A.第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としての点火プラグの部分断面図である。第1実施形態において、点火プラグ100は、スパークプラグとも呼ばれ、例えば、車両のエンジンに用いられる。図1では、点火プラグ100の軸心である軸線ALを境界として、右側に点火プラグ100の外観形状を図示し、左側に点火プラグ100の断面形状を示している。以下の説明では、図1の下方側(点火プラグ100において後述の接地電極10が配置されている側)を先端側と呼び、図1の上方側(点火プラグ100において後述の端子金具40が配置されている側)を後端側と呼ぶ。
点火プラグ100は、中心電極20と、絶縁碍子30と、端子金具40と、主体金具50と、接地電極10とを備える。なお、点火プラグ100の軸線ALは、中心電極20、絶縁碍子30、端子金具40および主体金具50の各部材の軸心でもある。
中心電極20は、軸線ALに沿った方向(軸線方向)に延びる棒状の電極である。本実施形態において、「軸線方向」とは、+Z方向および−Z方向(以下、「Z軸方向」とも呼ぶ)の両方向を含む意味を有する。中心電極20のうち、先端部は絶縁碍子30から露呈しており、先端部を除く他の部分は絶縁碍子30によって保持されている。中心電極20は、例えば、インコネル(登録商標)などのニッケルを主成分とするニッケル合金により形成してもよい。また、例えば、ニッケル合金からなる部材に、銅または銅を主成分とする合金からなる芯材が埋設された構造の合金部材により形成してもよい。中心電極20の後端部は、抵抗体22およびシール体23を介して端子金具40に電気的に接続されている。なお、抵抗体22を省略してもよい。
中心電極20は、先端に電極チップ70を備えている。電極チップ70は、耐火花消耗性や耐酸化消耗性に優れる金属により形成されている。このような金属として、例えば、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属や、貴金属を含む合金を採用してもよい。電極チップ70は、軸線ALと一致する軸線を有する円柱形の外観形状を有する。本実施形態では、電極チップ70は中心電極20の一部を構成し、中心電極20の先端とは、電極チップ70の先端を意味する。
絶縁碍子30は、軸心に沿って形成されている貫通孔31を有する筒状の絶縁体である。貫通孔31には、中心電極20における先端部を除く他の部分が挿入されている。絶縁碍子30は、例えば、アルミナなどの絶縁性セラミックス材料を焼成して形成してもよい。絶縁碍子30は、先端側から後端側に向かって順番に、脚長部32と、先端側胴部33と、中央胴部34と、後端側胴部35とを備えている。脚長部32は、後端側から先端側に向かって外径が次第に減少する筒状の部位である。先端側胴部33は、脚長部32および中央胴部34に接続され、脚長部32よりも大きな外径を有する筒状の部位である。中央胴部34は、先端側胴部33と後端側胴部35との間に配置され、先端側胴部33および後端側胴部35に比べて大きな外形を有する部位である。後端側胴部35の先端側は、中央胴部34の後端側に接続され、また、主体金具50により保持されている。後端側胴部35の後端側は、露呈されている。後端側胴部35は、主体金具50と端子金具40との間に十分な絶縁距離を確保するために用いられる。
端子金具40は、先端側が絶縁碍子30の貫通孔31に収容され、後端側が貫通孔31から露呈している。端子金具40には、図示しないケーブルが接続され、後述するように、高電圧が印加される。
主体金具50は、絶縁碍子30が挿入された筒状の金具であり、例えば、低炭素鋼などの金属により形成されている。主体金具50は、雄ねじ部52と、座部53と、座屈部54と、工具係合部55と、加締め部56とを備えている。主体金具50は、加締め部56において加締められることにより、絶縁碍子30に組み付けられる。
雄ねじ部52は、外周表面に形成されている雄ねじを有し、主体金具50の先端部に配置されている。雄ねじは、点火プラグ100をエンジンヘッド200に取り付ける際に、エンジンヘッド200の雌ねじ201と螺合する。
座部53は、径方向に膨出した部位であり、雄ねじ部52に対して後端側に接して配置されている。座部53とエンジンヘッド200との間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット59が配置されている。
座屈部54は、主体金具50における他の部位に比べて薄肉に形成された部位であり、座部53の後端に接して配置されている。座屈部54は、加締め部56における加締め処理によって圧縮変形される。
工具係合部55は、座屈部54の後端に接して配置されている。工具係合部51は、例えば、六角形の断面形状を有し、点火プラグ100をエンジンヘッド200に取り付ける際に工具と係合する。
加締め部56は、座屈部54と同様に、主体金具50における他の部位に比べて薄肉に形成され、自身の後端部が内側(主体金具50の軸心に向かう方向)に向かって折り曲げられた構造を有する。加締め部56は、工具係合部55の後端に接して配置されている。点火プラグ100の製造時には、加締め部56を内側に折り曲げるようにして先端側に向けて加圧することにより、座屈部54が圧縮変形する。
接地電極10は、屈曲した棒状の金属製部材である。接地電極10の構造は、中心電極20と同様な構造としてもよい。すなわち、例えば、ニッケル合金からなる母材に、銅または銅を主成分とする合金からなる芯材が埋設された構造を採用してもよい。接地電極10は、一方の端部が主体金具50の端面57に溶接されており、他方の端部が中心電極20の先端部と対向するように屈曲されている。
接地電極10は、中心電極20の先端(電極チップ70の先端)と対向する位置に、電極チップ60を備えている。電極チップ60は、前述の電極チップ70と同様に、耐火花消耗性や耐酸化消耗性に優れる金属により形成されている。本実施形態では、接地電極10の電極チップ60と、中心電極20の電極チップ70との間には、火花放電のための間隙Gが形成されている。
上記構成を有する点火プラグ100は、エンジンヘッド200に取り付けられて、点火システムの一部を構成する。
図2は、第1実施形態の点火プラグ100が用いられる点火システムの概略構成を示す説明図である。点火システム500は、点火プラグ100に電圧を印加することにより、プラズマを発生させ、燃焼室内の混合気に点火する。図2に示すように、点火システム500は、点火プラグ100に加えて、放電用電源510と、バッテリ520と、高周波電源530と、インピーダンスマッチング回路540と、混合回路550と、制御部560とを備えている。
放電用電源510は、一次コイル511と、二次コイル512と、コア513と、イグナイタ514とを備えている。一次コイル511は、コア513を中心とする巻線からなり、一端がバッテリ520に接続され、他端がイグナイタ514に接続されている。二次コイル512は、コア513を中心とする巻線からなり、一端が一次コイル511およびバッテリ520に接続されると共に、他端が混合回路550を介して点火プラグ100に接続されている。イグナイタ514は、第1実施形態では、トランジスタにより構成されている。イグナイタ514は、制御部560から入力される信号に応じて、バッテリ520から一次コイル511に対する電力の供給状態と、かかる電力の供給停止状態とを切り替える。点火プラグ100に高電圧を印加する場合には、バッテリ520から一次コイル511に電流を流し、コア513の周囲に磁界を形成すると共に、制御部560から出力される信号をオンからオフに切り替えることにより、コア513の磁界を変化させて二次コイル512に高電圧を発生させる。そして、二次コイル512に生じた高電圧が点火プラグ100(中心電極20)に印加されることにより、間隙Gにおいて火花放電(後述するトリガ放電)が発生する。
