JP2009119780A - 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗布液 - Google Patents

透明被膜付基材および透明被膜形成用塗布液 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止性能および防眩性能に優れた凹凸のある透明被膜が形成された透明被膜付基材および該透明被膜を形成するための透明被膜形成用塗布液を提供する。
【解決手段】
表面に凹凸を有する透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、該透明被膜が、平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と、平均粒子径(DpB)が
5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分とからなることを特徴とする透明被膜付基材。
平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と平均粒子径(DpB)が
5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分と溶媒とからなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止性能および防眩性能に優れた凹凸のある透明被膜が形成された透明被膜付基材および該透明被膜を形成するための透明被膜形成用塗布液とに関する。
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するため、基材表面に反射防止膜を形成することが知られており、たとえば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウムのような低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成したり、シリカ微粒子等の低屈折率微粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止被膜を形成する方法が知られている(たとえば、特開平7−133105号公報(特許文献1)など参照)。このとき、反射防止性能を高めるために反射防止被膜の下層に高屈折率の微粒子等を含む高屈折率膜を形成することも知られている。
さらに、前記表示装置等では、防眩性(アンチグレア性ということがある)を付与するために表面に凹凸を形成することも知られている。(特開2002−169001号公報(特許文献2)、特開2002−71904号公報(特許文献3)、特開2001−281411号公報(特許文献4)、特開2001−34350号公報(特許文献5))
また、本願発明者等は、特開2003−12965号公報(特許文献6)において、平均粒子径が異なり、粒子径の小さい導電性微粒子と粒子径の大きい低屈折率微粒子の異なる2種の微粒子を含む塗布液を用いることによって、1回の塗布で反射防止性能に優れた導電性被膜が形成できることを提案している。
特開平7−133105号公報 特開2002−169001号公報 特開2002−71904号公報 特開2001−281411号公報 特開2001−34350号公報 特開2003−12965号公報
しかしながら、特許文献1〜5に記載のような従来の多層膜を形成する方法では、塗料を塗布し、乾燥し、必要に応じて硬化させる工程を各塗料について行う必要があり、各膜間の密着性が不充分であったり、生産性、経済性等に問題があった。また、特許文献6の方法では防眩性能がないため明所コントラストが低く、表示装置に用いた場合、表示性能が不充分であった。
本発明者らは、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、表面に凹凸を形成できる程度に平均粒子径の大きな無機酸化物微粒子と、平均粒子径の小さい低屈折率のシリカ系中空微粒子(B)とを含む透明被膜は防眩性能を有するとともに反射防止性能に優れているこ
とを見出して本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]表面に凹凸を有する透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、
該透明被膜が、平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と、
平均粒子径(DpB)が5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲
にあるシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分とからなる透明被膜付基材。
[2]前記金属酸化物粒子(A)が、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子である[1]の透明被膜付基材。
[3]前記透明被膜の平均膜厚が1μm〜10μmの範囲にあり、
透明被膜の凹凸は、凸部の平均高さ(T凸)と凹部の平均高さ(T凹)との差(T凸)−(T凹)が30〜1500nmの範囲にある[1]または[2]の透明被膜付基材。
[4]前記透明被膜中の金属酸化物粒子(A)の含有量が、10〜70重量%の範囲にあり、シリカ系中空微粒子(B)の含有量が5〜50重量%の範囲にあり、金属酸化物粒子(A)とシリカ系中空微粒子(B)の合計の含有量が20〜80重量%の範囲にある[1]から[3]の透明被
膜付基材。
[5]平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と平均粒子径(DpB)が5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分と溶媒とからなる透明被膜形成用塗布液。
[6]前記金属酸化物粒子(A)が、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子である[5]の透明被膜形成用塗布液。
[7]前記金属酸化物粒子(A)の濃度が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、前記シリカ系中空微粒子(B)の濃度が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、マトリ
ックス形成成分の固形分としての濃度が1〜30重量%の範囲にある[5]または[6]の透明被膜形成用塗布液。
本発明によれば、透明被膜形成用塗料を1回塗布・乾燥によって所望の凹凸を基材表面に形成できるばかりか、基材との密着性、強度等に優れるとともに反射防止性能および防眩性能に優れ、さらに生産性および経済性にも優れた透明被膜が形成可能な透明被膜形成用塗布液を提供することができる。得られる透明被膜付基材はLCDディスプレィ、プラズマディスプレィ、プロジェクションディスプレィ、ELディスプレィ、CRTディスプレィ等の表示画面に好適に用いることができる。
以下、先ず、本発明に係る透明被膜付基材について具体的に説明する。
透明被膜付基材
本発明に係る透明被膜付基材は、基材上に、表面に凹凸を有する透明被膜が形成されてなる。
該透明被膜は、平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と、
平均粒子径(DpB)が5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲
にあるシリカ系中空微粒子(B)と、
マトリックス成分と からなることを特徴としている。
図1に本発明の透明被膜付基材の1例を示す概略断面図を示す。
