JP2014218696A - 温間成形用アルミニウム合金、並びにその製造方法及びその成形方法 - Google Patents

温間成形用アルミニウム合金、並びにその製造方法及びその成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温間成形性の指標として、温間成形において高い深絞り性を発現し、同時に室温において高い強度を有する6000系アルミウム合金を提供する。【解決手段】Mg:0.20−1.50%(質量%、以下同じ)、Si:0.20−1.50%、Mn:0.5−2.5%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物よりなり、Si/Mnが0.4以上かつ1.5以下であり、粒子径が0.5μm以上5.0μm以下のMn系化合物が個数密度1000個/mm2未満であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム合金板の温間成形に好適に使用可能なアルミニウム合金、特にAl−Mg−Si合金板とその製造方法及び成形方法に関する。
近年の自動車軽量化の対策として、鋼板よりも比強度の高いアルミニウム合金板の使用が検討され、実用化が進められている。しかし、アルミニウム合金板の成形性は鋼板に比べて劣るため、適用部品は限定されている。そのため、従来、アルミニウム合金板の成形性を改善するため様々な特殊成形方法の適用が検討されてきた。温間成形は、その一例であり、ダイス及びしわ押さえの金型温度を150〜300℃に加熱し、パンチを冷却するプレス成形方法である(例えば、非特許文献1)。この成形方法では鋼板並みの成形性の確保が期待できるため、実用化への検討が進められている。
深絞り成形において、その成形性はパンチ部材料の強度とフランジ部材料の強度の差に依存する。材料を金型内に引き込むためのパンチ部材料は、破断に耐えるだけの高い引張強度である必要があり、変形し引き込まれることで流入抵抗を生ずる側のフランジ部材料は低い降伏強度であることが好ましい。
この強度差が材料流入に関する余裕度となり、強度差の増大にしたがい深絞り性が向上する。温間成形においては、パンチを室温に保持することでパンチ部材料の強度を高く維持し、一方でダイスとホルダーのみを200℃や250℃に加熱し、これに挟持されるフランジ部材料の降伏強度を室温時のそれよりも低下させ、上記の強度差を増大させることで、深絞り成形性をさらに向上させることができる。
これまで温間成形用材料は一般的に成形性の高いAl−Mg系合金、特に非特許文献1のようにJIS5182合金が多く用いられてきた。一方、自動車用材料を始め構造用材料には、Al−Mg合金よりも優れた強度が期待できるAl−Mg−Si合金の適用が検討され、当合金を使用した温間成形技術の提案が数多くなされている。
特許文献1では、材料の高強度化と温間での高延性を狙いFe、Mn、鋳造組織微細化剤の添加量を調整した、Al合金およびAl−Mg−Si合金を規定している。特許文献2では、Al−Mg−Si合金において、フランジ部の加熱方法と成形速度を制御することで成形性向上を確保し、さらに成形後に熱処理を施すことによりベークハード性の兼備を主張している。
Al−Mg−Si系合金において、温間成形性の向上を図るため、特許文献3では、Mg,Si含有量バランスとフランジ部およびパンチ部の温度を規定しており、特許文献4では、Mg,Si含有量の規定、Cu固溶量の規定、平均粒径の規定、Mg−Si−Cu系化合物量とSi−Cu系化合物量を規定しており、特許文献5では、Mg、Si含有量規定に加えて、集合組織の規定、平均結晶粒径の規定、r値を規定している。
特許文献6と特許文献7では高温での成形性すなわち温間成形性を向上させるためには、高温での局部伸びの増大が必要であるとしている。この高温での局部伸びを増大させるため、固溶Mn量の低減が必要であるとしている。また、局部伸びの増大には、化合物周りの歪蓄積の増大を経て動的回復を容易にすることも効果的であるとして、含有Mnを化合物として微細かつ多分散形成させることを規定している。
これらAl−Mg−Si合金が提案されているが、未だ実用化には至っていない。その理由の一つが十分な成形性が確保されていないためと考えられる。さらに、Al−Mg−Si系合金には製品後の部品強度の必要から高強度、すなわち高い塗装焼き付け強度(BH強度)が要求され、温間成形における優れた成形性と高い材料強度を同時に満足する材料は未だ得られていない。
