JP2014214371A - 耐サワー性とhaz靭性に優れた鋼板 - Google Patents

耐サワー性とhaz靭性に優れた鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】耐サワー性とHAZ靭性鋼板及び大入熱溶接条件の三者を同時に満足するラインパイプ用などのエネルギー用鋼材に適した鋼板を提供する。【解決手段】C:0.02〜0.20%(質量%の意味。組成について以下同じ)、Si:0.02〜0.50%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.030%以下(0%を含まない)、S:0.004%以下(0%を含まない)、Al:0.010〜0.08%、N:0.001〜0.01%、Nb:0.002〜0.06%、O:0.0040%以下(0%を含まない)、REM:0.0002〜0.05%、およびZr:0.0003〜0.020%を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、鋼中に含有される幅が1μm以上の介在物の組成において、介在物中のZr量が5〜60%、Al量が5〜30%、REM量が5〜50%、S量が0%超20%未満であることを特徴とする耐サワー性とHAZ靭性に優れた鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、ラインパイプ用、海洋構造物用などエネルギー用構造材の素材鋼板として好適な耐サワー性とHAZ靭性に優れた鋼板に関するものである。
近年、世界的なエネルギー需要の増加に伴い、再生可能エネルギーを含めて様々なエネルギーの開発、実用化が進められている。一方で、化石燃料である石油、天然ガス、石炭はエネルギー資源の大部分を占めており、この化石エネルギーを如何にして安全に効率よく、生産、輸送及び貯蔵するかについてもエネルギー確保の上で重要な問題であり、特に上記化石エネルギーの生産、輸送などに際しては高機能のエネルギー用鋼材が必要不可欠となる。
このエネルギー用鋼材は、その機能を果たせず、一度事故を起こした場合は被害が甚大となるため、高い安全性が要求される。
エネルギー用鋼材の一つにラインパイプ用鋼があるが、これは石油・天然ガス(LNG)の輸送に用いられており、同鋼には、構造材としての特性(強度、靭性)のみならず、パイプ内を通過する石油・天然ガスに対する耐性が求められる。近年、石油・天然ガスの油井・ガス井では、産出される油、ガスの質が劣化し、H2Sが多く混入してきており、これまでの仕様に加えて、耐水素誘起割れ性(耐HIC性)に代表される耐サワー性が強く求められてきている。
また、ラインパイプ用鋼などの鋼板は、溶接構造体として使用される。一般に、溶接構造物の材質再弱部は溶接部付近の熱影響部(HAZ)であり、該部位の靭性確保が要求され、さらに一方で、施設の観点からは、溶接性向上の要求が常にある。すなわち、HAZ靭性の確保と溶接施工性の兼備が求められてきている。
溶接施工性向上には、例えば、溶接入熱の大入熱化があるが、大入熱の溶接条件ではHAZ靭性の劣化が著しいことが問題となっている。
この耐サワー性とHAZ靭性確保を達成している従来技術として、特許文献1などが挙げられる。
すなわち、特許文献1では、主要成分バランス(Ceq値)制御により母材HIC割れ無しの耐サワー性と、vTrs〜−50℃レベルのHAZ靭性の兼備を達成している。しかしながら、溶接入熱は4kJ/mm(ローゼンタールの式から換算すると板厚38mmでTc=35秒相当)に止まり、大入熱条件とはいえない。
また、HAZ靭性の確保と大入熱化を達成している従来技術として特許文献2などが挙げられる。
すなわち、特許文献2は、橋梁、造船用の厚鋼板を対象としたものであり、Ti、Ca、Alなどの酸化物組成とその微小部分の量を制御して粒内α生成率を高めることで、1400℃×60秒、Tc=400秒(入熱10kJ/mm相当)の大入熱溶接相当の条件でvTrs−40℃レベルのHAZ靭性を達成している。従って、本文献はラインパイプ用として要求される耐サワー性の改善を意図しておらず、しかも、もっぱら上記酸化物制御のみに注力しており、耐サワー性を劣化させる粗大硫化物抑制のために特別な脱硫を施したものではない。
これら、従来技術ではいずれも耐サワー性、HAZ靭性及び大入熱溶接条件の三者を同時に達成するものではない。
特開2009−52137号公報 特願2009−184779号公報
そこで、本発明の目的(課題)は、耐サワー性とHAZ靭性鋼板及び大入熱溶接条件の三者を同時に満足する高機能特性を有したラインパイプ用などのエネルギー用鋼材に適した鋼板を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、
C:0.02〜0.20%(質量%の意味。組成について以下同じ)、
Si:0.02〜0.50%、
Mn:0.6〜2.0%、
P:0.030%以下(0%を含まない)、
S:0.004%以下(0%を含まない)、
Al:0.010〜0.08%、
N:0.001〜0.01%、
Nb:0.002〜0.06%、
O:0.0040%以下(0%を含まない)、
REM:0.0002〜0.05%、および
Zr:0.0003〜0.020%を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、
鋼中に含有される幅が1μm以上の介在物の組成において、
