JP2014218758A - 高配向耐炎化繊維の製造方法 - Google Patents

高配向耐炎化繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な張力制御をすることなく、結晶配向度が高いポリアクリロニトリル系耐炎化繊維を製造する方法を提供する。
【解決手段】
ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の耐炎化工程において、広角X線回折測定による繊維軸に対して垂直方向(2θ=17°)のピークから求まる同前駆体繊維の結晶配向度をπとして、耐炎化処理前の結晶配向度をπ(%)、前躯体繊維の密度が1.3g/cmに達した際の結晶配向度をπ(%)とした場合、π―π≧−3(%)となる条件で耐炎化処理を行う。
また、ポリアクリロニトリル系耐炎化繊維の耐炎化工程において、以下(1)(2)の条件で加熱処理を行う。
(1)耐炎化処理の雰囲気温度が200℃以上、300℃以下
(2)耐炎化処理中の前駆体繊維の繊維温度が170℃以下では、該前駆体繊維は、張力が負荷されない状態に維持される
【選択図】なし

Description

本発明は、高配向耐炎化繊維の製造方法に関する。
従来、ポリアクリロニトリル系繊維を前駆体とする炭素繊維は、航空宇宙用途を始め、スポーツ、レジャー用途等の高性能複合材料として広い範囲で利用されており、他の繊維に比べて優れた力学的性質を示す。
炭素繊維強化複合材料が安定した物性を発現するためには、炭素繊維のグラファイト構造が乱れることなく配向していることが重要であり、そのためには炭素繊維の前駆体である耐炎化繊維の結晶配向度が高いことが重要となる。
従来、耐炎化繊維の結晶配向度を高める手段として、耐炎化工程でポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維(以下単に「前駆体繊維」という場合がある。)を延伸する方法が用いられてきた。しかし、延伸の効率を高めるために、前駆体繊維を、耐炎化処理中に単に延伸するだけでは、耐炎化された前駆体繊維(耐炎化繊維)の結晶配向度は低いままであり、場合によっては前駆体繊維が破断する等の支障を生じるおそれがある。
前駆体繊維を、耐炎化処理中に高結晶配向に延伸する技術として、例えば特許文献1には、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維のガラス転移温度が低下し続ける領域では、広角X線測定(回折角17°)における配向度が86.0%より低下しないように延伸し、ガラス転移温度が変化しない間又は上昇し続けている間でかつ比重が1.26以下である領域では、延伸倍率0.95〜1.00の範囲で延伸する方法が開示されている。また、特許文献2には、前駆体繊維に、耐炎化処理中に精密な張力制御を施すことによって高配向な耐炎化繊維が得る方法が開示されている。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維の場合、結晶配向度の変化が、耐炎化処理中の繊維温度や張力の大きさ、張力をかけるタイミングに非常に敏感という特徴があるため、耐炎化処理中に温度や張力の条件がひとたび揺らいで結晶配向度を悪くしてしまうと、結晶配向度が悪くなる直前の値に戻すことは困難となり、高強度の炭素繊維が得られなくなることが経験的にも知られている。また広角X線測定によって耐炎化繊維の結晶配向度を求めるには、耐炎化工程糸を途中で取り出して測定しなければならないという問題がある。つまり、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の耐炎化工程はワーキングレンジが非常に狭いため、条件の制御が難しいという問題と、その製造現場における測定で耐炎化繊維の性能を評価することが難しいという問題がある。そのために、上記の特許文献1と特許文献2に記載されている方法では、耐炎化処理中の張力の大きさと張力をかけるタイミングの精密な制御が要求されるため、耐炎化条件の管理が複雑になるという課題がある。
