JP2014228728A - 反射防止膜付基材およびその製造方法 - Google Patents

反射防止膜付基材およびその製造方法 Download PDF

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夕子 箱嶋
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Abstract

【課題】撥水性に優れるとともに反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜付基材を提供する。
【解決手段】樹脂基材、および該基材上に形成された反射防止膜からなり、
該反射防止膜の水との接触角が130〜180°の範囲にあり、反射率(Rf)が2%以下であり、ヘーズが10%以下であるこ反射防止膜付基材。前記反射防止膜が、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んでなり、反射防止膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、撥水性に優れるとともに反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜付基材およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、膜の下部から上部になるに従って屈折率が徐々に低下しているために、撥水性に優れるとともに反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜付基材およびその製造方法に関する。
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するため、基材表面に反射防止膜を形成することが知られており、たとえば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウムのような低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成したり、シリカ微粒子等の低屈折率微粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止被膜を形成する方法が知られている(たとえば、特許文献1:特開平7-133105号公報など参照)。このとき、反射防止性能を高めるために反射防止被膜の下層に高屈折率の微粒子等を含む高屈折率膜を形成することも知られている。
さらに、前記表示装置等では、防弦性(アンチグレア性ということがある)を付与するために表面に凹凸を形成することも知られている。(特許文献2:特開2002−169001号公報、特許文献3:特開2002−71904号公報、特許文献4:特開2001−281411号公報、特許文献5:特開2001−34350号公報)
一方、一般に固体表面がフラクタル構造を有している場合、固体表面が親水的な場合には親水性が向上して超親水性を示し、逆に固体表面が疎水的な場合には撥水性が向上して超撥水性を示すことが知られている。
特許文献6(特開2005−343016号公報)には、基材表面に超撥水性被膜を被覆した超撥水性被膜被覆物品において、超撥水性被膜が微粒子集合体からなる突起体及び撥水性膜を備えた、被膜の被覆領域において、突起体が存在する部分と存在しない部分とが混在し、かつ、突起体が存在する部分の被膜表面に突起体による凹凸が形成されている超撥水性被膜被覆物品が開示されている。
具体的には、三次元に結合したコロイダルシリカとアルキルアルコキシシランとフッ素を含有するアルキルアルコキシシランを混合し、撥水材料と珪素酸化物微粒子との共加水分解・縮重合物を調製し、これを撥水処理用分散液として用い、フローコート法にて塗布し、自然乾燥して超撥水処理ガラス基板を調製している。
また、特許文献7(WO2003/039856号公報)には、基体と、基体の表面に形成された微小凹凸を有する下地膜と、下地膜の微小凹凸上に形成された撥水性皮膜とを含む超撥水性基体であって、撥水性皮膜の表面形状が、粒子状突起物と、粒子状突起物よりも基板の表面から測定した高さが高い柱状突起物とにより構成された超撥水性基体が開示されている。
特許文献8(特開2004−137137号公報)には、表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された物品であって、微小凹凸は、微小突起および柱状突起により構成されていることを特徴とする皮膜被覆物品が開示されている。その製造方法として、クロルシリル基含有化合物を、シリコン油を主成分とする溶媒に溶解した塗布溶液を塗布することで、かかる構造を有する皮膜が形成できる旨開示されている。
特許文献9(特開平8−40748号公報)には、ガラス基板と、基板の表面に、表面処理することなく成膜した状態でマイクロピット状表層、凹凸状表層、凸状表層のうち少なくとも1種以上の表層形状を呈している酸化物薄膜あるいは混合酸化物薄膜で成る下地層と、該下地層の上に、少なくともフルオロアルキルシランと、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫の粒子と、シリコーン化合物と、水と、有機溶媒からなる混合溶液に、酸をフルオロアルキルシラン1molに対して5×10-4 mol 〜2×10-2 molになるよう添加した撥水撥油液を塗布成膜した薄膜である撥水層とからなることを特徴とする撥水性ガラスが開示されている。
特開平7−133105号公報 特開2002−169001号公報 特開2002−71904号公報 特開2001−281411号公報 特開2001−34350号公報 特開2005−343016号公報 WO2003/039856号公報 特開2004−137137号公報 特開平8−40748号公報
しかしながら、近年、単に反射防止性能、防眩性能を有しているだけでなく、加えて指紋付着性等の抑制された、さらには耐水性・撥水性に優れた反射防止膜が求められている。従来、これらの性能を併せ持った反射防止膜は得られてなかった。
本発明者らは、柔軟な樹脂フィルム基材表面に、特定の形状の粒子から構成された無機酸化物微粒子層からなる反射防止膜を形成することによって、該膜は超撥水性を示すとともに基材との密着性、耐摩耗性、耐擦傷性等に優れ、しかも反射防止性能に優れていることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明係る反射防止膜付基材は、樹脂基材、および該基材上に形成された反射防止膜からなり、
該反射防止膜の水との接触角が130〜180°、反射率(Rf)が2%以下、ヘーズが10%以下であることを特徴とする。
前記反射防止膜が、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んでなり、反射防止膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にある。
前記反射防止膜が、無機酸化物微粒子層上にオーバーコート層を有する。
前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)が0.1〜10の範囲にある。
前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(TFF)が3〜50nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WFF)が、前記凸部の平均凸部間距離(WF)よりも小さく、3〜50nmの範囲にある。
前記表面処理無機酸化物微粒子が下記式(1)および/または(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物またはその加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されている
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の(メタ)アクリロイル基、アミノ基、メルカプト基で置換されていてもよい炭化水素基(フッ素置換を除く)であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
前記無機酸化物微粒子層が結合材を含んでなる。
本発明によれば、樹脂基材を用い、撥水性に優れるとともに反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜付基材およびその製造方法を提供することができる。
本発明に係る反射防止膜付基材の一態様を示す概略断面図である。 実施例1で調製したアルミナ水和物微粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
[反射防止膜付基材]
本発明に係る反射防止膜付基材は、樹脂基材、および該基材上に形成された反射防止膜からなり、該反射防止膜の水との接触角が130〜180°の範囲にあることを特徴としている。
樹脂基材
本発明に用いる樹脂基材としては、従来公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン、ノルボルネン等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。
反射防止膜
反射防止膜は表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んで構成されている。
(i)無機酸化物微粒子層
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、その形状が板状、繊維状、鎖状であることが好ましい。
板状無機酸化物微粒子としては、板状アルミナ微粒子、板状アルミナ水和物微粒子、板状アルミナ・シリカ微粒子が挙げられる。
板状アルミナ水和物微粒子の場合、多くは、擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al23・nH2O、n=0.5〜2.5)が用いられ、これは結晶性アルミナ水和物微粒子の一種であり、通常一次粒子が板状に配列して二次粒子を形成している。
無機酸化物微粒子の形状が板状である場合は、板状無機酸化物微粒子が面を接しながら積層した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。 板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜30の範囲にあることが好ましい。
板状アルミナ微粒子の平均粒子径(DP)は10〜300nm、さらには30〜250nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径(DP)が前記範囲の下限を超えて小さいものは得ることが困難であり、得られたとしても前記した板状とならず、所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる反射防止膜の撥水性が不十分となる場合があり、併せて反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下しする屈折率の低下が不充分となり、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
平均粒子径(DP)が大きすぎても、最終的に得られる反射防止膜の強度、硬度、基材との密着性が不十分となる場合がある。
また、板状アルミナ微粒子の平均厚み(TP)は1〜60nm、さらには3〜50nmの範囲にあることが好ましい。平均厚み(TP)が薄すぎるものは得ることが困難であり、得られたとしても所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる反射防止膜の撥水性が不十分となる場合があり、併せて反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下しする屈折率の低下が不充分となり、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
平均厚み(TP)が厚すぎると板状構造を取ることは困難で、立方体に近くなり、充分な凹凸を形成できないために最終的に得られる反射防止膜の撥水性、強度、基材との密着性、反射防止性能、防眩性能等が不十分となる場合がある。
前記平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。 平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が前記範囲にあると、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性、反射防止性能、防眩性能等に優れた反射防止膜を得ることができる。
繊維状無機酸化物微粒子としては、繊維状アルミナ微粒子、繊維状アルミナ水和物微粒子、繊維状アルミナ・シリカ微粒子、繊維状シリカ微粒子、繊維状酸化チタン微粒子等が挙げられる。
