JP2014240476A - 重合体及び重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
非特許文献5に開示された技術は、ラクトンモノマーの単独重合反応速度に対する他の副次的な反応の速度が高かったため、ラクトンモノマーを単独重合することができなかった。また、非特許文献5には、ラクトンモノマーを単独重合する試みについて記載があるが、成功したという報告はない。
また、非特許文献5に開示されたポリマーは、例えば下記構造単位を有するポリマーであり、ラクトン環を構成する炭素原子中、主鎖の一部を構成する炭素原子以外の炭素原子の少なくとも1つが主鎖の原子と架橋していない。
非特許文献6には、ラクトンモノマーを単独重合することについては何ら開示されていない。また、非特許文献6に開示されたポリマーは、ラクトン環を有していない。
本発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、ラクトンモノマーを単独重合して得られる重合体を提供することを目的とする。
具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは、<2>〜<18>により、上記課題は解決された。
<1>炭素原子を3つ以上含むラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)の少なくとも1つが主鎖の一部を構成し、ラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)中、主鎖の一部を構成する炭素原子以外の炭素原子の少なくとも1つが主鎖の原子と架橋している構造単位を含む、重合体。
<2>下記一般式(I−a)で表される構造単位を含む、<1>に記載の重合体。
<3>下記一般式(I)で表される構造単位を含む、<1>に記載の重合体。
<4>更に、下記一般式(II−a)で表される構造単位及び/又は下記一般式(III−a)で表される構造単位を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の重合体。
<5>更に、下記一般式(II)で表される構造単位及び/又は下記一般式(III)で表される構造単位を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の重合体。
<6>下記一般式(I−a)で表される構造単位、下記一般式(II−a)及び下記一般式(III−a)で表される構造単位を含む、<1>に記載の重合体。
<7>下記一般式(I)で表される構造単位、下記一般式(II)及び下記一般式(III)で表される構造単位を含む、<1>に記載の重合体。
<8>下記一般式(I−a)で表される構造単位、下記一般式(II−a)で表される構造単位及び下記一般式(III−a)で表される構造単位のうち少なくとも1種を含む、重合体。
<9>下記一般式(IV−a)で表される化合物を単独でラジカル重合させてなる重合体。
<10>下記一般式(IV)で表される化合物を単独でラジカル重合させてなる重合体。
<11>熱重量測定(TG)により、10℃/分で昇温させたときの熱分解温度(Td)が220℃以上である、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の重合体。
<12>
<1>〜<11>のいずれかに記載の重合体を含むワニス。
<13><1>〜<11>のいずれかに記載の重合体を含む成形体。
<14>下記一般式(IV−a)で表される化合物を含む原料モノマーを、モノマーの単独重合反応速度に対する他の反応速度が低下するように重合させる工程を含む、重合体の製造方法。
<15>下記一般式(IV)で表される化合物を含む原料モノマーを、モノマーの単独重合反応速度に対する他の反応速度が低下するように重合させる工程を含む、重合体の製造方法。
<16>原料モノマーを、少なくとも一種のブレンステッド酸もしくはルイス酸存在下でラジカル重合させる工程、又は、乳化重合させる工程を含む、<14>又は<15>に記載の重合体の製造方法。
<17>1、3−ジエン化合物と二酸化炭素とからワンポットで合成する、重合体の製造方法。
<18>重合体が、<1>〜<11>のいずれかに記載の重合体である、<14>〜<17>のいずれかに記載の重合体の製造方法。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。
また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本明細書中において、ラクトンモノマーを単独重合して得られる重合体とは、完全に単独重合体のもののみをいうのではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他のモノマーを微量に含んだ重合体であってもよい。
本発明の重合体は、炭素原子を3つ以上含むラクトン環(以下、単にラクトン環ともいう。)を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)の少なくとも1つが主鎖の一部を構成し、前記ラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)中、前記主鎖の一部を構成する炭素原子以外の炭素原子の少なくとも1つが前記主鎖の原子と架橋している構造単位を含む。
本発明の重合体は、炭素原子を3つ以上含むラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)の少なくとも1つが主鎖の一部を構成している。また、本発明の重合体は、前記ラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)中、前記主鎖の一部を構成する炭素原子以外の炭素原子(以下、主鎖の一部を構成しない炭素原子ともいう。)の少なくとも1つが前記主鎖の原子と架橋している構造単位を含む。
