JP2010159491A - Co−Fe系合金スパッタリングターゲット材 - Google Patents

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Abstract

【課題】バラツキの少ない軟磁性膜を形成でき、スパッタリングの際の異常放電やパーティクルを低減したCo-Fe系合金ターゲット材を提供する。
【解決手段】原子比における組成式が((Co100-X-Fex)100-Y-NiY)100-Z-MZ、20≦X≦80、0≦Y≦25、5≦Z≦20で表され、組成式のM元素が(Zr、Hf、Ta、Nb、Y、B)から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であるCo-Fe系合金スパッタリングターゲット材で、ターゲット材のX線回折(110)ピークと(211)ピークとの強度比I(110)/ (211)の値について、半径方向面2、円周方向面3、スパッタ面4で測定したピーク強度比をそれぞれI(R)、I(C)、I(S)とした時に、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値が0.7〜1.3であり、かつ酸素含有量が100ppm以下であるCo-Fe系合金スパッタリングターゲット材。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性膜を形成するためのCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材に関するものである。
近年、高度情報化社会により磁気記録の高密度化が強く望まれている。この高密度化を実現する技術として、従来の面内磁気記録方式に代わり垂直磁気記録方式が実用化されている。
垂直磁気記録方式とは、磁気記録層の磁化容易軸を媒体面に対して垂直に向けて記録するものであり、記録再生特性の低下が少ない高記録密度化に適した方式である。垂直磁気記録媒体は、基板/軟磁性裏打ち層/下地層/中間層/CoPtCr−SiO磁気記録層/保護層からなる多層構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
垂直記録媒体の軟磁性裏打ち層には優れた軟磁気特性が要求されることから、アモルファス軟磁性合金が採用されている。代表的な軟磁性裏打ち層用アモルファス合金として、Co−Ta−Zr合金膜(例えば、特許文献2参照)やCo−Zr−Nb合金膜(例えば、非特許文献1参照)などが既に実用化されている。しかしながら、Co−Ta−Zr合金膜やCo−Zr−Nb合金膜において、Ta、Zr、Nbの量が少ない場合には耐食性が低くなり、Ta、Zr、Nbの量が多い場合には飽和磁束密度が低くなる問題が指摘されている。そこで上記合金膜の代替候補として、飽和磁束密度と耐食性がともに高く、軟磁気特性に優れたCo−Fe系合金膜が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許4021435号公報 特開2004−206805号公報 特開2007−109378号公報
D.H.Hong,S.H.Park and T.D.Lee,"Effects of CoZrNb Surface Morphology on Magnetic Properties and Grain Isolation of CoCrPt Perpendicular Recording Media",IEEE Trans.Magn.,Vol.41,No.10,P.3148−3150,Oct.,2005
軟磁性裏打ち層の成膜にはマグネトロンスパッタリング法が用いられる。マグネトロンスパッタリング法とは、ターゲット材と呼ばれる母材の背面に永久磁石を配置し、ターゲット材の表面に磁束を漏洩させて、漏洩磁束領域にプラズマを収束し、高速成膜を可能とする方法である。マグネトロンスパッタリング法において、磁性体ターゲット材の結晶配向や金属組織のバラツキは漏洩磁束のバラツキとなり、さらにはスパッタ膜のバラツキとなるため、結晶配向や金属組織のバラツキが小さいターゲット材の開発はより重要な課題である。また、ターゲット材中に含まれる酸素は、スパッタリングの際に異常放電やパーティクル発生の原因になりやすいため、ターゲット材の酸素含有量を極力低減することが望まれている。
一般的にCo−Fe系合金ターゲット材は、溶解鋳造法や粉末焼結法で製造されている。本発明者らが、溶解鋳造法によりCo−Fe系合金ターゲット材を作製したところ、ターゲット材の酸素含有量の低減には効果があったものの、凝固方向に依存する結晶配向が発現し、さらには、凝固時の成長方向に起因する方向性を持ったマクロ組織が形成された不均一な組織になることを確認した。一方、粉末焼結法によりCo−Fe系合金ターゲット材を作製したところ、結晶配向や金属組織のバラツキは少なかったものの、原料粉末の表面吸着酸素の影響で、ターゲット材の酸素含有量が高くなることを確認した。
