JP2014221890A - 蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 - Google Patents

蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 Download PDF

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Takeshi Tawara
岳史 田原
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宏之 伊村
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公平 ▲高▼谷
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Yuri Masuda
有里 益田
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Abstract

【課題】本発明は、耐水性に優れた窒化物蛍光体を提供するとともに、該蛍光体を含む蛍光体含有組成物及び発光装置、並びに該発光装置を含む画像表示装置及び照明装置を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、特定の組成式で表される蛍光体であって、下記式(I)を満たすことを特徴とする蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に存する。B/A>2.5 (I)(式(I)中、Aは、TPD−MS分析において300℃以上400℃未満の範囲における、分子量18の積分値を表し、Bは、400℃以上700℃未満の分子量が18の積分値を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に存する。
近年、省エネルギーの流れを受け、LEDを用いた照明やバックライトの需要が増加している。ここで用いられるLEDは、青または近紫外波長の光を発するLEDチップ上に、蛍光体を配置した白色発光LEDである。
このようなタイプの白色発光LEDとしては、青色LEDチップ上に、青色LEDチップからの青色光を励起光として赤色に発光する窒化物蛍光体と緑色に発光する蛍光体を用いたものが近年用いられている。
特に、赤色に発光する窒化物蛍光体としては、(Sr,Ca)AlSiNで表される母体に賦活剤を添加した蛍光体(以下、「SCASN蛍光体」と称する場合がある)などが開発されている。
照明装置や画像表示装置等に用いる発光体は、長時間の使用に耐えうることが求められ、特に、耐水性が求められる。
しかしながら、窒化物蛍光体は、熱、水分等により劣化しやすい傾向にあり、近年、以下のような酸化劣化対策が報告されている。
特許文献1に、熱酸化雰囲気(ベーク)劣化対策として、窒化物蛍光体を、窒化金属系材料、酸窒化金属系材料等の窒素元素を含有する被覆材料で被覆する方法が開示されている。
また、特許文献2には、耐久性を向上させる方法として、原料を焼成する工程を有する、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体において、更にアニール前蛍光体を再焼成すること(アニール)について開示されている。
特開2004−161807号公報 特開2009−132916号公報
しかしながら、特許文献1に記載の、被覆剤を用いる方法では、窒化物又は酸窒化物蛍光体の劣化対策としては十分でない場合があった。
また、特許文献2に記載の大気雰囲気下でアニール工程を経て得られる蛍光体よりも、更に耐久性を向上させた蛍光体が求められていた。
本発明発明者等は、特定の構造式で表される蛍光体では、耐久性の中でも、特に耐水性の点で問題になる場合があることを見出した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、耐水性に優れた蛍光体、及びその製造方法を提供するとともに、該蛍光体を含む蛍光体含有組成物及び発光装置、並びに該発光装置を含む画像表示装置及び照明装置を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意検討を行った結果、蛍光体表面に通常の吸着水とは水素結合の状態が異なる水が存在している蛍光体であれば上記課題を解決しうることを見出して、本発明に到達した。
これは、蛍光体を劣化させる原因である水に着目し、その表面に吸着させるという、通常では考え難い方法により達成している。
即ち、本発明の要旨は、下記式(1)で表される蛍光体(以下、単に「蛍光体(1)」と称する場合がある)であって、下記式(I)を満たすことを特徴とする蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に存する。
(1)
(上記式(1)中、
は、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
は、Sr、Mg、Ca、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
は、Al、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
は、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素である。
a、b、c、d、eは、それぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5)
B/A>2.5 (I)
(式(I)中、
Aは、TPD−MS分析において300℃以上400℃未満の範囲における、分子量18の積分値を表し、
Bは、400℃以上700℃未満の分子量が18の積分値を表す。)
本発明は特に耐水性に優れたSCASN蛍光体を提供し得るとともに、該蛍光体を含む蛍光体含有組成物及び発光装置、並びに該発光装置を含む画像表示装置及び照明装置を提供することが可能となる。
本発明の発光装置の一実施例を示す模式的斜視図である。 図2(a)は、本発明の砲弾型発光装置の一実施例を示す模式的断面図であり、図2(b)は、本発明の表面実装型発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。 本発明の照明装置の一実施例を示す模式的断面図である。 本発明の実施例1及び比較例1における、各温度域での吸着水の脱離量を測定した結果のグラフである(横軸が温度、縦軸が強度シグナル)。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
<蛍光体について>
[式(I)について]
本発明の蛍光体は、式(I)で表される関係式を満たす蛍光体であり、該蛍光体とすることで耐水性を向上しうる。
本発明の式(I)については、下記の通りその意味を推測する。
該蛍光体の表面には、通常と異なる水素結合を有している吸着水(「安定水酸基」と称する場合がある)が存在する。
蛍光体の表面に吸着する水について、本発明では下記の通り定義する。
加熱温度200℃未満で脱離する水を「物理吸着水」、200℃以上、400℃未満で脱離する水を「不安定水酸基」、400℃以上で脱離する水を「安定水酸基」とする。
また、吸着水のそれぞれの状態について下記の通り推測する。
物理吸着水とは、窒化物蛍光体において、蛍光体表面に存在する「−Si−O−Si−N−…」の酸素と水素結合している状態である。
また、不安定水酸基とは、蛍光体表面に存在する「−Si−O−Si−N−…」のSiにおいて、−Si(−OH)−の状態になっている。尚、直近のSiに不安定水酸基が存在している場合、隣り合うOH同士は水素結合をしていない状態とする。
更に、安定水酸基とは、蛍光体表面に存在する「−Si−O−Si−N−…」のSiにおいて、−Si(−OH)−の状態になっており、更に直近のSiが有する「−OH」と水素結合をしている状態とする(即ち、−O−H…O(−)−H:「…」は水素結合を表す)。
この様な区分けは、蛍光体の母体の種類によって変わるものである。しかしながら、上記の関係は本発明の蛍光体(1)におけるものである。
式(I)におけるAは不安定水酸基の量を表し、Bは安定水酸基の量を表す。
尚、より発明の構成を明確にする為に、不安定水酸基であるAを特定する温度範囲として、200℃以上400℃未満ではなく、300℃以上400℃未満の範囲に設定をした。これは、経験則から300℃未満の範囲の不安定水酸基の量は変化し易い為、本発明の特定においては300℃以上とした。
つまり、本発明の式(I)におけるB/Aは、蛍光体表面に存在する安定水酸基の割合が多いことを意味する。
B/Aは、通常2.5以上、好ましくは3以上、更に好ましくは3.5以上、また通常20以下、好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。
上記範囲内であると、本発明が奏する効果が得られ易い点で好ましい。
[TPD−MS測定方法]
TPD(Temperature Programmed Desorption:昇温脱離)−MS測定において、分析された放出ガスのうち、分子量18のものを吸着水とみなす。
測定は室温から1000℃までの範囲で行い、1000℃までの範囲で放出された分子量18のガスの量を全吸着水量と見なす。昇温速度は20℃/分とする。
400℃以上、700℃未満の範囲で放出された分子量18のガス量(B)を、300℃以上、400℃未満の範囲で放出された分子量18のガスの量(A)で割ることにより、本発明の割合を求めることが出来る。
尚、同じ測定値であるので、B/Aは無次元となる。
[式(1)で表される蛍光体について]
本発明の蛍光体は、下記式(1)で表される蛍光体である。
(1)
(上記式(1)中、