高周波電源530は、点火プラグ100に対して比較的高い周波数(例えば、1MHz以上20MHz以下)の電圧を供給する。第1実施形態では、高周波電源530により点火プラグ100に供給される電圧は、交流電圧である。なお、「交流電圧」とは、時間の経過と共に周期的に大きさと極性(正負)が変化する電圧を意味する。
インピーダンスマッチング回路540は、高周波電源530と混合回路550とに接続されている。インピーダンスマッチング回路540は、高周波電源530側の出力インピーダンスと、間隙Gにおいて火花放電が生じている際の混合回路550および点火プラグ100側(すなわち、負荷側)の入力インピーダンスとを一致させる。これにより、点火プラグ100に供給される高周波数の電力の減衰防止が図られている。なお、高周波電源530から点火プラグ100までの電力の伝送路を、同軸ケーブルにより構成して、電力の反射を防止してもよい。
混合回路550は、放電用電源510から出力される電力の伝送路517と、高周波電源530から出力される電力の伝送路518とを、点火プラグ100に接続される1つの伝送路519にまとめる。混合回路550は、コイル551と、コンデンサ552とを備えている。コイル551は、放電用電源510から出力される比較的低い周波数の電流を通過させる一方で、高周波電源530から出力される比較的高い周波数の電流を通過不能として、高周波電源530から出力される電流の放電用電源510側への流入を抑制する。コンデンサ552は、高周波電源530から出力される比較的高い周波数の電流を通過させる一方で、放電用電源510から出力される比較的低い周波数の電流の通過を抑制する。このため、放電用電源510から出力される電流の高周波電源530側への流入が抑制される。なお、二次コイル512をコイル551の代わりに用いることにより、コイル551を省略することもできる。
制御部560は、放電用電源510および高周波電源530から点火プラグ100に電圧を印加するタイミングを制御する。制御部560は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリを備えたECU(Electronic Control Unit)により構成してもよい。
図3は、第1実施形態における点火プラグ100への印加電圧の一例を示すタイミングチャートである。図3において、横軸は時刻Tを、縦軸は中心電極20に印加する電圧を、それぞれ示す。図3に示すように、時刻t1からt2までの比較的短い期間に、放電用電源510から点火プラグ100に負極性の高電圧(例えば、5kV〜30kV)が供給され、間隙Gに火花放電が生じる。かかる火花放電は、後述するようにプラズマの基となる放電(以下、「トリガ放電」と呼ぶ)である。なお、以降の説明では、トリガ放電を生じさせる印加電圧を、「トリガ電圧」と呼ぶ。トリガ電圧が印加された後、時刻t2からt3までの比較的短い期間に、二次コイル512およびコイル551に生じた誘導電圧Vid(例えば、0.5kV)が点火プラグ100に供給される。次いで、時刻t3から時刻t4まで、高周波電源530から点火プラグ100に電圧が印加される。
上述したように、高周波電源530は、交流電圧を点火プラグ100に供給するため、図3に示すように、印加電圧は複数のピーク電圧を含む。具体的には、電圧変化が減少傾向から増加傾向に切り替わる極小点に相当する負極性の電圧と、電圧変化が増加傾向から減少傾向に切り替わる極大点に相当する正極性の電圧とが、交互に繰り返し印加される。このように、複数のピーク電圧を含むように電圧を印加することにより、換言すると、電圧変化の傾向を定期的に変化させることにより、トリガ電圧の印加により生じた放電を基にプラズマを発生させると共に、かかるプラズマを成長させることができる。これは、以下のメカニズムによる。トリガ電圧の印加により生じた火花放電によって、間隙G近傍においてイオンやラジカルが生じる。かかるイオンやラジカルは、複数のピーク電圧を含む印加電圧により生じた電界の影響を受けて振動するため、周囲の水分子や窒素分子と衝突する頻度が大きく増加する。このため、間隙Gの周囲において電離した状態の気体、すなわちプラズマが発生すると共に、プラズマが次第に成長する。このようにして成長したプラズマにより、トリガ電圧の印加によって生じた火花放電を基とする火炎は、次第に大きくなり、燃焼室内において混合気への着火性が向上する。なお、図3に示すように、時刻t3からt4までに印加される交流電圧は、電圧の中央値が誘導電圧Vidに一致し、振幅がほぼ一定の電圧である。前述の「振幅がほぼ一定」とは、各周期において、最大電圧と最小電圧とが互いに一致している構成に限らず、各周期における最大電圧と最小電圧との電圧差(絶対値)が、全周期を通じての電圧差の最大値から−30%以内であり、かつ、全周期を通じての電圧差の最小値から+30%以内である構成も含む広い意味を有する。
図4は、点火プラグ100の先端部分を拡大して示す説明図である。図4に示すように、接地電極10の一端11は端面57に接合され、他端12は開放されている。接地電極10は、一端11と他端12との間に形成された屈曲部13を備えている。
電極チップ70は軸線ALと一致する軸線を有する円柱形の外観形状を有する。第1実施形態において、電極チップ70の先端側の端面(以下、「先端面S1」と呼ぶ)は、円形の平面視形状を有する平滑な平面である。
電極チップ60は、接地電極10の一部を構成している。換言すると、接地電極10は、母材と、母材に接合された電極チップ60とにより構成されている。電極チップ60の+X側の縁部は、接地電極10の他端12よりも+X方向側に突出している。
電極チップ60は、接地電極10において、屈曲部13から他端12に向かう方向における他端12側において、母材と接合されている。なお、電極チップ60は、直方体の外観形状を有している。電極チップ60のY軸方向の長さは、母材のY軸方向の長さよりも短い。電極チップ60は、電極チップ70の先端面S1と対向する対向端面S2を備えている。ここで、第1実施形態では、先端面S1と対向端面S2とはいずれもXY平面と平行な面であり、間隙Gは、X軸方向またはY軸方向に沿った任意の位置において、Z軸方向の長さが互いに等しい。換言すると、先端面S1と対向端面S2との間のZ軸方向に沿った長さは、任意の位置において互いに等しい。
図4に示すように、間隙Gに対して−X方向側(他端12から屈曲部13に向かう方向側)の空間Ar2は、接地電極10の屈曲部13が存在するために小さい。したがって、空間Ar2においてプラズマを成長させる場合、接地電極10の存在により、成長可能な空間が狭められることに加えて接地電極10により熱が奪われるため、プラズマを大きく成長させることができない。これに対して、間隙Gに対して+X方向側(屈曲部13から他端12に向かう方向側)かつ下方(先端面S1から対向端面S2に向かう方向)に位置する空間Ar1は、接地電極10が存在しないために大きい。したがって、空間Ar1においてプラズマを成長させる場合、プラズマを大きく成長させることができる。そこで、第1実施形態の点火プラグ100では、空間Ar2に比べて空間Ar1に近い位置において火花放電(トリガ放電)の発生率を高め、空間Ar1においてプラズマを成長させるようにしている。
