JP6450229B2 - Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法に関し、特に、光情報記録媒体の記録層の形成に供して好適なMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
合金又は焼結体からなるスパッタリングターゲットにArイオンを衝突させるスパッタリング法は、ガラスコーティング、半導体素子製造、フラットパネルディスプレイ製造、光情報記録媒体(記録型光ディスク)の記録層形成などの幅広い技術分野において行われている。
これらのうち、例えば光情報記録媒体の技術分野では、取り扱うデータの増大に伴い大容量化が益々求められている。ここで、光情報記録媒体は読み込み専用と記録型に大別され、このうち記録型は、追記型と書き換え型の2種類に区分することができる。追記型光ディスクの記録層材料として、従来は有機色素材料が広く検討されてきたが、近年の大容量化に伴い無機材料も広く検討されるようになってきた。
現状、追記型光ディスクの無機系記録層材料として、パラジウム酸化物系材料が実用化されているが、Pdは希少金属であるために材料コストが高く、安価な材料コストで十分良好な記録特性が得られるものとしてマンガン酸化物系の材料が開発されている。
このようなマンガン酸化物系の材料からなる記録層として、Mnの酸化物と、金属Ma(但し、金属MaはMg、Mo、SiおよびTeから選択される)の酸化物とを含み、さらに金属M(Sn、Zn、Bi等から選択される)を含むMn−Zn−Mo−O系記録層が特許文献1において提案されている。そして特許文献1では、上記Mn−Zn−Mo−O系記録層を成膜する具体的な手法として、コスパッタ(多元スパッタ)法を開示している。特許文献1に記載の技術を用いることで、希少金属であるPdを用いずに、材料:Mn−Zn−Mo−O系記録層が実現される。
国際公開第2013/183277号
ここで、前述の材料からなるMn−Zn−Mo−O系記録層のように、複数種の元素を含有する層をスパッタリング法で形成する方法の一つとして、特許文献1に開示されているように、それぞれの元素からなる複数のターゲットをスパッタする多元スパッタ法が挙げられる。他の方法として、複数の元素を含有する1枚の複合ターゲットを単一ターゲットとしてスパッタリングする方法が挙げられる。ここで、多元スパッタ法は、装置が大型化してコストアップ要因になる上、組成ずれが生じやすいという欠点があるため、量産化の観点では複合ターゲットを用いる方が好ましい。
前掲の特許文献1は、情報記録媒体作製用のスパッタリングターゲットとして、Mnの酸化物を含み、上記Mnの酸化物の一部または全部は、Mnの価数が+4未満の酸化物状態で存在するターゲットを提案し、このターゲットにおいて、上記酸化物状態で存在するMnの酸化物が熱分解しないMn34であることが好ましいことが提案されている。さらに、このターゲットは、Mn以外の金属または該金属の酸化物をさらに含んでもよく、上記金属は、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であることが提案されている。さらに、Zr、Al、Ta、Mo、Si、Mg、Hf、V、Ti、Sb及びTeのうち、任意の金属元素が添加されてもよいことが提案されている。
しかしながら、特許文献1は、具体的なMn−Zn−Mo−O系の複合スパッタリングターゲットについては言及していない。Mnと、Znと、Moと、Oとを成分組成に含むMn−Zn−Mo−O系の複合スパッタリングターゲットは、これまでのところ確立されていないのである。
そこで、本発明は、Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記諸目的を達成すべく鋭意検討を行い、Mn34粉末、ZnO粉末、Mo粉末を原料として、Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットの作製を試みた。ところが、試作したMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットの中には、耐割れ性に劣り、スパッタ中に割れてしまうものが存在することが本発明者らの実験により明らかとなった。この原因を鋭意検討したところ、本発明者らは、Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットの耐割れ性が、Mn及びOのみから構成されるマンガン酸化物に依存することを知見した。さらに検討したところ、特許文献1に提案されているような、ターゲット中にMn34結晶相が存在すると、むしろターゲットの耐割れ性が劣化することが判明した。そして、Mn及びOのみから構成されるマンガン酸化物を極力排除することにより、ターゲットの耐割れ性を改善できることを本発明者らは知見し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記諸課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> Mnと、Znと、Moと、Oとを成分組成に含むMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットであって、
