JP2014229436A - 光電変換素子およびこれを含む太陽電池 - Google Patents

光電変換素子およびこれを含む太陽電池 Download PDF

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友子 ▲崎▼村
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英也 三輪
秀和 川▲崎▼
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Abstract

【課題】光電変換効率に優れる光電変換素子を提供する。
【解決手段】基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子において、
前記増感色素は、下記化学式(1):
Figure 2014229436

で表される、光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子およびこれを含む太陽電池に関する。
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光の利用法としては、光起電力効果を利用した太陽電池への適用が挙げられる。光起電力効果とは、物質に光を照射することで起電力を発生させる現象であり、このような起電力を発生しうる物質を含む光電変換素子を用いることにより、光エネルギーを電気エネルギーへと変換することができる。太陽電池として実用化されているものは、主に単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、テルル化カドミウム、およびセレン化インジウム銅等の無機材料を含む光電変換素子を用いた無機系太陽電池である。しかしながら、無機系太陽電池は、用いる無機材料が高い純度有することを必要とするために製造工程が複雑となり、製造コストが高い等の欠点がある。
上記無機系太陽電池の欠点を解決する方法として、光電変換素子に有機材料を利用する有機系太陽電池が提案されている。当該有機材料としては、例えば、p型有機半導体および仕事関数の小さい金属を接合させたショットキー型光電変換素子、p型有機半導体およびn型無機半導体、または、p型有機半導体および電子受容性有機化合物を接合させたヘテロ接合型光電変換素子等が挙げられる。これらの光電変換素子に含まれる前記有機半導体としては、クロロフィルおよびペリレン等の合成色素もしくは顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはこれらの複合材料等が用いられている。そして、これらの材料は、真空蒸着法、キャスト法、またはディッピング法等によって薄膜化され、太陽電池に適用される。しかしながら、有機系太陽電池は低コスト化および大面積化が可能となるものの、光電変換効率は1%以下と低いことが問題となっていた。
このような背景のもと、スイスのグレッツェル博士らによって良好な特性を示す太陽電池が報告された。当該太陽電池は色素増感型太陽電池、より詳細には、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この太陽電池の利点としては、酸化チタン等の安価な金属化合物を半導体の原料とすることができるため、上述の無機材料のように高純度化する必要がないこと;ルテニウム錯体による色素増感効果により、利用可能な光の波長が可視光領域にまでわたっていること;が挙げられる。これによって、色素増感型太陽電池は、無機系太陽電池と比較すると製造コストが安価であり、可視光成分の多い太陽光エネルギーを有効に電気エネルギーに変換することが可能となる。
ところが、ルテニウムは地球上での存在量が極めて少なく、産出量は年間数トンである。したがって、ルテニウムを用いた色素増感型太陽電池の実用化には、ルテニウムが高価であること、供給量が不足する可能性があること等の問題があった。また、ルテニウム錯体は経時の安定性が低いため、太陽電池への適用には、耐久性の観点からも問題を有していた。そこで、ルテニウム錯体に代わる安価で大量供給可能な、耐久性を有する増感色素が求められていた。
このような背景から、ルテニウム錯体に代わる増感色素として、例えば、特許文献1には、特定の構造のアクセプタ基を有する増感色素を用いた湿式太陽電池が開示される。特許文献1には、上記化合物は、高い光電変換効率を発揮できることが記載される。
中国特許出願公開第102532121号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の増感色素と用いた光電変換素子では、初期の光電変換効率はまだ充分なものではなく、また、耐久性に劣るという問題を有していた。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、光電変換効率に優れる光電変換素子を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、耐久性に優れる光電変換素子を提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、色素分子中にジシアノメチレンローダニン基を2個導入することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記諸目的は、基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子において、
前記増感色素は、下記化学式(1):
Figure 2014229436
式中、Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香基もしくは置換基を有していてもよい2価の複素環基またはこれらの組み合わせを表わし、この際、RおよびAr〜ArのいずれかまたはArおよびArまたはArは、互いに結合して環構造を形成していてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基、置換基を有していてもよい複素環基、または前記芳香族基及び複素環基との組み合わせを表わし;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わし;
lおよびl’は、それぞれ独立して、0または1であり;
mは、0または1であり;
nおよびn’は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり;
pおよびp’は、それぞれ独立して、0または1であり;ならびに
炭素−炭素二重結合は、シス体またはトランス体のいずれであってもよい、
で表される、光電変換素子によって達成できる。
本発明により、光電変換効率に優れる光電変換素子、および太陽電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光電変換素子を模式的に表す断面図である。
本発明に係る光電変換素子は、基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を含み、前記増感色素が、上記化学式(1)で表される化合物を含むことに特徴を有する。すなわち、本発明では増感色素として、上記化学式(1)で表されるように、下記式(a):
Figure 2014229436
で示されるジシアノメチレンローダニン基を2個有する増感色素を使用することで、高い光電変換効率を達成できる。また、耐久性を向上できる。このような効果を奏するメカニズムは明らかではないが、以下のように推測できる。なお、本発明は、下記推測によって限定されるものではない。
すなわち、増感色素分子中に上記式(a)のジシアノメチレンローダニン基を2個有することにより、共役長が伸び、増感色素の光吸収波長領域が長波長化する。また、分子吸光係数が高くなり、幅広いスペクトルを有する光を効率よく利用することが可能となるため、高い光電効率を発揮できる。さらに、電気陰性度が高いジシアノメチレンローダニン基を2個有することにより、半導体表面への増感色素分子の吸着安定性が高まり、光電変換素子作製過程や長時間使用時において半導体表面からの色素の脱離が起こりにくくなった結果、光電変換効率や耐久性が向上できる。これに対して、増感色素が分子中に上記式(a)のジシアノメチレンローダニン基を1個有する場合には、上記効果が不十分であり、十分な光電変換効率及び耐久性を発揮できない。また、増感色素が分子中に上記式(a)のジシアノメチレンローダニン基を3個以上有する場合には、1個や2個有する場合と比較して半導体表面に吸着しないジシアノメチレンローダニン基が多く存在し、この半導体表面に吸着しないジシアノメチレンローダニン基は、増感色素から半導体層への電子注入効率を下げると推測される。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
[光電変換素子]
本発明の光電変換素子について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換素子を模式的に表す断面図である。図1に示すように、光電変換素子10は、基体1、第一電極2、バリア層3、光電変換層6、電荷輸送層7、および第二電極8が順次積層されてなる構成を有する。ここで、光電変換層6は、半導体5および増感色素4を含有する。図1に示されるように、第一電極2と光電変換層6との間には、短絡防止、封止などの目的で、バリア層3を有することが好ましい。なお、図1中では、太陽光は、図下方の矢印9の方向から入っているが、本発明は当該形態に限定されず、図上方から太陽光が入射してもよい。
次に、本発明に係る光電変換素子の製造方法の好ましい実施形態について説明する。まず、第一電極2を形成した基体1上に、バリア層3を形成した後、バリア層3上に半導体5からなる半導体層を形成し、その半導体表面に増感色素4を吸着させて光電変換層6を形成する。その後、光電変換層6の上に正孔輸送層7を形成する。この際、正孔輸送層7は、増感色素4を担持した半導体5からなる光電変換層6に侵入し、かつ、その上に存在している。そして、正孔輸送層7の上に第二電極8を形成する。第一電極2および第二電極8に端子を付けることにより電流を取り出すことができる。
以下、本発明の光電変換素子の各部材について説明する。なお、本発明は、光電変換層中の増感色素として、上記した化学式(1)の化合物を使用することを特徴とするものであるため、それ以外の部材については従来と同様の部材が使用でき、下記形態に限定されない。
[基体]
基体は、電極を塗布方式で形成する場合における、塗布液の被塗布部材としての役割を有する。基体側から光が入射する場合、基体はこの光を透過させることが可能な、すなわち、光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。具体的には、光電変換効率の観点から、光透過率が10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%〜100%であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「光透過率」とは、JIS K 7361−1:1997(ISO 13468−1:1996に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率を意味するものとする。
基体としては、その材料、形状、構造、厚み、硬度等については公知のものの中から適宜選択することができるが、上記のように高い光透過性を有していることが好ましい。
基体の材料としては、剛性を有する基体、および可撓性を有する基体を用いることができる。剛性を有する基体と可撓性を有する基体を組み合わせて用いてもよい。
