JP2014227857A - 排気ガス浄化システム - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱対象を外周部から加熱する場合でも熱を加熱対象に効率的に伝えることができる排気ガス浄化システムを提供することを課題とする。
【解決手段】排気系を流れる排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムであって、排気ガス浄化システムにおける加熱対象(例えば、触媒(DOC4等))と、加熱対象を加熱するための加熱手段(例えば、化学蓄熱装置8(特に、反応材9a))を備え、加熱手段と加熱対象とは介在部材(例えば、排気管3)に接するように配設され、介在部材における加熱対象と加熱手段との間の伝熱部分を他の部分(伝熱部分の上流側の部分や下流側の部分)よりも熱伝導性が高い構造とし、その構造とするために、例えば、介在部材における伝熱部分を他の部分よりも高い熱伝導性の材料で形成したり、介在部材における他の部分を伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成する。
【選択図】図2
【解決手段】排気系を流れる排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムであって、排気ガス浄化システムにおける加熱対象(例えば、触媒(DOC4等))と、加熱対象を加熱するための加熱手段(例えば、化学蓄熱装置8(特に、反応材9a))を備え、加熱手段と加熱対象とは介在部材(例えば、排気管3)に接するように配設され、介在部材における加熱対象と加熱手段との間の伝熱部分を他の部分(伝熱部分の上流側の部分や下流側の部分)よりも熱伝導性が高い構造とし、その構造とするために、例えば、介在部材における伝熱部分を他の部分よりも高い熱伝導性の材料で形成したり、介在部材における他の部分を伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、排気系を流れる排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムに関する。
車両等の排気系には、エンジンから排出される排気ガスに含まれる環境汚染物質(HC、CO、NOx等)を浄化するために、触媒等が設けられている。触媒には、浄化能力を活性化するための最適温度(活性温度)が存在する。エンジン始動時は、排気ガスの温度が低く、触媒の活性温度に達するまでに時間を要する。そこで、エンジン始動時等の排気ガスの温度が低いときに触媒の活性温度まで短時間で温度上昇させるために、触媒を暖機するための加熱装置を設ける場合がある。特許文献1には、加熱装置として化学反応蓄熱装置を設け、触媒の外周部に蓄熱物質を配置させ、蓄熱物質の化学反応の反応熱を利用して触媒を暖機することが開示されている。
化学蓄熱装置等の加熱装置を排気管等の外周部に配置させた場合、排気管等を介して触媒を外周部から加熱することが考えられる。排気管は、ステンレス等の熱伝導性の高い材料が使用されているので、横方向(排気ガスの流れる方向の下流方向や上流方向)への熱伝導が大きい。そのため、加熱装置で外周部から加熱しても、その熱が排気管の横方向に伝わり(熱が逃げ)、熱が排気管の内部に配設されている触媒に効率的に伝わらない。その結果、加熱装置の加熱効率が低下し、触媒を迅速に昇温できない。
そこで、本発明は、加熱対象を外周部から加熱する場合でも熱を加熱対象に効率的に伝えることができる排気ガス浄化システムを提供することを課題とする。
本発明に係る排気ガス浄化システムは、排気系を流れる排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムであって、排気ガス浄化システムにおける加熱対象と、加熱対象を加熱するための加熱手段とを備え、加熱手段と加熱対象とは、加熱手段と加熱対象との間に配置される介在部材と接するように配設され、介在部材の加熱対象と加熱手段との間に位置する伝熱部分を介在部材の他の部分よりも熱伝導性が高い構造とすることを特徴とする。