基材表面に平均粒子径の大きな金属酸化物粒子(A)が並び、そのまわりに平均粒子径の
小さなシリカ系中空微粒子と、その他の白抜きの箇所がマトリックス成分で存在しており、透明被膜の表面は大きな粒子(A)に由来する凹凸を有している。
基材
基材としては、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム等のセルロース系基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系基材、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム等のポリオレフィン系基材、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド系基材等、さらには、ポリアクリル系フ
ィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテウフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、アクリロニトリルフィルム等の基材が挙げられる。また、このような基材上に、ハードコート膜等他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。
本発明で用いる基材としては、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)は屈折率が近接していることから好適に用いることができる。
透明被膜
透明被膜は金属酸化物粒子(A)とシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分とからなる。
(i)金属酸化物粒子(A)
金属酸化物粒子(A)の平均粒子径は0.5〜5μm、さらには1〜3μmの範囲にある
ことが好ましい。
金属酸化物粒子(A)の平均粒子径が小さい場合は、透明被膜に所望の凹凸が設けられな
いことがあり、充分な防眩性能が得られないことがある。
金属酸化物粒子(A)の平均粒子径が大きすぎても、透明被膜が凹凸が大きくなりすぎて
しまい、この場合もチラついたり、充分な防眩性能が得られないことがある。
金属酸化物粒子(A)の屈折率は特に限定されないが、望ましくは屈折率の低いシリカ粒
子、中空シリカ系粒子を用いることである。屈折率としては、1.10〜1.50、さらには1.10〜1.45であればよい。なかでも、中空シリカ系粒子は屈折率が低く、反射防止性能に優れた透明被膜が得られるので好ましい。なおかかる中空シリカ系粒子の詳細は後述する。
本発明に用いる金属酸化物粒子(A)は下記式(1)で表される有機珪素化合物で表面処理されていることが好ましい。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
このような式(1)で表される有機珪素化合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプ
ロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエ
トキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、等が挙げられる。
金属酸化物粒子(A)の表面処理は、従来公知の方法を採用することができ、例えば、シ
リカ粒子のアルコール分散液に前記有機ケイ素化合物を所定量加え、これに水を加え、必要に応じて加水分解用触媒として酸またはアルカリを加えて加水分解する。この時、有機ケイ素化合物の使用量は金属酸化物粒子(A)と有機ケイ素化合物のRn-SiX(4-n)/2とし
ての重量比(Rn-SiX(4-n)/2重量/金属酸化物粒子(A)の重量)が0.01〜0.5さ
らには0.02〜0.25の範囲にあることが好ましい。
前記重量比が小さい場合は、有機ケイ素化合物の量が少ないために、後述する透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分あるいは分散媒との親和性が低く安定性が不充分で、塗布液中で均一に分散せず、場合によっては金属酸化物粒子(A)が凝集することがあ
り、透明被膜表面に規則的な凹凸を形成できない場合がある。
前記重量比が前記範囲を越えて多くしてもさらに分散性が向上することもなく、高価な有機ケイ素化合物が増加するだけで経済性が低下する。
このような、有機溶媒に置換することによって表面処理した金属酸化物粒子(A)の有機
溶媒分散液を得ることができる。有機溶媒としては、後述する透明被膜形成用塗布液と同様の有機溶媒を用いることが好ましい。
透明被膜中の金属酸化物粒子(A)の含有量は、固形分換算で、5〜70重量%、さらに
は10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜中の金属酸化物粒子(A)の含有量が少ないと、透明被膜表面の凹凸の密度が少な
くなり防眩性能が不充分となることがある。金属酸化物粒子(A)の含有量が多すぎても、
透明被膜の膜厚が不均一となったり、基材との密着性、膜の強度、耐擦傷性が不充分となることがある。
(ii)シリカ系中空微粒子(B)
シリカ系中空微粒子(B)としては、本願出願人の出願による特開2001−23361
1号公報、特開2003−192994号公報に開示した内部に空洞を有するシリカ系微粒子は屈折率が低く、コロイド領域の微粒子であり、分散性等に優れているので好適に採用することができる。
シリカ系中空微粒子(B)の平均粒子径(DpB)は5〜200nm、さらには10〜100nmの範囲にあることが好ましい。
シリカ系中空微粒子(B)が小さいと、低屈折率微粒子を得ることが困難であり、得られ
たとしても屈折率が1.40を超えることがあり、透明被膜の反射防止性能が不充分となる場合がある。シリカ系中空微粒子(B)が大きいと、透明被膜の表面に不要な凹凸が形成
されことがあり、透明被膜のヘーズ値が高くなる場合がある。
シリカ系中空微粒子(B)の屈折率は1.10〜1.40、さらには1.10〜1.35
の範囲にあることが好ましい。
この範囲の下限未満の屈折率の粒子を得ること自体が困難であり、屈折率が高いと基材あるいは下層膜の屈折率にもよるが反射防止性能が不充分となったり、透明被膜の反射率が高いために明所コントラストが不充分となることがある。
本発明に用いるシリカ系中空微粒子(B)も前記した金属酸化物粒子(A)と同様に有機珪素化合物で表面処理されていることが好ましい。シリカ系中空微粒子(B)が有機珪素化合物
で表面処理されていると透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分あるいは分散媒との親和性が高く、分散安定性がよく、塗布液中で均一に分散し、基材との密着性、膜の強度、耐擦傷性に優れた透明被膜を得ることができる。
透明被膜中のシリカ系中空微粒子(B)の含有量は固形分として1〜35重量%、さらに
は2〜25重量%の範囲にあることが好ましい。
シリカ系中空微粒子(B)の含有量が少ないと、透明被膜の屈折率が充分低くならないた
めに、透明被膜の反射率が高くなり反射防止性能が不充分であったり明所コントラストが不充分となることがある。シリカ系中空微粒子(B)の含有量が高いと、透明被膜中のシリ
カ系中空微粒子(B)が多すぎるためか十分な凹凸を形成することが困難となることがあり
、充分な防眩性能が得られないことがある。
シリカ系中空微粒子(B)の量と、金属酸化物粒子(A)との量比は、(A):(B)が70:1〜5:35、好ましくは50:2〜10:25の範囲にあることが望ましい。
このような量比で特定の大きさの金属酸化物粒子(A)とシリカ系中空微粒子(B)とを組合わせると、所望の凹凸が形成される。
