JP2014218041A - 空気入りタイヤの加硫成形方法 - Google Patents

空気入りタイヤの加硫成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トレッドの溝底の残留ひずみが抑制された空気入りタイヤ2を提供すること。
【解決手段】予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、このローカバーをキャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを経て製造される空気入りタイヤ2であって、上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられている。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、クリンチ7、ビード8、カーカス10及びベルト12、14を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ、及び、この空気入りタイヤの加硫成形方法に関する。
例えば、乗用車用等の空気入りタイヤには、市場における損傷の形態として、その長期使用の末に、そのトレッドにTGC(トレッドグルーブクラック)の発生が見られることがある。TGCとは、タイヤトレッドの溝の底部にクラックが発生する現象をいう。
このTGCと呼ばれるクラックは、タイヤの加硫成形時に溝底に生じた残留ひずみが一因である。このクラックは、残留ひずみが存在する溝底部が、タイヤの走行に伴い、繰り返しひずみによって疲労することにより発生する。TGC(溝底クラック)は、紫外線、大気中の酸素、オゾン等によってトレッドの表面が劣化することにより、発生しやすくなる。TGCという損傷は、空気入りタイヤの耐久性に悪影響を及ぼす。
特開2006−335278号公報には、トレッドの排水性を維持しつつトレッド主溝の変形の抑制をすることを目的としたトレッドパターンを有するタイヤが開示されている。しかし、トレッドパターン設計の自由度が著しく縮小(低下)するおそれがある。しかも、トレッドの溝底には、もともと残留ひずみが存在しているので、根本的は問題の解決手段とはなり得ていない。
特開2007−223480号公報には、トレッドのグリップ性を悪化させることなく溝底のクラックを抑制をすることを目的として、トレッドゴムにブロック共重合体をブレンドしたタイヤが開示されている。しかし、溝底におけるクラックの発生は、溝底の残留ひずみに起因することなので、問題の根本的な解決手段とはなり得ていない。
溝底での耐クラック性能の向上に関しては、上記の他、特開2012−126300号公報に開示された技術が知られている。
特開2006−335278号公報 特開2007−223480号公報 特開2012−126300号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、タイヤトレッドの溝底等の残留ひずみの発生が抑制される空気入りタイヤを提供すること、及び、このタイヤの加硫成形方法を提供することを目的としている。
本発明に係る空気入りタイヤの加硫成形方法は、
予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを含んでおり、
上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる。
上記ゴムとしては、トレッドゴム、サイドウォールゴム等が例示されうる。
好ましくは、予備成形前の上記ゴムに、ゴム加硫遅延剤が配合される。
本発明に係る空気入りタイヤは、
予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを経て製造される空気入りタイヤであって、
上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる。
本発明に係る空気入りタイヤ、及び、このタイヤの加硫成形方法によれば、タイヤトレッドの溝底等の残留ひずみの発生が抑制されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る加硫成形方法の実行により製造されたタイヤの一例を概略的に示す部分断面図である。 図2は、ゴムの応力緩和時間を見積もるための試験に用いられる治具及び試験片を示す概略図であり、図2(a)は試験片の組立前の斜視図、図2(b)及び図2(c)は、試験片の組み立て後の断面図である。 図3は、ゴムのカット口開き試験に用いられる試験片を示す概略図であり、図3(a)は試験片の斜視図であり、図3(b)は図3(a)の試験片の平面図であり、図3(c)は、図3(b)のIIIC−IIIC線に沿った断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、本実施形態に係る加硫成形方法の実行により製造された空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面に垂直な方向が周方向である。図1に示された空気入りタイヤ2は、一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面EQを表す。図1には主要部材のみが示されている。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、クリンチ7、ビード8、カーカス10及びベルト12、14を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4の外周面は、路面と接地するトレッド面16を構成する。トレッド面16には、溝18が刻まれている。この溝18により、トレッドパターンが形成されている。市場においては、タイヤ2の長期使用に伴う劣化のため、この溝18の底部にクラック(TGC)が発生することがある。
