JP2014511339A5 - - Google Patents

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新規なパラジウム触媒、その製造方法およびその使用
本発明は、新規なパラジウム触媒に関する。
本発明は、さらに新規な触媒の製造方法に関する。本発明は、かかる触媒を必要とする反応、とくにC−C結合(鈴木、ヘック、スティルカップリングなどのクロスカップリング反応)を形成する反応、C−ヘテロ原子(C−N、C−O、C−S、C−P、主にC−N)結合(たとえば、バックウォルド反応(Buchwald reaction))を形成する反応および水素化反応における、新規な触媒の使用にもまた関する。
最近、遷移金属錯体(最も高い頻度では、PdおよびNi錯体)によって触媒されるクロスカップリング反応は、C−C結合形成に極めて優れた役割を有し、かかる反応が、合成経路においてラジカル変化をもたらすために、本発明は、主にクロスカップリング反応に関し、以下に議論するが、この使用方法の範囲に限定するものではない。
クロスカップリング反応の全体のプロセスは、
のように記載することができ、
式中、
RおよびR’は、C−C結合で結合する有機基を示し、
Mは、触媒錯体の金属成分であり、
Lは、触媒錯体に存在するリガンドを示し、
nは、存在するリガンドの数であり、
Xは、脱離原子または基(例えば、Cl、Br、I、トリフラート、メシラート、トシラート)、および
M’は、関連するクロスカップリング反応の種類に対応する金属または金属含有基(たとえば、この金属成分は、鈴木宮浦カップリングのホウ素、薗頭カップリングの銅、Kharashカップリングのマグネシウム、檜山カップリングのシリコン、スティルカップリングのスズ、根岸カップリングの亜鉛など)である。
クロスカップリングの一般的メカニズムを図1に示す。
しかし、実用的利用の観点から、これらの方法はいくらかの欠点を有し、製薬業界の分野では、とくに公表されている。それらのうちの一つは、かなり多くの触媒量(基質に対して、1−5mol%)が必要であること、さらに触媒由来の金属不純物を冗長(tedious)で費用のかかる操作でのみ通常最終生成物から取り除くことができることである。この後者はとくに、パラジウム触媒に当てはまり、さらに、それは非常に分解しやすい。例として、式(II)
で表される、工業的にまだ頻繁に使用される触媒である、パラジウム(0)−テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)は、室温で空気中に保存したとき、短時間で、かなりの量のパラジウム黒が分離し、そのためアルゴン雰囲気下で冷蔵庫にて保存するのが望ましい。式(II)の触媒を利用するクロスカップリング反応が、不活性雰囲気下で行われるにもかかわらず、パラジウム黒の分離がまだ一般的であり、触媒のかなりの損失をもたらすばかりでなく、冗長で時間がかかり、費用がかかる精製工程もまた導入しなければならない。
本発明の目的は、クロスカップリング反応において以前に用いられていたパラジウム(0)錯体触媒よりもさらにより安定で、基質1モルに必要とされる触媒の量をかなり減らすこともまた可能とする、新規なパラジウム(0)錯体触媒を提供することであった。Pd(0)錯体から形成されるパラジウム黒が、最終状態であり、触媒分解は、著しく触媒効率全体を減少させるために、この分野では、我々の主な目的は、このパラジウム黒の形成を除くことであった。さらに、制御されない触媒の分解は、しばしば、許容することができない(unrolrelable)量のPを生成物中に浸出させる結果をもたらした。
ここでわれわれは、本発明のパラジウム(0)錯体触媒が十分に上記要件を満たし、さらに利点を有することもまた見出した。
の化合物は、顕著な安定性を有する明るいレモンイエロー色固体であり、20か月を超える間、室温で空気中に保存したサンプルですら、パラジウム黒の形成が見られなかった。
本発明の化合物を、空気中で温度Tおよび湿度を変えて保存し、サンプルを定期的に保存生成物からとり、生成物の分解を31P、19F、13CおよびHNMRスペクトルに基づき分析した。結果を以下の表にまとめる。