図5は、図4に示す先端面S1および対向端面S2の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。図5に示すように、先端面S1の射影P1の形状は円形である。また、対向端面S2の形状は、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向を短手方向とする長方形である。図4に示す点火プラグ100の先端部分を−Z方向に見た場合に、先端面S1と対向端面S2とは互いに重なるため、図5に示すように、先端面S1の射影P1と、対向端面S2の射影P2とは、互いに重なっている。
図5に示すように、先端面S1の中心の射影P0と、対向端面S2の射影P2とは重なっている。また、対向端面S2の縁部のうち、屈曲部13から遠い側の縁部(以下、「遠隔側縁部」と呼ぶ)の射影L10は、先端面S1の射影P1内に位置している。なお、第1実施形態では、遠隔側縁部の射影L10とは、対向端面S2において、屈曲部13から他端12に向かう方向における他端12側の短辺の射影を示す。
また、図5に示すように、遠隔側縁部の射影L10と先端面S1の射影P1の外周との間の距離dfは、近接側縁部の射影L11と先端面S1の射影P1の外周との間の距離drに比べて短い。「近接側縁部」とは、対向端面S2の縁部のうち、屈曲部13から近い側の縁部を意味する。具体的には、対向端面S2において、他端12から屈曲部13に向かう方向における屈曲部13側の短辺の射影を示す。距離dfは、図5に示すように、射影L10のうちの遠隔側縁部の端点E10の射影と、先端面S1の射影P1の外周との間の距離を示す。また、距離drは、射影L10のうちの近接側縁部の端点E11の射影と、先端面S1の射影P1の外周との距離を示す。なお、第1実施形態では、上述したように、先端面S1と対向端面S2との間のZ軸に沿った長さは、任意の位置において互いに等しいので、遠隔側縁部と先端面S1の外周との間の距離(三次元空間の距離)は、近接側縁部と先端面S1の外周との間の距離(三次元空間の距離)に比べて短い。
第1実施形態では、先端面S1の射影P1と、対向端面S2の射影P2との位置関係が上述した位置関係を満たすように、先端面S1(電極チップ70)と、対向端面S2(電極チップ60)とを配置することにより、空間Ar2に比べて空間Ar1に近い位置においてプラズマを発生させ易くすると共に、耐火花消耗性を向上させている。
具体的には、遠隔側縁部の射影L10が先端面S1の射影P1内に位置するように、先端面S1と対向端面S2とが配置されているので、射影L10に相当する部分(対向端面S2における+X側の端部)を、トリガ電圧の印加によって生じる火花放電に利用できる。加えて、遠隔側縁部の射影L10と先端面S1の射影P1の外周との間の距離dfが、近接側縁部の射影L11と先端面S1の射影P1の外周との間の距離drに比べて短くなるように、先端面S1と対向端面S2とが配置されているので、射影L10に相当する部分を、射影L11に相当する部分に比べてより高い比率で、火花放電に利用させることができる。このため、空間Ar1により近い位置で火花放電を生じさせることができるので、空間Ar1においてプラズマをより発生させ易くできる。
また、先端面S1の中心の射影P0と、対向端面S2の射影P2とが重なるように、先端面S1とS対向端面S2とが配置されているので、電極チップ60において、火花放電に利用する部位として、対向端面S2のみならず、他端12や、対向端面S2および他端12と接する側面を用いることができる。このため、例えば、対向端面S2のみを火花放電に利用する構成に比べて、対向端面S2の局所的な消耗を抑制できるので、中心電極20と接地電極10との間の間隙Gの拡大を遅らせることができる。したがって、点火プラグ100全体としての耐火花消耗性を向上できる。
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。第2実施形態の点火プラグは、対向端面(電極チップ)の射影の形状が、六角形である点において、第1実施形態の点火プラグ100と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100と同じである。
図6に示すように、第2実施形態における対向端面の射影P2aは、六角形の外観形状(輪郭)を有する。具体的には、射影P2aは、射影P2aの−X方向側の端に位置し、Y軸方向に沿って延びる短辺L24と、射影P2aの+X方向側の端に位置し、Y軸方向に沿って延びる短辺L21と、射影P2aの−Y方向の端に位置し、X軸方向に沿って伸びる長辺L25と、射影P2aの+Y方向の端に位置し、X軸方向に沿って伸びる長辺L26と、短辺L21と長辺L25とを接続する斜辺L22と、短辺L21と長辺L26とを接続する斜辺L23とを備えている。
第2実施形態において、短辺L21は、射影P2aのうち、屈曲部13から他端12に向かう方向における他端12側の端に位置する。第2実施形態においては、短辺L21は、請求項における遠隔側縁部に相当する。また、短辺L24は、射影P2aのうち、他端12から屈曲部13に向かう方向における屈曲部13側の端に位置する。第2実施形態においては、短辺L24は、請求項における近接側縁部に相当する。
第2実施形態において、遠隔側縁部(短辺L21)と先端面S1の外周との間の距離df2は、近接側縁部(短辺L24)と先端面S1の外周との間の距離dr2よりも短い。なお、図6に示すように、距離df2は、短辺L21と斜辺L22との交点(エッジ)E20と、射影P1の外周との間の距離を意味する。また、距離dr2は、短辺L24と長辺L25との交点(エッジ)E21と、射影P1の外周との間の距離を意味する。
以上の構成を有する第2実施形態の点火プラグは、第1実施形態の点火プラグ100と同様な効果を有する。
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。第3実施形態の点火プラグは、対向端面(電極チップ)の射影のすべてが、先端面S1の射影内に位置している点において、第1実施形態の点火プラグ100と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100と同じである。
図7に示すように、第3実施形態における対向端面の射影P2bは、第1実施形態における射影P2と同様に、長方形の外観形状(輪郭)を有する。具体的には、対向端面の射影P2bは、射影P2bの+X方向の端に位置し、Y軸方向に沿って伸びる短辺L31と、射影P2bの−X方向の端に位置し、Y軸方向に沿って延びる短辺L32と、射影P2bの−Y方向の端に位置し、X軸方向に延びる長辺L33と、射影P2bの+Y方向の端に位置し、X軸方向に延びる長辺L34とを備えている。
第3実施形態において、短辺L31は、射影P2bのうち、屈曲部13から他端12に向かう方向における他端12側の端に位置する。第3実施形態においては、短辺L31は、請求項における遠隔側縁部に相当する。また、短辺L32は、射影P2bのうち、他端12から屈曲部13に向かう方向における屈曲部13側の端に位置する。第3実施形態においては、短辺L32は、請求項における近接側縁部に相当する。
第3実施形態において、遠隔側縁部(短辺L31)と先端面S1の外周との間の距離df3は、近接側縁部(短辺L32)と先端面S1の外周との間の距離dr3よりも短い。なお、図7に示すように、距離df3は、短辺L31と長辺L33との交点(エッジ)E30と、射影P1の外周との間の距離を意味する。また、距離dr3は、短辺L32と長辺L33との交点(エッジ)E31と、射影P1の外周との間の距離を意味する。