本発明の目的は、バラツキの少ない軟磁性膜を形成でき、スパッタリングの際に発生する異常放電やパーティクルを低減したCo−Fe系合金ターゲット材を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決する方法を種々検討した結果、結晶配向のバラツキを少なくし、かつ酸素含有量を低減したCo−Fe系合金ターゲット材を用いてスパッタリングすることにより、バラツキの少ない軟磁性膜を得られると同時に異常放電やパーティクルの発生を低減できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、原子比における組成式が((Co100−X−Fe100−Y−Ni100−Z−M、20≦X≦80、0≦Y≦25、5≦Z≦20で表され、前記組成式のM元素が(Zr、Hf、Ta、Nb、Y、B)から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であるCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材であって、ターゲット材におけるBCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークとの強度比IBCC(110)/BCC(211)の値について、半径方向面、円周方向面、スパッタ面で測定した前記X線回折ピーク強度比をそれぞれI(R)、I(C)、I(S)とした時に、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値が0.7〜1.3であり、かつ酸素含有量が100ppm以下であるCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材である。
また、本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材のマトリックスは再結晶組織を有することが好ましい。
また、本発明においては、(Al、Cr、Ti、W)から選ばれる1種または2種以上を15原子%以下含有することができる。
本発明により、安定したマグネトロンスパッタリングが行える垂直磁気記録媒体の軟磁性膜を形成するためのCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材を提供でき、垂直磁気記録媒体を製造する上で極めて有効な技術となる。
ターゲット材の模式図である。 試料No.5の走査型電子顕微鏡写真である。
上述したように、本発明の最も重要な特徴は、原子比における組成式が((Co100−X−Fe100−Y−Ni100−Z−M、20≦X≦80、0≦Y≦25、5≦Z≦20で表され、前記組成式のM元素が(Zr、Hf、Ta、Nb、Y、B)から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であるCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材の結晶配向と酸素含有量を制御する点にある。
まず、本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材の合金組成について説明する。
本発明のスパッタリングターゲット材の合金組成は、原子比における組成式が((Co100−X−Fe100−Y−Ni100−Z−M、20≦X≦80、0≦Y≦25、5≦Z≦20で表され、前記組成式のM元素が(Zr、Hf、Ta、Nb、Y、B)から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であるCo−Fe系合金である。
CoとFeとの組成比Xを20≦X≦80としたのは、Co−Fe二元系合金膜において、Co含有量を原子比で20〜80%にすることで高い飽和磁化を持ち軟磁気特性に優れた薄膜を生成できるためである。
Co―Fe合金とNiとの組成比Yを0≦Y≦25としたのは、Niをこの範囲で含有させることで、飽和磁化を大きく低減させることなく磁歪が低減でき、薄膜の軟磁気特性を向上させる効果があるためである。なお、高い飽和磁化膜が要求される場合にはNiは含有させない方が好ましい。また、Niの組成比が原子比で25%を超えると飽和磁化の低下が大きくなる。
M元素(Zr、Hf、Ta、Nb、Y、B)から選ばれる1種もしくは2種以上の元素の添加量Zを5≦Z≦20としたのは、M元素から選ばれる1種もしくは2種以上の元素をこの範囲で添加することで、薄膜のアモルファス化を促進させる効果があるためである。さらに磁歪が低減し、軟磁気特性を向上させる効果や耐食性を向上させる効果があるためである。
次に、本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材の結晶配向を制御する理由を説明する。
本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材においては、BCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークとの強度比IBCC(110)/BCC(211)の値について、半径方向面、円周方向面、スパッタ面で測定した前記X線回折ピーク強度比をそれぞれI(R)、I(C)、I(S)とした時に、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値を0.7〜1.3に制御する。