は、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
は、Sr、Mg、Ca、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
は、Al、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
は、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素である。
a、b、c、d、eは、それぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5)
aは、通常0.00001≦a≦0.15、0.0001≦a≦0.1が好ましく、0.001≦a≦0.05がより好ましく、0.002≦a≦0.04がさらに好ましく、0.004≦a≦0.02とすることが最も好ましい。
上記下限値以上であると、十分な発光強度が得られやすく、また上記上限値以下であると濃度消光が大きくなり過ぎず、その為発光強度が低くなり難いため好ましい。
aとbの合計は、蛍光体の結晶母体中において付活元素Mが2価の金属元素Mの原子位置を置換するので、通常1となるように原料混合組成を調整する。
cは、通常0.5≦c≦1.5、好ましくは0.5≦c≦1.5、より好ましくは0.6≦c≦1.4、最も好ましくは0.8≦c≦1.2である。
上記範囲内であると、製造時に異相が生じ難く、蛍光体の収率が高くなる傾向にある為好ましい。
dは、通常0.5≦d≦1.5、好ましくは0.5≦d≦1.5、より好ましくは0.6≦d≦1.4、最も好ましくは0.8≦d≦1.2である。
上記範囲内であると、製造時に異相が生じ難く、蛍光体の収率が高くなる傾向にある為好ましい。
eは窒素の含有量を示す係数であり、
Figure 2014221890
となる。この式に0.5≦c≦1.5,0.5≦d≦1.5を代入すれば、eの範囲は
1.84≦e≦4.17
となる。蛍光体の収率が高い点で、eは好ましくは2.5≦e≦3.5である。
蛍光体(1)は、酸素を含有していてもよい。蛍光体(1)中の酸素は、原料金属中の不純物として混入する場合、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。酸素の割合であるfは蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、更に好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
ハロゲン原子も酸素と同様に蛍光体(1)中に含有していてもよい。
蛍光体(1)中に、ハロゲン原子が含まれる場合、原料金属中の不純物としての混入や、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。
混入されるハロゲン元素としては、フッ素元素、塩素元素、臭素元素、ヨウ素元素などが挙げられる。ハロゲン元素は、蛍光体の発光特性が容認できる点で、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
(Mについて)
付活元素Mとしては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を構成する結晶母体に含有可能な各種の発光イオンを使用することができるが、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素を使用すると、発光特性の高い蛍光体を製造し易い。
また、付活元素Mとしては、高輝度の赤色発光を示す蛍光体を得られ易い点で、Mn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、Ce及び/又はEuを含むことが更に好ましく、Euを含むことが特に好ましい。
更に、輝度を上げることや蓄光性を付与するなど様々な機能を持たせるために、付活元素MとしてはCe及び/又はEu以外に共付活剤を1種又は複数種含有させてもよい。
(Mについて)
2価の金属元素Mは、Sr、Mg、Ca、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素である。
また、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、2価の金属元素Mの80モル%以上をCa及び/又はSrとすることがより好ましく、90モル%以上をCa及び/又はSrとすることが更に好ましく、2価の金属元素Mの全てをCa及び/又はSrとすることが最も好ましい。
(M及びMについて)
3価の金属元素MがAl、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、4価の金属元素MはSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素であることが、発光特性の高い蛍光体を得ることができるので好ましい。
また、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、3価の金属元素Mの80モル%以上をAlとすることが好ましく、90モル%以上をAlとすることがより好ましく、3価の金属元素Mの全てをAlとすることが最も好ましい。
の50モル%以上がSiとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの80モル%以上をSiとすることが好ましく、90モル%以上をSiとすることがより好ましく、4価の金属元素Mの全てをSiとすることが好ましい。
特に、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrであり、かつ、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlであり、かつ、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiとなるようにすることにより、発光特性が特に高い蛍光体が製造できるので好ましい。
[式(2)で表される蛍光体について]
前記式(1)で表される蛍光体の中でも、下記式(2)で表される蛍光体であることが好ましい。
1’ a’Srb’Cac’2’ d’Ale’Sif’g’ (2)
(上記式(2)中、
1’は、前記式(1)におけるMと同義である。
2’は、Mg及び/又はBaを表す。
また、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’は、それぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0.1≦b’≦0.99999
0≦c’<1
0≦d’<1
a’+b’+c’+d’=1
0.5≦e’≦1.5
0.5≦f’≦1.5
0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
ここで、M1’は前記式(1)におけるMと同様に、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる付活元素を表す。
付活元素M1’としては、Mn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことがより発光特性が良好である点で好ましく、特にEu及び/又はCeを含むことが好ましい。
2’はMg及び/又はBaを表し、好ましくはMgである。Mgを含有させることにより、蛍光体の発光ピーク波長を長波長化することができる点で好ましい。
a’の範囲は、通常0.00001≦a’≦0.15であり、好ましくは0.001≦a’≦0.05、より好ましくは0.002≦a’≦0.01である。
b’の範囲は、通常0.1≦b’≦0.99999であり、好ましくは0.4≦b’≦0.99999、より好ましくは0.7≦b’≦0.99999であり、特に好ましくは0.8≦b’≦0.99999、最も好ましくは0.85≦b’≦0.99999である。
c’の範囲は、通常0≦c’<1であり、好ましくは0≦c’≦0.5、より好ましくは0≦c’≦0.3である。
尚、式(2)においては、Caを必須成分としてもよく、その場合下限値は0より大きい値となる。
d’の範囲は、通常0≦d’<1であり、好ましくは0≦d’≦0.5、より好ましくは0≦d’≦0.2である。
a’、b’、c’、d’相互の関係は通常、
a’+b’+c’+d’=1
を満足する。
e’の範囲は通常、0.5≦e’≦1.5であり、好ましくは0.8≦e’≦1.2、より好ましくは0.9≦e’≦1.1である。
f’の範囲は通常、0.5≦f’≦1.5であり、好ましくは0.8≦f’≦1.2、より好ましくは0.9≦f’≦1.1である。
g’の範囲は、通常0.8(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’)であり、好ましくは0.9×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.1×(2/3+e’+4/3×f’)、より好ましくは、2.5≦g’≦3.5である。
[効果を奏する理由]
本発明の構成とすることで、耐水性に優れるとの効果を奏する理由について、下記の通り推測する。
蛍光体の耐水性に影響する要因の1つとして、蛍光体の表面状態が挙げられる。特に、構成元素としてSiやSrを含み、かつ窒素を含む蛍光体の場合、蛍光体の表面には欠陥、亀裂、構成元素の不均一化などが生じ易い。
これは、Siを含む場合、大気中の酸素や水、合成中の不純物ガスによって、表面が酸化されるためであると考えられる。また、Srを含む場合には、Srは水との親和性が高いため、大気中の水とSrとが親和してしまうことで、蛍光体中からSrが抜けてしまい、結果的に表面に欠陥、亀裂、構成元素の不均一化などが生じることになる。