繊維状アルミナ水和物微粒子の場合も、擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al23・nH2O、n=0.5〜2.5)を用いることが好ましい。 無機酸化物微粒子の形状が繊維状である場合は、繊維状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。そして、これらの微粒子層が、最終的に得られる撥水性被膜の表面に所望の凹凸を形成する。
無機酸化物微粒子の形状が繊維状である場合、繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WFF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WFF)が1.5〜50の範囲にあることが好ましい。繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)はさらには30〜400nmの範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LF)が短いものは、粒子を安定的に再現性よく調製することができない場合があり、得られたとしても繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、また、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
平均長さ(LF)が長すぎると、同様に粒子を安定的に再現性良く調製することができない場合があり、得られたとしても前記した所定の大きさの繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、また、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
平均粒子幅(WF)は、さらには3〜80の範囲にあることが好ましい。
平均粒子幅(WF)が小さいと、粒子を安定的に再現性良く調製することが困難であり、得られたとしても前記した繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となる場合があり、また、反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下する屈折率の低下が不充分となり、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。平均粒子幅(WF)が大きすぎると、繊維状とならず、凹凸を形成できないために最終的に得られる撥水性被膜の撥水性が不十分となり、強度、基材との密着性、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
前記平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)は、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)が前記範囲にあると、所定の繊維形状となるため、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性、反射防止性能、防眩性能等に優れた反射防止膜を得ることができる。
鎖状無機酸化物微粒子としては、鎖状シリカ微粒子、鎖状ジルコニア微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子等が挙げられる。無機酸化物微粒子の形状が鎖状である場合は、前記した繊維状無機酸化物微粒子の場合と同様に鎖状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が凹凸を形成する形で基材上に無機酸化物微粒子層を形成する。そして、これらの微粒子層が、最終的に得られる撥水性被膜の表面に所望の凹凸を形成する。
無機酸化物微粒子の形状が鎖状である場合、鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が3〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が6〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることが好ましい。
鎖状無機酸化物微粒子を構成する一次粒子の平均粒子径(DC)は3〜100nm、さらには5〜80nmの範囲にあることが好ましい。一次粒子の平均粒子径(DC)が前記範囲の下限未満のものは、容易に凝集して鎖状粒子が得られない場合があり、大きすぎると一次粒子が連結しにくく鎖状粒子が得られない場合がある。
鎖状無機酸化物微粒子の平均長さ(LC)は10〜500nm、さらには30〜400nmの範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LC)が短い場合は、鎖状無機酸化物微粒子が交絡した粒子群が小さく、所望の凹凸を形成できないために最終的に得られる反射防止膜の撥水性が不十分となる場合があり、また、反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下する屈折率の低下が不充分となり、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
平均長さ(LC)が長すぎても所定の凹凸を形成できないために最終的に得られる反射防止膜の撥水性が不十分となる場合があり、強度、基材との密着性、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
前記平均長さ(LC)と平均一次粒子径(DC)との比(LC)/(DC)は1.5〜50、さらには4〜40の範囲にあることが好ましい。
平均長さ(LC)と平均一次粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が前記範囲にあると、所定の鎖状形状となるため、所望の凹凸を形成することができ、最終的に撥水性、強度、基材との密着性、反射防止性能、防眩性能等に優れた反射防止膜を得ることができる。
本発明では、粒子形状および大きさが重要となる。本発明で使用される粒子は後述する凹凸を形成できるとともに、凹凸の表面に微細な凹凸が形成されるために、反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下し、さらに表層部の屈折率が低くなり、撥水性に優れるとともに反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜を得ることができる。
本発明で、前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)、平均厚み(TP)、前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WF)、および鎖状無機酸化物微粒子の平均長さ(LC)、平均一次粒子径(DC)は、原料で使用される板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子の数値が対応する。
このような無機酸化物微粒子は、式(1)で表される有機ケイ素化合物および/または式(2)で表される有機ケイ素化合物、またはその加水分解物で表面処理される。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の(メタ)アクリロイル基、アミノ基、メルカプト基で置換されていてもよい炭化水素基(フッ素置換を除く)であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、パ−フルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パ−フルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルトリフルオロプロピルシラン、ペンタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシランなどが挙げられる。
また式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメイtルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
本発明では、表面処理に式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を使用する場合、結合材を使用する必要はなく、またオーバーコート層を形成する必要は必ずもない。また、式(1)で表される有機ケイ素化合物と、式(2)で表される有機ケイ素化合物を併用してもよい。
このとき、式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物のn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物、またはn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物とn=1(3官能)の加水分解性有機ケイ素化合物との混合物を用いると、基材との密着性、強度、硬度等に優れ、後述するオーバーコート層がとの結合性も増し、最終的に強度、硬度、撥水性、反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜付基材を得ることができる。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物での表面処理量は、無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜200重量部、さらには5〜100重量部の範囲にあることが好ましい。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物で表面処理量が前記範囲にあると、分散性が高く、結合材との結合が促進され、最終的に強度、硬度、ヘーズ、反射防止性能、防眩性能等に優れた撥水性を有する反射防止膜付基材を得ることができる。
表面処理無機酸化物微粒子層には結合材が含まれていることが好ましい。
(ii)結合材
反射防止膜は、前記表面処理無機酸化物微粒子を結合し、基材との密着性、強度、硬度を向上させる目的で、結合材を含んでいることが好ましい。
式(2)で表される有機ケイ素化合物で表面処理された場合、結合材を含ませると、密着性や強度を高めることができるので、望ましい。なお、式(1)の有機ケイ素化合物で表面処理されたものに結合材を含ませることを除外するものでない。
結合材としては、シリカが望ましく、さらには、シリカゾル、酸性珪酸酸液、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシリカが好適である。
なかでも、下記式(3)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であるシリカ結合材が好ましい。
n-SiX4-n (3)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜1の整数)
ここで、加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
なかでも、n=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物、またはn=0(4官能)の加水分解性有機ケイ素化合物とn=1(3官能)の加水分解性有機ケイ素化合物との混合物を用いると、基材との密着性、強度、硬度等に優れ、後述するフッ素含有シリカ系層からなるオーバーコート層との結合性も増し、最終的に強度、硬度、撥水性に優れた反射防止膜付基材を得ることができる。
結合材の含有量は無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子を酸化物換算し100重量部に対し、結合材を酸化物に換算して1〜200重量部、さらには10〜190重量部の範囲にあることが好ましい。
結合材の含有量が少ないと、無機酸化物微粒子層と基材との密着性、強度、硬度等が不充分となる場合がある。シリカ結合材の含有量が多すぎても、無機酸化物微粒子層表面の凹凸が小さくなる場合があり、最終的に得られる反射防止膜の撥水性が不充分となる場合があり、また、反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下する屈折率の低下が不充分となり、反射防止性能、防眩性能が不充分となる場合がある。
(iii)オーバーコート層
前記無期酸化物微粒子層上にはオーバーコート層が形成されている。
特に、前記した無機酸化物微粒子の表面処理に式(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を用いてない場合は、オーバーコート層の形成が必須である。
