JP2014237889A - 薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光記録媒体における記録膜を成膜するとき、反応性スパッタリングガスを用いることなく、直流スパッタリングを可能とし、材料費を低減すると共に、記録膜に充分な特性の薄膜が得られる薄膜形成用スパッタリングターゲットの提供。
【解決手段】Cu及びTiのうちの1種又は2種による金属相と、Znと、Siと、Al、Ga及びInのうちの1種又は2種以上とを含む酸化物相とが分散分布した組織を有する焼結体からなり、前記焼結体に含まれる金属元素は、原子比で、(Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.001以上であり、Si/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.005以上であり、(Si+Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.33以下であり、(Cu+Ti)/(Cu+Ti+Al+Ga+In+Zn+Si)が0.15〜0.90である薄膜形成用スパッタリングターゲット。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、CD、DVD、Blu-ray Disc(登録商標:以下、BDと称す)等に用いる光記録媒体における記録膜を成膜するための薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
近年、写真や動画の高画質化に伴い、光記録媒体等へ記録する際のデジタルデータが増大し、記録媒体の高容量化が求められ、既に、高記録容量の光記録媒体として二層記録方式により50GBの容量を有したBDが販売されている。このBDは、今後もさらなる高容量化が望まれており、記録膜の多層化による高容量化の研究が盛んに行われており、さらには、光記録媒体の低コスト化も進められている。
従来では、光記録媒体、例えば、BDにおける記録膜には、一例として、Sn−Nb−Nからなる窒化物が採用され、スパッタリング法によって成膜されている(例えば、特許文献1を参照)。この記録膜では、記録時の加熱によって層が到達する温度以下に分解温度を持つ金属の窒化物と、記録時の加熱によって層が到達する温度において化学反応又は相変化を起こすことのない金属の窒化物とが組み合わされており、安定性、記録後のノイズの低さといった点で、前者の窒化物には、Snの窒化物が、そして、後者の窒化物には、Nbの窒化物が用いられている。この記録膜を成膜するには、真空チャンバー内で微量のAr及びNの混合ガスを流し、所定の圧力とし、そして、金属のSnとNbからなるSn−Nbスパッタリングターゲットに高周波(RF)電力を印加して放電させることにより、Sn−Nbスパッタリングターゲットから弾きだされた元素Sn及びNbがNと反応して、Sn−Nb窒化物が成膜される。
また、上記の記録膜の成膜にあたって、Sn−Nbスパッタリングターゲットが用いられていが、SnスパッタリングターゲットとNbスパッタリングターゲットと、別々のターゲットを用意して、コスパッタリングを行う場合も知られている(例えば、特許文献2を参照)。この場合には、真空チャンバー内で微量のAr及びNの混合ガスを流し、所定の圧力とし、そして、Snスパッタリングターゲットに直流(DC)電力を、Nbスパッタリングターゲットに高周波(RF)電力を印加して放電させることにより、SnスパッタリングターゲットとNbスパッタリングターゲットとからそれぞれ弾きだされた元素Snと元素NbとがNと反応して、Sn−Nb窒化物が成膜される。
また、上記の記録膜に、Sn−Nb窒化物が用いられる場合について述べたが、記録膜には、この他にも、例えば、Te−Pd酸化物が用いられることも知られている(例えば、特許文献3を参照)。これは、Te−Pdスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングガスAr及びOの雰囲気中で、高周波(RF)電力を印加しながら、Te−O−Pdからなる記録膜を成膜するというものである。
一方、酸化亜鉛を主成分とする酸化亜鉛薄膜形成用スパッタリングターゲットも、知られている(例えば、特許文献4を参照)。このスパッタリングターゲットは、元素種として亜鉛(Zn)及び酸素(O)以外の少なくとも1種類以上の元素種を有する添加元素Xを含み、前記添加元素Xがターゲット中で酸素を含まない化合物であり、前記添加元素Xと、ターゲット中で酸素を含む化合物である添加元素Yとが共存している組織を有している。
特開2007−335020号公報 特開2006−18981号公報 特許第4560495号公報 特開2009−263709号公報
