔径分布を有する網状ポリウレタンスポンジ。
構成成分M:構成成分Aを構成成分Dとともにスラリーとし、5重量%の構成成分Bを添加し、この混合物を細かく磨砕した結果、2μm〜5μmの粒径分布(d50)を有するチキソトロープスラリーが得られる。スラリーの半分を構成成分K中に混練させ、半分を構成成分L中に混練させる。1000℃における5時間の焼結後、残留物がないようにPUフォームを完全に燃焼が完了すると、400μm(出発構成成分K)及び250μm(出発構成成分L)の孔径を有する緻密に焼結されたセラミックが残る。同じ条件下における粉砕、篩分け及び更なる焼結によって、80%の全多孔度及びおよそ0.6g/cmの嵩密度を有し、いずれの場合にも、孔直径が各半分について言及される、150μm〜8000μmの粒径の顆粒が得られる。粉末X線回折によって純相β−リン酸三カルシウムが確認される。
構成成分N:構成成分Cを構成成分Dとともにスラリーとし、5重量%の構成成分Bを添加し、この混合物を細かく磨砕した結果、2μm〜5μmの粒径分布(d50)を有するチキソトロープスラリーが得られる。スラリーの半分を構成成分K中に混練させ、半分を構成成分L中に混練させる。1000℃における5時間の焼結後、残留物がないようにPUフォームを完全に燃焼が完了すると、400μm(出発構成成分K)及び250μm(出発構成成分L)の孔径を有する緻密に焼結されたセラミックが残る。同じ条件下における粉砕、篩分け及び更なる焼結によって、80%の全多孔度及びおよそ0.6g/cmの嵩密度を有し、いずれの場合にも、孔直径が各半分について言及される、150μm〜8000μmの粒径の顆粒が得られる。粉末X線回折によって、相KNaCa(POに対応することが確認される(PDF番号51−579)。
構成成分O:制御条件下で飼育されたブタの組織から得られる、主に1型のブタコラーゲン。本材料は「食用に適する」ものに指定されている。ブタ組織は制御環境条件下で加工される。コラーゲンは高純度に精製される。調製プロセスの残渣はほんのわずかしか存在しないため、毒性効果は考慮しない。
構成成分P:100%酢酸
構成成分Q:制御条件下で飼育されたブタの組織から得られるブタゼラチン。本材料は「食用に適する」ものに指定されている。ブタ組織は制御環境条件下で加工される。
構成成分R:ゲニピン
実施例1
構成成分Iの粒子画分1000μm〜2000μmを篩分けによって分離し、その5.6g分をそれぞれ、20mlの構成成分Dに懸濁させ、これに74μlの構成成分Pを添加する。0、1、3、6及び23時間後に、材料を濾過、洗浄及び乾燥させた。その後、粒子を洗浄、濾過、乾燥させて、レーザ散乱装置(Fritsch Analysette)を用いて粒径について試験し、走査型電子顕微鏡を用いて表面の完全性について試験し、粉末X線回折により相純度について試験した。表1は、酢酸の作用下においた種々の時間後のリン酸三カルシウム粉末のd10、d50及びd90の値を示す。
表1から分かるように、6時間後だけが、粒径のかなりの低減を示し、d10値によって表される微粉画分は、より粗い画分の粒状崩壊よりも大きな分解を受ける。したがって、比較的大きい表面積を有する小さい粒子の表面エッチングの方が、粒界エッチングよりも影響が大きいとされる。23時間後でも、微粉画分は、実質的に食作用性範囲の臨界閾値を下回らなかったため、長時間の酸処理後であっても、骨又は組織における構成成分Iの移植によって生じる過剰な異物反応のリスクの増大を無視することが可能である。
相純度に関する粉末X線回折の結果を図3に示す。図3から分かるように、酢酸の作用は相純度にも影響がないため、長時間の酸処理後に、骨又は組織における構成成分Iの移植によって生じる過剰な異物反応のリスクの増大、及び非吸収性のリン酸カルシウム相への形質転換によって生じる吸収性の低減の両方を無視することが可能である。
実施例2
16.5gの構成成分Oを3.5mlの構成成分Dに添加し、コロイドミルを用いて懸濁させる。構成成分Iの粒子画分1000μm〜2000μmを篩分けによって分離し、5.6gを懸濁液に添加した。74μlの構成成分Pの添加後、この材料を室温で撹拌する。0、30、120及び165分後に、酸を中和し、混合物をモールドに注ぎ入れ、凍結乾燥させる。粉末X線回折を用いて、酸の作用時間がリン酸カルシウムの相安定性に影響を及ぼしたかどうかを試験する。結果から、酸の作用によって材料の相安定性に何ら影響がなかったことが示される。
実施例3
顆粒状画分150μm〜500μmを篩分けによって構成成分Hから分離する。画分150μm〜500μm及び1000μm〜2000μmを篩分けによって構成成分Iから分離する。これらの成分を表2による様々な比率で混合させる。190gの構成成分Oを1000mlの構成成分Dに懸濁させ、コロイドミルを用いて磨砕する。760gの顆粒状混合物を添加して、混合物を均質混合させる。10mlの構成成分Bの添加後、混合物を中和し、正方形の高級鋼製モールドに注ぎ入れ、凍結乾燥させる。凍結乾燥手法(低速又は高速)に応じて、0.2g/ml又は0.4g/mlの密度を有する複合材料を得ることが可能である。表2は、種々の混合物についての情報、並びに測定した密度及び比表面積を提示するものである。
表2:コラーゲンと比較した様々なコラーゲン/セラミック複合体の測定結果
100%純粋なコラーゲンが、5倍〜8倍大きい表面積を有することが分かる。したがって、多孔度は永久的に低減する。セラミックの孔は、コラーゲンがセラミック内に侵入して多孔質セラミック構造に浸透しているため(例えば、図4を参照されたい)、初めはアクセス可能でない。粒状リン酸カルシウムを添加することによって、密度と比表面積との比率を広範囲にわたって調節することが可能となる。
実施例4
