JPH09242100A - 液状化対策工法および液状化対策用鋼矢板 - Google Patents

液状化対策工法および液状化対策用鋼矢板

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JPH09242100A
JPH09242100A JP5436496A JP5436496A JPH09242100A JP H09242100 A JPH09242100 A JP H09242100A JP 5436496 A JP5436496 A JP 5436496A JP 5436496 A JP5436496 A JP 5436496A JP H09242100 A JPH09242100 A JP H09242100A
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JP
Japan
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sheet pile
steel sheet
liquefaction
ground
wall
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Application number
JP5436496A
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English (en)
Inventor
Hiromasa Tanaka
宏征 田中
Yukio Abe
幸夫 阿部
Seiichi Koyama
清一 小山
Toshiaki Masuda
敏聡 増田
Kenichi Yasudo
賢一 安戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の周囲に、排水機能を付与した非対称
U型鋼矢板による壁体を構築し、地盤の変形や流動によ
る壁体の変形量を小さく抑えるとともに、構造物に生じ
る有害な変形や破損を効率よく防止する液状化対策工法
および液状化対策用鋼矢板を提供する。 【解決手段】 直線状に結合することが可能な非対称U
型鋼矢板1のウェブ2にフィルターを有する多数の排水
孔3を設ける。これらの排水孔3を覆うように、ウェブ
2の片面に溝形鋼4を取り付け、中空閉断面の排水路5
を形成する。このように構成された液状化対策用鋼矢板
を、液状化の可能性のある地盤上または地盤中の構造物
を取り囲むように、構造物に近接させて打設し、液状化
抑止機能を備えた鋼矢板壁を構築する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、液状化の可能性
のある地盤中または地盤上の構造物の液状化対策のため
の液状化対策工法および同工法に用いるための液状化対
策用鋼矢板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液状化の可能性のある地盤または地盤上
に構造物を構築する場合、もしくは既存の構造物に液状
化対策工を施す場合には、従来、表1(安田進:液状化
の調査から対策工まで)に紹介されている各種工法が採
用されている。
【0003】
【表1】
【0004】このうち、締固め工法などのように構造物
周辺地盤を液状化しないように改良する地盤改良工法
は、構造物の液状化対策として幅広く採用されている工
法である。しかし、同工法では周辺地盤をかなり広い領
域にわたって改良する必要があるため用地確保が必要な
ことや、確実な効果を確保するためには、構造物直下地
盤を改良することが肝要である。しかし、そのためには
既設構造物の場合、一旦、構造物を撤去し、地盤を改良
した後に再び構造物を設置しなければならない等の理由
により、適用の制限を受けることも多い。
【0005】また、工法によっては、多大な工期、工費
を必要とするばかりか、振動締固めにも見られるよう
に、振動・騒音を発生するものもあり、これによっても
適用が制限されている。
【0006】これに対し、安価で低振動・低騒音の工法
として、例えば特開昭55−142815号公報や特開
昭56−116434号公報に開示されているグラベル
