JP2014221991A - 鋼製矢板締切構造およびその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トンネル、埋設管、共同溝などの地下構造物が地盤の液状化によって浮上するのを効率的に防止することができる鋼製矢板締切構造およびその施工方法を提供する。【解決手段】地盤の液状化によって液状化層内に位置する地下構造物が浮上するのを防止するために、当該地下構造物の両側に鋼製矢板をその下端部が非液状化層に根入れするまで打設して鋼製矢板壁を設置することによって構築した鋼製矢板締切構造であって、前記地下構造物の高さをh1、前記鋼製矢板壁の上端から前記地下構造物の下端までの下方に向かう距離をl1とした時に、前記鋼製矢板壁の上端の高さ位置が地下水位面以下で、かつ、l1/h1≧0.30を満足していることを特徴とする鋼製矢板締切構造。【選択図】図7

Description

本発明は、トンネル、埋設管、共同溝などの地下構造物が地盤の液状化によって浮上するのを防止するために、鋼製矢板(鋼矢板、鋼管矢板)を用いて構築される鋼製矢板締切構造(鋼矢板締切構造、鋼管矢板締切構造)およびその施工方法に関するものである。
トンネル、埋設管、共同溝などの地下構造物が地盤の液状化によって浮上するのを防止するための対策としては、非特許文献1によると、下記の(1)〜(5)にまとめられる。
(1)地盤の液状化自体を防止または抑止する。
(2)地盤の液状化に伴う局所的な過剰間隙水圧の消散を図る。
(3)地盤の液状化に伴う地下構造物底部への砂の回りこみを防止または抑止する。
(4)地下構造物をアンカーにより固定する。
(5)地下構造物の重量化を図る。
そして、本発明は、上記(3)に基づく構造とその施工方法に関するものである。
上記(3)に関する具体的な事例としては、図1に示すように、液状化層2内に位置する地下構造物1の両側に、地表面4から液状化層2を貫通してその下の非液状化層3まで至る連続壁(遮断壁)6を設ける構造が紹介されている。遮断壁6としては、鋼矢板壁、鋼管矢板壁、コンクリート連壁などが該当する。このように遮断壁6によって締め切った構造(締切構造)とすることで、地盤の液状化に伴う地下構造物1の底部への砂の回りこみを防止または抑止するものである。なお、図1中の5は地下水位面である。
地下構造物の耐震性能照査と地震対策ガイドライン(案)、土木学会、平成23年 Iai,Matsunaga,Kameoka:Strain Space Plasticity Model for Cyclic Mobility,SOILS AND FOUNDATIONS,Vol.32,No.2,pp.1−15,1992
上述したように、地下構造物が液状化層内にある場合、液状化時に地下構造物が浮上することを防ぐため、地下構造物の両側に、地表から液状化層を貫通してその下の非液状化層まで鋼製矢板(鋼矢板もしくは鋼管鋼管矢板)を打設して遮断壁(鋼製矢板締切構造)を構築する工法が採用されることがある。
しかしながら、このように、地下構造物の両側に鋼製矢板(鋼矢板もしくは鋼管矢板)を打設して鋼製矢板締切構造を構築する場合、液状化層が厚いと、鋼製矢板(鋼矢板もしくは鋼管矢板)の長さが非常に長くなり、材料費、施工費の高騰を招くことになる。また、条件によっては、鋼製矢板締切構造としたことによって、地下構造物自体に作用する地震時の荷重が大きくなり、地下構造物自体の補強が必要となる場合がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、トンネル、埋設管、共同溝などの地下構造物が地盤の液状化によって浮上するのを効率的に防止することができる鋼製矢板締切構造およびその施工方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、以下の考え方に基づいて本発明をなした。
すなわち、液状化による地下構造物の浮上の原因は、液状化により砂層が泥水状になると、浮力を考慮した地下構造物の密度は周囲の泥水よりも小さいため、地下構造物の底部に泥水が回り込こむためと考えられている。したがって、図1に示した鋼製矢板締切構造では、地下構造物の両側に設置された鋼製矢板(鋼矢板もしくは鋼管矢板)が、その泥水の移動を遮断するため、浮上を抑制することができることになる。
