JP2014220462A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】受光面側の電極の滲みを防止して光電変換効率に優れた太陽電池を製造可能な太陽電池の製造方法を得ること。【解決手段】第1導電型の半導体基板の受光面側となる一面側に第2導電型の不純物元素を拡散して半導体基板の一面側に不純物拡散層を形成する第1工程と、不純物拡散層に電気的に接続する受光面側電極を半導体基板の一面側に形成する第2工程と、半導体基板の他面側に電気的に接続する裏面側電極を半導体基板の他面側に形成する第3工程と、を含み、第2工程は、半導体基板の一面側における受光面側電極の形成用の電極材料ペーストが印刷される印刷領域の外側の領域に、印刷領域との間に間隙を有する状態で剥離層を形成する第4工程と、印刷領域に電極材料ペーストを印刷する第5工程と、剥離層を除去する第6工程と、電極材料ペーストを焼成して受光面側電極を形成する第7工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池の製造方法に関するものである。
従来の太陽電池は、多結晶シリコンもしくは単結晶シリコンのp型シリコン基板の受光面全体にn型の不純物拡散層が形成され、受光面側の表面に微小な凹凸が設けられている。微小凹凸上には反射防止膜が形成され、その上に櫛形状に表電極が設けられている。また、p型シリコン基板の裏面側には、裏面全体に電極が設けられている。
このような従来の太陽電池は以下のようにして作製されている。たとえばアルカリ溶液とアルコールとの混合液やフッ酸と硝酸との混酸溶液を用いたウェットエッチングプロセスや、リアクティブイオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法などのドライエッチングプロセスを用いて、p型単結晶シリコン基板(以下、基板と呼ぶ)の表面に微小凹凸を形成する。この表面の微小凹凸は、外からの光の反射を抑えて光を基板内に閉じ込め、光を電気に変換する光−電子変換効率を上げるために形成される。
つぎに、オキシ塩化リン(POCl)ガス中で気相拡散法により基板の表層にn型不純物拡散層を形成する。基板の表面に形成された酸化膜をフッ化水素に浸して除去した後に、基板の受光面側の表面に反射防止膜である窒化シリコンをプラズマCVD(化学的気層成長)法により形成する。つぎに、基板の受光面側の表面に、銀ペーストを用いて印刷法により櫛形状にパターン化した受光面側電極形成を行う。基板の裏面側には、アルミニウムペーストを用いて裏面のほぼ全体にアルミニウム電極を形成し、一部には外部取り出し電極として銀電極を印刷法により形成する。そして、電極ペーストをたとえば150℃の温度で乾燥した後に、たとえば700℃〜800℃の温度で電極ペーストを焼成し、太陽電池セルが完成する。
太陽電池セルの特性を向上させる一つの方法として、上述したように電子収集するための櫛型の表銀電極が基板の受光面側に設けられている。すなわち、表銀電極の面積を小さくすることにより、太陽電池セルの受光面に太陽光が照射される面積(受光面積)が増え、得られる電流を増加させることができ、太陽電池セルの光電変換効率を向上させることができる。この表銀電極を細く形成する方法としては、たとえばインクジェット印刷法や転写印刷法などにより形成する方法がある。また、表面凹凸層を有する表面上において、導電部分を形成しない領域に疎水性部分を形成し、導電材料を含む塗布液を疎水性部分が形成されていない領域に塗布することにより導電部分を形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−151364号公報
しかしながら、受光面側電極を印刷により形成する場合には、印刷された受光面側電極の周辺への滲みが発生する場合がある。太陽電池セルの受光面には光の反射を抑え閉じ込めるための微小凹凸(テクスチャー)が2μm〜10μmの高さで形成されている。この場合には、印刷された受光面側電極の周辺への滲みがより顕著となる。すなわち、この微小凹凸(テクスチャー)が形成された基板の表面に印刷法により受光面側電極を形成すると、微小凹凸部(テクスチャー)により、受光面側電極の周辺への滲みが発生し、印刷マスク開口の設計値よりもたとえば20μm以上も幅広の電極が印刷、形成される、という問題があった。このような受光面側電極の周辺への滲みが発生した場合には、受光面積が減少して所望の受光面積が得られずに発電電流が低下するため、太陽電池の光電変換効率が低下する。
たとえばインクジェット印刷法や転写印刷法では、1回の塗布量が少ないため滲みの少ない細線印刷はできても、太陽電池で十分な電流を流すための電極断面積を有する電極を得るためには複数回の積層処理が必要であり、太陽電池の量産化には困難である。また、特許文献1の方法では、疎水性部分を形成し、これ以外の部分に導電部分を形成するためには、塗布する導電性物質は液状でないと撥水性の効果が無く、電極のアスペクト比を高く形成するような粘度の高い印刷ペーストでは効果が十分発揮できない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、受光面側の電極の滲みを抑制して光電変換効率に優れた太陽電池を製造可能な太陽電池の製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる太陽電池の製造方法は、第1導電型の半導体基板の受光面側となる一面側に第2導電型の不純物元素を拡散して前記半導体基板の一面側に不純物拡散層を形成する第1工程と、前記不純物拡散層に電気的に接続する受光面側電極を前記半導体基板の一面側に形成する第2工程と、前記半導体基板の他面側に電気的に接続する裏面側電極を前記半導体基板の他面側に形成する第3工程と、を含み、前記第2工程は、前記半導体基板の一面側における前記受光面側電極の形成用の電極材料ペーストが印刷される印刷領域の外側の領域に、前記印刷領域との間に間隙を有する状態で剥離層を形成する第4工程と、前記印刷領域に前記電極材料ペーストを印刷する第5工程と、前記剥離層を除去する第6工程と、前記電極材料ペーストを焼成して前記受光面側電極を形成する第7工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、受光面側の電極の滲みが抑制されて光電変換効率に優れた太陽電池が得られる、という効果を奏する。
