JP2014233985A - 車体表面構造 - Google Patents

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篠原 昭憲
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Abstract

【課題】車体表面に形成された突起部により生じる空気抵抗を抑制することができる車体表面構造を提供する
【解決手段】車体表面構造は、車体表面10aに形成された突起部11と、突起部11の前側の車体表面10aに形成され、車体前方からの空気流を車体表面10aから取り込む取入口12と、取入口12に連通して車体表面10aに形成され、取入口12から取り込まれた空気流を車体表面10aから吹き出す吹出口13とを備える。このような構成によれば、車体前方からの空気流が突起部11によりせき止められ、取入口12から取り込まれて吹出口13から吹き出される。これにより、車体表面10aに形成された突起部11により生じる空気抵抗を抑制することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車体表面構造に関する。
従来、車体表面構造としては、特開平10−203429号公報に記載されるように、バンパの正面部と側面部との間に突起部を形成し、突起部を回り込んだ空気流によりバンパの側面の空気流の剥離を抑制する構造が知られている。
特開平10−203429号公報 特開2005−306237号公報 実開昭61−1481号公報 特開平6−286670号公報
上記車体表面構造は、車体の空気抵抗の減少に寄与するが、突起部により生じる空気抵抗をさらに抑制するために改善の余地が残されているといえる。
そこで、本発明は、車体表面に形成された突起部により生じる空気抵抗を抑制することができる車体表面構造を提供しようとするものである。
本発明に係る車体表面構造は、車体表面に形成された突起部と、突起部の前側の車体表面に形成され、車体前方からの空気流を車体表面から取り込む取入口と、取入口に連通して車体表面に形成され、取入口から取り込まれた空気流を車体表面から吹き出す吹出口とを備える。
本発明に係る車体表面構造によれば、突起部の前側に取入口が形成され、取入口に連通して吹出口が形成されているので、車体前方からの空気流が突起部によりせき止められ、取入口から取り込まれて吹出口から吹き出される。これにより、車体表面に形成された突起部により生じる空気抵抗を抑制することができる。
本発明によれば、車体表面に形成された突起部により生じる空気抵抗を抑制することができる車体表面構造を提供することができる。
本発明の実施形態に係る車体表面構造を示す図である。 走行中の車両において従来の車体表面構造の周辺に生じる空気流の挙動を示す図である。 図1に示す車体表面構造の周辺に生じる空気流の挙動を示す図である。 図1に示す車体表面構造の車体への適用例を示す斜視図である。 図4に示す車体表面構造により生じる車体の挙動を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る車体表面構造について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係る車体表面構造の基本構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車体表面構造を示す図である。図1には、車体10の平面形状とともに、車体10の側面部を水平方向に切断した部分断面図が示されている。なお、図1には、車体右側面部の部分断面図を示しているが、車体左側面部についても同様に構成されている。
図1に示すように、車体表面構造は、車体10の側面部に形成されており、突起部11、取入口12、及び吹出口13を有している。以下では、車体表面構造が車体10の側面部に形成されている場合について説明する。
突起部11は、車体表面10aに形成されている。突起部11は、車体表面10aにおいて他の表面部分から突出して空気抵抗を受ける部材、例えば鉤状断面の部材として形成されている。突起部11は、鉤状断面の凹部11aが取入口12に面するように配置されている。取入口12に面する凹部11aには、流入抵抗を減少するための湾曲面が形成されていることが好ましい。なお、突起部11は、取入口12を覆うように車体前方に延在してもよい。
取入口12は、突起部11の前側の車体表面10aに形成され、車体前方からの空気流を車体表面10aから取り込むように構成されている。突起部11の前側とは、突起部11より車体前方側の位置、特に突起部11の基部に隣接する車体前方側の位置を意味する。取入口12は、車体表面10a、図1に示す例ではフェンダ面10aに、例えば孔又は溝として形成されている。取入口12は、バンパ、ピラー、ドアミラー、ルーフ等の面に形成されてもよい。取入口12は、車体10の正面又は斜め正面からの空気流を車体内部に取り込む。取入口12の輪郭部には、流入抵抗を減少するための面取りが施されていることが好ましい。
