JP2014241312A - 圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、記録ヘッド、および、画像形成装置 - Google Patents

圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、記録ヘッド、および、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動効率の低下を最小限に抑えながら、圧電素子の変位による応力が発生しても、電極材料に剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性の高い圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、記録ヘッド、および、画像形成装置を提供する。【解決手段】インクジェットヘッド10を、ノズル11を有するノズル板12と、ノズル11が連通する液室13と、この液室13が設けられたアクチュエータ基板14と、液室13に振動を伝える振動板15と、液室13内の液体を加圧する圧電素子16と、を備えて構成する。圧電素子16を、圧電体層17と、上部電極18と、下部電極19とで構成する。上部電極18に、圧電素子16の伸縮振動方向に交差する方向に延びるスリット形状の応力緩衝部20を、上部電極18が分離しないように設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電アクチュエータ、この圧電アクチュエータの製造方法、この圧電アクチュエータを備えた記録ヘッド、および、この記録ヘッドを有するプリンタ、複写装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
従来、自発分極を持つ圧電材料、あるいは分極処理を施した圧電材料を挟むように電極材料を配置し、電極材料を通じて圧電材料に駆動信号を印加することで圧電素子を逆圧電効果により変位させ、その変位をアクチュエータとして利用する様々な圧電デバイス(圧電アクチュエータ)が知られている。このような従来の圧電アクチュエータでは、自身の変位により圧電材料と電極材料との間で応力が発生し、その応力に電極材料が耐えられず、電極材料に剥離、浮き、クラック等が発生するし、電極材料として機能や、圧電アクチュエータとしての信頼性に影響を及ぼすことがあった。この電極材料への応力を緩和するため、電極材料の変更や、応力緩和層の追加、電極材料のパターン加工等の手段があるが、いずれも駆動効率が低下するという問題があった。
また、圧電体能動部の端部での剥離あるいはクラック発生を防止する目的で、フローティング電極が設けられたアクチュエータが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このフローティング電極は、圧電体能動部の端部の外側近傍に設けられ、当該圧電体能動部の端部から所定距離だけ離れ且つ当該圧電体能動部に形成された上部電極と電気的に接続されないように構成されている。
しかしながら、特許文献1に記載の従来発明では、フローティング電極設置のための面積が必要となることで、圧電体能動部上の電極面積が減少してしまう。この電極面積の減少は、圧電アクチュエータの駆動効率の低下につながるため、特許文献1でも駆動効率が低下するという問題は解消できていない。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、駆動効率の低下を最小限に抑えながら、圧電体能動部の変位による応力が発生しても、電極材料に剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性の高い圧電アクチュエータ、この圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータを備えた記録ヘッド、および、この記録ヘッドを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本願に係る圧電アクチュエータは、振動板と、振動板上に設けられた下部電極と、下部電極上に設けられた圧電体層および該圧電体層上に形成された上部電極を有し電圧の印加により伸縮振動する圧電体能動部と、下部電極または上部電極の少なくとも一方に設けられ、圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に延びる応力緩衝部と、を備え、応力緩衝部は、下部電極または上部電極が分離しないように、当該下部電極または当該上部電極を構成する電極材料を、圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に溝状に除去することにより形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、駆動効率の低下を最小限に抑えながら、圧電体能動部の変位による応力が発生しても、電極材料に剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性の高い圧電アクチュエータ、この圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータを備えた記録ヘッド、および、この記録ヘッドを備えた画像形成装置を提供することができる。
