JP2006245463A - Bi12TiO20焼結体および光導電層 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Bi12TiO20焼結体を、放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層として高感度を実現可能なものとする。
【解決手段】 Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対するBi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下となるように、Bi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼結、あるいはBi12TiO20焼結体表面の異相を除去する。
【選択図】 なし
【解決手段】 Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対するBi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下となるように、Bi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼結、あるいはBi12TiO20焼結体表面の異相を除去する。
【選択図】 なし
Description
本発明はBi12TiO20焼結体および、この焼結体からなる放射線撮像パネルを構成する光導電層に関するものである。
従来より、医療用X線撮影において、被験者の受ける被爆線量の減少、診断性能の向上等のために、X線に感応する光導電層を感光体として用い、この光導電層にX線により形成された静電潜像を、光或いは多数の電極で読み取って記録するX線撮像パネルが知られている。これらは、周知の撮影法であるTV撮像管による間接撮影法と比較して高解像度である点で優れている。
上述したX線撮像パネルは、この撮像パネル内に設けられた電荷生成層にX線を照射することによって、X線エネルギーに相当する電荷を生成し、生成した電荷を電気信号として読み出すようにしたものであって、上記光導電層は電荷生成層として機能する。
Bi12TiO20は光導電性、誘電性を有するため、上記光導電層としての用途が検討されている。例えば、非特許文献1には固相法によってBi12TiO20焼結体を製造する方法が記載されている。焼結によって得られるBi12TiO20焼結体は塗布によって形成するものに比較して緻密な構造であるため、光導電層の光導電物質の充填率を上げることができるので、感度の向上が期待できる。
J.Am.Ceram.Soc.,2900-2904 (2001)
J.Am.Ceram.Soc.,2900-2904 (2001)
しかしながら、非特許文献1に記載されている方法でBi12TiO20焼結体を製造しても、塗布形成に比較して充填率は上がるものの、期待されるほどの感度の向上は望めない。本発明者は鋭意検討を行ったところ、非特許文献1に記載の方法で製造したBi12TiO20焼結体の表面にはBi12TiO20相以外の異相が存在すること、そしてこれがBi12TiO20焼結体を光導電層に用いた場合の感度向上を阻むものであることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明は、放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層として高感度を実現可能なBi12TiO20焼結体および、このBi12TiO20焼結体からなる光導電層を提供することを目的とするものである。
本発明のBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する該Bi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であることを特徴とするものである。
本発明のBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼結することにより、あるいは、Bi12TiO20焼結体表面の異相を除去することにより得られる。異相の除去は研磨によって、あるいは希酸によって行うことが好ましい。
本発明の光導電層は、放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層であって、該光導電層が、Bi12TiO20焼結体においてBi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する該Bi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であるBi12TiO20焼結体からなることを特徴とするものである。
本発明のBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する該Bi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であって、高純度かつ均一組成のBi12TiO20焼結体である。従って、これを光導電層に用いた場合は発生電荷の捕集効率の低減が抑制され、電気ノイズが小さくなるため、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高い光導電層を得ることができる。