凹凸の調整は、大きめの凹凸を形成するのであれば、金属酸化物粒子(A)の粒径が大
きく、シリカ系中空微粒子(B)の粒径が小さいものを使用すればよい。
マトリックス成分
マトリックス成分としては、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス成分、有機樹脂系マトリックス成分等が用いられる。
シリコーン系マトリックス成分としては前記式(1)と同様の有機珪素化合物の加水分解
重縮合物が好適に用いられる。有機樹脂系マトリックス成分としては、塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電子線硬化樹脂等が挙げられる。
このような樹脂として、たとえば、従来から用いられているポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。なお、熱硬化性樹脂の場合、マトリックス成分は、重合物となっている。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒や増感剤、安定剤が含まれていてもよい。
透明被膜中のマトリックス成分の含有量は固形分として25〜94重量%、さらには30〜90重量%の範囲にあることが好ましい。透明被膜中のマトリックス成分の含有量が固形分として25重量%未満の場合は透明被膜の強度、耐擦傷性が不充分となることがある。
透明被膜中のマトリックス成分の含有量が多すぎると、一方の粒子の量が少ないために本願発明の効果、すなわち反射防止性能と防眩性能の双方を備えた透明被膜が得られない場合がある。また含有量が少ないと被膜の強度や耐擦傷性が低下することがある。
透明被膜の膜厚は、平均膜厚で1〜10μm、さらには2〜8μmの範囲にあることが好ましい。ここで、平均膜厚とは透明被膜の凸部の平均高さ(T凸)と凹部の平均高さ(T凹)との平均値をいう。なお、透明被膜の平均膜厚は、金属酸化物粒子(A)の大きさ(
直径)よりも小さくとも良い。凸部は、金属酸化物粒子(A)に由来して形成されたもの
であり、凸部の平均高さ(T凸)は、金属酸化物粒子(A)の大きさよりも高くなる。
透明被膜の膜厚が小さくしすぎると、凹凸を形成すること自体が困難となる。透明被膜の平均膜厚が厚すぎると、粒子(A)および(B)の大きさによるが、透明被膜にクラックを生じたり、基材がプラスチック等の場合はカーリング(湾曲あるいは反り)を生じる場合がある。
透明被膜の凸部の平均高さ(T凸)と凹部の平均高さ(T凹)との差(T凸)−(T凹)は、粒子(A)および(B)の大きさによるが、30〜1500nm、さらには50〜1000nmの範囲にあることが好ましい。この差が小さいと、凹凸が不十分となり、充分な防眩性が得られない場合がある。
(T凸)−(T凹)が大きいと光の表面散乱が大きく白っぽく見える場合がある。
本発明では、透明被膜付基材の膜を一部剥離し透明被膜の平均膜厚、凸部の高さ(T凸)
と凹部の高さ(T凹)との差をレーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製:VE-3000)を用
いて測定する。
なお、本発明では、金属酸化物粒子(A)とシリカ系中空微粒子(B)とが分離することなく、混在している。また、金属酸化物粒子(A)が1層で、それによって凹凸が形成されてい
てもよく、さらに、金属酸化物粒子(A)が2層以上配列して、それによって凹凸が形成さ
れていてもよい。シリカ系中空微粒子(B)が金属酸化物粒子(A)の粒子間を埋めることで、防眩性が発現されるが、シリカ系中空微粒子(B)が金属酸化物粒子(A)表面に付着していてもよい。
つぎに、本発明に係る透明被膜形成用塗布液について具体的に説明する。
透明被膜形成用塗布液
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、前記金属酸化物(A)と、前記シリカ系中空微
粒子(B)と、マトリックス形成成分と溶媒とからなることを特徴としている。
透明被膜形成用塗布液中の金属酸化物粒子(A)の濃度は固形分として0.1〜10重量%、さらには0.2〜5重量%の範囲にあることが好ましい。金属酸化物粒子(A)の濃度が
低いと、透明被膜表面に規則的で充分な凹凸を形成できず、このため防眩性能が不充分となることがある。金属酸化物粒子(A)の濃度が高いと、透明被膜の膜厚が不均一になった
り、透明被膜表面に規則的な凹凸を形成できず、このため防眩性能が充分発揮されない場合があり、また、透明被膜の耐擦傷性が不充分となることがある。
透明被膜形成用塗布液中のシリカ系中空微粒子(B)の濃度は固形分として0.02〜5
重量%、さらには0.04〜2.5重量%の範囲にあることが好ましい。シリカ系中空微粒子(B)の濃度が固形分として0.02重量%未満の場合は、所望の屈折率の低い透明被
膜が得られず、透明被膜の反射率が高くなり反射防止性能が不充分であったり、明所コントラストが不充分となることがある。シリカ系中空微粒子(B)の濃度が固形分として5重
量%を超えると、塗布液の合計固形分濃度も高くなり、塗布性が低下して均一な透明被膜の形成が困難となったり、表面の平滑性がなくなったり、場合によっては透明被膜の内部に空隙が形成され、光の散乱を引き起こしたり、透明被膜のヘーズ値が高くなることがあり、さらに耐擦傷性が不充分となることがある。
なお、粒子(A)と(B)の量比は上記したとおりである。
(iii)マトリックス形成成分
マトリックス形成成分としては、シリコーン系マトリックス形成成分、有機樹脂系マトリックス形成成分等が用いられる。
シリコーン系マトリックス形成成分としては下記式(1)で表される有機珪素化合物およ
び/またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物が好適に用いられる。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
このような式(1)で表される有機珪素化合物としては前記したものが使用される。また、有機樹脂系マトリックス形成成分としては、塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電子線硬化樹脂等が挙げられる。このような樹脂として、たとえば、前記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂も含む)などが使用される。なお、熱硬化性樹脂の場合、モノマーやオリゴマー、プレポリマーなどの重合前のものが使用される。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は固形分として0.5〜30重量%、さらには1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
マトリックス形成成分の濃度が少ないと、マトリックスに対し微粒子が多過ぎてしまい、透明被膜の膜厚が不均一になったり、透明被膜表面に規則的な凹凸を形成できず、このため防眩性能が不充分になったり、透明被膜の耐擦傷性が不充分となることがある。マトリックス形成成分の濃度が高すぎると、マトリックスに対し微粒子が少な過ぎるので、反射防止性能および防眩性能が不充分となったり、明所コントラストの向上効果が不充分となることがある。
(iv)溶媒
本発明に用いる溶媒としてはマトリックス形成成分、重合開始剤を溶解あるいは分散できるとともに金属酸化物粒子(A)、シリカ系中空微粒子(B)を均一に分散することができれば特に制限はなく、従来公知の溶媒を用いることができる。
具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げら
れる。
(v)重合開始剤
