JP2014240374A - 部分フッ素化ジオキソランの製造方法、ジオキソールの製造方法、及び、電解質の製造方法 - Google Patents

部分フッ素化ジオキソランの製造方法、ジオキソールの製造方法、及び、電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジオキソールを製造するための原料として用いられる部分フッ素化ジオキソランを安価に製造可能な部分フッ素化ジオキソランの製造方法、および、これを用いたジオキソールおよび電解質の製造方法の提供。【解決手段】部分フッ素化エステル((1)式)と、R2アニオンとを反応させることによる部分フッ素化ジオキソラン((2)式)の製造方法。[式中、X1はCl等、RはX1等、R1、R2は、炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基等、R1及びR2の少なくとも一方は、部分フッ素化アルキル基等、nは1以上5以下の整数。]【選択図】なし

Description

本発明は、部分フッ素化ジオキソランの製造方法、ジオキソールの製造方法、及び、電解質の製造方法に関し、さらに詳しくは、パーフルオロ−2,2−ジメチルジオキソール(PDD)などのジオキソールを製造するための原料として用いられる部分フッ素化ジオキソランを安価に製造することが可能な部分フッ素化ジオキソランの製造方法、並びに、この方法により得られた部分フッ素化ジオキソランを用いたジオキソールの製造方法、及び、電解質の製造方法に関する。
光伝達材料は、高い光透過性と高い屈折率を持つ光ファイバーを芯材とし、情報を伝達する。建材表面のコーティング剤は、高い撥油・撥水性を付与することで耐候性を向上させて表面の汚れを防ぐ。二次電池は、負極、正極、セパレータ、電解液で構成されているが、電解液の劣化抑制のため、負極材料表面に酸化皮膜を形成させる添加剤が開発されている。固体高分子形燃料電池においては、電解質膜及び電極(触媒と触媒層アイオノマとの混合物)が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とし、プロトンと酸素との反応により発電する。
フッ素の高い電子吸引性と強い炭素−フッ素結合結合エネルギーを持つことから、上記材料を実現するために、フッ素系低分子や高分子が用いられる。光透過性に優れるルキナ(登録商標、旭硝子(株)製)、同じく耐候性・溶解性に優れたサイトップ(登録商標、旭硝子(株)製)、負極表面の酸化皮膜形成にはフルオロエチレンカーボネート類、高いプロトン伝導性と耐酸化性に優れたナフィオン(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)などである。これらの化合物は、光透過性、耐酸化性、耐候性、プロトン伝導性などに優れるが、一般に高価である。
しかしながら、これらを広く利用するためには、解決するべき課題が残っている。例えば、耐候性塗料としての利用であれば溶媒に対する溶解性と低コスト化、二次電池用酸化皮膜物質であれば一段階で選択的にフッ素系置換基を導入する方法である。また、燃料電池車の普及のためには、触媒に利用するPt量を減少させて低コスト化させる手立てが必要となっている。これを実現するためにはプロトン伝導と酸素透過度の高い触媒層アイオノマの開発が必要である。
このような種々の材料を確実に、また安定・安全に提供するため、従来から種々の提案がなされている。
例えば、燃料電池用電極アイオノマの製造方法に関しては、特許文献1に、ヘキサフルオロアセトン(HFA)とエチレンオキサイドとを反応させ、ビストリフルオロメチルジオキソラン(BTD)を得る方法が記載されている。
非特許文献1には、2−クロロエチルトリフルオロアセテート、テトラフルオロエチレン(TFE)、及び、Fアニオンを反応させ、BTDに類似する構造を備えた化合物を製造する方法が記載されている。
特許文献2には、ヘキサフルオロアセトンと2クロロヒドリンとを反応させ、次いで反応物をアルカリ処理するBTDの製造方法が記載されている。
非特許文献2には、
(a)(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(TMSCF3)と、トリブチルアンモニウムフロリド(TBAF)又はCsFとを反応させ、CF3アニオンを発生させる方法、及び、
(b)発生させたCF3アニオンと部分フッ素化エステルとを反応させ、シリル化ヘミケタールを得る方法
が開示されている。
非特許文献3には、トリフルオロメタン(CF3H)と、ヘキサメチルジシラザンカリウム(KHMDS)とを反応させ、CF3アニオンを発生させる方法が開示されている。