Moに起因するピークの最大ピーク強度PMoに対するMn及びOのみから構成されるマンガン酸化物に起因するピークの最大ピーク強度PMnOの比PMnO/PMoが、0.027以下であることを特徴とするスパッタリングターゲットである。
該<1>に記載のMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットは、Mn及びOのみから構成されるマンガン酸化物が実質的に存在せず、耐割れ性に優れたMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットを提供することができる。
<2> 前記スパッタリングターゲットのX線回折において、Zn2Mo38結晶相に起因するピークが存在する、前記<1>に記載のスパッタリングターゲットである。
<3> 前記最大ピーク強度PMoに対する前記ZnMo結晶相に起因するピークの最大ピーク強度PZnMoOの比PZnMoO/PMoが0.015以上である、前記<2>に記載のスパッタリングターゲットである。
<4> Mnと、Znと、Moとの合計100原子%に対してMn:4〜40原子%、Zn:15〜50原子%、Mo:5〜30原子%である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<5> Cu、Mg、Ag、Ru、Ni、Zr、Sn、Bi、Ge、Co、Al、In、Pd、Ga、Te、V、Si、Ta、Cr、Tbからなる群より選択される1種単独又は2種以上の元素を前記成分組成に更に含む、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のスパッタリングターゲットである。
<6> 前記群より選択される1種単独又は2種以上の元素の含有率は、前記スパッタリングターゲットの構成元素のうち、Oを除いた合計100原子%に対して8〜70原子%である、前記<5>に記載のスパッタリングターゲットである。
<7> 前記<1>に記載のMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットを製造する方法であって、
Mnを成分含有する粉末と、Znを成分含有する粉末と、Moを成分含有する粉末とを含む混合粉末を、12時間以上湿式混合する混合工程と、
該混合工程の後、前記混合粉末を700℃以上の温度で焼結する焼結工程と、を含むことを特徴とする製造方法である。
該<7>に記載の製造方法によれば、耐割れ性に優れたMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットの製造方法を提供することができる。
<8> 前記Mnを成分含有する粉末は、マンガン酸化物粉末からなり、前記Znを成分含有する粉末は、亜鉛酸化物粉末からなり、前記Moを成分含有する粉末は、金属モリブデン粉末からなる、前記<7>に記載の製造方法である。
<9> 前記混合粉末は、Cu、Mg、Ag、Ru、Ni、Zr、Sn、Bi、Ge、Co、Al、In、Pd、Ga、Te、V、Si、Ta、Cr、Tbからなる群より選択される1種単独又は2種以上の元素の単体又は化合物からなる粉末を更に含む、前記<7>又は<8>に記載の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、耐割れ性に優れたMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に従うスパッタリングターゲットの製造方法を説明するためのフローチャートである。 実施例2に係るスパッタリングターゲットのX線回折スペクトルである。
(Mn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット)
本発明のMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットは、Mnと、Znと、Moと、Oとを成分組成に含むMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットである。以下、本発明のMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットを単に「ターゲット」と称し、本発明に従うターゲットを詳細に説明する。
<ターゲット>
本発明の一実施形態に従うターゲットは、Mnと、Znと、Moと、Oとを成分組成に含み、さらに、必要に応じて、その他の成分組成を含む。
前記ターゲットのX線回折において、Moに起因するピークの最大ピーク強度PMoに対するMn及びOのみから構成されるマンガン酸化物に起因するピークの最大ピーク強度PMnOの比PMnO/PMoが、0.027以下である。
<<Mn及びOのみから構成されるマンガン酸化物>>
ここで、Mn及びOのみから構成されるマンガン酸化物とは、Mn34(酸化マンガン(II,III))及びMn23(酸化マンガン(III))などの、酸化マンガンであり、後述のMgO−MnOなどの、Mn及びO以外の元素を含むマンガン複合酸化物は除外される。マンガン酸化物としては、他にMnO、MnO2、MnO3及びMn27なども挙げられる。以下、本明細書においては、マンガン酸化物のうち、Mn及びOのみから構成される酸化マンガンを単に「酸化マンガン」と称し、Mn及びO以外の元素を含む酸化物を「マンガン複合酸化物」と称し、両者を区分する。本実施形態において、酸化マンガンの結晶相がターゲットに実質的に存在しないことが肝要であり、その実質的な存否をX線回折におけるピーク強度を用いて特定する。