そのような観点からみてみると、図1に示した鋼製矢板締切構造において、地下構造物よりも上方の鋼製矢板に関しては、浮上抑止には寄与していない可能性があると考えて、詳細は後述するが、液状化を考慮できる地震応答解析プログラムFLIP(非特許文献2参照)を用いて数値実験を行ったところ、地下構造物よりも上方の鋼製矢板は浮上抑止にほとんど寄与していないことが確認できた。
本発明は、上記の考え方に基づいており、以下のような特徴を有している。
[1]地盤の液状化によって液状化層内に位置する地下構造物が浮上するのを防止するために、当該地下構造物の両側に鋼製矢板をその下端部が非液状化層に根入れするまで打設して鋼製矢板壁を設置することによって構築した鋼製矢板締切構造であって、前記地下構造物の高さをh、前記鋼製矢板壁の上端から前記地下構造物の下端までの下方に向かう距離をlとした時に、前記鋼製矢板壁の上端の高さ位置が地下水位面以下で、かつ、l/h≧0.30を満足していることを特徴とする鋼製矢板締切構造。
[2]前記[1]に記載の鋼製矢板締切構造を構築する際の施工方法であって、複数枚の鋼製矢板をその上端が地表面もしくは地表面からやや上方に位置するように打設する工程Aと、工程Aで打設された鋼製矢板を、ヤットコ鋼製矢板を用いて、前記鋼製矢板壁の上端の高さ位置が地下水位面以下で、かつ、l/h≧0.30を満足するように打設する工程Bとを繰り返して、鋼製矢板締切構造を構築することを特徴とする鋼製矢板締切構造の施工方法。
[3]前記[2]に記載の鋼製矢板締切構造の施工方法において用いるヤットコ鋼製矢板であって、打設する鋼製矢板と同じ断面形状の鋼製矢板である本体と、打設する鋼製矢板に打設力を伝達するために前記本体の下端部に取り付けられた突出部材を備えていることを特徴とするヤットコ鋼製矢板。
本発明においては、トンネル、埋設管、共同溝などの地下構造物が地盤の液状化によって浮上するのを効率的に防止することができる。
地下構造物の浮上対策の具体事例の断面図である。 本発明の実施形態に示す数値実験で対象とした地下構造物の断面図である。 本発明の実施形態に示す数値実験での検討対象ケース(Case1〜6)を示す断面図である。 本発明の実施形態に示す数値実験での検討対象ケース(Case7〜10)を示す断面図である。 本発明の実施形態に示す数値実験で用いた入力地震動の加速度時刻歴波形である。 本発明の実施形態に示す数値実験の結果であり、鋼矢板壁上端から液状化層下端までの距離lと地下構造物上端から液状化層下端までの距離hの比(=l/h)と、浮上抑制率との関係を示したものである。 本発明の実施形態に示す数値実験の結果であり、鋼矢板壁上端と地下構造物下端の距離lと地下構造物の高さhの比(=l/h)と、浮上抑制率との関係を示したものである。 本発明の実施形態に示す数値実験の結果であり、鋼矢板壁上端から液状化層下端までの距離lと地下構造物上端から液状化層下端までの距離hの比(=l/h)と、平均最大土圧比率との関係を示したものである。 本発明の実施形態において用いたヤットコ鋼矢板の概要図である。 本発明の実施形態における鋼矢板締切構造の第1の施工手順の説明図である。 本発明の実施形態における鋼矢板締切構造の第2の施工手順の説明図である。 本発明の実施形態における鋼矢板締切構造の第3の施工手順の説明図である。
本発明においては、上述したように、液状化を考慮できる地震応答解析プログラムFLIPを用いて行った数値実験の結果に基づいて、地下構造物の両側に鋼製矢板をその下端部が非液状化層に根入れするまで打設して鋼製矢板壁を設置することによって構築した鋼製矢板締切構造として、前記地下構造物の高さをh、前記鋼製矢板壁の上端から前記地下構造物の下端までの下方に向かう距離をl(ここで、下方に向かう場合はlは正となり、上方に向かう場合はlは負となる)とした時に、前記鋼製矢板壁の上端の高さ位置が地下水位面以下で、かつ、l/h≧0.30を満足する(すなわち、l/h=0.30となる高さ位置より上方に位置する)ようにしている。
そこで、本発明の実施形態として、上記の数値実験について説明する。なお、ここでは、鋼製矢板として鋼矢板を用いた場合について述べるが、鋼製矢板として鋼管矢板を用いた場合も同様である。