特開2002−348625号公報 特開2006−205244号公報 特開2008− 19483号公報 特開2008−266684号公報 特開2009−007617号公報 特開2008−144209号公報 特開2012−149354号公報
阿部佑二、吉田正勝、「5182アルミニウム合金板材のダブルシンク形温間成形」、軽金属、1994年、軽金属学会発行、第44巻、第4号、p.240−245
本発明は温間成形性の指標として温間成形において高い深絞り性を発現し、同時に室温において高い強度を有する6000系アルミニウム合金を提供するものである。
本発明者等は前述の課題を解決すべく鋭意実験・検討を重ねた結果、Mnを比較的高濃度で含有させた合金において、Mn系化合物の形成量が少ないほど温間での成形性が向上する場合があることを知見した。この現象を注意深く観察したところ、Mn系化合物の量が少ないほど、Mn添加に伴う室温での引張強度上昇の割に高温での降伏強度上昇が抑制されており、このためパンチ部が低温でフランジ部を高温とする温間成形において材料流入に関する余裕度が増大し、成形性が向上していることがわかった。
すなわち、本現象のポイントは延性ではなく強度を制御することにあり、低温での引張強度と高温での降伏強度の差異を増大させることが重要となる。そのためには、所定形状範囲のMn系化合物の個数密度の上限を設定すること、およびMn系化合物が形成しにくい温度での熱処理を実施することが必要となる。
また、Mg−Siクラスタ形成によるBH性を兼備させる際には、Mg−SiクラスタにMnが取り込まれないようにした場合に、上記の効果が顕著となることも判明した。
すなわち、本発明で特徴的に現れる、強度制御による温間成形性向上効果は、固溶Mnによってもたらされている可能性が考えられる。これらを考慮すると、本発明の特定には固溶Mn量を規定することが直接的であると考えられるが、固溶Mnの直接的な測定法は確立されていない。Mn系化合物の組成と量やMg−Siクラスタに取り込まれるMn量を特定し、総Mn量との差異を求めることも考えられるが、化合物やクラスタ組成の測定は手間がかかり実用的ではない。
このため本発明ではあえて、固溶Mn量を規定しない。本明細書内で、「固溶Mn量を確保」、「固溶Mn量の増大により」等の記述を用いているが、これは固溶Mn量を定量的に求めたということではなく、本発明で規定しているMn系化合物量の多少に相関した記述として、固溶Mnがメカニズムの主要因として作用していることを前提として用いていることを、誤解のないよう注記しておく。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)Mg:0.20−1.50%(質量%、以下同じ)、Si:0.20−1.50%、Mn:0.5−2.5%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物よりなり、Si/Mnが0.4以上かつ1.5以下であり、粒子径が0.5μm以上5.0μm以下のMn系化合物が個数密度1000個/mm2未満であることを特徴とする温間成形性に優れたアルミニウム合金。
(2)冷間圧延もしくは熱間圧延後の溶体化温度が545℃+10×Mn含有量(質量%)以上融点以下であり、その温度範囲内での保持時間が2分以上であり、つづく予備熱処理における熱処理温度が70℃以上150℃以下であり、その温度範囲内での保持時間が1時間以上9時間以下であること特徴とする、(1)の合金の製造方法。
(3)ダイスおよびホルダーの温度が150℃以上300℃以下であり、パンチの温度が120℃以下である金型を用いて成形することを特徴とする、(1)または(2)の合金の成形方法。
本発明により、BH性を有し、温間成形により優れた成形性の材料が提供でき、アルミニウム合金を適用した車体が製造できることで車体の軽量化が可能となる。
以下に本発明実施のための合金成分の限定理由を示す。
強度制御において重要なクラスタ形成に必要な元素であるMgは、0.2%以上1.5%以下の含有が必要となる。MgはBH強度を得るために必要なMg−Siクラスタを形成させ、0.2%未満ではBH強度に不十分な形成量であり、1.5%を超えると破断の起点となる粗大な化合物形成を促進させる。好ましくは0.31%以上、さらに好ましくは0.51%以上、さらに好ましくは0.81%以上とすることで、Mg−Siクラスタが効率的に形成される。