ここで、第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、短辺L32は、射影P1内に位置している。しかしながら、遠隔側縁部(短辺L31)と先端面S1の外周との間の距離df3は、近接側縁部(短辺L32)と先端面S1の外周との間の距離dr3よりも短いので、火花放電は、短辺L32に比べて、短辺L31を利用して発生し易い。したがって、第1実施形態の点火プラグ100と同様に、空間Ar2に比べて空間Ar1により近い位置において火花放電を生じさせ得るため、空間Ar1においてプラズマの発生および成長を促進し易い。
以上の構成を有する第3実施形態の点火プラグは、第1実施形態の点火プラグ100と同様な効果を有する。
D.第4実施形態:
図8は、第4実施形態における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。第4実施形態の点火プラグは、対向端面S2の形状が円形である点と、対向端面(電極チップ)の射影のすべてが、先端面S1の射影内に位置している点と、電極チップの+X方向の端が接地電極10の他端12よりも−X方向側に配置されている点と、において、第1実施形態における点火プラグ100と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100と同じである。
図8に示すように、第4実施形態における対向端面の射影P2cは、円形の外観形状(輪郭)を有する。第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、先端面S1の中心の射影P0と、対向端面の射影P2cとは重なっている。また、射影P2cにおいて、+X方向側の端部(端点)E40は、先端面S1の射影P1内に位置している。また、射影P2cにおいて、−X方向の端部(端点)E41も、先端面S1の射影P1内に位置している。なお、第4実施形態では、端点E40と、射影P0と、端点E41とは、同一直線上に配置されている。第4実施形態において、端点E40は、請求項における遠隔側縁部に相当する。また、端点E41は、請求項における近接側縁部に相当する。第4実施形態において、遠隔側縁部(端点E40)と先端面S1の外周との間の距離df4は、近接側縁部(端点E41)と先端面S1の外周との間の距離dr4よりも短い。
図9は、第4実施形態の点火プラグの先端部分を拡大して示す説明図である。図9に示すように、第4実施形態の点火プラグは、電極チップ60aを備えている。電極チップ60aは、接地電極10に対する相対的な配置位置が、図4に示す第1実施形態における電極チップ60と異なる。具体的には、第4実施形態の電極チップ60aは、+X方向の端が、接地電極10の他端12よりも−X方向に位置するように、配置されている。
図8に示すように、第4実施形態では、第1実施形態とは異なり、対向端面の射影P2cはすべて先端面S1の射影P1内に位置している。しかしながら、遠隔側縁部(端点E40)と先端面S1の外周との間の距離df4は、近接側縁部(端点E41)と先端面S1の外周との間の距離dr4よりも短いので、火花放電は、端点E41に比べて、端点E40を利用して発生し易い。したがって、第1実施形態の点火プラグ100と同様に、空間Ar2に比べて空間Ar1により近い位置において火花放電を生じさせることができるため、空間Ar1においてプラズマの発生および成長を促進し易い。
以上の構成を有する第4実施形態の点火プラグは、第1実施形態の点火プラグ100と同様な効果を有する。
E.実施例:
E1.第1実施例:
上記第1実施形態の試料(試料s1)を作成すると共に、3つの比較例の試料(比較例1の試料s2と、比較例2の試料s3と、比較例3の試料s4)を作成した。
試料s1では、先端面S1(電極チップ70)の直径は、1.2mmであった。また、対向端面S2の短手方向(Y軸方向)の長さは0.7mmであり、長手方向(X軸方向)の長さは1.7mmであった。
図10は、比較例1(試料s2)における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。比較例1の試料s2は、先端面(中心電極が有する電極チップ)の大きさにおいて、第1実施形態の点火プラグ100(試料s1)と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100(試料s1)と同じである。
比較例1の試料s2の先端面の直径は、第1実施形態の点火プラグ100における先端面S1の直径に比べて小さい。これに対して、試料s2の対向端面の形状および大きさは、第1実施形態の点火プラグ100における対向端面S2の形状および大きさと同じである。このため、図10に示すように、比較例1の対向端面の射影P2dは、先端面の射影P1aに比べて相対的に大きい。このため、比較例1の対向端面の縁部のうち、遠隔側縁部の射影L41は、先端面の射影の外に位置している。
試料s2では、先端面(中心電極が有する電極チップ)の直径は、0.5mmであった。また、対向端面の短手方向(Y軸方向)の長さは0.7mmであり、長手方向(X軸方向)の長さは1.7mmであった。
図11は、比較例2(試料s3)における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。比較例2の試料s3は、先端面(中心電極が有する電極チップ)の大きさと、比較例2の試料s3は対向端面の形状および大きさとにおいて、第1実施形態の点火プラグ100(試料s1)と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100(試料s1)と同じである。
比較例2の試料s3の先端面の直径は、第1実施形態の点火プラグ100における先端面S1の直径に比べて小さい。試料s3の対向端面の形状は、第1実施形態における対向端面S2と異なり、Y軸方向が長手方向であり、X軸方向が短手方向である。また、対向端面のY軸方向の長さおよびX軸方向の長さは、先端面の直径よりも大きい。このため、比較例2の対向端面の縁部のうち、屈曲部から遠い側の部分(遠隔側縁部)の射影L51が、先端面の射影の外に位置している。
試料s3では、先端面(電極チップ)の直径は、0.5mmであった。また、対向端面の長手方向(Y軸方向)の長さは2.5mmであり、短手方向(X軸方向)の長さは1.0mmであった。
試料s4の構成(形状)は、試料s1の構成と同じである。但し、後述するように、試料s4への電圧の印加形態は、試料s1への電圧の印加形態と異なる。
上述のように作成した4つの試料s1〜s4を用いて、プラズマ広がり評価試験を行った。具体的には、まず、試験用の燃焼室(燃焼室に見立てたチャンバー)に各試料s1〜s4を装着し、各試料s1〜s4を点火させて、1ms(ミリ秒)後の間隙G近傍の撮像画像をシュリーレン撮影により得た。次に、得られた撮像画像内におけるプラズマが撮像された画素(ピクセル)数をカウントすることにより、空間Ar1に相当する領域におけるプラズマの広がり(大きさ)を評価した。すなわち、プラズマが撮像された画素数が多いほど、プラズマは大きく成長したと評価した。なお、試験の際の燃焼室内は、プロパンと空気の雰囲気下において、0.05MPaの圧力に設定した。
なお、試料s1,s3の試験では、各試料s1,s3を点火システム500に組み込み、トリガ放電後の印加電圧として13MHzの交流電圧を印加し、最大5Aの電流を1ms供給した。試料s2,s4の試験では、各試料s2,s4を点火システム500に組み込み、トリガ電圧のみを印加し、複数のピーク電圧を含む交流電圧は印加しなかった。