上述した従来技術による記録膜として、例えば、Sn−Nb窒化物からなる膜を成膜するとき、Sn−Nbスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法、或いは、SnスパッタリングターゲットとNbスパッタリングターゲットを用いたコスパッタリング法が採用されており、いずれのスパッタリング法においても、反応スパッタリングガスとして、Nが必要であり、コスト増になり、しかも、高周波(RF)スパッタリングが用いられているので、生産性が向上しなかった。また、Te−Pd酸化物を記録膜に用いる場合でも、高周波(RF)電力を印加しながら成膜しているので、生産性が向上しないだけでなく、材料コストが高くなるという問題があった。
そこで、本発明は、記録膜を成膜するのに、反応性スパッタリングガスを用いることなく、一つのスパッタリングターゲットで直流(DC)スパッタリングを可能とし、材料費を低減するとともに、記録膜に適用するのに充分な特性の薄膜が得られる薄膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記引用文献4で示された酸化亜鉛(ZnO)を主成分とする酸化亜鉛薄膜形成用スパッタリングターゲットに着目した。ところで、このスパッタリングターゲットは、透明導電膜用であって、光記録媒体における記録膜を目的としたものでないため、記録膜として充分な特性が得られなかった
そこで、ZnOに、酸化アルミニウム(Al)と酸化珪素(SiO)とを添加してなるAZOSO系スパッタリングターゲットと、銅(Cu)からなるメタルターゲットとを用いて、コスパッタリングすることにより、AZOSO−Cuからなる薄膜の成膜を試みた。ここで成膜された薄膜について、レーザー光線を照射して、記録マークの書込み評価を実施したところ、この薄膜の特性は、従来から用いられている記録膜における特性(書込みによるモジュレーション率)に、充分に近いという結果が得られた。ここでは、AZOSO系スパッタリングターゲットと、Cuからなるメタルターゲットとで、コスパッタリングによりスパッタリング成膜したが、一つのAZOSO系スパッタリングターゲットで成膜できるように、スパッタリングターゲットの成分組成を工夫した。
そこで、ZnO粉末、Al粉末、SiO粉末、Cu粉末を配合した混合粉末を加圧焼結して、スパッタリングターゲットを作製し、このスパッタリングターゲットを用いて、直流(DC)スパッタリングにより薄膜を成膜したところ、AZOSO−Cuからなる薄膜が得られることが判明した。そして、この薄膜について、レーザー光線を照射して、コントラスト変化の評価を実施したところ、記録膜として実用に供するに充分な特性(モジュレーション率)が得られた。
さらに、スパッタリングターゲットの成分組成について、種々検討したところ、Al粉末の代わりに、酸化ガリウム(Ga)粉末、酸化インジウム(In)粉末を配合し、さらには、金属成分として、Cu粉末以外にも、チタン(Ti)粉末を配合しても、記録膜として実用に供するに充分な特性(モジュレーション率)が得られるという知見が得られた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のスパッタリングターゲットは、Cu及びTiのうちの1種又は2種による金属相と、Znと、Siと、Al、Ga及びInのうちの1種又は2種以上とを含む酸化物相とが分散分布した組織を有する焼結体からなり、
前記焼結体に含まれる金属元素は、原子比で、(Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.001以上であり、Si/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.005以上であり、(Si+Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.33以下であり、
(Cu+Ti)/(Cu+Ti+Al+Ga+In+Zn+Si)が0.15〜0.90であることを特徴とする。
(2)本発明の薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法では、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上と、Zn酸化物粉末と、Si酸化物粉末と、Cu及びTiのうちの1種又は2種の金属粉末とを含む混合粉末を作成し、該混合粉末を、真空又は不活性雰囲気中で焼結して焼結体を得ることを特徴とする。
(3)前記(1)に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングで成膜された本発明の光記録媒体用記録膜は、Cu及びTiのうちの1種又は2種と、ZnとSiとAl、Ga及びInのうちの1種又は2種以上とを含有することを特徴とする。
上述の本発明の薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法について、以下に説明する。