図1−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの構成を説明するための図であり、受光面側から見た太陽電池セルの上面図である。 図1−2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの構成を説明するための図であり、受光面と反対側から見た太陽電池セルの下面図である。 図1−3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの構成を説明するための図であり、太陽電池セルの要部断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。 図3−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−4は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−5は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−6は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−7は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図3−8は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図4−1は、本発明の実施の形態1にかかる受光面側電極の製造工程を詳細に説明する断面図である。 図4−2は、本発明の実施の形態1にかかる受光面側電極の製造工程を詳細に説明する断面図である。 図4−3は、本発明の実施の形態1にかかる受光面側電極の製造工程を詳細に説明する図であり、受光面側から見た上面図である。 図4−4は、本発明の実施の形態1にかかる受光面側電極の製造工程を詳細に説明する断面図である。 図5−1は、本発明の実施の形態2にかかる剥離層の印刷パターンの変形例を示す半導体基板の上面図である。 図5−2は、本発明の実施の形態2にかかる剥離層の印刷パターンの変形例を示す半導体基板の断面図である。 図6は、本発明の実施の形態3にかかる剥離層の印刷パターンの変形例を示す半導体基板11の断面図である。
以下に、本発明にかかる太陽電池の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。また、平面図であっても、図面を見易くするためにハッチングを付す場合がある。
実施の形態1.
図1−1〜図1−3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1の構成を説明するための図であり、図1−1は、受光面側から見た太陽電池セル1の上面図、図1−2は、受光面と反対側から見た太陽電池セル1の下面図、図1−3は太陽電池セル1の要部断面図である。図1−3は、図1−1および図1−2のA−A方向における断面図である。
本実施の形態にかかる太陽電池セル1においては、第1の導電型の半導体基板2であるp型単結晶シリコン基板の受光面側にリン拡散によって第2の導電型のn型不純物拡散層3が厚み0.2μm程度で形成されて、pn接合を有する半導体基板11が形成されている。また、n型不純物拡散層3上には、シリコン窒化膜(SiN膜)からなる反射防止膜4が形成されている。なお、第1の導電型の半導体基板としてはp型単結晶のシリコン基板に限定されず、p型多結晶のシリコン基板やn型の多結晶のシリコン基板、n型の単結晶シリコン基板を用いてもよい。
また、半導体基板11(n型不純物拡散層3)の受光面側の表面には、光利用率を向上させるために、テクスチャー構造として微小凹凸3aが10μm程度の深さで形成されている。微小凹凸3aは、受光面において外部からの光を吸収する面積を増加し、受光面における反射率を抑え、光を閉じ込める構造となっている。
反射防止膜4は、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)や酸化チタン膜(TiO膜)などの絶縁膜からなる。また、半導体基板11の受光面側には、長尺細長の表銀グリッド電極5が複数並べて設けられ、この表銀グリッド電極5と導通する太い表銀バス電極6が該表銀グリッド電極5と略直交するように設けられており、それぞれ底面部においてn型不純物拡散層3に電気的に接続している。表銀グリッド電極5および表銀バス電極6は銀材料により構成されている。表銀グリッド電極5および表銀バス電極6は、半導体基板11の受光面側の面方向において反射防止膜4に囲まれて形成されている。
表銀グリッド電極5は、所定の幅および間隔で略平行に配置され、半導体基板11の内部で発電した電気を集電する。また、表銀バス電極6は、所定の幅を有するとともに太陽電池セル1枚当たりに例えば2本〜3本配置され、表銀グリッド電極5で集電した電気を外部に取り出す。そして、表銀グリッド電極5と表銀バス電極6とにより第1電極である受光面側電極12が構成される。受光面側電極12は、半導体基板11に入射する太陽光を遮ってしまうため、可能なかぎり面積を小さくすることが発電効率向上の観点では望ましく、図1−3に示すような櫛型の表銀グリッド電極5とバー状の表銀バス電極6として櫛型に配置するのが一般的である。したがって、この太陽電池セル1では、表銀グリッド電極5と表銀バス電極6を極力細線化することにより、発電効率の向上を実現している。
