JP2014221651A - エンボスキャリアテープ - Google Patents

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Abstract

【課題】エンボス加工によってテープ本体に生じる波打ち現象を低減でき、これにより製品が収納されるエンボス部のシール性を十分に確保でき、また実装時にはカバーテープの剥離強度の変動を抑制して製品を安定的にピックアップできるエンボスキャリアテープを提供すること。【解決手段】テープ本体1の延在方向Lに間隔をあけて、製品を収納するエンボス部3が複数形成されたエンボスキャリアテープ10であって、前記テープ本体1の幅方向に垂直な断面視で、前記テープ本体1の前記エンボス部3以外のシール代部分のうち、前記幅方向に沿う前記エンボス部3の外側部分1bは、直線状をなしており、前記延在方向Lに隣り合う前記エンボス部3同士の間に位置する連結部分1aは、前記テープ本体1の厚さ方向Tのうち前記エンボス部3が開口する向きに凸となる曲線状をなしていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、エンボスキャリアテープに関するものである。
従来、例えば半導体チップやセラミックコンデンサ、チップ抵抗、コイル等の電子部品等(製品)を搬送し、実装機に供給するエンボスキャリアテープが知られている(例えば、下記特許文献1、2を参照)。
図7に示される従来のエンボスキャリアテープ100には、そのテープ本体101の延在方向Lに沿って、複数の送り孔102と、製品(不図示)を収納する複数のエンボス部103とが形成されている。そして、製品がエンボス部103に収納された状態で、テープ本体101の表面がカバーテープ(不図示)でシールされることでエンボス部103が封止され、各種サイズのリールに巻き取られて搬送される。
エンボスキャリアテープ100で搬送された製品は、実装機により基板等の所定の位置に載置される。具体的には、製品が収納されたエンボスキャリアテープ100を実装機のカセットに設置し、カバーテープを剥離しながらバキュームピンセット等を用いて製品をピックアップして、基板等に載置する。
このようなエンボスキャリアテープ100の製造においては、図8に示されるように、ドラム型をなし、その外周に、エンボス部103を成形するための凹部120が複数設けられた真空成形金型(成形ドラム)113が用いられる。
特開平10−272684号公報 特開2002−67140号公報
しかしながら、従来のエンボスキャリアテープにおいては、下記の課題があった。
すなわち、成形ドラム113によりテープ本体101にエンボス部103が成形される際、該成形ドラム113の外周にテープ本体101のエンボス部103以外のシール代部分(カバーテープとのテーピング代となる部分)が接触し、前記シール代部分が曲面状に成形されることとなり、この成形後にテープ本体101を真っ直ぐに伸ばしたときに、図7(b)に示されるように、テープ本体101のシール代部分が波打つように変形していた。また、エンボス部103の開口を形成する矩形の各辺のうち、成形ドラム113の周方向に沿って延びる一対の辺も曲線状に成形されることから、上記変形が強調されやすかった。
特に、図7に示されるエンボスキャリアテープ100のように、テープ本体101(全体)に占めるエンボス部103の割合が大きく、該テープ本体101のシール代が少ないものでは、このような変形(波打ち現象)が生じやすかった。
テープ本体101に波打ち現象が発生すると、該テープ本体101にカバーテープをテーピングする際、均一にシールされにくくなる。