Siに関してもMgと同様、0.2%以上1.5%以下の含有が必要となる。SiはBH強度を得るために必要なMg−Siクラスタを形成させ、0.2%未満ではBH強度に不十分な形成量であり、1.5%を超えると破断の起点となる粗大な化合物形成を促進させる。好ましくは0.31%以上、さらに好ましくは0.51%以上、さらに好ましくは0.81%以上とすることで、Mg−Siクラスタが効率的に形成される。Siについては、後述するようにMnと関連して、Mg−Siクラスタの核として作用する可能性があり、本発明においては、Mg以上に重要な元素である。
Mnは、0.5%以上2.5%以下含有させる。0.5%未満では十分な温間成形性(室温での高い引張強度と高温での低い降伏強度)を得るための固溶量が確保できない。2.5%を超えると破壊の起点となる化合物を形成する。好ましくは0.71%以上、さらに好ましくは0.91%以上とすることで、温度による強度差発現に有効に作用する。
SiはMg−Siクラスタ形成時の核として作用することが推定される。一方、MnはSiと同様に核として作用する可能性があるとともに、クラスタに取り込まれ、構成元素ともなる。Mg−Si−Mnのクラスタを形成した場合には、十分なBHの効果は得られないばかりか、固溶Mn量が減少し、本発明の特徴である温度に応じた強度差も生じにくくなる。
それゆえ、確実にMg−Siのクラスタを形成させる必要がある。そのためには、Si含有量とMn含有量の比、Si/Mnが0.4以上である必要がある。0.4未満であればMnを含有するクラスタ量が多くなり、十分なBH強度は得られなくなる。好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上とすることで、Mg−Siクラスタの形成核が好ましく制御される。一方、Si/Mnが1.5を超えると、Mg−Siクラスタに取り込まれるMnが増え、固溶Mn量が少なくなるため、十分な温間成形性が得られなくなる。
本発明者等はMn系化合物量と温間成形性強度との調査を鋭意検討した結果、0.5μm以上5.0μm以下の粒子径のMn系化合物の個数密度が1000個/mm2未満であれば、高い温間成形性が確保できることを見出した。
なお、Mn系化合物はEPMA(Electron Probe Microscope Analysis)にて識別する。ここで言うMn系化合物は、Al−Mn系化合物とAl−Mn−Si系化合物であり、分析できる化合物径は0.5μm以上である。それゆえ、粒子径の下限を0.5μmと規定した。十分な精度を得るため、粒子径の下限は1.0μmが望ましく、その際の個数密度は800個/mm2未満とする。なお、個数密度の計測は、200×200μm四方の領域で計測するものとする。
その他、公知技術に応じて様々な元素を含有させることは本発明効果を損なうものではなく、目的に応じて公知の範囲で含有させることが可能である。特に本発明の目的にとって有効な元素とその含有量を以下に記す。
Cuは、強度および成形性の向上に有効な元素であり、強度および成形性が求められる場合、0.20〜1.0%含有する。0.20%未満では効果が小さく、一方、1.0%を超えると、Cu系化合物の生成によって、耐食性、特に糸錆性が劣化することがある。優れた耐食性が要求される場合は0.7%以下とすることが好ましい。
Crは、添加に伴う室温引張強度上昇と高温降伏強度上昇において、Mnと同様に好ましい効果を有するため、積極的に添加することも可能である。その場合、Crは0.1−0.5%含有させる。含有量が0.1%未満であれば効果は小さく、0.5%以上であると粗大な晶出物を生成し、成形性を損なう。
Tiは、鋳塊組織の微細化に有効な元素であり、0.005%−0.20%含有させることが有効である。0.20%を超えると効果が飽和することに加え、粗大な晶出物が生じ、成形性を損なうことがある。
次に本発明のアルミニウム合金板の製造法について説明する。
本発明合金は、基本的には、鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、溶体化熱処理、予備時効処理という公知の一連の工程により製造される。なお、冷間圧延の間に1回以上の熱処理を行っても、また、熱間圧延後に熱延板の熱処理を行っても良い。また冷間圧延後は、溶体化熱処理によりMg、Siを固溶させ、予備時効処理でMg−Siクラスタの形成を行うため、これらの工程は連続的に実施される場合が多い。
本発明では、Mg−Siクラスタ生成と固溶Mn効果発現に必要かつ十分なMg、Si、Mn固溶量を確保するため、特に溶体化熱処理の条件の限定が重要となる。まず、これについて説明する。