DSCによる本発明の化合物の評価を行ったとき、分解は、空気中、大気圧下、169.5℃で見られた。不活性雰囲気中でテストを行った際、化合物の融点は、220℃であることが見いだされた。比較のために、式(II)の非フッ素化触媒は、98℃で分解し始めた。
安定性テストを本発明の錯体触媒において行い、ここで、リガンド内でリン原子に結合している3つの3,5−(トリフルオロメチル)−フェニル基のうちの2つが保持され、3つ目は、モノ−、ジ−またはトリメトキシ−フェニルまたは2−ピリジル基で置換されていた。これらの化合物のいずれも貯蔵安定性において本発明の化合物に近づけることすらできなかった。
したがって、本発明の化合物の顕著な貯蔵安定性は、非常に驚くべき特性であり、非常に構造的に近い類似体ですら見られないものである。
ロスカップリング反応条件における本発明の触媒の安定性を調べたとき、触媒が温度上昇に対し、敏感でなく、融点より低いいかなる温度で、安定性を有することを我々は見出した。同様に、圧力の増加も触媒の安定性に影響を与えなかった。
本発明の触媒の安定性を調べたとき、以下のことが見出された。:
触媒は、工業的に関連する温度では、水中で溶解せず、同時に水中に保存すると制限されることなく安定である。
室温でアルコール中での触媒の溶解性は、アルコールの炭素原子数の増加に伴い、増加するが、触媒反応の間の試験温度(110−130℃)では、アルコール中の安定性は、アルコールの炭素原子数の増加に伴い平行に減少する。しかし、触媒の安定性は、反応混合物に水を添加するとき、増加することができ、完全に回復することすらできる。水性アルコール中では、触媒の分解は、関与するアルコールに応じて、90℃前後で始まり、110−130℃では、完了し、触媒活性は、最大となる。
しかし、分解を完全なものとする温度においてすら、パラジウム黒の分離が見られなかった。しばしば、小さい許容される分解が生じ、それは、反応混合物のわずかの色の深まり(レモンイエローから黄褐色)によって見られた。かかる状態であるときですら、完全(100%)な転換(conversion)を達成することができることは、とくに注目すべきである。比較として、式(II)の化合物を触媒として上述の状態(気圧、反応混合物の沸点)よりずっと穏やかな状態で用いたとき、パラジウム黒の形成を避けることができず、これは、明らかにかなりの触媒の分解を示す。
工業的観点から望ましくない、超大気圧の使用を避けるために、本発明の触媒の安定性もまた、低い温度で完全に溶解する、工業的に重要な極性非プロトン性有機溶媒および非極性プロトン性有機溶媒(たとえば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチル−メチル−ケトン、N−メチル−ピロリジンおよびテトラヒドロフラン)中で試験した。これらの溶媒では、反応混合物の色がときどき触媒反応中にいくぶん深くなった(レモンイエローからピンク、オレンジ、赤または褐色に変色)にもかかわらず、パラジウム黒の形成は見られなかった。上述のアルコールと同様に、これらの溶媒のいくらかは、触媒の安定性のわずかな減少を反応混合物へ水を添加することにより、かなり抑えることができる。
クロスカップリング反応における本発明の化合物の触媒活性を調べる際、我々は、同じ基質で他の同一の反応条件で、新しい触媒に必要となる量を類似の公知の触媒の量の一部まで(基質に対し、1−5mol%から基質に対し、0.1−0.3mol%まで)何ら、目立った同一の反応時間で得られる収率および転換の減少もなく、減らすことができることを見出した。同一の反応条件下、与えられた反応時間で得られる収率および転換は、減少するが、触媒量をこのレベルよりさらに低いところまで下げられたにもかかわらず、反応温度および/または反応時間を増加することによって良好に埋め合わせることができる。
例として、2−ブロモ−ピリジンと2−(4−エトキシ−3−メチル−フェニル)−2,3,2−ジオキサボロランの鈴木カップリングをメタノールおよび水の10:1 v/v混合物中で、KCO存在下、加圧、110℃で行うと、本発明の触媒0.25mol%用いるとき、100%転換が1時間以内で得られた。0.05mol%(前の値の20%)の触媒量まで下げたとき、1時間以内に得られる転換は、まだかなりの高さ(81%)を維持し、わずか0.005mol%(前の値の2%及び通常の工業的値の1000−5000分の1)の触媒を用いたとき、50%の転換が1時間以内に得られた。