本願の実施例1に係るインクジェットヘッドの構成例を示す平面図およびこの平面図のA−A’線断面図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、アクチュエータ基板となるシリコンウェハを用意した状態を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、シリコンウェハ上に、振動板を成膜する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、振動板上に下部電極を成膜する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、下部電極上に、圧電体層を成膜する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、圧電体層上に、上部電極を成膜する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、上部電極のエッチング加工のためのレジストを塗布する写真製版工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、応力緩衝部を設けて所望の形状に加工された上部電極からレジストを除去する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、圧電体層をエッチング加工するためのレジストを塗布する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、圧電体層のエッチング加工後に、レジストを除去する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、下部電極をエッチング加工するためのレジストを塗布する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、下部電極のエッチング加工後に、レジストを除去する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、液室の開口のためのパターニング処理の工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、異方性ウエットエッチン等により液室を形成する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、液室の形成後に、レジストを除去する工程を示す概略図である。 実施例1におけるインクジェットの製造工程の一工程を示し、アクチュエータ基板にノズル板を接合して液室を閉じる工程を示す概略図である。 本願の実施例2に係るインクジェットヘッドの構成例を示す平面図およびこの平面図のB−B’線断面図である。 本願の実施例3に係るインクジェットヘッドの構成例を示す平面図およびこの平面図のC−C’線断面図である。 比較例に係るインクジェットヘッドの構成例を示す平面図およびこの平面図のD−D’線断面図である。 本願の実施例4に係るインクジェット記録装置の斜視図である。 図6のインクジェット記録装置の機構部の構成を示す断面図である。
以下、本願の圧電アクチュエータを備えた記録ヘッドとしてのインクジェットヘッドの実施例およびその比較例について、図面を参照して説明する。図1は、実施例1に係るインクジェットヘッドの平面図およびこの平面図に示すA−A’線断面図である。図2A〜図2Oは、実施例1の記録ヘッドの製造工程を示す概略図である。図3は、実施例2に係るインクジェットヘッドの平面図およびこの平面図に示すB−B’線断面図である。図4は、実施例3に係るインクジェットヘッドの平面図およびこの平面図に示すC−C’線断面図である。また、図5は、従来の圧電アクチュエータを備えた比較例に係るインクジェットヘッドの平面図およびこの平面図に示すD−D’線断面図である。図6は、実施例4のインクジェット記録装置の斜視図である。図7は、図6のインクジェット記録装置の機構部の構成を示す断面図である。
(比較例)
まず、比較例として、図5に示す従来のインクジェットヘッドの構成および問題点について説明する。図5の平面図およびD−D’線断面図に示すように、比較例のインクジェットヘッド1は、ノズル2を有するノズル板3と、ノズル2が連通する液室4と、この液室4を構成するアクチュエータ基板5と、振動板6と、振動板6上に設けられた圧電素子7と、を有して構成されている。圧電素子7は、圧電体層7aと、この圧電体層7aの両面に設けられた上部電極(第1電極)8と、下部電極(第2電極)9と、から構成されている。また、液室4は、アクチュエータ基板5により構成される隔壁5aによって、インク供給路や隣接する液室4等の他の流路と分断されている。また、振動板6と圧電素子7とにより圧電アクチュエータを構成している。
上記比較例のインクジェットヘッド1では、上部電極8と下部電極9とで、圧電体層7aを挟むようにして圧電素子7を構成している。このような圧電素子7の上部電極8と下部電極9とに、電位差を生じさせる駆動信号を印加することで、圧電体層7aを駆動させ、その駆動変位を振動板6に伝達して液室4内に満たされたインクをノズル2から飛ばす。このときの圧電素子7の振動モードをd31モードとすると、上部電極8と下部電極9に駆動信号を印加した場合、圧電素子7は長辺方向(図5の紙面上下方向)に伸縮振動を起こして撓み変形し、その変位が振動板6に伝達される。なお、上部電極8と圧電体層7aとで構成される伸縮振動を生じる部位を「圧電体能動部」と呼ぶ。
しかし、このときの圧電体能動部の伸縮振動において、圧電体層7aと上部電極8との界面、および、圧電体層7aと下部電極9との界面でせん断応力が生じる。このせん断応力により、上部電極8や下部電極9、またはその両方に剥離、浮き、クラック等が発生し、駆動効率が低下してしまうという問題があった。