このように蛍光体の表面欠陥、亀裂、構成元素の不均一化などが生じると、その部分から水分が浸入してしまい、蛍光体の耐水性の低下を誘起する。
ここで、本発明の蛍光体は、TPD−MS測定におけるB/Aが特定値以上であるため、安定水酸基が多く存在する。
これは、蛍光体表面に安定水酸基が形成され、−O−H…O−H(「…」は水素結合を意味する)と表面でネットワークを形成することで形成されることで、水からの劣化を防いでいる。
<蛍光体の物性について>
[発光色]
本発明の蛍光体の発光色は、化学組成等を調整することにより、波長360nm〜480nmといった近紫外領域〜青色領域の光で励起され、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等、所望の発光色とすることができる。
[発光スペクトル]
蛍光体の化学組成や付活元素の種類によって発光ピーク波長及びその形状は異なるが、例えば、本発明の蛍光体が、後述のSr置換量が多い蛍光体であり、かつ、付活元素M1としてEuを含有する場合、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、ピーク波長455nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
まず、上記の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常590nmより大きく、中でも600nm以上、また、通常650nm以下、中でも640nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると黄味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると暗赤味を帯びる傾向があり、何れも橙色ないし赤色光としての特性が低下する場合があるので好ましくない。
また、上記の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常50nmより大きく、中でも70nm以上、更には75nm以上、また、通常120nm未満、中でも100nm以下、更には90nm以下の範囲であることが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると発光ピーク強度が低下する場合があり、広過ぎると色純度が低下する場合がある。
なお、上記の蛍光体をピーク波長455nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定は、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)等を用いて行うことができる。発光ピーク波長、及び発光ピークの半値幅は、得られる発光スペクトルから算出することができる。
<蛍光体の製造方法について>
本発明の蛍光体の製造方法としては、蛍光体原料用合金を用いる製造方法や原料窒化物を用いる製造方法などが挙げられる。
蛍光体原料用合金を用いる製造方法としては、例えば、特開2009−132916号や国際公開2006/106948号などの各公報に記載に準じて製造することが可能である。
また、原料窒化物を用いる製造方法としては、例えば、国際公開2005/052087号公報などに記載の方法が挙げられる。
いずれの場合も、蛍光体原料(蛍光体原料用合金や原料窒化物など)を窒素雰囲気下での焼成工程を経る。その後、必要に応じて、後処理工程(洗浄工程、表面処理工程など)、次いで、100℃以上700℃以下の温度で焼成する工程(以下、「アニール工程」)を有する。
例えば、アニール前の洗浄工程(以下、単に「洗浄工程」という)における条件やアニール工程の条件を適宜選択して組み合わせることにより、本発明の蛍光体を製造することが可能である。
中でも、特に好ましいのは、蛍光体原料を焼成する工程を有する、窒化物又は酸窒化物を母体する蛍光体の製造方法において、焼成工程の後に、更に、100℃以上700℃以下の温度で焼成する工程を有し、該アニール工程を水蒸気の分圧が0.03気圧以上の雰囲気下で行うことが好ましい。
また、アニール工程の前に洗浄工程を行うことが更に好ましい。
尚、以下において、本発明に係るアニール工程に供する蛍光体を「本発明のアニール前蛍光体」と称する場合がある。
以下に、本発明の蛍光体の製造方法の一例として、洗浄工程及びアニール工程について詳説するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(洗浄工程)
本発明の蛍光体はアニール工程の前に洗浄工程を設けることができる。
洗浄工程で用いる洗浄液は特に制限はなく、水または水溶液が好ましい。液性は酸性、中性、アルカリ性の液のいずれでもよい。
・水
ここで用いる中性の洗浄液としては、水を用いることが好ましい。使用可能な水の種類は、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。
用いる水の電気伝導度は、通常0.0064mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下である。
また、水の温度は、通常、室温(25℃程度)が好ましいが、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、また、好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
上記範囲内の水を用いることにより、本発明の蛍光体としやすい点で好ましい。
・水溶液
・酸性水溶液
酸性水溶液の種類に特に制限はないが、塩酸、硫酸などの鉱酸の1種又は2種以上を希釈した酸性水溶液が使用できる。中性の水溶液ではなく、酸性の水溶液を用いると、蛍光体の溶解イオン量の低減効率の点で好ましいい。
洗浄に用いる酸性水溶液の酸濃度は、通常0.1mol/l以上、好ましくは0.2mol/l以上、また通常5mol/l以下、好ましくは2mol/l以下である。
上記範囲内であると、蛍光体表面の溶解が抑えられ、酸性水溶液による洗浄効果が得られ易い点で好ましい。
・中性水溶液
中性溶液の種類に特に制限はないが、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ塩化物、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどのアルカリ土類塩化物の1種又は2種以上を溶解させた水溶液などが使用できる。中性水溶液を使用すると、過剰に蛍光体表面を侵食することなく、水溶性の不純物を取り除くことができる点で好ましい。
・アルカリ性水溶液
アルカリ性溶液の種類に特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水酸化物の水溶液、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類塩化物の水溶液などが使用できる。アルカリ性水溶液を使用すると、SiやAlなどの難溶性元素も溶解することができるため、洗浄工程より前段階の工程で生成した、SiやAlを含む非発光性の不純物を溶解することができ、得られる蛍光体の発光輝度が向上し易い点で好ましい。
また、洗浄液は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で行なってもよい。
蛍光体を洗浄する方法としては、特に制限はないが、具体的には、得られた蛍光体粒子を上述の洗浄液に入れて所定時間撹拌することにより分散させ、その後、蛍光体粒子を固液分離する方法等が挙げられる。
蛍光体を洗浄する際の撹拌手法には特に制限はなく、蛍光体粒子を均一に分散させることができればよい。例えば、チップスターラーや撹拌機等を用いることができる。
洗浄液の使用量には特に制限はないが、洗浄する蛍光体の重量の、通常2重量倍以上、好ましくは5重量倍以上、また通常1000重量倍以下、好ましくは100重量倍以下である。
上記範囲内であると、洗浄による効果が得られやすく、且つ製造上、合理的である点で好ましい。
撹拌時間は、蛍光体と上述のような洗浄液とを十分に接触させることができるような時間であればよく、通常1分以上、また、通常1時間以下である。
洗浄液と蛍光体粒子とを固液分離する手法には、特に制限はなく、例えば、濾過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。
ただし、蛍光体粒子の洗浄方法は、上述のような、洗浄液中で蛍光体粒子を撹拌し、分散した後の固液分離を行なう手法に限定されるものではなく、例えば、蛍光体粒子を洗浄液の流体にさらす方法等であってもよい。
上記した洗浄工程は、1回だけ行ってもよく、2回以上の複数回行ってもよい。また複数回行う場合は、洗浄液を、水、酸性水溶液、中性水溶液、アルカリ性水溶液の1種のみで行ってもよく、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
複数回行う場合で、2種以上の洗浄液を組み合わせる場合、最後の洗浄工程として水を用いるのが、洗浄に用いた水溶液の溶質が残ることがないため、得られる蛍光体の輝度が向上する点で好ましい。
また、水溶液に含まれる成分を蛍光体表面に付着させ、得られる蛍光体の耐水性が向上する点で、最後の洗浄工程として水溶液を用いることが好ましい。
なお、上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度の測定は、電気伝導度計「EC METER CM−30G」(東亜ディケーケー社製)等を用いて行なうことができる。
上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度は、蛍光体の構成成分が一部溶解した結果、イオンとなって水中に溶け出すことにより上昇する。上記上澄み液の電気伝導度が低い、ということは、蛍光体中のこの水溶性成分の含有量が少ないことを意味する。