特開2005−54283号公報 特開2010−24581号公報
本発明の課題は、複雑な張力制御をすることなく、結晶配向度が高い耐炎化繊維を得ることおよびその製造方法を提供することにある。
前記課題は、以下の本発明〔1〕、〔2〕によって解決される。
〔1〕ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を耐炎化処理してなる耐炎化繊維の製造方法であって、
広角X線回折測定による繊維軸に対して垂直方向の2θ=17°のピークから求まる結晶配向度をπとして、該前躯体繊維の耐炎化処理前の結晶配向度をπ(%)、前躯体繊維の密度が1.3g/cmに達した際の結晶配向度をπ(%)とした場合に、π―π≧−3となるように耐炎化処理を行う耐炎化繊維の製造方法。
〔2〕アクリルニトリル系炭素繊維前駆体繊維を、以下(1)(2)の条件で加熱処理する耐炎化繊維の製造方法。
(1)耐炎化処理の雰囲気温度が200℃以上、300℃以下
(2)耐炎化処理中の前駆体繊維の繊維温度が170℃以下では、該前駆体繊維は、張力が負荷されない状態に維持される
本発明の製造方法によれば、結晶配向度が高い耐炎化繊維(以下、「高配向耐炎化繊維」と略す)を得ることができる。
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を耐炎化処理の前後において、結晶配向度を制御しながら行うことを特徴とする。
すなわち、広角X線回折測定による繊維軸に対して垂直方向の2θ=17°のピークから求まる結晶配向度をπとして、該前躯体繊維の耐炎化処理前の結晶配向度をπ(%)、前躯体繊維の密度が1.3g/cmに達する時点の結晶配向度をπ(%)とした場合に、π―π≧−3(%)となるように耐炎化処理を行うことを特徴とする。
耐炎化処理中に、密度が1.3g/cmに達する時点の結晶配向度の低下率(π―π)を−3%以上とすることにより、前躯体繊維に付与する張力の大きさと張力を付与するタイミングの制御が容易となるため、耐炎化工程の管理が容易になる。
また、本発明の耐炎化繊維の製造方法では、アクリルニトリル系炭素繊維前駆体繊維を、以下(1)(2)の条件で加熱処理することを特徴とする。
(1)耐炎化処理の雰囲気温度が200℃以上、300℃以下
(2)耐炎化処理中の前駆体繊維の繊維温度が170℃以下では、該前駆体繊維は、張力が負荷されない状態に維持される
前駆体繊維を、繊維温度が170℃以下の範囲において、張力が負荷されない状態に維持することによって、耐炎化処理中の繊維の破断や損傷を抑制して、安定に前駆体繊維の耐炎化を行うことができる。
ここで本発明における「結晶配向度」とは、広角X線回折測定から求めることができる。アクリロニトリル系重合体からなる前駆体繊維および耐炎化繊維においては、六方晶由来である(200)反射と(110)反射が重なって現れるので、広角X線測定にて観測される2θ=17°付近の回折強度プロファイルのピークはシングルピークとして観測される。このシングルピークを用いて結晶配向度を算出する。具体的な測定・算出方法は、実施例の項に記載した。
〔アクリロニトリル系重合体〕
本発明の製造方法では、炭素繊維用前駆体繊維として、アクリロニトリル系重合体からなる特定の単繊維繊度の繊維を用いる。このアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル単位を含めば良く、アクリロニトリルのホモポリマー(単独重合体)であっても良いし、アクリロニトリルと、他のモノマーとのコポリマー(共重合体)であっても良い。
アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリル単位の含有割合は、炭素化を良好に行なう観点から、90モル%以上であることが好ましい。また、この重合体中のアクリロニトリル単位の含有割合は、炭素繊維にした時の共重合成分に起因する欠陥点を少なくし、炭素繊維の品位ならびに性能を向上させる観点から、95モル%以上であることがより好ましい。