さらに、非特許文献4には、CF3CO2CH3と求核剤とを反応させる方法が記載されている。同文献には、このような方法により、ケタール構造を安定に単離できる点が記載されている。
BTDを出発原料として用いると、パーフルオロ−2,2−ジメチルジオキソール(PDD)を合成することができる。PDDは、ビニルエーテルであるため、ビニル基を有する電解質モノマと共重合させることにより、電解質ポリマを合成することができる。PDDを含む電解質ポリマは酸素透過性が高く、これを燃料電池用触媒層に用いると、低Pt量でも電池性能が格段に向上することが分かっている。しかし、この電解質ポリマのコストは高く、燃料電池車の普及の上で問題となっている。
米国特許第3324145号 特開平06−092957号公報
Macromolecules 1993, 26, 5829 J. Org. Chem. 1991, 56, 984 Science 2012, 338, 1324 J. Org. Chem. 1987, 52, 5026
本発明が解決しようとする課題は、PDDなどのジオキソールを製造するための原料として用いられる部分フッ素化ジオキソランを安価に製造することが可能な部分フッ素化ジオキソランの製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような方法により得られた部分フッ素化ジオキソランを用いたジオキソールの製造方法、及び、電解質の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る部分フッ素化ジオキソランの製造方法は、
(1)式で表される構造を備えた脱離基X1を有する部分フッ素化エステルと、R2アニオンとを反応させ、(2)式で表される構造を備えた部分フッ素化ジオキソランを得る反応工程
を備えていることを要旨とする。
Figure 2014240374
但し、
1、R2は、それぞれ、(i)炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、又は、(ii)アリール基、
1及びR2の少なくとも一方は、付け根部分の炭素に結合している水素の少なくとも1つがフッ素原子に置換されている部分フッ素化アルキル基又はパーフルオロアルキル基、
nは、1以上5以下の整数、
各Rは、それぞれ、水素、炭素数1以上10以下のアルキル基、又は、アリール基、
1は、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、又は、トリフラート。
本発明に係るジオキソールの製造方法は、本発明に係る方法により得られた部分フッ素化ジオキソランを用いてジオキオキソールを製造する工程を備えている。
さらに、本発明に係る電解質の製造方法は、本発明に係る方法により得られたジオキソールを用いて電解質を製造する工程を備えている。
(1)式で表される部分フッ素化エステルは、HFAに比べて安価である。そのため、これを出発原料に用いると、BTDのような部分フッ素化ジオキソランを安価に製造することができる。また、このようにして得られた部分フッ素化ジオキソランを出発原料に用いると、ジオキソール及びこれを用いた電解質ポリマを安価に製造することができる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 部分フッ素化ジオキソランの製造方法]
本発明に係る部分フッ素化ジオキソランの製造方法は、
(1)式で表される構造を備えた脱離基X1を有する部分フッ素化エステルと、R2アニオンとを反応させ、(2)式で表される構造を備えた部分フッ素化ジオキソランを得る反応工程
を備えている。
Figure 2014240374
但し、
1、R2は、それぞれ、(i)炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、又は、(ii)アリール基、
1及びR2の少なくとも一方は、付け根部分の炭素に結合している水素の少なくとも1つがフッ素原子に置換されている部分フッ素化アルキル基又はパーフルオロアルキル基、
nは、1以上5以下の整数、
各Rは、それぞれ、水素、炭素数1以上10以下のアルキル基、又は、アリール基、
1は、Cl、Br、I、トシラート(p−トルエンスルホニル基)、メシラート、又は、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)。
[1.1. 部分フッ素化エステル]
「部分フッ素化エステル」とは、R1を有するカルボン酸と、脱離基X1を有するアルコールからなるカルボン酸エステルをいう。
1を構成するアルキル基、部分フッ素化アルキル基及びパーフルオロアルキル基は、それぞれ、分岐や環状構造、あるいは、エーテル結合が含まれていても良い。