また、洗浄工程を行なうことにより、蛍光体の酸素含有量も減少することがある。これは、酸素を含む不純物相、例えば結晶性の悪い窒化物が加水分解して生じた水酸化物が除去されるためと推察される。
[乾燥工程]
上記洗浄後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供するとよい。具体的な操作の例を挙げると、洗浄を終了した蛍光体スラリーを遠心分離機等で脱水し、得られた脱水ケーキを乾燥用トレイに充填すればよい。その後、100℃〜200℃の温度範囲で含水量が0.1重量%以下となるまで乾燥する。得られた乾燥ケーキを篩等に通し、軽く解砕し、蛍光体、即ち、アニール前蛍光体を得る。
[表面処理工程]
加熱処理後の蛍光体又はアニール前蛍光体に対して表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、シリカ、アルミナ、リン酸カルシウム等の微粒子を蛍光体の表面に薄層として付着させる処理が挙げられる。これにより、蛍光体の粉体特性(凝集状態、溶液中での分散性や沈降挙動等)を改善することができる。
表面処理の方法として、ソーダシリカ、アルカリ金属塩水和物などの含水化合物、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなどの水酸基を含む化合物を表面に付着させると、その後のアニール処理によって強固な表面層を作製することができるため好ましい。
また、加熱処理後の後処理については、公知の蛍光体、例えば、ブラウン管、プラズマディスプレイパネル、蛍光ランプ、蛍光表示管、X線増感紙等に用いられる蛍光体に関して一般的に知られている技術を利用することができ、目的、用途等に応じて適宜選択することができる。
[アニール工程]
アニール工程とは、蛍光体原料を焼成する工程の後に、さらに、前記焼成工程の加熱条件よりも低い温度、好ましくは100℃以上700℃以下の温度で、アニール前蛍光体を焼成する工程をいう。
アニール工程の加熱条件としては、本発明の蛍光体とする程度に行なえば特に制限はなく、適宜設定して行うことができる。
例えば、アニール前蛍光体の表面に存在する表面に吸着する水分量が多い場合、水蒸気や水などを導入することなく、密閉系でアニール工程を行うことで足りる場合もある。
以下、本発明におけるアニール工程の加熱条件について以下に詳述するが、下記の条件を適宜変更して、本発明の蛍光体とすることができる。
アニール工程の雰囲気としては、通常の大気よりも水蒸気圧が高い条件が好ましいが、全て水蒸気であってもよいし、他のガス種を存在させてもよい。他のガス種としては、蛍光体に悪影響を及ぼさないガス種であれば特に制限はないが、空気、酸素、窒素、ヘリウム、二酸化炭素などが使用できる。
水蒸気圧としては通常0.01気圧以上、好ましくは0.03気圧、さらに好ましくは0.1気圧以上、最も好ましくは1.0気圧以上、また、通常100気圧以下、好ましくは50気圧以下、さらに好ましくは20気圧以下である。
なお、上記の雰囲気は、流通させても密閉させてもよい。
水蒸気を導入する方法としては特に制限はないが、アニール工程における反応容器の中に水を導入してもよく、また反応容器とは別の水蒸気発生装置により同伴ガスと共に導入してもよい。更に、アニール工程における昇温前に水または含水化合物として反応容器内に存在させておいてもよい。
ここで、含水化合物としては、含水塩や水吸着剤などが挙げられ、例えば、ゼオライトなどが挙げられる。
水蒸気圧はアニール工程中、一定でもよく、また変化させてもよい。
アニール工程中、昇温過程時に上記水蒸気範囲内であると、蛍光体表面に安定水酸基の層を形成し易く、本発明の蛍光体とし易い点で好ましい。
アニール工程の圧力条件、すなわち雰囲気ガスの全圧としては、特に制限はないが、通常0.01気圧以上、好ましくは0.1気圧以上、さらに好ましくは1.0気圧以上、また、通常100気圧以下、好ましくは50気圧以下、さらに好ましくは20気圧以下である。
上記範囲内であると、アニール工程の効率(製造効率)が十分である点で好ましい。
アニール工程の加熱温度(最高到達温度)としては、アニール前蛍光体の組成や、使用する雰囲気によっても異なるが、通常100℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上、更に好ましくは300℃以上であり、特に好ましくは350℃以上、また、通常700℃以下、好ましくは650℃以下、より好ましくは600℃以下、さらに好ましくは500℃以下、特に好ましくは450℃以下である。
上記上限値以下であると、蛍光体の母体結晶の表面に存在する酸素イオンが熱により結晶構造中に拡散することにより、蛍光体の母体結晶の構造まで変化してしまう可能性が低い点で好ましく、また上記下限値以上であると、本発明の蛍光体が得られ易い点で好ましい。
また、加熱温度(最高到達温度)での保持時間は加熱雰囲気や加熱温度によっても異なるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、通常100時間以下、好ましくは48時間以下である。
加熱時間が長過ぎると、蛍光体の母体結晶の表面に存在する酸素イオンが熱により結晶構造中に拡散することにより、蛍光体の母体結晶の構造まで変化してしまう可能性があり、また短過ぎると前述の表面層を形成し得ない場合がある。
また、加熱温度(最高到達温度)までの昇温速度については特に制限はないが、通常2℃/分以上、好ましくは4℃/分以上、通常50℃/分以下、好ましくは20℃/分以下である。この昇温速度が遅過ぎるとアニール処理に長時間を要し、処理効率が低下する。
また、加熱温度(最高到達温度)からの降温速度については特に制限はないが、通常3℃/分以上、好ましくは5℃/分以上である。この降温速度が遅過ぎるとアニール処理に長時間を要し、処理効率が低下する。
このようなアニール工程を行なうことにより、蛍光体表面に前記表面層を生成させることができ、従来と比較して蛍光体の耐久性を大幅に向上させた本発明の蛍光体を得ることができる。
アニール工程終了後、前述の後処理を行なってもよく、前記表面層の周りにさらにコーティングを行ってもよい。但し、前述したように、新しく破断面を生じさせるような処理や、酸による洗浄等によって表面層が破壊される可能性のある処理は、形成された表面層による耐久性向上効果が損なわれるので、注意を要する。
<蛍光体含有組成物>
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
[蛍光体]
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
[液体媒体]
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシドやセラミック前駆体ポリマーを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、又はこれらを組み合わせた無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
有機系材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
[液体媒体及び蛍光体の含有率]
本発明の蛍光体含有組成物中の蛍光体及び液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、液体媒体については、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。また、蛍光体については、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは25重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、半導体発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体及び蛍光体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
液体媒体は、本発明の蛍光体含有組成物において、主にバインダーとしての役割を有する。液体媒体は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、耐熱性や耐光性等を目的として珪素含有化合物を使用する場合は、当該珪素含有化合物の耐久性を損なわない程度に、エポキシ樹脂など他の熱硬化性樹脂を含有してもよい。この場合、他の熱硬化性樹脂の含有量は、バインダーである液体媒体全量に対して通常25重量%以下、好ましくは10重量%以下とすることが望ましい。
[その他の成分]
なお、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<発光装置>
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体として本発明の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含有するものである。ここで、本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の蛍光体としては、例えば、励起光源からの光の照射下において、黄色ないし赤色領域の蛍光を発する蛍光体を使用する。具体的には、発光装置を構成する場合、本発明の黄色蛍光体としては、530nm〜620nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、本発明の橙色ないし赤色蛍光体としては、580nm〜680nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
