JP2014231122A - 半導体素子および半導体素子の製造方法 - Google Patents

半導体素子および半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体素子の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体チップ2が搭載された基板1の上面1t上に基板3を搭載する工程を有している。半導体チップ2に形成された複数の可動部、基板1に形成された部材1se、および基板3に形成された部材3seは、それぞれ金属材料から成り、部材3seの電気伝導率は、複数の可動部の電気伝導率よりも小さい。また、基板1の上面1t上に基板3を搭載する工程は、部材1seと部材3seとを、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置した状態で、誘導加熱により、部材1seおよび部材3seのうちのいずれか一方、または両方を加熱する。
【選択図】図17

Description

本発明は、半導体素子およびその製造技術に関し、特に、複数の可動部が配列された半導体素子に適用して有効な技術に関する。
特開2012−30342号公報(特許文献1)には、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて形成された、複数の可動部(ミラー素子)を有するパッケージが記載されている。
特開2012−30342号公報
MEMS技術を用いた半導体素子の一つとして、画素に対応する複数の微細なミラー素子(可動部)が配列された画像形成素子がある。そして、画像形成素子のミラー形成面に光を照射し、複数のミラー素子のそれぞれの光の反射角度を調整することで画像を形成する技術がある。上記画像形成素子は、デジタルミラーデバイス(DMD;Digital Micromirror Device)と呼ばれる。この画像形成素子は、半導体集積回路の形成技術の応用技術であるMEMS技術を適用して複数のミラー素子やミラー素子の駆動回路を形成することで、素子の小型化を図ることができる。
ここで、複数のミラー素子の微細化が進むと、ミラー素子の雰囲気の湿度を制御する必要が生じることが判った。例えば、ミラー素子の近傍で結露し、水滴がミラー素子に付着すると、水滴の表面張力によりミラー素子の動作が制限され、ミラー素子の角度調整の精度が低下する。上記したように、デジタルミラーデバイスと呼ばれる画像形成素子は、画素毎に光の反射角度を調整することで画像を形成するので、ミラー素子の角度調整の精度が低下すると、画像品質の信頼性が低下する原因になる。
そこで、本願発明者は、複数のミラー素子が形成された領域を気密空間にして、気密空間内を減圧状態、あるいは不活性ガスが充填された状態にすることで、ミラー素子の近傍での結露を抑制する技術について検討した。ミラー素子の近傍での結露を抑制するためには、複数のミラー素子を支持する基板と、複数のミラー素子を覆うカバー部材との間に設けられ、複数のミラー素子が形成された領域を封着する封着部には、高い気密性が要求される。
しかし、封着部に配置される部材を硬化させる時に、高温での加熱プロセスが必要になる場合、加熱時の熱で複数のミラー素子のそれぞれに、反り変形が生じる場合があることが判った。この場合、ミラー素子の反り変形により反射角度が変化するので、画像品質の信頼性が低下する原因になる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成素子により形成される画像品質の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
本発明の上記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態による半導体素子は、チップ搭載領域が設けられている第1面、および前記チップ搭載領域の周囲を連続的に囲むように前記第1面に設けられている第1部材を備える第1基板を有する。また、半導体素子は、第2面、前記第2面の反対側に位置する第3面、および前記第2面の第1領域に配列されている複数の可動部を備え、前記第3面が前記第1基板の前記第1面と対向するように、前記第1基板の前記チップ搭載領域上に固定されている半導体チップを有する。また、半導体素子は、第4面、前記第4面の反対側に位置する第5面、および前記第4面のうちの前記半導体チップの前記第2面と対向する第2領域を連続的に囲むように設けられている第2部材を備え、前記第4面が前記第1基板の前記第1面および前記半導体チップの前記第2面と対向するように、前記第1基板の前記第1面側に固定されている第2基板を有する。また、前記第1部材と前記第2部材とは、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置されている。また、前記複数の可動部、前記第1部材、および前記第2部材は、それぞれ金属材料から成り、前記第1部材または前記第2部材の電気伝導率は、前記複数の可動部の電気伝導率よりも小さい。
また、一実施の形態による半導体素子の製造方法は、(a)チップ搭載領域が設けられている第1面、および前記チップ搭載領域の周囲を連続的に囲むように前記第1面に設けられている第1部材を備える第1基板を準備する工程を有している。また、半導体素子の製造方法は、(b)第2面、前記第2面の反対側に位置する第3面、および前記第2面の第1領域に配列されている複数の可動部を備える半導体チップを、前記第3面が前記第1基板の前記第1面と対向するように、前記第1基板の前記チップ搭載領域上に固定する工程を有する。また、半導体素子の製造方法は、(c)前記(b)工程の後、第4面、前記第4面の反対側に位置する第5面、および前記第4面に設けられている第2部材を備える第2基板を、前記第4面が前記第1基板の前記第1面および前記半導体チップの前記第2面と対向するように、前記第1基板の前記第1面側に固定する工程を有する。また、前記複数の可動部、前記第1部材、および前記第2部材は、それぞれ金属材料から成り、前記第1部材または前記第2部材の電気伝導率は、前記複数の可動部の電気伝導率よりも小さい。また、前記(c)工程では、前記第1部材と前記第2部材は、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置した状態で、電磁誘導加熱により、前記第1部材および前記第2部材のうちのいずれか一方、または両方を加熱する。
