JP2011219796A - Bi4Ti3O12相を含むBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

Bi4Ti3O12相を含むBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高密度で異常放電が発生し難く、安定した膜組成でスパッタリングが可能なBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】BiTi系酸化物ターゲットの金属成分としてのBiとTiとの原子比が、Bi:Ti=6:x(3<x<7)であるターゲットを提供する。特に、ターゲットのX線回折によりTiO相の(110)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満、またはBi相の(013)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、BiTi系複合酸化物であるBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法に関するものである。
近年、写真や動画の高画質化に伴い、光記録媒体等へ記録する際のデジタルデータが増大し、記録媒体の高容量化が求められ、既に、高記録容量の光記録媒体として二層記録方式により50GBの容量を有したBlu−ray Disc(登録商標)が販売されている。このBlu−ray Disc(登録商標)は、今後もさらなる高容量化が望まれており、記録層の多層化による高容量化の研究が盛んに行われている。
このような複数の記録層を積層した光記録媒体の実現には、全ての記録層にレーザー光を到達させるため、記録層の半透明化が必要とされる。そのために複数の記録層の各層との間に透明な高屈折率膜として、TiOとBiの混合物の膜を設けることが報告されている(特許文献1参照)。
一方、強誘電体メモリ用の誘電体膜としてBiTi12膜が知られている。このBiTi12膜をスパッタ法により成膜するためのターゲットとしては、例えば特許文献2に、Bi粉末とTiO粉末とTi粉末との混合粉末を真空中で、1300℃で2時間焼成して作製するターゲットが提案されている。また、特許文献3には、Ti粉末とBi粉末とを混合して焼成して作製したBiTiターゲットが提案され、このターゲットを酸素を含有する雰囲気中でスパッタリングすることで、BiTi12膜を成膜している。
特開2008−97794号公報(段落番号0013) 特開平7−166340号公報(段落番号0014,0037) 特開2007−63653号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、BiTi12膜を形成するための特許文献2記載の従来のターゲットでは、Bi粉末とTiO粉末とTi粉末との混合粉末を円板ターゲット状に成型し、真空中で焼成しているため、成型体中のBiが還元されてBiとなって溶出することがあり、取出し時にターゲットが割れることがあった。
また、特許文献3記載のBi粉とTi粉とより構成されたターゲットは、Biが溶解しない270℃以下で成形されるため、圧密化はされるものの両金属間の拡散が不十分でスパッタ中に割れることがあった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、高密度で異常放電が発生し難く、安定した膜組成のスパッタリングが可能なBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、BiTi系酸化物ターゲットについて研究を進めたところ、予め要素粉末からなる原料粉末を所定温度範囲内で仮焼して得た焼結前の粉末に複合酸化物であるBiTi12相を主相として含有させることによって、従来得ることができなかった複合酸化物としてのBiTi12相からなる、あるいはBiTi12相を主相として含む高密度のターゲットを形成することができることを見出した。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のBiTi系酸化物ターゲットは、ターゲットを構成する金属成分のBiとTiを、Bi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比で含有し、BiTi12相からなる、あるいはBiTi12相を含む酸化物からなることを特徴とする。
このBiTi系酸化物ターゲットでは、複合酸化物としてのBiTi12相からなる、あるいはBiTi12相を含む酸化物からなるので、このターゲットによりスパッタリングすることで、異常放電が発生し難く、安定した組成のBiTi系酸化物膜を形成することができる。
また、本発明のBiTi系酸化物ターゲットは、X線回折によりTiO相の(110)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満、またはBi相の(013)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満であることを特徴とする。