まず、この数値実験において対象とした地下構造物1を図2に示す。図2に示すように、この地下構造物1は、液状化層2内に位置し、高さ6.6m、幅19.3mのコンクリート製で、平均密度は0.92t/mである。そして、地表面4から地下構造物1上面(上端)までは7.8mである。また、地表面4から1.8m地点に地下水位面5があり、地表面4から非液状化層3までは20.4mである。地盤定数については表1に示す。
Figure 2014221991
そして、数値実験での検討対象ケースとして、図3、図4に示すCase1〜Case10とした。すなわち、以下の如くである。
Case1は、浮上防止対策を行っていない現状のモデル。
Case2は、鋼矢板壁7を地表面4から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル。
Case3は、鋼矢板壁7を地下水位面5から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル。
Case4は、鋼矢板壁7を地表面4の4.8m下方から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル。
Case5は、鋼矢板壁7を地表面4の6.8m下方から、非液状化層3に2m根入れしたモデル(すなわち、鋼矢板壁7を地下構造物1上面の1.0m上方から、非液状化層3に2m根入れしたモデル)。
Case6は、鋼矢板壁7を地表面4の7.8m下方から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル(すなわち、鋼矢板壁7を地下構造物1の上面から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル)。
Case7は、鋼矢板壁7を地表面4の10.4m下方から、非液状化層に2.0m根入れしたモデル(すなわち、鋼矢板壁7を地下構造物1下面の4.0m上方から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル)。
Case8は、鋼矢板壁7を地表面4の12.4m下方から、非液状化層に2.0m根入れしたモデル(すなわち、鋼矢板壁7を地下構造物1下面の2.0m上方から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル)。
Case9は、鋼矢板壁7を地表面4の13.6m下方から、非液状化層に2.0m根入れしたモデル(すなわち、鋼矢板壁7を地下構造物1下面の0.8m上方から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル)。
Case10は、鋼矢板壁7を地表面4の15.4m下方から、非液状化層に2.0m根入れしたモデル(すなわち、鋼矢板壁7を地下構造物1下面の1.0m下方から、非液状化層3に2.0m根入れしたモデル)。
なお、鋼矢板壁7と地下構造物1の距離は左右両方とも0.5mとした。鋼矢板壁7に用いる鋼矢板は、降伏強度295N/mm、断面2次モーメント3.24×10−4/mである。
また、入力地震動は、図5に示すテーパー付きの1.0Hzの正弦波、最大加速度4.5m/s、継続時間40秒を用いた。
そして、数値実験結果として、表2に、各ケースにおける、地中構造物1の上面左右2点の浮上量の平均値と、下記(1)式で定義する浮上抑制率を示す。
浮上抑制率=(1−当該ケースの浮上量/Case1の浮上量)×100・・・(1)
また、表2に、Case2において鋼矢板壁7に使用した鋼矢板の重量を1.0として、Case3〜Case10の各ケースにおいて鋼矢板壁7に使用した鋼矢板の重量の比率(鋼矢板壁重量比率)を併せて示す。
Figure 2014221991
まず、表2に示すように、鋼矢板壁7が地表面4から非液状化層3まで存在して、液状化層2を完全に締切っているCase2の浮上抑制率は86%に達する。
次に、鋼矢板壁7が液状化層2を完全には締切っていない場合(すなわち、鋼矢板壁7上端を地表面4より下方にした場合)の効果を明確にするために、鋼矢板壁7上端から液状化層2下端までの距離lと、地下構造物1上端から液状化層2下端までの距離hの比(=l/h)をパラメータとして、浮上抑制率との関係を整理したものを図6に示す。