<<ターゲットのX線回折における強度>>
ターゲットのX線回折スペクトルの取得は、常法に従い行うことができ、例えばSmartlab;株式会社リガク製を用いて、ターゲット表面をθ−2θスキャンしてスペクトルを取得すればよい。本実施形態において、ターゲットの特性を特定するために、上記Moに起因するピークの最大ピーク強度PMoと、酸化マンガンに起因するピークの最大ピーク強度PMnOとを少なくとも測定し、必要に応じて、その他の結晶相に起因するピークのピーク強度を測定する。
−測定条件−
X線回折の測定条件はターゲットに応じて適宜定まり、例えば以下の条件の範囲内から選択することができる。
X線源:Cu―Kα線
出力設定:20〜100kV、10〜100mA
測角範囲:2θ=5°〜80°
スキャン速度:1°〜4°(2θ/min)、連続スキャン
発散スリット:0.5°〜2°
散乱スリット:0.5°〜2°
受光スリット:0.1mm〜0.5mm
−ピーク強度−
Moの回折ピークは、40.52°±0.3°、58.61°±0.3°などの範囲で検出され、これらのうちの最大値をMoに起因するピークの最大ピーク強度PMo(単位:cps、以下同じ。)とし、本実施形態における基準強度とする。本実施形態に従うターゲットのX線回折スペクトルにおいて、Moに起因するピークの最大ピーク強度PMoが、ターゲット中の各成分のピークの最大ピーク強度のうち最大強度となることが多いためである。次に、酸化マンガンに起因するピークの最大ピーク強度PMnOについて説明する。例えばMn34の回折ピークは28.88°±0.3°、59.84°±0.3°などの範囲で検出され、Mn23の場合には32.98°±0.3°、55.24°±0.3°などの範囲で検出される。これらのうち、酸化マンガンの回折ピークが有意に検出される場合には、酸化マンガンに起因するピークのピーク強度の最大値を最大ピーク強度PMnOとし、酸化マンガンの回折ピークがX線回折スペクトルのバックグラウンドに埋没している場合(例えばバックグラウンド強度の1.1倍以下)には、回折ピークが検出されないとみなしてピーク強度PMnOを0(ゼロ)とする。なお、実施例において後述するMgO−MnOの回折ピークは42.47°±0.3°、61.63°±0.3°などの範囲で検出されるため、酸化マンガンに起因する回折ピークとはピーク位置が明確に異なる。
比PMnO/PMoが0.027以下であれば、酸化マンガンの結晶相がターゲットに実質的に存在せず、ターゲットの耐割れ性が優れることとなる。酸化マンガンの結晶相がターゲットに実質的に存在しないことにより、ターゲットの耐割れ性が優れる理由、換言すれば、酸化マンガンの結晶相がターゲットに有意に存在することによりターゲットの耐割れ性が劣化する理論的な理由は現在のところ明らかではないが、焼結が不十分であると、焼結密度が低く機械的特性が劣るからだと本発明者らは考えている。
以上のとおり、本実施形態に従い、耐割れ性に優れたMn−Zn−Mo−O系ターゲットを提供することができる。また、本実施形態に従うターゲットは、光情報記録媒体の記録層の形成に供して特に好適であるが、用途が何ら限定されるものではない。
なお、比PMnO/PMoとしては、前述の範囲内であれば特に制限されないが、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましく、0(すなわち、酸化マンガンの回折ピークが検出されない)であることが最も好ましい。
<<Zn2Mo38結晶相>>
ここで、本実施形態に従うターゲットのX線回折において、ターゲットの耐割れ性をより確実に向上させるために、Zn2Mo38結晶相が存在することが好ましい。焼結が十分に進むと、Zn2Mo38結晶相が生成されるためである。Zn2Mo38結晶相の存在はZn2Mo38結晶相に起因するピークの存在により特定することができ、本実施形態においては、Zn2Mo38結晶相に起因するピークが存在することが好ましい。なお、Zn2Mo38結晶相に起因するピークが存在するとは、X線回折スペクトルにおけるバックグラウンドに対して有意なピークが検出されることを意味する。
−Zn2Mo38結晶相に起因するピークのピーク強度PZnMoO
Zn2Mo38結晶相に起因する回折ピークは、17.88°±0.3°、25.27°±0.3°などの範囲で検出され、これらのピークのうちの最大強度となるピークの強度を最大ピーク強度PZnMoOとすると、比PZnMoO/PMoが0.015以上であれば、ターゲットの耐割れ性をより向上することができ、好ましい。さらに、比PZnMoO/PMoが0.02以上であることがより好ましく、0.03以上であることが最も好ましい。
<<成分比>>
ここで、本実施形態に従うターゲットの成分比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Mnと、Znと、Moとの合計100原子%に対してMn:4〜40原子%、Zn:15〜50原子%、Mo:5〜30原子%であることが好ましい。
