JP2014237227A - 抗菌性を有する耐指紋性透明基材 - Google Patents

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幸宏 扇谷
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幸宏 扇谷
敬介 村田
Keisuke Murata
敬介 村田
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Abstract

【課題】本発明は、指紋に対する優れた拭き取り性(耐指紋性)を有し、優れた抗菌性を有する透明基材を提供することを目的とする。【解決手段】透明基材上に抗菌層を有し、該抗菌層上に被膜を有し、前記被膜がパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する耐指紋性被膜(A)あり、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが10%以下であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材。また、抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、抗菌層の表面にパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.001〜50質量%含有する塗布液を塗布する工程、該塗布液を塗布後の透明基材を50〜250℃で加熱することにより耐指紋性被膜(A)を形成する工程、該透明基材に付着した残余の塗布液を除去する工程を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、透明基材に付着した指紋を拭き取り易くする耐指紋性の透明基材に関し、特に抗菌性を有する耐指紋性透明基材に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及により、タッチパネルの需要が高まっている。タッチパネルは直接指で操作するものであり、操作時にタッチパネルの透明基材表面に指紋汚れが付着しやすく、美観を損なうだけでなく表示画面の視認性も低下させる。また、ATMや券売機などの公共用タッチパネルに用いられる透明基材には不特定多数の人が頻繁に指で触るため、衛生面での配慮が要求され、タッチパネルに抗菌性を付与することが検討されている。
抗菌性と防汚性を併せ持つ物品として、特許文献1では、抗菌材を含む基材の表面に撥水層が形成され、当該撥水層の表面に多数の抗菌材が露出して散在している防汚性物品が開示されている。また、基材表面に抗菌材を含むガラス質層が形成され、このガラス質層の表面に撥水層が形成され、当該撥水層の表面に多数の抗菌材が露出している防汚性物品も開示されている。そして、撥水層を形成するための撥水剤として、アルキルシラン、フルオロアルキルシランやフッ素樹脂が用いられることが開示されている。
特許文献2では、ガラスをはじめとする無機系の基材表面にパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を用いて被膜を形成し、該基材表面に撥水性と撥油性を付与することが開示されている。しかし、抗菌性についての記載はされていない。
特開平11−010760号公報 特開平09−157582号公報
近年、感染力の強い菌の存在が問題となっており、この対策として抗菌剤による抗菌作用(殺菌作用や細菌の増殖抑制作用など)が注目されている。その一方で、前述したようにタッチパネルの需要が高まっており、タッチパネルに付着する指紋を目立たなくすると共に抗菌作用を有することが要求されつつある。
前述した特許文献1に記載の防汚性物品は、例えばタッチパネルに用いられる透明基材のような、透明性を要求される用途を必ずしも意図したものではなく、仮に基材として透明なものを用いたとしても、抗菌材の種類や含有量によっては物品として透明性を維持できない場合があった。
また、特許文献1に記載された防汚性物品は、水系の汚れに対しては優れた汚れ除去性を示すものの、皮脂をはじめとする油分の汚れに対しては十分な汚れ除去性を示さない場合があった。指紋の汚れには水系の汚れと油分の汚れが混在する場合があるため、双方の汚れに対して優れた拭き取り性(耐指紋性)を有しているとは言えなかった。
そこで本発明は、指紋に対する優れた拭き取り性(耐指紋性)を有し、優れた抗菌性を有する透明基材を提供することを課題とする。
本発明者らが前述した課題について鋭意検討を行った結果、特定の撥水撥油性の樹脂を用いることにより、抗菌性作用を有する材料を失活させることなく、耐指紋性を示す被膜を透明基材上に形成できることが明らかとなった。
すなわち本発明は、透明基材上に抗菌層を有し、該抗菌層上に被膜を有し、前記被膜がパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する耐指紋性被膜(A)であり、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが10%以下であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材である。