ほとんどの場合、新規な触媒の低量および高い安定性のために、生成物からパラジウムの除去は必要とされず、生成物中には、全くパラジウムは残らないかまたは、残留パラジウムの量は、許容レベルを下回っている。それでも残留パラジウムを除去するときは、この目的のために通常用いられる高価な捕捉法[Pd(0)に結合するための特別な操作]を完全に省略することができる。残留のまだ錯体のパラジウムは、通常工業的に用いられる簡単な操作(クロマトグラフィー、高価でない炭素フィルターでのろ過など)で除去することができ、通常わずか1回の精製工程が必要とされる。
本発明はさらに本発明の化合物の製造方法に関する。
本発明の触媒は、パラジウム(II)塩を少なくとも4倍モル過剰のトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィンと反応させ、パラジウム(II)をパラジウム(0)にワンポット反応で生じる錯塩に還元することによって容易に製造することができる。パラジウム(II)塩として、好ましくは、二塩化パラジウムを用いることができ、好ましい、還元剤は、ヒドラジン水和物である。
錯化剤として用いるトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィンは、公知物質である[たとえばH. G. Alt, R. Baumgaertner, H. A. Brune: Chemische Berichte 119(5), 1694-1703 (1986)参照]。
本発明は、本発明の化合物のC−CおよびC−ヘテロ原子カップリング反応におけるおよび水素化のための触媒としての使用にもまた関する。我々は、本発明の化合物をこれらの反応のいずれの種類においても用いることができることを見出した。触媒として本発明の化合物を通常、より低量で、ときには、ずっとより低量で用いてもまだ反応を行うのに十分であるという違いを有するが、それらの反応の条件は、他のPd(0)錯体触媒を用いるときに適用されるのと同様であってよい。当業者の常識およびこの記載に存在する情報に基づき、当業者は、通常の方法または単純な試験を用いて、および触媒の分解特性を考慮することにより、容易に本発明の化合物を用いる反応のための最適なパラメーターを決定することができる。ここでは、そのまま製造した本発明の触媒(たとえば、Pd(dba)をPPh(CFと反応)を用いる考えは、錯体の制御されない形成および乏しい収率をもたらすPd−黒のほとんど即座の発現のために実行可能ではないことに注意しなければならない。
以下の例は、本発明をさらに詳述するものである。
例1
本発明の触媒の製造
アルゴンを室温でジメチルスルホキシド30ml内に泡立て、6.7g(0.01mol)のトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィンおよび0.355g(0.002mol)の塩化パラジウム(II)を添加した。その後混合物を110−130℃まで加熱した。錯体が形成されたことを示す、完全に透明な溶液が得られたとき、0.5g(0.01モル)のヒドラジン水和物を混合物に添加した。その後、フラスコを氷水中に浸した。分離生成物を焼結ガラスろ過器でろ過し、クロロホルムで3回洗浄した。明るいレモンイエロー色の結晶固体が90%の収率で得られた。
NMRスペクトルの特性データ
例2
溶媒としてのメタノールおよび水の10/1 v/v混合物および触媒として本発明の化合物を用いて鈴木カップリングによる2−(4−エトキシ−3−メチル−フェニル)−ピリジンの製造
一般的な処方
以下に示す本発明の触媒量、618mg(3mmol)の2−(4−エトキシ−3−メチル−フェニル)−1,3,2−ジオキサボロランおよび553mg(4mmol)の炭酸カリウムをフラスコ中で秤量した。その後フラスコをアルゴン雰囲気下に置き、10mlのメタノールおよび1mlの水を添加した。最後に、316mg(190μl、2mmol)の2−ブロモ−ピリジン(基質)を自動ピペットで導入した。フラスコを閉じ、反応混合物を以下の温度および時間で、任意に超気圧下で攪拌した。