なお、ターゲット材における半径方向面、円周方向面、スパッタ面とは、ターゲット材の模式図として示す図1に示す通り、ターゲット材1のスパッタ方向に垂直となる面をスパッタ面4、ターゲット材の側面に略平行な面を半径方向面2、半径方向面に直角に形成される面を円周方向面3とする。
ターゲット材をスパッタリングの際には、スパッタ粒子の放出角度はターゲット材の結晶配向に大きく依存することが知られている。そのため、ターゲット材の結晶配向をスパッタ面に対する半径方向面および円周方向面の結晶配向を均一にすることが重要である。
具体的には、本発明のCo−Fe系合金ターゲット材の主構造となるBCC(体心立方格子)構造における主配向面である(110)面と(211)面とのX線回折ピーク強度比IBCC(110)/BCC(211)をスパッタ面とスパッタ面に直行する半径方向面・円周方向面との対比でより均一化することが重要となる。BCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークとの強度比IBCC(110)/BCC(211)の値について、半径方向面、円周方向面、スパッタ面で測定した前記X線回折ピーク強度比をそれぞれI(R)、I(C)、I(S)とした場合に、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値がともに0.7〜1.3となるようにターゲット材の結晶配向を均一にすることで、スパッタリングされる粒子の放出角度が均一となり、基板上にはバラツキの少ないCo−Fe系合金膜を形成することができる。さらに、ターゲット材のスパッタ進行方向に結晶方位が揃っているため、Co−Fe系合金ターゲット材の使用開始から終了に至るまで、継続してバラツキの少ない薄膜を形成することができる。
また、本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材の酸素含有量は100ppm以下に制御する。ターゲット材の酸素含有量が多いほど、スパッタで成膜された軟磁性膜の磁気特性が劣化すると同時に、ターゲット材に存在する酸化物が増加する。この酸化物の増加は、スパッタリングの際に異常放電やパーティクルの発生を増加させる。そこで、特にターゲット材中の酸素含有量は100ppm以下とする。好ましくは50ppm以下である。
本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材のマトリックスは再結晶組織を有することが好ましい。マトリックスを再結晶組織に制御することにより、ターゲット材に導入された加工歪を低減することができる。その結果、スパッタリングの進行が均一になり、バラツキの少ない軟磁性膜が得られる。
なお、本発明の組成におけるマトリックスとは、主にCoとFeとからなるBCC構造の相である。
また、本発明のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材の化学組成は、(Al、Cr、Ti、W)から選ばれる1種または2種以上の元素が15原子%以下含有することが好ましい。
(Al、Cr、Ti、W)から選らばれる1種または2種以上の元素を15原子%以下添加することで、薄膜の耐食性の向上がさらに期待できるためである。
上述の本発明のターゲット材の製造方法としては、例えば、Co−Fe系合金の鋳造インゴットをホットプレスによって据え込み加工を行なう製造方法が適用できる。それは、特に、ホットプレスは、高温かつ恒温で鋳造インゴットを加熱しながら、高い圧力を付加して圧縮する据え込み加工が可能であるので、鋳造インゴットに加工歪を付与しながら動的再結晶を行うことができる。その結果、方向性をもった鋳造組織の改善と歪エネルギーの解放が同時に実現でき、結晶配向の制御が可能となるためである。また、鋳造インゴットの酸素含有量を100ppm以下に制御することにより、ホットプレスによる据え込み加工後のターゲット素材の酸素含有量を100ppm以下にできる。なお、鋳造インゴットの酸素含有量を100ppm以下に制御するためには、例えば、純度99.9%以上の原料を用い真空中の高周波加熱炉で加熱・溶解後、鋳造をすればよい。
また、ホットプレスによる据え込み加工時の加熱温度は、900〜1250℃の範囲に設定することが好ましい。900℃未満であると鋳造インゴットの変形抵抗が大きく据え込み加工が困難になるためである。さらには900℃未満で無理に据え込むと、加工歪が導入されて結晶配向が発現すると同時に再結晶が進行しない可能性があるためである。また、1250℃を超えると本発明のFe−Co系合金では液相が発現する可能性があるためである。また、ホットプレスの加圧モールドとなるダイスやパンチに黒鉛等の炭素系素材を用いる場合は、FeとCの反応を抑制するため1150℃以下で行うか、ダイスやパンチと鋳造インゴットが直接接しないようにMo、Nb、Ta等の高融点金属箔を拡散防止箔として内張りすることが望ましい。