体積収縮を求めるとともに均質性をモニタリングするために、実施例3に記載の本発明による複合材料を、密度測定を伴う焼却分析にかけ、成形体を複合体から切り出し、その体積及び重量を測定して、それから密度を確認した。その後、成形体をるつぼに移し、成形体の有機相を、残留物がないようにオーブン内で焼却させると、セラミックが残ったので、その重量及び嵩密度を冷却後に測定した。この分析に基づき、有機成分及び無機成分の体積パーセント、並びに比較的迅速な吸収後に残る体積を求めることが可能である。試験結果を表3にまとめる。本発明による複合材料との比較のために、2つの市販のコラーゲン/TCP複合体である「Vitoss Foam Strip」及び「Vitoss Foam Pack」も試験した。
表3:焼却分析による複合材料の体積収縮
0.2g/cmの密度を有する本発明による複合材料の体積収縮は、コラーゲンが燃焼完了後に70%〜80%である。0.4g/cmの密度を有する本発明による複合材料の体積収縮は、燃焼完了後に60%〜70%である。このため、密度と収縮の比率に関して、本発明による複合材料の値は0.2〜0.6である。対照的に、市販のコラーゲン/TCP複合体は、燃焼完了後にかなり小さい体積収縮、すなわち、「Vitoss Foam Strip」の場合には21%及び「Vitoss Foam Pack」の場合には53%の体積収縮を示す。本発明による複合材料は、より大きい割合のコラーゲンを含有する。移植後、有機成分(例えばコラーゲン)は、無機成分よりも骨環境に迅速に吸収される。それ故、本発明による複合材料の体積のより大きな減少は、より速い再生、あたそれに応じたより速い処置の成功にも関連付けられる。
実施例5
2.25gの構成成分Qを15mlの構成成分Dと混合して、撹拌しながら70℃に加熱する。構成成分Qが完全に溶解して、溶液を40℃に冷却したら、初めに、0.0225gの構成成分R、次いで、13.5gの構成成分Iの顆粒状画分150μm〜500μm、また1gの同じ物質の150μm未満の画分を添加する。その後、溶液を温かい状態でモールドに注ぎ入れ、冷蔵庫に入れて冷却し、架橋させる。12時間後に移植片をモールドから出すことができる。梱包後、γ線滅菌を行ってもよい。
実施例6
1.5gの構成成分Qを15mlの構成成分Dと混合して、撹拌しながら70℃に加熱する。構成成分Aが完全に溶解したら、0.0225gの構成成分R、20gの構成成分Iの150μm未満の顆粒状画分、及び2.5gの構成成分Iの顆粒状画分150μm〜500μmを添加する。その後、空気を溶液に吹き込み、発泡材料をモールドに注ぎ入れる。冷却及び架橋のために、モールドを冷蔵庫に入れる。12時間後に移植片をモールドから出すことができる。梱包後、γ線による滅菌を行ってもよい。
実施例7
顆粒状画分150μm〜500μm及び画分1000μm〜4000μmを、篩分けによって構成成分Mから分離し、1:1の比率で混合させる。190gの構成成分Oを1000mlの構成成分Dに懸濁させ、コロイドミルを用いて磨砕する。2つの顆粒状画分の混合物を添加して、この混合物を均質混合させる。10mlの構成成分Bの添加後、混合物を中和し、正方形の高級鋼製モールドに注ぎ入れ、凍結乾燥させる。凍結乾燥手法(低速又は高速)に応じて、0.2g/ml又は0.4g/mlの密度を有する複合材料を得ることが可能である。梱包後、γ線による滅菌を行ってもよい。
実施例8
顆粒状画分150μm〜500μm及び画分1000μm〜4000μmを、篩分けによって構成成分Mから分離し、1:1の比率で混合させる。190gの構成成分Oを1000mlの構成成分Dに懸濁させ、コロイドミルを用いて磨砕する。2つの顆粒状画分の混合物を添加して、この混合物を均質混合させる。10mlの構成成分Bの添加後、混合物を中和し、正方形の高級鋼製モールドに注ぎ入れ、凍結乾燥させる。凍結乾燥手法(低速又は高速)に応じて、0.2g/ml又は0.4g/mlの密度を有する複合材料を得ることが可能である。梱包後、γ線による滅菌を行ってもよい。

Claims (38)

  1. 連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料であって、該複合材料が少なくとも、無機成分(a)と、無機成分(b)と、少なくとも1つの有機成分(c)とを含有し、前記無機成分(a)が顆粒状材料であり、各顆粒が、該顆粒の体積に対して30体積%〜40体積%の顆粒内多孔度を有し、前記無機成分(b)が顆粒状材料であり、各顆粒が、該顆粒の体積に対して60体積%〜70体積%の顆粒内多孔度を有し、前記無機成分(a)の密度と前記無機成分(b)の密度とが異なることを特徴とする、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料。
  2. 前記無機成分(a)が、前記複合材料に対して2重量%〜20重量%の量で存在し、前記無機成分(b)が、前記複合材料に対して60重量%〜78重量%の量で存在し、前記有機成分(c)が、前記複合材料に対して10重量%〜20重量%の量で存在するが、但し、前記複合材料中に含まれるこれらの成分の量が100重量%以下であるものとすることを特徴とする、請求項1に記載の生分解性複合材料。
  3. 前記無機成分(a)の嵩密度がおよそ0.8g/cm〜1.5g/cmであり、前記無機成分(b)の嵩密度がおよそ0.5g/cm〜0.9g/cmであるが、但し前記無機成分(b)の嵩密度が前記無機成分(a)のものよりも小さく、密度の差が少なくとも0.1g/cmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生分解性複合材料。
  4. 無機成分(d)を更に含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  5. 前記無機成分(a)が、前記複合材料に対して2重量%〜20重量%の量で存在し、前記無機成分(b)が、前記複合材料に対して60重量%〜78重量%の量で存在し、前記無機成分(d)が、前記複合材料に対して0.1重量%〜28重量%の量で存在し、前記有機成分(c)が、前記複合材料に対して10重量%〜20重量%の量で存在するが、但し、前記複合材料中に含まれるこれらの成分の総量が100重量%以下であるものとすることを特徴とする、請求項4に記載の生分解性複合材料。