この図6から、Case3他のように鋼矢板壁7上端を地表面4より下方にした場合でも、Case2のように鋼矢板壁7上端を地表面4に位置させた場合と同等の浮上抑制率を得ることができる範囲があることが分かる。
ちなみに、図6において、l/h=1.0のときが、鋼矢板壁7上端と地下構造物1上端が一致している状態であり、Case6に相当する。また、l/h=0.48のときが、鋼矢板壁7上端と地下構造物1下端が一致している状態であり、Case9とCase10の間に位置している。
そして、図6において、浮上抑制率はCase8(l/h=0.63)付近を折れ曲がり点としていることがわかる。したがって、効率的に浮上抑制効果を得るための目安は、l/h≧0.63となる。すなわち、鋼矢板壁7の上端が地下構造物1の下端よりも若干上方に位置する必要がある。
そこで、さらに、効率的に浮上抑制効果を得ることができる鋼矢板壁7上端の位置を明確にするために、鋼矢板壁7上端と地下構造物1下端の距離lと地下構造物1の高さ(地下構造物1の上端と下端の距離)hの比(=l/h)と、浮上抑制率との関係を整理したものを図7に示す。
この図7から、l/h≧0.30のときに、浮上抑制率が高くなっていることがわかる。したがって、鋼矢板壁7上端を、l/h≧0.30を満足する位置にする(すなわち、l/h=0.30となる位置よりも上方にする)ことで効率的に浮上抑制が図ることができる。
上記の通り、鋼矢板壁7は地表面4まで存在する必要がないことが確認できた。このことによって、鋼矢板の使用量を大幅に減らすことができるようになった。
一方、鋼矢板壁7を設置したことによる地下構造物1への影響を把握するために、表3に、地震時に地下構造物1の左右側面に作用する最大土圧の平均値(12点)を示す。併せて、浮上防止対策を行っていない現状モデル(Case1)における最大土圧の平均値を1.0として、Case2〜Case10の各ケースにおける最大土圧の平均値の比率(平均最大土圧比率)を示す。
Figure 2014221991
ここでは、上述した浮上抑制率の整理と同様に、鋼矢板壁7上端から液状化層2下端までの距離lと地下構造物1上端から液状化層2下端までの距離hの比(=l/h)をパラメータとして、平均最大土圧比率との関係を整理したものを図8に示す。
図8に示すように、鋼矢板壁7の上端が高くなるにしたがって(l/hが大きくなるにしたがって)、地下構造物1に作用する平均最大土圧比率が上昇していることがわかる。
なかでも、鋼矢板壁7上端を地表面4に位置させたCase2(l/h=1.62)と、鋼矢板壁7上端を地下水位面5としたCase3(l/h=1.48)の差は大きく、地下水位面下5まで鋼矢板壁7上端を打ち下げることで、平均最大土圧比率を1.45(Case2)から1.35(Case3)まで低減することができる。これは、液状化層2が液状化した場合に、液状化層2での地震時挙動と地下水位面5よりも上部の土層での地震時挙動とが大きく異なることが、Case2のように地表面4まで鋼矢板壁7を打設した場合に平均最大土圧比率が増大することに繋がっていると考えられる。
そして、鋼矢板壁7上端を地下水位面5に一致させたCase3(l/h=1.48)から、鋼矢板壁7上端を地下構造物1上端に一致させたCase6(l/h=1.00)までの、平均最大土圧比率の変化は緩やかで、1.35〜1.28の値を示している。
上記の結果から、鋼矢板壁7設置によって地下構造物1への土圧を増やさないようにするためには、最低限、鋼矢板壁7上端を地下水位面5以下にすることが有効であることがわかる。
ここまで、地下構造物が地盤の液状化によって浮上するのを防止するために構築される鋼製矢板締切構造に関して、地下構造物の浮上抑制と、地下構造物への土圧増加の影響に関して説明をおこなった。
両者を総合的に判断すると、鋼矢板壁上端の高さ位置は、抑制浮上の観点からは、l/h=0.30となる位置よりも上方とすること、地下構造物への土圧増加を防ぐ観点からは、地下水位面以下とすることが好適であることがわかった。もちろん、鋼矢板使用量削減の観点からは、l/h=0.30となる位置(下限位置)に近いことが好ましい。