ドレーン工法など、間隙水圧の消散を目的とした液状化
抑止工法が見られる。
【0007】しかし、同工法においても液状化を抑止で
きる領域がグラベル柱周辺の局所的な地盤に限られるこ
とから、確実な効果を発揮させるためには、かなり密な
ピッチで、かつかなり広い領域にわたってグラベル柱を
打設する必要があり、前記地盤改良工法と同様に構造物
周辺の用地確保が前提となる。
【0008】また、地震中に地盤の側方流動やすべり、
不等沈下によってグラベル柱がずれて柱を形成しなくな
り効果を失することも少なくない。さらに、地震時には
間隙水が地盤の細粒分を伴って、グラベル柱中へ流入す
ることから、これによってグラベル材の間隙に細砂が入
り込んで目詰まりを起こし、効果が低下する心配もあ
る。
【0009】そこで、用地確保が難しい場合や、地盤の
すべり、流動などを抑止できる安価な液状化対策とし
て、構造物を取り囲むように鋼矢板壁などの連続壁を構
築し、構造物下の地盤のせん断変形を抑止するととも
に、構造物の沈下や浮上がりの原因となる構造物周辺地
盤と構造物直下地盤の間の地盤の流動やすべりを阻止す
る工法が開発されている(中野,中村他:「地中構造物
の液状化対策に関する模型実験と解析」、フジタ技術研
究所報第29号、1993年)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとく、構造物
周辺に地盤改良などの対策を施すのに十分な領域を確保
できない場合や、地盤の流動やすべりを阻止する必要が
ある場合に、構造物を取り囲むように鋼矢板などによる
連続壁を構築する工法が見られる。
【0011】しかし、同工法においては、周辺地盤の液
状化の発生そのものを抑止する効果は小さい上に、連続
壁が鋼矢板壁などの撓性の壁体の場合、地盤の変形や流
動力に追随して壁体が変形するため、地盤液状化時に
は、後に詳述するように、図8に示すような液状化地盤
より見かけ比重の小さな構造物の浮き上がりや、図10
に示すような液状化地盤より見かけ比重の大きな構造物
の沈下を完全に抑止し得ないという問題点が残る。
【0012】さらに、図11のごとく連続壁で構造物を
囲い込む工法においては、構造物と壁体の間隔が小さい
ほど、その効果が高くなることが知られている(上記、
中野,中村他:「地中構造物の液状化対策に関する模型
実験と解析」、フジタ技術研究所報第29号、1993
年)。すなわち、同じ断面性能を有する壁体であれば、
構造物の近くに設置すればするほど効率のよい対策とな
るわけである。
【0013】しかしながら、市街地等の狭隘な場所や住
宅地の近隣での施工の場合には、振動や騒音が問題とな
るため、一般に鋼矢板圧入工法等が採用されるが、この
場合、施工機械の制約等により、施工に必要なスペース
として構造物から1〜2mの空間が必要であり、構造物
と連続壁の間に間隔が開いてしまうという問題点があ
る。
【0014】本願発明は、鋼矢板に排水機能を付与する
ことで、地震時に周辺地盤の液状化を抑止し、矢板自身
の曲げ剛性の他に、周辺地盤のせん断強度をも期待する
ことによって連続壁のみかけ上の剛性を高め、地盤の変
形や流動による壁体の変形量を小さく抑えるとともに、
構造物との間に間隔をあけずに壁体を構築することによ
って、構造物に生じる有害な変形や破損を効率よく防止
できる液状化対策工法および同工法に用いる液状化対策
用鋼矢板を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願発明の液状化対策工
法(請求項1)は、横断面中央部の形状がU型の鋼矢板
であって、両端の継手形状が左右非対称で、横断面形状
を同一方向にそろえて直線上に結合可能とした非対称U
型鋼矢板と一体に、土砂の侵入を阻止する通水性のある
フィルターを取り付けた多数の排水孔を配した中空閉断
面の排水路を形成してなる液状化対策用鋼矢板を用い、
この液状化対策用鋼矢板を液状化の可能性のある地盤上
または地盤中の構造物を取り囲むように地盤内に打設し
て連続壁を構築することを特徴とするものである。
【0016】本願発明の液状化対策用鋼矢板(請求項
2)は、上記の液状化対策工法に用いることができるも
のであり、横断面中央部の形状がU型の鋼矢板であっ