上記した一実施の形態によれば、半導体素子の信頼性を向上させることができる。
一実施の形態の画像形成素子が組み込まれた、画像形成システムの構成を模式的に示す説明図である。 図1に示す画像表示素子のミラー配置面側を示す平面図である。 図2のA−A線に沿った断面図である。 図2に示す半導体チップを覆っている基板を取り除いて、画像形成素子の内部構造を示す平面図である。 図4に示す半導体チップを拡大して示す平面図である。 断面視におけるミラー素子の傾斜動作の方向を模式的に示す説明図である。 図3に示す半導体チップを覆っている基板の下面側を示す平面図である。 図3に示す封着部を拡大して示す拡大断面図である。 図2に示す画像形成素子の組立フローを示す説明図である。 図9に示す第1基板準備工程で準備する基板のチップ搭載面側を示す平面図である。 図10に示す基板のチップ搭載領域上に半導体チップを搭載した状態を示す平面図である。 図11のA−A線に沿った断面図である。 図11に示す半導体チップと基板とを電気的に接続した状態を示す平面図である。 図13のA−A線に沿った断面図である。 図14に示す基板上に、半導体チップを覆う基板を搭載した状態を示す断面図である。 図9に示す第2基板搭載工程で、封着部を連結する直前の状態を示す拡大断面図である。 図15に示す封着部がチャンバ内で封着される状態を示す断面図である。 図8に対する変形例を示す拡大断面図である。 図7に対する変形例を示す平面図である。 図3に対する変形例を示す断面図である。 図9に対する変形例であって、図20に示す画像形成素子の組立フローを示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態を説明するための全図において同一または類似の機能を有するものは同一または類似の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は原則として省略する。以下の実施の形態では、複数の可動部を有する半導体素子の例として、複数のミラー素子を有する画像形成素子を挙げて説明する。
<画像形成システムの概要>
まず、図1を用いて、本実施の形態の画像形成素子DMD1を用いて画像を形成する画像形成システムについて、簡単に説明する。図1は、本実施の形態の画像形成素子が組み込まれた、画像形成システムの構成を模式的に示す説明図である。なお、図1では、画像形成方法を判り易く示すため、システムの構造を単純化して示している。したがって、システムの構成は、図1に示す態様には限定されず、例えば、図1に示す構成に加えて、他の光学部品を追加することもできる。
本実施の形態の画像形成素子DMD1は、例えば行列状に配列された、複数のミラー素子MMを備えている。この複数のミラー素子MMは、それぞれ独立して反射角度が調整可能になるように構成されており、形成する画像の画素数に対応して設けられている。
図1に示す画像表示システムでは、光源LSからレンズLZ1を介して画像形成素子DMD1に光を照射すると、画像形成素子DMD1が備える複数のミラー素子MMにより光が反射される。複数のミラー素子MMは、それぞれ独立して反射角度を制御できるので、画像形成素子DMD1に照射された光は、ミラー素子MMの反射角度に応じた方向に、反射される。
このため、画像形成素子DMD1に照射された光のうちの一部は、レンズ(例えば投射レンズ)LZ2を経由して表示部DPに向かって照射され、表示部DPにおいて画素を形成する。表示部DPは例えばスクリーンである。一方、画像形成素子DMD1に照射された光のうちの他の一部は、レンズLZ2とは異なる方向に向かって反射され、表示部DPには届かない。図1に示す画像表示システムでは、複数の画素に対応したミラー素子のそれぞれについて、上記の制御を行うことにより、表示部DPに画像を形成する。
なお、上記した画像表示システムでは、白黒表示の画像の他、カラー表示の画像も形成することができる。カラー表示の画像を形成する場合、例えば、赤色、緑色、青色の波長域の光を複数のミラー素子MMに照射して、カラー画像を形成する。また、上記3色に加えて、黄色の波長域の光を複数のミラー素子MMに向かって照射する場合もある。また、複数色の光を照射する方法は、光の波長域毎に独立した光源を準備して照射する方法の他、図示しないカラーフィルタを光源とミラー素子MMの間に配置して、各色の波長域を時分割する方法を適用することもできる。
<画像形成素子の構造>
次に、図1に示す画像表示システムに組み込まれた画像形成素子DMD1の構造について説明する。図2は、図1に示す画像表示素子のミラー配置面側を示す平面図である。また、図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。また、図4は、図2に示す半導体チップを覆っている基板を取り除いて、画像形成素子の内部構造を示す平面図である。また、図5は図4に示す半導体チップを拡大して示す平面図である。また、図6は、断面視におけるミラー素子の傾斜動作の方向を模式的に示す説明図である。また、図7は、図3に示す半導体チップを覆っている基板の下面側を示す平面図である。また、図8は、図3に示す封着部を拡大して示す拡大断面図である。
図2および図3に示すように、本実施の形態の画像形成素子DMD1は、基板1と、基板1に搭載されている半導体チップ2と、基板1の上面1t側に、半導体チップ2を覆うように配置されている基板3と、を有している。
基板1は、チップ搭載領域1dbが設けられている上面1t、および上面1tの反対側に位置する下面1bを有している。上面1tのチップ搭載領域1dbには、半導体チップ2が接着部材4(図3参照)を介して接着固定されている。