このようなオーバーコート層としては、無機酸化物微粒子層と結合し、撥水性を向上できれば特に制限はないが、本発明では、下記式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であるフッ素含有シリカ系層が好ましい。
n-SiX4-n (4)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
ここで、加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、前記した式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物と同じ化合物が挙げられる。
前記フッ素含有シリカ系層が、さらに下記式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物を含んでいてもよい。
SiX4 (5)
(但し、式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)
ここで、加水分解重縮合物とは、後述する製造工程で、加水分解性有機ケイ素化合物、これらの部分加水分解物、加水分解物であったものが加熱処理によって重縮合したものであることを意味している。
式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン等およびこれらの混合物が挙げられる。
なお、上記以外に、Xとして炭素数が5以上のアルコキシ基を有する加水分解性有機ケイ素化合物を併用することもできる。
式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物が混合して含まれている場合、式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物のRn-SiO(4-n)/2の100重量部に対して、式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物をSiO2として200重量部以下、さらには1〜100重量部の範囲で含んでいることが望ましい。式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物の含有量が前記範囲にあると、反射防止膜の撥水性を低下することなく強度、硬度等に優れた反射防止膜付基材を得ることができる。
オーバーコート層は前記無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子100重量部に対し、酸化物換算(Rn-SiO(4-n)/2)で1〜100重量部、さらには2〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層の含有量が少ないと、一部、オーバーコート層が形成されていない塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合があり、また、オーバーコート層の含有量が多すぎても、後述する反射防止膜表面の凹凸の凸部間距離(WF)が小さくなり、撥水性はむしろ低下する場合があり、また、反射防止膜の強度、硬度が不十分となる場合がある。
ハードコート層
本発明では、前記した基材と無機酸化物微粒子層との間にハードコート層を有することが望ましい。これによって、無機酸化物微粒子層の密着性をより高めることが可能となるとともに、硬度、耐擦傷性に優れた反射防止膜付基材を得ることができる。
ハードコート層としては、無機酸化物微粒子層、さらには反射防止膜の密着性を向上でき、ハードコート性(硬度、耐擦傷性)を向上できれば特に制限はないが、従来公知の有機樹脂あるいは無機酸化物からなる膜、さらにはこれらにシリカ微粒子等の無機酸化物微粒子を配合した膜を形成することができる。
さらには、本願出願人の出願による特開2005−186435号公報に開示した鎖状の五酸化アンチモン粒子、本願出願人の出願による特開2009−83224号公報等に開示した球状係数が特定反にあるシリカを主成分とする金属酸化物粒子を配合したハードコート層も好適に採用することができる。
形成方法は、基材との密着性、耐擦傷性等を向上できれば特に制限はなく、有機樹脂成分あるいは無機酸化物成分と前記した粒子を含む塗布液をバーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等周知の方法で、基材上に塗布し、乾燥し、ついで加熱処理、電子線照射などによって硬化させることによって形成することができる。
ハードコート層は、ハードコート層の厚さが0.5〜20μm、さらには1.0〜15μmの範囲にあるように形成されることが好ましい。
ハードコート層が薄いと前記ハードコート性を向上させる効果が不充分となる場合がある。ハードコート層が厚すぎても、さらにハードコート性が向上することもなく、クラックが発生して硬度が低下したり、不十分となる場合がある。
中間膜
本発明では、前記した基材または基材上のハードコート層と無機酸化物微粒子層との間に高屈折率微粒子および/または導電性微粒子を含む中間膜を有することが望ましい。これによって、反射防止膜の反射防止性能をより高めたり、帯電防止性能を付与することができる。
高屈折率微粒子としては、TiO2、ZrO2、ZnO、Sb25、ZnO2、SnO2、In23等およびこれらの複合酸化物微粒子、混合物等が挙げられる。
また、導電性微粒子としては上記Sb25、ZnO2、SnO2、In23等の他アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、Fドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫(PTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の高屈折率の導電性微粒子が挙げられる。
中間膜の屈折率(nM)は反射防止膜の屈折率(nR)より高く、屈折率差(nM)−屈折率(nR)が0.01〜0.5、さらには0.02〜0.3の範囲にあることが好ましい。
また、中間膜の厚さは概ね、10〜300nm、さらには30〜200nmの範囲にあることが好ましい。
凹凸構造
本発明に係る反射防止膜付基材は、表面が凹凸構造を有する。
該凹凸構造は、凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(ピッチ幅)、水との接触角で定義される。
該凹凸構造の凸部の平均高さ(TF)が30〜500nm、さらには50〜400nmの範囲にあることが好ましい。凸部の平均高さ(TF)が小さいと、反射防止膜の撥水性が不十分となる場合があり、併せて前記した屈折率の低下が小さくなり、反射防止性能が不充分となる場合がある。
凸部の平均高さ(TF)が大きすぎると、反射防止膜の強度が不十分となる場合がある。
また、平均凸部間距離(ピッチ幅ということがある)(WF)は50〜1000nm、さらには70〜800nmの範囲にあることが好ましい。平均凸部間距離(WF)が短いと、反射防止膜の撥水性が不十分となる場合がある。平均凸部間距離(WF)が大きすぎても、反射防止膜の撥水性が不十分となる場合がある。
前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)(アスペクト比ということがある)は0.1〜10、さらには0.2〜5の範囲にあることが好ましい。(TF)/(WF)が小さい場合は、表面の凹凸構造の凸部の高さが不十分であるため、反射防止膜の撥水性が不十分となる場合がある。
(TF)/(WF)が大きすぎると無機酸化物微粒子を配列することが困難で、例え無機酸化物微粒子が配列できたとしても、反射防止膜の強度、硬度が不十分となる場合がある。
本発明では、前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は反射防止膜の断面の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、50個の凸部の高さ、ピッチ間距離を測定し、その平均値とした。
前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、無機酸化物微粒子の大きさおよび形状、すなわち、板状無機酸化物微粒子では平均粒子径(DP)、平均厚み(TP)、繊維状無機酸化物微粒子では平均長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)、鎖状無機酸化物微粒子では平均長さ(LC)、平均一次粒子径(DC)を選択するとともに、後述する透明被膜付基材の製造方法に於ける無機酸化物微粒子分散液の濃度、塗布方法等に調整される。具体的には、平均粒子径(DP)、平均長さ(LF)、平均長さ(LC)の大きい場合、平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にあり、また、無機酸化物微粒子分散液の濃度が高い場合平均高さ(TF)が高くなる傾向にあり、濃度が低い場合平均凸部間距離(WF)が大きくなる傾向にある。
本発明の反射防止膜表面の凸部は、凸部表面にさらに微細な凹凸を有している。
これを図1にモデル図で示す。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)は3〜50nm、さらには3〜45nmの範囲にあることが好ましい。
本発明では、前記凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)は、原子間力顕微鏡(AFM)(Bruker(株)製:Dimension 3100)により測定した。
微細凹凸の凸部の平均高さ(TFF)が前記範囲にあると、より撥水性に優れるとともに、反射防止膜の屈折率が下部から上部になるに従って徐々に低下し、かつ、表層がより屈折率が低下し、反射防止性能、防眩性能に優れた反射防止膜付基材が得られる。
また、微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が3〜50nm、さらには3〜45nmの範囲にあることが好ましい。
微細凹凸の凸部の平均凸部間距離(WFF)が前記範囲にあると、前記平均高さ(TFF)が所定範囲にある場合と同様に、より撥水性および反射防止性能に優れた反射防止膜付基材が得られる。
このような、微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)は、前記した平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)測定時に測定することができ、任意の凸部5個について、凸部を指定して拡大すると微細凹凸の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)を測定することができる。
つぎに、反射防止膜は水との接触角が130〜180°、さらには145〜180°の範囲にあることが好ましい。
反射防止膜の水との接触角が前記範囲にあれば、水滴が反射防止膜上に付着することなく水を弾くような撥水性反射防止膜を得ることができる。
これは、特定の表面処理無機酸化物微粒子から形成した前記凹凸構造による特性である。接触角を前記範囲で調整するには、前記した方法で凸部の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)を所定範囲に調整すればよいが、加えてアスペクト比(TF)/(WF)を所定の0.1〜10の範囲、特に1〜5の範囲にすることが好ましい。
このような凹凸構造は、前記した繊維状、板状、鎖状粒子を表面処理して、微粒子層を形成することによって形成できる。したがって、凹凸構造は、粒子形状や表面処理量やその種類によって、調整できる。
本発明に係る反射防止膜付基材は、反射率(Rf)が2%以下、さらには1.5%以下であることが好ましい。反射率(Rf)が2%を超えると、反射防止性能が不充分となり、表示装置に用いた場合などにコントラストが低下したり、映り込みが起こる場合がある。
また、ヘーズが10%以下、さらには7%以下、特に4%以下であることが好ましい。ヘーズが10%を超えると、透明性が不充分となり、コントラストが低下したり、表示画面が白味を帯びる場合がある。
つぎに、本発明に係る反射防止膜付基材の製造方法について説明する。
[反射防止膜付基材の製造方法]
以上の本発明の反射防止膜付基材は、樹脂基材表面に、前記無機酸化物微粒子を含む分散液を、塗布乾燥して反射防止膜を形成することで製造される。
あらかじめ、樹脂基材表面にハードコート層を形成しておいてもよい。
ハードコート層形成用塗布液としては、無機酸化物微粒子層、さらには反射防止膜の密着性、ハードコート性(硬度、耐擦傷性)を向上できれば特に制限はなく、前記したハードコート層を形成しうる成分を含む塗布液を用いることができる。
ハードコート層形成用塗布液の塗布量は、塗布液の濃度によっても異なるが、前記したようにハードコート層の膜厚が0.5〜20μm、さらには1.0〜15μmとなるように塗布することが好ましい。
ハードコート層が薄いと前記ハードコート性を向上させる効果が不充分となる場合がある。ハードコート層が厚すぎても、さらにハードコート性が向上することもなく、クラックが発生して硬度が低下したり、不十分となる場合がある。