このように、炭素原子を3つ以上含むラクトン環を構成する炭素原子のうち、−C(=O)O−のCを除く少なくとも1つの炭素原子が主鎖の一部を構成し、かつ、炭素原子を3つ以上含むラクトン環を構成する炭素原子のうち、主鎖の一部を構成しない炭素原子の少なくとも1つが前記主鎖の原子と架橋していることにより、重合体の耐熱性を向上させることができる。すなわち、本発明の重合体は、剛直な構造に由来して熱安定性が高い。
本発明の重合体は、ラクトン環が炭素原子を3つ以上含んでいればよく、炭素原子を4つ以上含んでいることが好ましく、炭素原子を4つ又は5つ含んでいることがより好ましい。また、炭素原子を3つ以上含むラクトン環は、例えば、5〜8員環を形成するラクトン環が好ましく、5又は6員環を形成するラクトン構造がより好ましく、6員環を形成するラクトン構造がさらに好ましい。
また、本発明で用いられる炭素原子を3つ以上含むラクトン環は、他の環構造が縮環して多環構造を形成していてもよいが、ラクトン環に他の環構造が縮環していないことが好ましい。
本発明の重合体における架橋とは、前記ラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)中、主鎖の一部を構成しない炭素原子の少なくとも1つが、主鎖の原子と結合されていればよく、主鎖の一部を構成しない炭素原子の少なくとも1つが、主鎖の炭素原子と直接結合していることが好ましい。
本発明の重合体は、炭素原子を3つ以上含むラクトン環を構成する炭素原子のうち、主鎖の一部を構成しない炭素原子の少なくとも1つが主鎖の原子と架橋していればよく、特に、前記ラクトン環を構成する炭素原子のうち、主鎖の一部を構成しない炭素原子の1つだけが主鎖の原子と架橋していることが好ましい。
また、本発明の重合体は、前記ラクトン環を構成する炭素原子中、主鎖の一部を構成しない炭素原子のうち、少なくとも、−C(=O)O−のOに隣接した炭素原子が主鎖の炭素原子と架橋していることが好ましく、特に、前記ラクトン環を構成する炭素原子中、−C(=O)O−のOに直接結合した炭素原子のみが主鎖の炭素原子と架橋していることが好ましい。
本発明の重合体は、熱重量測定(TG)により、40〜500℃の温度範囲を、温度10℃/分で昇温させ、重量減少が5%に達したときの熱分解温度(Td)が220℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。
本発明の重合体の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜800,000であることが好ましく、6,000〜600,000であることがより好ましく、9,000〜400,000であることがさらに好ましく、9,000〜200,000であることが特に好ましい。
本発明の重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を前記範囲内とすることで、良好な熱特性が発現すると共にポリマーに加工適性を付与し得る。また、本発明の重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を前記範囲内とすることで、合成反応に著しい高温、長時間等の過酷な条件を不要にすることができる。
本発明の重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、SEC(Size Exclusion Chromatography)法により測定した。測定は、下記の条件(A)、(B)のいずれかにて行った。
GPC装置:HLC8220GPC((株)東ソー製)
カラム:TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ−2000、TSKgel SuperHZ−4000(いずれも(株)東ソー製)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35ml/min
カラム温度:40℃
Mn、Mw、は、標準ポリスチレン試料に対して調整した。
<条件(B)>
GPC装置:HLC8220GPC((株)東ソー製)
検出器:Viscotek TDA302((株)Viscotek製)
カラム:TSKgel SupermultiporeHZ−N、二本連結((株)東ソー製)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35ml/min
カラム温度:40℃
Mn、Mw、はOmniSecプログラム((株)Viscotek製)により、RIチャートから計算された比屈折率増分に基づく。
本発明の重合体は、下記一般式(I−a)で表される構造単位を含むことが好ましく、実質的に下記一般式(I−a)で表される構造単位のみを含んでいてもよい。ここで、実質的に下記一般式(I)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中、下記一般式(I−a)で表される構造単位の含有量が99質量%以上であることをいい、好ましくは100質量%であることをいう。
一般式(I−a)中、R1〜R10はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、一価の有機基又は水素原子であることが好ましい。
一価の有機基としては、炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明の重合体は、一般式(I−a)中、R1〜R10がそれぞれ独立に、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基又は水素原子であることがより好ましい。特に、R3〜R6が水素原子であることが好ましい。
