JP2014237228A - 抗菌性を有する耐指紋性透明基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、耐指紋性(指紋が目立たない特性)と抗菌性とを両立させた透明基材を提供すること。【解決手段】表面に抗菌層を有する透明基材と、該抗菌層上に被膜とを有する被膜付きの透明基材であって、前記被膜がエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物とが結合した化合物Aを有する親油性被膜あり、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが10%以下であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材。【選択図】なし
Description
本発明は、透明基材に付着した指紋を目立たなくする耐指紋性の透明基材に関し、特に抗菌性を有する耐指紋性透明基材に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及により、タッチパネルの需要が高まっている。タッチパネルは直接指で操作するものであり、操作時にタッチパネルの透明基材表面に指紋汚れが付着しやすく、美観を損なうだけでなく表示画面の視認性も低下させる。また、ATMや券売機などの公共用タッチパネルに用いられる透明基材には不特定多数の人が頻繁に指で触るため、衛生面での配慮が要求され、タッチパネルに抗菌性を付与することが検討されている。
表面に親油性の被膜を形成することにより付着した指紋を目立ちにくくする技術は、例えば特許文献1には、脂肪酸エステル基を親油性基として用いることにより、基材表面に優れた親油性を付与した汚れ目立ち防止被膜が開示されている。
また、基材に抗菌性を付与する技術は、例えば特許文献2、3に開示されている。特許文献2には、抗菌剤として有機シリコーン系第4級アンモニウム塩のような親水基と親油基とを有する化合物を用いることが開示されている。この親油基は抗菌剤を樹脂組成物中へ均一混合させることを目的としており、耐指紋性(指紋が目立たない特性)を付与するものではない。
また、特許文献3には、無機系抗菌剤が添加された樹脂材が開示されており、該無機系抗菌剤は水分等の液体への溶解を防止ないし抑制する表面処理がなされた無機フィラーを含有するものである。該表面処理として親油性又は撥水性の表面処理剤による表面処理が施されている抗菌性樹脂材が開示されている。親油性の表面処理は、フィラーの溶出を防止することにより抗菌剤の失活を防ぐことと、無機フィラーの樹脂への分散性を向上する目的で行われており、耐指紋性を付与するものではない。
近年、感染力の強い菌の存在が問題となっており、この対策として抗菌剤による抗菌作用(殺菌作用や細菌の増殖抑制作用など)が注目されている。その一方で、前述したようにタッチパネルの需要が高まっており、タッチパネルに付着する指紋を目立たなくすると共に抗菌作用を有することが要求されつつある。
前述した特許文献2、3には基材に抗菌性を付与する技術が開示されているが、いずれも例えばタッチパネルに用いられる透明基材のような、透明性を要求される用途を必ずしも意図したものではなく、抗菌材の種類や含有量によっては物品として透明性を維持できない場合があった。
そこで本発明は、耐指紋性(指紋が目立たない特性)と抗菌性とを両立させた透明基材を提供することを課題とする。
本発明者らが前記の課題について鋭意検討を行った結果、特定の親油性の樹脂を用いることにより、抗菌性作用を有する材料を失活させることなく、耐指紋性を示す被膜を透明基材上に形成できることが明らかとなった。
すなわち本発明は、表面に抗菌層を有する透明基材と、該抗菌層上に被膜とを有する、被膜付きの透明基材であって、前記被膜がエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物とが結合した化合物Aを有する親油性被膜であり、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが10%以下であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材である。
本発明における「抗菌」とは菌の増殖を抑制することを意味しており、「抗菌性」はサンプルをJIS Z 2801に準拠して測定した結果に基づいて評価を行った。本明細書において、「抗菌性を有する」とは、この測定において抗菌活性値が2.0以上の場合をいう。
抗菌層とは、透明基材表面で抗菌作用を有する抗菌性物質が存在する部分を指すものとする。該抗菌層は抗菌性物質を有する膜であっても、透明基材の表面〜表面近傍に該抗菌性物質を分散又は担持させたものであってもよい。
本発明における「耐指紋性」とは、透明基材表面に付着した指紋成分の視認されにくさを意味する。また、本発明において「耐指紋性」は「親油性」が良好であるほどその効果が向上するといえる。
親油性被膜とは、アルキル基やフェニル基などの親油性基を有する化合物を含む被膜で、皮脂などの指紋成分が馴染みやすく、濡れ広がるため、光の乱反射を抑制でき、付着した指紋を目立ちにくくする機能を有する。