塗布方法としては、後述するの表面処理無機酸化物微粒子分散液の塗布方法と同様にバーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
ハードコート層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、ハードコート層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃である。
また、基材上に、ハードコート層形成する前あるいは形成した後、中間膜を形成することが好ましい。
中間膜は中間膜形成用塗布液を塗布し、乾燥して中間膜を形成する。
このような中間膜形成用塗布液としては、このような中間膜形成用塗布液としては、有機樹脂または無機酸化物からなるマトリックス形成成分に、前記無機酸化物微粒子層よりも中間膜の屈折率が高くなるように屈折率の高い金属酸化物微粒子を配合した塗布液が用いられる。屈折率の高い金属酸化物微粒子としては、TiO2、ZrO2、Sb25、B23、ZnO、SnO2、In23等およびこれらの複合酸化物、あるいはアンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、Fドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫(PTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性を有する高屈折率の粒子が挙げられる。
中間膜形成用塗布液の塗布量は、塗布液の濃度によっても異なるが、前記したように中間膜の膜厚が10〜300nm、さらには30〜200nmとなるように塗布することが好ましい。
中間膜が薄いと前記反射防止性能、帯電防止性能を向上させる効果が不充分となる場合がある。中間膜が厚すぎても、さらに反射防止性能が向上することもなく、透明性が低下したり、クラックが発生して硬度が低下したり、不十分となる場合がある。
塗布方法としては、本発明で採用される表面処理無機酸化物微粒子分散液の塗布方法と同様にバーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
中間膜形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、中間膜形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃である。
こうして、必要に応じて、ハードコート層、中間膜が形成された基板上にに、無機酸化物微粒子層を形成する。
無機酸化物微粒子層の形成
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、前記した板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子が用いられ、さらには、前記式(1)ないし(2)の有機ケイ素化合物で表面処理されたものが好ましく用いられる。
本発明で用いる板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子において、好適に用いられる繊維状、板状のアルミナ水和物微粒子の製造方法を例示する。
アルミナ水和物微粒子の調製法
本発明に用いるアルミナ水和物微粒子の製造方法としては、前記したアルミナ水和物微粒子が得られれば特に制限はないが、以下の方法が例示される。
まず、繊維状アルミナ水和物微粒子の基本的製造方法を例示する。
(1)アルミニウム塩水溶液にアルカリ水溶液を加えて中和してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法、
(2)上記熟成後にアルカリ水溶液を加え、必要に応じて熟成し、ついで、アルミニウム塩水溶液を加え、必要に応じて熟成する方法、
(3)上記(2)を繰り返し行う方法。
あるいは、同様に
(4)アルミン酸ソーダ水溶液に酸水溶液を加えて中和してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法、
(5)上記熟成後に酸水溶液を加え、必要に応じて熟成し、ついで、アルミン酸ソーダ水溶液を加え、必要に応じて熟成する方法、
(6)上記(5)を繰り返し行う方法。
さらに、
(7)アルミニウム塩水溶液とアルミン酸ソーダ水溶液とを混合してアルミニウムヒドロゲルスラリーを調製し、必要に応じて熟成する方法。この場合
(8)前記(2)あるいは(5)を行い、必要に応じてこれを繰り返す方法、を行っても良い。
本発明では、前記方法で得られたアルミニウムヒドロゲルスラリーを洗浄して用いるが、洗浄して得られた微粒子を本発明に用いるアルミナ水和物微粒子とする。
洗浄方法としては、濾過して、掛け水する方法、限外濾過法、さらには陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂等でカチオン、アニオンを除去する方法、これらを併用する方法、繰り返し行う方法が挙げられる。
上記において、アルミニウム塩水溶液としては塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等の有機酸アルミニウム塩等の水溶液が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア等の水溶液が挙げられる。その他、クエン酸、りんご酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸等の従来公知の粒子成長調整剤を配合して用いることができる。
以上のようにして本発明に用いることのできる繊維状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。繊維状アルミナ微粒子(二次粒子)の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WF)は、使用原料、中和条件、熟成条件、その際の濃度、洗浄条件、有機カルボン酸等の粒子成長調整剤の使用等周知の方法で調整することができる。
つぎに、板状アルミナ水和物微粒子の基本的製造方法を例示する。
第1の例は、繊維状アルミナ水和物微粒子を調製した場合と同様にアルミナヒドロゲルスラリーを調製するが、このとき、酸性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製し、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性にし、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性にし、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製する。
あるいは、アルカリ性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製した場合は、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性にし、ついで、必要に応じて加温下で塩基性化合物を加えてアルカリ性にし、ついで、必要に応じて加温下で酸性化合物を加えて酸性のアルミナヒドロゲルスラリーを調製する。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリーを従来公知の方法で洗浄することによって板状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。
これとは別の第2の例は、アルミン酸ナトリウム水溶液に、必要に応じて加温下で、酸性化合物を加えてアルカリ性領域のアルミナヒドロゲルスラリーを調製し、加温下で熟成することによって一次粒子がほぼ正方形の板状のアルミナ水和物微粒子を調製することができる。ついで、従来公知の方法で充分に洗浄した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAOH)等の有機塩基を加え、オートクレーブ等を用いて高温下、水熱処理し、ついで、洗浄して有機塩基を除去することによって、本発明に好適に用いることのできる板状アルミナ水和物微粒子を調製することができる。
本発明で使用される表面処理無機酸化物微粒子は、前記した板状、繊維状、鎖状の無機酸化物微粒子が、前記したような加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されている。
無機酸化物微粒子の加水分解性有機ケイ素化合物での表面処理量は、無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜200重量部、さらには5〜100重量部の範囲にあることが好ましい。
表面処理方法は、例えば、前記無機酸化物微粒子水分散液を限外濾過膜法でメタノール等のアルコールに溶媒置換し、前記加水分解性有機ケイ素化合物を所定量混合し、必要に応じて加水分解用の水、加水分解用触媒として酸あるいはアルカリを添加し、必要に応じて熟成する方法等が挙げられる。
分散媒
表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プルピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等極性溶媒が挙げられる。さらに、N−メチルピロリドン等の極性溶媒を用いることもでき、これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度は固形分として0.1〜20重量%、さらには0.5〜10重量%の範囲にあることが好ましい。表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が低いと、無機酸化物微粒子層の厚みが薄く、所望の凹凸が形成できない場合があり、また、一部無機酸化物微粒子層の無い塗布ムラが生じ、充分な反射防止性能、防眩性能、撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。
表面処理無機酸化物微粒子分散液の濃度が高いと、塗布方法によっても異なるが、塗工性が低下して所望の凹凸を形成できない場合があり、得られる被膜の撥水性、反射防止性能が不充分となる場合がある。
表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布するが、塗布方法としては、概ね所望の凹凸構造を有する無機酸化物微粒子層を形成できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
表面処理無機酸化物微粒子分散液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、無機酸化物微粒子分散液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃である。
表面処理剤が、前記したように式(2)の有機ケイ素化合物を使用した場合、結合材用塗布液を塗布して結合材を無機酸化物微粒子層に含有させる。
結合材の含有
結合材としては、前記したとおりであり、結合材が分散した塗布液が使用される。
結合材用塗布液の分散媒は、表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
結合材用塗布液の濃度は酸化物またはRn-SiO(4-n)/2として0.05〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
結合材用塗布液の濃度が前記範囲にあると、塗布方法によっても異なるが、無機酸化物微粒子層に均一に塗布することができ、表面処理無機酸化物微粒子の結合材として機能し、強度、硬度に優れ、また、基材との密着性に優れた無機酸化物微粒子層を形成することができる。
結合材用塗布液は、無機酸化物微粒子層中の表面処理無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し、結合材が酸化物換算(Rn-SiO(4-n)/2)して、1〜200重量部、さらには10〜190重量部の範囲となるように結合材用塗布液を用いる。
結合材用塗布液の塗布量が少ないと、無機酸化物微粒子層の基材との密着性、強度、硬度等が不充分となる場合がある。
結合材用塗布液の塗布量が多すぎても、表面凹凸、表面粗さが小さくなり、最終的に得られる反射防止膜の撥水性、反射防止性能が不充分となる場合がある。
結合材用塗布液の塗布方法としては、アルミナ水和物微粒子層に均一に塗布できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
結合材用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、結合材用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