また、実装時にカバーテープを剥離する際、剥離強度の変動量が大きくなり、テープ本体101が脈動する現象が生じて製品が振動し、安定的にピックアップできなくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エンボス加工によってテープ本体に生じる波打ち現象を低減でき、これにより製品が収納されるエンボス部のシール性を十分に確保でき、また実装時にはカバーテープの剥離強度の変動を抑制して製品を安定的にピックアップできるエンボスキャリアテープを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は、テープ本体の延在方向に間隔をあけて、製品を収納するエンボス部が複数形成されたエンボスキャリアテープであって、前記テープ本体の幅方向に垂直な断面視で、前記テープ本体の前記エンボス部以外のシール代部分のうち、前記幅方向に沿う前記エンボス部の外側部分は、直線状をなしており、前記延在方向に隣り合う前記エンボス部同士の間に位置する連結部分は、前記テープ本体の厚さ方向のうち前記エンボス部が開口する向きに凸となる曲線状をなしていることを特徴とする。
また、本発明に係るエンボスキャリアテープにおいて、前記エンボス部の開口を形成する多角形の各辺が、それぞれ直線状に延びていることとしてもよい。
また、本発明に係るエンボスキャリアテープにおいて、前記連結部分の前記延在方向に沿う長さが、前記延在方向に隣り合う前記エンボス部同士の配置ピッチの5%以上95%以下であることとしてもよい。
また、本発明に係るエンボスキャリアテープにおいて、ドラム型をなし、その外周に、前記エンボス部を成形するための凹部と、前記エンボス部の外側部分が接触する平面部と、前記連結部分が接触する凸曲面部と、を備えた真空成形金型を用いて、前記テープ本体が成形加工されたこととしてもよい。
本発明のエンボスキャリアテープによれば、エンボス加工によってテープ本体に生じる波打ち現象を低減でき、これにより製品が収納されるエンボス部のシール性を十分に確保でき、また実装時にはカバーテープの剥離強度の変動を抑制して製品を安定的にピックアップできる。
本発明の一実施形態に係るエンボスキャリアテープの(a)上面図、(b)断面図である。 本発明の一実施形態に係るエンボスキャリアテープの側面図であり、テープ本体の幅方向に垂直な断面視に相当する図である。 本発明の一実施形態に係るエンボスキャリアテープの製造装置(製造工程)を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るエンボスキャリアテープの製造装置のドラム型の真空成形金型(成形ドラム)を簡略的に表す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るエンボスキャリアテープからカバーテープを剥離した際の剥離強度の変動量を示すグラフである。 従来のエンボスキャリアテープからカバーテープを剥離した際の剥離強度の変動量を示すグラフである。 従来のエンボスキャリアテープの(a)上面図、(b)側面図、(c)断面図である。 従来のエンボスキャリアテープの製造装置のドラム型の真空成形金型(成形ドラム)を簡略的に表す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係るエンボスキャリアテープ10について、図面を参照して説明する。
図1(a)(b)及び図2に示されるように、本実施形態のエンボスキャリアテープ10は、長尺の基材シートからなるテープ本体1を有しており、該テープ本体1にはその延在方向Lに沿って、テープを送るための(テープ搬送用の)複数の送り孔2と、製品(不図示)を収納するための複数のエンボス部3と、が形成されている。尚、前記製品としては、例えば、半導体チップやセラミックコンデンサ、チップ抵抗、コイル等の電子部品等が挙げられる。
ここで、本明細書では図1(a)(b)及び図2に示されるように、テープ本体1の延在方向を符号Lで表し、テープ本体1の幅方向を符号Wで表し、テープ本体1の厚さ方向を符号Tで表している。また、テープ本体1の厚さ方向Tを向く両面のうち、エンボス部3が開口される側(図2における上側)の面をテープ本体1の表面といい、該表面とは反対側(図2における下側)を向く面をテープ本体1の裏面という。
テープ本体1は、例えば熱可塑性プラスチックであり、具体的な材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの樹脂の他、これらの樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したり、これらの樹脂テープの外面に導電コーティングを施したものなどが挙げられる。尚、テープ本体1の材質は上記のものに限定されない。