このBiTi系酸化物ターゲットでは、X線回折によりTiO相の(110)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満、またはBi相の(013)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満であるので、BiTi12相、あるいはBiTi12相を主相とした高密度な組織を有している。
なお、Bi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比の比率に設定し、TiO相の(110)面による回折ピークの強度を、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満とした理由およびBi相の(013)面による回折ピークの強度を、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満とした理由は、上記範囲を外れると、ターゲットの内部に空孔が多くなり密度が低下すると共に、金属Bi、TiOあるいはBiの相が多く含まれる結果、異常放電が増大するためである。
本発明のBiTi系酸化物ターゲットの製造方法は、ターゲットを構成する金属成分としてのBiとTiとをBi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比で秤量したBiの酸化物とTiの酸化物を粉砕混合して混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を温度:600〜800℃で1〜20時間仮焼して仮焼粉とする工程と、該仮焼粉を真空または不活性ガス雰囲気中で圧力を加えながら加熱して焼結させる工程と、を有していることを特徴とする。
すなわち、このBiTi系酸化物ターゲットの製造方法では、上記の原子比で秤量したBiの酸化物とTiの酸化物を粉砕混合して混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を温度:600〜800℃で1〜20時間仮焼して仮焼粉とする工程と、を有しているので、予め仮焼によって複合酸化物としてのBiTi12相からなる、あるいはBiTi12相を含む仮焼粉から焼結することで、複合酸化物であるBiTi12相を主相とした高密度な組織を有するターゲットを作製することができる。
なお、BiとTiとの含有比率を上記範囲に設定した理由は、Bi:Ti=6:x(x≦3、7≦x)であると、ターゲットの内部に空孔が多くなり密度が低下すると共に、金属Bi、TiOあるいはBiの相が多く含まれる結果、異常放電が増大するためである。
また、上記仮焼の温度を上記範囲に設定した理由は、600℃未満であると複合酸化物への反応が不十分であり、また800℃を超えるとホットプレス等の焼結の際に金属Bi相の融出が生じ高密度な組織が得られないためである。
また、本発明のBiTi系酸化物ターゲットは、上記本発明のBiTi系酸化物ターゲットの製造方法により作製されたことを特徴とする。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るBiTi系酸化物ターゲットによれば、金属成分としてのBiとTiとをBi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比で含有し、BiTi12相、あるいはBiTi12相を主相とした酸化物からなるので、異常放電の発生を抑えるができるので安定した成膜作業をすることができる。
また、本発明のBiTi系酸化物ターゲットの製造方法では、ターゲットを構成する金属成分としてのBiとTiとをBi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比で秤量したBiの酸化物とTiの酸化物とを粉砕混合して混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を温度:600〜800℃で仮焼して仮焼粉とする工程と、を有しているので、複合酸化物であるBiTi12相、あるいはBiTi12相を主相とした高密度な組織を有する本発明のターゲットを作製することができる。
したがって、本発明のBiTi系酸化物ターゲットを用いてスパッタリングによりBiTi系膜を成膜することで、高記録容量の光記録媒体の記録層間に設ける透明な高屈折率膜に適した膜を得ることができる。