さらに、必要に応じて加熱処理することもできる。加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、130〜700℃、さらには150〜500℃の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層形成
無機酸化物微粒子層上に、必要に応じてオーバーコート層形成用塗布液を塗布してオーバーコート層を形成する。
本発明では、前記表面処理に式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を使用している場合は、必ずしもオーバーコート層を設ける必要はないが、設けることも可能である。
オーバーコート層を構成する成分としては、前記したとおりである。
塗布液には無機酸化物微粒子層と結合し、撥水性を向上できれば特に制限はないが、本発明では、前記のように式(4)で表されるフッ素含有加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物を用いることが好ましい。
式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物を用いることによって撥水性を向上できることに加えて、屈折率の低いフッ素含有シリカ系層を無機酸化物微粒子層上に形成することができ、反射防止性能を向上することができる。
また、オーバーコート層形成用塗布液には、さらに下記式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解物を含むことが好ましい。
SiX4 (5)
(但し、式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)
このような加水分解性有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
オーバーコート層形成用塗布液中の有機ケイ素化合物および/または加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物をRn-SiO(4-n)/2として100重量部に対し、SiO2として0〜100重量部、さらには0〜50重量部の範囲にあることが好ましい。
式(9)で表される加水分解性有機ケイ素化合物および/または加水分解物の量が前記範囲にあれば、撥水性を低下させることなく、より強度、硬度、耐擦傷性等に優れた反射防止膜付基材を得ることができる。
オーバーコート層形成用塗布液の分散媒としては、表面処理無機酸化物微粒子分散液の分散媒と同様の分散媒を用いることができる。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度は、シリカ換算[Rn-SiO(4-n)/2+SiO2]として0.05〜20重量%、さらには0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層形成用塗布液の濃度が低い場合は、一部オーバーコート層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。オーバーコート層形成用塗布液の濃度が高すぎても、所望の凹凸構造が得られない場合があり、撥水性がさらに向上することもなく、反射防止性能、強度、硬度が不十分となる場合がある。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布量は、形成された表面処理無機酸化物微粒子層中の微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し[Rn-SiO(4-n)/2+SiO2]として1〜100重量部、さらには1〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布量が少ないと、一部オーバーコート層の無い塗布ムラが生じ、充分な撥水性、強度、硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。オーバーコート層形成用塗布液の塗布量が多すぎても、所望の凹凸構造が得られない場合があり、撥水性がさらに向上することもなく、反射防止性能、強度、硬度が不十分となる場合がある。
オーバーコート層形成用塗布液の塗布方法としては、無機酸化物微粒子層に均一に塗布できれば特に制限は無く、例えば、バーコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、グラビアコート法、スリットコート法等が挙げられる。
オーバーコート層形成用塗布液を塗布後、乾燥することが好ましく、乾燥方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、乾燥温度は、オーバーコート層形成用塗布液の分散媒を実質的に除去できれば特に制限はないが概ね50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
通常、溶媒を除去する目的で、加熱処理する。 加熱処理温度は、基材の種類によっても異なるが、80〜300℃、さらには130〜250℃の範囲にあることが好ましい。
なお、前記オーバーコート層形成後、80〜120℃で乾燥した場合は、加熱処理はしなくともよい。
乾燥・加熱処理によって、無機酸化物微粒子層または結合材を含む無機酸化物微粒子層と該無機酸化物微粒子層上のオーバーコート層との結合が増し、強度、硬度、耐擦傷性、及び基材との密着性を高めることができる。
加熱処理温度が低いと、無機酸化物微粒子と結合材とからなる無機酸化物微粒子層と該無機酸化物微粒子層上のオーバーコート層(フッ素含有シリカ系層)との結合が不十分となり、強度、硬度、耐擦傷性及び基材との密着性が不十分となる場合がある。
加熱処理温度が高すぎると、基材の種類によっては耐熱性を超える場合があり、また、オーバーコート層(フッ素含有シリカ系層)に含まれるフッ素置換炭化水素基が分解して、撥水性、強度、硬度、及び密着性が不十分となる場合がある。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液の調製
スチームジャケット加温式のチタン製100Lタンクへ 純水 55.987kgを張り込み、これに塩化アルミニウム六水和物(関東化学(株)製: 鹿特級、AlCl3・6H2O濃度98重量%)3.532kgを溶解する。この溶液へ水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、NaOH濃度48重量%)2.710kgを添加混合する。これを撹拌下、80℃ へ昇温し、1時間保持してpH4.0 のアルミナヒドロゲルスラリー(1-1)を62.229kg得た。
このアルミナヒドロゲルスラリー(1-1)を80℃に保ったまま、撹拌下、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、48重量%NaOH)0.620kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH8.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-2)62.849kgを得た。このアルミナヒドロゲルスラリー(1-2)を80℃に保ったまま、撹拌下、塩化アルミニウム六水物(関東化学(株)製: 鹿特級、98重量%AlCl3・6H2O)1.314kgを純水1.463kgに溶解した塩化アルミニウム水溶液2.777kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH4.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-3)65.626kgを得た。
このアルミナヒドロゲルスラリー(1-3)を80℃に保ったまま、撹拌下、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製:鹿特級、48重量%NaOH)1.241kgを添加混合し、撹拌下80℃で1時間保持して、pH9.5のアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)66.867kgを得た。このアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)を限外濾過装置に充填し、Al23としての濃度が4.5重量%となるまで濃縮した。
Al23としての濃度が4.5重量%のアルミナヒドロゲルスラリー(1-4)を60℃の温純水 にて、残留するナトリウムおよび塩素の濃度が10ppm以下となるまで洗浄を行い、Al23としての濃度が5重量%のアルミナヒドロゲルスラリー(1-5)を得た。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリー(1-5)1000gに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SK−1BH)33gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理した。
ついで陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(製):SANUPC)33gを添加し、1時間攪拌して脱アニオン処理した。ついで、再び陽イオン交換樹脂(三菱化学(製):SK−1BH)33gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理してAl23としての濃度が4.8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液の一部を乾燥し、走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影し、図2に示した。
平均粒子長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製した。
結合材用塗布液(1)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)72.5gに水10.0gと濃度61重量%の硝酸0.1gを添加し、25℃で10分撹拌した。ついで、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)17.4gを添加し、30℃で30分撹拌してテトラエトキシシラン加水分解物(固形分濃度5.0重量%、分子量:1000)を得た。ついで、ジアセトンアルコール(DAA)333.3gとエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(I−PG)666.6gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)566.67gを添加して25℃で30分撹拌し、固形分濃度0.3重量%のシリカからなる結合材用塗布液(1)を調製した。
オーバーコート層形成用塗布液(1)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)2252.5gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度98%)46.4gを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理した。その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)を調製した
ハードコート層形成用塗布液(1)の調製
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:カタロイド SI−30、平均粒子径12nm、SiO2濃度40.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.46)100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.88g(信越シリコ−ン株製:KBM−503、SiO2成分81.2%)を混合し超純水を3.1g添加し50℃で20時間攪拌して表面処理した12nmのシリカゾル分散液を得た(固形分濃度40.5重量%)。
その後、ロータリーエバポレーターでプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)に溶剤置換した(固形分40.5重量%)。
ついで、固形分濃度40.5重量%のシリカゾルのプロピレングリコールモノプロピルエーテル分散液51.85gと、ジヘキサエリスリトールトリアセテート(共栄社化学(株)製:DPE−6A)18.90g、と1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製;ライトアクリレートSR−238F)2.10gとシリコーン系レベリング剤(楠本化成(株)製;ディスパロン1610)0.01gと光重合開始剤(チバジャパン(株))製:イルガキュア184、PGMEで固形分濃度10重量%に溶解)12.60gとPGME14.54gとを充分に混合して固形分濃度42.0重量%のハードコート膜形成用塗布液(1)を調製した。
反射防止膜付基材(1)の製造