一般式(I)中、R1〜R5はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、一価の有機基又は水素原子であることが好ましい。
一価の有機基としては、炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明の重合体は、一般式(I)中、R1〜R5がそれぞれ独立に、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基又は水素原子であることがより好ましい。
特に、本発明の重合体は、一般式(I)中、R1及びR2が炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基又は水素原子であり、R3〜R5がそれぞれ水素原子であることが好ましい。
例えば、本発明の重合体は、下記一般式(II−1)で表される構造単位を含んでいてもよい。
一般式(II−1)中、Xは、任意の構造単位を表し、特に制限はないが、ラジカル重合可能なモノマーより成る構造単位であることが好ましい。ラジカル重合可能なモノマーとしては、例えばラジカル重合性モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、2−エチルヘキシル、ラウリル等のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族不飽和炭化水素、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役脂肪族ジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルが挙げられる。
本発明の重合体中の全構造単位中、下記一般式(II−1)で表される構造単位の含有量は、0〜10モル%とすることもでき、0〜5モル%とすることもでき、1モル%以下とすることもできる。
本発明の重合体は、一般式(I−a)で表される構造単位に加えて、更に、下記一般式(II−a)で表される構造単位及び/又は下記一般式(III−a)で表される構造単位を含んでいてもよい。
一般式(II−a)中、R1〜R10はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、一般式(I−a)中のR1〜R10と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(III−a)中、R1〜R10はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、前記一般式(I−a)中のR1〜R10と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(II)中、R1〜R5はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、前記一般式(I)中のR1〜R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。一般式(III)中、R1〜R5はそれぞれ独立に、一価の有機基又は水素原子を表し、前記一般式(I)中のR1〜R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の重合体において、一般式(II−a)または一般式(II)で表される構造単位の含有量は、本発明の重合体中の全構造単位中、0〜99.9モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体において、一般式(III−a)または一般式(III)で表される構造単位の含有量は、0〜95モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体中の全構造単位中、一般式(II−1)で表される構造単位の含有量は、0〜10モル%とすることもでき、0〜5モル%とすることもでき、1モル%以下とすることもできる。
<<重合体2−1>>
本発明の重合体は、下記一般式(A0)で表される3つの構造単位を含むことが好ましく、実質的に下記一般式(A0)で表される3つの構造単位のみを含んでいることが好ましい。ここで、実質的に下記一般式(A0)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中の全構造単位の量を100モル%としたときに、下記一般式(A0)で表される構造単位中のl、m及びnの合計が99モル%以上であることをいい、好ましくは100モル%であることをいう。
一般式(A0)
一般式(A0)中、R2は、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
l、m及びnの合計を100モル%としたときに、lは、0.1〜100モル%とすることもでき、1〜100モル%とすることもでき、5〜100モル%とすることもできる。
l、m及びnの合計を100モル%としたときに、mは、0〜99.9モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
l、m及びnの合計を100モル%としたときに、nは、0〜95モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体は、下記一般式(A1)で表される5つの構造単位を含むことも好ましく、実質的に下記一般式(A1)で表される5つの構造単位のみを含んでいることが好ましい。ここで、実質的に下記一般式(A1)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中の全構造単位の量を100モル%としたときに、下記一般式(A1)で表される構造単位中のl1、l2、m1、m2及びn1合計が99モル%以上であることをいい、好ましくは100モル%であることをいう。