この場合、本発明の発光装置は、例えば、次の(A)又は(B)の態様とすることができる。
(A) 第1の発光体として、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、500nm以上580nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体を用いる。
(B) 第1の発光体として、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、420nm以上470nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体と、500nm以上580nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体とを用いる。
本発明の蛍光体を使用することにより、本発明の発光装置は、紫外から青色領域までの発光を有する励起光源(第1の発光体)に対して高い発光効率、及び高い耐久性を示し、更には、照明装置、液晶ディスプレイ用光源等の白色発光装置に使用した場合に優れた発光装置となる。
また、本発明の発光装置に用いられる本発明の蛍光体の好ましい具体例としては、前述の本発明の蛍光体の項で例示した本発明の蛍光体や、後述の[実施例]の欄の各実施例に用いた蛍光体が挙げられる。
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも本発明の蛍光体を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。装置構成の具体例については後述する。
本発明の発光装置の発光スペクトルにおける黄色領域の発光ピークとしては、530nm〜620nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、橙色ないし赤色領域の発光ピークとしては、580nm〜680nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
なお、発光装置の発光スペクトルは、気温25±1℃に保たれた室内において、オーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウェア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて20mA通電して測定を行なうことができる。この発光スペクトルの380nm〜780nmの波長領域のデータから、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標として色度値(x,y,z)を算出できる。この場合、x+y+z=1の関係式が成立する。本明細書においては、前記XYZ表色系をXY表色系と称している場合があり、通常(x,y)で表記している。
また、発光効率は、前述のような発光装置を用いた発光スペクトル測定の結果から全光束を求め、そのルーメン(lm)値を消費電力(W)で割ることにより求められる。消費電力は、20mAを通電した状態で、Fluke社のTrue RMS Multimeters Model 187&189を用いて電圧を測定し、電流値と電圧値の積で求められる。
本発明の発光装置のうち、特に白色発光装置として、具体的には、第1の発光体として後述するような励起光源を用い、上述のような本発明の蛍光体の他、後述するような赤色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「赤色蛍光体」という)、青色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「青色蛍光体」という)、緑色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「緑色蛍光体」という)、黄色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「黄色蛍光体」という)等の公知の蛍光体を任意に組み合わせて使用し、公知の装置構成をとることにより得られる。
ここで、該白色発光装置の白色とは、JIS Z 8701により規定された、(黄みの)白、(緑みの)白、(青みの)白、(紫みの)白及び白の全てを含む意であり、このうち好ましくは白である。
<発光装置の構成(発光体)>
[第1の発光体]
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体を使用することが特に好ましい。
第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常200nm以上が望ましい。このうち、近紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常420nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。また、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。何れも、発光装置の色純度の観点からである。
第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光LEDや半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。その他、第1の発光体として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、第1の発光体として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、本発明の蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光ピーク強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlXGaYN発光層、GaN発光層又はInXGaYN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でもInXGaYN発光層を有するものは発光ピーク強度が非常に強いので特に好ましく、GaN系LEDにおいては、InXGaYN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光ピーク強度は非常に強いので特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、又はInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[第2の発光体]
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として前述の本発明の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体、橙色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。ここで、本発明の蛍光体としては、<蛍光体について>の項に記載した本発明の蛍光体特有の性質を満足すればよく、発光色については特に制限はない。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
上記第2の発光体中に用いられる、本発明の蛍光体以外の蛍光体の組成には特に制限はないが、その例を挙げると、結晶母体となる、Y、YVO、ZnSiO、YAlO1、SrSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(PO)Cl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、YS、LaS等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。
(第1の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。例えば、本発明の蛍光体が橙色蛍光体である場合、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の橙色蛍光体を併用することができる。
(第2の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を1種以上含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。
例えば、第1の蛍光体が緑色蛍光体である場合、第2の蛍光体としては、例えば橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の緑色蛍光体以外の蛍光体が用いられる。
また、第1の蛍光体が青色蛍光体である場合、第2の蛍光体としては、例えば橙色ないし赤色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体等の青色蛍光体以外の蛍光体が用いられる。
また、第1の蛍光体が黄色蛍光体である場合、第2の蛍光体としては、例えば橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等の黄色蛍光体以外の蛍光体が用いられる。
また、第1の蛍光体が橙色ないし赤色蛍光体である場合、第2の蛍光体としては、例えば青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体等の橙色ないし赤色蛍光体以外の蛍光体が用いられる。
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも12μm以上、また、通常30μm以下、中でも25μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
