JP2014225994A - ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの製造方法 - Google Patents

ワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイヤーハーネス本体に対して車体固定用部品を、正確な位置に確実かつ容易に取付けられるようにすることを目的とする。【解決手段】ワイヤーハーネス10は、ワイヤーハーネス本体12と、車体に固定可能な車体固定部22と、前記車体固定部22から突出する長尺状のハーネス固定部26とを含み、ハーネス固定部26がワイヤーハーネス本体12に沿って配設された車体固定用部品20と、固定部材30とを備える。固定部材30は、不織部材がワイヤーハーネス本体12とハーネス固定部26とを囲んだ状態でホットプレスされることにより形成されている。【選択図】図1

Description

この発明は、車体固定用部品をワイヤーハーネス本体に取付けるための技術に関する。
特許文献1〜3に、車体固定用部品をワイヤーハーネス本体に取付けるための構成が開示されている。
特許文献1は、成形治具の注入成形室内に、留め具と複数本の電線をセットした状態で、注入成形室に合成樹脂係接着剤を注入して樹脂包括体を成形し、この樹脂包括体によって、複数本の電線と留め具とを包括固定する構成を開示している。
特許文献2は、コードクランプの固定部とワイヤーハーネスとを熱収縮チューブによって固定する構成を開示している。
特許文献3は、ワイヤーハーネス用クランプの基板とワイヤーハーネスとに、巻着バンド又はテープを巻付ける構成を開示している。
特開昭61−161913号公報 特開平7−336066号公報 特開平8−47146号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、注入成形室の内周表面と留め具及び複数本の電線との間の隙間に、合成樹脂係接着剤をうまく流し込むことは難しく、留め具と複数本の電線とを確実に固定できない恐れがある。
また、特許文献2に開示の技術によると、ワイヤーハーネスを熱収縮チューブに通す作業が必要となる。通常、ワイヤーハーネスの端部にはコネクタ等が取付けられるため、そのようなコネクタ取付作業の前に、予め各電線を熱収縮チューブに通しておく必要がある。このため、ワイヤーハーネスの製造作業が繁雑となる。また、電線を熱収縮チューブに通す作業自体、難作業であるという問題がある。
特許文献3に開示の技術によると、作業者が、ワイヤーハーネスに沿ってワイヤーハーネス用クランプを支持した状態で、巻着バンド又はテープの巻付作業を行う必要がある。このため、ワイヤーハーネス周りにおいてワイヤーハーネス用クランプを正確な位置に固定することは難しい。
そこで、本発明は、ワイヤーハーネス本体に対して車体固定用部品を、正確な位置に確実かつ容易に取付けられるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様にかかるワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス本体と、車体に固定可能な車体固定部と、前記車体固定部から突出する長尺状のハーネス固定部とを含み、前記ハーネス固定部が前記ワイヤーハーネス本体に沿って配設された車体固定用部品と、不織部材が前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを囲んだ状態でホットプレスされることにより形成された固定部材とを備える。
第2の態様は、第1の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記ハーネス固定部に、その長手方向において部分的に突出する位置決め突部が形成され、前記固定部材が前記位置決め突部に接しているものである。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記車体固定用部品は、前記車体固定部を挟んで両側に突出する、一対の前記ハーネス固定部を含み、前記一対のハーネス固定部が前記固定部材によって前記ワイヤーハーネス本体に固定されているものである。