また、図4に示すように、基板1の上面1tには、チップ搭載領域1dbの周囲を連続的に囲むように部材1seが設けられている。言い換えれば、平面視において、半導体チップ2は、部材1seにより周囲を囲まれている。部材1seは、基板1と基板3(図3参照)の間に配置され、半導体チップ2の周囲の空間が気密状態になるように基板1と基板3とを封着固定する、封着部5の一部を構成する。また、部材1seは、平面視において、半導体チップ2の周囲を連続的に囲むように配置される金属製の環状部材(枠形状部材ともいう)である。なお、本実施の形態で記載する気密状態とは、図3に示す空間7の内部で結露が生じない程度に外部からの気体の流入を防いだ状態を指す。
また、基板1は、半導体チップ2と電気的に接続される電極である、複数の端子1pd1を有している。複数の端子1pd1は、部材1seと半導体チップ2との間、言い換えれば、部材1seとチップ搭載領域1dbとの間に配置されている。複数の端子1pd1のそれぞれには、例えば金線などの導電性部材である、ワイヤ6が接続され、複数の端子1pd1と半導体チップ2とは、ワイヤ6を介して電気的に接続されている。複数の端子1pd1を、半導体チップ2と電気的に接続するため、図3に示すように、半導体チップ2および複数の端子1pd1のそれぞれは、基板1、基板3、および封着部5で囲まれた気密な空間7の内部に配置されている。
また、基板1は、画像形成素子DMD1の外部端子である、複数の端子1pd2を有している。また、複数の端子1pd2は、画像形成素子DMD1の外部端子に相当するので、図3に示すように、基板1、基板3、および封着部5で囲まれた空間7の外部に配置されている。このため、図3に示すように、基板1は、空間7内に設けられた複数の端子1pd1と空間7の外部に設けられた複数の端子1pd2とを電気的に接続する導通経路として、複数の配線1wが形成されている。言い換えれば、複数の端子1pd2は、基板1に形成された複数の配線1wを介して、複数の端子1pd1と電気的に接続されている。
なお、図3では、複数の配線1wが基板1の内部に形成されている例を示しているが、配線1wは、封着部5と接触しないように設けることができれば、基板1の内部に形成しなくても良い。例えば基板1の下面1b側に配線1wを形成し、基板1を厚さ方向(図3に示す例では、Z方向)に貫通する貫通導体を介して配線1wと端子1pd1とを電気的に接続することもできる。
また、図示は省略するが、複数の端子1pd2にフレキシブル配線板などの図示しないインタフェース配線を接続することにより、画像形成素子DMD1は、例えば制御装置などの図示しない外部機器と電気的に接続される。
このように、基板1は、複数のミラー素子MMが形成された半導体チップ2と、外部機器とを電気的に接続する複数の配線1wが形成された、配線基板である。基板1の基材は、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム;Al)等のセラミック材料、あるいは、珪素(Si)などの半導体材料から成る。また、基板1に形成される複数の端子1pd1、端子1pd2、および配線1wなどの導電性部材は、例えば銅(Cu)などの金属材料から成る。
また、基板1の上面1tに形成された部材1seは、封着部5の気密性が確保できる材料であれば特に限定されないが、部材1seを効率的に形成する観点からは、基板1に形成されている複数の端子1pd1や端子1pd2と同じ材料で形成することが好ましい。部材1seと端子1pd1、端子1pd2とを同じ材料で形成することにより、部材1se、端子1pd1、および端子1pd2を、一括して形成することができる。
また、図3に示すように、基板1の上面1tに搭載される半導体チップ2は、ミラー形成面である上面2t、および上面2tの反対側に位置する下面2bを有している。半導体チップ2は、下面2bと基板1の上面1tとが対向した状態で、基板1の上面1t側に接着固定されている。
図5に示すように、半導体チップ2は、上面2tの中央部に、複数のミラー素子MMが配列されているミラー配置領域2maを備えている。ミラー配置領域2maには複数のミラー素子MMが規則的に配列されている。図5に示す例では、複数のミラー素子MMは行列状(マトリクス状、あるいはアレイ状とも言う)に配列されている。複数のミラー素子MMのそれぞれは、平面視において四角形を成し、一辺の長さは、例えば、10μm程度である。また、複数のミラー素子MMは、ミラー素子MMの反射面が半導体チップ2の上面2tに対して傾斜した時に、隣り合うミラー素子同士が接触しないようになっている。
また、図6に模式的に示すように、ミラー素子MMは、半導体チップ2の上面2t上に、上面2tに対して傾動可能な状態で支持されている。図6では、図示を省略したが、ミラー素子MMは、図示しない支持部材によって、例えば、ミラー素子MMの側面または下面が支持されている。ミラー素子MMおよびミラー素子の周辺部材に対して微細加工を施す方法としては、MEMS技術を適用することができる。MEMS技術では、半導体ウエハに半導体集積回路を形成する技術を応用して、半導体チップの上面2t上に、機械的に動作するミラー素子MMと、ミラー素子MMの動作を電気的に制御する駆動回路DR1とを形成することができる。
ミラー素子MMの動作の制御は、例えば、静電引力を利用して行うことができる。図6に示す例では、ミラー素子MMと半導体チップ2の上面2tの間には、ミラー素子MMの傾斜動作を駆動する駆動回路DR1の一部を構成する、駆動電極2de1と駆動電極2de2とが形成されている。駆動電極2de1、駆動電極2de2のうちのいずれか一方に駆動電圧を印加すると、導体部材で形成されているミラー素子MMとの間で、静電引力が生じ、ミラー素子MMを傾斜させることができる。本実施の形態では、ミラー素子MM、およびミラー素子MMを駆動する駆動回路DR1の一部を構成する駆動電極2de1および駆動電極2de2は、それぞれ同じ金属材料により成り、例えばアルミニウム(Al)を主体とする金属材料から成る。