[橙色ないし赤色蛍光体]
第2の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合、当該橙色ないし赤色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表されるユーロピウム賦活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)S:Euで表されるユーロピウム賦活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
これら橙色ないし赤色蛍光体は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[緑色蛍光体]
第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常580nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲であることが好ましい。
緑色蛍光体の具体例としては、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
これら緑色蛍光体は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[青色蛍光体]
第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euで表されるユーロピウム賦活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,F):Euで表されるユウロピウム賦活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
これら青色蛍光体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[黄色蛍光体]
第2の蛍光体として黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体等が挙げられる。
これら黄色蛍光体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[第2の蛍光体の選択]
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体を単独で使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体、黄色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の蛍光体が赤色蛍光体であって、本発明の発光装置を赤色発光の発光装置として構成する場合には、第1の蛍光体(本発明の赤色蛍光体)のみを使用すればよく、第2の蛍光体の使用は通常は不要である。
一方、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合には、所望の白色光が得られるように、第1の発光体と、第1の蛍光体(本発明の蛍光体)と、第2の蛍光体を適切に組み合わせればよい。具体的に、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合における、第1の発光体と、第1の蛍光体と、第2の蛍光体との好ましい組み合わせの例としては、例えば、第1の蛍光体(本発明の蛍光体)が橙色ないし赤色発光である場合、以下の(i)〜(iii)の組み合わせが挙げられる。
なお、本発明の蛍光体が橙色ないし赤色発光である場合、その組成は、特に制限はないが、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、及び(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Euからなる群から選ばれるものであることが好ましい。
(i)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。この場合、緑色蛍光体としては、(Ba,Sr)Si12:Eu、(Ba,Sr)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu、及びβ−(Si,Al)12(O,N)16:Euからなる群より選ばれる1種又は2種以上の緑色蛍光体が好ましい。
(ii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体及び緑色蛍光体を併用する。この場合、青色蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu及び(Mg,Ca,Sr,Ba)5(PO43(Cl,F):Euからなる群より選ばれる1種又は2種以上の青色蛍光体が好ましい。緑色蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu,Mn、β−(Si,Al)12(O,N)16:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si2N2O:Eu、及び(Ba,Sr)Si12:Euからなる群より選ばれる1種又は2種以上の緑色蛍光体が好ましい。また、橙色ないし赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)としては、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu及びLa22S:Euからなる群より選ばれる1種又は2種以上の橙色ないし赤色蛍光体が好ましい。中でも、近紫外LEDと、青色蛍光体としてBaMgAl1017:Euと、緑色蛍光体として(Ba,Sr)SiO:Eu、β−(Si,Al)12(O,N)16:Eu、又は(Ba,Sr)Si12:Euと、赤色蛍光体として(Sr,Ca)AlSiN3:Euとを組み合わせて用いることが好ましい。
(iii)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として橙色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。この場合、緑色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、β−(Si,Al)12(O,N)16:Eu、及び(Ba,Sr)Si12:Euからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
また、本発明の蛍光体は、他の蛍光体と混合(ここで、混合とは、必ずしも蛍光体同士が混ざり合っている必要はなく、異種の蛍光体が組み合わされていることを意味する。)して用いることができる。特に、上記に記載の組み合わせで蛍光体を混合すると、好ましい蛍光体混合物が得られる。なお、混合する蛍光体の種類やその割合に特に制限はない。
[封止材料]
本発明の発光装置において、上記第1及び/又は第2の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の「3.蛍光体含有組成物」の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
また、該液体媒体は、封止部材の屈折率を調整するために、高い屈折率を有する金属酸化物となり得る金属元素を含有させることができる。高い屈折率を有する金属酸化物を与える金属元素の例としては、Si、Al、Zr、Ti、Y、Nb、B等が挙げられる。これらの金属元素は単独で使用されてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で併用されてもよい。
このような金属元素の存在形態は、封止部材の透明度を損なわなければ特に限定されず、例えば、メタロキサン結合として均一なガラス層を形成していてもよく、封止部材中に粒子状で存在していてもよい。粒子状で存在している場合、その粒子内部の構造はアモルファス状であっても結晶構造であってもよいが、高屈折率を与えるためには結晶構造であることが好ましい。また、その粒子径は、封止部材の透明度を損なわないために、通常は、半導体発光素子の発光波長以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。例えばシリコーン系材料に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ニオブ等の粒子を混合することにより、上記の金属元素を封止部材中に粒子状で存在させることができる。
また、上記液体媒体としては、更に、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤を含有していてもよい。
なお、これらの添加剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[発光装置の構成(その他)]
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
また、本発明の発光装置では、上述の励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム以外の部材を用いてもよい。その例としては、前述の封止材料が挙げられる。該封止材料は、発光装置において、蛍光体(第2の発光体)を分散させる目的以外にも、励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム間を接着する目的で用いたりすることができる。
[発光装置の実施形態]