図12は、第1実施例におけるプラズマ広がり評価試験の試験結果を示す説明図である。図12に示すように、プラズマが撮像された画素数は、試料s4が最も少なく(およそ6000)、次に試料s2が少なく(およそ6500)、次に試料s3が少なく(およそ14000)、試料s1が最も多かった(およそ28500)。この結果から、第1実施形態の試料s1を用いた場合、比較例1の試料s2および比較例2の試料s3を用いた場合に比べて、空間Ar1においてプラズマが大きく成長していることが分かる。加えて、試料s1の試験結果と試料s4の試験結果との比較により、トリガ電圧を印加した後に複数のピーク電圧を含む交流電圧を印加することにより、プラズマをより大きく成長させることができたことが分かる。
図11に示すように、比較例2の試料s3では、遠隔側縁部の射影L51が、先端面の射影P1の外側に位置しているため、遠隔縁部でのトリガ放電の発生率が低下し、空間Ar1におけるプラズマの成長が抑制されたものと推測される。同様の理由により、比較例1の試料s2においても、空間Ar1におけるプラズマの成長が抑制されたものと推測される。加えて、比較例2の試料s3の実験では、トリガ電圧の印加後に、複数のピーク電圧を含む交流電圧が中心電極に印加されなかったため、試料s1に比べてプラズマの成長が抑制されたものと推測される。また、比較例3の試料s4の実験においても、トリガ電圧の印加後に、複数のピーク電圧を含む交流電圧が中心電極に印加されなかったため、試料s1に比べてプラズマの成長が抑制されたものと推測される。他方、第1実施形態の試料s1では、トリガ電圧の印加後に、複数のピーク電圧を含む交流電圧が中心電極20に印加されたため、プラズマの成長が促されると共に、遠隔側縁部の射影L10が先端面S1の射影P1内に位置しているため、遠隔側縁部におけるトリガ放電の発生率が高くなり、比較的大きな空間Ar1においてプラズマが大きく成長したものと推測される。
E2.第2実施例:
前述の第1実施形態の試料を4つ(試料s5〜s8)を作成すると共に、第2実施形態の試料を1つ(試料s9)、第3実施形態の試料を2つ(試料s10,s11)、第4実施形態の試料を1つ(試料s12)作成した。また、4つの比較例の試料(比較例4の試料s13、比較例5の試料s14、比較例6の試料s15、比較例7の試料s16)を作成した。
第1実施形態の4つの試料s5〜s8は、互いに、先端面S1の大きさおよび対向端面S2の大きさが異なる。なお、具体的な、試料s5〜s8の先端面S1の大きさおよび対向端面S2の大きさについては、後述する。
図13は、比較例4(試料s13)における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。比較例4の試料s13は、対向端面の大きさと、先端面と対向端面との相対的な位置関係とにおいて、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と同じである。
比較例4の試料s13は、対向端面の射影P2fのX軸方向の長さがY軸方向の長さに比べて短い。比較例4では、第1実施形態と同様に、対向端面の射影P2fのうち、遠隔側縁部の射影L61は、先端面の射影P1内に位置している。しかしながら、比較例4では、第1実施形態とは異なり、対向端面の射影P2fと、先端面S1の中心の射影P0とは重なっていない。加えて、比較例4では、第1実施形態とは異なり、遠隔側縁部の射影L61と先端面の射影P1の外周との間の距離df5は、近接側縁部の射影L62と先端面の射影P1の外周との間の距離dr5よりも長い。
図14は、比較例5(試料s14)における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。比較例5の試料s14は、先端面と対向端面との相対的な位置関係において、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と同じである。
比較例5では、第1実施形態とは異なり、対向端面の射影P2gのうち、遠隔側縁部の射影L71は、先端面の射影P1の外に位置している。また、射影P2gのうち、近接側縁部の射影L72は、先端面の射影P1内に位置している。加えて、比較例5では、第1実施形態とは異なり、遠隔側縁部の射影L71と先端面の射影P1の外周との間の距離df6は、近接側縁部の射影L72と先端面の射影P1の外周との間の距離dr6よりも長い。なお、比較例5では、第1実施形態と同様に、対向端面の射影P2gと、先端面S1の中心の射影P0とは重なっている。
図15は、比較例6(試料s15)における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。比較例6の試料s15は、先端面と対向端面との相対的な位置関係において、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と同じである。
比較例6では、第1実施形態とは異なり、対向端面の射影P2hのうち、遠隔側縁部の射影L81は、先端面の射影P1の外に位置している。また、射影P2hのうち、近接側縁部の射影L82も、先端面の射影P1の外に位置している。なお、比較例6では、第1実施形態と同様に、対向端面の射影P2hと、先端面S1の中心の射影P0とは重なっている。
図16は、比較例7(試料s16)における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。比較例7の試料s16は、対向端面(電極チップ)の形状と、先端面と対向端面との相対的な位置関係とにおいて、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と異なり、他の構成は、第1実施形態の点火プラグ100(試料s5〜s8)と同じである。
比較例7の試料s16において、対向端面の形状は、第4実施形態と同様に円形である。比較例7の試料s16において、対向端面の直径は、先端面の直径よりも大きい。また、対向端面の中心と、先端面の中心とは、Z軸方向から見て同じ位置に配置されている。このため、図16に示すように、先端面の射影P1全体は、対向端面の射影P2iの内側に位置している。また、対向端面の射影P2iの外周は、先端面の射影P1の外に位置している。したがって、対向端面における遠隔側縁部の射影L91および近接側縁部の射影L92は、いずれも、先端面の射影P1の外に位置している。
上述のように作成した試料s5〜s16を用いて、トリガ放電の放電経路が、空間Ar1に近い領域である割合の評価試験(以下、「放電比率評価試験」と呼ぶ)を行った。この放電比率評価試験では、まず、試験用の燃焼室に各試料s5〜s16を装着し、各試料s5〜s16にそれぞれ100回だけトリガ放電を生じさせた。そして、100回のトリガ放電のうち、空間Ar1に近い領域が放電経路となった回数の比率を算出して、かかる比率が高いほど、高い評価とした。これは、トリガ放電の放電経路が空間Ar1に近い領域となる比率が高いほど、空間Ar1にプラズマを発生させ、プラズマを成長させる可能性を高められるからである。なお、「空間Ar1に近い領域」とは、各試料s5〜s16を+Y方向に見た場合に、間隙Gと平行な領域であって、対向端面の遠隔側縁部よりも+X方向に位置する領域を意味する。放電比率評価試験では、燃焼室(燃焼室に見立てたチャンバー)をエア雰囲気下において、0.4MPaに設定した。