さて、上記のように、上端を地下水位面5以下とする鋼矢板締切構造を構築するためには、鋼矢板の上端を地表面4よりも深い位置まで打設(圧入)することが必要となる。
そこで、ここでは、まず、鋼矢板を上端が地表面4に位置し下端が液状化層2に位置するように打設する工程(工程A)と、次に、そのように打設された鋼矢板を、ヤットコ鋼矢板を用いて、上端が液状化層2の所定位置に位置し下端が非液状化層3に位置するように打設(圧入)する工程(工程B)とを繰り返すことで、上記のような鋼矢板壁7(鋼矢板締切構造)を構築するようにしている。ちなみに、上記の液状化層2の所定位置とは、上述したように、地下水位面5以下で、かつ、l/h=0.30となる位置よりも上方の位置である。
図9に上記のヤットコ鋼矢板を示す。図9に示すように、このヤットコ鋼矢板20は、打設する鋼矢板と同じ断面形状の鋼矢板21である本体と、打設する鋼矢板に打設力(圧入力)を伝達するために、本体である鋼矢板21の下端部(詳しくは、ウェブ22の下端部)に取り付けられた突出部材23を備えている。
このようなヤットコ鋼矢板20を用いることによって、上端が地表面に位置し下端が液状化層2に位置するように打設された鋼矢板を、さらに下端が非液状化層3に位置するまで打設することが可能になる。
上記のような鋼矢板壁7(鋼矢板締切構造)を構築する具体的な施工手順として、第1例(第1の施工手順)を図10に示し、第2例(第2の施工手順)を図11に示し、第3例(第3の施工手順)を図12に示す。
(第1の施工手順:第1例)
まず、図10(a)に示すように、圧入機8を用いて、所要の長さ(鋼矢板壁上端が地下水位面5以下で、かつ、l/h=0.30となる位置よりも上方となるとともに、鋼矢板壁下端が非液状化層に根入れするのに必要な長さ)の鋼矢板11を、その上端が地表面4よりやや上方となるように順次圧入していく。ここで言う「やや上方」とは、圧入機8の鋼矢板11のつかみ代分相当である。なお、この第1例では、図10(b)に示すように、鋼矢板11を16枚分圧入する。ここまでを工程Aと称する。
次に、図10(c)に示すように、圧入機8を反転させて、ヤットコ鋼矢板20を用いて、左端の鋼矢板11を所定の位置まで再圧入させる。図10(d)の示すように、順次、右端4枚の鋼矢板11sを残した状態になるまで、ヤットコ鋼矢板20を用いて、所定の位置への再圧入を行う。ここで、右端4枚の鋼矢板11sを残したのは、圧入機8のつかみ部分の数に合わせており、機械の種類に応じて臨機応変に対応することになる。ここまでを工程Bと称する。
図10(e)は、2回目の工程Aであり、工程Bで残した鋼矢板11sを足がかりに鋼矢板11を順次圧入する。そして、2回目の工程Bを行う。その後は、工程Aと工程Bを繰返し、図10(f)に示すように、所定の範囲で鋼矢板締切構造を構築する。
なお、この第1例では、最初の工程Aで16枚の鋼矢板11を圧入したが、この枚数は現地の施工能率(一度鋼矢板を打設してから時間がかかりすぎると、所定の位置への再圧入が行いにくくなる)に応じて決定すればよい。
また、最終回目の工程Bでは、右端4枚の鋼矢板11sの再圧入することができず、地表面4よりやや上方に突出した状態で残ることになるが、地中構造物1への土圧増加が問題なければ、地表面4で切断しておけば良い。地中構造物1への土圧増加の問題がある場合には、所定の施工範囲よりも4枚余分に鋼矢板11を圧入し、最後に引き抜きを行えばよい。
そして、上述したように、図10(f)がこの第1例で完成した鋼矢板壁7である。鋼矢板11を連結することにより構成されており、その下端は非液状化層3に根入れされている。ここで、鋼矢板壁7の範囲は図中に点模様で示した範囲となる。つまり、この図10(f)の場合、鋼矢板壁7の上端7aは、図中の太い破線で示した位置となる。この鋼矢板壁上端7aの高さ位置を、地下水位面5以下で、かつ、l/h=0.30となる位置よりも上方となるようにする。
(第2の施工手順:第2例)
現地の地盤条件によっては、鋼矢板の鉛直性を保って圧入することが困難で徐々に傾斜が生じてしまうトラブルが発生することがある。特に、工程Bにおける再圧入時に傾斜が生じてしまうと、引き抜くことが出来ず困難に直面してしまう。