処理のために、冷却した反応混合物をクロロホルム5mlで4回抽出し、いずれもこの方法により、ほとんど完全な量の触媒を生成物から除去した。クロロホルム抽出物は、まだジオキソボロラン不純物を含むために、さらに分離剤としてヘキサンおよび酢酸エチル3/1 v/v混合物を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。
テストシリーズ(A):
このテストシリーズでは、反応は、100℃の温度および超気圧で1時間で行った。本発明の化合物の量を変え、この変化が得られる転換への影響を分析した。
この記載において表されるすべてのケースにおいて転換値は、HNMRスペクトルまたはガスクロマトグラフィーによって決定された。結果を表1にまとめる。これらがかなり小さい規模のテスト反応であり、混合物の処理が、分離収率に影響を与えるにもかかわらず、これらのデータもまた参照のために得る。
いずれのケースにおいてもパラジウム黒の分離は見られず、反応混合物の色は、すべての反応においてレモンイエローを維持した。本発明の触媒量が0.005mol%であったとき、1時間以内で50%の転換がまだ得ることができることは、とくに注目に値する。他のテストで集められた我々の経験によれば、この転換における減少は、反応の時間および/または温度の上昇によって埋め合わせることができる。
目的を確認するために行ったテストでは、上の反応を反応混合物に触媒を添加しないように繰り返した。この方法では、我々は、生成物の形成は、非常に低量で投与される触媒に真に起因するものであって、溶媒またはフラスコに存在し得るいかなる金属不純物の影響に起因しないことを確かめるためのものであった。これらの条件下では、転換はゼロであり、本発明の触媒が0.005mol%の量においてすら活性であることが完全な確実性をもって示すことができる。
テストシリーズ(B)
このテストシリーズでは、0.25mol%の本発明の触媒を1molの2−ブロモ−ピリジン基質に用い、反応は、表2に記載の温度で1時間、必要に応じ超気圧下で行った。温度の変化が得られる転換への影響を分析した。結果を表2にまとめる。分離収率もまた参照のために得る。
反応媒体としてメタノールおよび水の10/1 v/v混合物を用いたときに、反応混合物を液体に維持することができる、90℃よりも大きい温度および超気圧下で、カップリング反応を行うのがよいことが観測結果から示される。このことは、かかる温度で触媒の優れた分解が起こるという事実によって説明することができる。パラジウム黒または他の触媒分解の兆候の形成はいかなる反応においても見ることはできなかった。比較として、110℃で行う反応において、本発明の触媒を同量の式(II)の触媒で置き換えたとき、反応混合物は、数分で黒を得た。反応が終了後、金属不純物の除去が非常に難しい。この後の反応において得られた生成物は、パラジウム黒の完全な除去の後ですら、オレンジイエロー/暗いオレンジイエローのままであったのに対し、本発明の触媒を用いたとき、雪のように白い生成物が得られた。
例2において得られたすべての生成物サンプルの物理定数は、測定精度の限界内であり、互いに良好に一致し、本物の生成物サンプルのそれぞれのパラメーターを有する。参照のために0.25mol%の本発明の触媒を用いて1時間、110℃、メタノールおよび水の10/1 v/v混合物中で製造した2−(4−エトキシ−3−メトキシ−フェニル)−ピリジンサンプルにおいて測定した物理定数を以下に示す。
例3
メタノールおよび水の10/1 v/v混合物以外の反応媒体中で、触媒として本発明の化合物を用いて鈴木カップリングによる2−(4−エトキシ−3−メチル−フェニル)−ピリジンの製造
例2に記載の鈴木カップリングを、基質として、316mg(190μl、2mmol)の2−ブロモ−ピリジンおよび全量が11mlの反応媒体を用いて繰り返し、反応条件(反応混合物の組成;触媒量;ジオキソボロラン試薬の量;反応時間;温度)は表3に示したように変化させた。転換を例2に記載したように測定した。結果を表3に示す。