本発明の透明被膜形成用塗布液には、マトリックス形成成分が熱硬化性樹脂(電子線硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂も含む)の場合に、必要に応じて重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては前記マトリックス形成成分を重合、硬化させることができれば特に制限はなく、樹脂によって適宜選択し、従来公知の重合開始剤を用いることができる。
例えば、アシルホスフィンオキシド類、アセトフェノン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類等の重合開始剤の他、カチオン系光重合開始剤等が挙げられる。
透明被膜形成用塗布液中の重合開始剤の濃度はマトリックス形成成分の種類によっても異なるが、マトリックス形成成分および重合開始剤を固形分としたとき、マトリックス形成成分の0.1〜20重量%、さらには0.5〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
重合開始剤の含有量が少ないと、透明被膜の硬化が不充分となることがある。また重合開始剤の含有量が多すぎると、塗布液の安定性が不充分となることがある。また重合開始剤とともに、増感剤、安定剤なども含んでいても良い。
透明被膜形成用塗布液の濃度(すなわち粒子(A)、(B)、マトリックス形成成分、その他の成分の合計濃度)は固形分として概ね1〜50重量%、さらには2〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜形成用塗布液の濃度が低いと、金属酸化物粒子(A)の濃度も低く、透明被膜表
面に規則的で凹凸差が30nm以上の凹凸を形成できず、このため防眩性能が不充分となることがある。透明被膜形成用塗布液の濃度が高すぎると、透明被膜表面に規則的な凹凸を形成できず、このため防眩性能が充分発揮されない場合があり、また、透明被膜の耐擦傷性が不充分となることがある。このような本発明に係る塗布液は上記した成分を耕地の方法で混合することによって調製できる。
本発明に係る透明被膜形成用塗布液を用いて透明被膜を形成する方法として従来公知の方法を採用することができる。具体的には、透明被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができるが、本発明ではロールコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法が推奨される。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
透明被膜形成用塗布液(A-1)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ粒子(触媒化成工業(株)製:シリカマイクロビードP-500、平均粒子径2μm、粒子屈折率1.45、粉体)20gをメタノール180gに懸
濁し、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン4g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を混合し、超純水10gを添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
別途、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径50nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.30)100gにパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン10g(東レダウコーニング(株)製:AY43−158E、SiO2成分26.6重量%)を混合し、超純水を10g添加して40℃で5時間攪拌して表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。
ついで、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)24.3gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-1)を調製
した。
透明被膜付基材(1)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-1)をトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚さ:0.8mm、屈折率:1.50)に#14バ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させて透明被膜付基材(1)を調製した。得
られた透明被膜付基材(1)の全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nmの光線の反射率を測
定し、結果を表1に示す。
全光線透過率およびヘ−ズはヘ−ズメ−タ−(日本電色(株)製:NDH2000)により、反射率は分光光度計(日本分光社製:Ubest−55)によりそれぞれ測定した。
また、防眩性、密着性、鉛筆硬度を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示した。
防眩性
ハードコート機能付き反射防止膜付基材(1)の裏面を黒スプレーで均一に塗り、30Wの蛍光灯から2mはなれ蛍光灯の映り込みを目視に確認し防眩性を評価した。結果を表1に示す。
蛍光灯が全く見えない :◎
蛍光灯がわずかに見える :○
蛍光灯は見えるが輪郭がぼける :△
蛍光灯がはっきり見える :×
密着性
ハードコート機能付き反射防止膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で1
1本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテ−プを接着し、ついで、セロハンテ−プを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することにより密着性を評価した。結果を表1に示す。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90〜99個 :○
残存升目の数85〜89個 :△
残存升目の数84個以下 :×
鉛筆硬度
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
平均膜厚・T凸−T凹部の差
透明被膜付基材(1)の膜を一部剥離し透明被膜の平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差をレーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製:VE-3000)を用いて測定し
た。結果を表1に示す。
[実施例2]
透明被膜形成用塗布液(A-2)の調製
実施例1と同様にして、表面処理したシリカ粒子分散液96.4gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)29.7gに、光開始剤(チバス
プシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.43
gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-2)を調製した。
透明被膜付基材(2)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-2)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(2)を調製した。得られた透明被膜付基材(2)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着