固形分濃度42.0重量%のハードコート膜形成用塗布液(1)を、TACフィルム(パナック(株)製:FT−PB80UL−M、厚さ:80μm、屈折率:1.51)にバーコーター法(#16)で塗布し、80℃で2分間乾燥後、300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させてハードコート膜付基材を形成した。
ついで、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(1)分散液を、バーコーター法(#3)で、乾燥層厚が表となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で、表面処理アルミナ水和物微粒子(1)層上に表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間加熱した。
ついで、固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)を表の含有量となるようにバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(1)を製造した。
反射防止膜付基材(1)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、撥水性、波長550nmの光線の反射率、防眩性、全光線透過率およびヘーズを測定し、結果を表に示す。なお、全光線透過率およびヘーズは、ヘ−ズメ−タ−(日本電色(株)製:NDH2000)により、反射率は分光光度計(日本分光社製:Ubest−55)により測定した。
また、未塗布のTACフィルム基材は全光線透過率が93.0%、ヘーズが0.3%であった。防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性および密着性は以下の方法で測定した。
得られた透明被膜付基材(1)の全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nmの光線の反射率を測定し、結果を表に示す。また、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表に示した。
防眩性
ハードコート機能付き反射防止膜付基材(1)の防眩性を基材の裏面を黒スプレーで均一に塗り、30Wの蛍光灯から2mはなれ蛍光灯の映り込みを目視に確認し防眩性を評価した。結果を表に示す。
蛍光灯が全く見えない :◎
蛍光灯がわずかに見える :○
蛍光灯は見えるが輪郭がぼける :△
蛍光灯がはっきり見える :×
鉛筆硬度
JIS−K−5600に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
評価基準:
2H以上 :◎
H〜2H :○
B〜H :△
B以下 :×
耐擦傷性
#0000スチールウールを用い、荷重200g/cm2で10回摺動し、膜の表面を
目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示す。
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
撥水性
全自動接触角計(協和界面科学(株)製:DM 700)で水との接触角を測定した。
密着性
撥水性透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロファンテープを接着、剥離したときの被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の3段階に分類することによって密着性を評価した。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数95〜99個 :○
残存升目の数90〜94個 :△
残存升目の数89個以下 :×
[実施例2]
表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液の調製
スチームジャケット付100Lタンクへ純水38.743kgを張り込み、これに濃度48重量%の水酸化ナトリウム溶液(関東化学(株)社製:特級)0.815kgを撹拌しながら加えた。ついで、この溶液に、アルミン酸ナトリウム(関東化学(株)社製:鹿1級、アルミナ換算39重量%)2.740kgを撹拌しながら溶解した。
さらに、この溶液を撹拌しながら80℃へ昇温し1時間保持することで、完全溶解したアルミン酸ナトリウム水溶液42.298kgを得た。別途、スチームジャケット付10Lタンクに純水6.269kgを張り込み、これに濃度35重量%の塩酸水溶液(関東化学(株)社製:特級)0.453kgを撹拌しながら混合し、加温して80℃の希釈塩酸水溶液6.722kgを得た。
アルミン酸ナトリウム水溶液を80℃に保ったまま、希釈塩酸水溶液を添加し、さらに撹拌しながら80℃で1時間保持して、pH11.5の正方板状アルミナ水和物微粒子(2-a)分散液49.020kgを得た。<工程(a)>
このアルミナ微粒子(2-a)分散液を濾過分離し、80℃の温純水を充分に掛けて、洗浄アルミナ水和物微粒子(2−b)ケーキ6.667kgを得た。<工程(b)>
このアルミナ微粒子(2-b)ケーキ6.667kgへ純水12.983kgを加え、十分に撹拌して分散させアルミナ水和物微粒子分散液19.650kgとし、これに、有機塩基性化合物として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)水溶液(関東化学(株)社製:濃度27重量%)0.35kgを加え、有機塩基性化合物添加アルミナ水和物微粒子(2-c)分散液20.0kgを得た。<工程(c)>
ついで、この塩基性物質添加アルミナ微粒子(2-c)分散液をオートクレーブ反応器に入れ、撹拌下150℃へ加熱し、自圧下で24時間水熱処理して、アルミナ水和物微粒子(2-d)分散液を得た。<工程(d)>
このアルミナ水和物微粒子(2-d)分散液を限外濾過装置に入れ、充分に洗浄を行い、残留する窒素濃度をテトラメチルアンモニウムに換算した残存量が10ppm以下となるまで洗浄を行い、固形分濃度5重量のアルミナ水和物微粒子(2)分散液20.000kgを得た。<工程(e)>
得られたアルミナ水和物微粒子(2)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。なお、アルミナ水和物微粒子(2)は、30〜50nm正方形で、厚みが3〜5nmの大きさの1次結晶粒子5〜10個が、少なくとも2辺が重なることなく積層した形で凝集した100〜200nmの大きさの2次粒子であった。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液を得た。固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(2)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で、表の乾燥層厚となるように塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。実施例1と同様にして、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(2)を製造した。
反射防止膜付基材(2)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例3]
表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液の調製
実施例2の工程(d)で、110℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(3)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(3)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(3)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(3)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で表の層厚となるように、塗布し、80℃で30秒間乾燥した。実施例1と同様にして、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(3)を製造した。反射防止膜付基材(3)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例4]
表面処理アルミナ水和物微粒子(4)分散液の調製
実施例2の工程(d)で、180℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(4)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(4)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(4)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(4)の製造
固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(4)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、スピンコーターで塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(4)を製造した。反射防止膜付基材(4)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例5]
オーバーコート層形成用塗布液(2)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)5126gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度98%)46.4g、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)157.9gとを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理した。その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のオーバーコート層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(2)を調製した。
反射防止膜付基材(5)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
ついで、固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(2)を、表の含有量となるように、バーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(5)を製造した。
反射防止膜付基材(5)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例6]
オーバーコート層形成用塗布液(3)の調製
混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)1771.0gに水159.0gと濃度61重量%の硝酸3.3gを添加し、25℃で5分撹拌した。ついで、3,3,3,3トリフロロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製:KBM−7103、濃度100重量%)47.3gを添加し、25℃で5分間撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理した。その後、PGM356.39gとDAA213.91gを添加し、25℃で30分処理して固形分濃度1.50重量%のオーバーコート層形成用塗布液を調製した。
ついで、固形分濃度1.50重量%のオーバーコート層形成用塗布液100gにPGM10gと混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)40gを添加し、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(3)を調製した。
反射防止膜付基材(6)の製造
実施例2と同様にして調製した固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、実施例1と同様にして調製した固形分濃度0.3重量%のシリカ結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(3)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(6)を製造した。