アクリロニトリルと共重合させる他のモノマー(共重合成分モノマー)としては、特に制限はないが、以下のモノマーを例示することができる。即ち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ウラリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類;p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩などが例示できる。
この中でも、耐炎化工程における環化反応を促進する観点から、共重合成分モノマーとして、カルボン酸基を有するモノマーやアクリルアミド系モノマーを用いることが好ましい。なお、この環化反応によって、アクリドン環やナフチリジン環が形成される。また、耐炎化反応において、酸素の透過性を良くする観点からは、共重合成分モノマーとして、嵩高いモノマーを用いることが好ましい。
〔アクリロニトリル系重合体の製造方法〕
アクリロニトリル系重合体の製造方法は、特に限定されず、溶液重合、懸濁重合など公知の方法を採用することができる。また、重合開始剤は、特に限定されず、アゾ系化合物、有機過酸化物、また、過硫酸/亜硫酸や塩素酸/亜硫酸のアンモニウム塩などのレドックス触媒を用いることができる。
懸濁重合法は、例えば、以下の手順で行うことができる。即ち、まず、オーバーフロー式の重合容器内に各モノマー、蒸留水、過硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム及び硫酸を連続的に一定量供給し、一定の温度に維持しながら攪拌を続ける。そして、オーバーフローしてきた重合体スラリーを洗浄、乾燥することによって、アクリロニトリル系重合体を得ることができる。
なお、アクリロニトリル系重合体の重量平均分子量の下限はポリスチレン換算で50,000以上が好ましく、100,000以上がより好ましい。また、上限は、1,000,000以下が好ましく、700,000以下がより好ましい。
重量平均分子量は、重合体の分子鎖が規則的に配向して、炭素繊維の弾性率を発現するグラファイト網面構造の形成を促進するためには高い方が好ましい。一方、重合体の分子鎖同士の絡み合いを抑制して、紡糸工程で延伸を安定に行うためには、重量平均分子量は少ない方が好ましい。
〔炭素繊維用前駆体繊維〕
本発明で用いる炭素繊維用前駆体繊維の単繊維繊度の下限は、0.5dtex以上が好ましく、上限は2.0dtex以下であることが好ましい。
前駆体繊維の単繊維繊度が0.5dtex以上であれば、繊維束とした時に非常に絡み合いにくく取り扱いやすい。また2.0dtex以下であれば、まとまりが良好な前駆体繊維を容易に得ることができ、耐炎化処理の際に繊維の断面方向の焼け斑が生じにくい。
〔炭素繊維用前駆体繊維の製造方法〕
炭素繊維用前駆体繊維は、上記アクリロニトリル系重合体を溶剤に溶解して調製した紡糸原液を紡糸することによって製造することができる。
この紡糸原液は、上述の重合体、好ましくは不純物を除去した前記重合体を溶剤に溶解することによって調製する。この溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤や、塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウムなどの無機化合物の水溶液が使用できる。作製する炭素繊維中に金属を含有せず、また、製造工程が簡略化される点で、上記溶剤としては、有機溶剤を用いることが好ましい。
紡糸原液中のアクリロニトリル系重合体の濃度は、この重合体の重合度にもよるが、紡糸工程上、下限は17質量%以上が好ましく、18質量%以上がより好ましい。一方、濃度の上限は25質量%以下であることが好ましい。
紡糸方法としては、公知の方法を採用でき、具体的には湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などが挙げられる。これらの中でも湿式紡糸法、乾湿式紡糸法が生産性の観点、炭素繊維の強度発現性の観点から好ましく用いられる。