介在物中の
Zr量が5〜60%、
Al量が5〜30%、
S量が0%超20%未満
であることを特徴とする耐サワー性とHAZ靭性に優れた鋼板である。
請求項2に記載の発明は、
更に、
Ca:0.0003〜0.0060%、及び
Mg:0.0003〜0.005%
から選択される1種類以上の元素を含む請求項1に記載の鋼板である。
請求項3に記載の発明は、
更に、
Ti:0.003〜0.03%、
B:0.0002〜0.005%、
V:0.003〜0.1%、
Cu:0.01〜1.5%、
Ni:0.01〜3.5%、
Cr:0.01〜1.5%、及び
Mo:0.01〜1.5%、
から選択される1種以上の元素を含む請求項1または2に記載の鋼板である。
請求項4に記載の発明は、ラインパイプ用である請求項1〜3のいずれかに記載の鋼板である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板を用いて製造されるラインパイプ用鋼管である。
本発明によれば、耐水素誘起割れ性などの耐サワー性に優れ、且つ大入熱溶接条件においても優れたHAZ靭性を有する、耐サワー性、HAZ靭性及び大入熱溶接条件の三者を同時に満足する高機能特性を備えたラインパイプ用、海洋構造物用などのエネルギー用鋼材として有利に適用し得る鋼板を提供することができる。
本発明者は、前記本発明の課題を達成するために、鋼板の特性を発揮する上で基本となる鋼の成分組成に加えて、鋼中の介在物制御の観点から鋭意、研究、検討を重ねた結果、幅が1μm以上の粗大な介在物を特定の成分組成に保持することによって、前記耐サワー性、HAZ靭性及び大入熱溶接条件のいずれも同時に満足する優れた特性を有する鋼板が得られることを見出し、該知見に基づいて本発明を完成するに至った。
耐サワー性の観点で検討したところ、サワー環境では鋼中に水素が侵入した場合、MnSなどの粗大で鋼よりも熱膨張率が大きい介在物はその周囲に粗大なボイドを形成するため、侵入した水素はこのボイドに集中的に滞積して、それらが気化する圧力で鋼に割れ、すなわち水素誘起割れが発生・進展するものと推定される。従って、この水素誘起割れの原因となる1μm以上の粗大な介在物を鋼よりも熱膨張率の大きい介在物から鋼よりも熱膨張率の小さい介在物に転換して造り込むことによって鋼の耐サワー性を向上、確保できるものと考えた。そして、鋼よりも熱膨張率の小さい介在物として具体的にはZr、Al、REMの酸化物などが有効である。
一方、HAZ靭性の観点から検討を行なったところ、この特性を向上させる方法の一つである組織微細化に着目した。一般に、大入熱溶接時には、溶接入熱後の冷却速度が遅くなるために組織が粗大化しHAZ靭性が低下する傾向にあるが、粒内変態を促進し組織を微細化できる介在化物の導入によりHAZ靭性を改善することが可能である。介在化物にこのような効果を発揮させるためには、低融点化、鋼母相との格子整合性を高め必要がある。そして、こうした要請に応える具体的な介在物としては、少量のZr、REM、Alの酸化物およびTiNやTi−Ca系酸化物が有効である。
このように、耐サワー性とHAZ靭性の観点を総合して考えると、有効な介在物は成分としては共通しているものの具体的な組成(成分割合)としては必ずしも一致しないため、本発明においてはこれらをバランスさせることをさらに検討し、後述する通り、耐サワー性の確保とHAZ靭性の向上を同時に達成できる最適な介在物組成を規定したのである。
以下、本発明鋼板の鋼組成、介在物組成についてその規定理由を含めて詳細に説明して行くことにする。なお、組成の表示単位である%は全て質量%を意味する。
(鋼組成)
[C:0.02〜0.20%]
Cは、HAZ部の焼入れ性を確保するために必要不可欠な元素であり、0.02%以上含有させる必要がある。好ましくは0.03%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。C量が過剰であると、マルテンサイト(MA=島状マルテンサイトを含む)が生成しやすくなり、HAZ靭性が劣化する。よってC量は0.20%以下とする必要がある。好ましくは0.15%以下、より好ましくは0.12%以下である。
[Si:0.02〜0.50%]
Siは脱酸に有効である。これらの効果を得るため、Si量を0.02%以上とする。好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.15%以上である。しかし、またSi量が過剰であると、島状マルテンサイトが形成され易くHAZ靭性が劣化する。よってSi量は、0.50%以下に抑える必要がある。Si量は、好ましくは0.45%以下、より好ましくは0.35%以下である。
[Mn:0.6〜2.0%]
Mnは、HAZ部の焼入れ性を確保するために有効な元素であり、本発明では0.6%以上含有させる。Mn量は、好ましくは0.8%以上であり、より好ましくは1.0%以上である。しかし、Mn量が多すぎると、MnSを生成し耐水素誘起割れ性が劣化するだけでなくHAZ靭性が劣化するため、Mn量の上限を2.0%以下とする。好ましくは1.8%以下であり、より好ましくは1.6%以下である。
[P:0.030%以下(0%を含まない)]
Pは、鋼材中に不可避的に含まれる元素であり、P量が0.030%を超えるとHAZ靭性の劣化が著しく、耐水素誘起割れ性も劣化する。よって本発明ではP量を0.030%以下に抑える。好ましくは0.020%以下、より好ましくは0.010%以下である。