この問題を回避するため、本願の圧電アクチュエータは、圧電体能動部(圧電体層)に対向する上部電極、下部電極材料のいずれか、または両方の電極に対して、電極を分離しないように、スリット形状またはラダー形状(梯子形状;断続する直線形状)溝状にパターニングしている。このスリット形状またはラダー形状にパターニングされた領域は、電極材料が除去加工されている。この領域を応力緩衝部と呼ぶ。この応力緩衝部は、電極が分離されることがないように設けられていることから、応力緩衝部を設けた上部電極、下部電極の各々の面内を同一電位に保つことができる。この構成により、圧電体能動部の伸縮振動による変位発生時の電極材料へのせん断応力が、応力緩衝部で緩衝され、剥離、浮き、クラック等の圧電体層や電極材料の応力破壊を防ぐことが可能となる。また、上部電極、下部電極の各々の面内を同一電位に保っていることから、各々の電極への接続構成も最小限に抑えられ、余計な接続応力を発生させずに圧電体能動部に駆動信号を最大限伝達することが可能となる。その結果、駆動低下を最小限に抑えながら、信頼性の高い圧電アクチュエータを得ることができる。以下、このような圧電アクチュエータを適用したインクジェットヘッドの実施例について説明する。
(実施例1)
以下、実施例1に係る圧電アクチュエータを備えた記録ヘッドとしてのインクジェットヘッドの構成を、図1を参照して説明する。この図1の平面図およびA−A’線断面図に示すように、実施例1のインクジェットヘッド10は、ノズル11を有するノズル板12と、ノズル11が連通する液室13と、この液室13が設けられたアクチュエータ基板14と、液室13に振動を伝える振動板15と、液室13内の液体(インク)を加圧する圧電素子16と、を備えて構成されている。また、インクジェットヘッド10は、この他にも、図示はしないが、液室13にインクを供給する供給路、圧電素子16の駆動を制御する駆動用IC等の駆動制御手段、各種配線等を備えている。
ノズル板12は、インク吐出用のノズル11が配列された基板であり、樹脂、金属材料等から形成されている。ノズル11は、図1に示すように、液室13と連通し、液室13内のインクを外部に吐出する。
アクチュエータ基板14は、ガラスや薄い金属板の積層体、シリコン基板等で形成されている。このアクチュエータ基板14には、液室13が設けられている。この液室13を作製する場合、エッチングを利用してアクチュエータ基板14を加工することで、隔壁14aに隔てられた液室13が形成される。
また、アクチュエータ基板14の一面側(図1の紙面下側)には、ノズル板12が接合され、液室13の開放端が閉じられている。また、アクチュエータ基板14の他面側(図1の紙面上側)は、薄膜状の振動板15が配置され、液室13の他端側が、この振動板15により閉じられている。
振動板(成膜振動板)15は、圧電素子16によって発生した力を受けて、変形変位して、液室13の容積を変化させることにより、ノズル11からインクを吐出させる。そのため、図1に示す実施例1の振動板15としては、所定の強度を有したものであることが好ましい。振動板15の材料としては、ケイ素Si、二酸化ケイ素SiO2、窒化ケイ素Si34が挙げられ、これらを用いて振動板15をCVD法(Chemical Vapor Deposition)により作製したものが挙げられる。
圧電素子16は、振動板15の、液室13を設けた側とは反対側の面に設けられている。圧電素子16は、圧電体層(圧電材料)17を、上部電極(第1電極)18と下部電極(第2電極)19とで挟んだ構造となっている。この上部電極18と下部電極19とに、電位差を生じさせる駆動信号を印加することで、圧電体層17を駆動させ、その駆動変位を振動板15に伝達して、振動板15を振動させる。この振動板15の振動により、液室13の容積を変化させて圧力を作用させる。本実施例では、このように、上部電極18、圧電体層17、および、下部電極19からなるものを圧電素子16と定義する。また、この圧電素子16と、振動板15と、を備えたものを圧電振動子と呼ぶことがあり、圧電アクチュエータは、この圧電振動子を備えて構成される。
圧電体層17は、下部電極19上に、この下部電極19よりも狭面積の長円形状を呈して形成されている。また、上部電極18は、圧電体層17上に、この圧電体層17よりもやや狭面積の長円形状を呈して形成されている。このように長円形状であることから、圧電体層17と上部電極18とは、直線状の2つの長辺(図1の紙面左右の辺)と、半円状の2つの短辺(図1の紙面上下の辺)を有してなる。
上部電極18および下部電極19の材料としては、金属または金属と酸化物とからなる材料が好ましい。具体的には、白金Pt、イリジウムIr、白金−ロジウム合金などの白金族元素、これら合金膜等が好適に挙げられる。これらの材料を用いて、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜により、上部電極18、下部電極19を形成する。また、圧電体層17としては、ジルコン酸鉛(PbTiO3)とチタン酸(PbTiO3)との固溶体であるPZTを用いるのが好ましい。圧電体層17の作成方法としては、スパッタ法もしくは、Sol−gel法を用いたスピンコーター等が好ましい。
また、実施例1の圧電素子16では、圧電体層17の伸縮振動による剥離、浮き、クラック等を防止するため、図1に示すように、上部電極18に対して、電極材料を複数のスリット形状(溝状)に除去加工して、応力緩衝部20を設けている。実施例1では、図1に示すように、上部電極18の短片向(図1の紙面左右方向)と平行な方向であって長辺方向(図1の紙面上下方向)と交差する方向、すなわち、圧電素子16(圧電体層17)の伸縮方向に交差する方向に延びる、複数本のスリット形状の応力緩衝部20(図1では3本、20a,20b,20cとする)を設けている。
