JP2014234543A - S含有鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】S濃度を精度よく制御するS含有鋼の製造方法を提供する【解決手段】スラグの塩基度CaO/SiO2を1〜1.5に制御したCaO−SiO2系スラグを形成し、Sを0.3質量%〜0.6質量%添加し、その際、スラグの塩基度とSの添加量は下記の関係を満たし、(2/3)?(CaO/SiO2)−0.5≰S添加量(質量%)≰(2/3)?(CaO/SiO2)−(4/15)さらにスラグにSを移行させた後、最終的に溶鋼中のS濃度を0.15〜0.25質量%に制御し、その後連続鋳造によりスラブを製造するS含有鋼の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、S(硫黄)含有鋼の製造方法に係り、S濃度を精度よく制御する精錬方法を提案する。
SUS303に代表されるような、S含有ステンレス鋼は、快削性を高めたステンレス鋼であり、機械加工精密部品に用いられている。この鋼種は、Sを0.15〜0.25質量%と高濃度含有し、MnS粒子を形成することによって、工具による研削時に、被削性を高めた鋼種である。被削性あるいは切削性を高めたオーステナイト系ステンレス鋼の化学成分が、幾つか開示されている。
硫黄を0.15〜0.50質量%含有し、O濃度を80〜200ppmに調整することで、熱間加工または熱間・冷間加工後の硫化物の形状を粒状型に制御して、被削性を高めたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、硫化物中に析出している酸化物中をSi−Mn系酸化物にすることが重要であることを示している。
また、高速切削加工およびネジ切り加工に用いられる硫黄添加オーステナイト系ステンレス鋼が示されている(例えば、特許文献2参照)。硫黄:0.10〜0.55質量%、銅:1〜5質量%、カルシウム>35×10−4質量%、酸素>70×10−4質量%、酸素含有率に対するカルシウム含有率の比を、0.2〜0.6の重量組成を有することで、切削性を改善したものである。
このようにS濃度が高いために、製鋼工程で幾つかの困難な点があった。一つは、割れ感受性が高いため、鋳造時にスラブが割れ易いという問題があり、幾つかの技術が示されている(例えば、非特許文献1参照)。
硫黄含有快削ステンレス鋼のような難加工鋼片の熱間圧延時の先端割れを、簡易に、かつ確実に防止する圧延方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。被圧延材の鋼片よりも熱間加工性のよいダミー部材を、圧延前の鋼片の端面を覆うように溶接し、そのダミー部材を溶接した端面側から圧延を開始する方法である。
硫黄快削ステンレス鋼を水平連続鋳造機で鋳造し鋳片表層部位を固相線温度まで急冷却し、鋳造時に鋳片表面の固相線温度から1000℃までを緩冷却する。なおかつ、鋳片の断面積と製品の断面積の比が500以下に制限することで、硫黄快削ステンレス鋼鋳片の熱間加工に際してブレークダウン工程を省略可能とし、さらには被削性を改善できる製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、SUS303系の溶製の際に、溶鋼中に含有される窒素が低下しないよう制御する技術が示されている。すなわち、SUS303系の溶製の際のRH脱ガス処理において、RH脱ガス処理の処理開始から5分〜15分後の初期の間に溶鋼中にS成分を投入することにより、RH脱ガス処理時間における投入後のS濃度の高い時間の割合を多くすることで、RH脱ガス処理における脱窒素を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特許公開平8−260102号公報 特許公開平9−137254号公報 特許公開2007−98436号公報 特許公開平5−50199号公報 特許公開2009−235550号公報
岸田寿夫、品川丞、石塚久雄、小沢正俊、早川静則:鉄と鋼、Vol.60(1974)No. 7、p.1052−1062
このように、被削性あるいは切削性を高めたオーステナイト系ステンレス鋼の化学成分に関する発明や、脱窒素を抑える精錬方法、熱間加工性を改善する製造方法の開示はあるが、S濃度自体を的確に制御しようとする発明は示されていない。