図17は、第2実施例の放電比率評価試験の評価結果と各試料の先端面の直径および対向端面の大きさを示す説明図である。図17では、対向端面の大きさを、(Y軸方向の長さ)*(X軸方向の長さ)で表している。図17では、試験の評価結果を、記号「×」と、「△」と、「○」と、「◎」とで表している。記号「×」は、トリガ放電の放電経路が空間Ar1に近い領域である割合が50%以下であり、最も低い評価を表す。記号「△」は、トリガ放電の放電経路が空間Ar1に近い領域である割合が50%よりも高く、かつ70%以下であり、2番目に低い評価を示す。記号「○」は、トリガ放電の放電経路が空間Ar1に近い領域である割合が70%よりも高く、かつ、90%以下であり、2番目に高い評価を示す。記号「◎」は、トリガ放電の放電経路が空間Ar1に近い領域である割合が90%よりも高く、かつ、100%以下であり、最も高い評価を示す。
図17に示すように、第1実施形態の点火プラグ100に相当する試料s5〜s8では、先端面S1の直径は互いに異なっている。また、対向端面S2のX軸方向の長さも互いに異なっている。これらの試料s5〜s8のうち、試料s5,s6は評価「◎」であり、試料s7,s8は評価「○」であり、いずれの評価も比較的高かった。試料s5,s6の評価と、試料s7,s8の評価との差は、以下の理由により発生したものと推測される。試料s5,s6では、先端面S1の直径が1.1mm以上であり比較的大きいため、対向端面S2のうち、遠隔側縁部を除く他の部分と先端面S1との間の距離が比較的大きくなる。このため、トリガ放電の際に、対向端面S2における遠隔側縁部を除く部分が利用される比率が相対的に低くなり、遠隔側縁部が利用される比率が相対的に高くなる。したがって、空間Ar1においてプラズマの発生および成長が行われる可能性が高くなる。これに対して、試料s7,s8では、先端面S1の直径が0.9mm以下であり比較的小さいため、対向端面S2のうち、遠隔側縁部を除く他の部分と先端面S1との間の距離が比較的に小さくなる。このため、トリガ放電の際に、対向端面S2における遠隔側縁部が利用される可能性が相対的に高くなり、近接側縁部が利用される可能性が相対的に低くなる。したがって、空間Ar1においてプラズマの発生および成長が行われる可能性が低くなる。
図17に示すように、第2実施形態の点火プラグに相当する試料s9の評価は、対向端面の大きさが等しい第1実施形態の点火プラグ100に相当する試料s5と同様に、最も高い評価「◎」であった。第3実施形態の点火プラグに相当する2つの試料s10,s11は、いずれも2番目に高い評価「○」であった。また、第4実施形態の点火プラグに相当する試料s12も、2番目に高い評価であった。なお、試料s12の対向端面の形状は円形であるため、図17では、試料s12の対向端面のサイズとは、対向端面の直径(0.7mm)を表す。
以上の第1〜第4実施形態の点火プラグに相当する試料s5〜s12に比べて、比較例4〜7の点火プラグに相当する試料s13〜s16の評価は、最も低い「×」または2番目に低い「△」であった。具体的には、比較例4の試料s13および比較例7の試料s16において、最も低い評価「×」であり、比較例5の試料s14および比較例6の試料s15において、2番目に低い評価「△」であった。
比較例4の試料s13は、図13に示すように、遠隔側縁部の射影L61が先端面の中心の射影P0と重なっていない。このため、対向端面の遠隔側縁部と先端面の外周との距離df5が、第1実施形態に比べて遠い。これに加えて、対向端面のX軸方向の長さが、第1実施形態の対向端面S2のX軸方向の長さ(例えば、試料s5における対向端面S2のX軸方向の長さである1.7mm)よりも短いため、対向端面の近接側縁部と先端面の外周との距離dr5が、第1実施形態に比べて近い。したがって、遠隔側縁部がトリガ放電の際に用いられる可能性が相対的に低下すると共に、近接側縁部がトリガ放電の際に用いられる可能性が相対的に増加する。以上より、比較例4の試料s13の評価は、最も低い評価「×」になったと推定される。
比較例5の試料s14では、図14に示すように、遠隔側縁部の射影L71は、先端面の射影P1の外に位置している。したがって、対向端面において、遠隔側縁部よりも先端面の射影P1に近い部分が存在することとなり、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に低下する。加えて、対向端面の遠隔側縁部と先端面の外周との間の距離df6は、対向端面の近接側縁部と先端面の外周との間の距離dr6よりも長い。このため、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に低下すると共に、近接側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に増加する。以上より、比較例5の試料s14の評価は、2番目に低い「△」になったと推定される。
比較例6の試料s15では、図15に示すように、遠隔側縁部の射影L81は、先端面の射影P1の外に位置している。したがって、上述した試料s14と同様に、対向端面において、遠隔側縁部よりも先端面の射影P1に近い部分が存在することとなり、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に低下する。加えて、対向端面の遠隔側縁部と先端面の外周との間の距離と、対向端面の近接側縁部と先端面の外周との間の距離とは、ほぼ等しい。このため、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に低下すると共に、近接側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に増加する。以上より、比較例6の試料s15の評価は、2番目に低い「△」になったと推定される。
比較例7の試料s16では、図16に示すように、遠隔側縁部の射影L91は、先端面の射影P1の外に位置している。したがって、上述した試料s14,s15と同様に、対向端面において、遠隔側縁部よりも、先端面の射影P1に近い部分が存在することとなり、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に低下する。加えて、対向端面の遠隔側縁部と先端面の外周との間の距離と、対向端面の近接側縁部と先端面の外周との間の距離とは、ほぼ等しい。このため、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に低下すると共に、近接側縁部でのトリガ放電の発生率が相対的に増加する。以上より、比較例7の試料s16の評価は、最も低い「×」になったと推定される。
E3.第3実施例:
前述の第1実施形態の試料を3つ(試料s17〜s19)を作成すると共に、第4実施形態の試料を3つ(試料s20〜s22)を作成し、これら6つの試料s17〜s22を用いて、耐久性評価試験を行った。
耐久性評価試験では、まず、試験用の燃焼室に各試料s17〜s22を装着して点火システム500に組み込み、耐久時間として20時間だけ印加して火花放電を連続して発生させた。そして、20時間経過後において、試験前に比べての間隙Gの増加量(Z軸方向の長さの増加量)を測定し、増加量が少ないほど、高い評価とした。これは、火花放電により電極が消耗するほど間隙Gの増加量が大きくなるため、増加量が多いほど耐久性が低いと評価できるからである。なお、本試験における点火周期は、30Hz(1秒間に30回点火)であり、1回のトリガ電圧につき最大5Aの電流を0.8msだけ供給した。
