JP2014218041A - 空気入りタイヤの加硫成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、このローカバーをキャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを経て製造される空気入りタイヤ2であって、上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられている。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、クリンチ7、ビード8、カーカス10及びベルト12、14を備えている。
【選択図】図1
Description
予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを含んでおり、
上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる。
上記ゴムとしては、トレッドゴム、サイドウォールゴム等が例示されうる。
予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを経て製造される空気入りタイヤであって、
上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる。
(1)トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビード等、タイヤに必要な部材が準備される 準備工程、
(2)これらの部材が、図示しないフォーマーに供給される工程、
(3)フォーマーにおいて、これらの部材が組み合わされることにより、ローカバーが得 られる予備成形工程、
(4)ローカバーが図示しないモールドに投入される投入工程、
(5)図示しないブラダーに加熱媒体を充填し、ローカバーを加熱する加熱工程、
(6)ブラダーに加圧媒体をさらに充填し、ローカバーを加熱しつつ加圧する加圧工程、
(7)ブラダーから加熱媒体及び加圧媒体を排出する排出工程、及び、
(8)モールドから加硫されたタイヤが取り出される工程が含まれる。
上記加熱工程及び加圧工程を併せて加硫工程ともいう。
ゴム組成物の特性としての、実際の加硫時間は、加熱及び加圧が開始されてから、架橋反応が終了するまでの時間である。具体的には、加硫時間は、JISK6300−2「未加硫ゴム−物理特性−振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」の規定に基づいて求められたtc(95)以上、tc(MAX)以下の時間とされる。tc(95)とは、試験開始から、試験機によるトルク値がほぼ最大値の95%となるまでの時間である。tc(MAX)とは、試験開始から、試験機によるトルク値が最大となるまでの時間である。上記設定加硫時間は、この実際の加硫時間より長い時間とされる。この実際の加硫時間とは、ゴムの特性としての加硫時間であり、上記JISK6300−2に準拠して求められる加硫時間である。
未加硫状態のゴムの最長緩和時間は、例えば、概略的には以下の手順で見積もられる。
(1)試験片のゴムに所定(規定)のひずみが生じるように荷重を負荷し、これを維持する。
(2)所定の時間間隔で荷重を測定する。荷重は時間の経過に伴って低下していく(応力 が緩和していく)。
(3)試験開始から、荷重の低下が無くなった(変化率が所定値以下となった)時点の時 間の指数を最長緩和時間とする。
G(t) = Go・exp(−t/τ) (1)
ln(G(t)) = lnGo − t/τ (2)
ここで、τは上記試験片32のサンプルゴムの最長緩和時間である。Goは、ひずみが生じた直後の試験片32の弾性率(初期値)、tは、圧縮荷重の負荷開始からの経過時間、G(t)は、荷重負荷後の測定時間tにおける試験片32の弾性率である。上記G(t)及びGo(3)は測定結果から得られる。上記算式から、直線近似されたG(t)の傾き1/τが得られる。最長緩和時間τは、このG(t)の傾きの逆数から求めることができる。
(1)加硫促進剤の混合量を、従来より低減する。
(2)加硫剤(酸化亜鉛)の混合量を、従来より低減する。
(3)ゴム加硫遅延剤(例:東レファインケミカルのN−シクロへキシルチオフタルイミド)を用いる。
(4)ポリマー種を変更する。
(5)加硫温度を低くする。
もちろん、上記方法には限定されない。
最長緩和時間に対する加硫時間の長短により、ゴムに生じる残留ひずみがどの程度相違するのかを、以下の「カット口開き試験」によって確認することができる。異なる配合により、異なる加硫時間を有する複数個のサンプルゴムが用意される。サンプルゴムは試験片として用いられる。各サンプルゴムの加硫時間は、前述のJISK6300−2の規定に基づいた試験により確認された。これらの複数のサンプルゴムは、全て同一分子量であり、前述した最長緩和時間の見積もり試験により、同一の最長緩和時間を示したものである。全てのサンプルゴムに浅い切り込みが形成される。この切り込みの開き量が比較評価される。開き量とは、切り込みが時間の経過とともに開いたときの寸法であり、切り込みの長さ方向に直角の方向の最大開き幅である。開き量が大きいほど、残留ひずみが大きいと判断される。
実施例1として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。試験片とは、図3に示されるカット口開き試験用の試験片36である。ゴム組成物は、タイヤのトレッド用のゴムである。ゴム部分38の幅が40mm、長さが60mm、厚さが15mmである。裏当て材40の材質がアルミ合金、幅が40mm、長さが60mm、厚さが4mmである。ゴム部分38に形成された溝42の幅が8mm、深さが8mmである。溝42の底の切り込み44の深さが2mm、長さが8mmである。
(1) ベースゴムであるブタジエンスチレンゴム、100phr
(2) ダイヤブラック(ISAF)、47.87phr
(3) 滑剤(ビーズステアリン酸つばき)、2phr
(4) 加硫剤(酸化亜鉛2種)、3phr
(5) 可塑剤(サントフレックス13(登録商標))、1phr
(6) 老化防止剤(オゾエース0355)を1phr
(7) 加硫剤(200メッシュ 5%油入粉末硫黄)、1.6phr
(8) 加硫促進剤(ノクセラーCZ(登録商標))、1phr
(9) 加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)、0.2phr
このゴムについては、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は150℃である。それらの結果は表1に示されている。表1中の「加硫時間」は、前述した「ゴムの加硫時間の測定試験」において測定された値と同一である。設定加硫時間を、この実測の加硫時間と同一時間に設定した。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。
実施例2として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.5phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は150℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
比較例1として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が含まれていないこと以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は150℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
比較例2として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が含まれていないこと以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
実施例3として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.1phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
実施例4として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.2phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
実施例5として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.5phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
表1における実施例及び比較例の「カット口開き量」は、前述したカット口開き試験において測定された数値であり、単位はmmである。この測定値は小さいほど好ましい。表1では、各例のひずみ評価が、判定基準をカット口開き量0.15mmとして、○×で示されている。○印は、カット口開き量が0.15mm以下のものであり、好ましい評価である。×印は、カット口開き量が0.15mmを超えたものであり、好ましくない。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
7・・・クリンチ
8・・・ビード
10・・・カーカス
12、14・・・ベルト
16・・・トレッド面
18・・・溝
20・・・コア
22・・・エイペックス
24・・・カーカスプライ
32・・・(応力緩和時間試験の)試験片
34・・・(応力緩和時間試験の)平行円板
36・・・(カット口開き試験の)試験片
38・・・サンプルゴム
40・・・裏当て材
42・・・(試験片の)溝
44・・・(試験片の)切り込み
CL・・・(タイヤ断面の)中心線
EQ・・・(タイヤの)赤道面
Claims (3)
- 予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを含んでおり、
上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる、空気入りタイヤの加硫成形方法。 - 予備成形前の上記ゴムに、ゴム加硫遅延剤が配合される請求項1に記載の空気入りタイヤの加硫成形方法。
- 予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを経て製造される空気入りタイヤであって、
上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる、空気入りタイヤ。
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JP2010121089A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Bridgestone Corp | ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ |
JP2010531386A (ja) * | 2007-12-14 | 2010-09-24 | エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク | 加工可能で硬化可能な充填剤入りハロゲン化イソオレフィンエラストマー |
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