本発明のBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する該Bi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であることを特徴とする。ここで、X線回折パターンの最強ピーク強度比とは、Bi12TiO20焼結体そのもののX線回折パターンの最強ピークの比であり、焼結体を砕いて粉体にしたもののX線回折パターンの最強ピークの比ではない。
このようなBi12TiO20焼結体を製造する方法としては、第一にBi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼成する方法があげられる。700℃よりも低い温度では粒成長が妨げられるために焼結が進まず、結果、空隙の多い密度の低い焼結体しか得られず、一方800℃以上ではBi4Ti3O12相のようなBi12TiO20相以外の異相の割合が高くなる。
上記、Bi12TiO20粉体の調整方法としては、酸化ビスマス(Bi2O3)と酸化チタン(TiO2)を混合し、例えば800℃で仮焼成する固相反応によりBi12TiO20粉体を得る方法、硝酸ビスマスまたは酢酸ビスマスなどのビスマス塩とTi(O−CH3)4 ,Ti(O−C2H5)4 ,Ti(O−iC3H7)4 などのチタンアルコキシドを酸性条件下で加水分解してBi12TiO20前駆体液を得、得られたこのBi12TiO20前駆体液を濃縮してゲル状とし、このゲル状Bi12TiO20前駆体を焼成してBi12TiO20粉体とする方法、あるいは、Bi(O−CH3)3,Bi(O−C2H5)3,Bi(O−iC3H7)3などのビスマスアルコキシドや酸化ビスマス、硝酸ビスマス、酢酸ビスマスなどのBi源及び上記のチタンアルコキシドをアルカリ条件下で反応させてBi12MO20前駆体を得、得られたこのBi12MO20前駆体を液相において結晶化することによってBi12TiO20粉体とする方法などがあげられる。
さらに、本発明のBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20粉体をプレス機を用いて高圧力でプレスすることで膜化し、得られた膜を700℃以上800℃未満で焼結させるプレス焼結法、Bi12TiO20粉体をバインダーを用いて塗布してグリーンシート(バインダーを含んだ膜)を作製し、このグリーンシートを700℃以上800℃未満で焼成して脱バインダー化及び粉末の焼結化を行う方法(以下、グリーンシート法)などの方法によっても製造することができる。
グリーンシート法で用いられるバインダーとしては、セルロースアセテート、ポリアルキルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を好ましくあげることができる。
焼結時にはBi12TiO20粉体の成形体等をセッターに載置して行うが、セッターとしては、酸化物材料、具体的には、酸化アルミニウム焼結体、酸化ジルコニウム焼結体、あるいは酸化アルミニウムの単結晶などを用いることが好ましい。このようなセッターを用いて焼結を行うことによって、Bi12TiO20焼結体をセッターと融着させることなく製造することができる。
Bi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼成すれば、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比を1/100以下とすることができるが、800℃以上で焼結した場合にはBi4Ti3O12相のようなBi12TiO20相以外の割合が高くなる。この場合、異相はBi12TiO20焼結体の表面に存在しているので、Bi12TiO20焼結体表面の異相を除去することによって、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比を1/100以下とすることができる。なお、異相は主にセッターに接触していない面に存在するため、当該面について除去処理をすればよいが、念のため両面について除去処理をしても差し支えない。
除去の方法としては、Bi12TiO20焼結体表面を研磨あるいは希酸によって溶かすなどの方法により行うことができる。研磨は、水等の液体と研磨材をBi12TiO20焼結体表面に接触させる湿式、または空気等の気体と研磨材をBi12TiO20焼結体表面に接触させる乾式のいずれでも良く、吐圧、研磨材の材質、形状、大きさを調整することにより、Bi12TiO20焼結体表面処理を行うことができる。
希酸により除去する場合には、15重量%以下の濃度のフッ酸、硫酸および塩酸あるいはこれらの組み合わせからなる群より選ばれる鉱酸などをBi12TiO20焼結体表面に接触させて焼結体表面を溶かすことによりBi12TiO20焼結体表面処理を行うことができる。なお、希酸の存在下でさらに研磨を行うことにより、Bi12TiO20焼結体表面の処理を行ってもよい。
以上のようにして製造されたBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であるため、高純度かつ均一組成のBi12TiO20焼結体である。従って、これを光導電層に用いた場合は発生電荷の捕集効率の低減が抑制され、電気ノイズを小さくすることができ、電気ノイズが小さくなるため、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高い光導電層を得ることができる。