図1(a)に示されるテープ本体1の上面視で(テープ本体1の表面を正面に見て)、送り孔2は、円形状をなしており、図1(b)に示されるようにテープ本体1を厚さ方向Tに貫通して形成されている。また図1(a)において、送り孔2は、テープ本体1の延在方向Lに間隔をあけて複数形成されている。
延在方向Lに隣り合う送り孔2同士は、所定間隔をあけて配置されており、具体的には、延在方向Lに隣り合う送り孔2同士の間の距離(配置ピッチ)が、一定間隔(等間隔)に設定されている。これらの送り孔2は、テープ本体1の幅方向Wに沿う両端部のうち、一方の端部(図1(a)における上端部)に配列されている。
また、図1(a)に示されるテープ本体1の上面視で、エンボス部3は、矩形状をなしており、テープ本体1を表面から裏面側へ向けて窪ませるようにエンボス加工して形成されている。エンボス部3は、テープ本体1の延在方向Lに間隔をあけて複数形成されている。また、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士は、所定間隔をあけて配置されており、具体的には、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の間の距離(配置ピッチ)が、一定間隔(等間隔)に設定されている。
エンボス部3は、テープ本体1の表面から凹状に窪まされた有底穴であり、テープ本体1の裏面から見ると凸状に突出して形成されている。テープ本体1の表面側から見て、エンボス部3は矩形穴状をなしており、1つの底壁と、この底壁を囲み該底壁とテープ本体1のシール代部分とを繋ぐ4つの側壁と、を有している。ここで、テープ本体1の「シール代部分」とは、テープ本体1のエンボス部3以外の部位において厚さ方向Tに略垂直に形成された、カバーテープ(不図示)とのテーピング代となる部分を指す。また、エンボス部3の底壁は、厚さ方向Tに略垂直に形成されており、エンボス部3の各側壁は、前記底壁から厚さ方向Tに沿うように立設されている。
具体的に、エンボス部3は、延在方向Lに長い矩形穴状に形成されており、該エンボス部3において、延在方向Lに対向配置された一対の側壁の幅方向Wに沿う長さに比べて、幅方向Wに対向配置された一対の側壁の延在方向Lに沿う長さが長くなっている。エンボス部3の側壁は、テープ本体1のシール代部分から厚さ方向Tの裏面側(エンボス部3の底壁側)へ向かうに従い、該側壁に対向配置された他の側壁に接近するように僅かに傾斜して形成されている。
図1(a)(b)及び図2に示されるように、エンボス部3の開口を形成する矩形の各辺(4つの辺)は、それぞれ直線状に延びている。すなわち、エンボス部3の側壁と、テープ本体1のシール代部分とが交差する稜線部分が、それぞれ直線状に形成されている。
また、エンボス部3の底壁には、該エンボス部3に収容される製品を検知(検査)するための検査孔4が形成されている。検査孔4は、エンボス部3の底壁を貫通して形成されている。図1(a)に示されるテープ本体1の上面視で、検査孔4は円形状をなしており、エンボス部3の底壁の中央部に配置されている。
図1(a)において、複数のエンボス部3は、テープ本体1の幅方向Wに沿う前記一方の端部以外の部位に配列されており、具体的には、エンボス部3がなす列の幅方向Wの中心が、テープ本体1の幅方向Wに沿う中心よりも他方の端部側(図1(a)における下端部側)へ若干偏った位置となるように配列されている。
尚、図示の例では、隣り合うエンボス部3同士の配置ピッチが、隣り合う送り孔2同士の配置ピッチの2倍となっている。ただしこれに限定されるものではなく、隣り合うエンボス部3同士の配置ピッチが、隣り合う送り孔2同士の配置ピッチに対して、同一(等倍)や0.5倍、或いは3倍以上の整数倍等とされていても構わない。すなわち、エンボス部3同士の配置ピッチ、及び送り孔2同士の配置ピッチのうち、一方が他方に対して整数倍とされていればよい。