一般式(A1)
一般式(A1)中、R2、R3及びR6は、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
l1、l2、m1、m2及びn1の合計を100モル%としたときに、l1およびl2は、それぞれ独立に0〜100モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもできる。
l1、l2、m1、m2及びn1の合計を100モル%としたときに、m1およびm2は、それぞれ独立に0〜99.9モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
l1、l2、m1、m2及びn1の合計を100モル%としたときに、n1は、0〜95モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体は、下記一般式(A2)で表される3つの構造単位を含むことも好ましく、実質的に下記一般式(A2)で表される3つの構造単位のみを含んでいることが好ましい。ここで、実質的に下記一般式(A2)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中の全構造単位の量を100モル%としたときに、下記一般式(A2)で表される構造単位中のl3、m3及びn2の合計が99モル%以上であることをいい、好ましくは100モル%であることをいう。
一般式(A2)
一般式(A2)中、R2及びR4は、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(A2)中、l3、m3及びn2は、各構造単位のモル比を表し、上述した一般式(A0)中のm、l及びnと同義である。
本発明の重合体は、下記一般式(A3)で表される2つの構造単位を含むことも好ましく、実質的に下記一般式(A3)で表される2つの構造単位のみを含んでいることが好ましい。ここで、実質的に下記一般式(A3)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中の全構造単位の量を100モル%としたときに、下記一般式(A2)で表される構造単位中のl4及びm4の合計が99モル%以上であることをいい、好ましくは100モル%であることをいう。
一般式(A3)
一般式(A3)中、R2及びR6は、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
m4及びl4の合計を100モル%としたときに、l4は、0.1〜100モル%とすることもでき、1〜100モル%とすることもでき、5〜100モル%とすることもできる。
m4及びl4の合計を100モル%としたときに、m4は、0〜99.9モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体は、下記一般式(A4)で表される2つの構造単位を含むことも好ましく、実質的に下記一般式(A4)で表される2つの構造単位のみを含んでいることが好ましい。ここで、実質的に下記一般式(A4)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中の全構造単位の量を100モル%としたときに、下記一般式(A4)で表される構造単位中のl5及びm5の合計が99モル%以上であることをいい、好ましくは100モル%であることをいう。
一般式(A4)
一般式(A4)中、R1、R2及びR6は、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
l5及びm5の合計を100モル%としたときに、l5は、0.1〜100モル%とすることもでき、1〜100モル%とすることもでき、5〜100モル%とすることもできる。
l5及びm5の合計を100モル%としたときに、m5は、0〜99.9モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体は、一般式(I−a)で表される構造単位を含まずに、一般式(II−a)で表される構造単位及び一般式(III−a)で表される構造単位のうち少なくとも1種を含んでいてもよい。
本発明の重合体において、一般式(II−a)で表される構造単位の含有量は、本発明の重合体中の全構造単位中、0〜99.9モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体において、一般式(III−a)で表される構造単位の含有量は、0〜95モル%とすることもでき、0〜99モル%とすることもでき、0〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体中の全構造単位中、一般式(II−1)で表される構造単位の含有量は、0〜10モル%とすることもでき、0〜5モル%とすることもでき、1モル%以下とすることもできる。
以下、第3の実施の形態の重合体のより詳細な例について説明する。
本発明の重合体は、実質的に下記一般式(A5)で表される3つの構造単位のみを含んでいてもよい。ここで、実質的に下記一般式(A5)で表される構造単位のみとは、本発明の重合体中の全構造単位の量を100モル%としたときに、下記一般式(A5)で表される構造単位中のm1、m2及びn1の合計が99モル%以上であることをいい、好ましくは100モル%であることをいう。
一般式(A5)
一般式(A5)中、R2、R3及びR6は、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