前記の親油性被膜は、抗菌層上にエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールとケイ素化合物とが結合した化合物Aから形成される被膜である。
前記化合物Aは、モノオール又はポリオールが有する水酸基とケイ素化合物が反応することによって結合が生じる。該ケイ素化合物との反応は、ケイ素が結合するものでも、該ケイ素化合物が有する官能基が前記の水酸基と反応し結合するものでもよい。
本発明の耐指紋性透明基材は、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが0.01〜10%とすることが可能である。ヘイズとは透過光の曇りの度合を表し、ヘイズが小さい程透明性が高いことを示す。本発明においては、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した。また、透明基材上に形成する被膜の膜厚が厚い程ヘイズが大きくなるが、本発明はヘイズが10%以下の範囲となることから500nm以下であると推測される。
また、後述する実施例において、蛍光X線分析装置を用いて表面の抗菌性物質の強度を測定したところ、抗菌層上に当該親油性被膜を形成した場合と、親油性被膜を形成しない抗菌層だけの場合とでは、強度にほとんど変化が見られないことがわかった。この結果より、当該親油性被膜は膜厚が薄い被膜であり、このような親油性被膜を抗菌層表面に形成することにより、耐指紋性を損なわずに抗菌性を発揮できることが明らかとなった。従って、本発明の耐指紋性透明基材は、抗菌性と耐指紋性の両方の性質を発揮することが可能である。
また本発明は、透明基材上に、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物が結合した化合物Aを有する親油性被膜を有し、該親油性被膜は抗菌剤を含むことを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材である。
前記の親油性被膜は、被膜内に抗菌剤を分散させたものであり、該被膜の表面付近に分散した抗菌剤により抗菌性を示すことが可能となる。
本発明により、耐指紋性と抗菌性とを両立させた透明基材を得ることが可能となった。
本発明は、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物とが結合した化合物Aを用いることにより、抗菌性作用を有する材料を失活させることなく、耐指紋性を示す親油性被膜を形成したものである。
本発明の耐指紋性透明基材は、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが0.01〜10%とすることが可能である。ヘイズとは透過光の曇りの度合を表し、ヘイズが小さい程透明性が高いことを示す。本発明においては、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した。
一般的に、上記のヘイズは透明基材上に形成する被膜が厚くなる程大きくなり、視認性を損なう傾向がある。本発明は前述したようにヘイズを極力小さくするために、耐指紋性被膜の膜厚を薄くしている。本発明はヘイズが10%以下の範囲となることから500nm以下であると推測される。
また本発明は、前記親油性被膜表面に室温でのオレイン酸2μlを置いた場合の静的接触角を10°以下にできることが好ましい。該接触角が10°以下の場合は表面の親油性が非常に高く、付着した指紋成分を濡れ拡げさせることができ、目視で目立たなくなる。
また本発明は、前記親油性被膜表面を、タオルを用いて約30g/cm2で表面に垂直に荷重をかけた条件で水平方向に300往復払拭した後に、該親油性被膜表面に室温でオレイン酸2μlを置いた場合の静的接触角が、払拭前の接触角に比べて50%以内の変化率であることが耐摩耗性の面からみて好ましい。
本発明の好適な実施形態の1つは、表面に抗菌層を有する透明基材と、該抗菌層上に被膜とを有する被膜付きの透明基材であって、前記被膜がエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールとケイ素化合物とが結合した化合物Aを有する親油性被膜であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材である。
本実施形態において、透明基材の表面〜表面近傍に該抗菌性物質を分散又は担持させたものからなる抗菌層は、無機ガラス表面をイオン交換することにより、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一つのイオンが拡散した層であるのが好ましい。
上記のイオンは無機ガラスに抗菌性を付与するものであり、例えば無機ガラス表面のアルカリイオンと前記の抗菌性物質のイオンとを所定の熱条件下でイオン交換し、冷却することによってガラス表面に担持することが可能である。
前述した方法以外にも、無機ガラスを作成する際、ガラスの原料内に抗菌性物質を混合し、ガラス基板内に抗菌性物質が分散したガラス板を得ることにより、表面付近の抗菌性物質が抗菌作用を示す抗菌ガラスを得ることが可能となる。