第4の態様は、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記ワイヤーハーネス本体は、幹線部分と前記幹線部分から分岐する枝線部分とを含み、前記固定部材は、前記一対のハーネス固定部をそれぞれ囲む一対の前記固定部材を含み、前記枝線部分は、前記一対の固定部材の間を通って外方に引出されているものである。
第5の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法は、ワイヤーハーネス本体に沿って、車体固定用部品のハーネス固定部を配設する工程と、前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを不織部材によって囲む工程と、前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを囲む不織部材を、ホットプレス用成形型内に配設する工程と、前記ホットプレス用成形型によって、前記不織部材をホットプレスする工程とを備える。
第1の態様によると、固定部材は、不織部材が前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを囲んだ状態でホットプレスされることにより形成されており、この固定部材によって車体固定用部品のハーネス固定部がワイヤーハーネス本体に固定されているため、ワイヤーハーネス本体に対して車体固定用部品を、正確な位置に確実かつ容易に取付けることができる。
第2の態様によると、固定部材がハーネス固定部の位置決め突部に接しているため、ワイヤーハーネス本体部の長手方向に対して固定部材をより確実に位置決めできる。
第3の態様によると、前記一対のハーネス固定部が前記固定部材によって前記ワイヤーハーネス本体に固定されているため、車体固定用部品をより強固にワイヤーハーネス本体に固定することができる。
第4の態様によると、幹線部分から枝線部分を引出すことができ、かつ、その幹線部分における枝線部分の分岐位置を一定位置に維持することができる。
第5の態様によると、前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを不織部材によって囲み、この不織部材をホットプレス用成形型内に配設して、当該ホットプレス用成形型によって、前記不織部材をホットプレスしている。このため、ワイヤーハーネス本体に対して車体固定用部品を、正確な位置に確実かつ容易に取付けることができる。
実施形態に係るワイヤーハーネスを示す概略斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線部分断面図である。 ワイヤーハーネスの製造方法を示す説明図である。 ワイヤーハーネスの製造方法を示す説明図である。 ワイヤーハーネスの製造方法を示す説明図である。 ワイヤーハーネスの製造方法を示す説明図である。 比較例を示す説明図である。 比較例を示す説明図である。 第1変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。 第2変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。 同上のワイヤーハーネスを取付対象部位に取付けした状態を示す図である。
以下、実施形態に係るワイヤーハーネス及びワイヤーハーネスの製造方法について説明する。
図1はワイヤーハーネス10を示す概略斜視図であり、図2は図1のII−II線断面図であり、図3は図1のIII−III線部分断面図である。
このワイヤーハーネス10は、ワイヤーハーネス本体12と、車体固定用部品20と、固定部材30とを備える。
ワイヤーハーネス本体12は、少なくとも1本の電線を含んでいる。ここでは、ワイヤーハーネス本体12は、複数の電線が束ねられることにより構成されている。ワイヤーハーネス本体は、本車体固定用部品及び固定部材が設けられた部分、その他の部分で分岐していてもよい。ワイヤーハーネス本体が、本車体固定用部品及び固定部材が設けられた部分で分岐している例については後に説明する。ワイヤーハーネス本体は、本車体固定用部品及び固定部材が設けられた部分、その他の部分で曲っていてもよい。なお、電線は、車体等において各種電気機器間を電気的に相互接続する配線材である。ワイヤーハーネス本体に、光ケーブル等が含まれていてもよい。