本発明に係るBiTi系酸化物ターゲットの組織の走査型電子顕微鏡による二次電子像(SEI)および反射電子像(COMP)を示す図である。 本発明に係る実施例において、電子線マイクロアナライザ(EPMA)による元素分布マッピング像を示す図である。 本発明に係るBiTi系酸化物ターゲットの比較例1として仮焼工程を除いたターゲットの組織であり、走査型電子顕微鏡による二次電子像および反射電子像を示す図である。 本発明に係る比較例1において、EPMAによる元素分布マッピング像を示す図である。 本発明に係る比較例2のターゲットの組織であり金属成分の原子比をBi:Ti=6:7としたものにおいて、走査型電子顕微鏡による二次電子像および反射電子像を示す図である。 本発明に係る比較例2において、EPMAによる元素分布マッピング像を示す図である。 本発明に係る比較例3のターゲットの組織であり金属成分の原子比をBi:Ti=6:3としたものにおいて、走査型電子顕微鏡による二次電子像および反射電子像を示す図である。 本発明に係る比較例3において、EPMAによる元素分布マッピング像を示す図である。 本発明に係る実施例のターゲットの、X線回折(XRD)結果を示すグラフである。 本発明に係る比較例1のターゲットの、X線回折(XRD)結果を示すグラフである。 本発明に係る比較例2のターゲットの、X線回折(XRD)結果を示すグラフである。 本発明に係る比較例3のターゲットの、X線回折(XRD)結果を示すグラフである。
以下、本発明に係るBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法の一実施形態を説明する。
本実施形態のBiTi系酸化物ターゲットは、ターゲットを構成する金属成分のBiとTiを、Bi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比で含有し、BiTi12相からなる、あるいはBiTi12相を主相として含む酸化物からなるものである。また、X線回折によりTiO相の(110)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満、またはBi相の(013)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満となっている。
なお、BiとTiとの含有比率は、さらにBi:Ti=6:x(4≦x≦5)であるこいとが望ましい。
このBiTi系酸化物ターゲットの製造方法は、ターゲットを構成する金属成分としてのBiとTiとをBi:Ti=6:x(3<x<7)となる原子比で秤量したBiの酸化物とTiの酸化物を粉砕混合して混合粉末を作製する工程と、該混合粉末を温度:600〜800℃で1〜20時間仮焼して仮焼粉とする工程と、該仮焼粉を真空または不活性ガス雰囲気中で圧力を加えながら加熱して焼結させるホットプレス等を行う工程と、を有している。
上記製法の一例について詳述すれば、例えば、まず酸化ビスマス(化学式:Bi、純度:3N、平均粒径:21μm)、酸化チタン(化学式:TiO、純度:3N、平均粒径:3μm)の各粉末を、金属成分の原子比がBi:Ti=6:4.5になるように秤量する。次に、秤量した粉末とその3倍量(重量比)のジルコニアボール(直径5mm)とをポリ容器に入れ、ボールミル装置にて18時間湿式混合して混合粉末を作製する。なお、この際の溶媒には、例えばアルコールを用いる。
次に、得られた混合粉末を乾燥後、例えば目開き:500μmの篩にかけジルコニアボールを除去した後、700℃にて5時間、大気中で仮焼して仮焼粉を作製する。この際、混合粉末には、仮焼によって複合酸化物が形成されている。さらに、この仮焼粉と5倍量(重量比)のジルコニアボール(直径5mm)とをポリ容器に入れ、ボールミル装置にて24時間解砕し、解砕粉を得る。なお、この際の溶媒には、例えばアルコールを用いる。
次に、得られた解砕粉を乾燥後、目開き500μmの篩にかけ、ジルコニアボールを除去する。その後、前記解砕粉を黒鉛モールドに充填し、例えば850℃にて3時間、350Kgf/cmの圧力で真空ホットプレスし、ターゲットとする。
なお、このホットプレスの条件としては、550〜1150℃にて1〜10時間、100〜600kgf/cmの圧力にて真空または不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
このように作製した本実施形態のBiTi系酸化物ターゲットでは、BiとTiとを上記原子比で含有し、BiTi12相からなる、あるいはBiTi12相を主相として含む酸化物からなるので、このターゲットによりスパッタリングすることで、異常放電が発生し難く、安定した組成のBiTi系酸化物膜を形成することができる。
特に、本発明のターゲットはX線回折によりTiO相の(110)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満、またはBi相の(013)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満となるので、BiTi12相、あるいはBiTi12相を主相とした高密度な組織を有している。
上記本実施形態に基づいて実際に作製したBiTi系酸化物ターゲットの実施例について、走査型電子顕微鏡およびEPMAによる評価を行った結果を図1および図2に示す。