性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例3]
透明被膜形成用塗布液(A-3)の調製
実施例1と同様にして、表面処理したシリカ粒子分散液192.9gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)18.9gに、光開始剤(チバ
スプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.2
7gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-3)を調製した。
透明被膜付基材(3)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-3)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(3)を調製した。
得られた透明被膜付基材(3)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬
度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例4]
透明被膜形成用塗布液(A-4)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ粒子(触媒化成工業(株)製:真絲球SW1.0、平均粒子径1μm、粒子屈折率1.45、粉体)20gをメタノール180gに懸濁し、γ-
アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン4g(信越化学(株)製:KBM−5103、
SiO2成分81.2重量%)を混合し、超純水10gを添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
別途、実施例1と同様にして表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。
ついで、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)24.3gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-4)を調製
した。
透明被膜付基材(4)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-4)を#8バ−コ−タ−用いて塗布した以外は実施例1と同様
にして透明被膜付基材(4)を調製した。
得られた透明被膜付基材(4)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆
硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例5]
透明被膜形成用塗布液(A-5)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ粒子(触媒化成工業(株)製:真絲球SW4.0、平均粒子径4μm、粒子屈折率1.45、粉体)20gをメタノール180gに懸濁し、γ-
アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン4g(信越化学(株)製:KBM−5103、
SiO2成分81.2重量%)を混合し、超純水10gを添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
別途、実施例1と同様にして表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。
ついで、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)24.3gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-5)を調製
した。
透明被膜付基材(5)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-5)を#20バ−コ−タ−用いて塗布した以外は実施例1と同
様にして透明被膜付基材(5)を調製した。
得られた透明被膜付基材(5)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬
度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例6]
透明被膜形成用塗布液(A-6)の調製
実施例1と同様にして、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液28.0g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)32.4gに、光開始剤(チバ
スプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.3
5gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-6)を調製した。
透明被膜付基材(6)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-6)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(6)を調製した。得られた透明被膜付基材(6)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着
性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例7]
透明被膜形成用塗布液(A-7)の調製
実施例1と同様にして、表面処理したシリカ粒子分散液120.5gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液111.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)18.9gに、光開始剤(チ
バスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.
27gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-7)を調製した。
透明被膜付基材(7)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-7)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(7)を調製した。得られた透明被膜付基材(7)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着
性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結
果を表1に示した。
[実施例8]
透明被膜付基材(8)の調製
実施例1と同様にして調製した透明被膜形成用塗布液(A-1)をトリアセチルセルロース
(TAC)フィルム(厚さ:0.8mm、屈折率:1.50)に#8バ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させて透明
被膜付基材(8)を調製した。得られた透明被膜付基材(8)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例9]