  6. 前記無機成分(a)及び/又は前記無機成分(b)及び/又は存在する場合、前記無機成分(d)が、ミクロポア及び/又はメソポア及び/又はマクロポアを含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  7. 前記ミクロポア、メソポア及び/又はマクロポアが相互連結することを特徴とする、請求項6に記載の生分解性複合材料。
  8. 前記ミクロポアが、離散的なメソポア及びマクロポアが均質に分布するように導入されている、相互連結する網目構造を形成することを特徴とする、請求項6又は7に記載の生分解性複合材料。
  9. 前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び存在する場合、前記無機成分(d)が、生物活性で多角形の丸みのある粒子を含有する顆粒状材料であり、該粒子が、リン酸カルシウム、及び/又はナトリウムを含有する及び/又はカリウムを含有する及び/又はカルシウムを含有する及び/又はケイ酸塩を含有する、酸性及び/又は中性及び/又はアルカリ性のバイオガラス、ガラスセラミック、又はそれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  10. 前記無機成分(a)及び/又は前記無機成分(b)及び/又は存在する場合、前記無機成分(d)が、生物活性で多角形の丸みのある粒子を含有する顆粒状材料であり、該粒子が、リン酸カルシウム結晶格子の結晶構造を何ら変化させることなく、リン酸カルシウムに対して0重量%〜25重量%のケイ酸ガラス添加剤を有するリン酸カルシウムからなり、該リン酸カルシウムが、β−リン酸三カルシウム、又は0重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム一水和物、無水リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、リン酸四カルシウム、ウイトロカイト、リン酸八カルシウム、ヒドロキシアパタイト、オキシアパタイト、A型炭酸アパタイト、B型炭酸アパタイト、カルシウム欠乏ヒドロキシアパタイト、非晶質リン酸カルシウム、非晶質炭酸含有リン酸カルシウム、アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック、又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  11. 前記無機成分(a)が、1000μm〜2000μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料であり、前記無機成分(b)が、150μm〜500μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料であり、存在する場合、前記無機成分(d)が、150μm〜500μmのサイズの粒子と、前記無機成分(a)又は前記無機成分(b)の多孔度に基づきおよそ50体積%〜60体積%という全多孔度とを有する顆粒状材料であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  12. 前記無機成分(a)が、150μm〜500μmのサイズ及び0.9g/cm〜1.5g/cmの密度の粒子を有する顆粒状材料であり、前記無機成分(b)が、1000μm〜4000μmのサイズ及び0.6g/cm〜0.8g/cmの密度の粒子を有する顆粒状材料であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  13. 前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び存在する場合、前記無機成分(d)が、一次粒子が少なくとも10μmのd50値を有する顆粒状材料であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  14. 前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び存在する場合、前記無機成分(d)が、いずれの場合にも、β−リン酸三カルシウムに対して0重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成される顆粒状材料、又は(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミックに対して)1重量%〜15重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有するアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミックで構成される顆粒状材料であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  15. 前記少なくとも1つの有機成分(c)が、ゼラチン、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カルシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール、アルブミン、キトサン、有機的に加工されたか若しくは脱灰された同種骨若しくは異種骨、合成ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、骨形成タンパク質、又はそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  16. 前記コラーゲンが天然コラーゲン及び/又は再生コラーゲンであることを特徴とする、請求項15に記載の生分解性複合材料。
  17. 前記コラーゲンが、動物由来、又はブタ若しくはウシ由来のものであることを特徴とする、請求項15に記載の生分解性複合材料。