この応力緩衝部20の長さ(形成幅)は、上部電極18の短辺方向の長さよりも短く形成されている。ただし、この応力緩衝部20のうち、1本目と3本目(奇数番目)の応力緩衝部20a,20cでは、その一方の端部21a,21cが、上部電極18の外周縁、すなわち、一方の長辺(図1の紙面左側)を貫いて開口するように形成されている。また、他方の端部22a,22cは、上部電極18の外周縁よりも内側、すなわち、他方の長辺(図1の紙面右側)よりも内側に位置するように形成され、上部電極18の他側を分断しないようにしている。これに対して、2本目(偶数番目)の応力緩衝部20bでは、その一方の端部21bは、上部電極18の一方の長辺よりも内側に位置するように形成され、上部電極18の一方の長辺を分断しないようにしている。また、他方の端部22bは、上部電極18の他方の長辺を貫いて開口するように形成されている。
以上のように、実施例1では、上部電極18の一方の長辺(外周縁)を貫く応力緩衝部20a,20cと、他方の長辺(外周縁)を貫く応力緩衝部20bと、が上部電極18の長手方向に交互に形成され、上部電極18が応力緩衝部20で分離されないようにしている。なお、本実施例では、応力緩衝部20を3本としているが、本願がこれに限定されることはなく、2本以下であってもよいし、4本以上であってもよい。
また、応力緩衝部20の線幅、すなわち、上部電極18の長辺方向における応力緩衝部20の幅(スリットを構成する壁面間の距離)は、1.0um以下程度とするのが好ましい。このような寸法とすることで、電極面積の消失による圧電素子16の駆動効率の低下を防止することができる。
以上のような構成のインクジェットヘッド10において、圧電素子16の上部電極18と下部電極19とに、電位差を生じさせる駆動信号を印加することで、圧電素子16を駆動させる。この駆動により、長円形状の圧電体能動部(圧電体層17と上部電極18)は長辺方向(図1の紙面上下方向)に伸縮振動(撓み変形)を起こし、その変位が振動板15に伝達される。この伸縮振動の際に生じるせん断応力により、図5に示す従来の圧電素子7では、上部電極8や下部電極9、またはその両方に剥離、浮き、クラック等が発生し、駆動効率の低下を招いていた。
これに対して、実施例1の圧電素子16では、上部電極18に、スリット形状の応力緩衝部20を設けている。そのため、圧電素子16が長辺方向に伸縮振動した際に、その伸縮に対応して応力緩衝部20であるスリットの線幅(壁面間の距離)が拡縮することで、せん断応力を緩衝することができる。そのため、上部電極18の剥離、浮き、クラック等の応力破壊を防ぐことができる。また、応力緩衝部20は、上部電極18を分離することなく形成され、応力緩衝部20の線幅も1.0um以下と小さくしているため、電極面積の消失を最小限とすることができる。そのため、上部電極18の面内を同一電位とすることができ、余計な接続応力を発生させずに、圧電体能動部に駆動信号を最大限伝達することが可能となる。このように、実施例1では、駆動低下を最小限に抑えながら、剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性の高い圧電素子16を用いることで、インクジェットヘッド10からのインクの吐出を安定して行うことができる。
以下、図2A〜図2Oを参照して、圧電素子16の製造工程を説明する。図2Aに示すように、アクチュエータ基板14としてシリコンウェハを用意する。次に、図2Bに示すように、アクチュエータ基板(シリコンウェハ)14上に、振動板15となる材料(例えば、ケイ素Si等)を成膜し、熱酸化膜を形成する。この成膜は単層でも積層でもよいが、圧電素子16の変位量に応じた膜厚、膜種とすることが好ましい。そのため、本実施例では振動板15を構成する熱酸化膜の膜厚を1.5umとする。
次に、図2Cに示すように、振動板15上に、導電材料(白金Pt)を用いて下部電極19を成膜する。本実施例では、成膜により形成されたPt膜の膜厚を100nmとする。なお、圧電素子16としての特性を向上させるため、下部電極19は、図示はしないが、異種金属による積層構造(多層構造)としてもよい。
次に、図2Dに示すように、下部電極19上に、圧電体層17を成膜する。圧電体層17の成膜方法としては、Sol−gel法によるスピンコートやスパッタ等が知られている。本実施例では、圧電体層17の膜厚を、1.5umとする。この圧電体層17上に、導電材料(白金Pt)を用いて上部電極18を成膜する(図2E)。上部電極18は、下部電極19と同様に、単層、積層構造いずれも構わないが、本実施例では、単層のPt膜とし、その膜厚を100nmとする。
次に、上部電極18をエッチング加工するため、図2Fに示す写真製版工程にて必要部位にレジスト30aを塗布する。この場合、上部電極18を形成する領域のうち、応力緩衝部20となる部分を除いた領域にレジスト30aを塗布する。なお、実施例1では、上部電極18にスリット形状の応力緩衝部20を設けるが、前述したように、電極面積消失による圧電素子16の駆動効率低下を防ぐために、スリットの線幅は1.0um以下程度と、可能な限り細くすることが望ましい。なお、レジスト30aの材料や塗布方法、および、以下で行うエッチング方法は、特に限定されず、従来公知の材料や方法で行うことができる。
次に、エッチング加工により、上部電極18を所望の形状(応力緩衝部20を設けた長円形状)に加工し、このエッチング加工後に、図2Gに示すように、レジスト30aを除去する。その後、圧電体層17をエッチング加工するため、図2Hに示すように、エッチング加工済みの上部電極18上等の必要部位に、再度写真製版工程にてレジスト30bを塗布する。そして、圧電体層17をエッチング加工した後、図2Iに示すように、レジスト30bを除去する。