また、図5に示すように、半導体チップ2の周縁部には、半導体チップ2の外部端子用の電極である、複数の端子2pdが形成されている。複数の端子2pdのうちの少なくとも一部は、図6に示す駆動回路DR1と電気的に接続されている。また、複数の端子2pdのそれぞれは、図4に示すようにワイヤ6を介して基板1の端子1pd1と電気的に接続されている。
ここで、図1に示す画像表示システムにおいて、単に画像を形成する機能としては、図5に示す半導体チップ2があれば足りる。しかし、ミラー素子MMを露出させた状態では、ミラー素子MMの雰囲気の湿度を制御する必要が生じることが判った。例えば、ミラー素子MMの近傍で結露し、水滴がミラー素子MMに付着すると、水滴の表面張力によりミラー素子MMの動作が制限され、ミラー素子MMの角度調整の精度が低下する。
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、複数のミラー素子MMが形成された半導体チップ2を覆うように基板3を設け、半導体チップ2の周囲の封着部5において、基板1と基板3とを封着している。また、複数のミラー素子MMが配置されている空間7を気密空間にして、空間7内を減圧状態、あるいは不活性ガスが充填された状態にしている。これにより、空間7内の湿度は、空間7の周囲の湿度よりも小さくなっている。詳しくは、本実施の形態の画像形成素子DMD1は、画像形成素子DMD1の使用環境温度の範囲内では結露が生じないように、空間7の内部の水分が低減されている。したがって、ミラー素子MMの近傍での結露を抑制できる。
図3に示すように、基板3はミラー素子MMとの対向面である下面3b、および下面3bの反対側に位置する上面3tを有している。基板3は、複数のミラー素子MMを覆うように配置されているので、可視光を透過させる必要がある。本実施の形態では、基板3は、酸化珪素(SiO)を主成分とするガラスから成る。
また、図7に示すように基板3の下面3bのうち、半導体チップ2(図3参照)の上面2t(図3参照)と対向する、チップ対向領域3cfの周囲には、チップ対向領域3cfの周囲を連続的に囲むように部材3seが設けられている。言い換えれば、平面視において、半導体チップ2(図3参照)は、部材3seにより周囲を囲まれている。部材3seは、平面視において、半導体チップ2(図3参照)の周囲を連続的に囲むように配置される金属製の環状部材(枠形状部材ともいう)である。また、部材3seは、基板1(図3参照)と基板3の間に配置され、半導体チップ2の周囲の空間が気密状態になるように基板1と基板3とを封着固定する、封着部5の一部を構成する。
このため、図4に示す部材1seと、図7に示す部材3seとは、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置されている。部材3seを基板3の下面3bに固定する方法は、特に限定されないが、図8に示す例では、部材3seは、接着部材9を介して基板3の下面3bに接着固定されている。
本実施の形態に対する変形例としては、部材1seと部材3seとを接触させた状態で接合することもできるが、本実施の形態の例では、図8に示すように部材1seと部材3seとの間に、半田材料から成る接続部材8を介在させている。つまり、部材1seと部材3seとは、接続部材8を介して接続されている。部材1seと部材3seとの間に、半田材料から成る接続部材8を介在させる場合、封着部5を封着する際に、半田材料の表面張力を利用することで、部材1seと部材3seの位置合わせを容易に行うことができる。この場合、基板3と半導体チップ2との位置関係を高精度で位置合わせすることができる。これにより、例えば図2に示す画像形成素子DMD1を、図示しない実装基板に実装する際には、基板3の位置を基準として実装基板との位置合わせを行うことができる。
また、半田材料である接続部材8を介して部材1seと部材3seを接続する場合、半田材料を加熱溶融させることで、接続部材8の形状を容易に変形させることができる。したがって、部材1seと部材3seの間に、隙間が生じ難くなるので、図3に示す空間7内の気密性を向上させることができる。この気密性を向上させる効果は、接続部材8として半田材料を用いる場合の他、例えばペースト状の樹脂接着剤など、封着部5を連結する際に、部材1seおよび部材3seよりも柔らかい接続部材を用いる場合に得られる。ただし、半田材料は、ペースト状の樹脂接着剤よりも軟化した時の表面張力が大きい。したがって、半田材料から成る接続部材8を介在させる方が、部材1seと部材3seの間の隙間が生じ難くなる。
また、本実施の形態の例では、基板3には、配線や端子などの導体パターンは形成されていない。この場合、上記した基板1に形成された部材1seとは異なり、部材3seの形成効率の観点からは、特に材料選択上の制約はない。しかし、図3に示す接続部材8として半田材料を用いる場合には、接続部材との接合性を考慮して、部材3seを金属材料で形成することが好ましい。
また、本実施の形態では、封着部5を加熱することにより封着部5の構成部材を接合する。しかし、封着部5を加熱する際に、ミラー素子MM(図3参照)の温度が高温になると、ミラー素子MMに反り変形が生じ易くなる。この場合、ミラー素子MMの反射角度が変化するので、画像品質の信頼性が低下する原因になる。
そこで、本実施の形態では、図3に示す封着部5の構成部材を加熱する際に、電磁誘導加熱を利用して、部材3seを加熱する。この時、部材3seの電気伝導率は、ミラー素子MMの電気伝導率よりも小さくなっている。すなわち、部材3seは、ミラー素子MMを構成する材料よりも抵抗が小さい材料から成る。
例えば、ミラー素子MMが、ポリシリコンやアルミニウムなどを主体とする材料から成る場合、部材3seは、アルミニウムよりも電気伝導率が小さい金属材料で構成する。本実施の形態では、部材3seは、鉄(Fe)に、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)を配合した合金である、コバール(Kovar)から成る。コバールの電気伝導率は、アルミニウムの電気伝導率の1%よりも小さい。また、コバールの電気伝導率は、図8に示す部材1seを構成する金属材料である銅の電気伝導率よりも小さい。