本発明における「抗菌」とは菌の増殖を抑制することを意味しており、「抗菌性」はサンプルをJIS Z 2801に準拠して測定した結果に基づいて評価を行った。本明細書において、「抗菌性を有する」とは、この測定において抗菌活性値が2.0以上の場合をいう。
また、抗菌層とは抗菌作用を有する抗菌性物質が存在する部分を指し、本発明では、該抗菌層は透明基材の内部又は透明基材上に存在する。該抗菌層は抗菌性物質を有する膜であっても、透明基材の表面〜表面近傍に該抗菌性物質を分散又は担持させたものであってもよい。
なお、上記の「透明基材上」とは、透明基材表面でも、透明基材と抗菌層との間に任意の第三の被膜や層を介してもよい。
本発明における「耐指紋性」とは付着した指紋成分が目立ちにくく、かつ、付着した指紋成分が布等を用いて拭き取りやすいことを意味する。後述する実施例において「耐指紋性」の評価方法を記載する。
本発明の耐指紋性透明基材は、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが0.01〜10%とすることが可能である。ヘイズとは透過光の曇りの度合を表し、ヘイズが小さい程透明性が高いことを示す。本発明においては、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した。また、透明基材上に形成する被膜の膜厚が厚い程ヘイズが大きくなるが、本発明はヘイズが10%以下の範囲となることから500nm以下であると推測される。
また、当該耐指紋性被膜はごく薄い被膜であり、通常被膜の膜厚測定に使用する表面粗さ測定機では、測定限界を超えてしまう為測定できなかった。後述する実施例において蛍光X線分析を行い、抗菌層上に耐指紋性被膜を形成した場合と、耐指紋性被膜を形成していない抗菌層のみの場合との、抗菌性物質のX線強度を比較すると、両者の間に大きな差異は生じなかった。このことから、本発明の耐指紋性被膜は非常に膜厚が薄い状態で形成されていると推察される。このような耐指紋性被膜を抗菌層表面に形成しても抗菌性が発揮されることが明らかとなった。従って、本発明の耐指紋性透明基材は、抗菌性と耐指紋性の両方の性質を発揮することが可能である。
本発明により、耐指紋性と抗菌性とを両立させた透明基材を得ることが可能となった。
本発明は、抗菌層上にパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する被膜を形成することにより、抗菌性作用を有する材料を失活させることなく、耐指紋性を示す被膜を得たものである。
また、本発明は透明基材の視認性を損なうことなく抗菌性と耐指紋性とを両立させたものである。本発明の透明基材としては、無機ガラス基材、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材及びポリスチレン基材等が挙げられる。前述したタッチパネルとして用いる場合、傷つき難く熱や光に強いことから無機ガラスが特に好適に使用できる。
本発明は、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが0.01〜10%とすることが可能である。ヘイズとは透過光の曇りの度合を表し、ヘイズ値が小さい程透明性が高いことを示す。本発明においては、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した。
また本発明の耐指紋性被膜(A)の膜厚は、前述したように非常に薄いものであり、使用する化合物の分子構造に依存すると推測される。従って、ヘイズを損なわず、塗布ムラが目立たない程度の厚みであれば特に限定されないが、500nm以下であるとしてもよい。また、200nm以下であれば可視光線の波長より十分小さいため、成膜ムラが目立たずヘイズ値を小さくすることが可能となるため好ましい。
また、本発明は、前述したように前記耐指紋性被膜を前記抗菌層上に形成しても、該耐指紋性被膜が薄いために、該抗菌層の蛍光X線分析により得られる強度に大きな変化が生じないものである。例えば、抗菌層の強度(Ib)と、同様の抗菌層上に親油性被膜を形成した耐指紋性透明基材の強度(Ia)との比率(Ia/Ib)が、0.90以上、1.10以下の範囲内となるように該耐指紋性被膜を形成するのが好ましい。
前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、一般式[1]で表される化合物を有することが好ましい。
Figure 2014237227
(式中、Wはフッ素原子又は下記式で表される置換基を表し、
Figure 2014237227
Xは式:−(O)−、及び−(CF)−からなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位(g、hはそれぞれ0〜50の整数を表し、gとhの和は1以上である)を有する基を表し、Yは水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を表し、Zは炭素数1〜5のアルコキシ基、クロロ基、アミノ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの加水分解可能な官能基を表し、Rは炭素数が1〜10のアルキル基を表し、Vは酸素又は2価の有機基を表す。a、f、k、m及びnはそれぞれ0〜50の整数、bは1〜200の整数、cは1〜3の整数、dは1〜10の整数、eは0〜4の整数、e′、lは0又は1の整数、前記mとnの和は1以上である。)