なお、比較例1として、上記本実施形態から仮焼工程を除いて作製したターゲットについても同様に上記評価を行った。その結果を図3および図4に示す。
また、比較例2として、金属成分の原子比をBi:Ti=6:7として作製したターゲットについても同様に上記評価を行った。その結果を図5および図6に示す。
さらに、比較例3として、金属成分の原子比をBi:Ti=6:3として作製したターゲットについても同様に上記評価を行った結果を図7および図8に示す。
本実施例のターゲットでは、図1および図2に示す走査型電子顕微鏡による二次電子像、反射電子像およびEPMAによる元素分布マッピング像からわかるように、ターゲットは空孔が少なく、また金属成分のBiとTiとが非常に均一に分散している。これに対し、比較例1では、図3からわかるように、試料表面に凹凸が多数観察されている。これは、試料内に空孔が多数存在していることを示唆している。また、比較例1では、図4からわかるように、ホットプレス中において還元によって生成した金属ビスマスおよび未反応の酸化チタンと考えられる組織が観察されている。
また、比較例2では、図5からわかるように、上記本実施例および比較例1よりも試料表面に凹凸が観察され、図6からわかるように、ホットプレス中に還元によって生成した金属ビスマスおよび未反応の酸化チタンと考えられる組織が観察されている。
さらに、比較例3では、図7からわかるように、上記本実施例および比較例1よりも試料表面に多数の凹凸が観察され、図8からわかるように、還元によって生成した金属ビスマスおよび未反応の酸化ビスマスと考えられる組織が観察されている。
次に、上記本実施例のBiTi系酸化物ターゲットについて、XRDによる評価を行った結果を図9に示す。なお、上記比較例1〜3のターゲットについても、同様にXRDによる評価を行った。その結果を図10から図12に示す。
X線回折の測定条件は次のとおりである。
試料の準備:試料はSiC−Paper(grit 180)にて湿式研磨、乾燥の後、測定試料とした。
装置:理学電気社製(RINT−Ultima/PC)
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査範囲(2θ):5°〜90°
スリットサイズ:発散(DS)2/3度、散乱(SS)2/3度、受光(RS)0.8mm
測定ステップ幅:2θで0.02度
スキャンスピード:毎分2度
試料台回転スピード:30rpm
本実施例のターゲットでは、図9に示すように、BiTi12(PDF No.35−0795)に帰属する回折ピークのみが観測された。この結果、EPMAによる組織観察の結果と良く一致しており、本実施例のターゲットは、BiTi12単相であると考えられる。これに対し、比較例1では、図10に示すように、BiTi12に帰属する回折ピークの他に、TiO(PDF No.88−1172)、Bi(PDF No.85−1331)と考えられるピークが観測されている。この結果は、EPMAによる組織観察の結果と良く一致している。
また、比較例2では、図11に示すように、BiTi12に帰属する回折ピークの他に、TiO、Biと考えられるピークが観測されている。この結果は、EPMAによる組織観察の結果と良く一致している。また、TiO相の(110)面による回折ピークの(2θ=27.6°)強度は、BiTi12相の(171)面によるピーク(2θ=30.1°)強度の8.6%であった。
さらに、比較例3では、図12に示すように、BiTi12に帰属する回折ピークの他に、Bi(PDF No.74−1375)と考えられるピークが観測されている。この結果は、EPMAによる組織観察の結果と良く一致している。また、Bi相の(013)面によるピーク(2θ=28.0°)強度はBiTi12相の(171)面によるピーク強度の72.4%であった。
このように本実施例では、BiTi12相の単相からなる高密度な組織を有しているのに対し、比較例1〜3では、空孔が多くまた金属Bi、BiやTiO等の相を含む組織となっている。
次に、仮焼温度と保持時間とホットプレス温度とを変えてターゲットを作製した際のターゲット密度比および金属Biの生成の有無を、表1に示す。
なお、この仮焼工程は、昇温、保持および冷却の過程で構成されており、昇温で所定の温度に達した時点から当該温度を保持する時間を保持時間としている。したがって、表1において、保持時間が0h(時間)とされている場合は、所定の温度に達した直後に冷却を行った場合を示している。
この表1に示すとおり、仮焼を行わずにホットプレスした場合は高密度且つ金属が析出していないターゲットを作製することができなかった。また、仮焼温度を500℃とした場合、保持時間を30時間としてもホットプレス後のターゲットにおいて金属Biが融出した。これは500℃の仮焼温度では原料の反応が十分でなく、BiTi12相が十分形成されていないため未反応のBiがホットプレス中に還元して金属Biが生成し、融出が生じたためと考えられる。さらに、仮焼温度が600〜800℃では、原料の反応が十分進みBiTi12相が形成されてホットプレスにて高密度且つ金属Biの生成のないターゲットが得られた。また、仮焼温度を900℃以上とすると、原料の反応が進みすぎ、逆に金属Biの生成に伴う融出が生じる結果、高密度のターゲットが得られなかった。