<<その他の成分>>
さらに、本実施形態に従うターゲットは、Cu、Mg、Ag、Ru、Ni、Zr、Sn、Bi、Ge、Co、Al、In、Pd、Ga、Te、V、Si、Ta、Cr、Tbからなる群より選択される1種単独又は2種以上の元素を成分組成に更に含むことが好ましい。例えば、本実施形態に従うターゲットを情報記録媒体の記録層形成に供する場合、これらの元素を更に成分組成に含むことにより透過率、反射率および記録感度を変化させて、多層構造の記録層とすることができ、有用である。また、本実施形態に従うターゲットは、Cu及びMgのいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。
−その他の成分の成分比−
上記群より選択される1種単独又は2種以上の元素の含有率は、スパッタリングターゲットの構成元素のうち、O(酸素)を除いた合計100原子%に対して8〜70原子%とすることができ、この範囲で用途に応じて適宜選択することができる。
なお、本実施形態に従うターゲットの形状は何ら限定されることはなく、円盤状、円筒状、四角形板状、長方形板状、正方形板状など、任意の形状とすることができ、ターゲットの用途に応じて適宜選択することができる。また、ターゲットの幅及び奥行きの大きさ(円形の場合には直径)についても、mmオーダー〜mオーダー程度の範囲で、ターゲットの用途に応じて適宜選択することができるが、一般的には直径50mm〜300mm程度である。厚みについても同様であるが、一般的には1mm〜20mm程度である。
<ターゲットの製造方法>
次に、図1を用いて、前述の本発明の一実施形態に従うターゲットの製造方法を説明する。本発明の一実施形態に従うターゲットの製造方法は、混合工程(S10)と、焼結工程(S20)と、を含み、さらに、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
<<混合工程(S10)>>
前記混合工程(S10)は、Mnを成分含有する粉末と、Znを成分含有する粉末と、Moを成分含有する粉末とを含む混合粉末を、12時間以上湿式混合する工程である。
前記湿式混合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば従来公知のボールミル装置を用いた湿式混合方法、などが挙げられる。本工程で混合する前記混合粉末及び混合条件を以下に説明する。
前記混合粉末は、Mnを成分含有する粉末と、Znを成分含有する粉末と、Moを成分含有する粉末とを含み、必要に応じて、その他の粉末を含む。
−Mnを成分含有する粉末−
前記Mnを成分含有する粉末としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Mnの単体からなる粉末、マンガン化合物粉末、マンガン酸化物(例えば、Mn34、Mn23、など)粉末、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、マンガン酸化物粉末が好ましく、Mn34粉末がより好ましい。焼結温度と融点の関係のためである。
なお、前記Mnを成分含有する粉末の平均粒径としては、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記Mn34粉末の平均粒径としては、市販の3μm〜7μm程度とすることもできる。
−Znを成分含有する粉末−
前記Znを成分含有する粉末としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Znの単体からなる粉末、亜鉛化合物粉末、亜鉛酸化物粉末、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、亜鉛酸化物粉末が好ましく、ZnO粉末がより好ましい。焼結温度と融点の関係のためである。
なお、前記Znを成分含有する粉末の平均粒径としては、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記ZnO粉末の平均粒径としては、市販の1μm〜3μm程度とすることができる。
−Moを成分含有する粉末−
前記Moを成分含有する粉末としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Moの単体からなる粉末、モリブデン化合物粉末、モリブデン酸化物粉末、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、Moの単体からなる金属モリブデン粉末が好ましい。導電性を持たせるためである。
なお、前記Moを成分含有する粉末の平均粒径としては、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記Mo粉末の平均粒径としては、市販の1μm〜5μm程度とすることができる。
−その他の粉末−
前記その他の粉末としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Cu、Mg、Ag、Ru、Ni、Zr、Sn、Bi、Ge、Co、Al、In、Pd、Ga、Te、V、Si、Ta、Cr、Tbからなる群より選択される1種単独又は2種以上の元素の単体又は化合物からなる粉末、などが挙げられる。ここで、製造するターゲットの所望の目的に応じて、かかる粉末を前記混合粉末に含ませてもよい。