この排気ガス浄化システムでは、加熱手段と加熱対象と間の介在部材(例えば、排気管)と接するように配設される加熱手段によって、介在部材を介して外周部から加熱対象を加熱する。このように、加熱手段と加熱対象との間には介在部材が存在し、加熱手段からの熱は最初に介在部材に伝わり、その熱が介在部材から加熱対象に伝わる。しかし、介在部材が熱伝導性の高い材料で形成されていると、加熱手段からの熱が介在部材の横方向(排気ガスの流れる方向の下流方向や上流方向)に伝わって逃げていく。そこで、排気ガス浄化システムでは、介在部材における加熱対象と加熱手段との間に位置する伝熱部分をその他の部分よりも熱伝導性が高い構造としている。このような構造とすることにより、介在部材において伝熱部分のほうが他の部分よりも熱伝導性が高いので、介在部材において伝熱部分(加熱手段が配置されている部分)のほうが他の部分よりも熱が伝わり易い(熱伝導が大きい)。そのため、加熱手段から介在部材に熱が伝わったときに、介在部材において伝熱部分以外の部分に熱が伝わるのが抑制される。その結果、加熱手段からの熱が介在部材を介して加熱対象に効率的に伝わる。このように、この排気ガス浄化システムは、介在部材における加熱対象と加熱手段との間の伝熱部分を他の部分よりも熱伝導性が高い構造とすることにより、加熱対象を介在部材を介して外周部から加熱する場合でも、加熱手段からの熱を介在部材を介して加熱対象に効率的に伝えることができ、加熱手段による加熱対象への加熱効率が向上する。その結果、加熱対象を迅速に昇温できる。
本発明の上記排気ガス浄化システムでは、介在部材における伝熱部分を他の部分よりも高い熱伝導性の材料で形成する構成としてもよい。このように、介在部材の伝熱部分を他の部分よりも高い熱伝導性の材料で形成することにより、介在部材の伝熱部分を他の部分よりも熱伝導性が高い構造とすることができる。
本発明の上記排気ガス浄化システムでは、介在部材における他の部分を伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成する構成としてもよい。このように、介在部材における他の部分を伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成することにより、介在部材の伝熱部分を他の部分よりも熱伝導性が高い構造(他の部分を伝熱部分よりも熱伝導性が低い構造)とすることができる。
本発明の上記排気ガス浄化システムでは、加熱手段は、化学蓄熱装置であり、化学蓄熱装置は、反応媒体を吸着材で吸着して貯蔵する吸着器と、吸着器に接続され、吸着器から供給された反応媒体と化学反応して熱を発生させる反応材を収納する反応器とを有し、反応器は、反応材が介在部材の外周面に沿って配設され、反応材と反応材の外周部に設けられた断熱材とがケーシングで封入され、ケーシングの少なくとも一部を介在部材における伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成する構成としてもよい。
この排気ガス浄化システムでは、化学蓄熱装置によって、介在部材を介して外周部から加熱対象を加熱する。この化学蓄熱装置では、吸着器と反応器とが接続されており、吸着器では反応媒体を吸着材で吸着して貯蔵し、反応器では吸着器からの反応媒体と反応材とが化学反応して熱を発生させる。反応器は、反応材が介在部材の外周面(加熱対象が配設されている箇所)に沿って配設されており、介在部材を介して外周部から加熱対象を加熱する。また、反応器は、反応材と反応材の外周部に設けられた断熱材とがケーシングで封入されている。このケーシングは、介在部材と接触しているので、介在部材からの熱がケーシングにも伝わる。そのため、ケーシングが熱伝導性の高い材料で形成されていると、反応材から介在部材に伝わった熱がケーシングに伝わったときに、ケーシングの外周部側に伝わって放熱する。そこで、排気ガス浄化システムでは、ケーシングの少なくとも一部を介在部材における伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成することによって、その部分が介在部材側よりも熱伝導性が低い構造としている。このような構造とすることにより、ケーシングにおいてその部分が介在部材側よりも熱伝導性が低いので、ケーシングにおいて外周部側に熱が伝わり難い(熱伝導が小さい)。そのため、介在部材から熱が伝わったときに、ケーシングにおいて外周部側に熱が伝わるのが抑制される。このように、この排気ガス浄化システムは、化学蓄熱装置の反応器のケーシングの一部を他の部分よりも低い熱伝導性の材料で形成することにより、反応器によって加熱対象を介在部材を介して外周部から加熱する場合でも、介在部材から伝わった熱をケーシングで放熱されることを抑制でき、加熱手段による加熱対象への加熱効率が更に向上する。