電磁誘導加熱方式では、被加熱体の電気伝導率が小さい方が加熱され易い。したがって、本実施の形態のように部材3seの電気伝導率がミラー素子MMの電気伝導率よりも小さい状態で、封着部5の構成部材を電磁誘導加熱方式により加熱すれば、ミラー素子MMの温度上昇を抑制しつつ、かつ、部材3seを選択的に加熱することができる。この時、部材1seの主成分である銅は、アルミニウムよりもさらに電気伝導率が大きいので、部材1seは、電磁誘導加熱によっては殆ど加熱されない。しかし、封着部5を接続する際には、加熱された部材3seからの熱伝達によって、部材1seを加熱することができる。
また、コバールは、例えばミラー素子MMを構成する材料や、部材1seを構成する材料よりも、線膨張係数の値が、基板3を構成するガラスに近い。このため、画像形成素子DMD1が加熱され、あるいは冷却された時に、部材3seと基板3の接合部に応力が印加され難い。言い換えれば、部材3seと基板3の線膨張係数を近づけることで、画像形成素子DMD1の温度サイクル寿命を延ばすことができる。上記温度サイクル寿命とは、画像形成素子DMD1を図示しない実装基板に実装した後、環境温度を繰り返し変化させて、封着部5における故障発生率と繰り返し回数の関係を評価する指標である。
また、温度サイクル負荷が印加された時に生じる応力の影響により、封着部5が破壊してしまうことを抑制する観点からは、封着部5が応力緩和機能を備えていることが好ましい。本実施の形態では、図8に示すように部材3seの厚さT1は、部材3seの幅W1よりも大きい。ここで、部材3seの厚さT1とは、基板1と基板3のうちの一方から他方に向かうZ方向における部材3seの長さを言う。また、部材3seの幅W1とは、図7に示すように、平面視において、部材3seの延在方向(例えばY方向)と直交する方向(例えばX方向)における部材3seの長さを言う。
図8に示すように、部材3seの厚さを厚くすると、温度サイクル負荷が印加された時に、部材3seが弾性変形し易くなる。部材3seが弾性変形すると、温度サイクル負荷により生じる応力を部材3seによって緩和することができるので、応力により、封着部5が損傷することを抑制できる。つまり、温度サイクル負荷が印加された時に生じる応力の影響により、封着部5が破壊してしまうことを抑制する観点からは、図8に示すように部材3seの厚さT1は、部材3seの幅W1よりも大きくなっていることが好ましい。
<画像形成素子の製造方法>
次に、図1〜図8を用いて説明した画像形成素子の製造方法について説明する。図9は、図2に示す画像形成素子の組立フローを示す説明図である。
まず、図9に示す第1基板準備工程では、図10に示す基板1を準備する。図10は、図9に示す第1基板準備工程で準備する基板のチップ搭載面側を示す平面図である。本工程で準備する基板1には、図2〜図4を用いて説明した基板1の各構成部材が、予め形成されている。
図10に示すように、基板1の上面1tは、チップ搭載領域1dbを備えている。チップ搭載領域1dbの周囲には、基板1は、半導体チップ2(図4参照)と電気的に接続される電極である、複数の端子1pd1がチップ搭載領域1dbの周囲を断続的に囲むように配列されている。また、基板1の上面1tには、チップ搭載領域1dbの周囲(図10に示す例では複数の端子1pd1の周囲)を連続的に囲むように部材1seが形成されている。また、基板1の上面1tには、図4に示す画像形成素子DMD1の外部端子である、複数の端子1pd2が形成されている。また、図10に示す複数の端子1pd1と複数の端子1pd2とは図3に示す配線1wを介して電気的に接続されている。
基板1の構成部材のうち、上面1tに形成される金属パターンである複数の端子1pd1、複数の端子1pd2、および部材1seは、同じ金属材料を用いて一括して形成されている。複数の端子1pd1、複数の端子1pd2、および部材1seを構成する主たる金属材料は、端子1pd1および端子1pd2の電気的特性を考慮して、例えば銅(Cu)から成る。
ただし、本実施の形態に対する変形例としては、種々の金属材料を用いることができる。例えば、銅に代えて、アルミニウムなどの金属材料を用いることができる。また例えば、主成分として銅を使用する場合であっても、銅からなる基材の表面に、例えばニッケル(Ni)などの金属膜を積層することもできる。この場合、銅からなる基材の酸化を抑制できる。また、部材1seに半田材料を接合する場合には、表面にニッケルの金属膜を形成することで、半田部材の濡れ性を向上させることができる。
次に、図9に示す半導体チップ搭載工程では、図11および図12に示すように、半導体チップ2の下面2bが基板1の上面1tと対向するように、半導体チップ2を基板1のチップ搭載領域1db上に固定する。図11は、図10に示す基板のチップ搭載領域上に半導体チップを搭載した状態を示す平面図である。また、図12は、図11のA−A線に沿った断面図である。
本工程では、例えば基板1のチップ搭載領域1db上に、接着部材4を塗布した後、半導体チップ2の下面2bを接着部材4に押し付ける。そして、例えば加熱あるいは紫外線照射により、接着部材4にエネルギーを加えて硬化させると半導体チップ2が基板1上に接着固定される。また、変形例としては、以下の態様も適用できる。すなわち、半導体チップ2の下面2bに予めフィルム状の接着部材4を貼り付けておき、接着部材4を基板1の上面1tに押し付けて、半導体チップ2を基板1上に接着固定する。
接着部材4は、例えば熱硬化性樹脂、あるいは紫外線硬化性樹脂などを含む樹脂製の部材を用いることができる。樹脂製の接着部材4を用いる場合、接着部材4が硬化する際に、樹脂に含まれていた有機成分がガス化して排出される場合があるが、本工程では、半導体チップ2の周囲の空間は、密封されていないので、この樹脂製の接着部材4を用いることができる。また、接着部材4を構成する材料の変形例として、半田材料を用いることもできる。しかし、樹脂製の接着部材4の場合、例えば、熱硬化性樹脂を用いた場合であっても、半田材料と比較すると、相対的に低い温度で半導体チップ2を基板1上に接着固定することができる。したがって、半導体チップ搭載工程における加熱温度を低減し、半導体チップ2のミラー素子MMの変形を抑制する観点からは、樹脂製の接着部材4を用いることが好ましい。