  18. 前記コラーゲンが、I型コラーゲン、II型コラーゲン若しくはIII型コラーゲン、又はそれらの組合せであることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  19. 前記骨形成タンパク質が、OP−1、OP−2、OP−3、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP9、BMP10、BMP11、BMP12、BMP14、BMP15、BMP16、IGF、TGF、PDGF、GDF1、GDF3、GDF5、GDF6、GDF7、GDF8、GDF9、GDF10、GDF11、又はそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の生分解性複合材料。
  20. 前記有機成分(c)が、前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び存在する場合、前記無機成分(d)を封入し、及び/又は、前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び存在する場合、前記無機成分(d)の孔中に入り、これらの孔を塞ぐことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  21. 前記有機成分(c)と前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び存在する場合、前記無機成分(d)とが架橋していることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  22. 添加剤として、前記複合材料の孔中及び/又は表面上に、(i)改質セルロース、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、又はそれらの組合せから選択されるヒドロゲル形成物質の水溶液、及び/又は(ii)少なくとも1つの抗菌物質、創傷治癒促進物質、骨成長促進物質、及び/又は凝固阻害物質を含む更なる成分を含有することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  23. 前記複合材料の密度が、0.1g/cm〜2g/cm、又は0.2g/cm〜0.4g/cmであることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  24. 前記複合材料の比表面積が、0.1m/g〜2m/g、又は0.2m/g〜0.4m/gであることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  25. 前記複合材料の密度と比表面積との比率が、0.1〜3、又は0.5〜0.7若しくは1.5〜2.0であることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  26. 前記複合材料の燃焼分析に従い、密度と体積収縮との比率が、0.1〜1.0、又は0.2〜0.3若しくは0.5〜0.7であることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  27. 標準的な幾何学形状、若しくは矩形、平行六面体、円柱形若しくは立方体の形状で、又は骨欠損形状、若しくは寛骨臼の中空形状若しくは抜歯窩の円錐形状で存在することを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  28. 無菌状態にあることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  29. 連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料であって、
    (i)少なくとも1つの有機成分(c)を含水溶液に添加することであって、懸濁液を形成することと、
    (ii)(i)による前記懸濁液に、無機成分(a)として、1000μm〜2000μmのサイズ及び0.8g/cm〜1.5g/cmの嵩密度の粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(b)として、150μm〜500μmのサイズ及び0.8g/cm〜1.5g/cmの嵩密度の粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(d)として、150μm〜500μmのサイズ及び0.8g/cm〜1.5g/cmの嵩密度の粒子を有する顆粒状材料と、任意に架橋剤とを添加するとともに、これらの成分を混合することであって、溶液を形成することと、
    (iii)(ii)による前記溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させることであって、前記複合材料を形成することと、
    によって製造することができる、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料。
  30. 工程(ii)において、架橋剤として酢酸を使用することを特徴とする、請求項29に記載の生分解性複合材料。
  31. (ii)における前記無機成分(a)、前記無機成分(b)及び前記無機成分(d)が、いずれの場合にも、純相β−リン酸三カルシウムであることを特徴とする、請求項29又は30に記載の生分解性複合材料。
  32. (i)における前記有機成分(c)が、ブタコラーゲン、又はブタ1型コラーゲン若しくはブタ3型コラーゲン、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項29〜31のいずれか一項に記載の生分解性複合材料。
  33. 連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料であって、
    (i)ブタコラーゲンを含水溶液に添加することであって、懸濁液を形成することと、