この製造方法では、適切な比率で配合されたCu粉末及びTi粉末を含む金属原料粉末から圧粉体を成形し、この圧粉体を焼結して薄膜形成用スパッタリングターゲットを製造する。各原料粉末は、金属元素の原子比R1:(Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.001以上であり、原子比R2:Si/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.005以上であり、原子比R3:(Si+Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.33以下であり、かつ、原子比R4:Me/(Me+Al+Ga+In+Zn+Si)が0.15〜0.90となる条件を満たすように配合する。これにより、本発明所定の組成を有するスパッタリングターゲットを得ることができる。なお、金属元素の原子比R1〜R4においては、配合されない金属元素に関しては、0として計算される。
上記金属元素の原子比R1〜R4の表記において、「Me」はスパッタリングターゲットの一定体積当たりの、Cu元素とTi元素との合計原子数を示す。同様に、「Al」、「Ga」、「In」、「Zn」、および「Si」は、それぞれ、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原子、亜鉛原子、およびケイ素原子の原子数を示す。
ここで、原子比R1を0.001以上とした理由は、そのR1が、0.001未満であると、酸化物組織の比抵抗が高くなり、金属組織との比抵抗の差が大きくなりすぎてしまうので、スパッタリング時に異常放電が発生しやすくなるためである。
原子比R2を0.005以上とした理由は、そのR2が、0.005未満であると、膜の結晶化抑制が不十分になり、レーザー光線が照射されても、記録膜として実用に供することができる程の大きなモジュレーション率が得られないからである。
また、原子比R3を0.33以下とした理由は、そのR3が、0.33を超えると、酸化物組織の比抵抗が高くなり、金属組織との比抵抗の差が大きくなりすぎて、スパッタリング時の異常放電が発生しやすくなるためである。
さらに、金属粉末を配合することにより、スパッタリングターゲット自体の比抵抗を小さくし、直流(DC)スパッタリングを可能にしているが、原子比R4を0.15〜0.90とした理由は、そのR4が、0.15未満では、「Cu」及び「Ti」が少なすぎて、レーザー光線の照射によっても、記録膜として実用に供することができる程の大きなモジュレーション率が得られないからであり、0.90を超えると、「Cu」及び「Ti」が多過ぎ、この場合も、レーザー光線の照射によっても、同様に、大きなコントラストの変化が生まれないからである。なお、原子比R4について、0.15〜0.90としたが、望ましくは、0.25〜0.85、さらに望ましくは、0.35〜0.80とすることにより、より大きなモジュレーション率が得られる。
原子比の数値範囲について説明したが、スパッタリングターゲットの組成についても同様である。
次に、本発明の薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造にあたっては、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上と、Zn酸化物粉末と、Si酸化物粉末と、Me粉末(Cu金属粉末及びTi金属粉末のうちの1種又は2種)とを、上記の原子比R1〜R4の条件を満たすように配合し混合し、得られた混合粉末を、750〜1350℃、望ましくは、900〜1250℃にて、2〜9時間、100〜500kgf/cmの荷重にて、真空又は不活性ガス雰囲気中で加圧焼結し、得られた焼結体をスパッタリングターゲットとする。なお、加圧焼結は、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレス(HIP)のどちらでも良い。
本発明に係る製造方法で製造された薄膜形成用スパッタリングターゲットの一具体例について説明する。
先ず、Al粉末:0.9mol%、SiO粉末:7mol%、Cu粉末:65mol%、ZnO粉末:残部を用意し、これらの粉末を混合し、得られた混合粉末を、900℃、3時間、300kgf/cmの荷重にて、真空雰囲気中で加圧焼結して焼結体を得た。この焼結体を機械加工して、スパッタリングターゲットを製造した。ここで、原子比R1は、0.049、原子比R2は、0.197、原子比R3は、0.246、原子比R4は、0.644であって、上述の原子比R1〜R4の条件を満たしている。製造されたスパッタリングターゲットにおける組成成分について分析を行った。その分析結果が、図1に示されている。
図1の写真は、製造されたスパッタリングターゲットについて、EPMA(フィールドエミッション型電子線プローブ)にて得られた元素分布像であり、図中の5枚の写真から、Al、Zn、Si、O、Cuの各元素の組成分布の様子をそれぞれ観察することができる。なお、EPMAによる元素分布像は、本来カラー像であるが、図1の写真では、白黒像に変換して示しているため、その写真中において、白いほど、当該元素の濃度が高いことを表している。
具体的には、Alに関する分布像では、Al元素が白く斑点状(比較的白い部分)に分布し、Znに関する分布像では、Zn元素が分散分布的に存在し、その中でも、その濃度が高いと観られる白い部分が存在し、Oに関する分布像では、O元素がZn元素の分散分布と重なる領域に存在していることが観察される。そして、Al、Zn、Siの各元素が、O元素の分散分布と重なっている。一方、Cuに関する分布像によれば、Cu元素の濃度が高い部分は、O元素の存在していない部分に存在していることが観察できる。これらのことから、ZnとAlとSiとの複合酸化物が、Cu金属の素地中に存在していると推定できる。