上記紡糸原液を、紡糸口金を介して凝固浴中に吐出して紡糸することで、凝固糸を得ることができる。紡糸口金のノズル孔の形状は、適宜設定することができる。
紡糸原液を紡出して得られた凝固糸に対して、適宜、脱溶剤処理、延伸処理、油剤付着処理、乾燥処理等を行うことにより、炭素繊維用前駆体繊維(アクリル系前駆体繊維)を得ることができる。延伸処理や乾燥処理等の各処理は公知の方法により行うことができる。延伸方法は、例えば、2本のロールに凝固糸を巻きつけ2本のロール間の回転速度を変える方法を用いることができる。延伸時の雰囲気も限定されるものではなく、例えば、紡浴と同種の溶剤を含む水溶液中、熱水中、高圧水蒸気中等から適時選択することができ、さらにこれらの雰囲気を組み合わせて行うことができる。乾燥方法としては、例えば、得られた繊維を加熱されたロールに巻きつけ通過させる方法が例示される。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明における最良の実施形態の一例であるものの、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
〔結晶配向度の測定〕
まず測定の対象である前躯体繊維または耐炎化繊維を任意の箇所で繊維長5cmに切断し、繊維軸が正確に平行になるようにして引き揃えた後、繊維の長手方向に対して垂直方向における幅が1mmで、かつ該幅方向および繊維の長手方向の両方に対して垂直な方向における厚さが均一である繊維束に整えた。この繊維束の両端に酢酸ビニル/メタノール溶液を含浸させて形態が崩れないように固定したものを、X線回折測定用のサンプル繊維束とした。
X線回折のX線源にはリガク社製のCuKα線(Niフィルター使用)X線発生装置(商品名:TTR−III、回転対陰極型X線発生装置)を用い、シンチレーションカウンターにより検出した。出力は50kV−300mAとした。
X線回折測定は、まずサンプル繊維束をX線に対して垂直な面上で360°回転させながらβ方向の回折強度を測定した。次いで、同サンプル繊維束について、繊維方向に対して垂直方向の2θ測定を行い、(100)反射に相当する2θ=17°近傍の回折強度プロファイルを得た。次に、回折強度プロファイルで最高ピーク強度を示す2θの角度位置でシンチレーションカウンターを固定し、該サンプル繊維束を固定しているホルダーを入射X線に対して垂直な面上で360°回転させながら回折強度を測定した。その回折強度ピークの半値幅B(単位:°)を求め、下式(1)により結晶配向度(単位:%)を求めた。
結晶配向度(%)={(180−B)/180}×100 ・・・(1)
(実施例1)
アクリロニトリルとメタクリル酸を水系懸濁重合により重合し、アクリロニトリル単位/メタクリル酸単位=98質量%/2質量%のアクリロニトリル系重合体を得た。この重合体をジメチルホルムアミドに溶解して濃度23.5質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を径0.13mm、数2000のノズル孔を配置した紡糸口金から空気中に紡出して約4mmの空間を通過させた後、15℃に調温した79.5質量%ジメチルホルムアミドを含有する水溶液を満たした凝固液中に吐出して凝固させ、凝固糸を引取った。
次いで空気中で1.2倍延伸後、60℃に調温した30質量%ジメチルホルムアミドを含有する水溶液を満たした延伸槽中にて2.0倍延伸した。延伸後、溶剤を含有している繊維束を清浄な水で洗浄し、次に、95℃の熱水中で2.0倍の延伸を行った。引き続き、繊維束にアミノ変性シリコーンを主成分とする油剤を付与し、170℃の複数の乾熱ロールを用いて乾燥緻密化した。
乾燥緻密化後の繊維束を、熱板にて2.0倍に乾熱延伸し、その後、乾燥ロールにて十分に乾燥を行い、巻き取ってポリアクリロニトリル系炭素繊維前躯体繊維を得た。フィラメントの繊度は、0.77dtexであった。尚、トータルの延伸倍率は9.6倍であった。また広角X線回折測定から得られる結晶配向度の値は、90.0%であった。