車体固定用部品20は、樹脂等によって一体形成された部材であり、車体に固定可能な車体固定部22と、車体固定部22から突出する長尺状のハーネス固定部26とを含む。かかる車体固定用部品20は、袖型クランプとも呼ばれる部品である。車体固定部に対して一方側にのみハーネス固定部が延出しているものを片袖クランプといい、車体固定部に対して両側にハーネス固定部が延出しているものを両袖クランプということがある。ここでは、車体固定用部品20が両袖クランプである例で説明するが、片袖クランプであってもよい。
また、車体固定部22は、皿状部23と係止ロック部24とを備える。皿状部23は、係止ロック部24の頭部からその先端側に向けて順次広がる皿状に形成されている。また、係止ロック部24は、皿状部23の内側の中央部に突出形成された部材であり、柱部24aと、弾性係止片24bとを備える。柱部24aは、皿状部23の内側の中央部に突出形成された柱状部材であり、弾性係止片24bは、柱部24aの先端部から基端部に向けて広がりつつ延出する形状に形成されている。弾性係止片24bは、内外方向に弾性変形可能に構成されている。
本車体固定部22を、車両のボディ等に形成された固定孔に挿入すると、一対の弾性係止片24bが内側に弾性変形する。そして、一対の弾性係止片24bが固定孔の周縁部を越えると、一対の弾性係止片24bの先端部が固定孔の周縁部に対してボディの一方主面側より係止すると共に、皿状部23が固定孔の周縁部に対してボディの他方面側より当接する。これにより、ボディのうち固定孔の周縁部が皿状部23と一対の弾性係止片24bの先端部との間に挟持され、本車体固定部22がボディに対して取付け固定される。
上記車体固定部22を挟んで両側に突出するようにして、一対のハーネス固定部26が延出形成されている。ここでは、上記車体固定部22の頭部に支持部25が突設され、この支持部25から両側外方に延出するようにして、一対のハーネス固定部26が形成されている。
ハーネス固定部26は、細長板状に形成されている。ハーネス固定部26の幅は、ワイヤーハーネス本体12の外径よりも小さく設定されている。
また、ハーネス固定部26の先端部には、その長手方向において部分的に突出する位置決め突部27が、車体固定部22とは反対側に突出するように形成されている。ここでは、位置決め突部27は、ハーネス固定部26の先端部の延在方向(つまり、ハーネス固定部26の幅方向)に沿った突条に形成されている。
本実施形態では、一対のハーネス固定部26は、互いに反対側に向けて延び、従って、一対のハーネス固定部26が全体として直線状をなしている。もっとも、一対のハーネス固定部は、一定の角度(例えば、90度)をなしていてもよい。ワイヤーハーネス本体が曲っているような場合には、所定の角度をなす一対のハーネス固定部をワイヤーハーネス本体に固定することで、当該ワイヤーハーネス本体を曲げた状態に維持することができる。
上記車体固定用部品20は、車体固定部22を外向きにすると共に、一対のハーネス固定部26をワイヤーハーネス本体12に沿って配設した状態で、固定部材30によってワイヤーハーネス本体12に取付け固定される。
固定部材30は、不織部材がワイヤーハーネス本体12と一対のハーネス固定部26とを囲んだ状態でホットプレスされることにより形成される。ここでは、固定部材30の外形状は、円筒外形状をなすように形成される。もっとも、固定部材の外形状は、角柱外形状等をなしていてもよい。
ここで、不織部材としては、初期状態では柔軟であり、加熱工程を経ることにより硬くなることが可能なものを用いることができる。このような不織部材として、基本繊維と、これと絡み合う接着樹脂(バインダとも呼ばれる)とを含むものを用いることができる。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点(例えば、110℃〜115℃)を有する樹脂である。不織部材を基本繊維の融点よりも低くかつ接着樹脂の融点よりも高い加工温度に加熱すると、接着樹脂が溶融して基本繊維間に染込む。その後、不織部材が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化する。これより、不織部材が加熱前の状態よりも硬くなり、加熱時の成形形状に維持される。また、不織部材同士が接触している部分では、当該接触部分にも溶融した接着樹脂が染込んで固化する。これにより、不織部材同士の接触部分が接合される。