ビード8は、コア20と、このコア20から半径方向外向きに延びるエイペックス22とを備えている。
カーカス10はカーカスプライ24からなる。カーカスプライ24は、並列された図示しない多数のコードとトッピングゴムとからなる。カーカスプライ24は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ24は、コア20の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
ベルト12、14は、カーカス10の半径方向外側に積層されている。ベルト12、14は、カーカス10を補強する。このタイヤ2では、ベルトは内層12と外層14とからなる二層構造を有している。ベルトは、二層構造には限定されず、一層でもよく、三層以上でもよい。
図示しないが、ベルト12、14を覆うバンドを備えてもよい。バンドによりベルト12、14が拘束され、ベルトのリフティングが抑制される。ベルト及びバンドは、補強層を構成する。ベルトのみから、補強層が構成されてもよい。バンドのみから、補強層が構成されてもよい。
このタイヤの製造方法には、
(1)トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビード等、タイヤに必要な部材が準備される 準備工程、
(2)これらの部材が、図示しないフォーマーに供給される工程、
(3)フォーマーにおいて、これらの部材が組み合わされることにより、ローカバーが得 られる予備成形工程、
(4)ローカバーが図示しないモールドに投入される投入工程、
(5)図示しないブラダーに加熱媒体を充填し、ローカバーを加熱する加熱工程、
(6)ブラダーに加圧媒体をさらに充填し、ローカバーを加熱しつつ加圧する加圧工程、
(7)ブラダーから加熱媒体及び加圧媒体を排出する排出工程、及び、
(8)モールドから加硫されたタイヤが取り出される工程が含まれる。
上記加熱工程及び加圧工程を併せて加硫工程ともいう。
上記投入工程において、図示しないローカバーは、開かれた図示しないモールド内に投入される。この投入のとき、モールドは加熱されている。図示しないブラダーは、このモールドの内側に配置され、収縮している。ローカバーの投入後、モールドは閉じられ、次の加熱工程が開始される。
加熱工程において、ブラダーに加熱媒体が充填される。この加熱媒体には、通常、その温度が180℃から200℃に調整されたスチームが用いられる。これにより、ローカバーの内側に位置するブラダーが昇温されるとともに膨張する。このブラダーが、ローカバーを押し広げて、モールドのキャビティ面に押圧する。ローカバーが加熱及び加圧され始める。この加圧及び加熱により、ローカバーは、流動しつつ、その表面からゴム組成物の架橋反応が進行していく。架橋反応の進行に伴い、ゴムの流動性が低下していく。
上記加圧工程では、ブラダーに加圧媒体が充填される。通常、この加圧媒体には、常温の窒素ガスが用いられる。この加圧媒体の充填により、ブラダーの内圧はさらに上昇する。ローカバーのキャビティ面への押圧力がさらに上昇する。加圧工程において、この圧力が所定時間保持される。上記押圧力により、ゴム内部には応力が発生している。この応力が緩和されないうちに加硫が完了してゴムが硬化すると、内部応力が残留し、残留ひずみが生じる。この残留ひずみに起因して、使用中のタイヤ2に、前述したTGCが発生するおそれが生じる。以上の加熱、加圧の工程は一例である。加熱と加圧とが同時になされることもある。
上記所定時間の経過後、ブラダーから加熱媒体及び加圧媒体が排出される(排出工程)。ブラダーの内圧が十分に低下した後、モールドからタイヤが取り出される。ここでは、加熱工程において加熱が開始されてから、加圧工程での加圧が終了するまでの時間を「設定加硫時間」と呼ぶ。すなわち、「設定加硫時間」とは、タイヤ製造において、加硫工程が占めている時間の長さと言える。
[ゴムの加硫時間の測定試験]
ゴム組成物の特性としての、実際の加硫時間は、加熱及び加圧が開始されてから、架橋反応が終了するまでの時間である。具体的には、加硫時間は、JISK6300−2「未加硫ゴム−物理特性−振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」の規定に基づいて求められたtc(95)以上、tc(MAX)以下の時間とされる。tc(95)とは、試験開始から、試験機によるトルク値がほぼ最大値の95%となるまでの時間である。tc(MAX)とは、試験開始から、試験機によるトルク値が最大となるまでの時間である。上記設定加硫時間は、この実際の加硫時間より長い時間とされる。この実際の加硫時間とは、ゴムの特性としての加硫時間であり、上記JISK6300−2に準拠して求められる加硫時間である。
