JP2020147822A - MgO−TiO系スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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成膜速度が低いという問題以外に、非特許文献1によると、RFスパッタによる方式は、大きな電源がなく大面積基板には向かないこと、基板が加熱されること、化合物ターゲットの価格が高いこと、RF電源のサイズが大きくて場所を取ること、電力当たりの電源価格が高いという問題がある(非特許文献1のP.69〜70)。
本発明のMgO−TiO系スパッタリングターゲット(以下単に「ターゲット」ともいう。)の製造方法は、Mg粉及びTiO2粉を含有する原料混合粉を非酸化雰囲気で加熱することにより、マグネシウム酸化物とTiOを主成分とする酸化チタンとの混合粉を調製する工程1と、前記混合粉を非酸化雰囲気で焼結することにより、混合焼結体を作製する工程2とを有する。
まず、原料としてMg粉及びTiO2粉を用意する。Mg粉末には、平均粒径が通常150μm以下、好ましくは75μm以下、TiO2粉末には、平均粒径が通常45μm以下、好ましくは10〜30μmのものを使用する。前記原料粉の粒径が前記範囲を超えると、均一な混合が難しくなり、また結晶粒の粗大化や粒界偏析が起こることがある。そのため、原料粉の粒径は小さい方が良いが、TiO2は微細化が難しいため、平均粒径1μm以上とするのが好ましい。なお、Mg粉及びTiO2粉の粒径を選択することは、原料粉の比表面積が制御されて、混合焼結体に高い相対密度を与えることに繋がる。
Mg粉及びTiO2粉を等モル量ずつ使用すると、MgO相とTiO相が等モル量の割合で生成する。
前記もう一つの実施の形態では、Mg粉及びTiO2粉の混合粉の反応と焼結とを同時に行う反応焼結法が用いられる。反応焼結法は、一段階でターゲットを製造できるため、生産性の面で優れた方法である。
反応焼結法では、原料混合粉を焼結装置内で、3000Pa以下、具体的には、1〜1000Paの減圧下で焼成する。焼結温度は、通常1100〜1400℃、好ましくは1150〜1250℃であり、焼結時間は、通常0.25〜1.5時間、好ましくは0.5〜1時間である。非酸化雰囲気は、前記したとおり、不活性ガス及び還元性ガスのいずれの雰囲気でもよい。
本発明では、原料として、Mg粉及びTiO2粉を用いることで、従来のMgO−TiO系ターゲットの製造時の焼結温度に比べて約200℃低い、600〜800℃で行うことが可能となる。このように大幅に焼結温度を低下することで、結晶粒の粒成長が抑制され、結晶粒が微細化されることとなる。結果として、MgO相及びTiO相を形成する結晶粒の大きさが小さくなる。本発明に係るMgO−TiO系ターゲットは、従来のMgO−TiO系ターゲットに比べて、最長径が50μm以上、或いは少なくとも30μm以上のMgO相の個数が少ない。実際に、本発明では、MgO相の最長径が、最も大きくても10μm、平均して3μm以下であるターゲットを製造することができる。これは、例えば、MgO粉及びTiO粉を原料に作製した焼結体におけるMgO相より小さいのが特徴である。本発明に係るターゲットにおいて、最も大きい最長径でも10μmであるMgO相の個数は1mm2当たり3個以下である。なお、最長径とは、ターゲットの表面を部分的に削り取って光学顕微鏡で観察したときのMgO相の最大長さを指す。
TiOはMgOと同じ立方晶でNaCl型の結晶構造を持ち、かつ、その格子定数も4.172Åであり、MgOの格子定数4.208Åと近い。また、TiOは、MgOと同様に酸化物であるから、MgOとの整合性も高く、形成される薄膜の結晶構造がMgO単体の結晶構造と同様となり、従来の酸化マグネシウム単独の膜と比べて、その特性を損なうことがない。
[実施例1]
Mg粉及びTiO2粉をモル比が30:70となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、ホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、焼結した。焼結条件は、焼結温度を800℃、焼結時間を1時間、焼成雰囲気をアルゴンとした。得られた焼結体のMgO相を光学顕微鏡でφ200μmの視野を10ヶ所観察したところ、最大大きさは8μmであった。また、四端子比抵抗測定装置で焼結体の表面の比抵抗を測定したところ、0.41mΩcmであった。
次にその焼結体を、スパッタリングターゲットの形状である外径75mmで厚さ5mmの円盤状に機械加工した後、銅製で該スパッタリングターゲットと同形状のバッキングプレートに低融点金属であるインジウムで接着し、外径6インチのシリコン基板上にスパッタリングした。成膜厚さは10nmとした。スパッタリングを終了し、トプコン社製WM−3によりシリコン基板上のパーティクル数を測定した結果、パーティクル数は8ケであった。結果を表1に示す。
Mg粉及びTiO2粉をモル比が50:50となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、真空熱処理炉内で加熱温度700℃、処理時間5時間で真空加熱処理を行った。熱処理後の混合粉をホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、焼結した。焼結条件は、焼結温度を800℃、焼結時間を1時間、焼成雰囲気をアルゴンとした。得られた焼結体のMgO相を光学顕微鏡でφ200μmの視野を10ヶ所観察したところ、最大大きさは9μmであった。また、四端子比抵抗測定装置で焼結体の表面の比抵抗を測定したところ、0.71mΩcmであった。