剛性を有する基体としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ガラス板およびアクリル板が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点からガラス板を用いることが好ましい。剛性を有する基体の厚さは、特に制限されないが、0.1〜100mmが好ましく、0.5〜10mmがより好ましい。
一方、可撓性を有する基体としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、環状オレフィン等のポリオレフィン類樹脂フィルム;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム;ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂フィルム;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム;ポリスルホン(PSF)樹脂フィルム;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂フィルム;ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;アクリル樹脂フィルム;トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルムが挙げられる。特に、太陽光エネルギーを利用することを考慮し、可視領域の波長(400〜700nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムを基体として用いることが好ましい。当該樹脂フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、およびポリカーボネートフィルム等が挙げられ、これらのうち、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが好ましい。なお、可撓性を有する基体の厚さは、特に制限されないが、1〜1000μmが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
上記基体には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理や易接着層を設けてもよい。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理により表面処理を行うことができる。また、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、およびエポキシ系共重合体等を易接着層として使用することができる。
[第一電極]
第一電極は、基体と光電変換層との間に配置される。ここで、第一電極は、基体の光入射方向に対して反対側となる一方の面上に設けられる。第一電極は、光電変換効率の観点から、光透過率が10%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%〜100%であることが特に好ましい。
第一電極を構成する材料としては、特に制限されず、公知の材料が使用できる。例えば、金属およびその酸化物、並びにSn、Sb、FおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種を含む複合(ドープ)材料を用いることができる。前記金属としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、およびインジウム等が挙げられ、金属酸化物としては、SnO、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO、CdSnO、CdSnO)、In、およびCdIn等が挙げられ、複合(ドープ)材料としては、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO(FTO)等が挙げられる。これらのうち、金属として好ましくは、銀が挙げられ、光透過性を持たせるために、開口部を持つグリッドパターニングされた膜、あるいは微粒子やナノワイヤーを分散し塗布した膜が好ましく用いられる。また、金属酸化物として好ましくは、上記の金属酸化物に、Sn、Sb、FおよびAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複合(ドープ)材料が挙げられる。より好ましくは、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO(FTO)等の導電性金属酸化物が好ましく用いられ、耐熱性の点からFTOが最も好ましい。
第一電極を形成する材料の基体への塗布量は、特に制限されないが、基体1m当たり、1〜100g程度であることが好ましい。なお、本明細書では、基体とその上に形成された第一電極との積層体を「導電性支持体」とも称する。
導電性支持体の膜厚としては、特に制限されないが、0.1mm〜5mmであることが好ましい。導電性支持体の表面抵抗値としては、可能な限り低い値であることが好ましい。具体的には、表面抵抗値が500Ω/cm以下であることが好ましく、10Ω/cm以下であることがより好ましい。なお、導電性支持体の表面抵抗の下限は、可能な限り低いことが好ましいため、特に規定する必要はないが、0.01Ω/cm以上であれば十分である。導電性支持体の光透過率の好ましい範囲は、上記基板の光透過率の好ましい範囲と同様である。
[バリア層]
本発明の光電変換素子は、短絡防止手段として、膜状(層状)をなし、第一電極と半導体層との間に位置するバリア層を有することが好ましい。
バリア層の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛、ニオブ、スズ、チタン、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、ニッケル、イリジウム、ロジウム、クロム、ルテニウムまたはその酸化物、また、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、ニオブ酸ストロンチウムのようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物または酸化物混合物、CdS、CdSe、TiC、Si、SiC、BNのような各種金属化合物等の1種または2種以上の組み合わせなどが挙げられる。
特に電荷輸送層がp型半導体の場合、バリア層に金属を使用する場合には電荷輸送層よりも仕事関数の値が小さく、ショットキー型の接触をするものを用いることが好ましい。また、バリア層に金属酸化物を用いる場合には、透明導電層とオーミックに接触し、かつ伝導帯のエネルギー準位が半導体層(光電変換層)よりも低いところにあるものを使用することが好ましい。このとき、酸化物を選択することで半導体層(光電変換層)からバリア層への電子移動効率を向上させることもできる。この中でも、半導体層(光電変換層)と同等の電気伝導性を有するものであるのが好ましく、特に、酸化チタンを主とするものがより好ましい。
バリア層の構造は特に制限されないが、光電変換層と同様に、多孔質構造膜であることが好ましい。ただし、バリア層の空孔率は半導体層(光電変換層)の空孔率よりも小さいことが好ましい。具体的には、バリア層の空孔率をC[%]とし、半導体層の空孔率をD[%]としたとき、D/Cが、例えば、1.1以上程度であるのが好ましく、5以上程度であるのがより好ましく、10以上程度であるのがさらに好ましい。ここで、D/Cの上限は、可能な限り大きいことが好ましいため、特に規定する必要はないが、通常、1000以下程度である。これにより、バリア層と半導体層とは、それぞれ、それらの機能をより好適に発揮することができる。
より具体的には、バリア層の空孔率Cとしては、例えば、20%以下程度であるのが好ましく、5%以下程度であるのがより好ましく、2%以下程度であるのがさらに好ましい。すなわち、バリア層は、緻密層であるのが好ましい。これにより、前記効果をより向上することができる。ここで、バリア層の空孔率Cの下限は、可能な限り小さいことが好ましいため、特に規定する必要はないが、通常、0.05%以上程度である。
バリア層の平均厚さ(膜厚)としては、例えば、0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.5μm程度であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより向上することができる。
[光電変換層]
光電変換層は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。本発明において、光電変換層は半導体および増感色素を必須に含む。より詳しくは、当該光電変換層は、半導体を含有する半導体層に増感色素が担持された構成を有する。
(半導体)
半導体層に用いられる半導体の材料としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等が使用されうる。金属のカルコゲニドの具体例としては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物;カドミウムまたは鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物等が挙げられる。また、その他の半導体の材料としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物;銅−インジウムの硫化物;チタンの窒化物等が挙げられる。より詳細には、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Ti等が挙げられる。これらのうち、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、またはPbSを用いることが好ましく、TiOまたはNbを用いることがより好ましく、TiO(酸化チタン)を用いることが特に好ましい。すなわち、半導体は、酸化チタンであることが好ましい。これらの材料は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせた形態としては、例えば、酸化チタン半導体に20重量%の窒化チタン(Ti)を混合する形態、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,15(1999)に記載の酸化亜鉛/酸化スズの複合の形態等が挙げられる。なお、金属酸化物または金属硫化物に、その他の半導体材料を組み合わせて使用する場合には、当該その他の半導体材料の添加量は、本発明による効果を阻害しない程度であれば特に制限されないが、金属酸化物または金属硫化物半導体に対する重量比が0%を超えて30%以下であることが好ましい。なお、上記他の半導体材料は、単独で使用されてもまたは2種以上の半導体を併用して用いてもよい。
半導体の形状としては、特に制限されず、球状、柱状、管状等の任意の形状を有しうる。半導体の大きさもまた、特に制限されず、例えば、半導体が球状である場合には、半導体の平均粒径が1〜5000nmであることが好ましく、2〜500nmであることがより好ましく、2〜100nmであることが特に好ましい。なお、上記半導体の「平均粒径」とは、100個以上のサンプルを電子顕微鏡で観察したときの1次粒子直径の平均粒径(1次平均粒径)を意味する。