ただし、基本繊維は、接着樹脂の融点で繊維状態を保ち得る繊維であればよく、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、接着樹脂としては、基本繊維の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。接着樹脂は、粒状であっても繊維状であってもよい。また、芯繊維の外周に接着樹脂層を形成してバインダ繊維を構成し、これを基本繊維と絡み合わせるようにしてもよい。この場合の芯繊維としては、上記基本繊維と同材料のものを用いることができる。
基本繊維と接着樹脂の組み合わせとしては、基本繊維をPET(ポリエチレンテレフタレート)の樹脂繊維とし、接着樹脂をPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂とした例が挙げられる。この場合、基本繊維の融点はおよそ250℃であり、接着樹脂の融点は110℃〜150℃である。このため、不織部材を110℃〜250℃の温度に加熱すると、接着樹脂が溶融し、溶融せずに繊維状を保つ基本繊維間に染込む。そして、不織部材が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化し、上記成形形状の維持及び不織部材同士の接合を行う。
また、ホットプレスとは、不織部材に対する加熱処理及び不織部材を型に押付けて所定形状に形成する処理を施すことをいう。加熱処理と所定形状への形成処理とは、同時に行われてもよいし、或は、連続的に別々に行われてもよい。この実施形態に係る固定部材30を形成するのに適したホットプレス加工の例については後にさらに詳述する。
固定部材30は、ワイヤーハーネス本体12の長手方向の少なくとも一部と一対のハーネス固定部26とを囲んだ状態で硬化している。この固定部材30により、ハーネス固定部26がワイヤーハーネス本体12の外周に沿った状態で保持されている。
ここでは、一対のハーネス固定部26が別々の固定部材30によって囲まれている。もっとも、一対のハーネス固定部26が共通する固定部材30によって囲まれていてもよい。
また、ハーネス固定部26をワイヤーハーネス本体12の外周に沿った状態で保持するためには、固定部材30は、ハーネス固定部26の少なくとも一部を囲んでいればよい。
ここでは、固定部材30は、ハーネス固定部26の長手方向中間部から先端側全体を覆っている。これにより、ハーネス固定部26がより確実にワイヤーハーネス本体12に固定される。
また、固定部材30は、ハーネス固定部26の長手方向中間部から先端側全体を覆い、さらに、ハーネス固定部26の先端側に延出してワイヤーハーネス本体12を覆っている。このため、位置決め突部27は、ハーネス固定部26の長手方向において両側から固定部材30の内周部に接触している。これにより、ワイヤーハーネス本体12の長手方向において、車体固定用部品20がより確実に位置決めされる。
もっとも、固定部材がハーネス固定部の長手方向中間部から先端の位置決め突部に達する部分迄を覆い、固定部材が位置決め突部に対してその内側からのみ接触する構成であってもよい。この場合でも、ワイヤーハーネス本体12の長手方向において、少なくとも一方向側へは、車体固定用部品20をより確実に位置決めすることができる。また、かかる構成を、一対のハーネス固定部のそれぞれに適用することで、車体固定用部品20を、ワイヤーハーネス本体12の長手方向両側へ位置決めすることができる。
上記ワイヤーハーネス10の製造方法について説明する。図4〜図7は、ワイヤーハーネス10の製造方法を示す説明図である。
ここで、固定部材30を形成するためのホットプレス用成形型の構成例について説明する。
ホットプレス用成形型60は、下型62と、上型72とを備える。
下型62は、熱伝導性に優れた金属等により形成された部材であり、その一主面(上面)に下型面63が形成されている。下型面63は、概略的には、上方に開口する断面U字状の溝形状に形成されている。下型面63の長手方向の長さは、固定部材30の長さと同一に形成されている。
上型72は、熱伝導性に優れた金属等により形成された部材であり、その一主面(下面)に横断面弧状の溝形状に形成された上型面73が形成されている(図6及び図7参照)。上型面73は、上記下型面63の上方開口を塞ぎつつ当該下型面63内に配設可能な幅に形成されている。
そして、この上型面73が下型面63内に配置されることにより、上型面73と下型面63との間で、固定部材30を形成可能なスペースが形成される。
なお、上記下型62及び上型72は、一対の固定部材30を形成すべく、間隔をあけて2組設けられている。また、下型62及び上型72には、ヒーター等の加熱機構(図示省略)が設けられている。