次に、本発明および比較例のターゲットを用いて実際にスパッタリングを行い、得られたスパッタ膜について評価した。
まず、φ125mmに加工した本実施例のターゲットを無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムを用いてボンディングし、スパッタ装置に装着して成膜試験を行った。成膜の際は、到達真空圧力:7×10-4Paまで真空排気した後、アルゴンガス:50sccmと酸素ガス:1.5sccmとを供給し、ガスの全圧を1Paとし、高周波電源を用いて500Wの電力を投入して行った。
表2に、ターゲットを構成する金属成分のBiとTiの原子比をBi:Ti=6:x(2≦x≦8)としていずれも仮焼温度:700℃、保持時間:5時間、ホットプレス温度:850℃、ホットプレスの保持時間:3時間の条件で作製したターゲットを前述のスパッタ条件にて1時間スパッタを行った際の異常放電回数、各ターゲットでのTiO相の(110)面による回折ピークの(2θ=27.6°)強度と、BiTi12相の(171)面によるピーク(2θ=30.1°)強度との比、並びにBi相の(013)面によるピーク(2θ=28.0°)強度とBiTi12相の(171)面によるピーク強度との比を示す。なお、異常放電回数は目視にて計測した。
表2の結果から、異常放電を抑制するためには、ターゲットを構成するTiO相はBiTi12相のXRDにおけるピーク強度に対しピーク強度比8.6%未満、より好ましい範囲としてはピーク強度比4.4%以下、さらに好ましい範囲としてはピーク強度比1.3%以下であると良いことが判る。
またBi相の好ましい範囲としてはBiTi12相のXRDにおけるピーク強度に対しピーク強度比72.4%未満、より好ましい範囲としてはピーク強度比50.1%以下、さらに好ましい範囲としてはピーク強度比26.5%以下であると良いことが判る。
次に、Bi:Ti=6:4.5とした実施例4の成膜レートは0.88nm/secであった。前述のスパッタ条件で100nm成膜し、405nmの波長に対する屈折率と光の吸収度合いを示す消衰係数とを測定した。
その結果、得られたスパッタ膜は、屈折率n=2.82、消衰係数k=0.001であった。このように、得られた膜は、十分小さな消衰係数を有することから405nmの波長において透明性が高く、また大きな屈折率も示している。このように、本実施例のターゲットを用いて成膜したスパッタ膜は、青色レーザを用いた高記録容量の光記録媒体に設ける高屈折率膜に適した特性を有している。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態および上記実施例では、仮焼粉をホットプレスして焼結させているが、他の焼結方法としてHIP法(熱間等方加圧式焼結法)等を採用しても構わない。

Claims (4)

  1. 金属成分としてのBiとTiとの原子比が、Bi:Ti=6:x(3<x<7)であることを特徴とするBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲット。
  2. 請求項1に記載のBiTi系酸化物ターゲットにおいて、
    ターゲットのX線回折によりTiO相の(110)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の8.6%未満、またはBi相の(013)面による回折ピークの強度が、BiTi12相の(171)面による回折ピークの強度の72.4%未満であることを特徴とするBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲット。
  3. 金属成分としてのBiとTiとの原子比がBi:Ti=6:x(3<x<7)となるように秤量したBiの酸化物とTiの酸化物を粉砕混合して混合粉末を作製する工程と、
    該混合粉末を温度:600〜800℃で1〜20時間仮焼して仮焼粉とする工程と、
    該仮焼粉を真空または不活性ガス雰囲気中で圧力を加えながら加熱して焼結させる工程と、を有していることを特徴とするBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲットの製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法により作製されたことを特徴とするBiTi12相を含むBiTi系酸化物ターゲット。
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