上記半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。表面処理に用いられる有機塩基としては、特に制限はなく、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられる。これらのうち、ピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンを用いて表面処理することが好ましい。表面処理方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、当該方法は、当業者が必要に応じて適宜変更することができる。例えば、有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液(有機塩基溶液)を準備し、本発明に係る半導体を上記液体有機塩基または有機塩基溶液に0〜80℃で1分〜24時間浸漬することで、半導体の表面処理を実施できる。
(増感色素)
増感色素は、光照射時、光励起され起電力を生じる機能を有する。当該増感色素は、後述の半導体の増感処理により半導体に担持される。本発明では、増感色素分子中に上記式(a)のジシアノメチレンローダニン基を2個有することにより、共役長が伸び、増感色素の光吸収波長領域が長波長化する。また、分子吸光係数が高くなり、幅広いスペクトルを有する光を効率よく利用することが可能となるため、高い光電変換効率を発揮できる。さらに、電気陰性度が高いジシアノメチレンローダニン基を2個アクセプター基として有することにより、半導体表面への増感色素分子の吸着安定性が高まり、光電変換素子作製過程や長時間使用時において半導体表面からの色素の脱離が起こりにくくなった結果、高い光電変換効率や優れた耐久性を発揮できる光電変換素子とすることができるものと考えられる。なお、本発明は、上記メカニズムに限定されるものではない。
前記増感色素は、下記化学式(1)で表される。
Figure 2014229436
上記化学式(1)中、Ar〜Arは、置換基を有していてもよい2価の芳香基もしくは置換基を有していてもよい2価の複素環基またはこれらの組み合わせを表わす。この際、Ar〜Arは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、RおよびAr〜ArのいずれかまたはArおよびArまたはArは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、「互いに結合して環構造を形成する」とは、RおよびAr〜ArのいずれかまたはArおよびArまたはArが、それぞれ、相互に直接結合(連結)して環構造を形成しても、あるいはいずれかの基(例えば、硫黄原子(−S−)、酸素原子(−O−)、窒素原子(−NH−)等)を介して相互に結合(連結)して環構造を形成してもよい。
ここで、2価の芳香基としては、炭素原子および水素原子から構成されるものであれは、特に制限されない。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環から導かれるものである。これらのうち、芳香族基は、ベンゼン環、フルオレン環であることが好ましい。
2価の複素環基としては、炭素原子および水素原子、並びに窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1以上のヘテロ原子から構成されるものであれば、特に制限されない。具体的には、チオフェン環、ジチエノチオフェン環(ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン)、3,4−エチレンジオキシチオフェン環、シクロペンタジチオフェン環(4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b−]ジチオフェン)、フェニルチオフェン環、ジフェニルチオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、ピロール環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クマリン環(例えば、3,4−ジヒドロクマリン)、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ローダニン環、ピラゾロン環、イミダゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾ(c)チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドール環、フタラジン環、シナノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルボリン環(カルボリンの任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったもの)、1,10−フェナントロリン環、キノン環、ローダニン環、ジローダニン環、チオヒダントイン環、ピラゾロン環、ピラゾリン環から導かれるものである。これらのうち、複素環は、チオフェン環、ジチエノチオフェン環、3,4−エチレンジオキシチオフェン環、シクロペンタジチオフェン環、フラン環であることが好ましい。
これらの芳香族環または複素環を複数組み合わせて用いてもよく、例えば、ビフェニル、フェニルピリジン(例えば、4−フェニルピリジン)、チオフェン環が2〜8個連結したジ〜オクタ−チオフェン(好ましくは、チオフェン環が2〜4個連としたジ〜テトラ−チオフェン)、ベンゼン環とチオフェンが1〜8個連結したジ〜オクタチオフェンとの組み合わせ(好ましくは、ベンゼン環とチオフェン環が1〜4個連結したジ〜テトラチオフェンとの組み合わせ)、ベンゼン環とフラン環との組み合わせ、ベンゼン環とシクロペンタジチオフェン環との組み合わせ、トリフェニルエテン(1,1,2−トリフェニルエテン)、スチリルチオフェン(例えば、2−スチリルチオフェン)、2−(9H−フルオレン−2−イル)チオフェン、2−フェニルベンゾ[b]チオフェン、フェニルビチオフェン環、(1,1−ジフェニル−4−フェニル)−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ジブタジエン、4−(フェニルメチレン)−2,5−シクロヘキサジエン、フェニルジチエノチオフェン環由来の基などがある。
これらの2価の芳香族環および複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、各々置換もしくは未置換の、炭素原子数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルペンチル基)、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基等)、炭素数1〜24のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基)、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基)、複素環基(例えば、モルホニル基、フラニル基等)等がある。
上記化学式(1)中、RおよびRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基、置換基を有していてもよい複素環基、または前記芳香族基及び複素環基との組み合わせを表わす。中でも、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基が好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基が更に好ましい。この際、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記芳香族基、複素環基、芳香族基と複素環基との組み合わせ及び芳香族環または複素環基が置換基を有する場合の置換基は、上記Ar〜Arにおける定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。ただし、RまたはRとこれらに存在する置換基が同じになることはない。すなわち、RまたはRがアルキル基である場合には、置換基がアルキル基にはならない。
ここで、炭素数1〜24のアルキル基としては、直鎖または分岐状のどちらであってもよく、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数3〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数6〜18の直鎖もしくは分岐状のアルキル基がより好ましい。
また、RおよびRは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わす。この際、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記芳香族基、複素環基、及び芳香族環または複素環基が置換基を有する場合の置換基は、上記Ar〜Arにおける定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、上記アルキル基は、上記RおよびRにおける定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記化学式(1)中、lおよびl’は、それぞれ独立して、0または1である。また、mは、0または1である。nおよびn’は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。さらに、pおよびp’は、それぞれ独立して、0または1である。
また、上記化学式(1)において、炭素−炭素二重結合は、シス体またはトランス体のいずれであってもよい。
具体的には、下記式:
Figure 2014229436
で表される2価の基は、下記構造であることが好ましい。
Figure 2014229436
また、下記式:
Figure 2014229436
で表される2価の基は、下記構造であることが好ましい。なお、下記構造中の芳香環上の置換基Rは、特に制限されないが、炭素原子数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、またはアリール基であることが好ましい。ここで、「炭素原子数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基」は、上記化学式(1)中の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、「炭素数1〜24のアルコキシ基」および「アリール基」は、下記化学式(A)中の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
Figure 2014229436
本発明に係る増感色素の好ましい例を以下に示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、増感色素を下記化合物番号にて規定する。すなわち、化合物1は下記(1)の化合物を指す。
Figure 2014229436
Figure 2014229436
上記化合物は、当業者であれば、いずれも公知の反応、例えば、芳香族求電子置換反応、芳香族求核置換反応、カップリング反応、およびメタセシス反応等を適宜組み合わせることによって合成することができる。その他、上記化合物の合成にあたっては、特開平7−5706号公報、同7−5709号公報等が参照されうる。
(光電変換層の作製方法)