また、従来の一般的なエンボスキャリアテープに比べて、本実施形態のエンボスキャリアテープ10は、テープ本体1(全体)に占めるエンボス部3の割合が大きくなっており、これに伴って該テープ本体1のシール代部分は少なくされている。
図1(a)に示されるように、テープ本体1のシール代部分のうち、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の間に位置する連結部分1aは、幅方向Wに長い帯状(細長の矩形状)とされている。また、テープ本体1のシール代部分のうち、幅方向Wに沿うエンボス部3の外側部分1bは、延在方向Lに長い矩形状とされており、具体的には、エンボス部3の幅方向Wの両側に位置する一対の外側部分1bのうち、一方側(図1(a)における上側)の外側部分1bの幅方向Wに沿う長さ(幅)が、他方側(図1(a)における下側)の外側部分1bの前記幅よりも大きくなっており、該一方側の外側部分1bに、送り孔2が配置されている。
ここで、図2に示されるテープ本体1の側面図は、該テープ本体1の幅方向Wに垂直な断面視(側断面視)に相当する図となっている。そして、この図2において、テープ本体1のエンボス部3以外のシール代部分(図2において太線で示される部分)のうち、幅方向Wに沿うエンボス部3の外側部分1bは、直線状をなしており、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の間に位置する連結部分1aは、テープ本体1の厚さ方向Tのうちエンボス部3が開口する向き(つまりテープ本体1の表面側)に凸となる曲線状をなしている。
具体的に、テープ本体1のシール代部分のうち、外側部分1bは、厚さ方向Tに垂直な平坦状をなしている。また、連結部分1aは、図2に示される側断面視で厚さ方向Tの表面側に向けて凸となるR形状をなしているとともに、幅方向Wに沿って延びている。尚、本実施形態では、連結部分1aの幅方向Wに沿う両外側部分についても、該連結部分1aと同様のR形状とされており、このような断面R形状部分が、テープ本体1の幅方向Wの全長に亘って延びている。
また、連結部分1aの延在方向Lに沿う長さは、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の配置ピッチの5%以上95%以下の範囲とされている。尚、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の配置ピッチに対する連結部分1aの延在方向Lに沿う長さの割合は、25%以上75%以下の範囲であることがより好ましい。
次に、本実施形態のエンボスキャリアテープ10の製造装置、及びその製造工程(製造方法)について説明する。
図3に示されるように、エンボスキャリアテープ10の製造装置は、エンボスキャリアテープ素材10Aが搬送される上流から下流側へ向けて、加熱ドラム12、成形ドラム13、アキューム部15、プレスパンチ金型17及び搬送装置18を、この順に備えている。
図3において、予め一定幅に形成されたエンボスキャリアテープ素材10Aは、そのエンボス部3形成領域が加熱ドラム12で加熱軟化された後、成形ドラム13に連続的に供給され、真空成形によりエンボス加工されて、エンボス部3が単列成形される。尚、エンボス部3は多列成形されていてもよい。
具体的に、図4に示されるように、成形ドラム13は、ドラム型をなし、その外周に、エンボス部3を成形するための矩形穴状の凹部20と、エンボス部3の幅方向Wの外側部分1bが密着して接触する平面部21と、エンボス部3同士の間の連結部分1aが密着して接触する凸曲面部22と、を備えた真空成形金型である。
図示の例では、凸曲面部22は、成形ドラム13の回転軸(中心軸)に垂直な断面が該成形ドラムの径方向外側へ向けて凸となる曲線状をなしているとともに、成形ドラム13の外周における回転軸方向の全長に亘って延びている。また、成形ドラム13の外周において、回転軸回りに沿う周方向に隣り合う凸曲面部22同士の間には、凹部20と、該凹部20を回転軸方向の両側から挟むように配置された一対の平面部21と、が形成されている。凹部20の開口をなす矩形の各辺は、それぞれ直線状に延びて形成されている。