また、上記のように原料内に抗菌性物質を混合させて基板を成型する場合は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びポリスチレン等の樹脂を用いてもよい。
また、本実施形態において、抗菌性物質を有する膜からなる抗菌層は抗菌性被膜を用いてもよく、該抗菌性被膜を基材上に成膜することによって抗菌性を有する透明基材を得ることが可能である。このような基材としては、無機ガラス、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材、及びポリスチレン基材等が挙げられる。
上記の抗菌性被膜は、抗菌性物質を少なくとも表面〜表面近傍に有するものであればよく、該被膜中に分散していてもよい。また、該抗菌性物質は銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、抗菌性を示しヘイズが10%以下の範囲となるものであれば特に膜厚は限定されない。
上記抗菌性被膜は一般的な成膜法で形成可能であり、例えばゾルゲル法やスピンコート等の液相成膜法、スパッタリング法、CVD法、及び蒸着法等の気相蒸着法等が挙げられる。また、透明基材と親油性被膜との密着性を向上させることを目的として、酸化ケイ素等の任意の第三成分と、抗菌性物質として硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛等とを混合してもよく、このような場合はゾルゲル法やスピンコート等の液相成膜法を用いるのが好適である。
また、本実施形態は、前述したように前記耐指紋性被膜を前記抗菌層上に形成しても、該耐指紋性被膜が薄いために、該抗菌層の蛍光X線分析により得られる強度に大きな変化が生じないものである。抗菌性が失われず、透明基材のヘイズが大きくならないものであれば該耐指紋性被膜の膜厚は特に限定されるものではない。例えば、抗菌層の強度(Ib)と、同様の抗菌層上に親油性被膜を形成した耐指紋性透明基材の強度(Ia)との比率(Ia/Ib)が、0.90以上、1.10以下の範囲内となるように該耐指紋性被膜を形成するのが好ましい。
上記の蛍光X線分析は、走査型蛍光X線分析装置(リガク製ZSX PrimusII)を用いて、親油性被膜表面側から測定を行った。
前記化合物Aは、一般式[1]乃至一般式[4]のいずれかで表される構造の化合物であることが好ましい。
式中、Rはエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有する重合部位を示し、Xは−C(=O)−N(−H)−基、又は−CH2−CH2−基を示し、R’は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、Yはそれぞれ独立しており、炭素数1〜4のアルコキシ基、クロロ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも一つの加水分解可能な官能基を示す。aは0〜1の整数である。p、qはそれぞれ0〜3の整数である。Zはそれぞれ独立しており、水素原子、−R−OH基、又は下記式で表される置換基を示し、分子中のZのうち少なくとも一つは下記式の置換基である。
(式中、R、X、R’、Y、aはそれぞれ一般式[1]と同じである。)
前記一般式[1]〜一般式[4]において、Rはエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有する重合部位を示すが、前記群のうち少なくとも異なる2つの鎖の共重合構造であることが好ましい。この重合部位は前記群より選ばれる鎖のみで形成されていても、鎖と鎖の間に炭化水素基や窒素原子、酸素原子などが存在していても構わない。この重合部位が透明基材表面に層を作ることで、該透明基材表面の親油性が向上し、良好な耐指紋性を付与することが出来ると推測される。
前記一般式[1]〜一般式[4]において、Rはエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有する重合部位を示すが、前記群のうち少なくとも異なる2つの鎖の共重合構造であることが好ましい。この重合部位は前記群より選ばれる鎖のみで形成されていても、鎖と鎖の間に炭化水素基や窒素原子、酸素原子などが存在していても構わない。この重合部位が透明基材表面に層を作ることで、該透明基材表面の親油性が向上し、良好な耐指紋性を付与することが出来ると推測される。
式中、Xは−C(=O)−N(−H)−基、又は−CH2−CH2−基を示す。また、Yは炭素数1〜4のアルコキシ基、クロロ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解可能な官能基を示す。前記透明基材がガラス基材の時、該官能基が加水分解反応を起こすことにより、ガラス基板とシラノール基との化学結合を形成し、基材と該被膜との密着性が良好なものとなる。