次に、図2Jに示すように、下部電極19をエッチングするため、必要部位に写真製版工程にてレジスト30cを塗布する。そして、下部電極19をエッチング加工した後、レジスト30cを除去するが、この時点で、図2Kに示すように、上部電極18、圧電体層17、下部電極19からなる圧電素子16の構造が完成する。
この後、一般的な半導体プロセスである上部電極18や下部電極19への接続開口工程や、配線工程、保護膜成膜、開口工程(以上、図示を省略する)を得て、圧電素子16を駆動させる回路(図示せず)を形成する。
次に、アクチュエータ基板14を反転させ、液室13の形成面に写真製版工程にて、レジスト30dにて液室13の開口のためのパターニング処理を行う(図2L参照)。このパターニング処理後、異方性ウエットエッチングやDEEP−RIE装置にて、隔壁14aに隔てられた液室13を形成する(図2M参照)。なお、図2Mでは、レジスト30dにて液室13の開口まで連続して処理を行っている。しかし、本願がこれに限定されることはなく、レジスト30dは熱酸化膜の開口として用いた後、一旦レジスト30dの除去を行い、残存した熱酸化膜をハードマスクとして液室13の加工を行ってもよい。液室13の加工後に、不要なレジスト30dを除去する(図2N参照)。この後、図2Oに示すように、アクチュエータ基板14の液室13側に、ノズル11が形成されたノズル板12を接合して液室13の開放端を閉じることで、インクジェットヘッド10が完成する。
以上の製造工程において、図2F、図2Gに示すように、上部電極18のエッチング加工を行う工程(写真製版工程)にて、上部電極18の不要な電極材料を除去すると同時に、スリット形状等の応力緩衝部20を作成することができる。この応力緩衝部20は、圧電素子16が伸縮振動する際のせん断応力を緩衝させる応力緩衝パターンである。したがって、実施例1の圧電アクチュエータでは、せん断応力緩衝のための緩衝膜を追加する工程や、緩衝膜の除去工程が不要となり、材料コストと製造工程を最小限に抑えながら、良好な応力緩衝を図ることが可能となる。
また、図2Hに示すように、圧電体層17の形成時には、上部電極18およびスリット形状の応力緩衝部20もレジスト30bで保護される。そのため、応力緩衝部20から露出した圧電体層17が、エッチング剤に晒されることもなく、圧電体層17の膜減りがほとんど発生しない。そのため、圧電体層17は、上部電極18の応力緩衝部20が設けられた領域に対応する領域の厚みと、応力緩衝部20を設けていない領域に対応する領域の厚みとが、ほぼ同一(均一)に形成される。したがって、圧電体層17自体の膜消失による駆動効率の低下を防ぐことが可能となる。
また、スリット形状の応力緩衝部20は、上部電極18を分離しないように加工することで、上部電極18は面内を同一電位に保つことが可能となり、信号線接続に必要な接続開口数を最小限に抑えることができる。これにより、接続開口による応力による欠陥も最小限に抑えることができる。本実施例のように、上部電極18にスリット形状の応力緩衝部20をパターン加工することで、駆動信号の印加にて発生する圧電素子16の伸縮によるせん断応力を、応力緩衝部20で緩衝することができる。そのため、上部電極18の剥離、浮き、クラック等を起こしにくくなる。また、応力緩衝部20の上部電極18へのエッチング加工は、上述のように半導体プロセスで高精度かつ微細加工が可能である。そのため、応力緩衝部20の線幅(溝幅)を最小限にして、スリット形状の応力緩衝部20を加工することによる電極面積の損失も最小限に抑えることが可能となる。したがって、電極面積低下に伴う圧電素子16の駆動効率低下も最小限にとどめることが可能となる。
(実施例2)
次に、本願の実施例2のインクジェットヘッドについて、図3を参照して説明する。図3に示す実施例2のインクジェットヘッド110は、応力緩衝部120の形状を変えたこと以外は、実施例1のインクジェットヘッド10と同様の基本構成を有している。そのため、実施例1と同様の構成については、詳細な説明は省略する。また、製造方法(製造工程)についても、実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。以降の実施例3についても同様である。
図3の平面図およびB−B’線断面図に示すように、実施例2のインクジェットヘッド110は、ノズル111を有するノズル板112と、ノズル111が連通する液室113と、この液室113が設けられ、液室113を他の流路から分断する隔壁114aを有するアクチュエータ基板114と、液室113に振動を伝える振動板115と、液室113内の液体を加圧する圧電素子116と、等を備えて構成されている。
実施例2の圧電素子116は、図3に示すように、圧電体層117と、これを挟む上部電極(第1電極)118と下部電極(第2電極)119と、を有して構成されている。実施例2でも、上部電極118に3本のスリット形状の応力緩衝部120(120a,120b,120c)を設けているが、これらの形成長さがは、上部電極118の短辺方向の長さよりも短く形成されている。さらに、応力緩衝部120a,120b,120cの一方の端部121a,121b,121cおよび他方の端部122a,122b,122cは、上部電極118の両方の長辺よりも内側に位置し、この両方の長辺(外周縁)を貫いて上部電極118を分離することのないように形成されている。