本発明によれば、介在部材における加熱対象と加熱手段との間の伝熱部分を他の部分よりも熱伝導性が高い構造とすることにより、加熱対象を介在部材を介して外周部から加熱する場合でも、加熱手段からの熱を介在部材を介して加熱対象に効率的に伝えることができ、加熱手段による加熱対象への加熱効率が向上する。
以下、図面を参照して、本発明に係る排気ガス浄化システムの実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施の形態では、本発明に係る排気ガス浄化システムを、車両のエンジンの排気系に設けられる排気ガス浄化システムに適用する。本実施の形態に係る排気ガス浄化システムは、エンジン(特に、ディーゼルエンジン)から排出される排気ガス中に含まれる有害物質(環境汚染物質)を浄化するシステムである。本実施の形態に係る排気ガス浄化システムは、触媒のDOC[Diesel Oxidation Catalyst]、SCR[SelectiveCatalytic Reduction]、ASC[Ammonia Slip Catalyst]及びフィルタのDPF[Diesel Particulate Filter]を備えている。また、本実施の形態に係る排気ガス浄化システムは、触媒(DOC)を暖機するための化学蓄熱装置も備えている。本実施の形態には、化学蓄熱装置からの熱を加熱対象の触媒に効率的に伝えるための構造が異なる4つの実施形態がある。
図1を参照して、第1〜第4の実施の形態で共通する排気浄化システム1の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る排気浄化システムの概略構成図である。
排気浄化システム1は、エンジン2の排気側に接続された排気管3の上流側から下流側に向けて、ディーゼル酸化触媒(DOC)4、ディーゼル排気微粒子除去フィルタ(DPF)5、選択還元触媒(SCR)6、アンモニアスリップ触媒(ASC)7を有している。
DOC4は、排気ガス中に含まれるHCやCO等を酸化する触媒である。DPF5は、排気ガス中に含まれるPMを捕集して取り除くフィルタである。SCR6は、インジェクタ6aによって排気管3内の上流側にアンモニア(NH3)あるいは尿素水(加水分解してアンモニアになる)が供給されると、アンモニアと排気ガス中に含まれるNOxとを化学反応させることによって、NOxを還元して浄化する触媒である。ASC7は、SCR6をすり抜けて下流側に流れたアンモニアを酸化する触媒である。
各触媒4,6,7には、環境汚染物質に対する浄化能力を発揮できる温度領域(すなわち、活性温度)が存在する。例えば、DOC4の活性温度の下限は150℃程度である。しかし、エンジン2の始動直後などは、エンジン2から排出された直後の排気ガスの温度は100℃程度と比較的低温である。そこで、エンジン2の始動直後などでも、各触媒4,6,7で浄化能力を発揮させるために、各触媒4,6,7での温度を迅速に活性温度にする必要がある。そのために、排気浄化システム1は、触媒の暖機を行う化学蓄熱装置8も有している。なお、排気浄化システム1には、エンジン2から排出された排気ガスの温度(あるいは、触媒の温度)を検出する温度センサが設けられている。
化学蓄熱装置8は、外部エネルギレスで触媒を暖機する化学蓄熱装置である。つまり、化学蓄熱装置8は、通常は排気ガスの熱(排熱)を蓄えておき、必要なときにその熱を使用して触媒を暖機する。特に、化学蓄熱装置8は、排気管3における上流に位置する触媒であるDOC4を外周部から暖機(加熱)する。上流で暖機することによって、暖機で昇温した排気ガスが下流の触媒(SCR6、ASC7)に流れる。化学蓄熱装置8は、反応器9、吸着器10、接続管11、開閉弁12等を備えている。なお、本実施の形態では、DOC4が特許請求の範囲に記載する加熱対象に相当し、化学蓄熱装置8(特に、反応器9)が特許請求の範囲に記載する加熱手段に相当する。
反応器9は、排気管3を介してDOC4の外周部の全周面に設けられ、断面形状が排気管3を囲むドーナツ形状である。この断面ドーナツ形状の断面は、反応器9を排気ガスの流れる方向に対して垂直に切った流路断面である。図2等に示すように、反応器9は、アンモニア(反応媒体)と化学反応する固体状又は粉末状の反応材9aを有している。反応器9では、アンモニアと反応材9aとが化学反応して化学吸着(配位結合)し、熱を発生させる。また、反応器9では、所定温度以上になると反応材9aとアンモニアとが分離して、アンモニアを放出し始め、それより高い所定温度になるとアンモニアを殆ど放出する。これらの各温度は、反応材9aとアンモニアとの組み合わせによって変わる。反応材9aとしては、アンモニアと化学反応して発熱し、触媒の活性温度以上に昇温できる材料を用い、例えば、2価の塩化物(MCl2)、2価の臭化物(MBr2)、2価のヨウ化物(MI2)であり、MはMg、Ni、Co、Fe、Mn、Ca、Sr、Ba、Cu、Cr等が適している。なお、反応器9はDOC4の外周部を囲むものであれば、断面ドーナツ形状に限らず様々な断面構造のものを使用することができる。