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の一例における、励起光源となる第1の発光体と、蛍光体を有する蛍光体含有部として構成された第2の発光体との位置関係を示す模式的斜視図を図1に示す。図1中の符号1は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号2は励起光源(第1の発光体)としての面発光型GaN系LD、符号3は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とそれぞれ別個に作製し、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させてもよいし、LD(2)の発光面上に蛍光体含有部(第2の発光体)を製膜(成型)させてもよい。これらの結果、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とを接触した状態とすることができる。
このような装置構成をとった場合には、励起光源(第1の発光体)からの光が蛍光体含有部(第2の発光体)の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2(a)は、一般的に砲弾型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。該発光装置(4)において、符号5はマウントリード、符号6はインナーリード、符号7は励起光源(第1の発光体)、符号8は蛍光体含有樹脂部、符号9は導電性ワイヤ、符号10はモールド部材をそれぞれ指す。
また、図2(b)は、表面実装型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。図中、符号22は励起光源(第1の発光体)、符号23は蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部、符号24はフレーム、符号25は導電性ワイヤ、符号26及び符号27は電極をそれぞれ指す。
<発光装置の用途>
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
また、本発明の発光装置は、リモートフォスファーなどにも好適に用いられる。
[照明装置]
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース(12)の底面に、多数の発光装置(13)(前述の発光装置(4)に相当)を、その外側に発光装置(13)の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース(12)の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板(14)を発光の均一化のために固定してなる。
そして、面発光照明装置(11)を駆動して、発光装置(13)の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板(14)を透過して、図面上方に出射され、保持ケース(12)の拡散板(14)面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
[画像表示装置]
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<物性値の測定方法>
後述する各実施例、製造例、及び比較例で得られる蛍光体の物性値は、以下の方法で測定、及び算出することができる。
[蛍光体含水量分析]
(TPD−MS測定)
密閉容器を使用したアニール処理時の推定到達蒸気圧を求めるために、アニール前蛍光体の含水量をTPD(Temperature Programmed Desorption : 昇温脱離)−MS測定により定量した。装置はTPD−MS測定装置AGS−7000(キャノンアネルバ社製)を使用し、分子量18のガスを水とみなした。試料は約0.2g使用し、キャリアガスはHeを40ml/分の流量で用いた。20℃/分で1000℃まで温度を上昇させながら測定を実施した。室温から1000度までに検出された総水分量を蛍光体含水量とした。
推定到達蒸気圧は、蛍光体含水量で表される水と、密閉容器内に蛍光体とは別途添加した水との総量の蒸気が、全て密閉容器内に気体として存在すると仮定して計算した。
[耐水性試験:オートクレーブ試験]
窒化物蛍光体は、高温高湿条件化では酸化、水和、水酸化、炭酸塩化などにより劣化(発光強度が低下)し、重量が増加することが知られており、本発明の蛍光体の高温高湿度条件での耐久性を試験するため、以下の方法で重量増加率[3]を求めた。
各例で得られた蛍光体について、ガラス製容器(容積10cc、内径20mm、開口径20mm)に約1g入れ、電子天秤により重量を測定した。
次いで、蛍光体を入れた容器をフタはせずにオートクレーブ(内容積50L)に入れ、温度158℃、0.5MPa(自己発生圧)の水蒸気雰囲気に20時間暴露した。
なお、上記オートクレーブ試験の前後で蛍光体の重量を、大気中、135℃で2時間乾燥後、電子天秤により測定し、オートクレーブ試験前の蛍光体の重量W(A)とオートクレーブ試験後の蛍光体の重量W(B)から、下記式(3)により、重量増加率を求めた。
(W(B)/W(A)−1)×100 (3)
[表面水酸基分析]
(TPD−MS測定)
式(1)のA(不安定水酸基)及びB(安定水酸基)について、TPD(Temperature Programmed Desorption : 昇温脱離)−MS測定により定量した。装置はTPD−MS測定装置AGS−7000(キャノンアネルバ社製)を使用し、分子量18のガスを水とみなした。試料は約0.2g使用し、キャリアガスはHeを40ml/分の流量で用いた。20℃/分で1000℃まで温度を上昇させながら測定を実施した。
300℃から400℃で観測される脱離水を不安定水酸基由来として、400℃以上700℃未満で観測される脱離水を安定水酸基由来として、温度に対してMS検出器のシグナルをプロットしたプロファイルにおける前記温度範囲の総シグナル面積の比を、不安定水酸基に対する安定水酸基の比(式(I)における左辺の値:B/A)とした。
[相対発光輝度の測定]
発光スペクトルは、室温(25℃)において、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて測定した。
より具体的には、励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長350nm以上410nm以下の励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。なお、測定時には、受光側分光器のスリット幅を1nmに設定して測定した。
なお、相対輝度は、製造例1のアニール前蛍光体を波長455nmの光で励起した時のXYZ表色系におけるY値を100とした際の相対値で表している。
<アニール前蛍光体の製造>
[製造例1]
Ca−Sr−Al−Si−Eu合金を用い、仕込み組成がCa0.18Sr0.81AlSiN:Eu0.008になるよう、カチオン量を調整した原料を、窒素雰囲中、200MPa、1870℃で2時間焼成した。得られた焼成物を乳鉢で粉砕後、2.5時間ボールミルした。ボールミル後の蛍光体70gを、0.5N−HCl−420ccで、1時間洗浄した。こうして得られた蛍光体を水洗浄、乾燥し、本発明のアニール処理を行うためのコアとなるアニール前蛍光体(1)を得た。
尚、前述の方法によりTPD−MS測定で求めたアニール前蛍光体(1)の含水量は、219μmol/gであった。
[製造例2]
洗浄に使用するHClの濃度を1Nとした以外は製造例1と同様にして、製造例2のアニール前蛍光体(2)を得た。
尚、前述の方法によりTPD−MS測定で求めたアニール前蛍光体(2)の含水量は、491μmol/gであった。
[製造例3]
洗浄に使用する0.5N−HCl水溶液の代わりに1.0N−NaPOとした以外は製造例1と同様にして、製造例3のアニール前蛍光体(3)を得た。
尚、前述の方法によりTPD−MS測定で求めたアニール前蛍光体(3)の含水量は、154μmol/gであった。
[製造例4]
製造例1において蛍光体を水洗浄した後、さらに0.5N−NaOH水溶液(420cc)で1時間洗浄し、水洗浄、乾燥を行い、製造例4のアニール前蛍光体(4)を得た。
尚、前述の方法によりTPD−MS測定で求めたアニール前蛍光体(4)の含水量は、78μmol/gであった。
[製造例5]
Ca−Sr−Al−Si−Eu合金と、Euを用い、仕込み組成がCa0.10Sr0.89AlSiN:Eu0.014になるよう、カチオン量を調整した原料を、1950℃で焼成した以外は製造例1と同様に製造例5のアニール前蛍光体(5)を得た。
尚、前述の方法によりTPD−MS測定で求めたアニール前蛍光体(5)の含水量は、160μmol/gであった。
[製造例6]
製造例1において蛍光体を水洗浄した後、さらに0.5N−Ca(OH)水溶液(420cc)で1時間洗浄し、水洗浄、乾燥を行い、製造例6のアニール前蛍光体(6)を得た。
尚、前述の方法によりTPD−MS測定で求めたアニール前蛍光体(6)の含水量は、252μmol/gであった。
<蛍光体の製造と耐水性試験>
[実施例1]
製造例1の蛍光体1.8gをステンレス製の反応容器(内容積6.4cm)に入れて密閉し、管状炉で昇温速度10℃/分で400℃まで昇温した後、400℃で2時間保持し、アニール処理とした。処理時の推定到達水蒸気圧はアニール前蛍光体(1)の含水量および反応容器の内容積から計算すると3.8気圧であった。放冷後、蛍光体を取り出し、前述の方法により水(HO)のTPD−MSパターンを測定し、蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比(式(I)の左辺:B/A)を求めたところ、3.8となった。