以上のような応力緩衝部120を設けた実施例2の圧電素子116でも、電圧の印加により長辺方向に伸縮振動した際に、応力緩衝部120によってせん断応力を緩衝することができる。また、電極面積の消失を最小限として、上部電極118の面内を同電位に保つことができる。したがって、実施例2では、駆動低下を最小限に抑えながら、剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性が高い圧電アクチュエータを実現することができる。また、この圧電アクチュエータを備えることで、インクの吐出安定性に優れたインクジェットヘッド110を実現することができる。
(実施例3)
次に、本願の実施例3のインクジェットヘッドについて、図4を参照して説明する。図4に示す実施例3のインクジェットヘッド210は、応力緩衝部220の形状を変えたこと以外は、実施例1のインクジェットヘッド10と同様の基本構成を有している。
図4に示すように、実施例3のインクジェットヘッド210は、ノズル211を有するノズル板212と、ノズル211が連通する液室213と、この液室213が設けられ、液室213を他の流路から分断する隔壁214aを有するアクチュエータ基板214と、液室213に振動を伝える振動板215と、液室213内の液体を加圧する圧電素子216と、等を備えて構成されている。
実施例3の圧電素子216は、図4の平面図およびC−C’線断面図に示すように、圧電体層217と、これを挟む上部電極(第1電極)218と下部電極(第2電極)219と、を有して構成されている。上記実施例1、実施例2では、スリット形状の応力緩衝部20,120を設けているが、実施例3では、図4に示すように、上部電極218に、断続的な直線形状、すなわち、破線状の3本の応力緩衝部220(220a,220b,220c)を設けている。これらの応力緩衝部220は、それぞれ短尺な3つの除去片224が上部電極218の短辺方向に3つ直列に並んで構成されている。
また、応力緩衝部220a,220bは、3つの除去片224を含む全体の形成長さが、上部電極218の短辺方向の長さよりも短く形成されている。さらに、応力緩衝部220a,220bの一方の端部221a,221bおよび他方の端部222a,222bは、上部電極218の両方の長辺よりも内側に位置し、この両方の長辺(外周縁)を貫いて分離することのないように形成されている。また、応力緩衝部220cは、3つの除去片224を含む全体の形成長さが、上部電極218の短辺方向の長さと同一に形成されている。そのため、応力緩衝部220cの一方の端部221cと他方の端部222cとは、上部電極218の長辺を貫いて開口している。ただし、応力緩衝部220cは断続的な直線形状であるため、各除去片224の間には上部電極218の電極材料が存在し、応力緩衝部220cにより、上部電極218が電気的に分離されることはない。
以上のような応力緩衝部220を設けた実施例3の圧電素子216でも、電圧の印加により長辺方向に伸縮振動した際に、応力緩衝部220によってせん断応力を緩衝することができる。また、スリット形状に比べ、除去される電極材料が少なく、電極面積の消失をより小さくすることができる。したがって、実施例3では、駆動低下を最小限に抑えながら、剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性が高い圧電アクチュエータを実現することができる。また、この圧電素子216を備えることで、インクの吐出安定性に優れたインクジェットヘッド210を実現することができる。
以上、実施例1および実施例2では、スリット形状の応力緩衝部20,120を設け、実施例3では、断続的な直線形状の応力緩衝部220を設けているが、本願がこれらの実施例に限定されることはない。実施例1〜実施例3のスリット形状の応力緩衝部20,120と断続的な直線形状の応力緩衝部220とを組み合わせてもよい。また、実施例1では一方の端部21または他方の端部22が開口したスリット形状の応力緩衝部20を設け、実施例2では、一方の端部121および他方の端部122が開口していないスリット形状の応力緩衝部120を設けている。また、実施例3では、一方の端部221および他方の端部222が開口していない断続的な直線形状の応力緩衝部220(220a,220b)と、一方の端部221および他方の端部222が開口している断続的な直線形状の応力緩衝部220(220c)とを設けている。本願が、これらの実施例に限定されることはなく、これら4種類の応力緩衝部20,120,220を適宜組み合わせてもよいし、圧電体能動部の伸縮振動を緩衝可能であれば、他の形状であってもよい。
また、上記実施例1〜実施例3では、上部電極に応力緩衝部を設けているが、本願がこれらの実施例に限定されることはなく、例えば、応力緩衝部を、下部電極に設けてもよいし、上部電極と下部電極の両方に設けてもよい。いずれの場合でも、電圧の印加により長辺方向に伸縮振動した際に、応力緩衝部によってせん断応力を緩衝することができる。その結果、駆動低下を最小限に抑えながら、剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、信頼性が高い圧電アクチュエータを得ることができる。また、下部電極に応力緩衝部を設ける場合には、応力緩衝部のスリットの空間内に圧電体層材料等が入り込まず空間が維持されるように、下部電極と圧電体層とを構成するのが好ましい。この構成により、応力緩衝部によるせん断応力の緩衝が良好に行われ、下部電極の剥離等の抑制効果を向上させることができる。さらに、圧電体層では、下部電極に応力緩衝部が設けられた領域に対応する領域の厚みと、応力緩衝部を設けていない領域に対応する領域の厚みとを、ほぼ同一(均一)に形成することができる。そのため、圧電素子の駆動効率を良好に保つことができる。
(実施例4)