て、両端の継手形状が左右非対称で、横断面形状を同一
方向にそろえて直線上に結合可能とした非対称U型鋼矢
板と一体に、土砂の侵入を阻止する通水性のあるフィル
ターを取り付けた多数の排水孔を配した中空閉断面の排
水路を形成したことを特徴とする。
【0017】本願発明で用いる非対称U型鋼矢板は、例
えば特開平5−140928号公報に記載されているよ
うなものであり、継手部が矢板壁厚方向端部に位置して
いるため、従来のU型鋼矢板のような継手による断面性
能の低下がなく、また同一直線上に打設が可能であるこ
とから、施工性にも優れている。
【0018】さらに、市街地等で騒音や振動を避けるた
め、圧入工法を適用せざるを得ない場合でも、矢板壁厚
内に圧入マシンのチャックを収め、継手部とフランジ部
との間の腕部を把持して圧入することにより、隣接構造
物や隣地境界ぎりぎりに矢板壁を構築することができる
ことから、従来の圧入工法のように施工機械の制約から
必要であったスペースが不要となる。
【0019】従って、本願発明の液状化対策用鋼矢板を
用い、これによって構造物を取り囲むように壁体を構築
すれば、構造物との間に間隔を開けることなく連続壁を
構築することが可能なため、構造物と壁体の間の土粒子
が構造物の下側に回り込んだり、構造物直下の土粒子が
構造物と壁体の間に回り込んだりすることがなくなり、
前述した図11から明らかなように、従来の鋼矢板壁の
場合に比べて効率的な対策工となる。
【0020】また、この非対称U型鋼矢板に一体に形成
された排水路によって、地震時に地盤中に発生する過剰
間隙水圧を速やかに消散させることができるため、構造
物の周辺地盤の液状化が抑止され、構造物の浮き上がり
や不等沈下等の有害な変状を防止する効果が期待でき
る。
【0021】さらに、この液状化抑止機能によって、矢
板周辺の地盤強度が保持されていることから、地盤の変
形や流動圧に対して矢板壁の曲げ剛性のほかに、周辺地
盤の抵抗も期待できるため、構造物の浮き上がりや沈下
の原因となる矢板壁の変形を小さく抑えることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、本
願発明の液状化対策用鋼矢板およびそれを用いた液状化
対策工法について説明する。
【0023】図1は、第1の実施形態による本願発明の
液状化対策用鋼矢板の斜視図であり、横断面形状を同一
方向にそろえて直線状に結合することが可能な非対称U
型鋼矢板1のウェブ2に土砂の侵入を阻止する通水性の
あるフィルターを取り付けた多数の排水孔3を設け、か
つ前記多数の排水孔3を覆うように、ウェブ2の片面に
溝形鋼4を取り付けることによって、中空閉断面の排水
路5を形成した場合を例示したものである。
【0024】図2は、図1に示す本願発明の液状化対策
用鋼矢板6を用いて連続壁を構築した場合を示したもの
である。図2に示すように本願発明の液状化対策用鋼矢
板6からなる鋼矢板壁においては、継手部7が矢板壁厚
方向端部に位置しているため、従来のU型鋼矢板のよう
な継手による断面性能の低下がなく、打設後にコーピン
グ等によって断面性能を確保する必要がない。
【0025】さらに、市街地等で騒音や振動を避けるた
め、圧入工法を適用せざるを得ない場合でも、矢板壁厚
内に圧入マシンのチャックを収め、継手部とフランジ部
との間の腕部8を把持して圧入することにより、隣接構
造物や隣地境界ぎりぎりに矢板壁を構築することができ
る。
【0026】また、矢板本体と一体に形成された排水路
5によって、地震時に地盤中に発生する過剰間隙水圧を
速やかに消散できるため、周辺地盤の液状化抑止機能を
兼ね備えている。
【0027】図3は、第2の実施形態による本願発明の
液状化対策用鋼矢板の斜視図であり、横断面形状を同一
方向にそろえて直線状に結合することが可能な非対称U
型鋼矢板1のウェブ2の片面に、土砂の侵入を阻止する
通水性のあるフィルターを取り付けた多数の排水孔3を
配した溝形鋼9を取り付けることによって、中空閉断面
の排水路5を形成した場合を例示したものである。
【0028】本実施形態の液状化対策鋼矢板において
も、図1の第1の実施形態と同様に、継手部7が矢板壁
厚方向端部に位置しているため、従来のU型鋼矢板のよ
うな継手による断面性能の低下がなく、隣接構造物や隣