上記のXは、−(O)−、及び−(CF)−の繰り返し単位の他に、−(CH2)i−、及び−(OC−の繰り返し単位を含有してもよい。尚、i及びjはそれぞれ独立した0〜50の整数を表す。
上記の一般式[1]の化合物のうち、例えば以下の一般式[2]や、
Figure 2014237227
(式中、Rfは炭素数が1〜100の直鎖状のパーフルオロアルキル基を表し、pは1〜100の整数、qは0〜2の整数を表す。Y、R、dは前記一般式[1]と同じである。)
一般式[3]、
Figure 2014237227
(式中、Rfは、式:−(C2tO)−(tは1〜6の整数である)で表される単位を含むものであり、該Rfは、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロアルキレンエーテル構造を有する二価の基、又は−C2u−(uは1〜8の整数である)で表される単位を含むパーフルオロアルキル構造であり、r及びr′はそれぞれ1〜5の整数、s及びs′はそれぞれ0〜2の整数を表す。R、Z、cは一般式[1]と同じである。)
及び一般式[4]
Figure 2014237227
(式中、vは0〜3の整数を表し、w、x、y及びzはそれぞれ0〜50の整数を表す。R、V、Z、c、k、l、及びeは前記一般式[1]と同じである。)で表される構造を有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が特に好ましく利用される。
上記のような化合物を含有する市販品としては、ダイキン工業製オプツールDSXやオプツールAES4などのオプツールAESシリーズ、信越化学工業製KY130やKY108、フロロテクノロジー製フロロサーフFG−5020、東レ・ダウコーニング社製のDow2634Coatingなどが挙げられる。
前記抗菌層は、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する層であることが好ましい。上記物質は抗菌層において抗菌性物質として作用する。
本発明の好適な実施形態のひとつにおいて、透明基材の表面〜表面近傍に該抗菌性物質を分散又は担持させたものからなる抗菌層は、無機ガラス表面をイオン交換することにより、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つのイオンを拡散させた層であるのが好ましい。また、抗菌性が優れていることから銀を用いるのが特に好ましい。
上記のイオンは無機ガラスに抗菌性を付与するものであり、例えば無機ガラス表面のアルカリイオンと前記の抗菌性物質のイオンとを所定の熱条件下でイオン交換し、冷却することによってガラス表面に担持することが可能である。
本発明の好適な実施形態のひとつにおいて、抗菌性物質を有する膜からなる抗菌層は、抗菌剤及び酸化ケイ素の重縮合体を含有する抗菌性被膜(B)であることが好ましい。
前記抗菌性被膜(B)は、抗菌剤と酸化ケイ素の重縮合体からなる被膜であるのが好ましい。該抗菌性被膜(B)の厚みは透明基材の透過性を損なわない程度であればよい。
前記酸化ケイ素の重縮合体は、酸化ケイ素の前駆体から得ることが可能である。酸化ケイ素の前駆体とは化学量論的な二酸化ケイ素だけでなく、低次酸化ケイ素、一部の酸素がマトリックス等と化学結合したものも含めたものを意味する。該酸化ケイ素の重縮合体を用いることにより、本発明の耐指紋性被膜と透明基材との密着性を向上させることが可能であるため好適である。
酸化ケイ素の前駆体としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びそれらのメトキシ基がエトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等であるアルキルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−オキセタニルプロピルトリエトキシシラン等が使用できる。これらは単体で用いてもよいし、複数の組み合わせで用いてもよい。被膜の強度と薬液のコストを考慮すると、これらの中でも好ましいものはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランである。
また、本実施形態において、前記抗菌剤が、硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、上記抗菌剤のうち硝酸銀、塩化銀を用いた場合、帯電防止機能を付与することも期待できるため好ましい。
また、本実施形態において、前記抗菌性被膜(B)の全固形分に対する抗菌剤の含有量が20質量ppm〜10質量%であることが好ましい。含有量が20質量ppm未満の場合抗菌性が不十分となり、また、10質量%を超える場合着色が生じてしまい透明性が低下することがある。