水性エタノール、水性イソプロパノールおよび水性tertブタノールを用いたとき、1時間の反応時間の間、反応混合物の色が、徐々に深まり、茶色になり、深さの順は、エタノール−イソプロパノール−tertブタノールの順であった。しかし、いずれの場合においてもパラジウム黒は分離されず、転換は100%を維持し、触媒が活性を保つことを示している。ヘキサン/水、ジメトキシエタン/水およびテトラヒドロフラン/水混合物中で反応を行ったとき、反応混合物の有機溶媒成分の性質が、与えられた時間内に達成できる転換に非常に影響を与えることを見出した。これは、クロスカップリング反応での通常の現象である。さらにこれらの溶媒では、反応の間の反応混合物の色がときどき深くなるにもかかわらず、パラジウム黒の形成が全く見ることができなかった。テトラヒドロフラン/水混合物で行ったテストの結果がとくに顕著である。テストはまた極度に低量の触媒(0.002mol%;公知の触媒の必要量の約1000分の1)を用いてもまた行った。例2と同様に、この極度に低量の触媒は、テトラヒドロフラン中の貯蔵溶液として混合物中に導入した。データは、明らかに転換の減少が反応時間および/または反応温度の増加によって良好に埋め合わすことができることを示し、温度を130℃、反応時間を19時間まで上げたとき、この極度に低量の触媒ですら、100%の転換を得ることができる。例2に記載した確認テストを行ったとき(触媒なしの反応)、生成物形成は、溶媒またはフラスコ内に存在すると考えられるいかなる金属不純物の影響によらず、触媒の存在のみに起因し得るものであることを再び確認した。本発明の触媒の顕著な安定性は、非常に過酷な条件である、130℃、19時間で反応を行った後ですら、触媒分解の兆候が全く見られないという事実によって良好に示される。
例4
本発明の触媒を用いて鈴木カップリングによるピリジン誘導体の製造
一般的処方
14mgの本発明の触媒(2−ブロモ−ピリジン基質に対し、0.25mol%)、3mmolのジオキサボロラン試薬および553mg(4mmol)の炭酸カリウムをフラスコ内に秤量した。その後、フラスコをアルゴン雰囲気下に置き、10mlのメタノールおよび1mlの水を添加した。最後に316mg(190μl、2mmol)の2−ブロモ−ピリジン(基質)を自動ピペットで導入した。フラスコを閉じ、反応混合物を、液体反応混合物を維持するのに必要な圧力下で、110℃で1時間撹拌した。その後、反応混合物を例2に記載のように処理した。
用いる反応物質、得られる生成物およびそれらの物理定数および分離収率(%)を表4に示す。
すべての得られた生成物の物理定数は、測定精度の限界内にあり、真の生成物サンプルのそれぞれのパラメーターに良好に一致した。反応混合物は、16時間の反応時間後ですら、常にレモンイエローを維持した。触媒の任意の分解を示す兆候は見られなかった。
例5
本発明の触媒を用いて鈴木カップリングによるインドール誘導体の製造
一般的処方
14mgの本発明の触媒(5−ブロモ−インドール基質に対し、0.25mol%)、3mmolのジオキサボロラン試薬、553mg(4mmol)の炭酸カリウムおよび390mg(2mmol)の5−ブロモ−インドールをフラスコ内に秤量した。その後、フラスコをアルゴン雰囲気下に置き、10mlのメタノールおよび1mlの水を添加した。フラスコを閉じ、反応混合物を、液体反応混合物を維持するのに必要な圧力下で、110℃で1時間撹拌した。
得られた最終生成物のうち、5−(p−トリル)−1H−インドールのみが水に溶解する。この化合物の製造の際、反応混合物を例2に記載のように処理した。
他の(水に溶解しない)インドール化合物を含む反応混合物は、以下のように処理した。:
9mlの水を反応混合物に添加し、触媒および生成物を含有する、分離固体を焼結ガラスろ過器でろ過した。触媒を除去するために、得られた固体をクロロホルムに溶解し、クロロホルム−不溶性触媒をろ過し、ろ過物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空蒸留した。