しかしながら、精錬時において、S添加量が多く、溶鋼中への歩留が高すぎたり、添加量が適正でもスラグ中に過剰に移行してしまい溶鋼中への歩留が低すぎたりして、S濃度が目標の範囲を外してしまう問題があった。
本発明の目的は、S含有鋼の製造方法に係り、S濃度を精度よく制御する精錬方法を提案することにある。
発明者らは、S含有ステンレス鋼のS濃度に及ぼす種々の影響について、実機データを基に解析を行った。とくにAODまたはVODにおけるスラグ組成との関係性、取鍋精錬での操業時間との関係に着目した。その結果、スラグの塩基度が1〜1.5、Sの添加量が0.3〜0.6質量%時であり、かつ、S添加量およびスラグ塩基度が所定の関数で規定される範囲内にある場合に、S含有ステンレス鋼において目標のS濃度範囲を得られることが確認された。
さらに、取鍋精錬において40分以上Arガス攪拌をした後、連続鋳造によりスラブを製造することにより、目標とするS濃度0.15〜0.2質量%により的確に制御できることが明らかになった。
即ち、本発明は、スラグの塩基度CaO/SiOを1〜1.5に制御したCaO−SiO系スラグを形成し、Sを0.3%〜0.6質量%添加し、その際、スラグの塩基度とSの添加量は下記の関係を満たし、
(2/3)×(CaO/SiO)−0.5≦S添加量(質量%)≦(2/3)×(CaO/SiO)−(4/15)
さらにスラグにSを移行させた後、最終的に溶鋼中のS濃度を0.15〜0.25質量%に制御し、スラブを製造することを特徴とするS含有鋼の製造方法である。
より好ましくは、前記鋼は、C:0.30質量%以下、Si:1質量%以下、Mn:2質量%以下を含む。
より好ましくは、前記鋼は、ステンレス鋼である。
より好ましくは、前記鋼は、Cr:15〜20質量%、Ni:5〜10質量%を含む。
より好ましくは、前記鋼は、C:0.30質量%以下、Si:1質量%以下、Mn:2質量%以下、Cr:15〜20質量%、Ni:5〜10質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなる。
より好ましくは、前記鋼の精錬にあたり、原料をまず溶解した後、AODまたはVODにて、脱炭し、FeSi合金を用いてCr還元し、石灰石を投入し、スラグの塩基度CaO/SiOを前記範囲に制御する。
より好ましくは、最終的に溶鋼中のS濃度を0.15〜0.25質量%に制御した後、連続鋳造によりスラブを製造する。
より好ましくは、連続鋳造の前に、取鍋精錬にて精錬し、取鍋精錬開始から40分以上Ar攪拌することで、S濃度を0.15〜0.20質量%に制御し、その後連続鋳造によりスラブを製造することである。
本発明の取鍋精錬におけるAr攪拌時間と溶鋼中S濃度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例(発明例および比較例)におけるスラグ塩基度(C/S)とS添加量との関係を示すグラフである。
本発明の精錬方法では、まず電気炉にて、スクラッブやフェロニッケル、フェロクロムなどを溶解して、ステンレス鋼の粗溶湯を得る。その後、このステンレス鋼の粗溶湯をAODまたはVODにおいてCを除去するための酸素吹精(酸化精錬)を行い、FeSi合金によるCr還元を行う。その後、石灰石を投入し、後述するようなスラグ組成の調整を行う。
その後、成分調整を目的とした精錬を行うと共に、S含有量の調整(S添加)を行う。基本的に、0.3〜0.6質量%の範囲のSを添加し、スラグの塩基度CaO/SiOを1〜1.5に調節し、最終的に、0.15〜0.25質量%のSを含有するステンレス鋼を製造するものである。その原理ならびに限定理由について、以下に説明する。
上記AODまたはVOD精錬において、特に限定はしないが、S含有量の調整には通常FeS合金を用いて行う。このFeSはS純分20〜60質量%のFeSが良い。添加したS量は、一旦、溶鋼に全て入る。その後、(1)式の反応により、溶鋼中のSはスラグ中へと分配される。
=(S) …(1)
ここで、下線は溶鋼中に含まれることを示し、( )はスラグ中に含まれることを示す。
S分配比=(質量%S)/[質量%S] …(2)