本発明の好適な実施形態のひとつは抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、抗菌層の表面にパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.001〜50質量%含有する塗布液を塗布する工程、該塗布液を塗布後の透明基材を50〜250℃で加熱することにより耐指紋性被膜(A)を形成する工程、該透明基材に付着した残余の塗布液を除去する工程を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法である。
また、前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、前記一般式[1]で表される化合物を有することが好ましい。
前記塗布液とは、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を有機溶媒によって希釈したものである。該塗布液内に含まれる該パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が0.01〜50質量%の濃度であれば好適に塗布することが可能である。
また、前記耐指紋性被膜内のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物同士は分子間での結合等が弱いために、膜厚方向の結合が弱く、厚い膜が形成され難いと推測される。従って、効率的に被膜を形成することを目的として、前記塗布液の濃度を0.01〜10質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%としてもよい。
上記の希釈に用いる有機溶媒は、前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含み、透明基材表面にムラ無く塗布できるものであればよい。また、通常は前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を溶解しうる有機溶剤で希釈したものを用いると簡便に塗布できるため好ましい。該有機溶剤中には特にフッ素系溶剤が60〜100質量%含有されることが好ましい。該有機溶剤中のフッ素系溶剤の濃度が60質量%未満では、前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が充分に溶解されなかったり、塗りムラが生じたりする場合がある。該有機溶剤中のフッ素系溶剤のより好ましい濃度は70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%である。
前記フッ素系溶剤は、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル、及びハイドロクロロフルオロカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。成膜性の観点から適切な表面張力、及び適切な沸点を考慮して、より好ましいのはパーフルオロカーボン又はハイドロフルオロエーテルである。環境負荷を考慮すると、前記フッ素系溶剤としては、温暖化係数のより小さいハイドロフルオロエーテルが特に好ましい。
また、前記塗布液の塗布方法は、一般的に知られている方法であればどのような方法を用いてもよく、ディップコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法、フローコーティング法、蒸着法、刷毛塗り、ロールコーティング法、手塗り法などが挙げられる。好ましいものとしては蒸着法や手塗り法が挙げられる。特に好ましいのは手塗り法である。
前記の塗布液を塗布後は、常温で放置するか又は加熱をすることで耐指紋性被膜(A)を形成することが出来る。加熱温度は50〜250℃で行うことが好ましく、より好ましくは100〜200℃である。
耐指紋性被膜が形成された後、該被膜の形成に関与しなかった残余の塗布液を除去する。この除去を行わないと、塗布液が残った部分が白くなるため、本発明の耐指紋性透明基材のヘイズが大きくなり透明性が低下してしまう。この時、イソプロピルアルコール、アセトン、水等を染み込ませた布により表面を払拭することで除去することが可能である。
本実施形態において、抗菌層が内部に形成された透明基材を用いても、抗菌剤を有する被膜が形成された透明基材を用いるものであってもよい。抗菌層が内部に形成された透明基材を用いる場合、前述した抗菌性物質のイオンと無機ガラス表面のアルカリイオンとをイオン交換した抗菌性ガラスを用いるのが好ましい。また、抗菌剤を有する被膜を用いる場合、前述した抗菌剤及び酸化ケイ素の重縮合体を含有する抗菌性被膜(B)を用いるのが好ましい。
前記抗菌性被膜(B)は、前述したように抗菌剤として硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いるのが好ましい。この時、該抗菌剤と、前述した酸化ケイ素の前駆体とを、メチルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等を溶媒とした溶液を調整した塗布液(B)を用いて抗菌性被膜(B)を形成することが好ましい。