次にその焼結体を、スパッタリングターゲットの形状である外径75mmで厚さ5mmの円盤状に機械加工した後、銅製で該スパッタリングターゲットと同形状のバッキングプレートに低融点金属であるインジウムで接着し、外径6インチのシリコン基板上にスパッタリングした。成膜厚さは10nmとした。スパッタリングを終了し、トプコン社製WM−3によりシリコン基板上のパーティクル数を測定した結果、パーティクル数は17ケであった。結果を表1に示す。
Mg粉及びTiO2粉をモル比が70:30となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、ホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、焼結した。焼結条件は、焼結温度を800℃、焼結時間を1時間、焼結雰囲気をアルゴンとした。得られた焼結体のMgO相を光学顕微鏡でφ200μmの視野を10ヶ所観察したところ、最大大きさは10μmであった。また、四端子比抵抗測定装置で焼結体の表面の比抵抗を測定したところ、1.9mΩcmであった。
次にその焼結体を、スパッタリングターゲットの形状である外径75mmで厚さ5mmの円盤状に機械加工した後、銅製で該スパッタリングターゲットと同形状のバッキングプレートに低融点金属であるインジウムで接着し、外径6インチのシリコン基板上にスパッタリングした。成膜厚さは10nmとした。スパッタリングを終了し、トプコン社製WM−3によりシリコン基板上のパーティクル数を測定した結果、パーティクル数は38ケであった。結果を表1に示す。
MgO粉及びTiO粉をモル比が30:70となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、ホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、焼結した。焼結条件は、焼結温度を1220℃、焼結時間を1時間、焼結雰囲気をアルゴンとした。得られた焼結体のMgO相を光学顕微鏡でφ200μmの視野を10ヶ所観察したところ、最大大きさは48μmであった。また、四端子比抵抗測定装置で焼結体の表面の比抵抗を測定したところ、0.43mΩcmであった。
次に、その焼結体をスパッタリングターゲットの形状である外径75mmで厚さ5mmの円盤状に機械加工した後、銅製で該スパッタリングターゲットと同形状のバッキングプレートに低融点金属であるインジウムで接着し、外径6インチのシリコン基板上にスパッタリングした。成膜厚さは10nmとした。スパッタリングを終了し、トプコン社製WM−3によりシリコン基板上のパーティクル数を測定した結果、パーティクル数は64ケであった。結果を表2に示す。
MgO粉及びTiO粉をモル比が50:50になるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、ボールミルで12時間混合した。ボールミルで混合して得た混合粉を取り出し、ホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、焼結した。焼結条件は、焼結温度を1200℃、焼結時間を1時間、焼結雰囲気をアルゴンとした。焼結して得られた焼結体のMgO相を光学顕微鏡でφ200μmの視野を10ヶ所観察したところ、最大大きさは56μmであった。また、四端子比抵抗測定装置で焼結体の表面の比抵抗を測定したところ、0.73mΩcmであった。
次にその焼結体を、スパッタリングターゲットの形状である外径75mmで厚さ5mmの円盤状に機械加工した後、銅製で該スパッタリングターゲットと同形状のバッキングプレートに低融点金属であるインジウムで接着し、外径6インチのシリコン基板上にスパッタリングした。成膜厚さは10nmとした。スパッタリングを終了し、トプコン社製WM−3によりシリコン基板上のパーティクル数を測定した結果、パーティクル数は75ケであった。結果を表2に示す。
MgO粉及びTiO粉をモル比が70:30となるように秤量して、ボールミル用容器に装入した後、容器をボールミルで12時間混合した。得られた混合粉を取り出し、ホットプレス焼結炉の内径76.2mmのカーボン型に装入し、焼結した。焼結条件は、焼結温度を1180℃、焼結時間を1時間、焼結雰囲気をアルゴンとした。焼結して得られた焼結体のMgO相を光学顕微鏡でφ200μmの視野を10ヶ所観察したところ、最大大きさは68μmであった。また、四端子比抵抗測定装置で焼結体の表面の比抵抗を測定したところ、2.0mΩcmであった。次に、その焼結体をスパッタリングターゲットの形状である外径75mmで厚さ5mmの円盤状に機械加工した後、銅製で該スパッタリングターゲットと同形状のバッキングプレートに低融点金属であるインジウムで接着し、スパッタリング装置で外径6インチのシリコン基板上にスパッタリングした。その成膜厚さは10nmとした。スパッタリングを終了し、トプコン社製WM−3によりシリコン基板上のパーティクル数を測定した結果、パーティクル数は322ケであった。結果を表2に示す。
Claims (3)
- Mg粉及びTiO2粉を含有する原料混合粉を非酸化雰囲気で加熱することにより、マグネシウム酸化物とTiOを主成分とする酸化チタンとの混合粉を調製する工程1と、
前記混合粉を非酸化雰囲気で焼結することにより、混合焼結体を作製する工程2とを有するMgO−TiO系スパッタリングターゲットの製造方法。 - Mg粉及びTiO2粉を含有する原料混合粉を非酸化雰囲気で加圧しながら焼結することにより、マグネシウム酸化物とTiOを主成分とする酸化チタンとの混合焼結体を作製する、MgO−TiO系スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記原料混合粉が、30〜70mol%のMg粉と70〜30mol%のTiO2粉とからなる請求項1又は2に記載のMgO−TiO系スパッタリングターゲットの製造方法。
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