ここで、( )はスラグ中のS濃度、[ ]は溶鋼中のS濃度を表す。
S含有ステンレス鋼を製造するにあたっては、Sを効果的にメタル中に歩留るよう操作するのが好ましい。つまり、(2)式のS分配比を低く保つことが、肝要である。S分配比を低く保つには、CaOの活量を低く、SiOの活量を高くするのが望ましい。つまり、CaO/SiOを低く制御すればいいということが分かった。
以下に本発明に係る精錬方法について詳細に説明する。
ステンレス鋼において、Sはステンレス鋼中のMnと結合し、MnS粒子を形成し、工具による被削性を向上させる元素である。その作用効果は、0.15質量%より小さいときは、十分発揮されない。一方、0.25質量%を超えて過剰に添加しても、被削性向上の効果は、飽和するため、経済的でない上に、割れ感受性を悪化させる。そのため、ステンレス鋼中のS含有量は0.15%〜0.25質量%とする。好ましくは、0.15質量%〜0.20質量%とする。
また、本発明が対象とする鋼種は、特に限定されないが、好ましくはC:0.30質量%以下、Si:1質量%以下、Mn:2質量%以下、Cr:15〜20質量%、Ni:5〜10質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼である。この成分に限定した理由を説明する。
C:0.30質量%以下
Cは強度を保つために有用な元素であるが、高すぎると鋭敏化を引き起こし耐食性を低下させる。したがって、0.30質量%以下が好ましい。
Si:1質量%以下
Siは脱酸に寄与することから有用な元素であるが、高すぎると脆化を引き起こす。そのため、1質量%以下とすることが好ましい。
Mn:2質量%以下
MnはSと結合してMnSを形成し、被削性を維持するために重要な元素である。しかし高すぎると、熱間加工性を低下させるので、2質量%以下とすることが好ましい。
Cr:15〜20質量%
Crは、オーステナイト系ステンレス鋼としての耐食性を得る上で必要な元素である。しかし、20質量%を超えるとδ/γ組織のバランスを損ない熱間加工性が低下する。そのため、15〜20質量%と規定とすることが好ましい。
Ni:5〜10質量%
オーステナイト系ステンレス鋼には必要不可欠な元素で、オーステナイト相を安定させる元素である。低いとδフェライトが急激に増加し、熱間加工性を損ないかつオーステナイト相が安定しないため、下限は5質量%とした。しかし、Niは高価な元素であるため上限は10質量%とすることが好ましい。
上述したステンレス鋼のAODまたはVODにおける精錬過程において、上述したS濃度を得るために、0.3質量%〜0.6質量%のS量に相当するFeS合金の添加を行うが、FeSiの添加を伴うCr還元または脱酸時、またその後に生成するスラグのCaO/SiOを、1〜1.5に調整することが、極めて重要な作業である。操業データの解析から、CaO/SiOを1〜1.5に制御することにより、S分配比は5〜50と低く保つことができることがわかった。ここで、特に限定はしないが、通常の精錬では、メタル重量が50〜70tであれば、スラグの重量は4〜6t程度に保つのが望ましい。
さらに、CaO/SiOを1未満とすると、スラグの流動性が悪化し、最終的に排滓できないといった問題を生じたり、脱酸状態が悪くなり酸素濃度の値が100ppmを超えて高くなってしまう。酸素濃度の値が100ppmを超えると、熱間圧延時に板に割れが生じるなど問題をきたす。この理由も加味して、CaO/SiOを1以上とした。
CaO/SiOを1.5より高いと、S分配比が高くなり、溶鋼中へのSの歩留低下を引き起こす。つまり、1.5を超えるCaO/SiOとした場合でも0.6質量%を超えてSを添加すれば、0.15%以上のSを得ることは出来るが、この手段は有効資源であるSを廃棄するスラグに移行させてしまうものであり、FeSといったS資源を無駄にするばかりか、コスト高となる。そのため、本発明では、スラグの塩基度を1.5以下と規定した。それとともに、Sの添加量の上限を0.6質量%と規定した。
ここで、特に限定はしないが、スラグ中のS濃度は1〜7質量%に制御するのが望ましい。
ここで、S添加量を0.3質量%〜0.6質量%、CaO/SiOを1〜1.5、なおかつ、下記の範囲を満たすように限定した理由を説明する。