このような成形ドラム13を用いて、テープ本体1が成形加工されるとともに、該テープ本体1にエンボス部3が形成される。
図3において、エンボス部3が成形されたエンボスキャリアテープ素材10Aは、アキューム部15で徐冷される。
次いで、エンボスキャリアテープ素材10Aは打ち抜き後の収縮を考慮し、冷却水(温水)により一定温度に温調されたプレスパンチ金型17内に導かれ、多数個の送り孔2及び検査孔4をそれぞれの打ち抜き部(不図示)で同時に打ち抜く。このときプレスパンチ金型17内でのエンボスキャリアテープ素材10Aの位置決めは、例えばエンボス部3の内部形状と同一形状とされたパイロットピン(不図示)を、エンボス部3内に挿入することにより行われる。
このようにして、エンボスキャリアテープ素材10Aにエンボス部3、送り孔2及び検査孔4が形成されて、エンボスキャリアテープ10が製造される。
以上説明した本実施形態のエンボスキャリアテープ10によれば、図2のテープ本体1の幅方向Wに垂直な断面視で、テープ本体1のシール代部分のうち、エンボス部3の外側部分1bが直線状をなしており、エンボス部3同士の間に位置する連結部分1aが、該エンボス部3が開口する向きに凸となる曲線状をなしている。すなわち、テープ本体1のシール代部分のうち、エンボス部3の幅方向Wの外側部分1bが平坦状とされ、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の間の連結部分1aが厚さ方向Tの表面側に向けて凸となるR形状に形成されているので、下記の効果を奏功する。
このエンボスキャリアテープ10の製造時に、成形ドラム13によりエンボス部3を成形加工する際、テープ本体1の外側部分1bは成形ドラム13の平面部21に密着して平坦状に成形され、テープ本体1の連結部分1a(及びその幅方向Wの両外側部分)は成形ドラム13の凸曲面部22に密着して凸曲面状に成形される。このように、成形ドラム13によってテープ本体1の外側部分1bを予め平坦状に形成できることから、この成形後にテープ本体1を真っ直ぐに伸ばしたときに、図2に示されるように、テープ本体1の外側部分1bは平坦状のままその形状が維持されて、該テープ本体1のシール代部分の波打ち現象が顕著に抑制されることになる。
具体的に、成形ドラム13によるテープ本体1の成形加工の前後で(つまり成形加工中及びその後工程において)、エンボス部3の開口をなす矩形の各辺のすべてが、直線状のままその形状が維持されている。そして、エンボス部3の幅方向Wに隣り合う一対の外側部分1bの形状も、平坦状のままその形状が維持されている。
尚、テープ本体1の連結部分1aの形状については、成形加工後にテープ本体1を真っ直ぐに伸ばしたときに、曲率半径の小さいR形状から曲率半径の大きいR形状へと僅かに変形させられているものの、該連結部分1aの幅方向Wの両外側に上記変形の妨げとなる構成(エンボス部3等)が配置されていないために、該テープ本体1における内部応力等の発生が十分に抑えられており、波打ち現象等の変形が防止されている。
ここで、本実施形態によりテープ本体1の波打ち現象が抑制されることについて、図1、図2及び図7を参照して具体的に説明する。
図1及び図2に示されるものは本実施形態のエンボスキャリアテープ10であり、図7に示されるものは従来のエンボスキャリアテープ100である。これらのエンボスキャリアテープ10、100は、図2及び図7(b)に示されるテープ本体1、101の幅方向Wに垂直な断面視で、外側部分1b、101b及び連結部分1a、101aの形状が互いに異なっている。
図2に示される本実施形態の例では、テープ本体1のシール代部分(図中に太線で表す部分)におけるエンボス部3に対応する外側部分1b全体が、厚さ方向Tに垂直な平坦状に形成されている。また、前記シール代部分におけるエンボス部3同士の間の連結部分1aは、外側部分1bに対して厚さ方向Tに沿う表面側(図2における上側)に向けて僅かに突出しているが、その厚さ方向Tへの変位量は十分に小さくされている。