    (ii)(i)による前記懸濁液に、無機成分(a)として、β−リン酸三カルシウムに対して2重量%〜10重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成され、1000μm〜2000μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(b)として、β−リン酸三カルシウムに対して2重量%〜10重量%のケイ酸マグネシウムナトリウムガラス添加剤を有する純相β−リン酸三カルシウムで構成され、150μm〜500μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、架橋剤として酢酸とを添加するとともに、これらの成分を混合することであって、溶液を形成することと、
    (iii)(ii)による前記溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させることであって、前記複合材料を形成することと、
    によって製造することができる、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料。
  34. 連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料であって、
    (i)ブタコラーゲンを含水溶液に添加することであって、懸濁液を形成することと、
    (ii)(i)による前記懸濁液に、無機成分(a)として、(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤に対して)1重量%〜5重量%のケイ素でドープされるアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤で構成され、1000μm〜2000μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、無機成分(b)として、(アルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤に対して)1重量%〜5重量%のケイ素でドープされるアルカリオルトリン酸カルシウムガラスセラミック添加剤で構成され、150μm〜500μmのサイズの粒子を有する顆粒状材料と、架橋剤として酢酸とを添加するとともに、これらの成分を混合することであって、溶液を形成することと、
    (iii)(ii)による前記溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させることであって、前記複合材料を形成することと、
    によって製造することができる、連通孔基本構造を有する骨再建又は骨置換用の生分解性複合材料。
  35. 請求項1〜28のいずれか一項に記載の複合材料を製造する方法であって、
    (S1)少なくとも1つの有機成分(c)を含水溶液に添加する工程であって、懸濁液を形成する工程と、
    (S2)工程(S1)による懸濁液に、無機成分(a)と、無機成分(b)と、存在する場合、無機成分(d)と、任意に架橋剤とを添加するとともに、これらの成分を混合する工程であって、溶液を形成する工程と、
    (S3)工程(S2)による前記溶液をモールドに移した後に、凍結乾燥によって混合物を乾燥させる工程であって、前記複合材料を形成する工程と、
    を含む、方法。
  36. 工程(S3)において、凍結乾燥後に更に、前記複合材料を80℃〜120℃で0.25時間〜48時間熱処理にかけることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
  37. 架橋剤として、有機酸又は、有機酸の水溶液若しくはアルコール溶液を、工程(S1)による前記懸濁液に添加する、又は
    ギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は、又は、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、n−ブチル酸、イソブチル酸、ペンタン酸(吉草酸)、n−吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル酪酸、ピバル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、D−乳酸、L−乳酸及びそれらのラセミ体、β−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシ吉草酸、β−ヒドロキシ吉草酸、γ−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシマロン酸(タルトロン酸)、D−ヒドロキシコハク酸(リンゴ酸)、L−ヒドロキシコハク酸及びそれらのラセミ体、鏡像異性的に純粋なジヒドロキシコハク酸(酒石酸)及びそれらのラセミ体(ラセミ酸)、プロペン酸(アクリル酸)、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、メソシュウ酸、アセトンジカルボン酸、オキサロ酢酸、アコニット酸、トリカルバリル酸、アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ゲニピン、グルコース、フルクトース、マルトース、デキストロース、サッカロース、又はそれらの組合せの水溶液若しくはアルコール溶液を、工程(S1)による前記懸濁液に添加することを特徴とする、請求項35又は36に記載の方法。
  38. 工程(S2)による前記溶液を、ガスの導入によって又は機械的操作によって発泡させ、発泡溶液を用いて工程(3)を行い、凍結乾燥又は熱処理の前後いずれかに前記複合材料の成形を行うことを特徴とする、請求項29〜31のいずれか一項に記載の方法。
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