前記式[1]において、Yで表される加水分解可能な官能基の反応性が高すぎると、透明基材上に塗る塗布液を調製する時の取り扱いが難しくなるだけでなく、塗布液のポットライフが短くなる。一方、反応性が低すぎると、加水分解反応が十分に進行しなくなり、生成するシラノール基の量が十分でなくなるため、該シラノール基と透明基材表面の活性種との間で形成される結合(例えば、シロキサン結合をはじめとするメタロキサン結合など)や相互作用(例えば、ファンデルワールス力や静電的相互作用など)が十分でなくなり、該被膜と透明基材表面との間に十分な接着性を付与することができなかったり、該被膜の耐久性が低くなったりする。上記を考慮して、Yで表される加水分解可能な官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、及びブトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、並びにイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも一つが好ましい。これらの中でも、加水分解可能な官能基の取り扱いの容易さ、処理剤のポットライフ、得られる該被膜の耐久性を考慮すると、加水分解可能な官能基としてはアルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
前記化合物Aは、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールとケイ素化合物とから容易に合成することが可能である。例えばポリオールとしてとしてポリエチレングリコールを、ケイ素化合物として3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを用い、触媒の存在下で反応させることで、下記のスキームのように目的物を得ることができる。
合成に用いることの出来るモノオール又はポリオールとしては、例えばポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルのモノオール型、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのジオール型、ポリプロピレングリコールのトリオール型、ポリ(オキシエチレン・ポリオキシプロピレン)グリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ステアリン酸グリセリル、ポリブチレングリコール等が挙げられる。
前述したポリオールの水酸基と反応しうるケイ素化合物としては3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記合成に用いる触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マーカブチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカブチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート等を使用することができる。添加する触媒濃度は、イソシアネート化合物に対して0.1〜10質量%の範囲であれば良い。
前記塗布液に含まれる化合物Aとして、前述したような化合物を1種類だけ用いてもよいし、複数種類の化合物を併用してもよい。
また、前記化合物Aと酸化ケイ素の前駆体との重縮合体(以降、単に「重縮合体」とも記載する)を被膜形成成分とするものであっても良い。該塗布液が化合物Aと酸化ケイ素の前駆体との重縮合体を含む場合、該化合物Aが1モル量に対して0.01〜100モル量程度の酸化ケイ素の前駆体を用いればよい。酸化ケイ素の前駆体とは化学量論的な二酸化ケイ素だけでなく、低次酸化ケイ素、一部の酸素が親油性分子やマトリックス等と化学結合したもの、ガラス等の非晶質物質中の網目形成酸化物としての酸化ケイ素も含めたものを意味する(具体的な化合物は後述する)。該重縮合体によって形成された膜は、耐摩耗性向上に寄与すると推測される。よって、該処理剤が化合物Aと酸化ケイ素の前駆体との重縮合体を含むことは、好ましい形態といえる。
酸化ケイ素の前駆体としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びそれらのメトキシ基がエトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等であるアルキルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−オキセタニルプロピルトリエトキシシラン等が使用できる。これらは単体で用いてもよいし、複数の組み合わせで用いてもよい。被膜の耐摩耗性と薬液のコストを考慮すると、これらの中でも好ましいものはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランである。
また、本発明の好適な実施形態のひとつは、透明基材上に、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物が結合した化合物Aを有する親油性被膜を有し、該親油性被膜は抗菌剤を含むことを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材である。
本実施形態における透明基材としては、無機ガラス基材、ポリカーボネート基材、ポリメチルメタクリレート基材、及びポリスチレン基材が挙げられる。前述したタッチパネルとして用いる場合、傷つき難く熱や光に強いことから無機ガラスが特に好適に使用できる。