一方、図7(b)に示される従来例では、テープ本体101のシール代部分におけるエンボス部3に対応する外側部分101b全体が、連結部分101aよりも厚さ方向Tに沿う表面側(図7(b)における上側)に向けて突出しているために波打ち現象が顕著に出現しており、その厚さ方向Tへの変位量も大きくなっている。
具体的に本実施形態では、テープ本体1全体に占めるエンボス部3の割合が大きくなっているとともに、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の間の連結部分1aの割合は小さくされており、これに伴って連結部分1aに対応するR形状の領域も小さくなっているので、テープ本体1のシール代部分全体に占める平坦状とされた領域の割合が十分に大きく確保されている。またこれにより、前記シール代部分のうちR形状とされた領域の厚さ方向Tへ向けた突出量も小さく抑えられている。
一方、従来例では、テープ本体101全体に占めるエンボス部103の割合が大きくなっているとともに、該エンボス部103に対応するR形状の領域も大きくなって、テープ本体101のシール代部分全体に占める平坦状とされた領域の割合が小さくなっている。またこれにより、前記シール代部分のうちR形状とされた領域の厚さ方向Tへ向けた突出量も大きくなっている。
このように本実施形態によれば、製造時にテープ本体1に発生する波打ち現象を抑制できるので、該テープ本体1の表面をカバーテープでシールする際の密着性が高められて、製品が収納されたエンボス部3開口のシール性を十分に確保することができる。従って、エンボス部3に収納された製品がエンボス部3内から飛び出したり脱落したりするような不具合が防止される。
また実装時においては、テープ本体1からカバーテープを剥離する際の剥離強度の変動量が抑制されるので、テープ本体1が脈動するような現象が防止されるとともに、エンボス部3内から製品を安定して確実にピックアップでき、生産性が高められることになる。
ここで、本実施形態においてテープ本体1からカバーテープを剥離する際に脈動が抑制されることについて、図5及び図6のグラフを参照して詳しく説明する。
図5に示されるものは本実施形態のエンボスキャリアテープ10のテープ本体1からカバーテープを剥離した際の剥離強度の変動量を示すグラフであり、図6は従来のエンボスキャリアテープ100のテープ本体101からカバーテープを剥離した際の剥離強度の変動量を示すグラフである。尚、図5及び図6の各グラフにおいて、横軸は剥離長(mm)を表し、縦軸は剥離強度(g)を表している。
図6に示される従来例では、剥離強度が0〜40gの間で大きく変動している。これは、テープ本体101に対するカバーテープのシール性が安定しておらず、またテープ本体101の略全体に波打ち現象が生じていることに起因しているものと考えられる。
一方、図5に示される本実施形態の例では、剥離強度が25〜40gの間におさまっており、その変動量は従来例に比べて大幅に抑制されている。これは、テープ本体1に対してカバーテープが均一にシールされており、またテープ本体1の波打ち現象が十分に抑制されているためである。
以上より、本実施形態のエンボスキャリアテープ10によれば、エンボス加工によってテープ本体1に生じる波打ち現象を低減でき、これにより製品が収納されるエンボス部3のシール性を十分に確保でき、また実装時にはカバーテープの剥離強度の変動を抑制して製品を安定的にピックアップできるのである。
尚、本実施形態によれば、成形ドラム13の大径化・小径化、成形ドラム13の凹部(及び凸部)の各種形状付与、多列真空成形への応用など、種々様々なテープ形状及びその製造への展開が可能である。
また、エンボスキャリアテープ10の製造時に、成形ドラム13によりテープ本体1にエンボス部3を成形する際、及びその成形後において、該エンボス部3の開口を形成する矩形の各辺が、それぞれ直線状のまま形状が維持されているので、上述の波打ち現象を抑制する効果が、より顕著に得られることになる。
また、テープ本体1の連結部分1aの延在方向Lに沿う長さが、延在方向Lに隣り合うエンボス部3同士の配置ピッチの5%以上95%以下であるので、前述の効果が確実かつ顕著に得られやすくなる。