次に本発明のBi12TiO20焼結体からなる光導電層について説明する。放射線撮像パネルには、放射線を直接電荷に変換し電荷を蓄積する直接変換方式と、放射線を一度CsIなどのシンチレータで光に変換し、その光をa−Siフォトダイオードで電荷に変換し蓄積する間接変換方式があるが、本発明のBi12TiO20焼結体は前者の直接変換方式に用いることができる。なお、放射線としてはX線の他、γ線、α線などについて使用することが可能である。
また、本発明のBi12TiO20焼結体からなる光導電層は、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出器により読み取る、いわゆる光読取方式にも、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などの電気的スイッチを1画素ずつON・OFFすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)にも用いることができる。
まず、前者の光読取方式に用いられる放射線撮像パネルを例にとって説明する。図1は本発明のBi12TiO20焼結体からなる光導電層を有する放射線撮像パネルの一実施の形態を示す断面図を示すものである。
この放射線撮像パネル10は、後述する記録用の放射線L1に対して透過性を有する第1の導電層1、この導電層1を透過した放射線L1の照射を受けることにより導電性を呈する記録用放射線導電層2、導電層1に帯電される電荷(潜像極性電荷;例えば負電荷)に対しては略絶縁体として作用し、かつ、電荷と逆極性の電荷(輸送極性電荷;上述の例においては正電荷)に対しては略導電体として作用する電荷輸送層3、後述する読取用の読取光L2の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層4、読取光L2に対して透過性を有する第2の導電層5を、この順に積層してなるものである。
ここで、導電層1および5としては、例えば、透明ガラス板上に導電性物質を一様に塗布したもの(ネサ皮膜等)が適当である。電荷輸送層3としては、導電層1に帯電される負電荷の移動度と、その逆極性となる正電荷の移動度の差が大きい程良く、ポリN−ビニルカルバゾール(PVK)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1'−ビフェニル〕−4,4'−ジアミン(TPD)やディスコティック液晶等の有機系化合物、或いはTPDのポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレン、PVK)分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Se等の半導体物質が適当である。特に、有機系化合物(PVK,TPD、ディスコティック液晶等)は光不感性を有するため好ましく、また、誘電率が一般に小さいため電荷輸送層3と読取用光導電層4の容量が小さくなり読み取り時の信号取り出し効率を大きくすることができる。
読取用光導電層4には、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン,金属フタロシアニン,MgPc( Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine),CuPc(Cupper phtalocyanine)等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。
記録用放射線導電層2には、本発明のBi12TiO20焼結体からなる光導電層を使用する。すなわち、本発明のBi12TiO20焼結体からなる光導電層は、記録用放射線導電層である。
続いて、静電潜像を読み取るために光を用いる方式について簡単に説明する。図2は放射線撮像パネル10を用いた記録読取システム(静電潜像記録装置と静電潜像読取装置を一体にしたもの)の概略構成図を示すものである。この記録読取システムは、放射線撮像パネル10、記録用照射手段90、電源50、電流検出手段70、読取用露光手段92並びに接続手段S1、S2とからなり、静電潜像記録装置部分は放射線撮像パネル10、電源50、記録用照射手段90、接続手段S1とからなり、静電潜像読取装置部分は放射線撮像パネル10、電流検出手段70、接続手段S2とからなる。
放射線撮像パネル10の導電層1は接続手段S1を介して電源50の負極に接続されるとともに、接続手段S2の一端にも接続されている。接続手段S2の他端の一方は電流検出手段70に接続され、放射線撮像パネル10の導電層5、電源50の正極並びに接続手段S2の他端の他方は接地されている。電流検出手段70はオペアンプからなる検出アンプ70aと帰還抵抗70b とからなり、いわゆる電流電圧変換回路を構成している。
導電層1の上面には被写体9が配設されており、被写体9は放射線L1に対して透過性を有する部分9aと透過性を有しない遮断部(遮光部)9bが存在する。記録用照射手段90は放射線L1を被写体9に一様に曝射するものであり、読取用露光手段92は赤外線レーザ光やLED、EL等の読取光L2を図3中の矢印方向へ走査露光するものであり、読取光L2は細径に収束されたビーム形状をしていることが望ましい。
以下、上記構成の記録読取システムにおける静電潜像記録過程について電荷モデル(図3)を参照しながら説明する。図2において接続手段S2を開放状態(接地、電流検出手段70の何れにも接続させない)にして、接続手段S1をオンし導電層1と導電層5との間に電源50による直流電圧Edを印加し、電源50から負の電荷を導電層1に、正の電荷を導電層5に帯電させる(図3(A)参照)。これにより、放射線撮像パネル10には導電層1と5との間に平行な電場が形成される。