透明被膜付基材(9)の調製
実施例1と同様にして調製した透明被膜形成用塗布液(A-1)をトリアセチルセルロース
(TAC)フィルム(厚さ:0.8mm、屈折率:1.50)に#20バ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させて透
明被膜付基材(9)を調製した。得られた透明被膜付基材(9)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[実施例10]
透明被膜形成用塗布液(A-10)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリアS特殊品、平均粒子径0.5μm、濃度10.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.20)190.5gとγ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン
4g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)とを混合し、超
純水10gを添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
別途、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径50nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.30)100gにパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン10g(東レダウコーニング(株)製:AY43−158E、SiO2成分26.6重量%)を混合し、超純水を10g添加して40℃で5時間攪拌して表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。
ついで、表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾル144.6gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)24.3gに、光開始剤(チバスプ
シャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.35g
および溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-10)を調製した。
透明被膜付基材(10)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-10)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(10)を調製した。
得られた透明被膜付基材(10)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[比較例1]
透明被膜形成用塗布液(A-R1)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ粒子(触媒化成工業(株)製:シリカマイクロビードP-500、平均粒子径2μm、粒子屈折率1.45、粉体)20gをメタノール180gに懸
濁し、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン4g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を混合し、超純水10gを添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
ついで、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)37.8g
に、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分
濃度10%)0.54gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-R1)を調製した。
透明被膜付基材(R1)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-R1)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(R1)を調製した。得られた透明被膜付基材(R1)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[比較例2]
透明被膜形成用塗布液(A-R2)の調製
シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径50nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.30)100gにパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン10g(東レダウコーニング(株)製:AY43−158E、SiO2成分26.6重量%)を混合し、超純水を10g添加して40℃で5時間攪拌して表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。
ついで、表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)40
.5gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、
固形分濃度10%)0.58gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-R1)を調製した。
透明被膜付基材(R2)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-R2)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(R2)を調製した。得られた透明被膜付基材(R2)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、
結果を表1に示した。
[比較例3]
透明被膜形成用塗布液(A-R3)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ粒子水分散液(触媒化成工業(株)製:スフェリカスラリー、平均粒子径0.3μm、粒子屈折率1.45、SiO2濃度20重量%)100gをメタノール100gに懸濁し、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン4g(信
越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を混合し、超純水10g
を添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
別途、実施例1と同様にして表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。ついで、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと表面処理した
シリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)24.3gに、光開始剤(チ
バスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.