次に、光電変換層の作製方法について説明する。光電変換層の作製方法は、(1)導電性支持体上への半導体層の形成、および(2)半導体の増感処理に大別される。(1)において、半導体の材料が粒子状の場合には、半導体の分散液またはコロイド溶液(半導体含有塗布液)を導電性支持体に塗布あるいは吹き付ける方法、および半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し、水分(例えば、空気中の水分)によって加水分解後に縮合を行う方法(ゾル−ゲル法)等によって半導体層を形成することができる。上記2つの方法によって得られた半導体層は焼成することが好ましい。この場合、焼成後、半導体に水分が吸着する前に素早く増感色素による増感処理を行うことが好ましい。また、(1)において、半導体の材料が膜状であり、導電性支持体上に保持されていない場合には、半導体を導電性支持体上に貼合することによって半導体層を形成することができる。(2)の増感処理方法は、増感色素の半導体層への吸着等が挙げられる。
以下、本発明に好ましく用いられる光電変換層の作製方法について詳細に説明する。
(1)導電性支持体上への半導体層の形成
(1−1)半導体含有塗布液の調製
まず、半導体、好ましくは半導体の微粉末を含む塗布液(半導体含有塗布液)を調製する。当該半導体微粉末はその1次粒子径が微細であることが好ましい。1次粒子径としては、1〜5000nmであることが好ましく、2〜500nmであることがより好ましく、2〜100nmであることが特に好ましい。半導体含有塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができ、溶媒中に分散された半導体微粉末は1次粒子状で分散する。溶媒中の半導体微粉末の濃度は0.1〜70重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましい。
半導体含有塗布液に用いられうる溶媒としては、半導体微粉末を分散できるものであれば特に制約されず、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が用いられうる。前記有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。塗布液中には、必要に応じて、界面活性剤、酸(酢酸、硝酸など)、粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)、キレート剤(アセチルアセトンなど)を添加してもよい。なお、これらの有機溶媒は1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
(1−2)半導体含有塗布液の塗布
上記(1−1)によって調製した半導体含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹き付け、乾燥等を行うことにより、半導体層が形成される。当該塗布は、特に制限されず、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法によって行われる。上記塗布または吹き付け、および乾燥によって得られた半導体層は、半導体微粒子の集合体からなるものであり、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応する。なお、半導体含有塗布液は2種以上の半導体材料を含むものであってもよいし、2種以上の半導体材料を用いて塗布または吹き付けを行い、層状構造の半導体層を形成してもよい。
(1−3)半導体層の焼成処理
上記(1−2)によって形成された半導体層は、空気中または不活性ガス中で焼成することが好ましい。焼成を行うことにより、(1−2)で形成された半導体層と導電性支持体との結合力および半導体微粒子どうしの結合力を高め、機械的強度が向上しうる。焼成条件は、所望の実表面積や空孔率を有する半導体層を形成することができれば特に制限されない。焼成温度は、特に制限されないが、1000℃以下であることが好ましく、100〜800℃であることがより好ましく、200〜600℃であることが特に好ましい。また、基体がプラスチック等で耐熱性に劣る場合には、加圧により半導体微粒子−基体間および半導体微粒子どうしを固着させてもよいし、マイクロ波を用いて半導体層のみを焼成してもよい。焼成時間も特に制限されないが、10秒〜12時間であることが好ましく、1〜240分であることがより好ましく、10〜120分であることが特に好ましい。また、焼成雰囲気も特に制限されないが、通常、焼成工程は、大気中または不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素など)雰囲気中で行われる。なお、上記焼成は、単一の温度で1回のみ行ってもよいし、温度や時間を変化させて2回以上繰り返し行ってもよい。
焼成された半導体層の構造は、特に制限されないが、増感色素との吸着を効果的に行う観点から多孔質構造(空隙を有するポーラスな構造)であることが好ましい。よって、半導体層の空孔率(D)は、1〜90体積%であることが好ましく、10〜80体積%であることがさらに好ましく、20〜70体積%であることが特に好ましい。なお、半導体層の空孔率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空孔率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアサイザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。なお、半導体層が多孔質構造膜である場合には、正孔輸送層を構成する材料がこの空隙にも存在するように光電変換素子を製造することが好ましい。
焼成された半導体層の膜厚は、特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、500nm〜30μmであることがさらに好ましい。
得られた半導体層の見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径および比表面積、並びに焼成温度等により制御することができる。また、得られた半導体層は、焼成後、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行うことにより、半導体粒子の表面積および半導体粒子近傍の純度を制御し、色素から半導体粒子への電子注入効率を高めてもよい。
(2)増感色素による半導体の増感処理
増感色素による半導体の増感処理は、例えば、増感色素を適切な溶媒に溶解し、当該溶液中によく乾燥させた半導体層を長時間浸漬することによって行われる。当該増感処理によって、増感色素が半導体に吸着されうる。この際、半導体層が多孔質構造を有する場合には、浸漬前に減圧処理、加熱処理等の前処理を行い、膜中の気泡や空隙中の水分を除去することが好ましい。当該前処理によって、増感色素が半導体層内部にも吸着されうる。なお、増感処理は、増感色素含有溶液への半導体層の浸漬に限定されず、その他の公知の増感処理方法も適宜適用することができる。
増感処理条件は特に制限はないが、増感色素が半導体層に深く進入して吸着等が充分に進行できるような条件に設定することが好ましい。例えば、溶液中における増感色素の分解および分解物の半導体層への吸着を防止する観点から、増感処理の温度は、5〜100℃であることが好ましく、20〜80℃であることがより好ましい。また、増感処理の時間は、15分〜20時間であることが好ましく、3〜24時間であることがより好ましい。特に、室温(25℃)で2〜48時間、特に3〜24時間、増感処理を行うことが好ましいが、設定する温度によって増感処理の時間は適宜変更してもよい。また、増感処理の時間の短縮および半導体層の深部まで吸着させる観点から、減圧下または真空下で増感処理を行ってもよい。
増感色素を溶解するのに用いる溶媒は、増感色素を溶解することができ、かつ半導体を溶解させたり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。しかしながら、溶媒に溶解している水分および気体が半導体膜に進入して、増感色素の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、溶媒をあらかじめ脱気および蒸留精製しておくことが好ましい。増感色素の溶解において好ましく用いられる溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランおよび塩化メチレン、並びにこれらの混合溶媒、例えば、アセトニトリル/メタノール混合溶媒、アセトニトリル/エタノール混合溶媒、アセトニトリル/tert−ブチルアルコール混合溶媒、テトラヒドロフラン/アセトニトリル/メタノール混合溶媒、テトラヒドロフラン/アセトニトリル/エタノール混合溶媒、テトラヒドロフラン/アセトニトリル/tert−ブチルアルコール混合溶媒を用いることが好ましい。
増感処理を行う場合、増感色素を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。また他の増感色素(例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)と混合して用いてもよいが、光電変換効率の観点から、本発明に係る増感色素のみを用いることが好ましい。本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように吸収波長の異なる2種以上の増感色素を混合して用いることが好ましい。2種以上の増感色素を用いる場合に、増感処理方法は、特に限定されず、各増感色素の混合溶液に半導体層を浸漬してもよいし、各増感色素を別々の溶液として準備し、順次に半導体層を浸漬してもよい。
得られた光電変換層において、半導体層1m当たりの増感色素の総担持量は、特に制限されないが、0.01〜100ミリモルであることが好ましく、0.1〜50ミリモルであることがさらに好ましく、0.1〜20ミリモルであることが特に好ましい。
[電荷輸送層]
本発明に用いられる電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層は、色素の酸化体を迅速に還元し、色素との界面で注入された正孔を対極に輸送する機能を担う層である。
本発明に係る電荷輸送層は、レドックス電解質の分散物や正孔輸送材料としてのp型化合物半導体(電荷輸送剤)を主成分として構成されている。
レドックス電解質としては、I/I 系や、Br/Br 系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I/I 系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。これらの分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電荷輸送層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、バレロニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
電荷輸送剤としては、色素吸収を妨げないために大きいバンドギャップを持つことが好ましい。本発明で使用する電荷輸送剤のバンドギャップは、2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、電荷輸送剤のイオン化ポテンシャルは色素ホールを還元するためには、色素吸着電極イオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によって電荷輸送層に使用する電荷輸送剤のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下が好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下が好ましい。