また、本実施形態において、前記化合物Aが前記一般式[1]乃至[4]のいずれかで表される化合物であるのが好ましい。
また、本実施形態において、前記抗菌剤が、硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。親油性被膜表面に分散した当該抗菌剤により、抗菌性を付与することが可能となる。また、上記抗菌剤のうち硝酸銀、塩化銀を用いた場合、帯電防止機能を付与することも期待できるため好ましい。
また、本実施形態において、前記親油性被膜の全固形分に対する抗菌剤の含有量が20質量ppm〜10質量%であるのが好ましい。含有量が20質量ppm未満の場合抗菌性が不十分となり、また、10質量%を超える場合着色が生じてしまい透明性が低下することがある。
また、本発明の好適な実施形態のひとつは、前記抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、表面に抗菌層を有する透明基材の該抗菌層上に、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物とが結合した化合物Aを、固形分濃度で0.01〜50質量%含有する塗布液を塗布する工程、塗布後の該透明基材を50〜250℃で加熱することにより親油性被膜を形成する工程、該透明基材に付着した残余の該塗布液を除去する工程、を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法である。
前記塗布液とは、化合物Aを有機溶媒によって希釈したものである。該塗布液内に含まれる該化合物Aが0.01〜50質量%程度の濃度であれば好適に塗布することが可能である。また、本実施形態のごく薄い親油性被膜を得るために、0.01〜10質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%としてもよい。
上記の希釈に用いる有機溶媒は該化合物Aを溶解し、さらに失活させないものであれば特に限定はされないが、具体的にはメチルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等が挙げられる。中でもイソプロピルアルコール、メチルエチルケトンが好ましい。
また、該塗布液には酸触媒を添加してもかまわない。酸触媒としては特に制限は無いが、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等が挙げられる。添加量としては化合物Aが1モル量に対して0.001〜100モル量程度でよい。
本実施形態において、前記塗布液を透明基材の抗菌層上に塗布した後被膜を形成させる。塗布液の塗布方法としては、一般的に知られている方法であればどのようなものを用いてもよく、ディップコーティング法、スプレー法、スピンコーティング法、フローコーティング法、蒸着法、刷毛塗り法、ロールコーティング法、スキージー法などが挙げられる。中でも好ましいものとしてはスプレー法、スピンコーティング法、フローコーティング法、蒸着法、刷毛塗り法、スキージー法が挙げられる。特に好ましいのはスピンコーティング法、フローコーティング法、スキージー法である。なお、蒸着法の場合、前記処理剤を溶媒で希釈せずにそのまま用いてもよい。
塗布液を塗布後は、常温で放置するか或いは加熱をすることで被膜を形成することが出来る。加熱温度は化合物Aの構造に依存するために特に限定されないが、通常50〜250℃で行うことが好ましく、より好ましくは100〜200℃である。
前述したように、化合物Aと酸化ケイ素の前駆体との重縮合体を被膜形成成分とするものを用いる場合、特にゾルゲル法によって耐指紋性被膜を成膜することが成膜性及び耐摩耗性の点から有利である。ゾルゲル法による被膜形成は定法に則ればよい。酸化ケイ素の前駆体を加水分解及び/又は重縮合させたゾルの調製の時点で、該化合物Aを酸化ケイ素の前駆体に混合、分散させ、得られたゾルを前記塗布液として用いて、透明基材に成膜することで、化合物Aと酸化ケイ素の前駆体との重縮合体による被膜が形成される。
親油性被膜が形成された後、該被膜の形成に関与しなかった残余の塗布液を除去する。この除去を行わないと、塗布液が残った部分が白くなるため、本発明の耐指紋性透明基材のヘイズが大きくなり透明性が低下してしまう。この時、イソプロピルアルコール、アセトン、水等を染み込ませた布により表面を払拭することで除去することが可能である。
また、本実施形態において、前記化合物Aが、前記一般式[1]乃至[4]のいずれかで表されることが好ましい。
また、本発明の好適な実施形態のひとつは、抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールとケイ素化合物とが結合した化合物Aと、抗菌剤とを含み、該化合物Aを全固形分濃度で0.01〜50質量%含有する塗布液を透明基材上に塗布する工程、塗布後の透明基材を50〜250℃で加熱することにより親油性被膜を形成する工程、前記透明基材に付着した残余の塗布液を除去する工程を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法である。