m1、m2、及びn1の合計を100モル%としたときに、m1およびm2は、それぞれ独立に0〜99.9モル%とすることもでき、1〜99モル%とすることもでき、1〜95モル%とすることもできる。
m1、m2及びn1の合計を100モル%としたときに、n1は、0〜95モル%とすることもでき、1〜99モル%とすることもでき、1〜95モル%とすることもできる。
本発明の重合体の製造方法は、下記一般式(IV−a)で表される化合物を含む原料モノマーを、原料モノマーの単独重合反応速度に対する他の反応速度が低下するように重合させる工程を含む。
一般式(IV−a)中、R1〜R10はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、上記一般式(I−a)中のR1〜R10と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ独立に、一価の有機基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、前記一般式(I)中のR1〜R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。
この理由は推定であるが、本発明の重合体を製造する際の重合反応の停止要因としては、不純物であるラクトンの安定異性体の存在による阻害と、連鎖移動による重合停止反応(degradative chain transfer)による停止が挙げられ、これらの停止要因のうち少なくともいずれか一方を抑制することで、前記一般式(IV−a)で表される化合物を含む原料モノマーを単独で重合させることが可能となり、その結果、上述した本発明の重合体を得ることができると考えられる。
本発明の重合体の製造方法によって得られる重合体は、原料モノマーとして、例えば、ブタジエンと二酸化炭素から直接得ることができる前記一般式(IV−a)で表される化合物を重合させて得ることができる。ここで、ブタジエンは、植物原料からの合成も可能である。そのため、本発明の重合体の製造方法によって得られる重合体は、化石燃料に依存しないプラスチック材料として用いることができ、環境保全の観点からも好ましい。一般式(IV−a)で表される化合物は、例えば、J. Organomet. Chem. 1983, 255, 263-268を参照して合成することができる。
本発明の重合体の製造方法は、前記一般式(IV−a)で表される化合物を含む原料モノマーを、乳化重合させる工程を含むことが好ましい。このような製造方法により、上述した本発明の重合体を製造する際の重合反応の停止要因のうち、不純物であるラクトンの安定異性体の存在による阻害を効果的に抑制することができ、上述した本発明の重合体、特に前記一般式(I−a)で表される構造単位のみを含む重合体を効率的に得ることができる。
本発明の重合体の製造方法における重合反応は、前記一般式(IV−a)で表される化合物の安定異性体(例えばラクトンの安定異性体)の存在により、収量及び分子量が大きく低下する。上述した本発明の重合体を得るためには、原料モノマー(前記一般式(IV−a)で表される化合物を含む原料モノマー)の純度を高めることが好ましいが、原料モノマーの単独重合反応速度に対する他の反応速度を低下させることも好ましい。
ラクトンの安定異性体は、熱異性化によって重合中に生成することが知られている。一方、本発明の重合体の製造方法における重合反応では、原料モノマーの反応性(重合活性)が非常に低く、比較的高温(例えば、80℃を超える温度)を必要とする。
本発明の重合体の製造方法で用いる乳化重合は、ラジカル重合の中でも特に重合反応速度の面で優れている。本発明の重合体の製造方法は、前記一般式(IV−a)で表される化合物を含む原料モノマーを乳化重合させる工程を含むことにより、原料モノマーの単独重合反応速度に対する原料モノマーの熱異性化の相対的な速度を低下させ、安定異性体の生成を効果的に抑えて高い転化率を達成でき、その結果、上述した本発明の重合体が得られると考えられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩を用いることができる。その他に用いることができる界面活性剤としては、例えば、特開2008−33148号公報の段落0038〜0050を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の重合体の乳化重合に使用する界面活性剤の量は、原料モノマーの合計を100モルとしたとき、0.1〜100モルが好ましく、1〜10モルがより好ましい。
本発明の重合体の乳化重合に使用する重合開始剤の量は、原料モノマーの合計を100モルとしたとき、0.01〜10モルが好ましく、0.1〜5モルがより好ましい。
具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、又はt−ブチルアルコールなどの直鎖あるいは分岐の脂肪族低級アルコール、ベンジルアルコール、又は2−フェニルエタノールなどの芳香族アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG200、又はPEG400などのポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、又はヘキシレングリコールなどの多価アルコール及びエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテル誘導体、アルコールのアルキルエーテル誘導体、アセトンなどの低級ケトンを挙げることができる。
これらの中でもメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、ジプロピレングリコール、又は3−メチル−3−メトキシブタノールが好ましく、メタノールが特に好ましい。