電荷輸送剤としては、正孔の輸送能力が優れている芳香族アミン誘導体、導電性高分子が好ましい。このため、電荷輸送層を主として芳香族アミン誘導体、導電性高分子で構成することにより、光電変換効率をより向上させることができる。
芳香族アミン誘導体としては、特に、トリフェニルアミン誘導体を用いるのが好ましい。トリフェニルアミン誘導体は、芳香族アミン誘導体の中でも、特に正孔の輸送能力が優れている。また、このような芳香族アミン誘導体は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーのいずれを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。また、モノマー、オリゴマーやプレポリマーは、比較的低分子量であることから、有機溶媒等の溶媒への溶解性が高い。このため、電荷輸送層を塗布法により形成する場合に、電荷輸送層材料の調製をより容易に行うことができるという利点がある。このうち、オリゴマーとしては、ダイマーまたはトリマーを用いるのが好ましい。
具体的な芳香族第3級アミン化合物としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
導電性高分子は、下記化学式(A)で表される化合物または前記化合物の多量体を重合して形成される重合物(以下、単に「重合体」とも称する)を含有する。
Figure 2014229436
上記化学式(A)中、
およびYは、水素原子、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、−OR14基、−SR15基、−SeR16基、または−TeR17基を表わす。なお、YおよびYは、同一であってもまたは異なるものであってもよい。R14〜R17は、水素原子または炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基を表す。ここで、YおよびYは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記Y、YおよびR14〜R17としての、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基は、特に制限されず、上記化学式(1)におけるアルキル基と同様である。
これらのうち、YおよびYとしては、炭素数6〜18の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数6〜18の直鎖のアルキル基がより好ましい。重合体が長鎖(例えば、炭素数6〜18の)アルキル基を有する場合には、当該アルキル基が自己凝集を阻害する官能基として作用して、自己凝集構造の形成を抑制できるため耐久性が向上できると推定される。
また、R14〜R17としては、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖のアルキル基が好ましい。
上記YおよびYとしての、炭素数6〜24のアリール基としては、特に制限されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。これらのうち、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基が好ましく、フェニル基、フルオレニル基がより好ましい。
、YおよびR14〜R17において、「炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素数6〜24のアリール基」中の水素原子の少なくとも一つは置換基で置換されていてもよい。
、YおよびR14〜R17において、置換基は、ハロゲン原子、各々置換もしくは非置換の、炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜24のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、炭素数1〜24のアシル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数2〜24のアルケニル基、アミノ基、および炭素数2〜24のヘテロアリール基からなる群から選択される。
ここで、ハロゲン原子としは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がある。
炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基は、特に制限されず、上記化学式(1)におけるアルキル基と同様である。
炭素数1〜24のヒドロキシアルキル基としは、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基がある。
炭素数1〜24のアルコキシ基は、直鎖または分岐状のどちらであってもよく、特に制限されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−イソプロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチル−1−イソプロピルブトキシ基、2−メチル−1−イソプロポキシ基、1−t−ブチル−2−メチルプロポキシ基、n−ノニルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、イソデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基、n−ヘンエイコシルオキシ基、n−ドコシルオキシ基、n−トリコシルオキシ基、n−テトラコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基がより好ましい。
炭素数1〜24のアシル基としては、直鎖または分岐状のどちらであってもよく、特に制限されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数2〜18の直鎖もしくは分岐状のアシル基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
炭素数6〜24のアリール基は、特に制限されず、上記YおよびYにおけるアリール基と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。
炭素数2〜24のアルケニル基としては、直鎖または分岐状のどちらであってもよく、特に制限されないが、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、1−オクテニル基、3−オクテニル基、5−オクテニル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数2〜18の直鎖もしくは分岐状のアルケニル基が好ましく、1−プロペニル基がより好ましい。
上記Y、YおよびR14〜R17の置換基は、好ましくは、炭素数6〜18の直鎖のアルキル基であり、より好ましくは、n−オクチル基である。
上記化学式(A)で表される化合物の好ましい例としては、下記化合物(H1−1)〜(H1−7)が挙げられる。また、本発明では、導電性高分子として、下記化合物(H1−1)〜(H1−7)の部分構造を有する化合物が好ましく用いられる。ただし、本発明はこれらに限定されない。また、下記実施例において、導電性高分子を構成する重合体を下記記号にて規定する。
Figure 2014229436
上記重合体の末端は特に制限されず、使用される原料(単量体、二量体、多量体など)の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。ここで、本発明に使用される重合体は、上記化学式(A)で表される化合物のみから形成されていてもよいし、上記化学式(A)で表される化合物および他の単量体から形成されていてもよい。好ましくは、上記化学式(A)で表される化合物のみから形成される。また、その際、重合体は、上記化学式(A)で表される単一種の化合物のみから形成されていてもよいし、上記化学式(A)で表される複数種の化合物から形成されていてもよい。
また、他の単量体としては、本発明に係る重合体の特性を阻害しないものであれば特に制限されず、公知の単量体が使用できる。具体的には、ピロール誘導体あるいはフラン誘導体、チアジアゾール等のモノマーやπ共役構造を有するモノマーなどが挙げられる。
本発明に使用される重合体は、上記化学式(A)で表される一種または二種以上の化合物またはこれらの化合物の多量体を、必要に応じて、その他のモノマーと共に、重合触媒としての金属錯体の存在下で、重合または共重合させる方法により、得ることができる。
ここで、上記化学式(A)で表される化合物としては、上記に例示した化合物(単量体)を使用することができる。上記に加えて、上記化学式(A)で表される化合物の二量体または三量体等の多量体化したもの(オリゴマー化した化合物;以後、一括して「多量体」とも称する)を、上記重合または共重合に使用しできる。
例えば、上記化合物(H1−1)〜(H1−7)の二量体(H2−1)〜(H2〜7)が好ましく使用されうる。
Figure 2014229436
このように二量体等の多量体を用いると、単量体を用いる場合に比して、重合体形成時の酸化電位が小さくなり、重合体の合成速度が短縮されて好ましい。これらの単量体のオリゴマー化した化合物は、例えば、J.R.Reynolds et.al., Adv. Mater., 11, 1379 (1999)に記載の方法または当該方法を適宜修飾した方法によって、合成することができる。また、上記単量体の二量体は、T.M.Swager et.al., Journal of the American Chemical Society, 119, 12568 (1997)に記載の方法または当該方法を適宜修飾した方法によって、合成することができる。
以下に、例えば、上記重合体の単量体(H1−1)の二量体である、3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)ダイマー(H2−1)の製造方法の好ましい例を記載する。ただし、本発明は、下記好ましい例に限定されるわけではなく、他の同様の方法または他の公知の方法を適用することができる。
[3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)ダイマーの合成]
撹拌装置、温度計、および還流冷却管を装着した1000mLのガラス製三口フラスコに、無水テトラヒドロフラン750mL、および3,4−エチレンジオキシチオフェン25g(0.15mol)を添加し、窒素気流下で撹拌しながらアセトン/ドライアイス浴中で内温が−70℃となるまで冷却する。この後、1.6mol/L n−ブチルリチウムヘキサン溶液113mL(0.18mol)をシリンジで5分間かけて反応系に滴下する。25分後、無水塩化銅23.5g(0.17mol)を添加し、そのまま3時間程度撹拌しながら反応させる。反応液を水10Lに添加し、生成物を濾過した後、乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:塩化メチレン)により精製することにより、PEDOTダイマー17.9g(収率:約72%)を黄白色結晶として得た。
(重合体の重合法)
重合方法としては、特に制限されず、例えば、特開2000−106223号公報に記載の方法など、公知の重合方法が適用できる。具体的には、重合触媒を用いる化学重合法、少なくとも作用極と対極とを備えて両電極間に電圧を印加することにより反応させる電解重合法、光照射単独あるいは重合触媒、加熱、電解等を組み合わせた光重合法等が挙げられる。これらのうち、電解重合法を用いた重合法が好ましく、より好ましくは電解重合法と光照射を組み合わせた光重合法である。電解重合法と光を照射して重合する光重合法を組み合わせて使用することにより、酸化チタン表面に緻密に重合体の層を形成できる。