熱処理温度は含有元素量にて決まり、特にMn含有量により熱処理温度の下限値を決めることで効率的にMg、Si、Mnの固溶を進行させ、精緻かつ必要十分な材質制御が可能となる。すなわち、Mn含有量の増大に従い下限温度を上げるべきであり、その下限は、545℃+10℃×Mn含有量で限定される。熱処理温度の上限は融点となる。保持時間は2分間以上とする。保持時間の上限は特に設けない。長時間の保持時間は工業製品としての製造コストを増大させるため望ましくなく、上限値は工業的な観点で決められる。一般的には10分以下である。熱処理後の冷却速度は20℃/s以上である必要がある。20℃/s未満の場合、冷却途中でMn系化合物が形成されて、温間成形性向上に十分な固溶Mn量が確保できない。好ましくは30℃/s以上とする。一方、冷却速度の増大は、板内の熱歪分布を形成させ、たわみ等の発生により形状精度を低下させる。このような現象を生じさせない冷却速度の上限は通板速度や板厚に依存するため、ここでは特に限定しないが、上限は100℃/s以下とするのが望ましい。
また、冷延後の溶体化熱処理条件ほどではないが、上工程での熱履歴が最終製品での、特にMn系化合物の状態に影響を及ぼす場合があるので、これについて好ましい条件を説明する。
鋳造後の熱処理、熱延後熱処理および冷延工程間での熱処理の温度は、500℃以上とすることが好ましい。さらに好ましくは、前述の冷延後の溶体化熱処理条件と同じく、その熱処理の下限温度を545℃+10℃×Mn含有量とし、上限温度は融点、保持時間は2分間以上、冷却速度は20℃/s以上100℃/s以下とすれば、最終的な冷延後の溶体化熱処理において、Mn系化合物の溶解を進行させ、十分な固溶Mn量を確保できる。
熱延開始温度は400℃以上が望ましい。400℃未満で熱延を開始すると多量のMn系化合物が形成され、後の工程でこのMn系化合物を再溶解させにくくなる。熱延開始温度を400℃以上とし、熱延板時点でのMn系化合物の形成を抑制しておけば、冷延後の溶体化熱処理において、より確実に再溶解を進行させることが可能となる。
溶体化熱処理後には予備熱処理を施し、Mg−Siクラスタを形成させる。この熱処理条件はMg−Siクラスタを形成させると同時にMn系化合物の形成を抑制することが必要となる。
Mg−Siクラスタの形成には70℃以上180℃以下の温度域での熱処理が必要となるが、Mnを含む合金の場合、150℃を超える温度域ではMn系化合物の形成量が多くなる。したがって、予備熱処理温度域は70℃以上150℃以下とすべきである。70℃未満でもMg−Siクラスタが形成されるが、このクラスタでは、70℃以上の保持温度で形成されるクラスタの場合と異なりBH強度の確保が十分とはならない。予備熱処理での保持時間は1時間以上9時間以下とする。1時間未満ではBH性確保に十分な量のMg−Siクラスタは形成されない。また、9時間を超える保持時間では、150℃以下の熱処理温度であってもMn系化合物の形成頻度が高くなるため、温間成形性が低下する。
本発明のアルミニウム合金は、パンチを120℃以下とし、ダイスおよびホルダーを150℃以上300℃以下に加熱した状態での温間成形において顕著に成形性向上効果を発揮する。温間成形性には、パンチ部分では室温と同等の高い引張強度を保持することと、ダイスとホルダーにより挟持されたフランジ部分の降伏強度は室温でのそれよりも十分に低くする必要がある。
本発明のアルミニウム合金の場合、120℃以下では室温とほぼ同じ引張強度であるため、パンチ温度は120℃以下とすれば良い。一方、降伏強度は120℃以上にて低下するが、温間成形での十分な材料強度差、すなわち十分に低い降伏強度を確保するためには150℃以上の加熱が好ましい。なお、300℃を超えた温度では、潤滑油を含む潤滑材による潤滑性が十分に得られなくなり、成形性が低下する場合が生ずる。それゆえ、ダイスおよびホルダーの温度は150℃以上300℃以下とすることが実用上好適である。
一般に冷間での深絞り性にはr値が高いことが有利であり、温間成形においてもr値が高ければ成形性は向上する。ただし、本発明によれば、r値は一般的なアルミニウム合金の値である0.6程度でも十分高い成形性が得られる。
(実施例)
表1にラボ製造に供した合金Aから合金Eまでの合金の成分を記す。