そこで、そのような現象が懸念される場合には、第2の施工手順(第2例)として、基本的には上記の第1の施工手順(第1例)と同様であるが、図11(a)〜(e)に示すように、所要長さの鋼矢板11に対して所々で長尺鋼矢板12(例えば、地下水位面5から非液状化層3へ根入れする長さを有する鋼矢板)を用いることで、その現象を回避することができる。ちなみに、図11では、4枚に1枚は長尺鋼矢板12を用いるようにしている。
そして、図11(f)がこの第2例で完成した鋼矢板壁7である。ここで、鋼矢板壁7の範囲は図中に点模様で示した範囲となる。つまり、この図11(f)の場合、鋼矢板壁7の上端7aは、図中の太い破線で示した位置となる。この鋼矢板壁上端7aの高さ位置を、地下水位面5以下で、かつ、l/h=0.30となる位置よりも上方となるようにする。
(第3の施工手順:第3例)
第3の施工手順(第3例)は、鋼矢板壁7の上端の高さ位置をl/h=0.30となる位置(下限位置)にした場合である。この第3例では、基本的には上記の第2例と同様であるが、図12(a)〜(e)に示すように、所要長さの鋼矢板11と長尺鋼矢板12を交互に配置している。
そして、図12(f)がこの第3例で完成した鋼矢板壁7である。ここで、鋼矢板壁7の範囲は図12(f)中に点模様で示した範囲となる。つまり、この図12(f)の場合、鋼矢板壁7の上端7aは、図中の太い破線で示した位置(l/h=0.30となる位置)となる。
以上の手法を用いることで、トンネル、埋設管、共同溝などの地下構造物1が地盤の液状化によって浮上するのを効率的に防止することができる。
すなわち、地下構造物1の両側に、その上端の高さ位置が、地下水位面5からl/h=0.30となる地点までの範囲にあり、その下端が非液状化層3に根入れした鋼矢板壁7を構築するようにしたので、鋼矢板の使用量を大幅に減らしたうえで、液状化時の浮上を抑制することができるようになった。
また、鋼矢板壁7の上端を地下水位面5以下としたことで、地下構造物1へ作用する外力が増加する度合いを低減することができた。
また、鋼矢板への打設力(圧入力)を伝達するための突出部材23を有するヤットコ鋼矢板20を用いることで、液状化層2の所定位置から非液状化層3までの区間に鋼矢板壁7を構築することを可能にした。
1 地下構造物
2 液状化層
3 非液状化層
4 地表面
5 地下水位面
6 遮断壁(連続壁)
7 鋼矢板壁
7a 鋼矢板壁上端
8 圧入機
11 鋼矢板
11s 工程Aの最終に圧入した複数の鋼矢板
12 長尺鋼矢板
20 ヤットコ鋼矢板
21 鋼矢板
22 鋼矢板ウェブ
23 突出部材
h 地下構造物上端から液状化層下端までの距離
l 鋼矢板壁上端から液状化層下端までの距離
地下構造物の高さ(上端と下端の距離)
鋼矢板壁上端と地下構造物下端の距離

Claims (3)

  1. 地盤の液状化によって液状化層内に位置する地下構造物が浮上するのを防止するために、当該地下構造物の両側に鋼製矢板をその下端部が非液状化層に根入れするまで打設して鋼製矢板壁を設置することによって構築した鋼製矢板締切構造であって、前記地下構造物の高さをh、前記鋼製矢板壁の上端から前記地下構造物の下端までの下方に向かう距離をlとした時に、前記鋼製矢板壁の上端の高さ位置が地下水位面以下で、かつ、l/h≧0.30を満足していることを特徴とする鋼製矢板締切構造。
  2. 請求項1に記載の鋼製矢板締切構造を構築する際の施工方法であって、複数枚の鋼製矢板をその上端が地表面もしくは地表面からやや上方に位置するように打設する工程Aと、工程Aで打設された鋼製矢板を、ヤットコ鋼製矢板を用いて、前記鋼製矢板壁の上端の高さ位置が地下水位面以下で、かつ、l/h≧0.30を満足するように打設する工程Bとを繰り返して、鋼製矢板締切構造を構築することを特徴とする鋼製矢板締切構造の施工方法。
  3. 請求項2に記載の鋼製矢板締切構造の施工方法において用いるヤットコ鋼製矢板であって、打設する鋼製矢板と同じ断面形状の鋼製矢板である本体と、打設する鋼製矢板に打設力を伝達するために前記本体の下端部に取り付けられた突出部材を備えていることを特徴とするヤットコ鋼製矢板。
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