(2/3)×(CaO/SiO)−0.5≦S添加量(質量%)≦(2/3)×(CaO/SiO)−(4/15)
基本的に、スラグ塩基度(CaO/SiO)が高くなると、S分配比が高くなるため、スラグ中にSが移行する傾向にある。実機でのデータを解析したところ、スラグ塩基度に対して、傾き2/3の関係で、S添加量を高めていく必要があることが明らかとなった。なおかつ、S濃度の下限0.15質量%と上限0.25質量%を満足するには、上記の式を満たす必要があることが明らかとなった。したがって、本発明の範囲に限定する理由は以下の通りである。
S添加量が0.3質量%未満、または、(2/3)×(CaO/SiO)−0.5より低い場合、スラグ中にSが分配しすぎて、ステンレス鋼中のS含有量は0.15質量%未満と本発明の範囲に満たない。
S添加量を0.6質量%超、または、(2/3)×(CaO/SiO)−(4/15)より高くした場合、スラグにSが分配したとしても、ステンレス鋼中のS含有量は0.25質量%を超えて高くなってしまう。
上述したAODまたはVODにおける精錬過程の後、取鍋精錬により、Ar攪拌を行いながら、温度の調整を行う。AODまたはVODの精錬過程において添加したS量は、一旦、溶鋼に全て入るが、(1)式の反応により、スラグ中へと分配される。図1に、メタル量60トン、スラグ量5トン、S添加量0.5質量%、C/S=1.3の条件下における、AOD精錬工程以降の溶鋼S濃度の推移を示す。
この図より、取鍋精錬開始直後(30分)では、溶鋼からスラグ中へのS分配が終了しておらず、0.3質量%と本発明の範囲を超えて高い状態である事が分かる。50分においては、0.21質量%と0.25質量%以下には入っているが、まだ、平衡値である0.17%には到達していないことが分かる。このように、取鍋精錬過程にてArガスを40分以上攪拌すると、メタル中のS濃度は平衡値に到達して、スラブにて安定したS濃度を得ることが可能である。この操作により、0.15〜0.2質量%のS濃度に制御することが可能となる。したがって、より好ましい製造の様態は、取鍋精錬過程にてArガスを40分以上攪拌することである。特に限定しないが、Arガスの流量は40〜200NL/分がよい。
次に実施例を提示して本発明の構成および作用効果をより明らかにするが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
電気炉でまず原料を溶解し、続いてAODまたはVODにおいてCを除去するための酸素吹精(酸化精錬)を行い、FeSi合金によるCr還元または脱酸を行った。その後、石灰石を投入し、スラグ組成の調整を行った。ここでは、成分調整を目的とした精錬を行うと共に、Sを添加した。本操業ではS源としてS純分30質量%のFeSを用いた。AODまたはVODにおける精錬過程の後、取鍋精錬により、Ar攪拌を行いながら、温度の調整を行った。最終的に、連続鋳造によりスラブを製造した。なお、溶鋼重量は50〜70トン、スラグ重量は4〜6トンであった。
製造したスラブは1000mm幅×154mm厚×6000〜8000mm長さのサイズとした。スラブは表面を研削し、1200℃に加熱して熱間圧延を実施し、厚み6mmの熱帯を製造した。その後、焼鈍、酸洗を行い、表面のスケールを除去した。
表1に、得られたステンレス合金の化学成分、AODまたはVOD精錬終了時のスラグ組成、Sの添加量および取鍋精錬時間を示す。合金の化学成分およびスラグ組成は蛍光X線分析装置を用いて定量分析を行い、合金の酸素濃度は不活性ガスインパルス融解赤外線吸収法で定量分析を行った。
スラグの分析値が合計で95〜99質量%であるのは、不可避的な不純物としてAl、FeO、Cr、NiOなどを含有しているためである。
熱間加工性の評価は、熱間圧延工程後の熱帯を、全長目視により検査することで行った。全長に亘り耳割れが確認されなかった場合に◎とした。軽度の発生、すなわち、耳割れが10箇所未満であった場合を○とした。耳割れが10箇所以上確認された場合に×と評価した。なお、耳割れの割れ長さは、発生した場合10〜30mmほどであった。
切削性の評価は、ドリル穿孔試験により行った。試験条件は、ドリル径:φ10mm、推力:400N、周速:10m/分として、板厚6mmの熱帯が貫通するまでの穿孔時間を測定した。10秒以下であれば○と評価し、10秒を超えたら×とした。