前記抗菌剤は、前述したように、硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一つを用いるのが好ましい。この時、メチルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等を溶媒とした溶液を調整し、前述した化合物Aが希釈された溶液と混合させ塗布液とするのが好ましい。
また、前述した抗菌剤を含有する溶液と、化合物Aが希釈された溶液とを混合する場合、親油性被膜の全固形分に対する抗菌剤の含有量が20質量ppm〜10質量%となるように混合するのが好ましい。
また、本実施形態において、前記化合物Aが、前記一般式[1]乃至[4]のいずれかで表されることが好ましい。
また本実施形態では、膜厚はヘイズを損なわず、塗布ムラが目立たない程度であれば特に限定されないが、通常は使用する化合物Aの分子構造に依存し、1〜500nm程度になる。200nm以下の場合は可視光線の波長より十分小さいため、成膜ムラが目立たず、また膜の強度が透明基材に依存するようになり硬くなるため好ましい。
また、上記のように、本実施形態はヘイズを損なわず、塗布ムラが目立たない程度であれば、親油性被膜の膜厚を薄くする必要は特にないため、前記塗布液中の化合物Aの全固形分濃度が0.01〜50質量%の範囲内であれば良好な被膜を得ることが可能となる。
実施例及び比較例で得られたサンプルの特性を以下の評価方法に従って評価した。評価結果を表1に示す。
[透明性(ヘイズ)]
JIS K7105(1981年)に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した(○;ヘイズ1.0%以下、×;ヘイズ10%より大きい)。
JIS K7105(1981年)に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いてヘイズを測定した(○;ヘイズ1.0%以下、×;ヘイズ10%より大きい)。
[親油性の評価]
得られたサンプルの親油性の評価として、表面にオレイン酸約2μlを置き、液滴を置いた10秒後の液滴と基材表面とのなす角を、接触角計(CA−X200、協和界面科学製)を用いて室温(約25℃)で測定した。
得られたサンプルの親油性の評価として、表面にオレイン酸約2μlを置き、液滴を置いた10秒後の液滴と基材表面とのなす角を、接触角計(CA−X200、協和界面科学製)を用いて室温(約25℃)で測定した。
[耐指紋性の評価]
得られたサンプルの耐指紋性の評価として、以下の(1)〜(2)を行った。
得られたサンプルの耐指紋性の評価として、以下の(1)〜(2)を行った。
(1)擬似指紋の付着試験
直径29mmのシリコーンゴム栓の端面をJIS R6252に規定された基材Cw、研磨材A、粒度P240の研磨紙を用いて粗らした人工指として用い、アクリル基板上に膜厚0.5mmでスピンコーティングされたオレイン酸を人工指紋液として用いることで、定量的な擬似指紋付着試験を行った。該アクリル基板に対して人工指を250g/cm2で垂直に押し付けることで人工指紋液を人工指に転写した後、評価するサンプルに対して250g/cm2で垂直に押し付けることで、サンプルに擬似指紋を付着させた。
直径29mmのシリコーンゴム栓の端面をJIS R6252に規定された基材Cw、研磨材A、粒度P240の研磨紙を用いて粗らした人工指として用い、アクリル基板上に膜厚0.5mmでスピンコーティングされたオレイン酸を人工指紋液として用いることで、定量的な擬似指紋付着試験を行った。該アクリル基板に対して人工指を250g/cm2で垂直に押し付けることで人工指紋液を人工指に転写した後、評価するサンプルに対して250g/cm2で垂直に押し付けることで、サンプルに擬似指紋を付着させた。
(2)耐指紋性の評価
擬似指紋付着時において、耐指紋性を目視で評価した(○;目立たない、×;未加工の基材と同等)。
擬似指紋付着時において、耐指紋性を目視で評価した(○;目立たない、×;未加工の基材と同等)。
[蛍光エックス線分析]
走査型蛍光X線分析装置(ZSX PrimuxII(RIGAKU製))によって実施例1及び比較例1のサンプル表面の銀のX線強度(IAg)を測定した。測定は、サンプル表面から約5μmの深さの範囲を測定した。また、参考例として実施例1で用いた抗菌性ガラスについて、耐指紋性被膜を形成していない状態の表面の銀のX線強度を測定したところ、1.32kcpsとなった。
走査型蛍光X線分析装置(ZSX PrimuxII(RIGAKU製))によって実施例1及び比較例1のサンプル表面の銀のX線強度(IAg)を測定した。測定は、サンプル表面から約5μmの深さの範囲を測定した。また、参考例として実施例1で用いた抗菌性ガラスについて、耐指紋性被膜を形成していない状態の表面の銀のX線強度を測定したところ、1.32kcpsとなった。
また、実施例2及び比較例2についても実施例1及び比較例1と同様の方法でX線強度を測定した。さらに、実施例2及び比較例2については、装置に付随する汎用プログラムを用いて、表面から深さ200nmの範囲内の銀の濃度を算出した。
[抗菌性の評価]
JIS Z 2801に準拠してサンプルの抗菌性を評価し、抗菌活性値が2.0以上のとき、抗菌効果があると評価した。
JIS Z 2801に準拠してサンプルの抗菌性を評価し、抗菌活性値が2.0以上のとき、抗菌効果があると評価した。