反応材9aは、DOC4が配設される箇所の排気管3の外周面の全周に接するように配設される。反応材9aの排気ガスの流れる方向の長さは、DOC4の長さよりも長く、DOC4の全体を外周部で覆う十分な長さを有している。したがって、排気管3の外周面に接するように配設された反応材9aは、薄い排気管3を介してDOC4全体を直接暖機できる。この加熱対象であるDOC4も、排気管3の内周面の全周に接するように配設されている。なお、本実施の形態では、排気管3が特許請求の範囲に記載する介在部材に相当し、反応材9aが配設される排気管3の部分が特許請求の範囲に記載する伝熱部分に相当し、その部分の上流側の部分と下流側の部分が特許請求の範囲に記載する他の部分に相当する。
さらに、図2等に示すように、反応器9は、反応材9aを覆う断熱材9bを有している。断熱材9bは、反応材9aの外側全面(排気管3と接触している部分以外の全部分)を覆うように配設され、断面形状がドーナツ形状である。このドーナツ形状の内径は、反応材9aが有る部分と反応材9aが無い部分とで変わり、反応材9aが有る部分のほうが大きい。さらに、反応器9は、反応材9a及び断熱材9bを収納するケーシング9cを有している。ケーシング9cは、断熱材9bの外側全面(排気管3及び反応材9aと接触している部分以外の全部分)を覆うように配設され、排気管3との間で密閉された空間を形成し、その中に反応材9a及び断熱材9bを封入している。このように、反応材9aは密閉空間内に封入されているので、アンモニアと繰り返し化学反応できる。
吸着器10は、アンモニアと物理吸着する吸着材としての活性炭が内蔵されている。吸着器10では、アンモニアを活性炭と物理吸着させた状態で貯蔵して、排気ガスの排熱(温まったアンモニア)を蓄えるとともに、アンモニアを活性炭から分離させてアンモニアを放出して、アンモニアを反応器9に供給する。
接続管11は、反応器9と吸着器10とを接続し、反応器9と吸着器10との間でアンモニアを移動させる管路である。開閉弁12は、接続管11の途中に配設される。開閉弁12が開弁されると、接続管11を介して反応器9と吸着器10との間でアンモニアの移動が可能となる。なお、この開閉弁12の開閉制御は、エンジン2を制御するECU[Electronic Control Unit](図示せず)等で行われる。
以上のように構成した排気浄化システム1における化学蓄熱装置8(特に、反応器9)の動作を説明する。車両停止中(エンジン2が停止中)は、開閉弁12は閉じられている。したがって、吸着器10において活性炭からアンモニアが分離していても、接続管11を介してアンモニアが反応器9に供給されない。
エンジンが始動後に、エンジンから排出された排気ガスの温度が所定温度(触媒の活性温度に基づいて設定された温度)より低いときには(エンジンの始動直後など)、ECUによる制御によって開閉弁12が開かれ、接続管11を介してアンモニアが反応器9に供給される。このとき、吸着器10の圧力が反応器9の圧力よりも高く、アンモニアが反応器9側に移動する。反応器9では、供給されたアンモニアと反応材9aとが化学反応して化学吸着し、熱を発生する。この熱は、排気管3に伝わり、排気管3(伝熱部分)からDOC4に伝わる。これによって、DOC4が加熱され、温度がDOC4の活性温度以上になると、DOC4で排気ガスを浄化できる。なお、反応材9aからの熱が排気管3を介してDOC4まで効率的に伝わるための(加熱効率を向上させるための)構造を、以下の第1〜第4の実施の形態で説明する。
エンジンから排出された排気ガスの温度が所定温度より高くなると、排気ガスの排熱によって、反応器9では、アンモニアと反応材9aとが分離し、アンモニアが発生する。この分離したアンモニアは、開閉弁12が開かれているので、反応器9から接続管11を介して吸着器10に戻る。このとき、反応器9の圧力が吸着器10の圧力よりも高く、アンモニアが吸着器10側に移動する。吸着器10では、吸着材がアンモニアを物理吸着して貯蔵する。吸着器10に設けられている圧力センサの圧力値がアンモニアの満貯蔵状態を示す圧力値になった場合、ECUでは開閉弁12を閉じる。