反射防止膜付基材(6)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例7]
反射防止膜付基材(7)の製造
実施例1と同様にして固形分濃度42.0重量%のハードコート膜形成用塗布液(1)を、PETフィルム(東洋紡社製:A4300、厚さ:188μm)にバーコーター法(#3)にバーコーター法(#16)で塗布し、80℃で2分間乾燥後、300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させてハードコート膜付基材を形成した。
ついで、実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、ハードコート膜付基材上に表の層厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
実施例1と同様にしてオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(7)を製造した。
反射防止膜付基材(11)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例8]
表面処理鎖状シリカ微粒子(5)分散液の調製
SiO2濃度が24重量%の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比が3.1)334gを純水1266gで希釈して、SiO2濃度が5重量%の珪酸ナトリウム水溶液(pH11)を1600g調製した。この珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂(三菱化学(製):SK−1BH)320gを添加し、1時間攪拌した後、イオン交換樹脂を分離し、脱アルカリ処理したpH4.0、固形分濃度5%の珪酸液1500gを調製した。ついで純水を3500g加え、固形分濃度1.9%に希釈した。この液をセパラブルフラスコに入れ、40℃に昇温した後、10%酢酸アンモニウム水溶液100g加え、酢酸でpHを4.1に調製した後、2時間加熱した。ついで、5%アンモニア水溶液でPH10.5に調製した。その後、95℃に昇温し、90℃で2時間加熱した。40℃まで冷却した後、シリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを限外濾過膜(旭化成工業(株)製:SIP−1013)を用いて、SiO2濃度が13重量%になるまで濃縮し、ついで、ロータリーエバポレーターで濃縮し、44μmメッシュのナイロンフィルターで濾過してSiO2濃度20重量%の無機酸化物微粒子(B1-2)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して固形分濃度8重量%のメタノール分散液を得た。
得られた鎖状シリカ微粒子(5)の平均一次粒子径(DC)は12nm、連結数は10個、平均長さ(LC)は120nmであった。
ついで、固形分濃度8重量%の鎖状シリカ微粒子(5)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用の固形分濃度2重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(8)の製造
実施例2と同様にして調製した固形分濃度2重量%の表面処理鎖状シリカ微粒子(5)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間乾燥した。なお、結合材は含有させていない。
ついで、実施例1と同様にして調製した固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(8)を製造した。
反射防止膜付基材(8)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例9]
反射防止膜付基材(9)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間乾燥した。なお、結合材は含有させていない。
ついで、固形分濃度1.0重量%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(9)を製造した。
反射防止膜付基材(9)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例10]
表面処理アルミナ水和物微粒子(10)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55重量%)5.66gを添加し、25℃で30分間撹拌した。ついで、水3.80gと濃度10重量%の酢酸0.20gを添加して20℃で10分撹拌し、ついで、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、アルミナ水和物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(10)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(10)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(10)を製造した。なお、結合材は含有させていない。また、オーバーコート層も形成していない。
反射防止膜付基材(10)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例11]
表面処理アルミナ水和物微粒子(11)分散液の調製
実施例1と同様にして、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液を得た。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(1)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)2.70gと超純水を1.75g添加した後、50℃で6時間攪拌した。その後、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(MOMENTIVE製:TSL8257、固形分濃度55%)2.83gを添加して25℃で5分間撹拌し、オートクレーブにて、100℃で3時間処理し、固形分濃度8.0重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(11)メタノール分散液を調製した。
ついで、固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(11)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(11)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(11)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(11)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(11)を製造した。なお、結合材は含有させていない。また、オーバーコート層も形成していない。
反射防止膜付基材(17)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例12]
反射防止膜付基材(12)の製造
実施例2と同様にして調製した固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、TACフィルム(パナック(株)製:FT−PB80UL−M、厚さ:80μm、屈折率:1.51)にバーコーター法(#3)で表の乾燥層厚となるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で、表の乾燥層厚となるように塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。実施例1と同様にして、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(12)を製造した。
反射防止膜付基材(12)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[実施例13]
中間膜形成用塗布液(1)の調製
ATOゾル分散液(日揮触媒化成(株)製:ELCOM V−3560、平均粒子径8nm、ATO濃度20.5重量%、分散媒:メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスAP−11)、粒子屈折率1.75)58.5gに、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスAP−11)16.82g、PGME8.64g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートPE−3A、樹脂濃度100重量%)8.0gに光開始剤(チバスペシャリティ(株)製:イルガキュア184)8.0gを添加して充分に混合して固形分濃度3.0重量%の中間膜形成用塗布液(1)を調製した。
反射防止膜付基材(13)の製造
実施例12と同様にしてハードコート層を形成した後、バーコーター法(#4)で、固形分濃度3.0重量%の中間膜形成用塗布液(1)を表の乾燥層厚となるように塗布し、80℃で2分間乾燥後、300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて中間膜を形成した。
ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で、表の乾燥層厚となるように塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で、表の乾燥層厚となるように塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。ついで、実施例1と同様にして、固形分濃度1.0%のオーバーコート層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#4)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(13)を製造した。
反射防止膜付基材(13)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例1]
反射防止膜付基材(R1)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、固形分濃度を5重量%とした以外は実施例1と同様にして結合材用塗布液(2)を、バーコーター法(#3)で表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
実施例1と同様にして調製した固形分濃度1.0重量%のフッ素含有シリカ系層形成用塗布液(1)をバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(R1)を製造した。
反射防止膜付基材(R1)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例2]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液の調製
実施例1の工程(d)で、150℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(R2)分散液を調製した。得られたアルミナ水和物微粒子(R2)の平均長さ(LF)、平均粒子幅(WPF)を測定し、結果を表に示す。
ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(R2)の製造
実施例1において、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R2)分散液を用いて、表の層厚となるようにした以外は同様にして反射防止膜付基材(R2)を製造した。
反射防止膜付基材(R2)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例3]
表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液の調製
実施例2の工程(d)で、250℃で加温した以外は同様にしてアルミナ水和物微粒子(R3)分散液を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子(R3)の平均粒子径(DP)、平均粒子厚み(TP)を測定し、結果を表に示す。