1を構成するアリール基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルなどがある。
(2)式において、R1及びR2の少なくとも一方は、付け根部分の炭素に結合している水素の少なくとも1つがフッ素原子に置換された部分フッ素化アルキル基、又は、パーフルオロアルキル基からなる。このような条件を満たす場合、R2アニオンとの反応時にR1が求核置換されるのを抑制することができる。
「付け根部分の炭素」とは、(1)式においてカルボニル基(−C(=O)−)を構成する炭素、又は、(2)式においてカルボニル基を構成していた炭素(=C(−O−)2)と直接、結合している炭素をいう。
1は、特に、パーフルオロアルキル基が好ましい。R1がパーフルオロアルキル基である場合、R2アニオンとの反応時におけるR1の求核置換がさらに抑制される。
nは、−O−と脱離基X1との間の炭素数と関係がある。部分フッ素化ジオキソランを得るためには、nは、1以上である必要がある。
一方、nが大きくなりすぎると、環状構造の形成が困難となる。従って、nは、5以下である必要がある。nは、好ましくは、2以下である。
Rは、アルコール部分を構成する炭素に結合している置換基を表す。各Rは、それぞれ、水素、炭素数1以上10以下のアルキル基、又は、アリール基からなる。各Rは、すべて同一であっても良く、あるいは、互いに異なっていても良い。
Rを構成するアルキル基は、分岐や環状構造、あるいは、エーテル結合が含まれていても良い。
Rを構成するアリール基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルなどがある。
部分フッ素化エステルは、(3)式で表される化合物から合成され、かつ、(1.1)式で表される構造を備えているものが好ましい。(3)式で表される化合物と、脱離基X1を有するアルコールとを反応させると、(1.1)式で表される部分フッ素化エステルが得られる。
Figure 2014240374
但し、
1は、(i)炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、又は、(ii)アリール基、
1は、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、又は、トリフラート。
部分フッ素化エステルは、特に、(3.1)式で表されるトリフルオロ酢酸(TFA)から合成され、かつ、(1.2)式で表される構造を備えているものが好ましい。(3.1)式で表されるTFAと、脱離基X1を有するアルコールとを反応させると、(1.2)式で表される部分フッ素化エステルが得られる。また、この部分フッ素化エステルと、CF3アニオンとを反応させると、BTDが得られる。
Figure 2014240374
但し、
1は、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、又は、トリフラート。
(3)式で表される化合物(特に、TFA)は、HFAに比べて低コストである。そのため、これを出発原料に用いると、部分フッ素化ジオキソランを低コストで製造することが可能となる。また、この部分フッ素化ジオキソランを出発原料として用いると、ジオキソールや電解質を低コストで製造することが可能となる。
[1.2. R2アニオン]
「R2アニオン」とは、化合物R22と反応剤との反応により得られる1価の負電荷を持つ構造体(R2 -)をいう。
2は、(i)炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、又は、(ii)アリール基、を表す。
2を構成するアルキル基、部分フッ素化アルキル基及びパーフルオロアルキル基、並びに、アリール基の詳細は、上述したR1と同様である。
2は、脱離基であり、H、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、トリフラート、又は、トリメチルシリル基などのケイ素置換基を表す。
2アニオンを発生可能な化合物(R22)としては、例えば、
(1)RfSiMe3(TMSRf)、RfH、RfI(但し、Rfは、CF3などのパーフルオロアルキル基)、
(2)ヘキサフルオロアセトンDBUコンプレックス、、
(3)PhSO2CF3
(4)TMSCF2H、TMSCFH2
などがある。
反応剤としては、例えば、
(1)アルカリ金属(Li、Na、K)、
(2)アルカリ土類金属(Mg)、
(3)アルカリ金属塩(CsF、LiHMDS、NaHMDS、KHMDS、tBuOK、KF)、
(4)テトラアルキルアンモニウムフルオライド(NR'4F)