なお、排気管3や反応器9のケーシング9cは、熱伝導性の比較的高い材料で形成されており、例えば、ステンレスである。また、化学蓄熱装置8の加熱対象であるDOC4は、断面環状の薄い排気管3内に配設されたハニカム基材に触媒が担持された構造である。このハニカム基材の材料は、例えば、コーディライト、メタルである。
それでは、まず、図2を参照して、第1の実施の形態に係る化学蓄熱装置8(特に、反応器9の反応材9a)からの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えるための構造について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る反応器周辺の拡大図である。なお、図2〜図5の拡大図では、反応器周辺の構造を模式的な側断面で示している。
第1の実施の形態に係る構造は、図2に示すように、排気管3における反応材9aが配設されている部分(伝熱部分)を十分に含む部分(全周にわたって)3aが排気管3の他の部分よりも高い熱伝導性(熱伝導率)の材料で形成されている。この高熱伝導材部分3aの材料としては、例えば、ステンレスよりも熱伝導性が高いSiCがある。
このように高熱伝導材部分3aを排気管3に形成することにより、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)がその上流側の部分及び下流側の部分(他の部分)よりも熱伝導性が高い構造となる。このような構造とすることにより、排気管3において高熱伝導材部分3aがその上流側や下流側よりも熱伝導性が高いので、排気管3において反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)がその上流側や下流側(他の部分)よりも熱が伝わり易い(熱伝導が大きい)。そのため、反応器9においてアンモニアと反応材9aとが化学反応して熱を発生して、反応材9aから排気管3に熱が伝わったときに、排気管3において伝熱部分で熱が伝わるのが促進され、伝熱部分を介してDOC4に熱が伝わり易くなる。これにより、排気管3において伝熱部分の上流側や下流側に熱が伝わるのが抑制され(熱が逃げるのが抑制される)、さらに、反応器9のケーシング9cに熱が伝わるのが抑制される(ケーシング9cからの放熱が抑制される)。その結果、反応材9aからの熱が排気管3(伝熱部分)を介してDOC4に効率的に伝わる。
この第1の実施の形態に係る構造によれば、排気管3に高熱伝導材部分3a(反応材9aが配設されている箇所)を形成することにより、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)をその上流側の部分及び下流側の部分(他の部分)よりも熱伝導性が高い構造とするができ、DOC4を排気管3を介して外周部から加熱する場合でも、反応材9aからの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えることができ、化学蓄熱装置8によるDOC4への加熱効率が向上する。その結果、DOC4を迅速に昇温でき、早期にDOC4の活性温度に達し、DOC4で排気ガスを浄化できる。また、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)の熱伝導性が高い構造のため、排気ガスの排熱によって温められたDOC4から反応材9aへ熱を効率的に伝えることができ、反応材9aからアンモニアの分離、回収を効率的に行うことができる。
次に、図3を参照して、第2の実施の形態に係る化学蓄熱装置8(特に、反応器9の反応材9a)からの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えるための構造について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る反応器周辺の拡大図である。
第2の実施の形態に係る構造は、第1の実施の形態に係る構造を有する上に、以下の構造も有している。特に、第2の実施の形態に係る構造は、図3に示すように、DOC4のハニカム基材4aが一般に用いられているハニカム基材よりも高い熱伝導性の材料で形成されている。このハニカム基材4aの材料としては、例えば、SiCがある。