前記の塗布液(B)は、ヘイズを損なわず、ムラなく塗布が可能となるように、該塗布液(B)中に含まれる全固形分が0.01〜50質量%となるように調製するのが好ましい。また、該塗布液(B)中の全固形分に対する抗菌剤の含有量が20質量ppm〜10質量%となるように混合するのが好ましい。
上記の塗布液(B)は、前述した耐指紋性被膜(A)と同様の方法で基材上に塗布してもよい。該塗布液(B)を塗布後、50〜800℃で基材ごと加熱し、抗菌性被膜(B)を得るのが好ましい。
実施例及び比較例で得られたサンプルの特性を以下の評価方法に従って評価した。得られた結果を表1に示した。
[透明性(ヘイズ)]
JIS K7105(1981年)に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した。(○;ヘイズ1.0%以下、×;ヘイズ10%より大きい)
[蛍光エックス線分析]
走査型蛍光X線分析装置(ZSX PrimuxII(RIGAKU製))によって実施例1、比較例1及び比較例2のサンプル表面の銀のX線強度(IAg)を測定した。測定は、サンプル表面から約5μmの深さの範囲を測定した。また、参考例として実施例1で用いた抗菌性ガラスについて、耐指紋性被膜を形成していない状態の表面の銀のX線強度を測定したところ、1.32kcpsとなった。
また、実施例2及び比較例3についても実施例1、比較例1及び比較例2と同様の方法でX線強度を測定した。さらに、実施例2及び比較例3については、装置に付随する汎用プログラムを用いて、表面から深さ200nmの範囲内の銀の濃度を算出した。
[耐指紋性の評価〕
得られた基材の耐指紋性の評価として、以下の(1)〜(3)を行った。
(1)擬似指紋の付着試験
直径29mmのシリコンゴム栓の端面をJIS R6252に規定された基材Cw、研磨材A、粒度P240の研磨紙を用いて粗らした人工指として用い、アクリル基板上に膜厚0.5mmでスピンコーティングされたオレイン酸を人工指紋液として用いることで、定量的な擬似指紋付着試験を行った。該アクリル基板に対して人工指を250g/cmで垂直に押し付けることで人工指紋液を人工指に転写した後、該人工指を評価するサンプルに対して250g/cmで垂直に押し付けることで、サンプルに擬似指紋を付着させた。
(2)擬似指紋の拭き取り試験
直径33mmの金属円柱底面に一般用タオル120匁を二枚重ねで固定し、加重40g/cmで擬似指紋付着部を1往復させた。
(3)耐指紋性の評価
擬似指紋付着時および擬似指紋拭き取り時において、耐指紋性を目視で評価した(付着時:○目立たない、×未加工の基材と同等;拭き取り時:○指紋跡が残らない、×指紋跡が拡がる)。
[抗菌性の評価]
JIS Z 2801に準拠してサンプルの抗菌性を評価し、抗菌活性値が2.0以上のとき、抗菌効果があると評価した。
[実施例1]
パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物含有する塗布液として、dow2634(ダウ・コーニング製)をフッ素系不活性液体(FC−3283、住友3M社製)に溶解させて固形分濃度を0.1質量%とした塗布液を用意し、これを後述の抗菌ガラス板の表面にスキージーで塗布し、170℃で10分間加熱した。その後、イソプロパノールを含ませたベンコット(旭化成せんい社製)を用いて基材の表面を払拭することで残余の塗布液を除去してガラス板の表面に被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
(抗菌ガラス)
SiO;57.0、Al;12.5、NaO;14.0、KO;6.0、MgO;2.0、ZrO;3.5、TiO;5.0(前記いずれも質量%)の組成の100mm角のガラス板を準備し、該ガラス板の表面を50ppmのAgNOを含む540℃の溶融塩に1.5時間浸漬し、浸漬後に取り出して水洗し、室温で乾燥させ実施例1に使用する抗菌ガラス板を得た。得られた抗菌ガラス板の表面を、走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimuxII(RIGAKU製)を用いて測定し、銀イオンが表面に存在していることを確認した。
[比較例1]
100mm角、厚み2mmのフロートガラス基材を清浄にし、この基材をそのまま評価用サンプルとした。
[比較例2]
100mm角、厚み2mmのフロートガラス基材を清浄にし、実施例1と同様にしてdow2634(ダウ・コーニング製)をフッ素系不活性液体(FC−3283、住友3M社製)に溶解させ、固形分濃度を0.1質量%とした塗布液を前記フロートガラス基材表面にスキージーで塗布し、170℃で10分間加熱した。その後、イソプロパノールを含ませたベンコット(旭化成せんい社製)を用いて基材の表面を払拭することで残余の塗布液を除去してガラス板の表面に被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
[実施例2]
100mm角、厚み2mmのフロートガラス基材を清浄にし、後述の方法で調合した抗菌剤を含むゾル溶液をスピンコート法により塗布した。塗布後、170℃に保った電気炉の中に10分間保持し、銀を含有するシリカ膜が成膜された透明基材を得た。