上記ホットプレス用成形型60を用いて固定部材30を形成する方法について説明する。
まず、図4に示すように、ワイヤーハーネス本体12に沿って車体固定用部品20のハーネス固定部26を配設する。ここでは、車体固定部22を外方に向けた姿勢としつつ、ワイヤーハーネス本体12の上方部分にその長手方向に沿って一対のハーネス固定部26を配設する。
この際、2つの下型面63のそれぞれの上方開口部分に不織部材40を配設し、その不織部材40上にワイヤーハーネス本体12を配設し、そのワイヤーハーネス本体12に車体固定用部品20を配設するようにするとよい。
そして、図5に示すように、ワイヤーハーネス本体12とハーネス固定部26とを不織部材40によって囲む。ここでは、2つの下型面63のそれぞれの上方開口部分に配設された不織部材40、ワイヤーハーネス本体12及び一対のハーネス固定部26を、下型面63内に押込むようにする。すると、ワイヤーハーネス本体12が不織部材40を下型面63の形状に沿ったU字状に変形させ、これにより、不織部材40内に、ワイヤーハーネス本体12及びこれに沿って配設されたハーネス固定部26が挟込まれるように囲まれた状態となる。
この状態では、車体固定部22は、2つの下型62間で、2つの不織部材40間から露出した状態となっている。
なお、上記例では、不織部材40によってワイヤーハーネス本体12及びハーネス固定部26を囲む工程と、ワイヤーハーネス本体12及びハーネス固定部26を囲む不織部材40を下型面63内に配設する工程とが同時に行われているが、別々に、即ち、不織部材40をワイヤーハーネス本体12及びハーネス固定部26に巻付けた後、ワイヤーハーネス本体12及びハーネス固定部26を囲む不織部材40を下型面63内に配設してもよい。
そして、図6及び図7に示すように、上型72を下降させて、ワイヤーハーネス本体12とハーネス固定部26とを囲む不織部材40を、ホットプレス用成形型60内、即ち、下型面63と上型面73との間に配設する。
そして、下型面63と上型面73との間で不織部材40を加圧圧縮した状態で、下型面63及び上型面73を加熱して、不織部材40をホットプレスすると、この後、不織部材40が冷却されると、不織部材40の表面が下型面63及び上型面73の形状に応じた形状で硬化する。また、不織部材40のうち互いの接触部分同士が接合される。これにより、不織部材40がワイヤーハーネス本体12とハーネス固定部26とを囲んだ状態が維持される。
なお、不織部材40の圧縮率(圧縮前の厚みに対する圧縮後の厚みの割合い)は、50%程度とすることが好ましい。この程度の圧縮率とすることで、ワイヤーハーネスの保護材として用いられているコルゲートチューブと同程度の保護性能を得ることができるからである。
このように形成された固定部材30は、ワイヤーハーネス本体12の外周部及びハーネス固定部26の外周部にその外形状に応じて変形した状態で、それらの外周部に押付けられている。このため、固定部材30は、ワイヤーハーネス本体12の周方向にずれ難い。また、ハーネス固定部26も、ワイヤーハーネス本体12の周方向に位置ずれし難い。
以上のように構成されたワイヤーハーネス10に及びその製造方法によると、固定部材30は、不織部材40がワイヤーハーネス本体12とハーネス固定部26とを囲んだ状態でホットプレスされることにより形成されており、この固定部材30によって車体固定用部品20のハーネス固定部26がワイヤーハーネス本体12に固定されているため、ワイヤーハーネス本体12に対して車体固定用部品20を正確な位置に確実且つ容易に取付固定することができる。
また、例えば、上記ハーネス固定部26を粘着テープ等で固定する場合には、人手によってワイヤーハーネス本体12に対して車体固定用部品20を支持した状態で、粘着テープをきつく、多数回巻付作業する必要があるため、当該巻回作業中にワイヤーハーネス本体12に対する車体固定用部品20の位置ずれが生じ易かった。しかしながら、本実施形態では、不織部材40をワイヤーハーネス本体12及びハーネス固定部26に軽くかつ少ない周回数(例えば、1周程度)巻付けた後、不織部材40をホットプレス用成形型60によってホットプレスすればよいため、当該作業中に車体固定用部品20が位置ずれし難い。