35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-R3)を調製した。
透明被膜付基材(R3)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-R3)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(R3)を調製した。得られた透明被膜付基材(R3)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
[比較例4]
透明被膜形成用塗布液(A-R4)の調製
金属酸化物粒子として、シリカ粒子(触媒化成工業(株)製:真絲球SW7.0、平均粒子径7μm、粒子屈折率1.45、粉体)20gをメタノール180gに懸濁し、γ-
アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン4g(信越化学(株)製:KBM−5103、
SiO2成分81.2重量%)を混合し、超純水10gを添加し、50℃で5時間攪拌して表面処理をしたシリカ粒子分散液を得た(固形分濃度11.2重量%)。
別途、実施例1と同様にして表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分19.3重量%)。ついで、表面処理したシリカ粒子分散液144.6gと表面処理したシリカ系中空微粒子分散液69.9g、疎水性マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)24.3gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノール13.2g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(A-R3)を調製した。
透明被膜付基材(R4)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-R4)を用いた以外は実施例1と同様にして透明被膜付基材(R4)を調製した。得られた透明被膜付基材(R4)の全光線透過率、ヘ−ズ、反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度および平均膜厚、凸部の高さ(T凸)と凹部の高さ(T凹)との差を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2009119780
本発明の透明被膜付基材の1例を示す概略断面図を示す。

Claims (7)

  1. 表面に凹凸を有する透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、
    該透明被膜が、平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と、
    平均粒子径(DpB)が5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲
    にあるシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分とからなることを特徴とする透明被膜
    付基材。
  2. 前記金属酸化物粒子(A)が、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微
    粒子であることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜付基材。
  3. 前記透明被膜の平均膜厚が1μm〜10μmの範囲にあり、
    透明被膜の凹凸は、凸部の平均高さ(T凸)と凹部の平均高さ(T凹)との差(T凸)−(T凹)が30〜1500nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜付基材。
  4. 前記透明被膜中の金属酸化物粒子(A)の含有量が、10〜70重量%の範囲にあり、シ
    リカ系中空微粒子(B)の含有量が5〜50重量%の範囲にあり、金属酸化物粒子(A)とシリカ系中空微粒子(B)の合計の含有量が20〜80重量%の範囲にあることを特徴とする請
    求項1から3のいずれかに記載の透明被膜付基材。
  5. 平均粒子径(DpA)が0.5〜5μmの範囲にある金属酸化物粒子(A)と平均粒子径(DpB)
    が5〜200nmの範囲にあり、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微粒子(B)とマトリックス成分と溶媒とからなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液
  6. 前記金属酸化物粒子(A)が、屈折率が1.10〜1.40の範囲にあるシリカ系中空微
    粒子であることを特徴とする請求項5に記載の透明被膜形成用塗布液。
  7. 前記金属酸化物粒子(A)の濃度が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、前記
    シリカ系中空微粒子(B)の濃度が固形分として0.1〜10重量%の範囲にあり、マトリ
    ックス形成成分の固形分としての濃度が1〜30重量%の範囲にあることを特徴とする請求項5または6に記載の透明被膜形成様塗布液。
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