図18は、第3実施例の耐久性評価試験の評価結果を示す説明図である。図18では、各試料の評価結果に加えて、各試料の先端面の直径と、各試料の対向端面の大きさおよび電極チップ60の厚さと、各試料の面積A,B,Cおよび面積Bと面積Cとの合計(以下、「面積B+C」と呼ぶ)を示している。図18では、試験の評価結果を、記号「○」と、「◎」と、「☆」とで表している。記号「○」は、間隙Gの増加量が0.2mm以上であったことを意味する。記号「◎」は、間隙Gの増加量が0.1mm以上であり、かつ0.2mmよりも小さかったことを意味する。記号「☆」は、間隙Gの増加量が0.1mmよりも小さかったことを意味する。図18において、面積Aは、先端面の面積を意味する。面積B,CおよびB+Cについては、図19を用いて説明する。
図19は、第1実施形態の接地電極10の他端12近傍の拡大図である。図19では、電極チップ60の対向端面S2において、先端面S1の射影内に位置する領域(軸線方向に見て重なっている領域)S21と、電極チップ60における第1の側面のうち、先端面S1の射影内に位置する領域S22と、電極チップ60における第2の側面のうち、先端面S1の射影内に位置する領域S23とに、ハッチングを施している。前述の第1の側面とは、対向端面S2と接し、対向端面S2に対して−Y方向に位置するXZ平面と平行な面を意味する。前述の第2の側面とは、対向端面S2と接し、対向端面S2に対して+X方向に位置するYZ平面と平行な面を意味する。
試料s17〜s19について、前述の面積Bとは、前述の領域S21の面積を意味する。また、試料s17〜s19について、前述の面積Cとは、対向端面S2に接する側面のうち、先端面S1の射影内に位置する領域の面積の合計を意味する。具体的には、前述の領域S22の面積と、領域S23の面積と、図示しない第3の側面において、先端面S1の射影内に位置する領域との面積の合計を意味する。前述の第3の側面とは、対向端面S2と接し、対向端面S2に対して+Y方向に位置するXZ平面と平行な面を意味する。
なお、試料s20〜s22についての面積Bとは、試料s17〜s19についての面積Bと同じであるので、説明を省略する。試料s20〜s22についての面積Cとは、上述した試料s17〜s19についての面積Cと同様に、対向端面S2に接する側面のうち、先端面S1の射影内に位置する領域の面積の合計を意味する。但し、試料s20〜s22は、第4実施形態の点火プラグに相当するため、対向端面S2に接する側面は、円柱の側面である。
図18に示すように、すべての試料s17〜s22において、面積Bは、面積Aよりも小さい。このように、面積Bが面積Aよりも小さいため、先端面と対向端面との間で生じた火花放電が、電極チップによって成長が妨げられることを抑制され得る。
図18に示すように、試料s17では、面積A(先端面S1の面積)は、面積B+Cよりも大きい。試料s18では、面積Aと、面積B+Cとは等しい。試料s19では、面積Aは、面積B+Cよりも小さい。試料s20では、面積Aは、面積B+Cよりも大きい。試料s21では、面積Aは、面積B+Cと等しい。試料s22は、面積Aは、面積B+Cよりも小さい。
図18に示すように、面積Aが面積B+Cよりも小さい2つの試料s17およびs20の評価結果は、最も高かった。面積Aが面積B+Cと等しい2つの試料s18およびs21の評価結果は、2番目に高かった。面積Aが面積B+Cよりも大きい2つの試料s19およびs22の評価結果は、3番目に高かった。このように、面積Aに比べて、面積B+Cがより大きいほど、耐久性が高いのは、以下の理由によるものと推測される。すべての試料s17〜s22において、面積Aは、面積Bよりも大きい。したがって、対向端面に加えて対向端面と接する側面が火花放電に利用され得る。ここで、面積Cが大きいほど、すなわち、先端面S1の射影内に位置する側面の領域が大きいほど、かかる領域が火花放電に用いられる比率が高くなる。このため、対向端面S2の消耗を抑制できるので、間隙Gの拡大を遅らせることができ、耐久性が高いと評価されたものと推測される。
F.第4実施例:
上記第1実施形態の試料(試料s24)を作成すると共に、2つの比較例の試料(比較例8の試料s23と、比較例9の試料s25)を作成した。
図25は、第4実施例の3つの試料s23〜s25における先端面および対向端面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。図25において、最上段は、試料s23についての射影を示す。また、図25において、中段は試料s24についての射影を、最下段は試料s25についての射影を、それぞれ示す。
図25に示す3つの試料s23〜s25は、中心電極に対する対向端面のX軸方向の相対的な位置が互いに異なり、他の構成は互いに同じである。したがって、3つの試料s23〜s25において、対向端面の形状および大きさは互いに等しく、かつ、中心電極の直径は互いに等しい。具体的には、3つの試料s23〜s25における先端面(電極チップ)の直径は、1.2mmであった。また、対向端面の短手方向(Y軸方向)の長さは0.7mmであり、長手方向(X軸方向)の長さは1.7mmであった。
図25の最上段に示すように、試料s23において、遠隔側縁部の射影L96は、先端面の射影P1内に位置している。また、試料s23において、対向端面の射影P2kは、先端面の中心の射影P0と重なっていない。試料s23において、遠隔側縁部の射影L96と先端面の射影P1の外周との間の距離df7は、近接側縁部の射影L97と先端面の射影P1の外周との間の距離dr7よりも短い。
図25の中段に示すように、試料s24において、遠隔側縁部の射影L10は、先端面の射影P1内に位置している。また、試料s24において、対向端面の射影P2は、先端面の中心の射影P0と重なっている。試料s24において、遠隔側縁部の射影L10と先端面の射影P1の外周との間の距離dfは、近接側縁部の射影L11と先端面の射影P1の外周との間の距離drよりも短い。
図25の最下段に示すように、試料s25において、遠隔側縁部の射影L98は、先端面の射影P1の外側に位置している。また、試料s25において、対向端面の射影P2mは、先端面の中心の射影P0と重なっている。試料s25において、遠隔側縁部の射影L98と先端面の射影P1の外周との間の距離df8は、近接側縁部の射影L99と先端面の射影P1の外周との間の距離dr8よりも長い。
以上の構成を有する3つの試料s23〜s25について、放電比率評価試験および耐久性評価試験を行った。第4実施例における放電比率評価試験の実施方法および評価方法は、第2実施例における放電比率評価試験の実施方法および評価方法と同じであるので、説明を省略する。また、第4実施例における耐久性評価試験の実施方法および評価方法は、第3実施例における耐久性評価試験の実施方法および評価方法と同じであるので、説明を省略する。
図26は、第4実施例における放電比率評価試験および耐久性評価試験の結果を示す説明図である。図26では、図17と同様に、評価試験結果に加えて、各試料s23〜s25の先端面の直径および対向端面の大きさを示している。なお、図26に示す放電比率評価試験結果を表す記号(◎および△)は、図17に示す放電比率評価試験結果を表す記号と同じ意味を有するので、説明を省略する。同様に、図26に示す耐久性評価試験結果を表す記号(☆および○)は、図18に示す耐久性評価試験結果を表す記号と同じ意味を有するので、説明を省略する。
図26に示すように、放電比率評価試験では、試料s25の評価が「△」であるのに対し、他の2つの試料s23,s24の評価は「◎」であった。これは、遠隔側縁部の射影L96,L10が、先端面の射影P1内に位置しているため、遠隔側縁部でのトリガ放電の発生率が高くなったためであると推測される。