電解重合法により重合体を得る場合は、重合体の合成がそのまま前記電荷輸送層の形成につながる。即ち、以下のような電解重合法が行われる。一般的には、重合体を構成するモノマー、支持電解質、および溶媒、ならびに必要に応じ添加剤を含む混合物を用いる。
前記化学式(A)で表される単量体または該単量体の多量体ならびに必要に応じて他のモノマーを、適当な溶媒に溶解し、これに支持電解質を添加して、電解重合溶液を作製する。
ここで、溶媒としては、支持電解質および上記単量体あるいはその多量体を溶解できるものであれば特に限定されないが、電位窓の比較的広い有機溶剤を使用することが好ましい。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、ブチレンオキシド、クロロホルム、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、アセトン、各種アルコールのような極性溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルスホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、プロピレンカーボネイト、ジクロロメタン、o−ジクロロベンゼン、塩化メチレンのような非プロトン性溶媒等の有機溶媒などが挙げられる。または、上記溶媒に、必要に応じて水やその他の有機溶剤を加えて混合溶媒として使用してもよい。また、上記溶媒は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
支持電解質としては、イオン電離可能なものが用いられ、特定のものに限定されないが、溶媒に対する溶解性が高く、酸化、還元を受けにくいものが好適に用いられる。具体的には、過塩素酸リチウム(LiClO)、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、Li[(CFSON]、(n−CNBF、(n−CNPF、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などの塩類が好ましく挙げられる。または、特開2000−106223号公報に記載されるポリマー電解質(例えば、同公報中のPA−1〜PA−10)を支持電解質として使用してもよい、また、上記支持電解質は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
電荷輸送層に添加しうる添加剤としては、例えば、N(PhBr)SbCl、NOPF、SbCl、I、Br、HClO、(n−CClO、トリフルオロ酢酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、FeCl、AuCl、NOSbF、AsF、NOBF、LiBFH1−3[PMo1240]、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)などのアクセプタードーピング剤、ホールをトラップしにくいバインダー樹脂、レベリング剤等の塗布性改良剤等の各種添加剤が挙げられる。上記添加剤は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
次いで、第一電極(透明導電膜)2、バリア層3および光電変換層6を形成した基板1をこの電解重合溶液に浸し、光電変換層6を作用電極として、白金線や白金板などを対極として用い、また、参照極としてAg/AgClやAg/AgNOなどを用いて、直流電解する方法で行われる。電解重合溶液中の前記単量体あるいはその多量体の濃度は、特に制限されないが、0.1〜1000mmol/L程度が好適であり、0.5〜100mmol/L程度がより好ましく、1〜20mmol/L程度が特に好ましい。また、支持電解質濃度は、0.01〜10mol/L程度が好適であり、0.1〜2mol/L程度がより好ましい。また、印加電流密度としては、0.01mA/cm〜1000mA/cmの範囲であることが望ましく、特に1mA/cm〜500mA/cmの範囲であることがより望ましい。保持電圧は、−0.5〜+0.2Vであることが好ましく、−0.3〜0.0Vであることがより好ましい。電解重合溶液の温度範囲は、その溶媒が固化・突沸しない範囲が適当であって一般に−30℃〜80℃である。なお、電解電圧、電解電流、電解時間、温度等の条件は、使用する材料によって左右されるため、また、要求する膜厚に応じて適宜選択することができる。
重合体の重合度の把握は、電解重合で得られた重合体では困難であるが、重合後形成された電荷輸送層の溶媒溶解性は大きく低下するため、重合体かどうかの確認方法としては、化学式(A)の化合物もしくは前記化合物の多量体の溶解が可能な溶媒である、テトラヒドロフラン(THF)に電荷輸送層を浸漬させ、その溶解度で判断できる。
具体的には、25mlのサンプル瓶に化合物(重合体)10mgをとり、THF 10mlを添加して、超音波(25kHz、150W 超音波工業(株)COLLECTOR CURRENT1.5A超音波工業製150)を5分間照射したときに、溶解している化合物が5mg以下の場合は重合していると規定する。
好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)に電荷輸送層を浸漬させた際の溶解度が0.1〜3mgである。
一方、重合触媒を用いて化学重合を行う場合には、例えば、前記化学式(A)で表される単量体またはその多量体等を以下のような重合触媒を用いて重合することができる。
重合触媒は、特に制限されないが、例えば、塩化鉄(III)(iron(III) chloride)、トリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)(iron(III)tris−p−toluenesulfonate)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)(iron(III)p−dodecylbenzenesulfonate)、メタンスルホン酸鉄(III)(iron(III)methanesulfonate)、p−エチルベンゼンスルホン酸鉄(III)(iron(III) p−ethylbenzenesulfonate)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)(iron(III)naphthalenesulfonate)およびその水和物等が挙げられる。
また、重合触媒に加えて、重合速度調整剤を化学重合に使用してもよい。重合速度調整剤としては、特に制限されないが、前記重合触媒における三価鉄イオンに対する弱い錯化剤があり、膜が形成できるように重合速度を低減するものであれば特に制限はない。例えば、重合触媒が塩化鉄(III)およびその水和物である場合には、5−スルホサリチル酸(5−sulphosalicylic acid)の様な芳香族オキシスルホン酸などが挙げられる。また、重合触媒がトリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)、メタンスルホン酸鉄(III)、p−エチルベンゼンスルホン酸鉄(III)、ナフタレンスルホン酸鉄(III)およびその水和物である場合には、イミダゾールなどが挙げられる。
重合体は、合成された後、重合体を含有する塗布液などに含有されて光電変換層上に供給されてもよいが、光電変換層上で重合し、電荷輸送層を形成することが好ましい態様である。すなわち、単量体またはこれらの多量体の重合を、前記光電変換層上で行うことが好ましい。
この場合、上記化学式(A)の単量体またはその多量体等、支持電解質または重合触媒、重合速度調整剤、その他の添加剤、および溶媒を含有する電荷輸送層形成用溶液が用いられる。電荷輸送層形成用溶液の溶媒としては、電解重合溶液の溶剤として例示したものを使用することができる。
電荷輸送層形成用溶液における、上記各成分の合計の濃度は、用いる化学式(A)の単量体またはその多量体等、前記重合触媒、前記重合速度調整剤およびその他の添加剤のそれぞれの種類、その量比、塗布法に対する条件および望まれる重合後の膜厚により異なるが、概ねその質量濃度(固形分の濃度)は、1〜50重量%の範囲である。
前記電荷輸送層形成用溶液を光電変換層上に塗布法により塗布した後、あるいは、光電反感層を前記電荷輸送層形成用溶液に浸漬させたまま、重合反応を行なう。
重合反応の条件は、用いる上記化学式(A)の単量体またはその多量体等、前記重合触媒、および前記重合速度調整剤のそれぞれの種類、その量比、濃度、塗布した段階での液膜の厚み、望まれる重合速度により異なるが、好適な重合条件としては、空気中加熱の場合の加熱温度が25〜120℃の範囲、加熱時間が1分〜24時間の範囲が好ましい。
塗布する方法としては、特に制限されず、公知の塗布方法が同様にしてまたは適宜修飾して使用できる。具体的には、ディッピング、滴下、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、米国特許第2681294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート、および米国特許第2761418号、同3508947号、同2761791号記載の多層同時塗布方法等の各種塗布法を用いることができる。また、このような塗布の操作を繰り返し行って積層するようにしてもよい。この場合の塗布回数は、特に制限されず、所望の電荷輸送層の厚みに応じて適宜選択できる。
電荷輸送層中の化学式(A)で表される化合物または前記化合物の多量体を重合して形成される重合物の含有量は、特に制限されない。正孔輸送特性、光電変換層の界面近傍で発生した励起子の消滅の抑制・防止能などを考慮すると、全単量体に対して、50〜100重量%であることが好ましく、さらに90〜100重量%であることが好ましい。
電荷輸送層の伝導度を高めるために、重合体は正孔ドープされることが好ましい。この際の、正孔ドープ量は、特に制限されないが、化学式(A)の化合物あたり、0.15〜0.66(個)であることが好ましい。
電解重合では、化学式(A)で表される化合物由来の構造を有する重合体に電場をかけて酸化することにより、正孔ドープされる。
また、可視光吸収率が低いと吸収による光の損失が少なく、光による劣化も抑えられることから、好ましい電荷輸送層としては吸光度が1.0以下が好ましい。また、重合体の重合度が高まると吸光度はやや高まり、好ましい正孔輸送能を有する重合度を出すためには、吸光度として、0.2以上の吸光度を示す重合度を有する電荷輸送層が好ましい。したがって、本発明に係る重合体は、400〜700nmでの吸光度(400〜700nmの波長領域での吸光度の平均値)(好ましくは、430nm以下の波長をカット)が0.2〜1.0であることが好ましい。
本明細書において、電荷輸送層(重合体)の吸光度は、電解重合前後での作用極の吸光度差を用いて規定され、この際、吸光度は、400〜700nmの波長領域での吸光度の平均値を意味する。吸光度は、分光光度計(JASCO V−530)を用いて測定される。作用極として、FTO導電性ガラス基板に形成した有効面積10×20mmの酸化チタン薄膜に色素を吸着したものを用い、前述の電解重合溶液と同組成の溶液に浸漬し、対極を白金線、参照電極をAg/Ag(AgNO 0.01M)、保持電圧を−0.16Vとして、半導体層方向から光を照射しながら(キセノンランプ使用、光強度22mW/cm、430nm以下の波長をカット)30分間電圧を保持して、化学式(A)の繰り返し単位を有する重合体を前記作用極上に形成して測定する。膜厚のばらつきの影響を補正するために、サンプルの膜厚を測定し、膜厚(μm)で除した値を用いる。膜厚測定は、Dektak3030(SLOAN TECHNOLOGY Co.製)にて測定される。