地境界ぎりぎりに矢板壁を構築することができ、一体に
形成された排水路5によって、地震時に地盤中に発生す
る過剰間隙水圧を速やかに消散できるため、周辺地盤の
液状化抑止機能を兼ね備えている。
【0029】次に、図4は本願発明の液状化対策用鋼矢
板の第3の実施形態を示した斜視図であり、横断面形状
を同一方向にそろえて直線状に結合することが可能な非
対称U型鋼矢板1のフランジ10間に、土砂の侵入を阻
止する通水性のあるフィルターを取り付けた多数の排水
孔3を配した有孔板11を取り付けることによって中空
閉断面の排水路5を形成した場合を例示したものであ
る。
【0030】本実施形態の液状化対策用鋼矢板において
も、図1の第1の実施形態と同様に、継手部7が矢板壁
厚方向端部に位置しているため、従来のU型鋼矢板のよ
うな継手による断面性能の低下がなく、隣接構造物や隣
地境界ぎりぎりに矢板壁を構築することができ、一体に
形成された排水路5によって、地震時に地盤中に発生す
る過剰間隙水圧を速やかに消散できるため、周辺地盤の
液状化抑止機能を兼ね備えている。
【0031】図5は、本願発明の液状化対策用鋼矢板の
第4の実施形態を示したものであり、横断面形状を同一
方向にそろえて直線状に結合することが可能な非対称U
型鋼矢板1のウェブ2の両面に、土砂の侵入を阻止する
通水性のあるフィルターを取り付けた多数の排水孔3を
配した溝形鋼9を取り付けることによって、矢板ウェブ
2の両面に中空閉断面の排水路5を形成した場合を例示
したものである。
【0032】本実施形態の液状化対策用鋼矢板によって
構成される連続壁は壁両面側に排水機能を有することか
ら、壁の構造物側だけでなく反対側地盤に対しても液状
化抑止効果を発揮し、壁体の見かけ上の曲げ剛性をより
高めることができる。
【0033】図7は、本願発明の液状化対策用鋼矢板を
用いて、構造物13側の壁面のみに排水機能を有する連
続壁を構築してなる液状化対策工法の適用例を示したも
のであり、比較的見かけ比重の小さな既設構造物の液状
化対策に適用した場合を示している。また、図8は従来
の鋼矢板壁12を用いた場合の同様の構造物に対する液
状化対策工を示している。
【0034】図8に示すように、従来の工法では、施工
機械の作業スペース等の制約により、鋼矢板壁12は構
造物13との間にある程度の間隔をあけて設置されるこ
とが一般的である。同工法の場合、地震時に地盤の液状
化を防止する効果はほとんど期待できないため、地盤液
状化時には構造物13と矢板壁12の間の土粒子14が
構造物13の直下へ回り込み、これが構造物13の浮上
り変位15の一因になる。
【0035】さらに、構造物13直下は周辺地盤に比べ
て上載圧が小さくなっているため、地盤液状化時には、
周辺地盤が構造物13直下へ回り込もうとすることによ
る力が作用し、矢板壁12が構造物13側へ曲げ変形を
起こす。図に示すように、これも構造物13が浮上り変
位15を起こす一因となる。
【0036】一方、図7に示す本願発明の液状化対策工
法によれば、構造物13との間隔をあけずに、本願発明
の液状化対策用鋼矢板による連続壁としての鋼矢板壁1
6を構築できるため、構造物13と矢板壁16間の土粒
子の移動が構造物13に悪影響を及ぼす心配はない。
【0037】さらに、間隙水の排水による液状化抑止効
果によって矢板壁16および構造物13周辺地盤の強度
が保持されていることから、構造物に有害な変位が生じ
にくいことに加え、矢板壁16周辺の非液状化地盤が矢
板壁16の変形に対して抵抗力を発揮するため、矢板壁
16の曲げ変形量が図7の従来工法の場合よりも小さく
なる。
【0038】以上の効果によって、本願発明の液状化対
策用鋼矢板を用いた液状化対策工法によれば、従来工法
に比べて構造物の変位を大幅に低減することが可能にな
る。
【0039】図9は、本願発明の液状化対策用鋼矢板を
用いて、壁面両側に排水機能を有する連続壁を構築して
なる液状化対策工法に例を示したものであり、比較的見
かけ比重の大きな地上構造物への適用例を示したもので
ある。また、図10は従来の鋼矢板壁を用いた場合の同
様の構造物に対する液状化対策工を例示したものであ
る。
【0040】図10に示す従来工法によれば、構造物1