この分散液を、限外濾過膜を用いてメタノールにて溶媒置換して、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液を得た。ついで、固形分濃度8重量%のアルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液100gにテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:正珪酸エチル‐A、SiO2濃度28.8重量%)1.88gを混合し、ついで、超純水を3.1g添加し、50℃で6時間攪拌して固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液を調製した。
固形分濃度8重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)メタノール分散液100gにN−メチルピロリドン(NMP)8gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)192gと、混合アルコール(日本アルコール販売(株)製:ソルミックスA−11、メタノールとエタノールとイソプロピルアルコールの混合アルコール)100gを添加し、ついで、25℃で30分間撹拌して、無機酸化物微粒子層形成用固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液を調製した。
反射防止膜付基材(R3)の製造
実施例1において、固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(R3)分散液を用いた以外は同様にして反射防止膜付基材(R3)を製造した。
反射防止膜付基材(R3)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例4]
反射防止膜付基材(R4)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。
ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
固形分濃度を0.05重量%とした以外は実施例1と同様にして調製したオーバーコート層形成用塗布液(4)をバーコーター法(#3)で、表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(R4)を製造した。
反射防止膜付基材(R4)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。
[比較例5]
反射防止膜付基材(R5)の製造
実施例2と同様にして固形分濃度2重量%の表面処理アルミナ水和物微粒子(2)分散液を、実施例1と同様の方法で作成したハードコート膜付基材にバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で30秒間乾燥した。ついで、実施例1と同様にして固形分濃度0.3重量%の結合材用塗布液(1)を、バーコーター法(#3)で塗布し、80℃で10分間加熱して硬化させた。
固形分濃度を1.5重量%とした以外は実施例1と同様にして調製したオーバーコート層形成用塗布液(5)をバーコーター法(#12)で、表の含有量となるように塗布し、80℃で10分間乾燥・硬化して反射防止膜付基材(R5)を製造した。
反射防止膜付基材(R5)について、凹凸構造の平均高さ(TF)、平均凸部間距離(WF)、微細凹凸構造の平均高さ(TFF)、平均凸部間距離(WFF)、全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、鉛筆硬度、耐擦傷性、撥水性、密着性を評価し、結果を表に示す。

Claims (28)

  1. 樹脂基材、および該基材上に形成された反射防止膜からなり、
    該反射防止膜の水との接触角が130〜180°の範囲にあり、反射率(Rf)が2%以下であり、ヘーズが10%以下であることを特徴とする反射防止膜付基材。
  2. 前記反射防止膜が、表面処理無機酸化物微粒子を含む無機酸化物微粒子層を含んでなり、反射防止膜表面が凹凸構造を有し、該凸部の平均高さ(TF)が30〜500nmの範囲にあり、平均凸部間距離(ピッチ幅)(WF)が50〜1000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜付基材。
  3. 前記反射防止膜が、無機酸化物微粒子層上にオーバーコート層を有することを特徴とする請求項1または2記載の反射防止膜付基材。
  4. 前記平均高さ(TF)と前記平均凸部間距離(WF)との比(TF)/(WF)が0.1〜10の範囲にあることを特徴とする請求項2または3に記載の反射防止膜付基材。
  5. 前記凹凸構造の凸部の表面がさらに微細凹凸を有し、該微細凸部の平均高さ(TFF)が3〜50nmの範囲にあり、平均凸部間距離(WFF)が、前記凸部の平均凸部間距離(WF)よりも小さく、3〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の反射防止膜付基材。
  6. 前記表面処理無機酸化物微粒子が下記式(1)および/または(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物またはその加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の反射防止膜付基材。
    n-SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
    n-SiX4-n (2)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の(メタ)アクリロイル基、アミノ基、メルカプト基で置換されていてもよい炭化水素基(フッ素置換を除く)であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
  7. 前記表面処理無機酸化物微粒子の表面処理量が、無機酸化物微粒子(酸化物換算)100重量部に対し、式(1)で表される加水分解性有機ケイ素化合物をRn-SiO(4-n)/2として1〜200重量部の範囲にあることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の反射防止膜付基材。
  8. 前記無機酸化物微粒子層が結合材を含んでなることを特徴とする請求項2に記載の反射防止膜付基材。
  9. 前記結合材の含有量が前記無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子を酸化物(1)として100重量部に対し結合材を酸化物(2)として1〜200重量部の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の反射防止膜付基材。
  10. 前記基材と前記無機酸化物微粒子層との間にハードコート層を有することを特徴とする請求項2に記載の反射防止膜付基材。
  11. 前記基材またはハードコート層と前記無機酸化物微粒子層との間に中間膜を有することを特徴とする請求項10に記載の反射防止膜付基材。
  12. 前記無機酸化物微粒子の形状が板状、繊維状、鎖状のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の反射防止膜付基材。
  13. 前記板状無機酸化物微粒子の平均粒子径(DP)が10〜300nmの範囲にあり、平均厚み(TP)が1〜60nmの範囲にあり、平均粒子径(DP)と平均厚み(TP)との比(DP)/(TP)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記繊維状無機酸化物微粒子の平均長さ(LF)が10〜500nmの範囲にあり、平均粒子幅(WPF)が1〜100nmの範囲にあり、平均長さ(LF)と平均粒子幅(WPF)との比(LF)/(WPF)が1.5〜50の範囲にあり、
    前記鎖状無機酸化物微粒子が、平均粒子径(DC)が5〜50nmの範囲にある一次微粒子が鎖状に2〜100個連結した微粒子であり、平均長さ(LC)が20〜500nmの範囲にあり、平均長さ(LC)と平均粒子径(DC)との比(LC)/(DC)が2〜50の範囲にあることを特徴とする請求項12に記載の反射防止膜付基材。
  14. 前記無機酸化物微粒子が板状アルミナ微粒子または板状シリカ・アルミナ微粒子、繊維状アルミナ微粒子または繊維状シリカ・アルミナ微粒子、鎖状シリカ微粒子であることを特徴とする請求項12に記載の反射防止膜付基材。
  15. 前記結合材がシリカであり、かつ下記式(3)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であることを特徴とする請求項8または9に記載の反射防止膜付基材。
    n-SiX4-n (3)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜1の整数)
  16. 前記オーバーコート層の含有量が、前記無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子を酸化物換算して、100重量部に対し酸化物(固形分)として1〜100重量部の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜付基材。
  17. 前記オーバーコート層がフッ素含有シリカ系層であり、該フッ素含有シリカ系層が下記式(4)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物であることを特徴とする請求項3または16に記載の反射防止膜付基材。
    n-SiX4-n (4)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
  18. 前記フッ素含有シリカ系層が、さらに下記式(5)で表される加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物を含むことを特徴とする請求項17に記載の反射防止膜付基材。
    SiX4 (5)
    (但し、式中、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素)
  19. 樹脂基材が、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン、ノルボルネンから選ばれるシート、フィルムないしパネル状基材であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜付基材。
  20. 樹脂基材表面に、無機酸化物微粒子を含む分散液を、塗布乾燥して反射防止膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  21. 形成された無機酸化物微粒子層表面に、オーバーコート層形成用塗布液を塗布乾燥してオーバーコート層を形成することを特徴とする請求項20に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  22. 無機酸化物微粒子が式(1)および/または(2)で表される加水分解性有機ケイ素化合物またはその加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理されていることを特徴とする請求項20に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  23. 無機酸化物微粒子層に、結合材用塗布液を塗布して結合材を含有させることを特徴とする、請求項20に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  24. 樹脂基板表面にあらかじめハードコート層形成用塗布液を塗布し、乾燥してハードコート層を形成することを特徴とする請求項20に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  25. 基材表面(ハードコート膜が形成された場合、ハードコート膜表面)に、中間膜形成用塗布液をを塗布し、乾燥して中間膜を形成することを特徴とする請求項20または24に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  26. 濃度が固形分(無機酸化物)として0.1〜10重量%の範囲にある分散液を使用することを特徴とする請求項20に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  27. 結合材の含有量が、無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子100重量部に対して、酸化物換算で1〜200重量部の範囲となるように結合材用塗布液を塗布することを特徴とする請求項23に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
  28. 無機酸化物微粒子層中の無機酸化物微粒子100重量部に対して、固形分(酸化物)として、1〜100重量部となるようにオーバーコート層形成用塗布液を塗布することを特徴とする請求項21に記載の反射防止膜付基材の製造方法。
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