吹出口13は、取入口12に連通して車体表面10aに形成され、取入口12から取り込まれた空気流を車体表面10aから吹き出すように構成されている。吹出口13は、車体表面10a、図1に示す例ではフェンダ面10aに、例えば孔又は溝として形成されている。吹出口13は、取入口12より車体後方に形成されている。吹出口13も、取入口12と同様にフェンダ以外の面に形成されもよい。吹出口13は、湾曲状又は直線状の管(ダクト)、溝等の連絡路14を介して取入口12と連通している。吹出口13は、取入口12から連絡路14に取り込まれた空気流を車体外部に吹き出す。吹出口13の輪郭部には、流出抵抗を減少するための面取りが施されていることが好ましい。
図2は、走行中の車両において従来の車体表面構造の周辺に生じる空気流の挙動を示す図である。図2には、車体表面20aに突起部21のみが形成されている場合における空気流の挙動が示されている。
図2に示すように、走行中の車両において車体表面構造の周辺には、車体20の前方(上流:図2の左側)から後方(下流:図2の右側)に向けて車体表面20aに沿って空気流が生じる。そして、突起部21の上流側では、空気流がせき止められ、突起部21を乗り越える空気流F1が生じる。突起部の下流側では、突起部21を乗り越えて下流に向かう後方流F2の影響により渦流F3が発生し、車体表面20aから空気流が剥離する剥離領域A1が形成される。剥離領域A1の下流側では、車体表面20aに対して垂直に作用する表面圧力が増加する圧力増加領域A2が形成される。
ここで、表面圧力は、後方流F2の速度が減少して渦流F3の発生が抑制されるほど増加する。しかし、後方流F2の速度を減少するために突起部21の高さを大きくすると、車体20の空気抵抗が増加してしまう場合がある。
図3は、図1に示す車体表面構造の周辺に生じる空気流の挙動を示す図である。図3には、車体表面10aに突起部11とともに取入口12及び吹出口13が形成されている場合における空気流の挙動が示されている。
図3に示すように、空気流は、突起部11によりせき止められ、取入口12から車体内部に取り込まれ、連絡路14を介して吹出口13から車体外部に吹き出される。突起部11の上流側では、空気流F1の取り込みにより、突起部11を乗り越えて下流に向かう後方流F2の発生が抑制され、その速度が減少する。突起部11の下流側では、後方流F2の速度の減少により、渦流F3の発生が抑制されて剥離領域A1の形成が抑制される。剥離領域A1の下流側では、剥離領域A1の形成の抑制に応じて、圧力増加領域A2が突起部11の側に向けて拡大し、結果として表面圧力が増加する。
このように、車体表面10aに突起部11とともに取入口12及び吹出口13を形成することによって、突起部11により生じる空気抵抗を抑制することができる。
また、吹出口13は、突起部11を乗り越えた空気流、つまり後方流F2が、破線で示すように再び付着する、取入口12より後方の車体表面10aに形成されている。ここで、再び付着するとは、車体表面10aに沿って再び流れ始めることを意味する。吹出口13から吹き出された空気流、つまり吹出流F4によって、吹出口13の上流側では、後方流F2が乱され、その速度が減少する。よって、吹出口F3の上流側において表面圧力がさらに増加し、圧力増加領域A2が拡大する。吹出口13の下流側では、車体表面10aに再び付着しようとする後方流F5が吹出流F4により車体表面10aから遠ざけられ、後方流F5の速度が減少し、付着P点が下流側に移動する。よって、吹出口13の下流側において表面圧力がさらに増加し、圧力増加領域A3が拡大する。
このように、突起部11を乗り越えた空気流F2が再び付着する、取入口12より後方の車体表面10aに吹出口13を形成することによって、車体表面10aに作用する圧力を増加させることができる。
つぎに、図4及び図5を参照して、本発明の実施形態に係る車体表面構造の車体10への適用例について説明する。
図4は、図1に示す車体表面構造の車体10への適用例を示す斜視図である。なお、図4には、車体10の右側面部に適用された車体表面構造が示されているが、左側面部にも同様に適用される。
図4に示すように、車体表面構造は、車体フロント部のフェンダに形成されている。フェンダには、突起部11、取入口12、及び吹出口13が形成されている。
突起部11は、フェンダ面10aに形成されている。取入口12は、突起部11の前側のフェンダ面10aに車体10の上下方向に延びる溝として形成されている。吹出口13は、取入口12に連通して、フェンダ面10aの車体10の上下方向に延びる領域に多数の孔として形成されている。吹出口13は、メッシュ状の蓋により覆われた溝として形成されてもよい。取入口12と吹出口13は、フェンダ面10aの裏側に形成された連絡路14により互いに連通している。