また、ホットプレスでは、30%〜70%の据え込み率で据え込み加工を行うことが好ましい。据え込み率が30%未満の場合は、ターゲット素材の鋳造組織の改善が十分に進まない。また、据え込み率が70%を超える場合は、ターゲット素材と加圧モールドを構成するパンチとの間に発生する摩擦によりホットプレス時に据え込み加工可能な圧縮荷重が大きく成り過ぎるため、塑性加工が困難となる。なお、据え込み率とは、((鋳造インゴットの高さ−ターゲット素材の高さ)/鋳造インゴットの高さ×100)より算出した値である。
純度99.9%以上の原料を用いて(Co60−Fe4090−(Zr50−Ta50−(Al50−Cr50(原子%)組成となるよう秤量した後、1×10−2Pa以下に減圧した真空中の高周波加熱炉で加熱・溶解し、鉄製の鋳型に鋳造して直径120mm×高さ200mmの円柱形状の鋳造インゴットを得た。この鋳造インゴットを黒鉛製のパンチとダイス(内径φ190mm)からなる加圧モールド内に挿入し、荷重843400N、加熱温度1100℃、保持時間3時間の条件でホットプレスによる据え込み加工を行い直径190mm×高さ80mmのターゲット素材を得た。なお、ホットプレスによる据え込み加工時は、鋳造インゴットと黒鉛製パンチの間にはステンレス箔を挿入し、鋳造インゴットにはボロンナイトライドを塗布した。そして、得られたターゲット素材をスライスおよび機械加工を施して直径180×厚さ8mmのCo−Fe系合金ターゲット材を作製した(試料No.1)。
また比較例として、試料No.1と同様に同一組成の鋳造インゴットを作製した後、ホットプレスによる据え込み加工を行なわずに、そのまま機械加工を施して直径180mm×厚さ8mmのCo−Fe系合金ターゲット材を得た(試料No.2)。
また比較例として、粉末焼結法によって以下の通り、Co−Fe系合金粉末ターゲット材を作製した。まず、Arガスを用いたガスアトマイズ法によって試料No.1と同一組成の合金粉末を作製し、得られたアトマイズ粉末を250μmのふるいで分級した。作製したアトマイズ粉末を軟鋼カプセルに充填して脱気封止した。次いで、圧力122MPa、温度950℃、保持時間1時間の条件で熱間静水圧プレス(HIP)法により焼結体を作製し、機械加工により直径180mm×厚さ8mmのCo−Fe系合金ターゲット材を得た(試料No.3)。
各々の作製したCo−Fe系合金ターゲット材の中心部より10mm×10mm×8mmの試験片を採取しバフ研磨を施し後、ターゲット材の半径方向面、円周方向面およびスパッタ面について、X線回折測定を行った。なお、X線回折測定には(株)リガク製X線回折装置RINT2500Vを使用し、線源にCoを用いて測定を行った。得られたX線回折パターンからBCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークの強度比IBCC(110)/BCC(211)を求め、半径方向面、円周方向面、スパッタ面のX線回折ピーク強度比を、それぞれI(R)、I(C)、I(S)とし、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値を算出した。
次に、作製した各ターゲット材から酸素分析用試験片を採取し、LECO法により酸素含有量を測定した。試料No.1〜3のI(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値と酸素含有量を表1に示す。
表1から、結晶配向のバラツキが少なく、かつ酸素含有量が100ppm以下であるCo-Fe系合金ターゲット材が実現できることが分かる。
純度99.9%以上の原料を用いて((Co71−Fe2987−Ni1391−(Zr56−Nb44(原子%)組成となるよう秤量した後、1×10−2Pa以下に減圧した真空中の高周波加熱炉で加熱・溶解し、鉄製の鋳型に鋳造して直径120mm×高さ200mmの円柱形状の鋳造インゴットを得た。この鋳造インゴットを黒鉛製のパンチとダイス(内径φ190mm)からなる加圧モールド内に挿入し、荷重843400N、加熱温度1100℃、保持時間3時間の条件でホットプレスによる据え込み加工を行い直径190mm×高さ80mmのターゲット素材を得た。なお、ホットプレスによる据え込み加工時は、鋳造インゴットと黒鉛製パンチの間にはステンレス箔を挿入し、鋳造インゴットにはボロンナイトライドを塗布した。そして、得られたターゲット素材をスライスおよび機械加工を施して直径180×厚さ8mmのCo−Fe系合金ターゲット材を作製した(試料No.4)。
作製したCo−Fe系合金ターゲット材の中心部より10mm×10mm×8mmの試験片を採取しバフ研磨を施し後、ターゲット材の半径方向面、円周方向面およびスパッタ面について、X線回折測定を行った。なお、X線回折測定には(株)リガク製X線回折装置RINT2500Vを使用し、線源にCoを用いて測定を行った。得られたX線回折パターンからBCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークの強度比IBCC(110)/BCC(211)を求め、半径方向面、円周方向面、スパッタ面のX線回折ピーク強度比を、それぞれI(R)、I(C)、I(S)とし、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値を算出した。