次に記録用照射手段90から放射線L1を被写体9に向けて一様に曝射する。放射線L1は被写体9の透過部9aを透過し、さらに導電層1をも透過する。放射線導電層2はこの透過した放射線L1を受け導電性を呈するようになる。これは放射線L1の線量に応じて可変の抵抗値を示す可変抵抗器として作用することで理解され、抵抗値は放射線L1によって電子(負電荷)とホール(正電荷)の電荷対が生じることに依存し、被写体9を透過した放射線L1の線量が少なければ大きな抵抗値を示すものである(図3(B)参照)。なお、放射線L1によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表している。
放射線導電層2中に生じた正電荷は放射線導電層2中を導電層1に向かって高速に移動し、導電層1と放射線導電層2との界面で導電層1に帯電している負電荷と電荷再結合して消滅する(図3(C),(D)を参照)。一方、放射線導電層2中に生じた負電荷は放射線導電層2中を電荷転送層3に向かって移動する。電荷転送層3は導電層1に帯電した電荷と同じ極性の電荷(本例では負電荷)に対して絶縁体として作用するものであるから、放射線導電層2中を移動してきた負電荷は放射線導電層2と電荷転送層3との界面で停止し、この界面に蓄積されることになる(図3(C),(D)を参照)。蓄積される電荷量は放射線導電層2中に生じる負電荷の量、即ち、放射線L1の被写体9を透過した線量によって定まるものである。
一方、放射線L1は被写体9の遮光部9bを透過しないから、放射線撮像パネル10の遮光部9bの下部にあたる部分は何ら変化を生じない( 図3(B)〜(D)を参照)。このようにして、被写体9に放射線L1を曝射することにより、被写体像に応じた電荷を放射線導電層2と電荷転送層3との界面に蓄積することができるようになる。なお、この蓄積せしめられた電荷による被写体像を静電潜像という。
次に静電潜像読取過程について電荷モデル(図4)を参照しつつ説明する。接続手段S1を開放し電源供給を停止すると共に、S2を一旦接地側に接続し、静電潜像が記録された放射線撮像パネル10の導電層1および5を同電位に帯電させて電荷の再配列を行った後に(図4(A)参照)、接続手段S2を電流検出手段70側に接続する。
読取用露光手段92により読取光L2を放射線撮像パネル10の導電層5側に走査露光すると、読取光L2は導電層5を透過し、この透過した読取光L2が照射された光導電層4は走査露光に応じて導電性を呈するようになる。これは上記放射線導電層2が放射線L1の照射を受けて正負の電荷対が生じることにより導電性を呈するのと同様に、読取光L2の照射を受けて正負の電荷対が生じることに依存するものである(図4(B)参照)。なお、記録過程と同様に、読取光L2によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表している。
電荷輸送層3は正電荷に対しては導電体として作用するものであるから、光導電層4に生じた正電荷は蓄積電荷に引きつけられるように電荷輸送層3の中を急速に移動し、放射線導電層2と電荷輸送層3との界面で蓄積電荷と電荷再結合をし消滅する(図4(C)参照)。一方、光導電層4に生じた負電荷は導電層5の正電荷と電荷再結合をし消滅する(図4(C)参照)。光導電層4は読取光L2により十分な光量でもって走査露光されており、放射線導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積されている蓄積電荷、即ち静電潜像が全て電荷再結合により消滅せしめられる。このように、放射線撮像パネル10に蓄積されていた電荷が消滅するということは、放射線撮像パネル10に電荷の移動による電流Iが流れたことを意味するものであり、この状態は放射線撮像パネル10を電流量が蓄積電荷量に依存する電流源で表した図4(D)のような等価回路でもって示すことができる。
このように、読取光L2を走査露光しながら、放射線撮像パネル10から流れ出す電流を検出することにより、走査露光された各部(画素に対応する)の蓄積電荷量を順次読み取ることができ、これにより静電潜像を読み取ることができる。なお、本放射線検出部動作については特開2000-105297号等に記載されている。
次に、後者のTFT方式の放射線撮像パネルについて説明する。この放射線撮像パネルは、図5に示すように放射線検出部100とアクティブマトリックスアレイ基板(以下AMA基板)200が接合された構造となっている。図6に示すように放射線検出部100は大きく分けて放射線入射側から順に、バイアス電圧印加用の共通電極103と、検出対象の放射線に感応して電子−正孔対であるキャリアを生成する光導電層104と、キャリア収集用の検出電極107とが積層形成された構成となっている。共通電極の上層には放射線検出部支持体102を有していてもよい。
光導電層104は本発明のBi12TiO20焼結体からなる光導電層である。共通電極103や検出電極107は、例えばITO(インジウム錫酸化物)や、AuあるいはPtなどの導電材料からなる。バイアス電圧の極性に応じて、正孔注入阻止層、電子注入阻止層が共通電極103や検出電極107に付設されていてもよい。