図2に、実施例について、C/SとS添加量の分布を示す。実線で囲んだ範囲が、本願発明の範囲である。発明例1〜10は範囲を満たしていて、比較例は範囲から外れていることが分かる。以下にその詳細を説明する。
発明例の1〜7は、取鍋精錬時間が40分以上と長くかつ成分について本発明の範囲を満足していたために、S濃度が0.15〜0.2質量%に制御できた。発明例の8〜10は成分について本発明の範囲を満足していたものの取鍋精錬時間が40分未満と短かったために、0.2〜0.25質量%の範囲に制御された。
一方、比較例11は塩基度が1未満と低かったため、S濃度が0.25質量%を超えて高かった。そのため、熱間加工性が低下し耳割れを生じた。例12は、塩基度が1.5を超えて高かったために、S濃度が0.15質量%未満と低くなった。例13は、添加量が0.3質量%を下回って低かった為に、S濃度が0.15質量%未満と低くなった。そのため、十分な切削性が得られなかった。例14は添加量が0.6質量%を超えて高かったために、S濃度が0.25質量%を超えて高かった。そのため、熱間加工性が低下し耳割れを生じた。例15〜17は、S添加量が、関係式(2/3)×(CaO/SiO)−(4/15)の値を超えて高く添加したために、S濃度が0.25質量%を超えて高かった。そのため、熱間加工性が低下し耳割れを生じた。例18〜20は、関係式(2/3)×(CaO/SiO)−0.5の値未満であったために、S濃度が0.15質量%未満と低くなった。そのため、十分な切削性が得られなかった。
Figure 2014234543
S含有量を高精度に制御することができるので、SUS303に代表されるS含有ステンレス鋼の製造上、有望である。

Claims (8)

  1. スラグの塩基度CaO/SiOを1〜1.5に制御したCaO−SiO系スラグを形成し、Sを0.3%〜0.6質量%添加し、その際、スラグの塩基度とSの添加量は下記の関係を満たし、
    (2/3)×(CaO/SiO)−0.5≦S添加量(質量%)≦(2/3)×(CaO/SiO)−(4/15)
    さらにスラグにSを移行させた後、最終的に溶鋼中のS濃度を0.15〜0.25質量%に制御し、スラブを製造することを特徴とするS含有鋼の製造方法。
  2. 前記鋼は、C:0.30質量%以下、Si:1質量%以下、Mn:2質量%以下を含むことを特徴とする請求項1に記載のS含有鋼の製造方法。
  3. 前記鋼は、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項2に記載のS含有鋼の製造方法。
  4. 前記鋼は、Cr:15〜20質量%、Ni:5〜10質量%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のS含有鋼の製造方法。
  5. 前記ステンレス鋼は、C:0.30質量%以下、Si:1質量%以下、Mn:2質量%以下、Cr:15〜20質量%、Ni:5〜10質量%、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項2に記載のS含有鋼の製造方法。
  6. 前記鋼の精錬にあたり、原料をまず溶解した後、AODまたはVODにて、脱炭し、FeSi合金を用いてCr還元し、石灰石を投入し、スラグの塩基度CaO/SiOを前記範囲に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のS含有鋼の製造方法。
  7. 最終的に溶鋼中のS濃度を0.15〜0.25質量%に制御した後、連続鋳造によりスラブを製造することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のS含有鋼の製造方法。
  8. 前記連続鋳造の前に、取鍋精錬にて精錬し、取鍋精錬開始から40分以上Ar攪拌することで、S濃度を0.15〜0.20質量%に制御し、その後連続鋳造によりスラブを製造することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のS含有鋼の製造方法。
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