ラボ製造プロセスは、鋳造、均熱処理、熱延、冷間圧延、溶体化熱処理、予備熱処理の順で構成されている。表2は、均熱処理での保持温度、熱延開始温度、溶体化熱処理温度と保持時間、溶体化熱処理後の冷却速度、予備熱処理温度と保持時間を示す。溶体化熱処理後の冷却到達温度は70℃であり、到達後ただちに予備熱処理を実施した。
Figure 2014218696
Figure 2014218696
表3に成形条件を示す。表中で下線を引いた値は、請求項3に係る本発明の条件を外れるものを示している。
Figure 2014218696
予備熱処理後の試料の圧延方向に平行な断面にてEPMAにより粒子径が0.5μm以上5.0μm以下、および1.0μm以上5.0μm以下のMn系化合物の個数密度を計測した。計測領域は200×200μmである。
成形試験は、円筒深絞り成形による限界深絞り比(LDR)を求めた。パンチはφ78mmの円筒である。潤滑は2硫化モリブデンを水で溶かした潤滑剤であり、試験前にブランクに塗布して使用した。ブランク形状は円盤であり、破断やしわ発生なく絞り抜くことが可能なブランクの最大径を円筒の径で除した値をLDRとした。なお、この時BHFは、プレス機の設定最小値である1tonに設定した。
表4は、上記の各種合金、合金板製造プロセス、成形試験前材料中のMn系化合物の個数密度、成形条件、成形結果、および判定を示したものである。LDR値は、合金板特性だけでなく成形条件によっても変化するため、成形条件を加味して、LDR値の高低によって発明効果を判定した。2.6以上のLDRが得られる事例を「◎」(特に好ましい)とし、2.3以上のLDRが得られる事例を「○」(好ましい)とし、発明合金板程度の強度を有する汎用的な合金板の室温成形で得られる2.3未満での事例を「×」(一般)とした。本発明合金レベルの強度を有する材料で2.3以上のLDRが得られれば優れた成形性を示した事例と判断した。
Figure 2014218696
表4において、試験No.1から5までは、本発明成分の合金を用い、本発明プロセスにて製造し、本発明の成形方法を使用したためにLDRは2.6以上となった。またMn系化合物の個数密度も低く、発明効果発現に十分な固溶Mn量が確保されている。試験No.6から9では、本発明の特徴であるMnの含有量が発明範囲外、あるいはMnは適当量含有していても、Siとの比率が発明範囲外であるため、Mn系化合物の制御が十分にできず、好ましい温間成形条件においても発明効果が発現しない。
試験No.10から15は製造プロセスの影響を見ることができ、製造プロセス条件が好ましい範囲を外れ(下位クレーム請求項範囲外)、溶体化不足や不用意な析出が起きるとMn系化合物が増加し、温間成形性に影響を及ぼす。特に試験No.15では予備熱処理が200℃と高温であり、Mn系化合物を含んだ多くの粗大な化合物が多く形成され、そのために成形性が大きく低下している。試験No.16から20は、成形温度の影響を見たものである。本発明合金は一般的な室温成形でも通常材レベルの材質が得られるが、特にパンチ部とフランジ部に温度差を設けた温間成形で顕著に好ましい効果が得られることがわかる。
本発明によれば、BH性を有し、温間成形により優れた成形性の材料が提供でき、アルミニウム合金を適用した車体が製造できることで車体の軽量化が可能となり、産業上の意義は大きい。

Claims (3)

  1. 質量%で、Mg:0.20−1.50%、Si:0.20−1.50%、Mn:0.5−2.5%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物よりなり、Si/Mnが0.4以上かつ1.5以下であり、粒子径が0.5μm以上5.0μm以下のMn系化合物が個数密度1000個/mm2未満であることを特徴とする温間成形性に優れたアルミニウム合金。
  2. 冷間圧延もしくは熱間圧延後の溶体化温度が545℃+10×Mn含有量(質量%)以上融点以下であり、その温度範囲内での保持時間が2分以上であり、つづく予備熱処理における熱処理温度が70℃以上150℃以下であり、その温度範囲内での保持時間が1時間以上9時間以下であること特徴とする請求項1に記載の合金の製造方法。
  3. ダイスおよびホルダーの温度が150℃以上300℃以下であり、パンチの温度が120℃以下である金型を用いて成形することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の合金の成形方法。
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