電荷輸送層の形成方法は、上記方法に制限されず、公知の製造方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。
[第二電極]
第二電極は、正孔輸送層と接して配置され、任意の導電性材料で構成されうる。絶縁性の物質でも、正孔輸送層に面している側に導電性物質層が設置されていれば、これも使用することができる。第二電極は、素子の電気抵抗を低減する等の観点から、正孔輸送層との接触が良好であることが好ましい。また、第二電極は、正孔輸送層との仕事関数の差が小さく、化学的に安定であることが好ましい。このような材料としては、特に制限されないが、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム、ロジウム、ルテニウム、マグネシウム、インジウム等の金属薄膜、炭素、カーボンブラック、導電性高分子、導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)等の有機導電体などが挙げられる。好ましくは金などの金属薄膜である。また、第二電極の厚みは、特に制限されないが、10〜1000nmであることが好ましい。また、第二電極の表面抵抗値は、特に制限されず、可能な限り低い値であることが好ましい。具体的には、表面抵抗値は、80Ω/cm以下であることが好ましく、20Ω/cm以下であることがより好ましい。なお、第二電極の表面抵抗の下限は、可能な限り低いことが好ましいため、特に規定する必要はないが、0.01Ω/cm以上であれば十分である。
また、第二電極は、上記金属薄膜をガラス基板上に形成させたものを用いることもできる。
以上のような構成を有する光電変換素子は、基体の外側から光が照射されると、素子内部の光電変換層の半導体層に担持された増感色素が励起されて電子を放出する。励起された電子は、半導体に注入され、バリア層を通じて第一電極に移動する。第一電極に移動した電子は、外部回路を通じて第二電極に移動し、正孔輸送層に供給される。そして、(電子を放出して)酸化された増感色素は、正孔輸送層から電子を受け取り、基底状態に戻る。このようなサイクルを繰り返すことで、光が電気に変換される。
本発明に係る光電変換素子は、化学式(1)の化合物において、ジシアノメチレンローダニン基を2個有することにより、共役長が伸び、増感色素の光吸収波長領域が長波長化する。また、分子吸光係数が高くなり、幅広いスペクトルを有する光を効率よく利用することが可能となるため、高い光電効率を発揮できる。さらに、電気陰性度が高いジシアノメチレンローダニン基を2個有することにより、半導体表面への増感色素分子の吸着安定性が高まり、光電変換素子作製過程や長時間使用時において半導体表面からの色素の脱離が起こりにくくなった結果、光電変換効率や耐久性が向上できる。すなわち、本発明に係る光電変換素子は、光電変換効率及び耐久性に優れる。
<太陽電池>
本発明に係る光電変換素子は、太陽電池に特に好適に使用することができる。したがって、本発明は、上述の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池をも提供する。
本発明に係る光電変換素子は、色素増感型の太陽電池(セル)として用いられうる。すなわち、本発明に係る太陽電池は、例えばインターコネクタにより電気的に接続された複数の太陽電池セル(本発明に係る光電変換素子)と、それを挟持する一対の保護部材と、一対の保護部材と複数の太陽電池との間の隙間に充填された封止樹脂とを有する。一対の保護部材のうちの一方は、前述の光電変換素子の基体となる。一対の保護部材は両方が透明であってもよいし、一方のみが透明であってもよい。
本発明に係る太陽電池の構造の例には、Z型モジュール、W型モジュールが含まれる。Z型モジュールは、対向する一対の保護部材のうち、一方の保護部材に複数の色素を担持した多孔質な半導体層を、他方の基体に複数の正孔輸送層を形成し、これらを貼り合わせた構造を有する。W型モジュールは、保護部材のそれぞれに一つおきに色素を担持した多孔質な半導体層および正孔輸送層の積層体を形成し、セルが互い違いとなるように貼り合わせた構造を有する。
本発明に係る太陽電池に、太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に担持された増感色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体および外部負荷を経由して第二電極に移動して、正孔輸送層の正孔輸送性材料に供給される。一方、半導体に電子を移動させた増感色素は酸化体となっているが、第二電極から正孔輸送層の重合体を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に正孔輸送層の重合体は酸化されて、再び第二電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、特記しない限り、「%」は「重量%」を意味し、下記各操作は室温(25℃)で行われる。
[合成例1:化合物1の合成]
化合物1を下記スキームにより合成した。
Figure 2014229436
ローダニン1当量、マロノニトリル1当量、酢酸ナトリウム1当量およびエタノールを混合し、12時間加熱還流した。室温に戻して析出した固体を濾過し、水洗、次いでエタノールで洗浄した。エタノールより再結晶精製し、化合物Aを得た。
1当量の4−オクチルアニリンおよび2.5当量のヨードベンゼンのトルエン溶液に、0.1当量の酢酸パラジウム、および0.2当量のトリ−t−ブチルホスフィン、5当量のt−ブトキシナトリウムを添加した。80℃で12時間撹拌させた後、反応液に水を添加した。反応液を酢酸エチルで抽出し、水で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた抽出液の溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Bを得た。
0℃のDMFにオキシ塩化リン3当量を滴下し、1時間撹拌した後、1当量の化合物BのDMF溶液を加え90℃で8時間撹拌した。0℃に冷却し、激しく撹拌した状態で過剰量の冷水を加えた後に20℃とし、更に2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Cを得た。
上述の化合物C:1当量、化合物A:2.5当量およびエタノールを混合して20重量%水酸化ナトリウム水溶液を2滴添加し、12時間加熱還流した。反応液に水を加え、次いで酢酸エチルで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、析出した固体をクロロホルム、次いでメタノールで洗浄して、化合物1を得た。
化合物1の構造は、核磁気共鳴スペクトルおよびマススペクトルにより確認した。
[合成例2:化合物4の合成]
化合物4を下記スキームにより合成した。
Figure 2014229436
トリフェニルアミンのトルエン溶液に、1.1当量のオキシ塩化リン、1.2当量のDMFを加え、60℃で1時間攪拌した。反応液に冷水を加え、室温(25℃)にて1時間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理し、化合物Dを得た。
化合物Dを、1.2当量のジエチルフェニル−(3,4−ジメチルフェニル)メチルホスホネート、1.3当量のナトリウムメトキサイドのDMF溶液に加え、120℃で1時間攪拌した。反応液に水を加えた後に、酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理し、化合物Eを得た。
0℃のDMFに塩化ホスホリル3当量を滴下した後、室温で30分攪拌した。そこに化合物EのDMF溶液を滴下し、100℃で5時間攪拌した。反応液に冷水を加え、室温にて1時間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレータで濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理し化合物Fを得た。
化合物F:1当量、合成例1で得られた化合物A:2.5当量およびエタノールを混合して20重量%水酸化ナトリウム水溶液を2滴添加し、12時間加熱還流した。反応液に水を加え、次いで酢酸エチルで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、析出した固体をクロロホルム、次いでメタノールで洗浄して、化合物4を得た。
化合物4の構造は、核磁気共鳴スペクトルおよびマススペクトルにより確認した。
[合成例3:化合物6の合成]
化合物6を下記スキームにより合成した。
Figure 2014229436
1当量の4−オクタデシルアニリンおよび2.5当量の2−(4−ブロモフェニル)チオフェンンのトルエン溶液に、0.1当量の酢酸パラジウム、および0.2当量のトリ−t−ブチルホスフィン、5当量のt−ブトキシナトリウムを添加した。80℃で12時間撹拌させた後、反応液に水を添加した。反応液を酢酸エチルで抽出し、水で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた抽出液の溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Gを得た。
化合物Gのクロロホルム溶液に、2.2当量のオキシ塩化リン、2.4当量のDMFを加え、70℃で4時間加熱還流した。反応液に冷水を加え、室温にて1時間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Hを得た。
上述の化合物H:1当量、合成例1で得られた化合物A:2.5当量およびエタノールを混合して20%水酸化ナトリウム水溶液を2滴添加し、12時間加熱還流した。反応液に水を加え、次いで酢酸エチルで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、析出した固体をクロロホルム、次いでメタノールで洗浄して化合物6を得た。
化合物6の構造は、核磁気共鳴スペクトルおよびマススペクトルにより確認した。
[合成例4:化合物14の合成]
化合物14を下記スキームにより合成した。
Figure 2014229436
1当量の4−ヘキシルオキシアニリンおよび2.5当量の2−(4−ブロモフェニル)チオフェンンのトルエン溶液に、0.1当量の酢酸パラジウム、および0.2当量のトリ−t−ブチルホスフィン、5当量のt−ブトキシナトリウムを添加した。80℃で12時間撹拌させた後、反応液に水を添加した。反応液を酢酸エチルで抽出し、水で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた抽出液の溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Iを得た。
化合物IのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を0℃に冷却し、2.2当量のN−ブロモスクシンイミド(NBS)を加え30分撹拌した後、室温(25℃)にて1時間撹拌した。反応液に水を添加した後に酢酸エチルで抽出し、水で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Jを得た。