一方、半導体基板11の裏面(受光面と反対側の面)には、全体にわたってアルミニウム材料からなる裏アルミニウム電極7が設けられ、また表銀バス電極6と略同一方向に延在して銀材料からなるバー状の裏銀電極8が取り出し電極として設けられている。そして、裏アルミニウム電極7と裏銀電極8とにより第2電極である裏面側電極13が構成される。なお、裏銀電極8の形状は、ドット状でもかまわない。
また、半導体基板11の裏面(受光面と反対側の面)側の表層部であって裏アルミニウム電極7の下部には、焼成によるアルミニウム(Al)とシリコン(Si)との合金層が形成され(図示せず)、その下にはアルミニウム拡散による高濃度不純物を含んだp+層(BSF(Back Surface Field))(図示せず)が形成されている。p+層(BSF)は、BSF効果を得るために設けられ、p型層(半導体基板2)中の電子が消滅しないようにバンド構造の電界でp型層(半導体基板2)の電子濃度を高めるようにする。
このように構成された太陽電池セル1では、太陽光が太陽電池セル1の受光面側から半導体基板11のpn接合面(半導体基板2とn型不純物拡散層3との接合面)に照射されると、ホールと電子が生成する。pn接合部の電界によって、生成した電子はn型不純物拡散層3に向かって移動し、ホールはp+層に向かって移動する。これにより、n型不純物拡散層3に電子が過剰となり、p+層にホールが過剰となる結果、光起電力が発生する。この光起電力はpn接合を順方向にバイアスする向きに生じ、n型不純物拡散層3に接続した受光面側電極12がマイナス極となり、p+層に接続した裏アルミニウム電極7がプラス極となって、図示しない外部回路に電流が流れる。
以上のように構成された太陽電池セル1では、半導体基板11の受光面側において、受光面側電極12の表銀グリッド電極5の該半導体基板11の面方向における滲みが抑制されて形成されている。これにより、この太陽電池セル1では、該半導体基板11の面内における表銀グリッド電極5の滲みに起因した受光面積の低減が抑制、防止されている。すなわち、この太陽電池セル1では、該半導体基板11の面内における表銀グリッド電極5の滲みに起因した発電電流の低下が抑制、防止されている。
また、図示しないが、表銀バス電極6についても同様である。すなわち、半導体基板11の受光面側において、受光面側電極12の表銀バス電極6の該半導体基板11の面方向における滲みが抑制されている。これにより、この太陽電池セル1では、該半導体基板11の面内における表銀バス電極6の滲みに起因した受光面積の低減が抑制、防止されている。すなわち、この太陽電池セル1では、該半導体基板11の面内における表銀バス電極6の滲みに起因した発電電流の低下が抑制、防止されている。
したがって、この太陽電池セル1では、表銀グリッド電極5および表銀バス電極6の細線化による受光面積の増大効果が有効に発揮された、光電変換効率に優れた太陽電池セルが実現されている。
以下、本実施の形態にかかる太陽電池セル1の製造方法について図面に沿って説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1の製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。図3−1〜図3−8は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1の製造工程の一例を説明するための断面図である。図3−1〜図3−8は、図1−3の断面図に対応している。図4−1〜図4−4は、本発明の実施の形態1にかかる受光面側電極12の製造工程を詳細に説明する図であり、図4−1、図4−2、図4−4は断面図、図4−3は受光面側から見た上面図である。図4−1、図4−2、図4−4は、図1−1および図1−2のA−A方向および図4−3のB−B方向の断面図に対応している。
まず、半導体基板2として例えば数百μm厚のp型単結晶シリコン基板を用意し、基板洗浄を行う。p型単結晶シリコン基板は、溶融したシリコンを冷却固化してできたインゴットをワイヤーソーでスライスして製造するため、表面にスライス時のダメージが残っている。そこで、p型単結晶シリコン基板をフッ酸などの酸または加熱したアルカリ溶液中、例えば水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して表面をエッチングすることにより、シリコン基板の切り出し時に発生してp型単結晶シリコン基板の表面近くに存在するダメージ領域を取り除く。その後、純水で洗浄する(ステップS10、図3−1)。
ダメージ除去に続いて、例えば水酸化ナトリウムとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶液にp型単結晶シリコン基板を浸漬して該p型単結晶シリコン基板の異方性エッチングを行ない、p型単結晶シリコン基板の受光面側の表面に10μm程度の深さで微小凹凸3aを形成して微小凹凸形状(テクスチャー構造)を形成する(ステップS20、図3−2)。このようなテクスチャー構造をp型単結晶シリコン基板の受光面側に設けることで、太陽電池セル1の表面側で光の多重反射を生じさせ、太陽電池セル1に入射する光を効率的に半導体基板11の内部に吸収させることができ、実効的に反射率を低減して変換効率を向上させることができる。アルカリ溶液で、ダメージ層の除去およびテクスチャー構造の形成を行う場合は、アルカリ溶液の濃度をそれぞれの目的に応じた濃度に調整し、連続処理をする場合がある。また、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)などドライエッチングプロセスでp型単結晶シリコン基板の表面に1μm〜3μm程度の深さの微小凹凸3aを形成してもよい。