前述したように、内部応力が緩和されないうちに加硫が完了してゴムが硬化すると、残留ひずみが生じうる。加硫によってゴムに生じうる残留ひずみは、加硫温度でのゴム固有の最長の応力緩和時間(以下、単に緩和時間ともいう)と密接な関係がある。この最長応力緩和時間(以下、単に最長緩和時間ともいう)は、ゴムの変形し易さ(流れやすさ)を示す指標となりうる。最長緩和時間の長いゴムほど変形しにくい(流れにくい)。この最長緩和時間は、ゴムの分子量に依存する。また、最長緩和時間はゴムの温度によって変化する。温度が高いほど緩和時間は短くなる。
本発明者は、上記のとおり、ゴムの特性としての加硫時間を、未加硫の原料ゴムの最長緩和時間より長くすれば、残留ひずみが抑制されることを見出した。また、トレッドの溝底の残留ひずみを抑制することによってTGCを抑制しうると考えた。ゴムを、最長緩和時間より長い時間変形可能な状態(加硫未完了の状態)にさせることにより、ゴムは流れうる。すなわち、ゴムは、加硫完了時には既に、トレッドの溝のあらゆる部分に十分に流れ至っている。その結果、ゴムの加硫が完了する時点で、残留ひずみが生じにくい。
[最長緩和時間の見積もり試験]
未加硫状態のゴムの最長緩和時間は、例えば、概略的には以下の手順で見積もられる。
(1)試験片のゴムに所定(規定)のひずみが生じるように荷重を負荷し、これを維持する。
(2)所定の時間間隔で荷重を測定する。荷重は時間の経過に伴って低下していく(応力 が緩和していく)。
(3)試験開始から、荷重の低下が無くなった(変化率が所定値以下となった)時点の時 間の指数を最長緩和時間とする。
次に、応力緩和及びその時間の測定方法について、その一例が詳細に説明される。この例では、JISK6263に規定された以下の手順により、ゴムの応力緩和状況が測定される。本例では、トレッドゴムと同一のサンプルゴムであって、その配合剤のうち加硫系(加硫剤、加硫促進剤)を含んでいない状態のゴムが、最長緩和時間見積もり用の試験片として用いられる。この試験片用のゴムは、バンバリーミキサーによって混練されたコンパウンドから抜き取られた一部である。まず、この一部が、二本ロールミルによって厚さ1mmのシートに形成される。このシートが直径50mmの円板形に切り取られ、これが試験片32とされる(図2)。
この試験片32について、粘弾性測定装置(例えば、TAインスツルメント社製)により、圧縮応力緩和測定が行われる。図2(a)に示されるように、圧縮用治具として、例えば、直径50mmの平行円板34が用いられる。試験片32の設定ひずみは10%とされる。詳細には、厚さ1mmのシート状試験片32が、平行円板34間に挟まれた状態でセットされる(図2(b))。この試験片32の厚さが0.9mmになるように、平行円板34に圧縮力が負荷される(図2(c))。試験片32の厚さを0.9mmに維持した状態で、上記圧縮力の経時変化が測定される。試験温度は、例えば150℃及び170℃とされうる。当該ゴムの最長緩和時間τは、上記試験結果から、例えばProcedureX法を用いて算出される。なお、試験片に生じさせるひずみは、圧縮ひずみには限定されない。必要に応じて、引っ張り力を加えて引っ張りひずみを生じさせる場合があり、剪断力を負荷して剪断ひずみを生じさせる場合もある。
ProcedureX法では、最長緩和時間τの算出のために下記算式(1)及び算式(2)が用いられる。
G(t) = Go・exp(−t/τ) (1)
ln(G(t)) = lnGo − t/τ (2)
ここで、τは上記試験片32のサンプルゴムの最長緩和時間である。Goは、ひずみが生じた直後の試験片32の弾性率(初期値)、tは、圧縮荷重の負荷開始からの経過時間、G(t)は、荷重負荷後の測定時間tにおける試験片32の弾性率である。上記G(t)及びGo(3)は測定結果から得られる。上記算式から、直線近似されたG(t)の傾き1/τが得られる。最長緩和時間τは、このG(t)の傾きの逆数から求めることができる。
本実施形態では、タイヤ2の製造時における、前述したゴムの特性としての実際の加硫時間(加熱開始から架橋反応が終了するまでの時間)が、トレッドゴムの最長緩和時間と同一、又は、それ以上と決定されている。この加硫時間が最長緩和時間より短いと、トレッドの溝の底部に残留ひずみが発生する可能性がある。かかる観点からは、加硫時間は、最長緩和時間の1.2倍以上であるのがより好ましく、1.6倍以上であるのが特に好ましい。すなわち、加硫時間は、最長緩和時間より長ければ長いほど好ましい。しかし、加硫工程の効率化の観点からは、加硫時間をあまり長くするのは好ましくない。すなわち、加硫時間は、最長緩和時間の3倍以下であるのが好ましい。
加硫時間を当該トレッドゴムの最長緩和時間以上にすることにより、成型時のブラダによるプレスにより、トレッドゴムを最長緩和時間より長い時間変形させうる。換言すれば、最長緩和時間より長い時間流れうるように、ゴムを加硫完了によって固定させない。同一の配合系及び最長緩和時間のゴムに対しては、加硫時間を長くすることにより、残留ひずみの発生を抑制することができる。
ゴムの加硫時間を長くするためには、例えば下記の方法が採用されうる。
(1)加硫促進剤の混合量を、従来より低減する。
(2)加硫剤(酸化亜鉛)の混合量を、従来より低減する。
(3)ゴム加硫遅延剤(例:東レファインケミカルのN−シクロへキシルチオフタルイミド)を用いる。
(4)ポリマー種を変更する。