本工程で基板1上に搭載する半導体チップ2は、図3、図5および図6を用いて既に説明したので、重複する説明は省略する。
次に、図9に示すワイヤボンディング工程では、図13および図14に示すように、半導体チップ2と基板1に形成された複数の端子1pd1とを電気的に接続する。図13は、図11に示す半導体チップと基板とを電気的に接続した状態を示す平面図である。また、図14は、図13のA−A線に沿った断面図である。
本工程では、半導体チップ2の上面2tに形成された複数の端子2pdと、基板1の上面1tに形成された複数の端子1pd1とを、複数のワイヤ6を介して、それぞれ電気的に接続する。ワイヤ6は、例えば金(Au)や銅などの導電性材料を線状に形成した導電性部材であって、一方の端部が半導体チップ2の端子2pdに、他方の端部が基板1の端子1pd1に、それぞれ接合されている。
次に、図9に示す第2基板搭載工程では、図15に示すように、基板3を準備して、基板3の下面3bが半導体チップ2の上面2tと対向するように、基板3を基板1の上面1t上に固定する。図15は、図14に示す基板上に、半導体チップを覆う基板を搭載した状態を示す断面図である。また、図16は、図9に示す第2基板搭載工程で、封着部を連結する直前の状態を示す拡大断面図である。また、図17は、図15に示す封着部がチャンバ内で封着される状態を示す断面図である。
本工程で基板1上に搭載される基板3は、図16に示すように、下面3b側に、予め部材3seが形成されている。図16に示すように、接着部材9を介して部材3seを予め接着固定しておく場合には、接着部材9を硬化させる際に、高温で加熱することができる。したがって、部材3seと基板3との接合部における接合強度を向上させる観点から、接着部材9の構成材料の線膨張係数は、基板3および部材3seの線膨張係数に近いことが好ましい。
例えば、部材1seを銅などの金属材料で形成する場合には、少なくとも接着部材9の線膨張係数は、部材1seの線膨張係数よりも基板3の線膨張係数に近いことが好ましい。このような観点から、例えば接着部材9としては、例えば、ガラスフリットと呼ばれる材料を用いることが好ましい。ガラスフリットは、珪砂、長石、あるいは石灰などの二酸化珪素から成る材料を高温で溶解させた後、急激に冷却することで得られるガラス片であって、ペースト状の樹脂と混合することで、接着剤として使用することができる。このガラスフリットからなる接着部材9は、接着固定時に高温での加熱を要するが、基板3を基板1上に搭載する前は、高温で加熱しても図15に示す半導体チップ2には熱影響は及ばない。
また、図16に示す例では、部材3seの先端面3spに、接続部材8が形成されている。接続部材8は、例えば錫−鉛(Sn−Pb)半田、所謂、フリー半田である錫(Sn)半田、錫−ビスマス(Sn−Bi)半田、錫−銀(Sn−Ag)半田などの半田材料から構成されている。本実施の形態では、上記したように、電磁誘導加熱方式により、部材3seを選択的に加熱するので、部材3seの先端面3spに予め接続部材8を形成しておくことにより、接続部材8を容易に加熱することができる。
また、図16に示すように、本工程では、部材3seの先端面3spと部材1seの表面1spとが対向するような位置関係で、基板1上に基板3を配置する。言い換えれば、本工程では、部材1seと部材3seとが厚さ方向に重なるように基板1上に基板3を配置する。また、図15に示す空間7の気密性を向上させる観点から、本工程では、平面視において、部材1seと部材3seとが全周に亘って重なるように基板1上に基板3を配置する。
そして、部材3seの先端面3spと部材1seの表面1spとが対向した状態で、部材3seを電磁誘導加熱方式により加熱する。また、図16に模式的に矢印を付して示すように、部材3seと部材1seの距離を近づけて、接続部材8を部材1seの表面に押し付ける。接続部材8が部材1seと接触し、接触界面に接続部材8と部材1seの合金層が形成されると、接続部材8と部材1seの接触界面は、所謂、濡れた状態になる。これにより、基板3の下面3bと基板1の上面1tとは、封着部5を介して連結され、図15に示す基板3、基板1、および封着部5で囲まれた空間7は、空間7の外部と遮断された気密空間になる。
また、接続部材8として、半田材料を用いる場合、接続部材8と部材1seが接触した後は、半田材料の表面張力の影響により、部材1seと部材3seの位置合わせが自動的に行われる。したがって、基板1上に基板3を配置する際の位置合わせ精度は、接続部材8と部材1seとを接触させることができる程度の精度で良い。この場合でも、半田材料の表面張力による自動位置合わせ機能(以下、セルフアライメント機能と呼ぶ)によって、部材3seと部材1seの間に全周に亘って接続部材8を介在させることができる。このため、空間7の気密性を向上させることができる。
また、図17に示すように、本工程は、チャンバ10の気密室10a内に半導体チップ2が搭載された基板1および基板3を配置して、封着部5を加熱することが好ましい。気密室10a内は、例えば気密室10aの外部よりも減圧された状態になっており、気密室10aの外部よりも湿度が低くなっている。あるいは、気密室10a内には、例えば窒素ガスなどの不活性ガスが充填されており、気密室10aの外部よりも湿度が低くなっている。
このように、外部と比較して湿度が低い状態の気密室10a内で、封着部5を加熱することで、空間7内の湿度が低い状態で密封することができる。また、接続部材8として半田材料を用いる場合、半田材の表面や、部材1seの表面に酸化膜が形成されると、これを取り除く必要がある。しかし、図17に示すように、チャンバ10の気密室10a内に半導体チップ2が搭載された基板1および基板3を配置した状態で封着部5を加熱する場合、気密室10a内の酸素濃度を気密室10aの外部よりも低くした状態にすることができる。これにより、例えばフラックスなどの活性材料を用いなくても、接続部材8と部材1seを接合することができる。この場合、フラックス成分の残渣や、加熱時に発生するガスが、密封された空間7内に残留することを抑制できる点で好ましい。