一方、図2のグラフは、上述したように製造された透明酸化物膜形成用のスパッタリングターゲットのX線回折(XRD)による分析結果を示している。図2の上段のグラフは、全体のピークを示しているが、その中段のグラフには、Cuに係るピークが、そしてその下のグラフはZnSiOに係るピークが、そして、その下のグラフは、ZnOに係るピークが示されている。図1に示された分布画像と図2のグラフに現れたピークとを併せて考慮すると、Cuと、ZnOおよび、またはAZO(AlがドープされたZnO)と、ZnとSiとの複合酸化物とが別々に検出されていることが分かる。
以上を総合すれば、製造したスパッタリングターゲットには、Al−Zn−Si−Cu−Oの五元系元素でなる焼結体において、Cu金属相中に、少なくとも、ZnOおよび、またはAZO(AlがドープされたZnO)と、ZnとSiとの複合酸化物が存在しており、SiOの結晶相は存在していないことが確認された。このスパッタリングターゲットによれば、スパッタリング時には、異常放電・パーティクルの発生を低減することができ、薄膜を直流(DC)スパッタリングで成膜できるということが確認された。なお、AlがGaに置き換えられたGa−Zn−Si−Cu−Oの五元系元素でなる焼結体の場合も、さらに、AlがInに置き換えられたIn−Zn−Si−Cu−Oの五元系元素でなる焼結体の場合も、同様であった。また、Cuが、Tiに置き換えられた五元系元素でなる焼結体の場合でも、同様であった。
上述の製造したスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング成膜された薄膜について、記録マークの書込み評価を実施したところ、そのモジュレーション率は、0.44との結果が得られた。この値は、記録膜として実用に供するに充分な特性であることを示している。このスパッタリングターゲットは、光記録媒体、例えば、CD、DVD、BD等における記録膜の成膜に好適なものである。
なお、上記スパッタリングターゲットを用いてスパッタリング成膜するとき、真空又は不活性ガス雰囲気の代わりに、N雰囲気中で行うと、窒化物による薄膜を得ることができ、この薄膜も、光記録媒体における記録膜とすることができる。
以上の様に、本発明によれば、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上と、Zn酸化物粉末と、Si酸化物粉末と、Me金属粉末(Cu金属粉末及びTi金属粉末のうちの1種又は2種を含む)とを、原子比R1が0.001以上であり、原子比R2が0.005以上であり、原子比R3が0.33以下であり、かつ、原子比R4が0.15〜0.90となる配合比で配合された混合粉末を焼結して焼結体を得て、薄膜形成用スパッタリングターゲットとしたので、スパッタリング時には、異常放電・パーティクルの発生を低減することができ、薄膜を直流(DC)スパッタリングで成膜できるようになり、当該スパッタリングターゲットを用いて成膜された薄膜は、記録膜として実用に供するに充分な特性(モジュレーション率)を有することが確認されたので、光記録媒体、例えば、CD、DVD、BD等における記録膜の成膜に適用でき、しかも、より安価な材料で構成し、反応スパッタリングガスを不要とするなど、成膜コストを低減でき、光記録媒体の生産性向上に寄与する。
本発明に係る薄膜形成用スパッタリングターゲットの一具体例について、その組織をEPMAにより測定した各元素の元素分布像である。 本発明に係る薄膜形成用スパッタリングターゲットのX線回折(XRD)の分析結果を示すグラフである。
つぎに、この発明の薄膜形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法について、以下に、実施例により具体的に説明する。
〔実施例〕
先ず、本実施例の薄膜形成用スパッタリングターゲットを製造するため、酸化亜鉛粉末(化学式:ZnO、D50=1μm)、酸化珪素粉末(化学式:SiO、D50=2.0μm)、酸化アルミニウム粉末(化学式:Al、D50=0.2μm)、酸化ガリウム粉末(化学式:Ga、D50=1.7μm)、酸化インジウム粉末(化学式:In、D50=11 μm)を酸化物の原料粉末として用意し、さらには、銅粉末(化学式:Cu、D50=3.0μm)、チタン粉末(化学式:Ti、D50=29.0μm)を金属の原料粉末として用意した。そこで、表1に示されるように、これらの各原料粉末から選択された原料粉末を、所定の比率になるように秤量した。