(5)加硫温度を低くする。
もちろん、上記方法には限定されない。
[カット口開き試験]
最長緩和時間に対する加硫時間の長短により、ゴムに生じる残留ひずみがどの程度相違するのかを、以下の「カット口開き試験」によって確認することができる。異なる配合により、異なる加硫時間を有する複数個のサンプルゴムが用意される。サンプルゴムは試験片として用いられる。各サンプルゴムの加硫時間は、前述のJISK6300−2の規定に基づいた試験により確認された。これらの複数のサンプルゴムは、全て同一分子量であり、前述した最長緩和時間の見積もり試験により、同一の最長緩和時間を示したものである。全てのサンプルゴムに浅い切り込みが形成される。この切り込みの開き量が比較評価される。開き量とは、切り込みが時間の経過とともに開いたときの寸法であり、切り込みの長さ方向に直角の方向の最大開き幅である。開き量が大きいほど、残留ひずみが大きいと判断される。
図3(a)に示されるように、カット口開き試験用の試験片36は、直方体の上記サンプルゴム38の一面に、金属板からなる裏当て材40が貼着されたものである。サンプルゴム38の、裏当て材40と反対側の面には、タイヤのトレッド溝と同一の溝42が形成されている。サンプルゴム38への裏当て材40の貼着、及び、上記溝42の形成は、未加硫のサンプルゴム38の加硫時に同時に行われる。
図3(b)及び図3(c)に示されるように、溝42の底部には、前述した切り込み44が形成される。この切り込み44は、図3(b)から明らかなように、その両端が閉じられたクローズドな切り込みである。この切り込み44は、例えば、刃の厚さが1.0mmから2.0mm程度のナイフ等の刃物によって形成されうる。この切り込み44は、試験片36の加硫が完了し、温度が常温まで低下してから形成される。これは、温度低下に伴い、サンプルゴム38と裏当て材40との線膨張係数の相違から、サンプルゴム38に引っ張り応力が生じた状態で実施されるのが好ましいからである。この引っ張り応力により、切り込み44の開きが明確に生じる。切り込みが形成された後、所定時間が経過してその開口が安定した後、切り込み44の開き量が測定される。開き量が大きいほど、溝底の残留ひずみが大きいことを示している。開き量の比較により、耐残留ひずみ性能を評価することができる。開き量が0.15mm未満のゴムが合格とされる。
以上説明された実施形態では、残留ひずみ抑制の対象として、トレッドゴムが例示されている。しかし、トレッドゴムには限定されない。例えば、必要に応じて、サイドウォールゴム、クリンチゴムにも適用可能である。すなわち、タイヤの加硫成形に際して、サイドウォールゴムの特性としての加硫時間を、その最長緩和時間以上にすることもできる。また、クリンチゴムの特性としての加硫時間を、その最長緩和時間以上にすることもできる。加硫成形に際して、設定加硫時間は、上記ゴムの特性としての加硫時間より長くされる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
後述する実施例1から5、並びに、比較例1及び2の試験片は、いずれも同一分子量のゴムであり、未加硫時において、最長緩和時間の測定値が同一温度において同一となっているものである。
[実施例1]
実施例1として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。試験片とは、図3に示されるカット口開き試験用の試験片36である。ゴム組成物は、タイヤのトレッド用のゴムである。ゴム部分38の幅が40mm、長さが60mm、厚さが15mmである。裏当て材40の材質がアルミ合金、幅が40mm、長さが60mm、厚さが4mmである。ゴム部分38に形成された溝42の幅が8mm、深さが8mmである。溝42の底の切り込み44の深さが2mm、長さが8mmである。
上記ゴム組成物の配合は以下のとおりである。
(1) ベースゴムであるブタジエンスチレンゴム、100phr
(2) ダイヤブラック(ISAF)、47.87phr
(3) 滑剤(ビーズステアリン酸つばき)、2phr
(4) 加硫剤(酸化亜鉛2種)、3phr
(5) 可塑剤(サントフレックス13(登録商標))、1phr
(6) 老化防止剤(オゾエース0355)を1phr
(7) 加硫剤(200メッシュ 5%油入粉末硫黄)、1.6phr
(8) 加硫促進剤(ノクセラーCZ(登録商標))、1phr
(9) 加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)、0.2phr
このゴムについては、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は150℃である。それらの結果は表1に示されている。表1中の「加硫時間」は、前述した「ゴムの加硫時間の測定試験」において測定された値と同一である。設定加硫時間を、この実測の加硫時間と同一時間に設定した。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。
[実施例2]
実施例2として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.5phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は150℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