[実施例1]
後述の方法で合成した化合物Aを、メチルエチルケトンを用いて1質量%に希釈したものを塗布液として用い、清浄にした100mm角、厚み2mmの後述する方法で作成した抗菌ガラスの表面にスピンコート法により塗布した。塗布後、170℃に保った電気炉の中に10分間保持し、得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
後述の方法で合成した化合物Aを、メチルエチルケトンを用いて1質量%に希釈したものを塗布液として用い、清浄にした100mm角、厚み2mmの後述する方法で作成した抗菌ガラスの表面にスピンコート法により塗布した。塗布後、170℃に保った電気炉の中に10分間保持し、得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
(化合物Aの合成方法)
合成手順と混合割合(質量比)を以下に示す。
まず、プロピレングリコール;2.00gとメチルエチルケトン(脱水処理品);17.76gを混合し、約1分間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート;0.03gを添加し、約5分間攪拌した。
合成手順と混合割合(質量比)を以下に示す。
まず、プロピレングリコール;2.00gとメチルエチルケトン(脱水処理品);17.76gを混合し、約1分間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート;0.03gを添加し、約5分間攪拌した。
次に、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを、イソシアネート(−N=C=O)基とプロピレングリコールのOH基が1:1当量になるように添加し、室温で1日間攪拌した。
得られた溶液のFT−IRスペクトルを測定したところ、約2300cm−1付近に現れる−N=C=O基の由来のピーク強度が減少し、1530cm−1付近のN−H由来のピークが生成していたことから、ポリプロピレングリコールのOH基と3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランの−N=C=O基の反応により、末端に3個のアルコキシ基を持ったシラン化ポリプロピレングリコールが生成していると考えられる。
(抗菌ガラスの作成方法)
SiO2;57.0、Al2O3;12.5、Na2O;14.0、K2O;6.0、MgO;2.0、ZrO2;3.5、TiO2;5.0(前記いずれも質量%)の組成の100mm角のガラス板を準備し、該ガラス板の表面を50ppmのAgNO3を含む540℃の溶融塩に1.5時間浸漬し、浸漬後に取り出して水洗し、室温で乾燥させ実施例1に使用する抗菌ガラス板を得た。得られた抗菌ガラス板の表面を、走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimuxII(RIGAKU製)を用いて測定し、銀イオンが表面に存在していることを確認した。
SiO2;57.0、Al2O3;12.5、Na2O;14.0、K2O;6.0、MgO;2.0、ZrO2;3.5、TiO2;5.0(前記いずれも質量%)の組成の100mm角のガラス板を準備し、該ガラス板の表面を50ppmのAgNO3を含む540℃の溶融塩に1.5時間浸漬し、浸漬後に取り出して水洗し、室温で乾燥させ実施例1に使用する抗菌ガラス板を得た。得られた抗菌ガラス板の表面を、走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimuxII(RIGAKU製)を用いて測定し、銀イオンが表面に存在していることを確認した。
[比較例1]
透明基材としてフロートガラス基材を用いた以外は実施例1と同様の方法で耐指紋性被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
透明基材としてフロートガラス基材を用いた以外は実施例1と同様の方法で耐指紋性被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
[実施例2]
100mm角、厚み2mmのフロートガラス基材を清浄にし、後述の方法で調合した抗菌剤を含むゾル溶液をスピンコート法により塗布した。塗布後、170℃に保った電気炉の中に10分間保持してガラス板の表面に被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
100mm角、厚み2mmのフロートガラス基材を清浄にし、後述の方法で調合した抗菌剤を含むゾル溶液をスピンコート法により塗布した。塗布後、170℃に保った電気炉の中に10分間保持してガラス板の表面に被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
(ゾル溶液の調製方法)
市販のテトラエトキシシラン3.47gに5.33gのイソプロピルアルコール、1規定の硝酸1.2gを加え、溶液を室温で16時間撹拌した。次に、イソプロピルアルコールを15g加え、固形分濃度が4質量%のシリカゾル溶液を得た。