AMA基板200の各部の構成について簡単に説明する。AMA基板200は図7に示すように、画素相当分の放射線検出部105の各々に対して電荷蓄積容量であるコンデンサ210とスイッチング素子としてTFT220とが各1個ずつ設けられている。支持体102においては、必要画素に応じて縦1000〜3000×横1000〜3000程度のマトリックス構成で画素相当分の放射線検出部105が2次元配列されており、また、AMA基板200においても、画素数と同じ数のコンデンサ210およびTFT220が、同様のマトリックス構成で2次元配列されている。光導電層で発生した電荷はコンデンサ210に蓄積され、光読取方式に対応して静電潜像となる。TFT方式においては、放射線で発生した静電潜像は電荷蓄積容量に保持される。
AMA基板200におけるコンデンサ210およびTFT220の具体的構成は、図6に示す通りである。すなわち、AMA基板支持体230は絶縁体であり、その表面に形成されたコンデンサ210の接地側電極210aとTFT220のゲート電極220aの上に絶縁膜240を介してコンデンサ210の接続側電極210bとTFT220のソース電極220bおよびドレイン電極220cが積層形成されているのに加え、最表面側が保護用の絶縁膜250で覆われた状態となっている。また接続側電極210bとソース電極220bはひとつに繋がっており同時形成されている。コンデンサ210の容量絶縁膜およびTFT220のゲート絶縁膜の両方を構成している絶縁膜240としては、例えば、プラズマSiN膜が用いられる。このAMA基板200は、液晶表示用基板の作製に用いられるような薄膜形成技術や微細加工技術を用いて製造される。
続いて放射線検出部100とAMA基板200の接合について説明する。検出電極107とコンデンサ210の接続側電極210bを位置合わせした状態で、両基板100、200を銀粒子などの導電性粒子を含み厚み方向のみに導電性を有する異方導電性フィルム(ACF)を間にして加熱・加圧接着して貼り合わせることで、両基板100、200が機械的に合体されると同時に、検出電極107と接続側電極210bが介在導体部140によって電気的に接続される。
さらに、AMA基板200には、読み出し駆動回路260とゲート駆動回路270とが設けられている。読み出し駆動回路260は、図7に示すように、列が同一のTFT220のドレイン電極を結ぶ縦(Y)方向の読み出し配線(読み出しアドレス線)280に接続されており、ゲート駆動回路270は行が同一のTFT220のゲート電極を結ぶ横(X)方向の読み出し線(ゲートアドレス線)290に接続されている。なお、図示しないが、読み出し駆動回路260内では、1本の読み出し配線280に対してプリアンプ(電荷−電圧変換器)が1個それぞれ接続されている。このように、AMA基板200には、読み出し駆動回路260とゲート駆動回路270とが接続されている。ただし、AMA基板200内に読み出し駆動回路260とゲート駆動回路270とを一体成型し、集積化を図ったものも用いられる。
なお、上述の放射線検出器100とAMA基板200とを接合合体させた放射線撮像装置による放射線検出動作については例えば特開平11-287862号などに記載されている。
以下に本発明のBi12TiO20焼結体および放射線撮像パネルを構成する光導電層の製造例を示す。
以下に本発明のBi12TiO20焼結体および放射線撮像パネルを構成する光導電層の製造例を示す。
(実施例1)
6NのBi2O3と4NのTiO2をBi/Ti=12モル比の割合で混合し800℃で8時間、仮焼成してBi12TiO20粉体を得た。このBi12TiO20粉体を42MPaで一軸プレス成形を行い、この成形体を760℃で2時間、Arフロー条件で焼結させBi12TiO20焼結体を得た。
6NのBi2O3と4NのTiO2をBi/Ti=12モル比の割合で混合し800℃で8時間、仮焼成してBi12TiO20粉体を得た。このBi12TiO20粉体を42MPaで一軸プレス成形を行い、この成形体を760℃で2時間、Arフロー条件で焼結させBi12TiO20焼結体を得た。
(実施例2)
成形体を790℃で焼結した以外は実施例1と同様の条件、手順でBi12TiO20焼結体を得た。
成形体を790℃で焼結した以外は実施例1と同様の条件、手順でBi12TiO20焼結体を得た。
(比較例1)
成形体を800℃で焼結した以外は実施例1と同様の条件、手順でBi12TiO20焼結体を得た。
成形体を800℃で焼結した以外は実施例1と同様の条件、手順でBi12TiO20焼結体を得た。
(比較例2)
成形体を820℃で焼結した以外は実施例1と同様の条件、手順でBi12TiO20焼結体を得た。
成形体を820℃で焼結した以外は実施例1と同様の条件、手順でBi12TiO20焼結体を得た。
(評価方法および評価結果)
実施例1、2、比較例1および2で得られたBi12TiO20焼結体について、Bi12TiO20相に対する異相のX線回折パターンによる最強ピーク強度比、及び収集電荷で評価を行った。収集電荷は、上記で製造したそれぞれのBi12TiO20焼結体の両面に金を60nmの厚みで蒸着し、この両電極間に2.5V/μmの電界強度を印加した状態で、医療用X線源により1mremの線量率で0.1秒間X線を照射し、発生するX線光電流から単位線量当たりに発生した電荷量を測定した。結果を表1に示す。なお、収集電荷は比較例2の発生電荷量を1とした相対比で示した。
実施例1、2、比較例1および2で得られたBi12TiO20焼結体について、Bi12TiO20相に対する異相のX線回折パターンによる最強ピーク強度比、及び収集電荷で評価を行った。収集電荷は、上記で製造したそれぞれのBi12TiO20焼結体の両面に金を60nmの厚みで蒸着し、この両電極間に2.5V/μmの電界強度を印加した状態で、医療用X線源により1mremの線量率で0.1秒間X線を照射し、発生するX線光電流から単位線量当たりに発生した電荷量を測定した。結果を表1に示す。なお、収集電荷は比較例2の発生電荷量を1とした相対比で示した。