つぎに、拡散処理を行って半導体基板2にpn接合を形成する(ステップS30)。すなわち、リン(P)等のV族元素を半導体基板2に拡散等させて数百nm厚のn型不純物拡散層3を形成する。ここでは、表面にテクスチャー構造を形成したp型単結晶シリコン基板に対して、オキシ塩化リン(POCl)ガス中で気相拡散法により高温で熱拡散によりリンを拡散させてpn接合を形成する。これにより、第1導電型層であるp型単結晶シリコンからなる半導体基板2と、該半導体基板2の受光面側に形成された第2導電型層であるn型不純物拡散層3と、によりpn接合が構成された半導体基板11が得られる。なお、pn接合の形成後に微小凹凸3aを形成することも可能である。
このときの拡散させるリン濃度は、オキシ塩化リン(POCl)ガスの濃度および温度雰囲気、加熱時間により制御することが可能である。半導体基板2の表面に形成されたn型不純物拡散層3のシート抵抗は、例えば40Ω/□〜60Ω/□とする。
ここで、n型不純物拡散層3の形成直後の表面には拡散処理中に表面に堆積したガラス質(燐珪酸ガラス、PSG:Phospho-Silicate Glass)層が形成されているため、該リンガラス層をフッ酸溶液等を用いて除去する。
なお、図中における記載は省略しているが、n型不純物拡散層3は半導体基板2の全面に形成される。そこで、半導体基板2の裏面等に形成されたn型不純物拡散層3の影響を取り除くために、半導体基板2の受光面側のみにn型不純物拡散層3を残して、それ以外の領域のn型不純物拡散層3を除去する。
次に、光電変換効率改善のために、半導体基板11の受光面側の一面、すなわちn型不純物拡散層3上に反射防止膜4を一様な厚みで形成する(ステップS40、図3−3)。反射防止膜4の膜厚および屈折率は、光反射を最も抑制する値に設定する。反射防止膜4の形成は、例えばプラズマCVD法を使用し、シラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガスの混合ガスを原材料に用いて、例えば300℃以上、減圧下の条件で反射防止膜4として窒化シリコン膜を成膜形成する。屈折率は例えば2.0〜2.2程度であり、膜厚は例えば60nm〜80nm程度である。なお、反射防止膜4として、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。また、反射防止膜4の形成方法は、プラズマCVD法の他に蒸着法、熱CVD法などを用いてもよい。なお、このようにして形成される反射防止膜4は絶縁体であることに注意すべきであり、受光面側電極12をこの上に単に形成しただけでは、太陽電池として作用しない。
ついで、スクリーン印刷により裏面側電極13(焼成前)を形成する(ステップS50、図3−4)。なお、裏面側電極13である裏アルミニウム電極7と裏銀電極8との形成順序はどちらが先でも問題ないが、ここでは取り出し電極である裏銀電極8を先に形成する。まず、半導体基板11の裏面側(受光面と反対側)の面における表銀バス電極6に対応した位置に、外部との導通を取る電極である裏銀電極8の形状に銀を含む電極材料ペースト(銀ペースト)をスクリーン印刷によって塗布し、たとえば200℃で乾燥させる。銀ペーストの印刷には、裏銀電極8のパターンが開口された印刷マスクを使用する。
つぎに、裏銀電極8の部分を除いた半導体基板11の裏面側の面に、アルミニウムを含む電極材料ペースト(アルミニウムペースト7a)を裏アルミニウム電極7の形状にスクリーン印刷によって塗布し、たとえば200℃で乾燥させる。アルミニウムペースト7aの印刷には、裏銀電極8のパターンを除いた裏アルミニウム電極7のパターンが開口された印刷マスクを使用する。なお、図中ではアルミニウムペースト7aのみを示しており、銀ペーストの記載を省略している。スクリーン印刷は、印刷マスクに銀粒子またはアルミニウム粒子を含むペーストをスキイジで押し込み、印刷マスクの開口を透過してパターン形成を行う。印刷マスクには、金属メッシュ上に写真製版法で抜かれた樹脂膜のパターンが形成されている。
つぎに、銀を含む電極材料ペーストを用いたスクリーン印刷法により、複数本の表銀グリッド電極5と数本の表銀バス電極6とからなる受光面側電極12を形成する(焼成前)。受光面側電極12は、太陽電池セル1の表面で発生した電子を集める機能を持つが、太陽光を遮断し、発電に寄与しない部分でもある。このため、できるだけ受光面側電極12の幅を細くして面積を小さくすることが望ましい。しかし、この場合には、受光面側電極12の電極断面積が小さくなり、抵抗が大きくなるため、太陽電池特性の劣化の原因となる。そこで、受光面側電極12を積層形成して高さを高くし、断面積を大きくするとよい。
まず、受光面側電極12を形成する前に、半導体基板11の受光面側の反射防止膜4上の全面に剥離層21が形成される(ステップS60、図3−5)。剥離層21の形成においては、たとえば樹脂と有機溶剤とを含む樹脂ペーストが、印刷法により半導体基板11の受光面側の反射防止膜4上に印刷される。そして、樹脂ペーストの印刷後、たとえば150℃で5分の乾燥が行われることにより、剥離層21が形成される。樹脂ペーストにおける有機溶剤は、この乾燥によりほとんど蒸発する。なお、反射防止膜4が形成されない場合には、剥離層21は半導体基板11の受光面側のn型不純物拡散層3上に形成されればよい。すなわち、剥離層21は、受光面側電極12の形成面に形成される。
剥離層21形成用の樹脂ペーストを構成する樹脂は、後の工程において、たとえば300℃〜500℃程度の比較的低温で焼成することにより熱分解して半導体基板11上には残らないことが必要である。このため、樹脂ペーストを構成する樹脂としては、低分子の樹脂材料、たとえばエチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)などが用いられる。そして、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートなどの高沸点の有機溶剤と、前記の低分子の樹脂材料とを加熱溶融し、混合することにより、樹脂ペーストが作製される。