また、図8及び図9に示すように、ハーネス固定部26を粘着テープT等で固定した構成では、粘着テープTの粘着層と、ワイヤーハーネス本体12の外周部又はハーネス固定部26との間でずれが生じ易く、車体固定用部品20とワイヤーハーネス本体12との相対的な位置関係がずれる恐れがあった。
このため、例えば、車体固定用部品20の固定対象部位90(車体の一部)がワイヤーハーネス本体12側への突起部分92を有している場合には、車体固定用部品20に対してワイヤーハーネス本体12の位置がずれ、突起部分92が粘着テープTに接触してしまう恐れがあった。粘着テープTに突起部分92が接すると、粘着テープTが伸されて弛んでしまい、車体固定用部品20に対してワイヤーハーネス本体12がさらに位置ずれしてしまう恐れがあった。そして、車体固定用部品20に対してワイヤーハーネス本体12が大きく位置ずれしてしまうと、ワイヤーハーネス本体12が車両の周辺部分に干渉しないように保持するという位置決め性能に劣ってしまう恐れがあった。
これに対して、本実施形態では、固定部材30はホットプレスにより所定形状で硬化しており、この状態で、固定部材30の内周部は、ワイヤーハーネス本体12の外周部及びハーネス固定部26に押付けられている。このため、固定部材30は、ワイヤーハーネス本体12の周方向にずれ難いし、また、ハーネス固定部26も、ワイヤーハーネス本体12の周方向に位置ずれし難い。これにより、ワイヤーハーネス本体12に対してより一定位置で車体固定用部品20を固定支持することができる。
また、不織部材40によってハーネス固定部26及びワイヤーハーネス本体12を囲んだ状態で、ハーネス固定部26の位置調整も容易に行えるので、ハーネス固定部26をワイヤーハーネス本体12の中心軸に沿って正確な位置に配設することも、また、ハーネス固定部26をワイヤーハーネス本体12の中心軸から意図的に側方にずらして配設することも容易である。このため、ハーネス固定部26をワイヤーハーネス本体12に対して所望の正確な位置に容易に固定できる。
また、上記不織部材40は、ハーネス固定部26及びワイヤーハーネス本体12に対して巻付ければよいため、熱収縮チューブを用いた例のように、ワイヤーハーネス本体12を筒状部材に通す作業を行わなくてもよい。この点からも、固定部材30を容易に形成できる。
また、上記固定部材30については、ホットプレスする際の圧縮度合、加熱温度、含まれるバインダの割合い等を適宜調整することで、比較的硬く加工することも、比較的柔らかく加工することも可能である。このため、配設箇所の必要性に応じて、干渉音を抑制すべく柔軟に加工しても、また、保護性能、経路規制性能等を重視して硬く加工してもよい。
また、固定部材30は、ハーネス固定部26の位置決め突部27に接した状態で、ワイヤーハーネス本体12及びハーネス固定部26を囲っているため、ワイヤーハーネス本体12の長手方向に対して車体固定用部品20をより確実に位置決めできる。
また、車体固定用部品20は、一対のハーネス固定部26を含み、当該一対のハーネス固定部26が固定部材30によってワイヤーハーネス本体12に固定されているため、車体固定用部品20をより強固にワイヤーハーネス本体12に対して固定することができる。
図10は、第1変形例に係るワイヤーハーネス110を示す斜視図である。
このワイヤーハーネス110では、ワイヤーハーネス本体112は、幹線部分112aと当該幹線部分112aから分岐する枝線部分112bとを含む。通常、幹線部分112aは、枝線部分112bよりも多数の電線を含み、当該枝線部分112bよりも太径である部分である。ここでは、幹線部分112aは、直線状に延在している。枝線部分112bは、幹線部分112aよりも少数の電線を含み、当該幹線部分112aよりも細径である部分である。もっとも、幹線部分112aが枝線部分112bよりも多数の電線を含むこと、或は、枝線部分112bよりも太径であることは必須ではなく、ある経路に沿って配設される電線群の一部の電線が分岐していればよい。
本ワイヤーハーネス110では、一対のハーネス固定部26のそれぞれを囲む一対の固定部材30の間を通って、枝線部分112bが外方に引出されている。
このため、本車体固定用部品20が配設された部分で、幹線部分112aから枝線部分112bを引出す経路設計を実現することができる。また、幹線部分112aにおける枝線部分112bの分岐位置を、一対の固定部材30間で一定位置に維持することができる。なお、一対の固定部材30の隙間は、枝線部分112bを引出可能な範囲でより小さく設定されていてもよい。