次に、実施例1のインクジェットヘッド10を搭載した画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について、図6、図7を参照して説明する。図6、図7に示すように、実施例4のインクジェット記録装置50は、内部に、主走査方向に移動可能なキャリッジ51、及びキャリッジ51に搭載されたインクカートリッジ52を備えている。また、これらキャリッジ51やインクカートリッジ52は印字機構部53に設けられている。
インクジェット記録装置50の下部には、図7に示すように、前方側から多数枚の記録紙54を積載可能な給紙カセット55が抜き差し自在に装着されている。そして、給紙カセット55から給送される記録紙54を取り込み、印字機構部53によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ56に排紙する。
印字機構部53は、図示しない左右の側板に支持された主ガイドロッド57と従ガイドロッド58とで、キャリッジ51を主走査方向に摺動自在に保持している。このキャリッジ51には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド10が設けられている。
インクジェットヘッド10は、複数のインク吐出口(ノズル孔)が主走査方向と交差する方向に配列され、インク吐出方向を下方に向けて装着されている。また、キャリッジ51には、インクジェットヘッド10に各色のインクを供給するための、各インクカートリッジ52が交換可能に装着されている。
インクカートリッジ52には、その上方に大気と連通する大気口が、下方にインクジェットヘッド10へインクを供給する供給口がそれぞれ設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有している。そして、多孔質体の毛管力により、インクジェットヘッド10へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
ここで、キャリッジ51は、後方側(用紙搬送方向下流側)が主ガイドロッド57で摺動自在に支持され、前方側(用紙搬送方向上流側)が従ガイドロッド58で摺動自在に支持されている。このキャリッジ51を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ59で回転駆動される駆動プーリ60と従動プーリ61との間にタイミングベルト62が設けられている。そして、このタイミングベルト62はキャリッジ51に固定されており、主走査モータ59の正逆回転によりキャリッジ51が往復駆動される。
一方、給紙カセット55にセットした記録紙54をインクジェットヘッド10の下方側に搬送するために、給紙カセット55から記録紙54を分離給装する給紙ローラ64およびフリクションパッド65と、記録紙54を案内するガイド部材66とが設けられている。さらに、給紙された記録紙54を反転させて搬送する搬送ローラ67と、この搬送ローラ67の周面に押し付けられる搬送コロ68及び搬送ローラ67からの記録紙54の送り出し角度を規定する先端コロ69とが設けられている。搬送ローラ67は副走査モータ70によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ51の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ67から送り出された記録紙54を、インクジェットヘッド10の下方側で案内する印写受け部材71が設けられている。この印写受け部材71の用紙搬送方向下流側には、記録紙54を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ72、拍車73が設けられている。さらに、記録紙54を排紙トレイ56に送り出す排紙ローラ74および拍車75と、排紙経路を形成するガイド部材76,77とが設けられている。
記録時には、キャリッジ51を移動させながら画像信号に応じてインクジェットヘッド10を駆動することにより、停止している記録紙54にインクを吐出して1行分を記録し、記録紙54を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、記録紙54の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ記録紙54を排紙する。
また、キャリッジ51の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、インクジェットヘッド10の吐出不良を回復するための回復装置78が配置されている。回復装置78は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ51は、印字待機中には、この回復装置78側に移動されてキャッピング手段でインクジェットヘッド10をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でインクジェットヘッド10の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクと共に気泡等を吸い出す。また、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、装置下部に設置された廃インク溜(図示省略)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、実施例4のインクジェット記録装置50においては、実施例1で説明した信頼性の高い圧電アクチュエータを備えたインクジェットヘッド10を搭載している。そのため、圧電体能動部の駆動効率の低下を最小限に抑えながら、圧電体能動部の変位による応力が発生しても、電極材料に剥離、浮き、クラック等が発生しにくく、安定したインク吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