表1に示すように、Bi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼結したBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する異相(Bi4Ti3O12相)のX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であり、800℃以上で焼成した比較例1および2のBi12TiO20焼結体に比較して数倍高い収集電荷が得られた。
(実施例3)
比較例1で得られたBi12TiO20焼結体の表面(セッターに接触していない面)を研磨シート#1000、#1500、#2000(P1000,P1500,P2000:Refine Tec社製)の順で研磨を行い、100μm研磨した。研磨したBi12TiO20焼結体の両面に金を60nmの厚みで蒸着し、この両電極間に2.5V/μmの電界強度を印加した状態で、医療用X線源により1mremの線量率で0.1秒間X線を照射し、発生するX線光電流から単位線量当たりに発生した電荷量を測定した。結果を表2に示す。
比較例1で得られたBi12TiO20焼結体の表面(セッターに接触していない面)を研磨シート#1000、#1500、#2000(P1000,P1500,P2000:Refine Tec社製)の順で研磨を行い、100μm研磨した。研磨したBi12TiO20焼結体の両面に金を60nmの厚みで蒸着し、この両電極間に2.5V/μmの電界強度を印加した状態で、医療用X線源により1mremの線量率で0.1秒間X線を照射し、発生するX線光電流から単位線量当たりに発生した電荷量を測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、研磨を行ったBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する異相(Bi4Ti3O12相)のX線回折パターンの最強ピーク強度比が1/100以下であり、研磨していない比較例1のBi12TiO20焼結体に比べて数倍高い収集電荷が得られた。
以上のように、本発明のBi12TiO20焼結体は、Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下という高純度かつ均一組成のBi12TiO20焼結体であるため、これを光導電層に用いた場合は発生電荷の捕集効率が向上するとともに、電気ノイズを小さくすることができ、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高い光導電層を得ることができる。
1 導電層
2 記録用放射線導電層
3 電荷輸送層
4 記録用光導電層
5 導電層
10 放射線撮像パネル
70 電流検出手段
2 記録用放射線導電層
3 電荷輸送層
4 記録用光導電層
5 導電層
10 放射線撮像パネル
70 電流検出手段
Claims (6)
- Bi12TiO20焼結体において、Bi12TiO20相によるX線回折パターンの最強ピークに対する該Bi12TiO20相以外の異相によるX線回折パターンの最強ピークの強度比が1/100以下であることを特徴とするBi12TiO20焼結体。
- Bi12TiO20粉体を700℃以上800℃未満で焼結したものであることを特徴とする請求項1記載のBi12TiO20焼結体。
- Bi12TiO20焼結体表面の異相を除去したものであることを特徴とする請求項1記載のBi12TiO20焼結体。
- 前記除去が研磨によるものであることを特徴とする請求項3記載のBi12TiO20焼結体。
- 前記除去が希酸によるものであることを特徴とする請求項3記載のBi12TiO20焼結体。
- 放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層であって、該光導電層が請求項1〜5いずれか1項記載のBi12TiO20焼結体からなることを特徴とする光導電層。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005062036A JP2006245463A (ja) | 2005-03-07 | 2005-03-07 | Bi12TiO20焼結体および光導電層 |
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JP2005062036A JP2006245463A (ja) | 2005-03-07 | 2005-03-07 | Bi12TiO20焼結体および光導電層 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2006245463A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011219796A (ja) * | 2010-04-07 | 2011-11-04 | Mitsubishi Materials Corp | Bi4Ti3O12相を含むBiTi系酸化物ターゲットおよびその製造方法 |
-
2005
- 2005-03-07 JP JP2005062036A patent/JP2006245463A/ja not_active Withdrawn
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