本発明の重合体の乳化重合時において水系溶媒は、乳化重合の溶媒総量に対して0〜50質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
本発明の重合体の製造方法は、前記一般式(IV−a)で表される化合物を、少なくとも一種のブレンステッド酸もしくはルイス酸存在下でラジカル重合させる工程を含むことが好ましい。このような製造方法により、上述した本発明の重合体、例えば、重合体2−1を効率的に得ることができる。また、前記一般式(I)で表される構造単位、前記一般式(II)で表される構造単位及び前記一般式(III)で表される構造単位を含む重合体を効率的に得ることもできる。
この理由は推定であるが、少なくとも一種のブレンステッド酸もしくはルイス酸の添加により、前記一般式(IV−a)で表されるモノマーの部分構造であるアリルエステル部位(前記一般式(IV−a)中の「C(=O)O−C−CR3=CR4R5」の部位)部位の連鎖移動による重合停止反応を抑制することができる。また、少なくとも一種のブレンステッド酸もしくはルイス酸存在下でラジカル重合させることにより、前記アリルエステル部位の連鎖移動による重合停止反応を抑制すると同時に、アリルエステル部位を重合させることができる。その結果、前記一般式(IV−a)で表される化合物の重合反応速度に対する副反応の相対的な速度が低下し、得られる重合体の収量及び全体の分子量が大きく向上するため、上述した本発明の重合体を得ることができると考えられる。
ブレンステッド酸もしくはルイス酸の使用量は、原料モノマーの合計を100モルとしたとき、1〜300モルが好ましく、20〜200モルがより好ましく、50〜180モルがさらに好ましい。
本発明の重合体は、1、3−ジエン化合物と二酸化炭素とからワンポットで合成することができる。ワンポットで合成とは、例えば、前記一般式(IV−a)で表される化合物(原料モノマー)を合成した後、そのまま精製を行わず重合を開始することをいう。本発明の重合体は、例えば、ブタジエンと二酸化炭素から直接得ることができる。ブタジエンは植物原料からの合成も可能であり、化石燃料に依存しないプラスチック材料になりうる。
例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびイソプレンから選択される少なくとも1種と、二酸化炭素から、上述した重合体2−1〜2−5または重合体3−1をワンポットで合成することもできる。
一般式(IV−a)
一般式(IV−b1)
一般式(IV−b2)
一般式(IV−c)
一般式(IV−d)
一般式(IV−e)
本発明の重合体は、様々な用途に用いることができる。本発明の重合体は、例えば有機溶剤に溶解して、ワニスとして用いることができる。また、このワニスを溶液成形して、成形体とすることができる。成形体の形状は特に問わないが、例えば、フィルム状(コーティングフィルム、透明フィルム等)、シート状、管状(チューブ(例えば特開2005−002531号公報)やホース)、電子機器の筐体等に成形することができる。また、本発明の重合体は、溶融成形により成形体を形成することもできる。
本発明の重合体を前記成形体に成形する場合、重合体とともに添加剤を用いてもよい。添加剤としては、例えば、離形剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、安定剤等を用いることができる。
本発明の重合体を用いて得られた成形体は、透明性も良好である。例えば、本発明の重合体を用いて得られた成形体は、ヘイズ値を5%以下とすることもでき、3%以下とすることもでき、2%以下とすることもできる。
また、本発明の重合体を用いて得られた成形体は、強度も良好である。例えば本発明の重合体を用いて得られた膜(膜厚:50〜500μm)についてのマルテンス硬さを求めたときの値を、150N/mm2以上とすることもでき、180N/mm2以上とすることもできる。ここで、マルテンス硬さとは(ISO14577準拠)荷重−押し込み深さ曲線より算出される硬さである。
本発明の重合体は、ラクトン環を有しており、アルカリ溶液中においてラクトン環が開環するため、例えば、レジスト材料としても好適に用いることができる。
22.5 mL(150mmol)の不飽和ラクトン2に、2,2’−アゾビス(シクロヘキサンニトリル)(和光純薬製)367mg(1.50 mmol、1mol%)及び炭酸エチレン(和光純薬製)52.8 g(600 mmol、 4.0equiv.)を溶解させ、塩化亜鉛(和光純薬製)20.4g(150mmol、1.0equiv.)を添加し、100℃で40時間加熱した。反応後の混合物をメタノールで洗浄し、未反応のモノマー、溶媒及び塩化亜鉛を除いた後、熱DMF(dimethylformamide)に再溶解させ、1N塩酸水溶液に滴下することで再沈殿を行った。再沈殿を2回繰り返した後、重合生成物(重合体1)を得た(17.1 g、75%、数平均分子量2.5×104、PDI(polydispersity index):7.4、Tg =192℃、Td = 381℃)。
上記重合体1の構造中、l、m及びnは、各構造単位のモル比を表し、l:m:n=3:4:3を表す。
また、実施例1で得られた重合体1について、SEC(Size Exclusion Chromatography)法により分子量を測定した。SECチャートを図4に示す。測定は、上記条件(A)にて行った。数平均分子量(Mn)は5.0×103、重量平均分子量(Mw)は3.6×104であった。
0.15mL(1.0mmol)の不飽和ラクトン2に、ペルオキソ二硫酸ジカリウム(和光純薬製)2.7mg (10μmol、1mol%)を加え、15mMのラウリル硫酸ナトリウム水溶液を2.5mL加え、常温下で激しく攪拌し乳化液とした。100℃下で24時間加熱した後、反応後の混合物をメタノール及び水で洗浄し、未反応のモノマー、溶媒及び乳化剤を除き、重合生成物(重合体2)を得た(32.8 mg、22%、数平均分子量:8.1×103、PDI:1.2)