剥離層21は、たとえばスクリーン印刷法により、受光面側電極12の外周形状を外側に広げた形状の開口パターンを有するように形成される。すなわち、剥離層21は、半導体基板11の受光面側の面内において、設計上の受光面側電極12の印刷領域の外側部分に印刷される。
剥離層21のスクリーン印刷に用いられる印刷マスク(樹脂ペースト用印刷マスク)には、半導体基板11の受光面側において受光面側電極12の印刷パターンの外側領域に樹脂ペーストを印刷するように開口部が形成されている。そして、このように構成された樹脂ペースト用印刷マスク上に樹脂ペーストが乗せられ、樹脂ペーストが樹脂ペースト用印刷マスクを透過するようにスクリーン印刷装置により樹脂ペーストが半導体基板11の受光面側に印刷される。これにより、半導体基板11の受光面側に樹脂ペーストからなる剥離層21のパターンが形成される。
剥離層21の形成後には、後述するように半導体基板11の受光面側における設計上の受光面側電極12の印刷領域であって、半導体基板11の受光面側における剥離層21が印刷されていない領域、すなわち、剥離層21の開口パターン内の領域に受光面側電極12の印刷が行われる。このため、剥離層21の印刷パターンは、受光面側電極12の印刷精度を考慮して、半導体基板11の面内において、すべての方向で受光面側電極12の幅よりも幅広とされた開口パターンを有するように印刷されることが好ましい。すなわち、剥離層21は、半導体基板11の面方向において、すべての方向で設計上の受光面側電極12の印刷領域よりも大きな形状の開口パターンを有するように印刷されることが好ましい。
たとえば、図4−1に示すように、剥離層21の開口部の開口幅W1は、後の受光面側電極12の印刷工程において銀を含む電極材料ペーストが印刷される幅(銀ペースト印刷幅W2)、すなわち設計上の受光面側電極12の印刷幅よりも広い幅とされる(W1>W2)。そして、設計上の受光面側電極12の印刷領域のすべての領域において、W1>W2とされることが好ましい。したがって、剥離層21は、設計上の受光面側電極12の印刷領域との間に隙間を有するように形成される。この剥離層21と設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間の大きさは、たとえば5〜10μm程度とされることが好ましい。
たとえば、形成される表銀グリッド電極5の幅(銀ペースト印刷幅W2)を50μmとする場合には、これに対応してこの表銀グリッド電極5の印刷領域の外側に形成される剥離層21の表銀グリッド電極5の幅方向における開口部の幅(開口幅W1)は60μmと設計される。なお、表銀グリッド電極5の長手方向についても、銀ペースト印刷幅と剥離層21の開口幅において上記と同様の相関関係で、表銀グリッド電極5の形成領域の外側領域に剥離層21が形成される。また、表銀バス電極6についても同様である。
つぎに、銀を含む電極材料ペースト(銀ペースト)を用いたスクリーン印刷により、受光面側電極12を印刷形成する(焼成前、ステップS70、図3−6)。なお、図3−6)においては、受光面側電極12印刷用の銀ペーストのうち、表銀グリッド電極5部分の銀ペースト5aのみを示している。その後、銀ペースト5aの乾燥を行う。
受光面側電極12は、太陽電池セル1の表面で発生した電子を集める機能を持つが、太陽光を遮断し、発電に寄与しない部分でもある。このため、できるだけ受光面側電極12の幅を細くして面積を小さくすることが望ましい。
そこで、本実施の形態では、上述したように半導体基板11の受光側の面内においては、受光面側電極12印刷用の銀ペーストの設計上の印刷領域の外側領域に、設計上の受光面側電極12の印刷領域との間に所定の間隔を開けた状態で剥離層21が形成されている。そして、銀ペーストは、半導体基板11の受光面側の面内における剥離層21の開口パターン内であって、設計上の受光面側電極12の印刷領域に印刷される。
この銀ペーストの印刷時には、半導体基板11の受光面側の面内における剥離層21の開口パターン内から銀ペーストの印刷パターンが外れないように印刷が行われる。たとえば、印刷する位置を合わせるために予め半導体基板2にアライメントパターンを形成しておき、銀ペーストを印刷する前に画像処理等により半導体基板2のアライメントマークを認識することにより半導体基板2の位置合わせを行い、その後設計上の受光面側電極12の印刷領域に銀ペーストを印刷する。
そして、図4−2に示すように、すべての受光面側電極12の印刷領域において、受光面側電極12形成用の銀ペースト12aが印刷される幅(銀ペースト印刷幅W2)は、その両側に形成される剥離層21の開口幅W1よりも狭い幅とされていることが好ましい(W1>W2)。表銀グリッド電極5および表銀バス電極6の長手方向および幅方向において、上記のようにして銀ペースト12aが印刷される。たとえば、上述したように表銀グリッド電極5の幅方向における剥離層21の開口幅W1は60μmとされ、表銀グリッド電極5の銀ペースト印刷幅W2が50μmとされる。
これにより、受光面側電極12の印刷領域に印刷された際に銀ペースト12aが微小凹凸3aの影響で外側に広がって滲みが生じても、銀ペースト12aの広がり(滲み)の一部は剥離層21の位置で抑制、防止される。そして、銀ペースト12aの印刷位置、印刷量などの影響により、銀ペースト12aがさらに外側に広がった場合には、銀ペースト12aは剥離層21の上に乗り上げる(図4−2、図4−3)。
また、銀ペースト12aが設計上の受光面側電極12の印刷領域からずれて印刷された場合にも、同様に剥離層21の印刷パターンと、設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間に銀ペースト12aが印刷され、更にずれて印刷された場合には隣接する剥離層21の上に印刷される。