第2の実施の形態に係る構造では、第1の実施の形態に係る構造と同様に、反応材9aから排気管3に熱が伝わったときに、排気管3において伝熱部分で熱が伝わるのが促進され、反応材9aからの熱が排気管3を介してDOC4に効率的に伝わる。さらに、DOC4のハニカム基材4aを高熱伝導性材料で形成することにより、DOC4へ熱が伝わるのが更に促進されるととともに、DOC4内でも熱が内部まで伝わり易くなる。その結果、反応材9aからの熱が排気管3を介してDOC4に更に効率的に伝わる。
この第2の実施の形態に係る構造では、第1の実施の形態に係る構造の効果に加えて以下の効果も有している。第2の実施の形態に係る構造によれば、DOC4のハニカム基材4aを高熱伝導材料で形成することにより、DOC4を排気管3を介して外周部から加熱する場合でも、反応材9aからの熱を排気管3を介してDOC4に更に効率的に伝えることができ、化学蓄熱装置8によるDOC4への加熱効率が更に向上する。その結果、DOC4をより迅速に昇温でき、より早くDOC4の活性温度に達し、DOC4で排気ガスを浄化できる。
次に、図4を参照して、第3の実施の形態に係る化学蓄熱装置8(特に、反応器9の反応材9a)からの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えるための構造について説明する。図4は、第3の実施の形態に係る反応器周辺の拡大図である。
第3の実施の形態に係る構造は、図4に示すように、排気管3における反応材9aが配設されている部分(伝熱部分)の上流側かつ反応器9のケーシング9cの上流側の接続箇所よりも下流側の一部分(全周にわたって)3b及び反応材9aが配設されている部分の下流側かつケーシング9cの下流側の接続箇所よりも上流側の一部分(全周にわたって)3cが排気管3の他の部分よりも低い熱伝導性の材料で形成されている。この各部分3b,3cの長さは、低い熱伝導性の材料を設けることによる下記の効果が得られ、上記の反応材9aの配設されている箇所の端部からケーシング9cの接続箇所までの範囲(断熱材9bと接触する部分)を含むように配設されていれば適宜設定してよい。この低熱伝導材部分3b,3cの材料としては、例えば、ステンレスよりも熱伝導性が低いアルミナ、シリカがある。
このように低熱伝導材部分3b,3cを排気管3の反応材9aが配設されている部分より上流側と下流側に形成することにより、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)がその上流側の部分及び下流側の部分(他の部分)よりも熱伝導性が高い構造となる。このような構造とすることにより、排気管3において上流側の低熱伝導材部分3b及び下流側の低熱伝導材部分3cがその間の部分よりも熱伝導性が低いので、排気管3において伝熱部分の上流側や下流側に熱が伝わり難い(熱伝導が小さい)。そのため、反応器9においてアンモニアと反応材9aとが化学反応して熱を発生して、反応材9aから排気管3に熱が伝わったときに、排気管3において伝熱部分の上流側や下流側に熱が伝わるのが抑制され、上流側や下流側に熱が逃げるのを抑制でき、伝熱部分を介してDOC4に熱が伝わり易くなる。さらに、排気管3において低熱伝導材部分3b,3cを反応器9のケーシング9cの接続箇所よりも少なくとも内側に位置するように形成しているので、反応材9aから排気管3に伝わった熱がケーシング9cに伝わるのも抑制され、ケーシング9cの外周部側からの放熱を抑制できる。その結果、反応材9aからの熱が排気管3の伝熱部分を介してDOC4に効率的に伝わる。
この第3の実施の形態に係る構造によれば、排気管3に低熱伝導材部分3b,3c(反応材9aの上流側かつケーシング9cの上流側の接続箇所の下流側と反応材9aの下流側かつケーシング9cの下流側の接続箇所の上流側)を形成することにより、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)をその上流側の部分及び下流側の部分(他の部分)よりも熱伝導性が高い構造とするができ、DOC4を排気管3を介して外周部から加熱する場合でも、反応材9aからの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えることができ、化学蓄熱装置8によるDOC4への加熱効率が向上する。その結果、DOC4を迅速に昇温でき、早期にDOC4の活性温度に達し、DOC4で排気ガスを浄化できる。特に、第3の実施の形態に係る構造の場合、反応材9aの上流側かつケーシング9cの上流側の接続箇所の下流側と反応材9aの下流側かつケーシング9cの下流側の接続箇所の上流側に低熱伝導材部分3b,3cに位置させることにより、排気管3だけに低熱伝導材部分3b,3cを形成するだけで、ケーシング9cに熱が伝わるのも抑制でき、ケーシング9cからの放熱も抑制できる。