次に、得られたシリカ膜表面に、固形分濃度0.1質量%のdow2634をスキージーで塗布し、170℃に保った電気炉の中に10分間保持してガラス板の表面に被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
(ゾル溶液の調合方法)
市販のテトラエトキシシラン3.47gに5.33gのイソプロピルアルコール、1規定の硝酸1.2gを加え、溶液を室温で16時間撹拌した後、さらにイソプロピルアルコールを15g加え、固形分濃度が4質量%のシリカゾル溶液を得た。また、抗菌剤のAgNOとイソプロピルアルコールを混合し、固形分濃度が0.2質量%のAgNO溶液を得た。これらを1:1の質量比となるように混合し、目的のゾル溶液を得た。
[比較例3]
100mm角、厚み2mmのフロートガラス基材を清浄にし、実施例2と同様にゾル溶液を塗布した。塗布後、170℃に保った電気炉の中に10分間保持してガラス板の表面に被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
Figure 2014237227
以上より、表1に示すように、本発明が抗菌性と耐指紋性とを両立することが確認された。

Claims (9)

  1. 透明基材上に抗菌層を有し、該抗菌層上に被膜を有し、前記被膜がパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する耐指紋性被膜(A)であり、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが10%以下であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
  2. 前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が一般式[1]で表される化合物を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
    Figure 2014237227
    (式中、Wはフッ素原子又は下記式で表される置換基を表し、
    Figure 2014237227
    Xは式:−(O)−、及び−(CF)−からなる群から選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位(g、hはそれぞれ0〜50の整数を表し、gとhの和は1以上である)を有する基を表し、Yは水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を表し、Zは炭素数1〜5のアルコキシ基、クロロ基、アミノ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1つの加水分解可能な官能基を表し、Rは炭素数が1〜10のアルキル基を表し、Vは酸素又は2価の有機基を表す。a、f、k、m及びnはそれぞれ0〜50の整数、bは1〜200の整数、cは1〜3の整数、dは1〜10の整数、eは0〜4の整数、e′、lは0又は1の整数、前記mとnの和は1以上である。)
  3. 前記抗菌層は、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
  4. 前記抗菌層は、無機ガラス表面をイオン交換することにより、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つのイオンを拡散させた層であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
  5. 前記抗菌層は、抗菌剤及び酸化ケイ素の重縮合体を含有する抗菌性被膜(B)であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
  6. 前記抗菌剤が、硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
  7. 前記抗菌性被膜(B)の全固形分に対する抗菌剤の含有量が20質量ppm〜10質量%であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、
    抗菌層の表面にパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.001〜50質量%含有する塗布液を塗布する工程、
    該塗布液を塗布後の透明基材を50〜250℃で加熱することにより耐指紋性被膜(A)を形成する工程、
    該透明基材に付着した残余の塗布液を除去する工程を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法。
  9. 前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、前記一般式[1]で表される化合物を有することを特徴とする請求項8に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法。
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