図5は、図4に示す車体表面構造により生じる車体10の挙動を示す図である。図5には、走行中の車両において左前方から風圧Wを受けた場合における車体10の挙動が示されている。なお、右前方から風圧を受けた場合における挙動についても同様に説明することができる。
図5に示すように、左前方から風圧Wを受けた車体10には、車体10の重心Gに対して車体10を右回りに回転させるモーメントM1が作用する。これにより、車体10の進行方向が右方向に流され、走行安定性の低下を招く場合がある。
図2を用いて説明したように、車体10の右フェンダでは、車体10の前方(上流)から後方(下流)に向けてフェンダ面10aに沿って空気流が生じる。空気流は、突起部11によりせき止められ、取入口12から車体内部に取り込まれ、連絡路14を介して吹出口13から車体外部に吹き出される。
突起部11の上流側では、空気流の取り込みにより、突起部11を乗り越えて下流に向かう後方流の発生が抑制され、その速度が減少する。突起部11の下流側では、後方流の速度の減少により、圧力増加領域が突起部11の側に向けて拡大し、フェンダ面10aの表面圧力が増加する。よって、フェンダ面10aには、車体内側に向けて押圧する力Fが作用する。結果として、車体10には、モーメントM1を減少させるように、車体10の重心Gに対して車体10を左回りに回転させる抵抗モーメントM2が作用する。これにより、車体10の進行方向が右方向に流されることが抑制され、走行安定性が自動的に確保されることになる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る車体表面構造によれば、突起部11の前側に取入口12が形成され、取入口12に連通して吹出口13が形成されているので、車体前方からの空気流が突起部11によりせき止められ、取入口12から取り込まれて吹出口13から吹き出される。これにより、車体表面10aに形成された突起部11により生じる空気抵抗を抑制することができる。
また、突起部11を乗り越えた空気流が再び付着する、取入口12より後方の車体表面10aに吹出口13が形成されているので、突起部11を乗り越えた空気流の再付着を吹出口13からの空気流により抑制し、車体表面10aに作用する圧力を増加することができる。
また、吹出口13が多孔として形成されているので、吹出口13への空気流の侵入を抑制することができる。
なお、前述した実施形態は、本発明に係る車体表面構造の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る車体表面構造は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る車体表面構造は、各請求項に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で本実施形態に係る車体表面構造を変形し、または他のものに適用したものであってもよい。
例えば、前述した実施形態では、車体表面構造が車体10の前面部及び側面部に形成されている場合について説明した。しかし、車体表面構造では、取入口12が車体10の前面部又は側面部に形成され、吹出口13が車体10の側面部又は後面部に形成されてもよく、取入口12及び吹出口13が車体10の上面部に形成されてもよい。車体表面構造では、突起部11の上流側で表面圧力が高く、下流側で低くなる領域において、上流側に取入口12が形成され、下流側に吹出口13が形成される。
また、連絡路14には、吹出口13から吹き出される空気流を調節するために調節弁等の調節機構が設けられてもよい。この場合、突起部11の下流側において圧力増加領域の範囲又は車体10の表面圧力を任意に調節することができる。
10、20…車体、10a、20a…車体表面、11、21…突起部、12…取入口、13…吹出口、14…連絡路。

Claims (4)

  1. 車体表面に形成された突起部と、
    前記突起部の前側の前記車体表面に形成され、前記車体前方からの空気流を前記車体表面から取り込む取入口と、
    前記取入口に連通して前記車体表面に形成され、前記取入口から取り込まれた前記空気流を前記車体表面から吹き出す吹出口と、
    を備える車体表面構造。
  2. 前記吹出口は、前記突起部を乗り越えた前記空気流が再び付着する、前記取入口より後方の前記車体表面に形成されている、請求項1に記載の車体表面構造。
  3. 前記吹出口は、多孔として形成される、請求項1又は2に記載の車体表面構造。
  4. 前記取入口は、前記車体の前面部又は側面部に形成され、前記吹出口は、前記車体の側面部又は後面部に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車体表面構造。
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