JP6048651B2 - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、上記従来の製法で作製されたNiTa膜形成用スパッタリングターゲットでは、スパッタ時の熱応力歪みなどによって割れやパーティクルが生じ易いという問題があった。特に、上記密着層は、20〜40nm程度の比較的厚い膜が使用されており、スパッタ時間を短縮するため投入電力を大きくした場合に割れ等が生じ易いという不都合がある。
このスパッタリングターゲットでは、NiTa化合物相と純Ta相とが混在した組織を有しているので、組織中の純TaがNiTa化合物相を結合させると同時に応力を緩和する役割を担うことで、機械的強度が向上し、スパッタ時の投入電力を大きくした場合でも割れやパーティクルの発生を抑制することができる。
すなわち、このスパッタリングターゲットでは、Ni3Ta相と純Ta相との間にNi2Ta相が介在して、段階的に相が変化することで、より機械的強度が向上する。
すなわち、このスパッタリングターゲットでは、酸素の含有量が、0.15%以下であるので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができる。
なお、酸素の含有量を0.15%以下とした理由は、0.15%を超えると、異常放電を抑制する効果が低下するためである。
すなわち、このスパッタリングターゲットの製造方法では、Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉の少なくとも一方と、Ta粉との混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中でホットプレスする工程を有し、ホットプレスを、ホットプレス時の保持温度が950〜1250℃で行うので、NiTa化合物相と純Ta相とが混在した組織が得られると共に、理論密度に対して95%以上の高密度が得られる。なお、NiTaアトマイズ粉のみを原料粉とした場合、純Ta相が混在した組織を得ることができない。
なお、原料粉として上記Niアトマイズ粉やNiTaアトマイズ粉を用いる理由は、NiやNiTaをAr雰囲気中で溶解し、ガスアトマイズすることで、原料中に含まれるガス成分を低減するためである。これにより、ホットプレス時のガス放出によるターゲットの密度や強度の低下を防ぐことができる。
すなわち、このスパッタリングターゲットの製造方法では、Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉のD50を、5〜100μmとし、Ta粉のD50を、5〜100μmとするので、組成や密度のばらつきが抑制され高品質の膜を製造可能なスパッタリングターゲットを得ることができる。
特に、Ta粉のD50が5μm以上であると、スパッタリングターゲットの酸素の含有量を0.15%以下とすることができる。なお、Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉は、球状粉であるため比表面積が小さく酸化されにくいので、酸素量への影響は非常に小さい。
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲットおよびその製造方法によれば、NiTa化合物相と純Ta相とが混在した組織となるので、機械的強度が向上し、スパッタ時の投入電力を大きくした場合でも割れやパーティクルの発生を抑制することができる。
したがって、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることにより、磁気記録媒体に用いる厚い密着層を高い生産性をもって成膜することができる。
また、上記NiTa化合物相はNi3Ta相を有し、該Ni3Ta相と純Ta相との間にNi2Ta相が介在している。
なお、酸素の含有量を0.15%以下とした理由は、0.15%を超えると、異常放電を抑制する効果が低下するためである。
また、上記Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉のD50を、5〜100μmとし、上記Ta粉のD50を、5〜100μmとする。
さらに、上記ホットプレスは、ホットプレス時の保持温度を950〜1250℃として行う。
次に、このNiアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉の少なくとも一方とD50が5〜100μmのTa粉とを上記所定のターゲット組成となるように秤量し、これらをボールミル混合用の容器に混合用の媒体となる直径5mmのジルコニアボールと共に投入し、容器内をArガスで置換した後蓋を閉める。さらに、この容器を、1〜6時間回転させ、原料を混合して混合粉末とする。
こうして得られた焼結体を、バッキングプレートに接合してターゲットとする。
また、Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉のD50を、5〜100μmとし、Ta粉のD50を、5〜100μmとするので、組成や密度のばらつきが抑制され高品質の膜を製造可能なスパッタリングターゲットを得ることができる。特に、Ta粉のD50が5μm以上であると、スパッタリングターゲットの酸素の含有量を0.15%以下とすることができる。
NiTaアトマイズ粉は、純度4NのNiブロックと純度4NのTa粉とを原料として、Taの濃度が37.5原子%となるように配合し、ガスアトマイズ装置内で溶解し、Arガスにてガスアトマイズし、NiTa合金アトマイズ粉を作成し回収した。
純度4NのTa粉とNiTaアトマイズ粉、およびNiアトマイズ粉を表1に示すD50に篩分し、目標ターゲット組成となるように秤量した。次に、秤量した各粉末をボールミル混合用の容器に混合用の粉砕媒体となる5mmφのジルコニアボールと共に投入し、容器内をArガスで置換した後蓋を閉め、さらにこの容器を2時間回転させ、原料を混合して混合粉末とした。
その結果、表1に示す本実施例に示されたターゲットについては、前記の連続スパッタリングによる割れの発生は見られなかった。
なお、上記EPMAの元素マッピング像は、いずれも元画像がカラー像であるが、グレースケールによる白黒画像に変換して記載しており、明度が高い程、含有量が高い傾向にある。
これらの実施例では、風力分級を用いて表2に示すD50のTa粉を作成し、これらのTa粉を用いる以外は実施例3と同様の条件でターゲットを作成した。なお、実施例10は実施例3と同じスパッタリングターゲットである。
酸素量の測定方法は、JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に記載された赤外線吸収法で測定した。
上述の実施例1〜5と同様の条件でスパッタリングを実施し、スパッタ装置の電源に備えた異常放電カウンターを用いて、スパッタ開始から30分毎の異常放電の発生回数をカウントした。それぞれ3回のスパッタリングを実施し、異常放電の平均回数を表2に示した。
また、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (5)
- Ta:35〜50at%を含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる成分組成を有し、
NiTa化合物相と純Ta相とが混在した組織を有した焼結体であることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1に記載のスパッタリングターゲットにおいて、
前記NiTa化合物相がNi3Ta相を有し、
該Ni3Ta相と前記純Ta相との間にNi2Ta相が介在していることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1または2に記載のスパッタリングターゲットにおいて、
酸素の含有量が、0.15%以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉の少なくとも一方と、Ta粉との混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中でホットプレスする工程を有し、
前記ホットプレスを、ホットプレス時の保持温度が950〜1250℃で行うことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項4に記載のスパッタリングターゲットの製造方法において、
前記Niアトマイズ粉およびNiTaアトマイズ粉の平均粒径(D50)を、5〜100μmとし、
前記Ta粉の平均粒径(D50)を、5〜100μmとすることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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