受光面側電極12の印刷後、つぎに剥離層21の除去を行う(ステップS80、図3−7)。剥離層21は、上述したように比較的低温で分解蒸発する低分子の樹脂から構成されている。剥離層21における有機溶剤部は、上述した乾燥時にほとんど蒸発してしまっているので、剥離層21の大部分は樹脂であり、この樹脂が半導体基板11上に残存している。このため、剥離層21を加熱することにより熱分解して除去する。
剥離層21の熱分解工程は単独で行なってもよいが、受光面側電極12の乾燥、プリヒート工程と兼ねてもよい。たとえば、剥離層21の熱分解温度は300℃〜500℃、時間は15秒〜30秒の条件で剥離層21に赤外ランプを照射して剥離層21を過熱する。加熱された剥離層21は、熱で分解して蒸発する、この時に、電極滲みとして剥離層21に乗っていた銀粒子も飛んで除去される。この結果、半導体基板11の受光面側の反射防止膜4上においては、剥離層21が印刷されていない部分に銀ペーストが残存する。すなわち、図4−4に示すように、剥離層21の印刷パターンと設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間、および設計上の受光面側電極12の印刷領域に銀ペーストが残存する。
つぎに、印刷、乾燥させた電極材料ペーストを焼成する電極焼成工程を行う(ステップS90、図3−8)。焼成処理は、例えば赤外線加熱炉を用いて750℃〜800℃の温度で行う。これにより、半導体基板11の受光面側では、半導体基板11の受光面のn型不純物拡散層3上に受光面側電極12が形成される。なお、この焼成工程により、銀ペーストに含まれるガラスが溶融して、受光面に形成した反射防止膜4である絶縁膜を侵食し、半導体基板11に達する。すなわち、n型不純物拡散層3上に反射防止膜4が形成されている部分では、いわゆるファイヤースルーにより受光面側電極12がn型不純物拡散層3に接続し、導通する。
一方、半導体基板11の裏面(受光面と反対側の面)では、銀ペーストが焼成により裏銀電極8となり、アルミニウムペースト7aが裏アルミニウム電極7となる。また、裏アルミニウム電極7の下部には、焼成により裏アルミニウム電極7のアルミニウム(Al)と半導体基板11のシリコン(Si)とが反応してアルミニウム合金層が形成され、その下にはアルミニウム拡散によりp+層(BSF)(図示せず)が形成される。なお、電極焼成工程は、一つの焼成炉で剥離層除去工程と連続して行なってもよい。
以上のような工程を実施することにより、図1−1〜図1−3に示す本実施の形態にかかる太陽電池セル1が完成する。
なお、受光面側電極12のグリッド電極において、W2を50μm、W1を60μmとして設計し、受光面側電極12のバス電極において、W2を1000μm、W1を1200μmとして設計し、上述した実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法に従って、実施例にかかる太陽電池セルを作製した。印刷された剥離層21は、印刷されていない部分の幅(剥離層21の開口部の開口幅W1)が60μmの仕上がりであった。受光面側電極12のグリッド電極の幅の大部分は、剥離層の開口部に収まったが、電極滲みにより一部が剥離層上にも付着していた。
また、比較のため、剥離層21を形成しない他は上述した実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法と同じ条件で比較用太陽電池セルを作製した。
この結果、実施例にかかる太陽電池セルの受光面側電極12のグリッド電極幅は60μmであり、比較用太陽電池セルの受光面側電極12のグリッド電極幅と比較して10μm〜15μm細く形成された。これにより、実施例にかかる太陽電池セルでは、比較用太陽電池セルと比較して太陽電池セルの特性も、電極面積減少分の4.4%の短絡電流向上効果が確認された。したがって、上述した実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法により、形成時における受光面側電極12の滲みの発生を防止して、幅の細い受光面側電極12を形成できることが確認された。
上述したように、実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法によれば、比較的低温で焼成することにより熱分解して除去可能な樹脂ペーストからなる剥離層21が、半導体基板11の受光面側の面内において、設計上の受光面側電極12の印刷領域の外周形状を外側に広げた形状の開口パターンを有するように形成される。そして、受光面側電極12形成用の銀ペーストは、半導体基板11の受光面側の面内における剥離層21の開口パターン内であって、設計上の受光面側電極12の印刷領域に印刷される。その後、剥離層21が熱分解により除去される。
このような工程を実施することにより、電極滲みとして剥離層21に乗っていた銀粒子も剥離層21の除去時に飛んで除去される。この結果、半導体基板11の受光面側の反射防止膜4上においては、剥離層21の印刷パターンと設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間、および設計上の受光面側電極12の印刷領域に銀ペーストが残存する。
これにより、受光面側電極12の電極滲みが剥離層21の印刷パターンと設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間領域に限定される。すなわち、実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法では、電極形成時の電極滲みが抑制、防止され、受光面側電極12の細線化による受光面積の増大効果より光電変換効率が図られた太陽電池セルを製造できる。