これらの秤量した原料粉末と、その3倍量(重量比)のジルコニアボールとをポリ容器に入れ、ボールミル装置にて18時間、湿式混合して、実施例1〜25の混合粉末を得た。なお、この際の溶媒には、例えばアルコールを用いる。次に、得られた実施例1〜25の混合粉末の各々を乾燥後、種々の温度900〜1200℃で3時間、300kgf/cmにおいて真空ホットプレスして焼結体を得た。これを機械加工して、実施例1〜25のスパッタリングターゲットを作製した。この加工後のスパッタリングターゲットには、Inを半田として、Cu又はSUS(ステンレス)又はその他金属(例えば、Mo)からなるバッキングプレートをボンディングした。なお、ターゲットのサイズは、直径125mm×厚さ5mmとした。ここで、真空中のホットプレス(HP)の代わりに、不活性ガス中でホットプレスすることもできる。また、ホットプレスに限らず、熱間静水圧プレス(HIP)など、他の方法で加圧焼結することも可能である。
また、本実施例との比較のため、比較例のスパッタリングターゲットを作製した。上記で用意された各原料粉末を用いて、表1に示されるように、各原料粉末から選択された原料粉末を、所定の比率になるように秤量し、本実施例の場合と同様に、ボールミル装置にて18時間、湿式混合して、比較例1〜8の混合粉末を得て、得られた比較例1〜8の混合粉末の各々を乾燥後、種々の温度900〜1000℃で3時間、300kgf/cmにおいて真空ホットプレスして焼結体を得て、これを機械加工して、比較例1〜8のスパッタリングターゲットを作製した。

ここで、表1には、実施例1〜25および比較例1〜8における、混合粉末の原料組成をモル比(mol%)で示した。表1における、この原料組成のモル比の表示は、実際に使用された原料粉末である酸化物としてのZnO粉末、SiO粉末、Al粉末、Ga粉末及びIn粉末の分子量としてのモル比として表示した。CuおよびTiについては、上記の金属酸化物の原料粉末としてではなく、CuおよびTiの原子としてのモル比を表示した。最終的に製造されたスパッタリングターゲットの一定体積中に含まれる亜鉛原子、ケイ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子、およびインジウム原子、のそれぞれの原子数を「Zn」、「Si」、「Al」、「Ga」及び「In」で表記し、さらに、Cu原子及びTi原子の合計原子数を「Me」で表記するとすれば、各原料粉末が、
金属元素の原子比R1:(Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.001以上であり、
原子比R2:Si/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.005以上であり、
原子比R3:(Si+Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.33以下であり、
かつ、原子比R4:Me/(Me+Al+Ga+In+Zn+Si)が0.15〜0.90となる条件を満たすように配合される。
実施例1〜25及び比較例1〜8の混合粉末が、上記金属原子の原子比R1〜R4の条件を満たしている様子が、以下の表2に示されている。

次に、上述した実施例1〜25及び比較例1〜8のスパッタリングターゲットを用いて、以下の成膜条件により、ポリカーボネート(PC)基板上に成膜試験を行い、実施例1〜25及び比較例1〜8の薄膜(記録膜)を成膜した。
<成膜条件>
・電源:DC1000W
・全圧:0.4Pa
・スパッタリングガス:Ar=45sccm
・ターゲット−基板(TS)距離:70mm
上記の成膜条件に従った成膜試験により、異常放電回数(回数/時間)を測定した。その結果が、表3に示されている。
<異常放電回数の測定>
上述の条件において1時間のスパッタリングを行い、異常放電の回数を計測した。その後、スパッタチャンバーを開放し、チャンバー内のパーティクルを確認した。
次いで、上記実施例1〜25及び比較例1〜8のスパッタリングターゲットを用いてPC基板上に成膜した実施例1〜25及び比較例1〜8の薄膜について、パルスレーザー光線の照射により、コントラスト変化の評価を行った。その結果が、表3に示されている。
<記録マークの書込み評価>
記録マークの書込み評価には、試料として、厚さが1.1mmのPC基板上に、薄膜(記録膜)を100nmの狙い膜厚で成膜した。その作製された薄膜について、TOPTICA Photonics AG 製の装置(MediaTest-1)を用いて、モジュレーションの測定を行った。記録マークの書き込みには、波長が399nm、出力が3.0mWで、300nsのパルスレーザー光線が用いられた。また、記録マークの書込み変化を表すモジュレーションの測定には、波長が422nm、出力が0.2mWのレーザー光線を用いて、書込み照射を行った。
なお、モジュレーション率については、記録マークの反射強度を電圧値(V)として検出し、以下の計算式により導出した。
(モジュレーション率)=
{(照射後の反射強度)−(照射前の反射強度)}/(照射前の反射強度)

表3に示されるように、実施例1〜25のスパッタリングターゲットのいずれにおいても、異常放電回数が、スパッタリング実施上、何ら問題とならない程度に少なく、直流(DC)スパッタリングが可能であることが確認できた。また、実施例1〜25のスパッタリングターゲットのいずれを用いて成膜された薄膜も、記録膜として用いるに十分なモジュレーション率が得られることが確認できた。