などがある。
22と反応剤とを反応させると、X2が脱離し、R2 -とM+(反応剤に由来するカチオン)のイオン対構造が得られる。R2の構造は、反応剤と反応させても変化しない。R2アニオンの発生方法としては、具体的には、以下のような方法がある。
(1)TMSRfとCsFとを反応させ、Rf-を発生させる方法。
(2)RfHとヘキサメチルジシラザンカリウム(KHMDS)を反応させ、Rf-を発生させる方法。
RfHの中でもCF3Hは、テトラフルオロエチレン(TFE)の合成の際に副生する化合物であるが、通常は廃棄される試薬である。しかし、その廃棄には多大なエネルギーが必要である。本法ではCF3Hを有効に利用することができるため、TMSCF3を用いる場合に比べて製造コストを低減することができる。また、CF3Hを用いる方法は、CF3基を求核的に導入する他の製造プロセスにおいても非常に価値がある。
(3)RfIとテトラキス−(ジメチルアミノ)エチレン(TDAE)とを反応させ、Rf-を発生させる方法。
(4)ヘキサフルオロアセトンDBUコンプレックスとtBuOKとを反応させ、CF3 -を発生させる方法。
(5)PhSO2CF3とtBuOKとを反応させ、CF3 -を発生させる方法。
[1.3. 部分フッ素化ジオキソラン]
(1)式で表される部分フッ素化エステルと、R2アニオンとを反応させると、(2)式で表される部分フッ素化ジオキソランが得られる。(2)式の詳細については、上述した通りであるので説明を省略する。
[1.4. 反応条件]
(1)式で表される部分フッ素化エステルと、R2アニオンを発生可能な化合物と、反応剤とを溶媒に溶解させ、所定時間反応させると、(2)式で表される部分フッ素化ジオキソランが得られる。
溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(Et2O)などの非水系極性溶媒を用いるのが好ましい。これは、溶媒中に水が含まれていると、R2アニオンが失活するためである。
反応温度は、出発原料の種類に応じて最適な温度を選択する。反応温度は、0℃以下の低温でも良く、あるいは、室温でも良い。
[2. ジオキソールの製造方法]
本発明に係るジオキソールの製造方法は、本発明に係る方法により得られた部分フッ素化ジオキソランを用いてジオキオキソールを製造する工程を備えている。
部分フッ素化ジオキソランからジオキソールを製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
例えば、パーフロオロ−2,2−ジメチルジオキソール(PDD)は、
(1)ビストリフルオロメチルジオキソラン(BTD)とCl2とを反応させ、4個の置換基RがClである中間体(1)を製造し、
(2)中間体(1)と、SbCl5、SbF3とを反応させ、2個のClをFに置換した中間体(2)を製造し、
(3)中間体(2)を、Mgで、あるいは、TiCl4とLiAlH4とで還元する
ことにより製造することができる。後述する(5)式参照。
PDD以外のジオキソールもこれと同様の方法により製造することができる。
[3. 電解質の製造方法]
本発明に係る電解質の製造方法は、本発明に係る方法により得られたジオキソールを用いて電解質を製造する工程を備えている。
ジオキソールは、ビニルエーテルであるため、ビニル基を有するモノマと共重合させることにより、ポリマを合成することができる。
ジオキソールと共重合させるビニルモノマとしては、例えば、
(1)SO2F基を有するビニルエーテルモノマ、
(2)テトラフルオロエチレン(TFE)、
(3)−P(=O)(OR)2基を有するビニルエーテルモノマ、
(4)−SO2NHSO2Rf基を有するビニルエーテルモノマ、
などがある。
次の(4)式に、ジオキソールとSO2F基を有するビニルエーテルモノマとの反応の一例を示す。
Figure 2014240374
[4. 作用]
(5)式に、従来のPDDの合成スキームを示す。従来、PDDを合成するには、まずHFAからBTDを合成する方法がとられていた(特許文献1参照)。しかしながら、HFAは高価であるため、PDDのコストが高くなり、ひいては電解質ポリマの高コスト化の一因となっている。
Figure 2014240374
HFA(無水物)はガスである。一般的には水和物(HFA・3H2O)の構造にすることで安定性・取り扱い性を高めることができる。また、無水物に比べて水和物の方が安価である。
しかし、特許文献1の方法でBTDを合成する際に水が存在すると、目的の反応が進行しない。ヘキサフルオロアセトンの水和物の水素原子は酸性度が高い。また、酸性条件下ではエチレンオキサイドと水とが反応し、エチレングリコールが生成する。以上から、ヘキサフルオロアセトン3水和物とエチレンオキサイドとの反応では、BTDを得ることは困難である。そのため、水和物を原料に用いる時には、予め脱水しておく必要がある。