7周辺地盤の液状化を防止する効果が期待できないため
に、矢板壁18の外側の平地盤部が地震時に液状化して
地盤強度を失い、構造物直下地盤19が液状化した場合
には、構造物17と矢板壁18の間から構造物17の上
載圧を受けた直下地盤が噴砂等によって上昇する。以上
の結果、構造物17が沈下や傾斜等の有害な変形を起こ
すことになる。
【0041】一方、図9に示す本願発明の液状化対策用
鋼矢板を用いた対策工では、鋼矢板壁20周辺地盤の液
状化を抑止することから、構造物17の直下地盤19の
外側へのはらみ出しを低減し、かつ矢板の変形に対して
地盤からの抵抗をも期待できることから、矢板壁20の
外側への変形を小さく抑えることができる。
【0042】また、構造物のすぐ際に矢板壁20が設置
できること、矢板壁20周辺地盤の液状化を抑止するこ
とから、構造物17直下地盤19が噴砂等によって上昇
することはない。
【0043】以上の結果、従来の工法に比べて構造物1
7の沈下や傾斜などの有害な変形を効率的に防止するこ
とができる。
【0044】
【発明の効果】液状化地盤上の構造物を構築する場合
や、既に存在している構造物に対する液状化対策工法の
一つに、構造物を取り囲むように鋼矢板などの連続壁を
構築する工法が見られるが、この工法の欠点として以下
の2点が問題になっていた。
【0045】(1) 施工機械の作業スペース確保等の施工
上の制約によって、構造物と鋼矢板壁の間に間隔があく
ため、液状化時に構造物と鋼矢板壁の間の土粒子が構造
物の下側に回り込んだり、構造物と矢板壁の間に構造物
直下地盤が回り込んだり、矢板壁面や構造物壁面に沿っ
て噴砂したりすることによって、構造物に浮き上がりや
沈下等の変状が生じてしまう。
【0046】(2) 鋼矢板壁のように撓性の壁体は地盤中
で、液状化による地盤の流動力やすべり等によって変形
するため、構造物直下地盤にも変形が生じ、これが構造
物の浮上りや沈下を引き起こす。
【0047】これに対し、本願発明の液状化対策工法お
よび液状化対策用鋼矢板では、以下のような効果が得ら
れる。
【0048】鋼矢板壁を既設構造物や隣地境界ぎりぎ
りに、かつ低振動・低騒音で構築することができること
から、構造物と矢板壁の間隔を極めて小さくすることが
可能となり、矢板壁と構造物の間の地盤が構造物直下へ
回り込んだり、構造物直下地盤が構造物と矢板壁の間に
回り込んだりすることによる構造物の浮上りや沈下等の
変状が起こらない。
【0049】地震時に地盤中に発生する過剰間隙水圧
を速やかに消散することができるため、構造物の周辺地
盤液状化を抑止し、構造物の浮上りや沈下等の変状を防
止することができる。
【0050】地震時に地盤中に発生する過剰間隙水圧
を速やかに消散することができるため、鋼矢板壁周辺の
地盤の液状化が防止され、地盤強度が保持されているこ
とから、矢板壁の変形を小さく抑えることができる。そ
の結果、構造物直下地盤の変形も小さくなり、従来工法
に比べて構造物の浮上りや沈下等の変状を低減すること
ができる。
【0051】鋼矢板壁周辺や構造物周辺の地盤の液状
化が抑止されることから、鋼矢板壁面や構造物壁面に沿
った噴砂が生じない。
【0052】従来のU型鋼矢板のような継手による断
面性能の低下がないことから、打設後にコーピング等を
することなしに、地盤の流動力や土圧等に対し、その断
面性能をフルに発揮できる。
【0053】以上によって、従来工法で問題となってい
た上記(1) 、(2) の問題点を同時に解決できるほか、構
造物壁面に沿った噴砂等の構造物に及ぼす他の要因も防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の液状化対策用鋼矢板の第1の実施形
態を示す斜視図である。
【図2】本願発明の液状化対策用鋼矢板によって構成さ
れる鋼矢板壁の平面図である。
【図3】本願発明の液状化対策用鋼矢板の第2の実施形
態を示す斜視図である。
【図4】本願発明の液状化対策用鋼矢板の第3の実施形
態を示す斜視図である。
【図5】本願発明の液状化対策用鋼矢板の第4の実施形
態を示す斜視図である。
【図6】本願発明の液状化対策用鋼矢板を構成する非対
称U型鋼矢板の一例を示す平面図である。
【図7】本願発明の液状化対策工法の一実施形態(比較