したがって、実施の形態1によれば、簡便なプロセスで容易に電極印刷時の電極滲みを抑制、防止して、光電変換効率に優れた太陽電池を作製することができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、剥離層21の印刷パターンの変形例について説明する。実施の形態1では半導体基板11の受光面側の反射防止膜4上の全面に剥離層21が形成された。しかし、剥離層21の印刷パターンは反射防止膜4上の全面を覆うパターンに限定されず、図5−1および図5−2に示すように受光面側電極12形成用の銀ペーストの印刷時に該銀ペーストが広がる範囲(電極滲みが生じる範囲)に限定して剥離層21を形成してもよい。すなわち、設計上の受光面側電極12の印刷領域の外形に沿って、銀ペーストが広がる範囲(電極滲みが生じる範囲)以上の所定の幅を有する帯状に設計上の受光面側電極12の印刷領域の隣接する領域に剥離層21を形成してもよい。図5−1は、実施の形態2にかかる剥離層21の印刷パターンの変形例を示す半導体基板11の上面図である。図5−2は、実施の形態2にかかる剥離層21の印刷パターンの変形例を示す半導体基板11の断面図である。
半導体基板11の受光面側の反射防止膜4上の全面ではなく、印刷時に銀ペーストが広がる範囲(電極滲みが生じる範囲)に部分的に剥離層21を形成することにより、剥離層21形成用の樹脂ペーストの使用量を抑制することができ、材料コストを低減することができるため、太陽電池セルの製造コストを低減することができる。
印刷時に銀ペーストが広がる範囲(電極滲みが生じる範囲)に部分的に剥離層21を形成すること以外は、実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法に従って、実際に太陽電池セルを作製した。受光面側電極12の幅方向における剥離層21の開口部の開口幅W1は60μm、受光面側電極12の幅方向における銀ペースト印刷幅W2は50μm、受光面側電極12の幅方向における帯状の剥離層の幅W3は100μmとした。この結果、実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法により、問題なく電極滲みが開口幅W1の60μmに限定された太陽電池セルを問題なく作製できることが確認された。
したがって、実施の形態2によれば、簡便なプロセスで容易に電極印刷時の電極滲みを抑制、防止して、光電変換効率に優れた太陽電池を作製することができる。
また、実施の形態2によれば、剥離層21形成用の樹脂ペーストの使用量を抑制することができ、材料コストを低減することができる。これにより、太陽電池セルの製造コストを低減して、光電変換効率に優れた太陽電池を安価に作製することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、樹脂ペーストに樹脂粉体を混合することにより剥離層21の膜厚を厚くする例について説明する。図6は、実施の形態3にかかる剥離層21の印刷パターンの変形例を示す半導体基板11の断面図である。
剥離層21形成用の樹脂ペーストに樹脂粉体を入れてペースト化することにより樹脂ペーストの粘度が増加する。このような高粘度の樹脂ペーストを用いて剥離層21を形成することにより、剥離層21の形状において端部エッジ(側面)を受光面側電極の延在方向に沿った直線状に形成でき、剥離層21の成形性が良好になる。また、このような高粘度の樹脂ペーストを用いて剥離層21を形成することにより、剥離層21の厚さを厚く形成することができ、銀ペーストの周辺への滲みを剥離層21における受光面側電極12の印刷領域側の側面で押し止めて抑制することができる。なお、上述したように、剥離層21上に銀ペーストが乗っても、剥離層21の除去時に一緒に除去されるため問題ない。
剥離層21が受光面側電極12の印刷領域側に滲んだ場合には、銀ペーストが印刷された際に剥離層21の滲み部分と印刷された銀ペーストとの端部とが重なり、受光面側電極12と半導体基板11との密着力が低減するおそれがある。
そこで、高粘度の樹脂ペーストを用いることにより剥離層21の広がり(滲み)を抑えることができ、剥離層21の滲み部分と印刷された銀ペーストとの端部との重なりの発生を抑制、防止することができる。これにより、剥離層21の滲み部分と印刷された銀ペーストとの端部との重なりに起因して受光面側電極12と半導体基板11との密着力が低減することを抑制、防止できる。
そして、樹脂ペーストを増粘することにより剥離層21の広がり(滲み)を抑えることができ、剥離層21の寸法精度が向上するため、剥離層21の印刷パターンと設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間をより狭くすることができる。これにより、受光面側電極12の細線化が容易となり、より細線化された受光面側電極12の作製が可能である。
また、樹脂ペーストを増粘して剥離層21の広がりを抑えることにより、塗布した樹脂ペーストの乾燥までの放置時間によって樹脂ペーストの周辺への滲みが発生することが抑制、防止される。これにより、周辺へ滲んだ樹脂ペーストが、印刷された銀ペーストの端部と重なり、受光面側電極12と半導体基板11との密着力が低減することを防止できる。
樹脂ペーストに混入する樹脂材料としては、300℃〜500℃の比較的低温で蒸発して、剥離層21の除去後に残渣が生じない材料が好ましい。たとえば、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl Methacrylate:PMMA)などの樹脂粉体の固形物(樹脂フィラー)を混練した樹脂ペーストを使用することができる。樹脂ペーストにおける樹脂粉体の混合比は、重量比で10%以上が好ましい。樹脂ペーストにおける樹脂粉体の混合比が10重量%以下である場合には、印刷された樹脂ペーストが周囲に滲んで形状が安定しない。また、樹脂粉体の混合比の上限は、ペーストが印刷形状にカスレなどの欠陥ができない観点から、重量比で30重量%以下が好ましい。