0.15mL(1.0mmol)の不飽和ラクトン2に、酢酸(関東化学製、2.0mmol)2,2‘−アゾビス(シクロヘキサンニトリル)(和光純薬製、2.4mg(0.01mmol))を加え、100℃下で24時間加熱した。反応後の混合物をメタノール及び水で洗浄し、未反応のモノマー、添加剤を除き、重合生成物(重合体2)を得た(25.8 mg、17%、数平均分子量:1.9×104、PDI:1.1)
50mLのステンレス製オートクレーブ中でPd(acac)2 (和光純薬製、15.3mg、 0.050mmol) とPPh3 (関東化学製、39.3mg、0.0150mmol) および炭酸エチレン(和光純薬製、7.50g(85.2 mmol))を加え、混合物を−20℃に冷却し6分攪拌しながらブタジエン(高千穂化学製)雰囲気にさらすことによって、ブタジエン(4.06g、74.6mmol)を加えた。オートクレーブに3.81gのCO2を加え、80℃ で4時間加熱し、冷却、圧開放の後、少量サンプリングを行いラクトンの収率を求めた。
得られた混合物に対し2,2‘−アゾビス(シクロヘキサンニトリル)(和光純薬製、40.1mg(0.164mmol))および塩化亜鉛(和光純薬製、2.25g(16.5mmol))を添加し100℃で24時間加熱した。反応後の混合物を粉砕しメタノールおよびヘキサンで洗浄し、未反応のモノマー、溶媒、塩化亜鉛を除いた。粗生成物を熱DMFに溶解させ1N塩酸水溶液に滴下することで再沈殿を行い、重合生成物を得た(乾燥後収量2.37g、ブタジエン基準収率42%)。
実施例1で得られた重合体1について、熱重量測定(TG)を行った。TGチャートを図5に示す。測定は、大気条件下、40〜500℃の温度範囲を、10℃/分で昇温させて行った。測定結果より、重量減少が5%に達した温度は340℃であることが分かり、これを熱分解温度(Td)とした。
また、実施例1で得られた重合体1について、示差走査熱量測定(DSC)を行った。DSCチャートを図6に示す。測定は、50〜280℃の温度範囲を20℃/分で昇温させ、280℃で10分間保持し、20℃/分の速度で50℃まで冷却して行った。図6から、昇温過程で観測されたガラス転移温度(Tg)が192℃であることが分かった。
以上の結果から、実施例1では、前記重合体1が得られることが分かった。また、実施例1で得られた重合体1は、耐熱性が良好であることが分かった。
<<重合体1を含んで成るワニスの調整>>
実施例1で得られた重合体1をテトラフヒドロフランに溶解し、30質量%の溶液を得た。これをフィルター(目開き5μm)を用いてろ過し、ワニスとした。
<<重合体1を含んで成るコーティング膜の作成>>
前記適用例2で得られたワニスを、バーコーター(第一理化株式会社製、#12)を用い、フィルム厚80μm、A4大のトリアセチルセルロース(以下、TAC)フィルム上に塗布した。室温で、5分間乾燥した後、70℃で30分間、次いで100℃で1時間送風乾燥を行いうことでコーティングフィルム(コート厚10μm)を得た。
<<重合体1を含んで成るフィルムの作成>>
前記適用例2で得られたワニスを、ベーカー式アプリケーター(有限会社イーガーコーポレーション製)を用い、塗布幅250mm、塗布厚400μmでガラス基板上(300mm×400mm)に塗布した。室温で乾燥後、ガラス基板上より丁寧に剥がし、ステンレス製の枠に弛み無く固定し、70℃で30分間送風乾燥を行い、さらに100℃で1時間真空乾燥することで重合体1より成る透明フィルム(膜厚40μm)を得た。
<<重合体1を含んで成る成形体の作成>>
実施例1で得られた重合体1を、30mm×50mmのS長方形US製枠(厚さ200μm)に充填し、電動式二連真空プレス機(株式会社ボールドウィン社製)を用い、下記の成形条件にてプレス成形を行うことで、重合体1より成る透明均一な成形体を得た。
<<<成形条件>>>
温度:225℃
圧力:20MPa
時間:3分間
<<(1)フィルム透明性>>
前記適用例3で得られたフィルムの透明度をヘイズメーターNDH5000(日本電色工業株式会社製)にて測定した。ヘイズ値は1.6%であった。
<<(2)成形体強度>>
前記適用例4で得られた膜のマルテンス硬さを測定した。測定には、微小膜硬度計HM500型(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いた。圧子はダイアモンド製ベルコビッチ圧子を使用し、最大荷重10mNまで負荷時間10secかけてサンプル表面に押し込み、5秒間保持後荷重を取り除き、マルテンス硬さを求めた。得られた値は206N/mm2であった。
ここで、マルテンス硬さとは(ISO14577準拠)荷重−押し込み深さ曲線より算出される硬さである。
下記重合体3を、1,3−ブタジエンと、イソプレンと、二酸化炭素とからワンポットで合成した。下記構造中、m1、m2、及びn1は、各構造単位のモル比を表し、m1:m2:n1=1:1:1を表す。
重合体3