一方、比較例1、2、4、7、8のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングでは、成膜された薄膜に係るコントラスト変化は、充分であったが、異常放電回数が多く、スパッタリングに支障を来たした。また、比較例3のスパッタリングターゲットに関しては、異常放電回数が少なく、スパッタリング実施上、何ら問題とならないが、Si酸化物の添加量が少ないため、モジュレーション率が小さく、記録膜として実用に供し得ないものであった。比較例5のスパッタリングターゲットに関しては、異常放電回数が少なく、スパッタリング実施上、何ら問題とならないが、Cu金属の添加量が少なすぎるため、モジュレーション率が大きくならず、記録膜として実用に供し得ないものであった。また、比較例6のスパッタリングターゲットに関しては、異常放電回数が少なく、スパッタリング実施上、何ら問題とならないが、金属成分として、Cuの添加量が多すぎるため、モジュレーション率が小さく、実用に供し得ないものであった。
以上の様に、本発明による薄膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法によると、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上と、Zn酸化物粉末と、Si酸化物粉末と、Me粉末(Cu金属粉末及びTi金属粉末のうちの1種又は2種を含む)とを、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上に関する原子比R1が0.001以上であり、Si酸化物粉末に関する原子比R2が0.005以上であり、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上とSi酸化物粉末とに関する原子比R3が0.33以下であり、かつ、Me金属粉末に関する原子比R4が0.15〜0.90となる配合比で配合された混合粉末を加圧焼結して焼結体を得て、薄膜形成用スパッタリングターゲットとしたので、スパッタリング時には、異常放電・パーティクルの発生を低減することができ、薄膜を直流(DC)スパッタリングで成膜できるようになり、当該スパッタリングターゲットを用いて成膜された薄膜は、記録膜として実用に供するに充分な特性(モジュレーション率)を有することが確認された。光記録媒体、例えば、CD、DVD、BD等における記録膜として、安い材料で構成し、反応スパッタリングガスを不要とするなど、成膜コストを低減でき、光記録媒体の生産性向上に寄与することが分かった。
なお、本発明を、スパッタリングターゲットとして利用するためには、面粗さ:5.0μm以下、より好ましくは1.0μm以下、粒径:20μm以下より好ましくは10μm以下、金属系不純物濃度:0.1原子%以下、より好ましくは0.05原子%以下、抗折強度:50MPa以上、より好ましくは100MPa以上であることが好ましい。上記各実施例は、いずれもこれらの条件を満たしたものである。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態および上記実施例では、加圧焼結をホットプレスによって行っているが、他の方法としてHIP法(熱間等方加圧式焼結法)等を採用しても構わない。



Claims (3)

  1. Cu及びTiのうちの1種又は2種による金属相と、Znと、Siと、Al、Ga及びInのうちの1種又は2種以上とを含む酸化物相とが分散分布した組織を有する焼結体からなり、
    前記焼結体に含まれる金属元素は、原子比で、(Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.001以上であり、Si/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.005以上であり、(Si+Al+Ga+In)/(Al+Ga+In+Zn+Si)が0.33以下であり、
    (Cu+Ti)/(Cu+Ti+Al+Ga+In+Zn+Si)が0.15〜0.90であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 請求項1に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、Al酸化物粉末、Ga酸化物粉末及びIn酸化物粉末のうちの1種又は2種以上と、Zn酸化物粉末と、Si酸化物粉末と、Cu及びTiのうちの1種又は2種の金属粉末とを含む混合粉末を作成し、該混合粉末を、真空又は不活性雰囲気中で焼結して焼結体を得ることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 請求項1に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングで成膜され、
    Cu及びTiのうちの1種又は2種と、ZnとSiとAl、Ga及びInのうちの1種又は2種以上とを含有することを特徴とする光記録媒体用記録膜。



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