具体的に、連結部分1aの延在方向Lの長さが、エンボス部3同士の配置ピッチの5%未満の場合は、エンボス部3同士の間の波打ち(凹凸)が強調され厚さ方向Tへの変形量が大きくなり、カバーテープの接着が十分に行われなくなって、該カバーテープを剥離するときの剥離強度の変動量も大きくなるおそれがある。また、連結部分1aの延在方向Lの長さが、エンボス部3同士の配置ピッチの95%を超える場合は、テープ本体1のシール代部分に占める平坦状とされた領域の割合が小さくなり、該シール代部分の波打ち(凹凸)が強調され厚さ方向Tへの変形量が大きくなり、カバーテープの接着が十分に行われなくなって、該カバーテープを剥離するときの剥離強度の変動量も大きくなるおそれがある。
尚、連結部分1aの延在方向Lの長さが、エンボス部3同士の配置ピッチの25%以上75%以下である場合には、テープ本体1の波打ち(凹凸)が十分に低減されるとともに厚さ方向Tへの変形量が抑えられ、カバーテープの接着が安定して確実に行われて、該カバーテープを剥離するときの剥離強度の変動量も低減されることから、より望ましい。
また、エンボスキャリアテープ10の製造時において、ドラム型をなし、その外周に、エンボス部3を成形するための凹部20と、エンボス部3の外側部分1bが接触する平面部21と、連結部分1aが接触する凸曲面部22と、を備えた真空成形金型(成形ドラム13)を用いて、テープ本体1が成形加工されるので、本実施形態の特別な構成を備えたテープ本体1の形状を、簡便かつ安定的に成形可能であるとともに賦形性が高められて、上述した効果が確実に得られることになる。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、テープ本体1に形成されたエンボス部3が、延在方向Lに長い矩形穴状をなしており、1つの底壁と、該底壁を囲む4つの側壁とを有していると説明したが、エンボス部3の形状はこれに限定されるものではない。すなわち、エンボス部3は、幅方向Wに長い矩形穴状とされていてもよく、或いは矩形穴状以外の多角形穴状や円形穴状等とされていてもよい。
また、エンボス部3の内部には、該エンボス部3に収容される製品の形状に合わせて凹部や凸部が形成されていてもよい。
また、前述の実施形態では、エンボス部3の開口を形成する矩形の各辺が、それぞれ直線状に延びているとしたが、エンボス部3の開口形状は矩形に限定されるものではなく、上記矩形とされる代わりに、例えば六角形や八角形等であっても構わない。すなわち、エンボス部3の開口を形成する多角形の各辺が、それぞれ直線状に延びていることとしてもよい。
尚、この場合、成形ドラム13の凹部20の形状は、エンボス部3の形状に対応して多角形穴状とされるとともに、該凹部20の開口をなす多角形の各辺も、それぞれ直線状に延びて形成されることとなる。
また、エンボスキャリアテープ10に形成されるエンボス部3、送り孔2及び検査孔4の形状や配置、数量は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[確認試験A]
外径φ92mmのドラム型の真空成形金型(成形ドラム)を用いて、テープ本体の幅方向Wに沿う長さ(幅)が12mm、延在方向Lに隣り合うエンボス部同士の配置ピッチが8mmとされたエンボスキャリアテープを作製した。
表1において、テープ本体のシール代部分のうち、幅方向Wに沿うエンボス部の外側部分が平坦状とされ、延在方向Lに隣り合うエンボス部同士の間に位置する連結部分がR形状とされたエンボスキャリアテープを本発明の実施例とし、それ以外のものを従来の比較例として示している。
そして、作製されたエンボスキャリアテープに対して、テープ本体のシール代部分の波打ち(凹凸)等による厚さ方向Tへの変形量を測定した。また、テープ本体からカバーテープを剥離する際の剥離強度の変動量(暴れ量)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014221651
[評価]
表1に示されるように、本発明の実施例1〜10においては、テープ本体1のシール代部分の厚さ方向Tの変形量がすべて38μm以下となり、また剥離強度の変動量も34g以下に抑えられて、比較例1、2に比べて良好な結果が得られた。