さらに、原料がガスであることは、BTD合成のために専用の設備(耐圧容器)が必要となる場合があることを意味しており、これもPDDの高コスト化の原因となる。一方、特許文献2では、HFAと2クロロヒドリンとを反応させた後に、塩基性条件下で脱ハロゲン化水素反応をさせることでBTDを得ている。この方法は、高温、高圧を必要としないが、用いる原料は特許文献1とほぼ同じであるため、製造コストは高いことが予想される。
これに対し、(1)式で表される部分フッ素化エステルは、HFAに比べて安価である。例えば、TFAの価格は、HFAの約1/30であるので、TFAを用いて合成される部分フッ素化エステルもまた低コストである。また、(1)式で表される部分フッ素化エステルは、水を実質的に含まない試薬(例えば、常温で液体であるTFA)を出発原料に用いて合成することができる。
そのため、このような部分フッ素化エステルを出発原料に用いると、BTDのような部分フッ素化ジオキソランを安価に製造することができる。また、このようにして得られた部分フッ素化ジオキソランを出発原料に用いると、ジオキソール及びこれを用いた電解質ポリマを安価に製造することができる。
(実施例1)
次の(10.1)式に、BTDの合成スキームを示す。
Figure 2014240374
エステルA(2−クロロエチルトリフルオロアセテート)(15.15g)と、CsF(15.42g、1.2当量)とを混合し、脱水THF(30mL)を加えて−78℃に冷却した。ここに、TMSCF3(14mL、1.1当量)を加えて10分程度攪拌した。その後、温度を徐々に室温まで上げて、引き続き3時間撹拌した。未精製溶液の1H NMRスペクトルから、エステルAの変換率が100%であることを確認した。
この溶液を蒸留してBTDを得た(収率43%)。沸点:106℃。1H NMRスペクトル(CDCl3)4.3ppm(s)、19F NMRスペクトル(CDCl3)−80.1ppm。
(実施例2)
次の(10.2)式にBTDの合成スキームを示す。
Figure 2014240374
エステルA(1.30g)と、CsF(1.23g、1.2当量)とを混合し、脱水THF(5mL)を加えて0℃に冷却した。ここに、TMSCF3(1.2mL、1.1当量)を加えて10分程度攪拌した。その後、温度を室温まで上げて、引き続き3時間撹拌した。未精製溶液の1H NMRスペクトルから、エステルAの変換率が100%であることを確認した。
(実施例3)
次の(10.3)式に、部分フッ素化ジオキソランの合成スキームを示す。
Figure 2014240374
エステルA(1.51g)に脱水THF(5mL)を加えて−78℃に冷却した。ここに、n−BuLi(2.6M、ヘキサン溶液)を3.6mL(1.2当量)加えて10分程度攪拌した。その後、温度を徐々に室温まで上げて、引き続き3時間撹拌した。未精製溶液の1H NMRスペクトルから、エステルAの変換率が100%であることを確認した。
水を加えて反応を止め、有機層を取り出してMgSO4で乾燥させた。GC/MSにより、環化体の存在を確認した(GC/MSスペクトルの面積値比で11.3%)。
(実施例4)
次の(10.4)式に、部分フッ素化ジオキソランの合成スキームを示す。
Figure 2014240374
2クロロエチルアセテート(1.65g)と、CsF(2.45g、1.2当量)とを混合し、脱水THF(5mL)を加えて−78℃に冷却した。ここに、TMSCF3(2.2mL、1.1当量)を加えて10分程度攪拌した。その後、温度を室温まで上げて、引き続き3時間撹拌した。未精製溶液の1H NMRスペクトルから、エステルの変換率が100%であることを確認した。
水を加えて反応を止め、その後有機層を取り出してMgSO4で乾燥させた。GC/MSにより、環化体の存在を確認した(GC/MSスペクトルの面積値比で17.5%)。
(比較例1)
次の(10.5)式に、部分フッ素化ジオキソランの合成スキームを示す。
Figure 2014240374
2クロロエチルアセテート(1.48g)に脱水THF(5mL)を加えて−78℃に冷却した。ここに、n−BuLi(2.6M、ヘキサン溶液)を5.1mL(1.2当量)加えて10分程度攪拌した。その後、温度を徐々に室温まで上げて、引き続き3時間撹拌した。未精製溶液の1H NMRスペクトルから、エステルの変換率が100%であることを確認した。
水を加えて反応を止め、その後有機層を取り出してMgSO4で乾燥させた。溶液部分を取り出しGC/MSによる目的物の検査を行ったが、環化体と思われる化合物は含まれていなかった。