用いる反応物質、得られる生成物およびそれらの物理定数および分離収率(%)を表5に示す。
すべての得られた生成物の物理定数は、測定精度の限界内にあり、真の生成物サンプルのそれぞれのパラメーターに良好に一致した。反応混合物中にパラジウム黒の発生は見られず、分離した触媒は、常にレモンイエローを維持した。
例6
本発明の触媒を用いて鈴木カップリングによるイソキノリン誘導体の製造
一般的処方
14mgの本発明の触媒(5−ブロモ−イソキノリン基質に対し、0.25mol%)、3mmolのジオキサボロラン試薬、553mg(4mmol)の炭酸カリウムおよび416mg(2mmol)の5−ブロモ−イソキノリンをフラスコ内に秤量した。その後、フラスコをアルゴン雰囲気下に置き、10mlのメタノールおよび1mlの水を添加した。その後、フラスコを閉じ、反応混合物を、液体反応混合物を維持するのに必要な圧力下で、110℃で1時間撹拌した。その後、生じる反応混合物を例2に記載のように処理した。
用いる反応物質、得られる生成物およびそれらの物理定数および分離収率(%)を表6に示す。
すべての得られた生成物の物理定数は、測定精度の限界内にあり、真の生成物サンプルのそれぞれのパラメーターに良好に一致した。反応混合物は、常にレモンイエローを維持し、触媒の任意の分解を示す兆候は見られなかった。
例7
本発明の触媒を用いて鈴木カップリングによるビフェニル誘導体の製造
一般的処方:
14mgの本発明の触媒(p−ブロモ−トルエン基質に対し、0.25mol%)、3mmolのジオキサボロラン試薬、553mg(4mmol)の炭酸カリウムおよび342mg(2mmol)p−ブロモ−トルエンをフラスコ内に秤量した。その後、フラスコをアルゴン雰囲気下に置き、10mlのメタノールおよび1mlの水を添加した。その後、フラスコを閉じ、反応混合物を、液体反応混合物を維持するのに必要な圧力下で、110℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物を例5に記載のように処理した。
用いる反応物質、得られる生成物およびそれらの物理定数および分離収率(%)を表7に示す。
すべての得られた生成物の物理定数は、測定精度の限界内にあり、真の生成物サンプルのそれぞれのパラメーターに良好に一致した。反応混合物は、常にレモンイエローを維持し、触媒の任意の分解を示す兆候は見られなかった。
例8
本発明の触媒を用いてヘックカップリングによるスチルベン誘導体の製造
スチルベン誘導体を以下の反応スキームに示すように、スチレンと種々の臭化アリールを反応させることによって製造した。:
一般的処方:
552mg(4mmol、2等量)のKCO、14mgの本発明の触媒(臭化アリール基質に対し算出し、0.25mol%)、312mg(0.343ml、3mmol、1.5等量)のスチレン、2mmol(1等量)の臭化アリール基質、およびメタノールおよび水の10:1混合物10mlを炉乾燥シュレンクチューブ内に入れた。反応を、表8に示すように、110℃で3時間または20時間行った。転換は、GCに反応混合物をかけることによって決定し、生成物を分離した。冷却時に混合物から沈殿したテストNo.1,2、3および5の生成物は、簡単なろ過によって単離することができ、テストNo.4、6および7の生成物は、フラッシュクロマトグラフィーによって単離した。
結果を表8にまとめる。
生じるスチルベン誘導体のNMRデータは以下である。:
(E)−3−フルオロスチルベン:
(E)−3,5−ジメチルスチルベン:
例9
本発明の触媒を用いて薗頭カップリングによるフェニルアセチレン誘導体の製造
フェニルアセチレン誘導体を以下の反応スキームに示すように、フェニルアセチレンと種々の臭化アリールを反応させることによって製造した。:
一般的処方:
276mg(2mmol、1等量)のKCO、7mgの本発明の触媒(臭化アリール基質に対し算出し、0.25mol%)、0.165ml(1.5mmol、1.5等量)のフェニルアセチレン、1mmol(1等量)の臭化アリール基質および5mlの溶媒[溶媒(a):メタノールおよび水の5:1混合物;溶媒(b):n−ブタノール;溶媒(c):グリセロール−ホルマール]を炉乾燥シュレンクチューブ内に入れた。反応を、表9に示すように、110℃で3時間または24時間行った。生成物の量は、GCに反応混合物をかけることによって決定した。