また、実施例1〜10のうち、エンボス部3同士の配置ピッチに対する連結部分1aの延在方向Lの長さの割合(表中の「エンボス部間R長さ/エンボス部ピッチ」)が5%以上95%以下である実施例2〜9については、シール代部分の厚さ方向Tの変形量がすべて27μm以下となり、また剥離強度の変動量も25g以下に抑えられて、より好ましい結果となった。
さらに、エンボス部3同士の配置ピッチに対する連結部分1aの延在方向Lの長さの割合が25%以上75%以下である実施例4〜7については、シール代部分の厚さ方向Tの変形量がすべて19μm以下となり、また剥離強度の変動量も17g以下に抑えられて、より望ましい結果が得られた。
[確認試験B]
外径φ203mmのドラム型の真空成形金型(成形ドラム)を用いて、テープ本体の幅方向Wに沿う長さ(幅)が16mm、延在方向Lに隣り合うエンボス部同士の配置ピッチが12mmとされたエンボスキャリアテープを作製した。
そして、上記確認試験Aと同様の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2014221651
[評価]
表2に示されるように、本発明の実施例11〜20においては、テープ本体1のシール代部分の厚さ方向Tの変形量がすべて47μm以下となり、また剥離強度の変動量も39g以下に抑えられて、比較例3、4に比べてほぼ良好な結果が得られた。
また、実施例11〜20のうち、エンボス部3同士の配置ピッチに対する連結部分1aの延在方向Lの長さの割合が5%以上95%以下である実施例12〜19については、シール代部分の厚さ方向Tの変形量がすべて31μm以下となり、また剥離強度の変動量も33g以下に抑えられて、より好ましい結果となった。
さらに、エンボス部3同士の配置ピッチに対する連結部分1aの延在方向Lの長さの割合が25%以上75%以下である実施例14〜17については、シール代部分の厚さ方向Tの変形量がすべて19μm以下となり、また剥離強度の変動量も20g以下に抑えられて、より望ましい結果が得られた。
1 テープ本体
1a 延在方向に隣り合うエンボス部同士の間に位置する連結部分
1b 幅方向に沿うエンボス部の外側部分
3 エンボス部
10 エンボスキャリアテープ
13 成形ドラム(ドラム型の真空成形金型)
20 凹部
21 平面部
22 凸曲面部
L 延在方向
T 厚さ方向
W 幅方向

Claims (4)

  1. テープ本体の延在方向に間隔をあけて、製品を収納するエンボス部が複数形成されたエンボスキャリアテープであって、
    前記テープ本体の幅方向に垂直な断面視で、
    前記テープ本体の前記エンボス部以外のシール代部分のうち、前記幅方向に沿う前記エンボス部の外側部分は、直線状をなしており、前記延在方向に隣り合う前記エンボス部同士の間に位置する連結部分は、前記テープ本体の厚さ方向のうち前記エンボス部が開口する向きに凸となる曲線状をなしていることを特徴とするエンボスキャリアテープ。
  2. 請求項1に記載のエンボスキャリアテープであって、
    前記エンボス部の開口を形成する多角形の各辺が、それぞれ直線状に延びていることを特徴とするエンボスキャリアテープ。
  3. 請求項1又は2に記載のエンボスキャリアテープであって、
    前記連結部分の前記延在方向に沿う長さが、前記延在方向に隣り合う前記エンボス部同士の配置ピッチの5%以上95%以下であることを特徴とするエンボスキャリアテープ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンボスキャリアテープであって、
    ドラム型をなし、その外周に、前記エンボス部を成形するための凹部と、前記エンボス部の外側部分が接触する平面部と、前記連結部分が接触する凸曲面部と、を備えた真空成形金型を用いて、前記テープ本体が成形加工されたことを特徴とするエンボスキャリアテープ。
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