次に、この前駆体繊維を250℃に設定した炉にて耐炎化処理を行うにあたり、繊維の温度を熱電対にてモニターしながら繊維を炉内に投入し、繊維温度が170℃以下の範囲では繊維に張力が加わらない状態に保ち、繊維温度が170℃に達した後は1分間かけて10%の伸長を行い、さらに定長で30分間の耐炎化処理を行った。尚、耐炎化処理は加熱空気中で行った。得られた耐炎化繊維の密度は、1.30g/cmであり、このときの広角X線回折測定から得られる結晶配向度の値は、90.8%であった。つまり結晶配向度は低下するどころか、わずかに向上していた。
(比較例1)
ポリアクリロニトリル系炭素繊維前躯体繊維は、実施例1と同様の繊維を使用した。この前駆体繊維束を温度250℃に設定した炉にて耐炎化処理を行うにあたり、繊維を炉内に投入した直後に、1分間かけて10%の伸長を行い、さらに定長状態に保持して30分間の耐炎化処理を行った。尚、耐炎化処理は加熱空気中で行った。得られた耐炎化繊維の密度は、1.30g/cmであり、このときの広角X線回折測定から得られる結晶配向度の値は、85.3%であった。つまり結晶配向度の低下率は4.7%であった。
(実施例2)
アクリロニトリルとメタクリル酸とアクリルアミドを水系懸濁重合により重合し、アクリロニトリル単位/メタクリル酸単位/アクリルアミド=96質量%/1質量%/3質量%のアクリロニトリル系重合体を得た。この重合体をジメチルアセトアミドに溶解して濃度21.0質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を径0.075mm、数15000のノズル孔を配置した紡糸口金から、38℃に調温した67.0質量%ジメチルあせとアミドを含有する水溶液を満たした凝固液中に吐出して凝固させ、凝固糸を引取った。
次いで空気中で1.5倍延伸後、95℃の熱水中で2.3倍の延伸を行った。引き続き、繊維束にアミノ変性シリコーンを主成分とする油剤を付与し、170℃の複数の乾熱ロールを用いて乾燥緻密化した。
乾燥緻密化後の繊維束を、熱板にて3.0倍に乾熱延伸し、その後、乾燥ロールにて十分に乾燥を行い、巻き取ってポリアクリロニトリル系炭素繊維前躯体繊維を得た。この繊維束のフィラメントの繊度は、1.20dtexであった。尚、トータルの延伸倍率は10.0倍であった。また広角X線回折測定から得られる結晶配向度の値は、85.0%であった。
次に、この前駆体繊維束を250℃に設定した炉にて耐炎化処理を行うにあたり、耐炎化処理方法は実施例1と同様の方法で行った。得られた耐炎化繊維の密度は、1.30g/cmであり、このときの広角X線回折測定から得られる結晶配向度の値は、83.0%であった。つまり結晶配向度の低下率は2.0%であった。
(比較例2)
ポリアクリロニトリル系炭素繊維前躯体繊維は実施例2と同様の繊維を使用した。またこの前駆体繊維束を250℃に設定した炉にて耐炎化処理を行うにあたり、耐炎化処理方法は比較例1と同様の方法で行った。得られた耐炎化繊維の密度は、1.30g/cmであり、このときの広角X線回折測定から得られる結晶配向度の値は、77.1%であった。つまり結晶配向度の低下率は7.9%であった。
Figure 2014218758

Claims (2)

  1. ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維を耐炎化処理してなる耐炎化繊維の製造方法であって、
    広角X線回折測定による繊維軸に対して垂直方向の2θ=17°のピークから求まる結晶配向度をπとして、該前躯体繊維の耐炎化処理前の結晶配向度をπ(%)、該前躯体繊維の密度が1.3g/cmに達した際の結晶配向度をπ(%)とした場合に、π―π≧−3(%)となるように耐炎化処理を行う耐炎化繊維の製造方法。
  2. ポリアクリルニトリル系炭素繊維前駆体繊維を、以下(1)(2)の条件で加熱処理する耐炎化繊維の製造方法。
    (1) 耐炎化処理の雰囲気温度が200℃以上、300℃以下
    (2) 耐炎化処理中の前駆体繊維の繊維温度が170℃以下では、該前駆体繊維は、張力が負荷されない状態に維持される
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