結果を表9にまとめる。
生じるフェニルアセチレン誘導体のNMRデータは以下である。:
1−メチル−4−(フェニルエチル)ベンゼン:
上の反応を、2−ブロモ−3−メチル−ブタ−2−エンを基質として用いることにより繰り返した。得られた結果を表10に示す。
生じる生成物のNMRデータは以下である。:
例10
本発明の触媒を用いてバックウォルド反応によるN−フェニル−ピペリジンの製造
224mg(2mmol)のカリウムtert−ブトキシド、70mgの本発明の触媒(ブロモベンゼン基質に対し算出し、2.5mol%)、105μl(1mmol)のブロモベンゼン、198μl(2mmol)のピペリジンおよび5mlの溶媒を炉乾燥シュレンクチューブ内に入れた。反応混合物をオイルバス上で110℃で24時間加熱し、その後、室温まで冷却し、減圧下で蒸留した。残留物を所望の生成物を得るためにシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。;
異なる溶媒で行ったテストの結果を表11にまとめる。

Claims (17)

  1. 不活性雰囲気中でDSCにより決定される融点220℃を有するパラジウム(0)トリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィン錯体。
  2. 空気中、大気圧下でDSCにより決定される分解点169.5℃を有するパラジウム(0)のトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィン錯体。
  3. 以下のNMRスペクトルによって特徴付けられる、請求項1または2に記載の錯体。
  4. 固体状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の錯体
  5. パラジウム(II)塩をトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィンと反応させ、パラジウム(II)を錯塩におけるパラジウム(0)に還元することを特徴とする、パラジウム(0)のトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィン錯体の製造方法。
  6. パラジウム(II)塩を少なくとも4倍モル過剰のトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィンと反応させる、請求項5に記載の方法。
  7. 反応を単一のポット反応で行う、請求項5または6に記載の方法。
  8. 二塩化パラジウムをパラジウム(II)塩として用いることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 還元をヒドラジン水和物で行うことを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法で製造されるパラジウム(0)のトリ−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル]−ホスフィン錯体。
  11. 請求項1〜4および10のいずれか一項に記載の錯体を含む触媒。
  12. C−CおよびC−ヘテロ原子カップリング反応におけるおよび水素化に用いられる、請求項11に記載の触媒。
  13. 反応が、C−Cクロスカップリング反応である、請求項12に記載の触媒
  14. クロスカップリング反応が、鈴木カップリング、ヘックカップリングまたは薗頭カップリングである、請求項11に記載の触媒
  15. 1モル基質の反応に用いる触媒の量が、0.25モル%以下である、請求項1114のいずれか一項に記載の触媒
  16. 反応が、C−Nカップリング反応である、請求項11に記載の触媒
  17. 反応が、バックウォルドカップリングである、請求項16に記載の触媒
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