次に、作製した各ターゲット材から酸素分析用試験片を採取し、LECO法により酸素含有量を測定した。試料No.4のI(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値と酸素含有量を表2に示す。
表2から、結晶配向のバラツキが少なく、かつ酸素含有量が100ppm以下であるCo-Fe系合金ターゲット材が実現できることが分かる。
純度99.9%以上の原料を用いて(Co35−Fe6574−B13−Cr13(原子%)組成となるよう秤量した後、1×10−2Pa以下に減圧した真空中の高周波加熱炉で加熱・溶解し、鉄製の鋳型に鋳造して直径120mm×高さ200mmの円柱形状の鋳造インゴットを得た。この鋳造インゴットを黒鉛製のパンチとダイス(内径φ190mm)からなる加圧モールド内に挿入し、荷重843400N、加熱温度1100℃、保持時間3時間の条件でホットプレスによる据え込み加工を行い直径190mm×高さ80mmのターゲット素材を得た。なお、ホットプレスによる据え込み加工時は、鋳造インゴットと黒鉛製パンチの間にはステンレス箔を挿入し、鋳造インゴットにはボロンナイトライドを塗布した。そして、得られたターゲット素材をスライスおよび機械加工を施して直径180×厚さ8mmのCo−Fe系合金ターゲット材を作製した(試料No.5)。
作製したCo−Fe系合金ターゲット材の中心部より10mm×10mm×8mmの試験片を採取しバフ研磨を施し後、ターゲット材の半径方向面、円周方向面およびスパッタ面について、X線回折測定を行った。なお、X線回折測定には(株)リガク製X線回折装置RINT2500Vを使用し、線源にCoを用いて測定を行った。得られたX線回折パターンからBCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークの強度比IBCC(110)/BCC(211)を求め、半径方向面、円周方向面、スパッタ面のX線回折ピーク強度比を、それぞれI(R)、I(C)、I(S)とし、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値を算出した。
次に、作製した各ターゲット材から酸素分析用試験片を採取し、LECO法により酸素含有量を測定した。試料No.5のI(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値と酸素含有量を表3に示す。
表3から、結晶配向のバラツキが少なく、かつ酸素含有量が100ppm以下であるCo-Fe系合金ターゲット材が実現できることが分かる。また、本発明の組織観察例として、試料No.5のターゲット材の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。図2から淡灰色で示されるCoとFeとからなるBCC構造のマトリックスが明確に再結晶組織であることが確認できる。なお、濃灰色で示されるのは、共晶部であり、CoとFeとからなるBCC構造とBとCrを含む化合物相からなる領域である。
1.ターゲット材、2.半径方向面、3.円周方向面、4.スパッタ面

Claims (3)

  1. 原子比における組成式が((Co100−X−Fe100−Y−Ni100−Z−M、20≦X≦80、0≦Y≦25、5≦Z≦20で表され、前記組成式のM元素が(Zr、Hf、Ta、Nb、Y、B)から選ばれる1種もしくは2種以上の元素であるCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材であって、
    ターゲット材におけるBCC(110)X線回折ピークとBCC(211)X線回折ピークとの強度比IBCC(110)/BCC(211)の値について、半径方向面、円周方向面、スパッタ面で測定した前記X線回折ピーク強度比をそれぞれI(R)、I(C)、I(S)とした時に、I(R)/I(S)およびI(C)/I(S)の値が0.7〜1.3であり、かつ酸素含有量が100ppm以下であることを特徴とするCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材。
  2. マトリックスが再結晶組織を有することを特徴とする請求項1に記載のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材。
  3. (Al、Cr、Ti、W)から選ばれる1種または2種以上を15原子%以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCo−Fe系合金スパッタリングターゲット材。
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