−混合時間−
ここで、前記混合粉末を12時間以上湿式混合することが本実施形態において肝要である。混合時間を12時間以上とすることにより、十分に混合粉末を混合することができるので、焼結中の酸化マンガンの固相反応を促進して、焼結後の酸化マンガン結晶相の残留を抑制することができる。また、上記範囲の中でも、混合時間を16時間以上とすることが好ましく、20時間以上とすることがより好ましく、24時間以上とすることが最も好ましい。24時間混合すると、混合の効果が飽和するものの、24時間以上混合しても構わず、上限を意図するものではないが、工業的な生産性を考慮し、上限を168時間と設定することができる。
<<焼結工程(S20)>>
前記焼結工程(S20)は、前記混合工程の後に行う工程であって、前記混合粉末を700℃以上の温度で焼結する焼結工程である。
−焼結−
前記焼結としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性ガス雰囲気中でのホットプレス、熱間等方圧加圧法(HIP法;Hot Isostatic Pressing)、などが挙げられる。
ここで、前記混合粉末を700℃以上の温度で焼結することが、本実施形態において肝要である。焼結温度を700℃以上とすることにより、焼結後の酸化マンガン結晶相の残留を抑制することができる。
なお、焼結時間は特に限定されず、適宜選択することが可能であり、一般的に行われる1時間〜6時間程度の焼結時間とすればよい。
以上の工程を経て製造されたMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットは、該スパッタリングターゲットのX線回折において、Moに起因するピークの最大ピーク強度PMoに対するMn及びOのみから構成されるマンガン酸化物に起因するピークの最大ピーク強度PMnOの比PMnO/PMoが、0.027以下となる。従って、耐割れ性に優れたターゲットを製造することができる。
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合粉末の成形工程、などが挙げられる。
−成形工程−
なお、前記成形工程は、本発明において必須ではなく、ターゲットの形状を成形するために行われることがある。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下のとおり、本発明に従うターゲットとして実施例1、2を作製し、対照用のターゲットとして比較例1、2を作製し、耐割れ性を評価した。
(実施例1)
原料粉末として、以下の粉末を用意した。
純度:99.9%以上、平均粒径:5μm、Mn34粉末
純度:99.9%以上、平均粒径:1.4μm、ZnO粉末
純度:99.9%以上、平均粒径:2μm、Mo粉末
各金属元素の割合を、Mn:Mo:Zn=20:30:50(原子%)となるように、上記Mn34粉末、ZnO粉末及びMo粉末を秤量した。秤量した各原料粉末と、各原料粉末の合計重量の3倍のジルコニアボール(直径5mm)と、アルコールとをポリ容器に入れ、ボールミル装置にて、湿式混合を24時間行った。混合粉末を乾燥後、目開き500μmのふるいにかけた。次いで、焼結温度:1000℃、焼結時間:2時間、圧力:200kgf/cm2、不活性ガス雰囲気中でホットプレスを行い、実施例1に係るターゲットを作製した。
(実施例2)
実施例1の原料粉末に加えて、更に以下の粉末を用意した。
純度:99.9%以上、平均粒径:3μm、Cu粉末
純度:99.9%以上、平均粒径:1μm、MgO粉末
各金属元素の割合を、Mn:Mo:Zn:Cu:Mg=10:20:40:10:20(原子%)となるように、Mn34粉末、ZnO粉末、Mo粉末、Cu粉末及びMgO粉末を秤量した。湿式混合及び焼結などのその他の条件は実施例1と同様にして、実施例2に係るターゲットを作製した。
(比較例1)
実施例1において、混合時間を24時間とする代わりに、混合時間を2時間とした以外は、実施例1と同様に比較例1に係るターゲットを作製した。
(比較例2)
実施例1において、焼結温度を1000℃とする代わりに、焼結温度を600℃とした以外は、実施例1と同様に比較例2に係るターゲットを作製した。
<評価>
以上の実施例1、2及び比較例1、2で作製したターゲットについて、(A)成分評価及び(B)耐割れ性評価を行った。各評価は、次のように行った。
(A)成分評価
実施例1、2及び比較例1、2に係るターゲットについて、X線回折法により、ターゲット中の成分評価を行った。X線回折にあたっては、SmartLab;株式会社リガク製を用いて、θ−2θスキャンし、X線回折スペクトルを得た。実施例2に係るターゲットのX線回折スペクトルを代表例として図2に示す。なお、強度は任意単位(a.u.)で示している。Moのピークの最大ピーク強度PMo、マンガン酸化物のピークの最大ピーク強度PMnO、Zn2Mo38結晶相のピークの最大ピーク強度PZnMoOとした時のピーク強度比を表1に示す。なお、ピークがバックグラウンドに埋没していた場合には、ピーク強度を0としている。試験条件は以下のとおりである。
X線源:Cu―Kα線
出力設定:30kV、15mA
測角範囲:2θ=15°〜70°
スキャン速度:2°(2θ/min)、連続スキャン