次に、図5を参照して、第4の実施の形態に係る化学蓄熱装置8(特に、反応器9の反応材9a)からの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えるための構造について説明する。図5は、第4の実施の形態に係る反応器周辺の拡大図である。
第4の実施の形態に係る構造は、図5に示すように、排気管3における反応器9のケーシング9cの上流側の接続箇所よりも上流側の一部分(全周にわたって)3d及びケーシング9cの下流側の接続箇所よりも下流側の一部分(全周にわたって)3eが排気管3の他の部分よりも低い熱伝導性の材料で形成されている。この各部分3d,3eの長さは、低い熱伝導性の材料を設けたことによる下記の効果が得られれば、適宜設定してよい。さらに、反応器9のケーシング9cにおける排気管3の外周面に対して上流側の垂直な面の一部分(全周にわたって)9d及びケーシング9cにおける下流側の垂直な面の一部分(全周にわたって)9eが排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)よりも低い熱伝導性の材料で形成されている。この各部分9d,9eの長さは、低い熱伝導性の材料を設けたことによる下記の効果が得られ、ケーシング9cの垂直な面の長さ未満の長さであれば、適宜設定してよい。この低熱伝導材部分3d,3e,9d,9eの材料としては、例えば、ステンレスよりも熱伝導性が低いアルミナ、シリカがある。低熱伝導材部分3d,3eと低熱伝導材部分9d,9eとの各材料は、排気管3の材料やケーシング9cの材料に応じて、同じ材料でもよいし、あるいは、異なる材料でもよい。
このように低熱伝導材部分3d,3eを排気管3の反応器9が配設されている部分より上流側と下流側に形成することにより、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)がその上流側の部分及び下流側の部分(他の部分)よりも熱伝導性が高い構造となる。このような構造とすることにより、第3の実施の形態と同様に、排気管3において伝熱部分の上流側や下流側(特に、ケーシング9cよりも上流側や下流側)に熱が伝わり難く、反応材9aから排気管3に熱が伝わったときに排気管3において伝熱部分の上流側や下流側に熱が逃げるのを抑制できる。さらに、低熱伝導材部分9d,9eを反応器9のケーシング9cの上流側と下流側の垂直な面に形成することにより、ケーシング9cにおいて低熱伝導材部分9d,9eが排気管3側よりも熱伝導性が低い構造となる。このような構造とすることにより、ケーシング9cにおいてその低熱伝導材部分9d,9eが排気管3側よりも熱伝導性が低いので、ケーシング9cにおいて低熱伝導材部分9d,9eから外周部側に熱が伝わり難い。そのため、反応器9においてアンモニアと反応材9aとが化学反応して熱を発生して、反応材9aから排気管3に熱が伝わり、その熱が排気管3からケーシング9cに伝わったときに、ケーシング9cの低熱伝導材部分9d,9eよりも外周部側に熱が伝わるのが抑制され、ケーシング9cの外周部側からの放熱を抑制できる。その結果、反応材9aからの熱が排気管3の伝熱部分を介してDOC4に効率的に伝わる。
この第4の実施の形態に係る構造によれば、排気管3に低熱伝導材部分3d,3e(ケーシング9cの接続箇所の上流側と下流側)を形成することにより、排気管3における反応材9aからDOC4に熱が伝わる部分(伝熱部分)をその上流側の部分及び下流側の部分(他の部分)よりも熱伝導性が高い構造とするができ、DOC4を排気管3を介して外周部から加熱する場合でも、反応材9aからの熱を排気管3を介してDOC4に効率的に伝えることができ、化学蓄熱装置8によるDOC4への加熱効率が向上する。また、第4の実施の形態に係る構造によれば、反応器9のケーシング9cに低熱伝導材部分9d,9e(ケーシング9cの上流側と下流側の垂直な面)を形成することにより、ケーシング9cにおける低熱伝導材部分9d,9eを排気管3側よりも熱伝導性が低い構造とするができ、DOC4を排気管3を介して外周部から加熱し、排気管3からケーシング9cに熱が伝わった場合でも、ケーシング9cからの放熱を抑えることができ、化学蓄熱装置8によるDOC4への加熱効率が更に向上する。