的見かけ比重の小さな既設構造物に適用した場合)を示
す鉛直断面図である。
【図8】従来のU型鋼矢板による液状化対策工法の例
(比較的見かけ比重の小さな既設構造物に適用した場
合)を示す鉛直断面図である。
【図9】本願発明の液状化対策工法の一実施形態(比較
的見かけ比重の大きな既設構造物に適用した場合)を示
す鉛直断面図である。
【図10】従来のU型鋼矢板による液状化対策工法の例
(比較的見かけ比重の大きな既設構造物に適用した場
合)を示す鉛直断面図である。
【図11】構造物と鋼矢板壁との間隔と、対策効果の関
係図である。
【符号の説明】
1…非対称U型鋼矢板、2…ウェブ、3…排水孔、4…
溝形鋼、5…排水路、6…液状化対策用鋼矢板、7…継
手部、8…腕部、9…溝形鋼、10…フランジ部、11
…有孔板、12…矢板壁(従来)、13…構造物、14
…土粒子、15…浮上り変位、16…矢板壁、17…構
造物、18…矢板壁(従来)、19…構造物直下地盤、
20…矢板壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 敏聡 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 安戸 賢一 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横断面中央部の形状がU型の鋼矢板であ
    って、両端の継手形状が左右非対称で、横断面形状を同
    一方向にそろえて直線上に結合可能とした非対称U型鋼
    矢板と一体に、土砂の侵入を阻止する通水性のあるフィ
    ルターを取り付けた多数の排水孔を配した中空閉断面の
    排水路を形成してなる液状化対策用鋼矢板を、液状化の
    可能性のある地盤上または地盤中の構造物を取り囲むよ
    うに地盤内に打設して前記液状化対策用鋼矢板による連
    続壁を構築することを特徴とする液状化対策工法。
  2. 【請求項2】 横断面中央部の形状がU型の鋼矢板であ
    って、両端の継手形状が左右非対称で、横断面形状を同
    一方向にそろえて直線上に結合可能とした非対称U型鋼
    矢板と一体に、土砂の侵入を阻止する通水性のあるフィ
    ルターを取り付けた多数の排水孔を配した中空閉断面の
    排水路を形成したことを特徴とする液状化対策用鋼矢
    板。
JP5436496A 1996-03-12 1996-03-12 液状化対策工法および液状化対策用鋼矢板 Pending JPH09242100A (ja)

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JP (1) JPH09242100A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20100013894A (ko) * 2008-08-01 2010-02-10 재단법인 포항산업과학연구원 투수성 강널말뚝
JP2012167496A (ja) * 2011-02-15 2012-09-06 Sumitomo Metal Ind Ltd 液状化対策を施した壁体および液状化抑止機能を有する鋼矢板
JP2013155559A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Shimizu Corp 構造物の液状化被害低減構造
JP2014221991A (ja) * 2013-05-14 2014-11-27 Jfeスチール株式会社 鋼製矢板締切構造およびその施工方法
JP2016135987A (ja) * 2016-03-18 2016-07-28 Jfeスチール株式会社 鋼製矢板締切構造およびその施工方法
KR20200084107A (ko) * 2019-01-02 2020-07-10 이종열 지하수댐 조성 공법
CN113530597A (zh) * 2021-07-22 2021-10-22 淮北矿业(集团)有限责任公司 一种应力阻隔式采矿沉陷区地表构筑物防护方法

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