50mLのステンレス製オートクレーブに、パラジウム(II)アセチルアセトン)Pd(acac)2 )(和光純薬製、30.6mg、 0.10mmol) と、トリフェニフホフスィン(PPh3)(関東化学製、78.8mg、0.30mmol) と、イソプレン(東京化成工業製、5.0mL、50mmol)を炭酸エチレン(和光純薬製、7.50g)に加え、撹拌した。混合物を−20℃に冷却し3分間攪拌しながら1,3−ブタジエン(1.36g、25mmol)を加えた。オートクレーブに3.75g(86mmol)のCO2を加え、80℃で20時間加熱した。ガスの圧力を解放し、15分間真空にして、完全に残留ジエンを取り除いた後、混合物に1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(和光純薬製、V−40)40.1mg(0.165mmol)および塩化亜鉛(和光純薬製)2.25g(16.5mmol)を添加して、100℃で24時間加熱した。得られた混合物を過剰のメタノール(300mL)で希釈し、沈殿物を回収し、メタノール(300mL)および水(300mL)で洗浄した。残留固形分を熱ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL)中に溶解し、塩酸水溶液(1.0M、1.0L)で再沈殿し、三次元重合体3を得た(乾燥後収量2.20g、Mnは5.5×103、Mw/Mnは2.5、重合体3中に取り込まれた二酸化炭素は20質量%、1,3−ブタジエンおよびイソプレンの合計に基づく収率は46質量%)。
また、実施例5で得られた重合体3について、示差走査熱量測定(DSC)を行った。DSCチャートを図13に示す。測定は、−70〜280℃の温度範囲を20℃/分で昇温させ、280℃で10分間保持し、20℃/分の速度で−70℃まで冷却して行った。図13から、昇温過程で観測されたガラス転移温度(Tg)が33℃であることが分かった。
以上の結果から、実施例5では、重合体3が得られることが分かった。また、実施例5で得られた重合体3は、耐熱性が良好であることが分かった。
下記重合体4を、1,3−ブタジエンと、1,3−ペンタジエンと、二酸化炭素とからワンポットで合成した。下記構造中、l3、m3及びn2は、各構造単位のモル比を表し、l3:m3:n2=1:4:5を表す。
重合体4
50mLのステンレス製オートクレーブに、パラジウム(II)アセチルアセトン)Pd(acac)2 )(和光純薬製、30.6mg、 0.10mmol) と、トリフェニフホフスィン(PPh3)(関東化学製、78.8mg、0.30mmol) と、1,3−ペンタジエン(東京化成工業製、5.0mL、50mmol)を炭酸エチレン(和光純薬製、7.50g)に加え、撹拌した。混合物を−20℃に冷却し3分間攪拌しながら1,3−ブタジエン(1.34g、25mmol)を加えた。オートクレーブに3.75g(86mmol)のCO2を加え、80℃で20時間加熱した。ガスの圧力を解放し、15分間真空にして、完全に残留ジエンを取り除いた後、混合物に1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(和光純薬製、V−40)40.1mg(0.165mmol)および塩化亜鉛(和光純薬製)2.25g(16.5mmol)を添加して、100℃で24時間加熱した。得られた混合物を過剰のメタノール(300mL)で希釈し、沈殿物を回収し、メタノール(300mL)および水(300mL)で洗浄した。残留固形分を熱ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL)中に溶解し、塩酸水溶液(1.0M、1.0L)で再沈殿し、三次元重合体3を得た(乾燥後収量2.74g、Mnは1.6×104、Mw/Mnは2.0、重合体3中に取り込まれた二酸化炭素は24質量%、1,3−ブタジエンおよび1,3−ペンタジエンの合計に基づく収率は35質量%)。
また、実施例6で得られた重合体4について、示差走査熱量測定(DSC)を行った。DSCチャートを図19に示す。測定は、−70〜280℃の温度範囲を20℃/分で昇温させ、280℃で10分間保持し、20℃/分の速度で−70℃まで冷却して行った。図19から、昇温過程で観測されたガラス転移温度(Tg)が63℃であることが分かった。
以上の結果から、実施例6では、重合体4が得られることが分かった。また、実施例6で得られた重合体4は、耐熱性が良好であることが分かった。
また、本発明の重合体は、Td(熱分解温度)も十分高いため、加熱により性質を損なうこと無く溶融成形することが可能である。得られた成形体は、良好な硬度を発現した。
加えて、本発明の重合体は、種々の有機溶媒に良好な溶解性を示すため、ワニスとしての使用が可能である。また、本発明の重合体は、透明性にも優れているため、例えば透明コーティング材料として使用することが可能である。
Claims (18)
- 炭素原子を3つ以上含むラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)の少なくとも1つが主鎖の一部を構成し、前記ラクトン環を構成する炭素原子(但し、−C(=O)O−のCは除く)中、前記主鎖の一部を構成する炭素原子以外の炭素原子の少なくとも1つが前記主鎖の原子と架橋している構造単位を含む、重合体。
- 熱重量測定(TG)により、10℃/分で昇温させたときの熱分解温度(Td)が220℃以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合体。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合体を含むワニス。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合体を含む成形体。
- 前記原料モノマーを、少なくとも一種のブレンステッド酸もしくはルイス酸存在下でラジカル重合させる工程、又は、乳化重合させる工程を含む、請求項14又は15記載の重合体の製造方法。
- 1、3−ジエン化合物と二酸化炭素とからワンポットで合成する、重合体の製造方法。
- 前記重合体が、請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合体である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。
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