その結果、DOC4を迅速に昇温でき、早期にDOC4の活性温度に達し、DOC4で排気ガスを浄化できる。特に、第4の実施の形態に係る構造の場合、排気管3において反応器9が配置される箇所は他の箇所より高圧となるので、低熱伝導材部分が高圧の影響を受けるのを避けるために、反応器9よりも外側に低熱伝導材部分3d,3eを位置させている。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では触媒としてDOC、SCR及びASC、フィルタとしてDPFを備える排気浄化システムに適用したが、他の様々な構成の排気浄化システムに適用できる。また、車両もディーゼルエンジン車としたが、ガソリンエンジン車等にも適用できる。また、車両以外の排気浄化システムにも適用できる。
また、本実施の形態では加熱手段として化学蓄熱装置に適用したが、外周部から加熱できれば他の加熱手段でもよく、例えば、電気ヒータがある。また、加熱対象として触媒のDOCとしたが、加熱対象としては他のものでよく、例えば、SCR等の他の触媒がある。
また、本実施の形態では加熱対象と加熱手段との間の介在部材が排気管であったが、介在部材としては他の場合もあり、例えば、化学蓄熱装置の反応器が排気管の内部に入り込んで配設されている構成では、反応器のケーシングが介在部材となる。
また、本実施の形態では高熱伝導材料と低熱伝導材料の一例を示したが、この各材料については排気管の材料の熱伝導性(熱伝導率)、反応器のケーシングの材料の熱伝導性に応じて適した材料を選択すればよい。
また、第1、第2の実施の形態に係る構造(一部に高熱伝導性材料を用いる構造)と第3、第4の実施の形態に係る構造(一部に低熱伝導性材料を用いる構造)とを組み合わせた構造としてもよい。また、第1〜3の実施の形態に係る構造と第4の実施の形態に係る構造(反応器のケーシングに低熱伝導材部分を形成した構造)とを組み合わせた構造としてもよい。
また、本実施の形態ではDOC(加熱対象)の外周面の全面が排気管3(介在部材)の内周面に接する構成としているが、加熱対象の少なくとも一部が介在部材に接していればよい。また、本実施の形態では反応器(加熱手段)の内周面の全面が排気管3(介在部材)の外周面に接する構成としているが、加熱手段の少なくとも一部が介在部材に接していればよい。
1…排気浄化システム、2…エンジン、3…排気管、3a…高熱伝導材部分、3b,3c,3d,3e…低熱伝導材部分、4…ディーゼル酸化触媒(DOC)、4a…ハニカム基材、5…ディーゼル排気微粒子除去フィルタ(DPF)、6…選択還元触媒(SCR)、6a…インジェクタ、7…アンモニアスリップ触媒(ASC)、8…化学蓄熱装置、9…反応器、9a…反応材、9b…断熱材、9c…ケーシング、9d,9e…低熱伝導材部分、10…吸着器、11…接続管、12…開閉弁。
Claims (4)
- 排気系を流れる排気ガスを浄化する排気ガス浄化システムであって、
前記排気ガス浄化システムにおける加熱対象と、
前記加熱対象を加熱するための加熱手段と、
を備え、
前記加熱手段と前記加熱対象とは、前記加熱手段と前記加熱対象との間に配置される介在部材と接するように配設され、
前記介在部材の前記加熱対象と前記加熱手段との間に位置する伝熱部分を前記介在部材の他の部分よりも熱伝導性が高い構造とすることを特徴とする排気ガス浄化システム。 - 前記介在部材における前記伝熱部分を前記他の部分よりも高い熱伝導性の材料で形成することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
- 前記介在部材における前記他の部分を前記伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排気ガス浄化システム。
- 前記加熱手段は、化学蓄熱装置であり、
前記化学蓄熱装置は、反応媒体を吸着材で吸着して貯蔵する吸着器と、前記吸着器に接続され、前記吸着器から供給された反応媒体と化学反応して熱を発生させる反応材を収納する反応器とを有し、
前記反応器は、前記反応材が前記介在部材の外周面に沿って配設され、前記反応材と前記反応材の外周部に設けられた断熱材とがケーシングで封入され、
前記ケーシングの少なくとも一部を前記介在部材における前記伝熱部分よりも低い熱伝導性の材料で形成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
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