市販のテトラエトキシシラン3.47gに5.33gのイソプロピルアルコール、1規定の硝酸1.2gを加え、溶液を室温で16時間撹拌した。次に、イソプロピルアルコールを15g加え、固形分濃度が4質量%のシリカゾル溶液を得た。
次に、実施例1で用いた化合物Aを、メチルエチルケトンを用いて4質量%に希釈した。
次に、抗菌剤のAgNO3とイソプロピルアルコールを混合し、固形分濃度が0.2質量%のAgNO3溶液を得た。
次に、調製したシリカゾル溶液、化合物A溶液、及びAgNO3溶液を2:1:3の質量比となるように混合し目的のゾル溶液を得た。
[比較例2]
実施例2のゾル溶液の調製方法で用いたシリカゾル溶液とAgNO3溶液を1:1の質量比となるように混合した溶液を塗布液として用いた以外は、実施例2と同様の方法で抗菌性被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
実施例2のゾル溶液の調製方法で用いたシリカゾル溶液とAgNO3溶液を1:1の質量比となるように混合した溶液を塗布液として用いた以外は、実施例2と同様の方法で抗菌性被膜を形成した。得られた直後の透明基材をそのまま評価用サンプルとした。
以上より、表1に示すように、本発明が抗菌性と耐指紋性とを両立することが確認された。
Claims (11)
- 表面に抗菌層を有する透明基材と、該抗菌層上に被膜とを有する被膜付きの透明基材であって、前記被膜がエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物とが結合した化合物Aを有する親油性被膜であり、JIS K7105(1981年)に準拠するヘイズが10%以下であることを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 前記化合物Aが一般式[1]乃至一般式[4]のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 前記抗菌層は、無機ガラス表面をイオン交換することにより、銀、銅、及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一つのイオンが拡散した層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、
表面に抗菌層を有する透明基材の該抗菌層上に、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物とが結合した化合物Aを、固形分濃度で0.01〜50質量%含有する塗布液を塗布する工程、
塗布後の該透明基材を50〜250℃で加熱することにより親油性被膜を形成する工程、
該透明基材に付着した残余の該塗布液を除去する工程、を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法。 - 前記化合物Aが、前記一般式[1]乃至[4]のいずれかで表されることを特徴とする請求項4に記載の耐指紋性透明基材の製造方法。
- 透明基材上に、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールと、ケイ素化合物が結合した化合物Aを有する親油性被膜を有し、該親油性被膜は抗菌剤を含むことを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 前記化合物Aが前記一般式[1]乃至[4]のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項6に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 前記抗菌剤が、硝酸銀、塩化銀、硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、及び硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 前記親油性被膜の全固形分に対する抗菌剤の含有量が20質量ppm〜10質量%であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材。
- 請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法であって、
エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖及びブチレンオキサイド鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを繰り返し単位として含有するモノオール又はポリオールとケイ素化合物とが結合した化合物Aと、抗菌剤とを含み、該化合物Aを全固形分濃度で0.01〜50質量%含有する塗布液を透明基材上に塗布する工程、
塗布後の透明基材を50〜250℃で加熱することにより親油性被膜を形成する工程、
前記透明基材に付着した残余の塗布液を除去する工程を有することを特徴とする抗菌性を有する耐指紋性透明基材の製造方法。 - 前記化合物Aが、前記一般式[1]乃至[4]のいずれかで表されることを特徴とする請求項10に記載の耐指紋性透明基材の製造方法。
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