図11は第2変形例に係るワイヤーハーネス210を示す斜視図であり、図12は同ワイヤーハーネス210を固定対象部位90に固定した状態を示す説明図である。
このワイヤーハーネス210では、ワイヤーハーネス本体212は、幹線部分212aと当該幹線部分112aから分岐する複数(ここでは2つ)の枝線部分212bとを含む。
2つの枝線部分212bは、幹線部分112aの両側外方(つまり、互いに相反する方向)に引出されている。また、ここでは、2つの枝線部分212bは、ワイヤーハーネス本体212のうち車体固定部22が設けられた箇所で分岐され、一方の固定部材30によって、幹線部分112aの両側部位に保持され、当該一方の固定部材30の外向き端部から外方に引出されている。
通常、幹線部分212aから分岐する枝線部分212bを、当該幹線部分212aに沿わせた状態で粘着テープによって保持する場合、所定位置への保持作業の困難性等から、幹線部分212aの中心軸周りにおいて90度の誤差が許容されている。このため、例えば、2つの枝線部分212bを、幹線部分212aの両側部に保持しようとすると、それぞれ幹線部分212aの中心軸周りにおいて90度の取付誤差が許容されることになる。このため、取付誤差範囲内であっても、枝線部分212bが固定対象部位90側に偏って取付けられる。このため、当該枝線部分112bが固定対象部位90と干渉し易くなる。
これに対して、本実施形態では、上記枝線部分212bを、ワイヤーハーネス本体12に外周に沿わせた状態で、ハーネス固定部26と共に不織部材40によって囲み、この状態で、ホットプレスすることができる。このため、幹線部分112aの中心軸周りの位置において、枝線部分212bを位置精度よく取付けることができ、枝線部分212bと取付対象部位との干渉を有効に抑制することができる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10、110、210 ワイヤーハーネス
12、112、212 ワイヤーハーネス本体
20 車体固定用部品
22 車体固定部
26 ハーネス固定部
27 位置決め突部
30 固定部材
40 不織部材
112a、212a 幹線部分
112b、212b 枝線部分

Claims (5)

  1. ワイヤーハーネス本体と、
    車体に固定可能な車体固定部と、前記車体固定部から突出する長尺状のハーネス固定部とを含み、前記ハーネス固定部が前記ワイヤーハーネス本体に沿って配設された車体固定用部品と、
    不織部材が前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを囲んだ状態でホットプレスされることにより形成された固定部材と、
    を備えるワイヤーハーネス。
  2. 請求項1記載のワイヤーハーネスであって、
    前記ハーネス固定部に、その長手方向において部分的に突出する位置決め突部が形成され、前記固定部材が前記位置決め突部に接している、ワイヤーハーネス。
  3. 請求項1又は請求項2記載のワイヤーハーネスであって、
    前記車体固定用部品は、前記車体固定部を挟んで両側に突出する、一対の前記ハーネス固定部を含み、前記一対のハーネス固定部が前記固定部材によって前記ワイヤーハーネス本体に固定されている、ワイヤーハーネス。
  4. 請求項3記載のワイヤーハーネスであって、
    前記ワイヤーハーネス本体は、幹線部分と前記幹線部分から分岐する枝線部分とを含み、
    前記固定部材は、前記一対のハーネス固定部をそれぞれ囲む一対の前記固定部材を含み、
    前記枝線部分は、前記一対の固定部材の間を通って外方に引出されている、ワイヤーハーネス。
  5. ワイヤーハーネス本体に沿って、車体固定用部品のハーネス固定部を配設する工程と、
    前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを不織部材によって囲む工程と、
    前記ワイヤーハーネス本体と前記ハーネス固定部とを囲む不織部材を、ホットプレス用成形型内に配設する工程と、
    前記ホットプレス用成形型によって、前記不織部材をホットプレスする工程と、
    を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
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