発散スリット:1°
散乱スリット:1°
受光スリット:0.3mm
(B)耐割れ性評価
実施例1、2及び比較例1、2に係るターゲットを、無酸素銅製のバッキングプレートにInはんだでボンディングを行った。ボンディング後のターゲットをスパッタリング装置に取り付けた。次に、スパッタリング装置内を1×10-4Pa以下まで真空排気し、ArガスとO2ガスを導入し、装置内圧力を0.3Paとした。酸素の分圧([O2]/[Ar+O2])を70%とした。DC電源にて電力5W/cm2を印加して、30分間スパッタリングを行い、その後スパッタリング装置からターゲットを取り出して、それぞれのターゲットに割れが発生しているかどうか目視で観察した。ターゲットの耐割れ性を、下記の評価基準に基づき評価した。
○:割れが観察されなかった
×:割れが観察された
結果を表1に示す。
Figure 0006450229
以上の結果から、以下のことが確認された。
実施例1、2では、割れが発生しなかった一方、比較例1、2では割れが発生した。ここで、実施例1、2ではMoとZnOに起因するピークが観測されるが、Mn34のピークは検出されなかったので、原料粉末に由来するMn34結晶相が存在しないことがわかる。また、他の酸化マンガン結晶相起因のピークも検出されなかった。比較例1、2では、Mn34のピークが検出されたため、Mn34結晶相が残留していたことがわかった。比較例1、2で割れが発生したのは、混合又は焼結条件が不十分であったためにMn34結晶相が残留したからだと考えられる。また、実施例1、2ではZn2Mo38に起因するピークが観測された。さらに、実施例2ではMgO−MnOに起因するピークも観測された。これらのピークが観察された理由は焼結が十分に進んだためだと考えられる。
本発明によれば、光情報記録媒体の記録層の形成に供して特に好適な、耐割れ性に優れたMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することができる。
S10・・・混合工程
S20・・・焼結工程

Claims (9)

  1. Mnと、Znと、Moと、Oとを成分組成に含むMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットであって、
    前記スパッタリングターゲットのX線回折において、Moに起因するピークの最大ピーク強度PMoに対するMn及びOのみから構成されるマンガン酸化物に起因するピークの最大ピーク強度PMnOの比PMnO/PMoが、0.027以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記スパッタリングターゲットのX線回折において、ZnMo結晶相に起因するピークが存在する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記最大ピーク強度PMoに対する前記ZnMo結晶相に起因するピークの最大ピーク強度PZnMoOの比PZnMoO/PMoが0.015以上である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. Mnと、Znと、Moとの合計100原子%に対してMn:4〜40原子%、Zn:15〜50原子%、Mo:5〜30原子%である、請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
  5. Cu、Mg、Ag、Ru、Ni、Zr、Sn、Bi、Ge、Co、Al、In、Pd、Ga、Te、V、Si、Ta、Cr、Tbからなる群より選択される1種単独又は2種以上の元素を前記成分組成に更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記群より選択される1種単独又は2種以上の元素の含有率は、前記スパッタリングターゲットの構成元素のうち、Oを除いた合計100原子%に対して8〜70原子%である、請求項5に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 請求項1に記載のMn−Zn−Mo−O系スパッタリングターゲットを製造する方法であって、
    Mnを成分含有する粉末と、Znを成分含有する粉末と、Moを成分含有する粉末とを含む混合粉末を、12時間以上湿式混合する混合工程と、
    該混合工程の後、前記混合粉末を700℃以上の温度で焼結する焼結工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
  8. 前記Mnを成分含有する粉末は、マンガン酸化物粉末からなり、前記Znを成分含有する粉末は、亜鉛酸化物粉末からなり、前記Moを成分含有する粉末は、金属モリブデン粉末からなる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記混合粉末は、Cu、Mg、Ag、Ru、Ni、Zr、Sn、Bi、Ge、Co、Al、In、Pd、Ga、Te、V、Si、Ta、Cr、Tbからなる群より選択される1種単独又は2種以上の元素の単体又は化合物からなる粉末を更に含む、請求項7又は8に記載の製造方法。
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