また、酸素濃度を低減させた気密室10a内で封着部5を封着する場合には、例えば溶接などの方法を採用することは困難である。しかし、本実施の形態によれば、図17に示すように、例えばチャンバ10の周囲に、電磁誘導加熱用のコイル11を配置し、該コイル11に電流を流すと、電磁誘導により特に電気伝導率が小さい部材3seが加熱される。そして部材3seからの熱伝達により、接続部材8および部材1seが加熱され、封着部5を形成することができる。
なお、図17では、チャンバ10の周囲にコイル11を配置する例を示しているが、部材3seを電磁誘導加熱することができれば、コイル11の位置は、図17に示す態様には限定されない。例えば、チャンバ10の内部にコイル11を配置することができる。
以上の各工程により、図1〜図8を用いて説明した画像形成素子DMD1が得られる。その後、必要な検査を行った後、端子1pd2(図2参照)に図示しないフレキシブル配線板などの図示しないインタフェース配線が接続され、画像形成素子は、例えば図1に示す画像表示システムに組み込まれる。あるいは、必要な検査を行った後、画像形成素子は梱包され、出荷される。
<変形例>
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、図8に示す部材3seを電磁誘導加熱方式により選択的に加熱して、接続部材8および部材1seは、部材3seからの熱伝達により加熱する実施態様について説明した。しかし、変形例としては、部材1seおよび部材3seの両方を、それぞれミラー素子MM(図4参照)を構成する金属材料よりも電気伝導率が小さい金属材料(例えばコバール)で構成することもできる。この場合、図9に示す第2基板搭載工程では、部材1seおよび部材3seの両方を電磁誘導加熱方式により加熱することになる。また、更なる変形例としては、部材1seを構成する金属材料の電気伝導率を、部材3seを構成する金属材料の電気伝導率よりも小さくすることもできる。この場合、図9に示す第2基板搭載工程では、主として部材1seが加熱されることになる。
また、上記実施の形態では、部材3seと部材1seの間に接続部材8を介在させて封着部5を連結する実施態様について説明した。しかし、変形例として、図18に示すように、部材3seの先端面3spと、部材1seの表面1spとを接触させて、接合することができる。図18は図8に対する変形例を示す拡大断面図である。
部材3seの先端面3spと部材1seの表面1spとを、それぞれ研磨して平坦度を向上させれば、部材3seおよび部材1seを加熱した状態で接触させることにより、熱圧着させることができる。この場合、部材3seと部材1seを異なる金属材料で構成すれば、接合界面には合金層が形成される。また、部材3seと部材1seを同じ金属材料で構成すれば、接合界面を一体化させることができる。図18に示す例では、部材1seと部材3seは、同じ金属材料(例えばコバール)で構成された例を示している。
ただし、図18に示す変形例の場合、平面視において、部材1seと部材3seの位置がずれて、重なっていない領域が生じた場合には、図3に示す空間7の気密性が低下する。したがって、図18に示す変形例の場合には、図9に示す第2基板搭載工程において、高精度の位置合わせが要求される。
また、上記実施の形態では、図7に示すように、封着部5が平面視において外縁部が四角形の枠形状を成す例を取り上げて説明した。しかし、封着部5の平面形状は種々の変形例を適用することができる。例えば、図19に示す変形例のように部材3seが、チップ対向領域3cfの輪郭に沿って、蛇行するように延びる形状となっていても良い。図19は図7に対する変形例を示す平面図である。図19に示すように部材3seを蛇行させた場合、画像形成素子に温度サイクル負荷が印加された時に、蛇行した部材3seが変形することにより、応力を緩和し易くなる。したがって、図19に示す変形例の場合、画像形成素子の温度サイクル寿命をさらに伸ばすことができる。
また、図示は省略するが、この場合、部材3seと対向配置される部材1se(図8参照)も、平面視において、半導体チップ2(図4参照)の輪郭に沿って、蛇行するように延びていることが好ましい。
また、それぞれ蛇行する部材3seと部材1seの位置を確実に重ねわせることは難しい。したがって、図8に示すように、部材1seと部材3seとの間に、半田材料あるいは硬化前にペースト状を成す樹脂接着剤などで構成される、接続部材8を介在させることが好ましい。また、表面張力によるセルフアライメント機能によって、図3に示す空間7の気密性を向上させる観点からは、半田材料から成る接続部材8を介在させることが特に好ましい。
また、上記実施の形態では、図3に示すように、基板1上に複数のミラー素子MMを備えている半導体チップ2を搭載する例を取り上げて説明した。しかし、例えば、図20に示す変形例の画像形成素子DMD2のように基板1に、複数のミラー素子MMを形成することもできる。図20は、図3に対する変形例を示す断面図である。また、図21は、図9に対する変形例であって、図20に示す画像形成素子の組立フローを示す説明図である。
図20に示す画像形成素子DMD2は、複数のミラー素子MMが基板1の上面1tに形成されている点で、図3に示す画像形成素子DMD2と相違する。また、複数のミラー素子MMを基板1に形成する場合、図3に示す接着部材4やワイヤ6、端子1pd2などを形成しなくても良い。したがって、画像形成素子DMD2の平面サイズは、上記実施の形態で説明した画像形成素子DMD1の平面サイズよりも小型化できる。
また、図21に示すように、画像形成素子DMD2(図20参照)の製造工程では、第1基板準備工程において、複数のミラー素子MMを基板1の上面1tに形成するので、上記実施の形態で説明した、半導体チップ搭載工程、およびワイヤボンディング工程を省略できる。
図20に示す変形例である半導体素子の技術的思想を抽出すれば、下記の通り表現できる。