なお、低分子の樹脂材料としてPMMAを、高沸点の有機溶剤としてテルピネオールを使用し、平均直径数μmのPMMA樹脂を重量比15重量%で混合された作製した樹脂ペーストを用いて、上述した実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法に従って太陽電池セルを作製した。この結果、剥離層21の形状において端部エッジが受光面側電極12の印刷領域側に広がることが無く、直線状の端部エッジ形状を有する矩形形状の平面形状を有する剥離層21を形成することが確認された。
また、剥離層21の膜厚は2μm以上とされることが好ましい。通常、受光面電極12の滲み部分の厚さは1μm以下である。このため、剥離層21の膜厚が2μm以上であれば、周辺への銀ペーストの滲みを防ぐことができる。
なお、前述のPMMA樹脂を重量比15重量%で含む樹脂ペーストと、PMMA樹脂を含まない樹脂ペーストとを用いて、それぞれ上述した実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法に従って太陽電池セルを作製した。この結果、PMMA樹脂を含まない樹脂ペーストを用いた場合にはW1:60μm、膜厚1μmで剥離層21が形成できるのに対して、PMMA樹脂を含む樹脂ペーストを用いた場合にはより狭いW1:55μm、膜厚3μmで剥離層21が形成できることが確認された。
また、このW1が55μmの剥離層21が形成された状態で受光面側電極12の印刷領域に対して銀ペーストを印刷して受光面側電極12を形成した。この結果、剥離層21の膜厚3μmで形成された剥離層21における受光面側電極12の印刷領域側の端部と受光面側電極12とが重なることなく銀ペーストを印刷することができた。
したがって、実施の形態3によれば、実施の形態1の場合と同様に、簡便なプロセスで容易に電極印刷時の電極滲みを抑制、防止して、光電変換効率に優れた太陽電池を作製することができる。
また、実施の形態3によれば、樹脂ペーストを増粘することにより剥離層21の広がり(滲み)を抑えることができ、剥離層21の寸法精度が向上する。これにより、剥離層21の印刷パターンと設計上の受光面側電極12の印刷領域との間の隙間をより狭くすることができ、より細線化された受光面側電極12の作製が可能である。
なお、上述した実施の形態においては、半導体基板11の受光面側に微小凹凸3aによるテクスチャー構造が形成された場合について示したが、半導体基板11の受光面側にテクスチャー構造が形成されていない場合においても上述した効果が得られる。また、受光面側電極形成用の電極材料は銀ペーストに限定されない。
以上のように、本発明にかかる太陽電池の製造方法は、受光面側の電極の滲みを抑制して光電変換効率に優れた太陽電池の製造に有用である。
1 太陽電池セル、2 半導体基板、3 n型不純物拡散層、3a 微小凹凸、4 反射防止膜、5 表銀グリッド電極、5a 銀ペースト、6 表銀バス電極、7 裏アルミニウム電極、7a アルミニウムペースト、8 裏銀電極、11 半導体基板、12 受光面側電極、12a 銀ペースト、13 裏面側電極、21 剥離層、W1 開口幅、W2 銀ペースト印刷幅、W3 帯状の剥離層の幅。

Claims (6)

  1. 第1導電型の半導体基板の受光面側となる一面側に第2導電型の不純物元素を拡散して前記半導体基板の一面側に不純物拡散層を形成する第1工程と、
    前記不純物拡散層に電気的に接続する受光面側電極を前記半導体基板の一面側に形成する第2工程と、
    前記半導体基板の他面側に電気的に接続する裏面側電極を前記半導体基板の他面側に形成する第3工程と、
    を含み、
    前記第2工程は、
    前記半導体基板の一面側において前記受光面側電極の形成用の電極材料ペーストが印刷される印刷領域の外側の領域に、前記印刷領域との間に間隙を有する状態で剥離層を形成する第4工程と、
    前記印刷領域に前記電極材料ペーストを印刷する第5工程と、
    前記剥離層を除去する第6工程と、
    前記電極材料ペーストを焼成して前記受光面側電極を形成する第7工程と、
    を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記第2工程以前に、前記半導体基板の一面側に凹凸形状を形成する第8工程を有し、
    前記第2工程では、前記半導体基板の一面側において前記凹凸形状が形成された領域に前記受光面側電極を形成すること、
    を特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記剥離層として、有機溶剤と、300℃〜500℃で熱分解する低分子樹脂材料とからなる樹脂ペーストを使用し、
    前記第6工程では、前記剥離層を300℃〜500℃に加熱すること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第4工程では、前記半導体基板の一面側において前記電極材料ペーストが印刷される印刷領域を外側に広げた形状の開口パターンを有する形状に前記剥離層を形成すること、
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記樹脂ペーストが、粒子状の粉体樹脂を10重量%以上含有すること、
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記第4工程では、前記剥離層が、前記印刷領域に隣接する領域に帯状に部分的に形成されること、
    を特徴とする1〜5のいずれか1つに記載の太陽電池の製造方法。
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