得られた化合物JのDMF溶液に2.5当量の3−ヘキシルチオフェン−2−ボロン酸ピナコールエステル、5当量のt−ブトキシカリウム、0.1当量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを加え、80℃で4時間撹拌した。反応液をセライト濾過後、水を添加し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Kを得た。
化合物Kのクロロホルム溶液に、2.2当量のオキシ塩化リン、2.4当量のDMFを加え、70℃で4時間加熱還流した。反応液に冷水を加え、室温にて1時間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物Lを得た。
上述の化合物L:1当量、合成例1で得られた化合物A:2.5当量およびエタノールを混合して20%水酸化ナトリウム水溶液を2滴添加し、12時間加熱還流した。反応液に水を加え、次いで酢酸エチルで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、析出した固体をクロロホルム、次いでメタノールで洗浄して化合物14を得た。
化合物14の構造は、核磁気共鳴スペクトルおよびマススペクトルにより確認した。
なお、下記実施例で使用される化合物7、10、12、16、17、19、22及び24は、上記合成例1〜4を参照して、芳香族求電子置換反応、芳香族求核置換反応、カップリング反応、およびメタセシス反応等を適宜組み合わせることによって合成した。または、上記化合物の合成にあたっては、特開平7−5706号公報、特開平7−5709号公報等を参照して合成してもよい。
[実施例1]
<バリア層の形成>
ガラス基板上に、第一電極として、シート抵抗20Ω/□のフッ素ドープ酸化スズ(FTO)をスパッタリングして透明導電層(FTO)を形成し、導電性ガラス基板(第一電極)を得た。導電性ガラス基板(第一電極)の厚みは1.1mmであった。得られた導電性ガラス基板の透明導電層(FTO)上に、テトラキスイソポロポキシチタン 1.2mlと、アセチルアセトン 0.8mlとをエタノール 18mlに希釈した溶液を滴下して、スピンコート法により塗布した後、450℃で8分間加熱した。それにより、透明導電膜(FTO)上に、厚み50nmの酸化チタンの薄層からなるバリア層を形成した。
<多孔質層の形成>
上記バリア層上に、酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径(顕微鏡観察平均)18nm、エチルセルロースを10%アセチルアセトン水に分散)を、スクリーン印刷法(塗布面積:49mm)により塗布した。得られた塗膜を、200℃で10分間、および500℃で15分間焼成して、厚さが3μmで空隙率が60体積%の酸化チタンの多孔質層(多孔質の半導体層)を得た。
<多孔質層への色素吸着>
本発明の化合物1(増感色素)をテトラヒドロフラン(THF):アセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1:1(体積比)の混合溶媒に溶解し、5×10−4mol/lの溶液を調製した。上記酸化チタンを塗布焼結したFTOガラス基板を、この溶液に室温(25℃)で3時間浸漬して色素の吸着処理を行い、半導体電極(半導体層1m当たりの増感色素の総担持量=0.65ミリモル)を得た。
<正孔輸送層及び対極の形成>
電荷輸送層(電解液)にはヨウ化1−メチル−3−ブチルイミダゾリウム0.6mol/l、グアニジンチオシアネート0.1mol/l、ヨウ素0.05mol/l、4−(t−ブチル)ピリジン0.5mol/lを含むアセトニトリル:バレロニトリル=85:15の溶液を用いた。対極に白金およびクロムを蒸着したガラス板を用い、先に作製した半導体電極および電荷輸送層とクランプセルで組み立てることにより光電変換素子1を作製した。
[実施例2〜10]
増感色素として、表1中の化合物を用いたことを除いては、実施例1と同様にして光電変換素子2〜10を作製した。
[比較例1、2]
増感色素として、下記化合物A、Bを用いたことを除いては、実施例1と同様にして光電変換素子R1,R2を作製した。
Figure 2014229436
(光電変換素子の評価)
得られた各光電変換素子1〜10、R1,R2について下記の評価を行った。
(光電変換効率の測定)
作製した光電変換素子を、ソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用い、AMフィルタ(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cmの擬似太陽光を照射することにより行った。半導体層上に5×5mmのマスクをかけた条件下で光電変換特性の測定を行った。即ち、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び形状因子(FF)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。なお、光電変換素子の光電変換効率(η(%))は下記式(I)に基づいて算出した。
Figure 2014229436
ここで、Pは入射光強度[mW・cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、FFは形状因子を示す。
(耐久性評価)
上記により光電変換効率を測定した光電変換素子を60℃の環境下で10日間保存した後に、上記と同様に電流−電圧特性を測定し、保存後の短絡電流密度(Jsc’)、開放電圧(Voc’)、光電変換効率(η’(%))を求め、下記式(II)により耐久率を求めた。
Figure 2014229436
前記光電変換素子の評価結果を下記表1に記す。
Figure 2014229436
上記表1の結果から、本発明の光電変換素子1〜10は、ジシアノメチレンローダニン基を持たない光電変換素子R1及びジシアノメチレンローダニン基を1個有する光電変換素子R2に比して、初期の高い光電変換効率及び耐久性を発揮することが示される。
[実施例11]
実施例1と同様にして、バリア層の形成、多孔質層の形成、色素吸着までを行い、半導体電極を得た。
<正孔輸送層及び対極の形成>
前記半導体電極を、導電性高分子前駆体として2,2’−ビス−3,4−エチレンジオキシチオフェン(H2−1)を1×10−3(モル/l)、Li[(CFSON]を0.1(モル/l)の割合でアセトニトリルに溶解した溶液(電解重合溶液)に浸漬した。作用極を前記半導体電極、対極を白金線、参照電極をAg/Ag(AgNO 0.01M)、保持電圧を−0.25Vとした。半導体層方向から光を照射しながら(キセノンランプ使用、光強度22mW/cm、430nm以下の波長をカット)30分間電圧を保持して、正孔輸送層を前記半導体電極表面に形成した。この条件で、光を照射したところ、600〜1100nmに新たな吸収が現れ、導電性高分子前駆体が重合していることを確認した。重合により正孔輸送層が形成された半導体電極をアセトニトリルで洗浄した後、乾燥させた。得られた正孔輸送層は、溶媒には不溶の重合膜であった。
次いで、正孔輸送層が形成された半導体電極(半導体電極/正孔輸送層)を、Li[(CFSON]を15×10−3(モル/l)、tert−ブチルピリジンを50×10−3(モル/l)の割合で含有するクロロベンゼン:アセトニトリル=19:1(体積比)溶液に30分間浸漬させた。得られた半導体電極/正孔輸送層を自然乾燥させた後、さらに真空蒸着法で金を60nm蒸着して、第二電極(対極)を形成した。以上の工程により光電変換素子11を作製した。
[実施例12〜20]
増感色素として、表2中の化合物を用いたことを除いては、実施例11と同様にして光電変換素子12〜20を作製した。
[比較例3、4]
増感色素として、下記化合物B、Cを用いたことを除いては、実施例11と同様にして光電変換素子R3,R4を作製した。
Figure 2014229436
その際、光電変換素子R3、4の作製において、正孔輸送層が形成された半導体電極(半導体電極/正孔輸送層)を、Li[(CFSON]を15×10−3(モル/l)、tert−ブチルピリジンを50×10−3(モル/l)の割合で含有するクロロベンゼン:アセトニトリル=19:1(体積比)の溶液に20分間浸漬させたところ、溶液への色素の溶出が観察された。
(光電変換素子の評価)
実施例11〜20で得られた各光電変換素子11〜20、および比較例3及び4で得られたR3,R4について下記の評価を行った。
(光電変換効率の測定)
作製した光電変換素子について、実施例1〜10と同様にして光電変換特性の測定を行い、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び形状因子(FF)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。
(耐久性評価)
以下に示す方法で耐久性を評価した。
上記により光電変換効率を測定した光電変換素子を短絡させた上で、100mW/cmの擬似太陽光を300時間照射した後に、上記と同様に電流−電圧特性を測定し、光劣化後の短絡電流密度(Jsc’)、開放電圧(Voc’)、光電変換効率(η’(%))を求め、下記式(III)により耐久率を求めた。
Figure 2014229436
前記光電変換素子の評価結果を下記表2に記す。
Figure 2014229436
上記表2の結果から、本発明の光電変換素子11〜20は、ジシアノメチレンローダニン基を1個有する光電変換素子R3及びR4に比して、初期の高い光電変換効率及び耐久性を発揮することが示される。
1 基板、
2 第一電極、
3 バリヤ層、
4 増感色素、
5 半導体、
6 光電変換層、
7 正孔輸送層、
8 第二電極、
9 太陽光の入射方向、
10 光電変換素子。

Claims (3)

  1. 基体、第一電極、半導体および増感色素を含有する光電変換層、電荷輸送層、ならびに第二電極を有する光電変換素子において、
    前記増感色素は、下記化学式(1):
    Figure 2014229436
    式中、Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香基もしくは置換基を有していてもよい2価の複素環基またはこれらの組み合わせを表わし、この際、RおよびAr〜ArのいずれかまたはArおよびArまたはArは、互いに結合して環構造を形成していてもよく;
    およびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基、置換基を有していてもよい複素環基、または前記芳香族基及び複素環基との組み合わせを表わし;
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜24の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜24の1価の芳香族基、または置換基を有していてもよい複素環基を表わし;
    lおよびl’は、それぞれ独立して、0または1であり;
    mは、0または1であり;
    nおよびn’は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり;
    pおよびp’は、それぞれ独立して、0または1であり;ならびに
    炭素−炭素二重結合は、シス体またはトランス体のいずれであってもよい、
    で表される、光電変換素子。
  2. 前記半導体は、酸化チタンである、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 請求項1または2に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
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