図26に示すように、耐久性評価試験では、試料s23の評価が「○」であるのに対し、他の2つの試料s24,s25の評価は「☆」であった。これは、以下の理由によるものと推測される。試料s24,s25では、対向端面の射影P2,P2mと先端面の中心の射影P0とが重なるように対向端面と先端面とが配置されているので、接地電極において対向端面に加えて電極チップの側面もトリガ放電に利用され得る。このため、接地電極において局所的な消耗が抑制され、間隙Gの拡大を遅らせることができたものと推測される。
以上の第4実施例からも理解できるように、先端面と対向端面とを中心電極の軸線方向と垂直な面に射影したときに、先端面の中心の射影と対向端面の射影とが重なり、かつ、遠隔側縁部の射影が、先端面の射影内に位置することで、空間Ar1におけるプラズマの成長を促進できると共に、接地電極の耐火花消耗性を向上できる。
G.変形例:
G1.変形例1:
各実施形態および実施例では、対向端面の射影の形状は、矩形、六角形および円形であったが、これらの形状に限定されるものではなく、任意の形状を採用してもよい。図20は、変形例1における先端面および対向面の、軸線方向と垂直な面への射影を示す説明図である。図20では、対向端面の射影P2jは、三角形の外見形状(輪郭)を有する。射影P2jと、先端面S1の中心の射影P0とは重なっている。対向端面の遠隔側縁部の射影L95は、射影P2jの1つの頂点E70に相当する。この射影L95は、先端面S1の射影P1内に位置している。このような構成を有する変形例1の点火プラグも、第1実施形態の点火プラグ100と同様の効果を有する。
G2.変形例2:
各実施形態および実施例では、電極チップ60,60aは、接地電極10の各面のうち、中心電極20の先端(電極チップ70の先端)と対向する面において母材と接合されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。図21は、変形例2における接地電極10の他端12近傍の第1の拡大図である。図22は、変形例2における接地電極10の他端12近傍の第2の拡大図である。
図21および図22に示すように、接地電極10の他端12に電極チップ60b、60cが接合された構成を採用してもよい。図21に示すように、電極チップ60bは、円柱の外観形状を有し、軸線AL1は、軸線ALと平行である。図22に示すように、電極チップ60cは、楕円柱の外観形状を有し、軸線AL2は、X軸と平行である。電極チップ60cにおいて、先端面S1と対向する面(側面)の、軸線方向と垂直な面への射影の形状は、X軸方向を長手方向とする長方形である。
G3.変形例3:
各実施形態および実施例では、点火プラグへの印加電圧のうち、トリガ電圧の後に供給される電圧は、負極性の電圧と、正極性の電圧とが交互に繰り返されるいわゆる交流であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
図23は、変形例3における点火プラグへの印加電圧の一例を示す第1のタイミングチャートである。図23における横軸および縦軸は、図3における横軸および縦軸と同じであるので、説明を省略する。図23に示す例では、トリガ電圧が印加された後に、各実施形態および実施例と同様に、複数のピークを含む電圧が印加される。複数のピーク電圧は、誘導電圧Vidを中央値とする所定の振幅の周期電圧のピーク電圧に相当する。図23に示す例では、複数のピークの電圧は、いずれも負極性の電圧ある。このような印加電圧を用いる構成においても、電圧変化が減少傾向から増加傾向に、また、増加傾向から減少傾向に周期的に変化するので、プラズマの成長を促すことができる。なお、図23に示す構成における誘導電圧Vidの値(絶対値)は、例えば、図3に示す第1実施形態における誘導電圧Vidの値(絶対値)の2倍以上の任意の値に設定してもよい。
図24は、変形例3における点火プラグへの印加電圧の一例を示す第2のタイミングチャートである。図24における横軸および縦軸は、図3における横軸および縦軸と同じであるので、説明を省略する。図24に示す例では、図23の例と同様に、トリガ電圧の後に、負極性のピーク電圧の周期電圧が印加される。但し、かかる周期電圧の中央値Vctが、誘導電圧Vidよりも低い値である(絶対値は大きい)点において、図23に示す印加電圧と異なる。このような図24に示す印加電圧を用いる構成においても、電圧変化が減少傾向から増加傾向に、また、増加傾向から減少傾向に周期的に変化するので、プラズマの成長を促すことができる。
G4.変形例4:
各実施形態および実施例において、中心電極20の端部(電極チップ70の先端側の端部)は、平滑な平面(先端面)であったが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、平滑な平面に代えて、円滑な半球面であってもよい。この構成においては、かかる半球面が、火花が飛ぶ範囲となり、請求項における先端面に相当する。また、平滑な平面に代えて、Z軸方向に凹凸を有する形状であってもよい。この構成においても、Z軸方向に凹凸を有する領域全体が、火花が飛ぶ範囲となり、請求項における先端面に相当する。すなわち、一般には、中心電極20の先端側の端部であって、火花が飛ぶ範囲の外周表面を、本発明の点火プラグにおける先端面として採用してもよい。
G5.変形例5:
各実施形態および実施例において、先端面と対向端面との間のZ軸方向に沿った長さは、任意の位置において互いに等しかったが、これに代えて、先端面と対向端面との間のZ軸方向に沿った長さは、任意の位置において互いに異なる構成としてもよい。この構成においても、遠隔側縁部と先端面の外周との間の距離(三次元空間の距離)が、近接側縁部と先端面の外周との間の距離(三次元空間の距離)に比べて短い構成が好ましい。但し、各実施形態および実施例において、遠隔側縁部と先端面の外周との間の距離(三次元空間の距離)が、近接側縁部と先端面の外周との間の距離(三次元空間の距離)と比べて、等しいまたは長い構成を採用してもよい。かかる構成においても、先端面の中心の射影と対向端面の射影とが重なり、かつ、遠隔側縁部の射影が先端面の射影内に位置することにより、プラズマの発生および成長を促進できると共に、耐火花消耗性を向上できる。
G6.変形例6:
各実施形態及び実施例では、中心電極20は、先端部に電極チップ70を備えていたが、電極チップ70を省略してもよい。この構成においても、中心電極20の先端面(先端側の端面)と、接地電極の対向端面との位置関係が、各実施形態および実施例における位置関係を満たすことにより、各実施形態の効果を奏することができる。同様に、各実施形態および実施例では、接地電極10は、他端12側に電極チップ60,60a〜60cを備えていたが、電極チップ60,60a〜60cを省略してもよい。この構成においても、接地電極において、中心電極20の先端面と対向する面(例えば、接地電極10において、電極チップ60と同様に−Z軸方向に突出した面があればかかる面)と、中心電極20の先端面との位置関係が、各実施形態および実施例における位置関係を満たすことにより、各実施形態の効果を奏することができる。
G7.変形例7:
各実施形態及び実施例では、複数のピーク電圧を印加する方法として、図2に示すような高周波電源530を用いる方法を採用していたが、これに限らず、1つの点火プラグに対して複数の点火コイルを並列に重ね合わせて用いる方法を採用してもよい。
本発明は、上述の実施形態、実施例、および変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する本実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。