また、前述の方法によりオートクレーブ試験を行い、重量増加率を測定したところ0.3%であった。
[実施例2]
製造例2の蛍光体1.8gを用いて実施例1と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の処理時の推定到達水蒸気圧はアニール前蛍光体(2)の含水量および反応容器の内容積から計算すると8.7気圧であった。式(I)の左辺の値(B/A)を求めたところ、6.0となった。
また、オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.3%であった。
[実施例3]
製造例3の蛍光体1.9gとともに純水3μlを反応容器に入れた以外は実施例1と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の推定到達水蒸気圧は、アニール前蛍光体(3)の含水量、反応容器に入れた純水量、および反応容器の内容積から計算すると4.3気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、3.1となった。
また、オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.4%であった。
[実施例4]
製造例4の蛍光体2.5gを用いて実施例1と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の推定到達水蒸気圧はアニール前蛍光体(4)の含水量および反応容器の内容積から計算すると7.5気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、4.6となった。オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.1%であった。
[実施例5]
製造例5の蛍光体1.8gを用い、反応容器に蛍光体とともに純水4μl入れた以外は実施例1と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の推定到達水蒸気圧は、アニール前蛍光体(5)の含水量、反応容器に入れた純水量、および反応容器の内容積から計算すると4.9気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、4.2となった。また、オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.6%であった。
[実施例6]
製造例5の蛍光体1.9gを用い、反応容器に蛍光体とともに純水4μl入れ、昇温速度20℃/分で490℃まで昇温し、490℃で0.59時間保持した以外は実施例1と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の推定到達水蒸気圧は、アニール前蛍光体(5)の含水量、反応容器に入れた純水量、および反応容器の内容積から計算すると5.6気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、2.9となった。また、オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.5%であった。
[実施例7]
反応容器に蛍光体とともに純水13μl入れた以外は実施例6と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の推定到達水蒸気圧は、アニール前蛍光体(5)の含水量、反応容器に入れた純水量、および反応容器の内容積から計算すると11.0気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、5.5となった。オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.4%であった。
[実施例8]
製造例6の蛍光体1.8gを用い、反応容器に蛍光体とともに純水を入れなかったこと以外は実施例6と同様にアニール処理と評価を行った。処理時の推定到達水蒸気圧はアニール前蛍光体(6)の含水量および反応容器の内容積から計算すると5.0気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、9.6となった。オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ0.6%であった。
[比較例1]
製造例1の蛍光体1.8gを実施例1で用いた反応容器に入れ、密閉せずにガス導入管とガス排出管を接続し、25℃における相対湿度40%のHeを100ml/分の流量で流通しながらアニール処理を行った。処理時の推定到達水蒸気圧は、流通しているガスの水分の400℃における水蒸気圧を状態方程式により求めたところ、0.028気圧であった。なお、蛍光体含水量で表される水分は、ガス流通している場合は、反応容器外に排出されてしまうため、計算上は無視した。昇温速度10℃/分で400℃まで昇温した後、400℃で2時間保持し、アニール処理とした。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、1.7となった。オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ4.7%であった。
[比較例2]
製造例5の蛍光体1.8gを用いた以外は比較例2と同様にアニール処理を行った。処理時の推定到達水蒸気圧は0.028気圧であった。蛍光体表面の不安定水酸基に対する安定水酸基の比を求めたところ、2.2となった。オートクレーブ試験における重量増加率を測定したところ5.9%であった。
以下、表1に実施例1〜8、比較例1及び2の相対発光輝度及び耐久性試験の結果を纏めた。
Figure 2014221890
表1に示すが如く、本発明の蛍光体は相対発光輝度を維持させつつ、耐水性が飛躍的に向上している。このため、本発明の蛍光体を含む発光装置は水分によって蛍光体から分解物などが生じ難く、分解物に起因する樹脂劣化、ひいては発光装置の劣化などが生じ難い。
以上より、本発明の蛍光体を含む発光装置、並びに該発光装置を含む画像表示装置及び照明装置は、高品質である。
1 蛍光体含有部(第2の発光体)
2 励起光源(第1の発光体)(LD)
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 励起光源(第1の発光体)
8 蛍光体含有樹脂部
9 導電性ワイヤ
10 モールド部材
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される蛍光体であって、下記式(I)を満たすことを特徴とする、蛍光体。
    (1)
    (上記式(1)中、
    は、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
    は、Sr、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
    は、Al、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
    は、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素である。
    a、b、c、d、eは、それぞれ下記の範囲の値である。
    0.00001≦a≦0.15
    a+b=1
    0.5≦c≦1.5
    0.5≦d≦1.5
    2.5≦e≦3.5)

    B/A>2.5 (I)
    (上記式(I)中、
    Aは、TPD−MS分析において300℃以上400℃未満の範囲における、分子量18の積分値を表し、
    Bは、400℃以上700℃未満の分子量が18の積分値を表す。)
  2. 前記式(1)で表される蛍光体が、下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
    1’ a’Srb’Cac’2’ d’Ale’Sif’g’ (2)
    (上記式(2)中、
    1’は、前記式(1)におけるMと同義である。
    2’は、Mg及び/又はBaを表す。
    また、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’は、それぞれ下記の範囲の値である。
    0.00001≦a’≦0.15
    0.1≦b’≦0.99999
    0≦c’<1
    0≦d’<1
    a’+b’+c’+d’=1
    0.5≦e’≦1.5
    0.5≦f’≦1.5
    0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
  3. 更に、酸素を含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の蛍光体。
  4. 更に、ハロゲン元素を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体と、液体媒体とを含有することを特徴とする、蛍光体含有組成物。
  6. 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
    該第2の発光体が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含むことを特徴とする発光装置。
  7. 請求項6に記載の発光装置を光源として含むことを特徴とする画像表示装置。
  8. 請求項6に記載の発光装置を光源として含むことを特徴とする照明装置。
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