(実施例5)
次の(10.6)式に、本発明に係る方法を用いた部分フッ素化ジオキソランの反応式を示す。
Figure 2014240374
本反応では、中間体としてヘミケタール(C)を経た後に、環化体Bを与える反応機構だと考えられる。炭化水素置換のエステルに炭化水素からなる求核剤を作用させた場合、求核剤で置換されたケトンとアルコール(D)とに分解することが知られている。
そこで、理論計算により、R1(R1=CX3、XはF又はH)と、求核剤R2Li(R2=CX3、XはF又はH)との反応から、中間体として生成するヘミケタール構造Cと、D(ケトン+リチウム2クロロエトキシド)との生成エンタルピーを比較した(Gaussian09)。DよりもCが安定であれば、Cから環化体Bを与える反応も起こりやすいと考えられる。そのCとDとの生成エンタルピー差(kcal/mol)をまとめたのが表1である。
Figure 2014240374
1、R2ともにCH3基の場合は、ヘミケタール構造Cでの構造最適化ができず、Dの構造を与えた。これ以外の構造では、すべてでヘミケタール構造Cの方が熱力学的に安定という結果となった。このことから、R1、R2に1つでもFが置換されていれば(換言すれば、付け根部分の炭素に結合している水素の少なくとも1つがフッ素原子に置換されていれば)、環化体Bを与えることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る部分フッ素化ジオキソランの製造方法は、光伝達材、フォトマスク用防塵カバー、保護コーティング材、二次電池の負極表面の酸化皮膜形成材、ガス分離膜、及び、高酸素透過電解質の原料を製造する方法として使用することができる。

Claims (6)

  1. (1)式で表される構造を備えた脱離基X1を有する部分フッ素化エステルと、R2アニオンとを反応させ、(2)式で表される構造を備えた部分フッ素化ジオキソランを得る反応工程
    を備えた部分フッ素化ジオキソランの製造方法。
    Figure 2014240374
    但し、
    1、R2は、それぞれ、(i)炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、又は、(ii)アリール基、
    1及びR2の少なくとも一方は、付け根部分の炭素に結合している水素の少なくとも1つがフッ素原子に置換されている部分フッ素化アルキル基又はパーフルオロアルキル基、
    nは、1以上5以下の整数、
    各Rは、それぞれ、水素、炭素数1以上10以下のアルキル基、又は、アリール基、
    1は、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、又は、トリフラート。
  2. 前記部分フッ素化エステルは、(3)式で表される化合物から合成され、かつ、(1.1)式で表される構造を備えているものからなる請求項1に記載の部分フッ素化ジオキソランの製造方法。
    Figure 2014240374
    但し、
    1は、(i)炭素数1以上10以下のアルキル基、部分フッ素化アルキル基若しくはパーフルオロアルキル基、又は、(ii)アリール基、
    1は、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、又は、トリフラート。
  3. 前記部分フッ素化エステルは、(3.1)式で表されるトリフルオロ酢酸(TFA)から合成され、かつ、(1.2)式で表される構造を備えているものからなる
    請求項1又は2に記載の部分フッ素化ジオキソランの製造方法。
    Figure 2014240374
    但し、
    1は、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、又は、トリフラート。
  4. 前記R2アニオンは、CF3 -であり、
    前記部分フッ素化ジオキソランは、ビストリフルオロメチルジオキソランである
    請求項3に記載の部分フッ素化ジオキソランの製造方法。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法により得られた部分フッ素化ジオキソランを用いてジオキソールを製造する工程を備えたジオキソールの製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法により得られたジオキソールを用いて電解質を製造する工程を備えた電解質の製造方法。
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