[比較例1]
比較例1として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が含まれていないこと以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は150℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
[比較例2]
比較例2として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が含まれていないこと以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
[実施例3]
実施例3として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.1phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
[実施例4]
実施例4として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合は、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.2phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
[実施例5]
実施例5として、ゴム組成物を含む試験片が用意された。ゴム組成物の配合、加硫遅延剤(N−シクロへキシルチオフタルイミド)が0.5phrである以外は、実施例1のゴムと同一である。このゴムについても、前述した各試験により、最長緩和時間及び加硫時間が確認されている。加硫温度は170℃である。それらの結果は表1に示されている。この試験片に対し、カット口開き試験が行われた。その結果も表1に示されている。この試験片の、その他の構成及び試験要領は実施例1におけると同じである。
Figure 2014218041
[カット口開き試験結果の評価]
表1における実施例及び比較例の「カット口開き量」は、前述したカット口開き試験において測定された数値であり、単位はmmである。この測定値は小さいほど好ましい。表1では、各例のひずみ評価が、判定基準をカット口開き量0.15mmとして、○×で示されている。○印は、カット口開き量が0.15mm以下のものであり、好ましい評価である。×印は、カット口開き量が0.15mmを超えたものであり、好ましくない。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る空気入りタイヤの加硫成形方法は、特にタイヤのトレッドグルーブクラックに対する耐久性向上に好適である。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
7・・・クリンチ
8・・・ビード
10・・・カーカス
12、14・・・ベルト
16・・・トレッド面
18・・・溝
20・・・コア
22・・・エイペックス
24・・・カーカスプライ
32・・・(応力緩和時間試験の)試験片
34・・・(応力緩和時間試験の)平行円板
36・・・(カット口開き試験の)試験片
38・・・サンプルゴム
40・・・裏当て材
42・・・(試験片の)溝
44・・・(試験片の)切り込み
CL・・・(タイヤ断面の)中心線
EQ・・・(タイヤの)赤道面

Claims (3)

  1. 予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
    このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
    ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを含んでおり、
    上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる、空気入りタイヤの加硫成形方法。
  2. 予備成形前の上記ゴムに、ゴム加硫遅延剤が配合される請求項1に記載の空気入りタイヤの加硫成形方法。
  3. 予備成形により、ゴムを含んだローカバーを得る工程と、
    このローカバーを、キャビティ面を有するモールドに投入する投入工程と、
    ローカバーの内側に配置されたブラダーに加圧媒体及び加熱媒体を充填することにより、このローカバーを加熱しつつ加圧する加硫工程とを経て製造される空気入りタイヤであって、
    上記ゴムが、上記キャビティ面に接する部位のゴムのうちの少なくともいずれかであり、その特性として備わった加硫時間が、未加硫状態における最長応力緩和時間と同じかそれより長いゴムが用いられる、空気入りタイヤ。
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JP2010531386A (ja) * 2007-12-14 2010-09-24 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク 加工可能で硬化可能な充填剤入りハロゲン化イソオレフィンエラストマー

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