第1領域が設けられている第1面、前記第1面の第1領域に配列されている複数の可動部およびチップ搭載領域の周囲を連続的に囲むように前記第1面に設けられている第1部材を備える第1基板と、
第2面、前記第2面の反対側に位置する第3面、および前記第2面のうちの前記第1領域と対向する第2領域を連続的に囲むように設けられている第2部材を備え、前記第2面が前記第1基板の前記第1面と対向するように、前記第1基板の前記第1面側に固定されている第2基板と、
を有し、
前記第1部材と前記第2部材とは、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置されており、
前記複数の可動部、前記第1部材、および前記第2部材は、それぞれ導電性材料から成り、
前記第1部材または前記第2部材の電気伝導率は、前記複数の可動部の電気伝導率よりも小さい、半導体素子。
また、上記した各変形例同士を組み合わせて適用することもできる。
画像形成素子などの半導体素子および画像素子を組み込んだ画像表示システムに利用可能である。
1 基板
1b 下面
1db チップ搭載領域
1pd1、1pd2 端子
1se 部材
1sp 表面
1t 上面
1w 配線
2 半導体チップ
2b 下面
2de1、2de2 駆動電極
2ma ミラー配置領域
2pd 端子
2t 上面
3 基板
3b 下面
3cf チップ対向領域
3se 部材
3sp 先端面
3t 上面
4 接着部材
5 封着部
6 ワイヤ
7 空間
8 接続部材
9 接着部材
10 チャンバ
10a 気密室
11 コイル
DMD1、DMD2 画像形成素子(半導体素子)
DP 表示部
DR1 駆動回路
LS 光源
LZ1、LZ2 レンズ
MM ミラー素子(可動部)
T1 厚さ
W1 幅

Claims (10)

  1. チップ搭載領域が設けられている第1面、および前記チップ搭載領域の周囲を連続的に囲むように前記第1面に設けられている第1部材を備える第1基板と、
    第2面、前記第2面の反対側に位置する第3面、および前記第2面の第1領域に配列されている複数の可動部を備え、前記第3面が前記第1基板の前記第1面と対向するように、前記第1基板の前記チップ搭載領域上に固定されている半導体チップと、
    第4面、前記第4面の反対側に位置する第5面、および前記第4面のうちの前記半導体チップの前記第2面と対向する第2領域を連続的に囲むように設けられている第2部材を備え、前記第4面が前記第1基板の前記第1面および前記半導体チップの前記第2面と対向するように、前記第1基板の前記第1面側に固定されている第2基板と、
    を有し、
    前記第1部材と前記第2部材とは、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置されており、
    前記複数の可動部、前記第1部材、および前記第2部材は、それぞれ導電性材料から成り、
    前記第1部材または前記第2部材の電気伝導率は、前記複数の可動部の電気伝導率よりも小さい、半導体素子。
  2. 請求項1において、
    前記第1部材と前記第2部材との間には、前記第1部材と前記第2部材の双方に接合される接続部材が配置されている、半導体素子。
  3. 請求項2において、
    前記第1部材は第1金属材料から成り、前記第2部材は第2金属材料から成る、半導体素子。
  4. 請求項3において、
    前記半導体チップは、前記複数の可動部を駆動する駆動回路、および前記駆動回路と電気的に接続されている複数の第1電極を備え、
    前記第1基板は、前記複数の第1電極と電気的に接続されている複数の第2電極を備え、
    前記複数の第2電極のそれぞれは、前記第1金属材料から成る、半導体素子。
  5. 請求項3において、
    前記第2部材の電気伝導率は、前記第1部材の電気伝導率よりも小さい、半導体素子。
  6. 請求項1において、
    前記第1部材と前記第2部材との間には、前記第1部材と前記第2部材の双方に接合される半田材が配置されている、半導体素子。
  7. 請求項1において、
    前記第2部材の厚さは、前記第2部材の幅よりも大きい、半導体素子。
  8. 請求項1において、
    平面視において、前記第2部材は、蛇行するように延びている、半導体素子。
  9. (a)チップ搭載領域が設けられている第1面、および前記チップ搭載領域の周囲を連続的に囲むように前記第1面に設けられている第1部材を備える第1基板を準備する工程、
    (b)第2面、前記第2面の反対側に位置する第3面、および前記第2面の第1領域に配列されている複数の可動部を備える半導体チップを、前記第3面が前記第1基板の前記第1面と対向するように、前記第1基板の前記チップ搭載領域上に固定する工程、
    (c)前記(b)工程の後、第4面、前記第4面の反対側に位置する第5面、および前記第4面に設けられている第2部材を備える第2基板を、前記第4面が前記第1基板の前記第1面および前記半導体チップの前記第2面と対向するように、前記第1基板の前記第1面側に固定する工程、
    を有し、
    前記複数の可動部、前記第1部材、および前記第2部材は、それぞれ金属材料から成り、
    前記第1部材または前記第2部材の電気伝導率は、前記複数の可動部の電気伝導率よりも小さく、
    前記(c)工程では、
    前記第1部材と前記第2部材とを、全周に亘って厚さ方向に重なるように配置した状態で、電磁誘導加熱により、前記第1部材および前記第2部材のうちのいずれか一方、または両方を加熱する、半導体素子の製造方法。
  10. 請求項9において、
    前記(c)工程では、前記第1部材と前記第2部材は、前記第1部材と前記第2部材の間に配置された接続部材を介して接合され、
    前記第1基板と前記第2基板とを固定する前の前記接続部材は、前記第1部材および第2部材よりも柔らかい、半導体素子の製造方法。
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