10,110,210 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
15,115,215 振動板(圧電アクチュエータ)
16,116,216 圧電素子(圧電アクチュエータ)
17,117,217 圧電体層(圧電体能動部)
18,118,218 上部電極(圧電体能動部)
19,119,219 下部電極
20,20a,20b,20c,120,120a,120b,120c,220,220a,220b,220c 応力緩衝部
50 インクジェット記録装置(画像形成装置)
特開平11−115184号公報

Claims (8)

  1. 振動板と、
    前記振動板上に設けられた下部電極と、
    前記下部電極上に設けられた圧電体層および該圧電体層上に形成された上部電極を有し電圧の印加により伸縮振動する圧電体能動部と、
    前記下部電極または前記上部電極の少なくとも一方に設けられ、前記圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に延びる応力緩衝部と、を備え、
    前記応力緩衝部は、前記下部電極または前記上部電極が分離しないように、当該下部電極または当該上部電極を構成する電極材料を、前記圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に溝状に除去することにより形成されたことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記応力緩衝部は、前記圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に延びるスリット形状に形成され、当該スリット形状の応力緩衝部の少なくとも一方の端部は、前記下部電極または前記上部電極の外周縁よりも内側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記応力緩衝部は、前記圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に延びる断続的な直線形状であることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記圧電体層は、前記上部電極または前記下部電極の前記応力緩衝部が設けられた領域に対応する領域の厚みと、前記応力緩衝部が設けられていない領域に対応する領域の厚みとが、同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータ。
  5. 振動板と、下部電極と、圧電体膜および上部電極からなる圧電体能動部と、を備えた圧電アクチュエータの製造方法であって、
    前記振動板上に、前記下部電極、前記圧電体層、前記上部電極を順次形成するとともに、前記下部電極、前記圧電体層、前記上部電極を所定の形状にパターニングする工程を、少なくとも有し、
    前記下部電極または前記上部電極の少なくとも一方が、前記圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に延びる溝状の応力緩衝部を備え、
    前記下部電極または前記上部電極の少なくとも一方をパターニングするときに、前記下部電極または前記上部電極に、前記圧電体能動部の伸縮振動方向に交差する方向に延びる前記応力緩衝部のパターンを形成し、該パターンを設けた領域以外の電極材料を除去することにより、前記上部電極または前記下部電極をパターニングすると同時に、前記上部電極または前記下部電極に、前記応力緩衝部を形成することを特徴とする圧電素子の製造方法。
  6. 前記応力緩衝部は、前記上部電極に少なくとも設けられ、
    前記振動板上に、前記下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上に、前記圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層上に、前記上部電極を形成する工程と、
    前記上部電極上に、写真製版を用いて前記上部電極および前記応力緩衝部のレジストパターンを形成する工程と、
    前記上部電極の前記レジストパターンが形成された領域以外の前記上部電極を除去することにより、前記上部電極をパターニングするとともに、前記上部電極に、前記圧電体能動部の伸縮振動方向と交差する方向に延びる溝状の前記応力緩衝部を形成する工程と、
    前記応力緩衝部が形成された前記上部電極上に、写真製版を用いて前記圧電体層のレジストパターンを形成し、前記レジストパターンが形成された領域以外の前記圧電体層を除去することにより、前記圧電体層をパターニングする工程と、
    前記圧電体層および前記上部電極上に、前記下部電極のレジストパターンを形成し、前記レジストパターンが形成された領域以外の前記下部電極を除去することにより、前記下部電極をパターニングする工程と、を有することを特徴とする請求項5に記載の圧電素子の製造方法。
  7. 請求項1〜4に記載の圧電アクチュエータを有することを特徴とする記録ヘッド。
  8. 請求項7に記載の記録ヘッドを有することを特徴とする画像形成装置。
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