[S:0.004%以下(0%を含まない)]
Sは、多すぎるとMnSを多量に生成し耐水素誘起割れ性を著しく劣化させるため、本発明ではS量の上限を0.004%とする。S量は、好ましくは0.003%以下であり、より好ましくは0.0025%以下、更に好ましくは0.0020%以下である。この様に耐水素誘起割れ性向上の観点からは少ない方が望ましいものの、工業的に0.0001%未満とすることは困難であることから、S量の下限はおおよそ0.0001%である。
[Al:0.010〜0.08%]
Alは介在物の熱膨張率を小さくすることで鋼母相とのボイドを低減し、耐サワー性を確保するのに有効である。また、介在物の融点を低下させて粒内針状α生成率を高め、HAZ靭性確保および粗粒から細粒までの硬さ傾斜を低減させるのに有効である。この効果を発揮させるには、Alを0.010%以上とする必要がある。Al量は、好ましくは0.020%以上、より好ましくは0.030%以上である。
一方、AlがZrよりも先に添加される場合でAl含有量が多すぎると、Alの酸化物がZrの酸化物よりも優先的に形成されて介在物中のZr濃度が低下し、またAlの酸化物がクラスター状に生成し水素誘起割れの起点となる。よってAl量は0.08%以下とする必要がある。Al量は、好ましくは0.06%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
[N:0.001〜0.01%]
Nは、鋼組織中にTiNとして析出し、HAZ部のオーステナイト粒の粗大化を抑制し、さらにフェライト変態を促進させて、HAZ部の靭性を向上させる元素である。この効果を得るには0.001%以上含有させる必要がある。好ましくは0.003%以上であり、より好ましくは0.0040%以上である。しかし、N量が多すぎると、固溶Nの存在によりHAZ靭性がかえって劣化するため、N量は、0.01%以下にする必要がある。好ましくは0.008%以下であり、より好ましくは0.0060%以下である。
[Nb:0.002〜0.06%]
Nbは、溶接性を劣化させることなく強度を高めるのに有効な元素である。この効果を得るには、Nb量を0.002%以上とする必要がある。Nb量は、好ましくは0.010%以上、より好ましくは0.020%以上である。しかし、0.06%を超えると、HAZの靭性が劣化する。よって本発明ではNb量の上限を0.06%とする。Nb量は、好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.040%以下、更に好ましくは0.030%以下である。
[O:0.0040%以下(0%を含まない)]
O(酸素)は、清浄度向上の観点から低いほうが望ましく、Oが多量に含まれる場合、靭性が劣化することに加え、酸化物を起点にHICが発生し、耐水素誘起割れ性が劣化する。この観点から、Oは0.0040%以下とする必要があり、好ましくは0.0030%以下、より好ましくは0.0020%以下である。
[REM:0.0002〜0.05%]
REM(希土類元素)は、介在物の熱膨張率を小さくすることで鋼母相とのボイドを低減し、耐サワー性を確保するのに有効である。また、介在物の融点を低下させて粒内針状α生成率を高め、HAZ靭性確保および粗粒から細粒までの硬さ傾斜を低減させるのに有効である。このような効果を発揮させるには、REMを0.0002%以上含有させる必要がある。REM量は、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0010%以上である。一方、REMを多量に含有させても効果が飽和する。よってREM量の上限を0.05%とする。鋳造時の浸漬ノズルの閉塞をおさえて生産性を高める観点からは、0.03%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.010%以下、更に好ましくは0.0050%以下である。
尚、本発明において、上記REMとは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)とSc(スカンジウム)およびY8(イットリウム)を意味する。
[Zr:0.0003〜0.020%]
Zrは、介在物の熱膨張率を小さくすることで鋼母相とのボイドを低減し、耐サワー性を確保するのに有効である。また、介在物の融点を低下させて粒内針状α生成率を高め、HAZ靭性確保および粗粒から細粒までの硬さ傾斜を低減させるのに有効である。耐水素誘起割れ性を著しく改善させるため介在物中のZr濃度を5%以上とするには、Zr量を0.0003%以上とする必要がある。Zr量は、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0010%以上、更に好ましくは0.0015%以上である。一方、Zrを過剰に添加すると、溶鋼中の固溶Zrが増加して鋳造中に、酸・硫化物を取巻くように晶出し、HAZ靭性および耐水素誘起割れ性を劣化させる。よってZr量は0.020%以下とする必要がある。Zr量は、好ましくは0.010%以下、より好ましくは0.0070%以下、更に好ましくは0.0050%以下である。
本発明鋼板の鋼材の成分組成は、上記の通りであり、残部は鉄および不可避不純物である。また、上記元素に加えて更に、下記量のCa,Ti、B、V、Cu、Ni、Cr、Mo、およびMgよりなる群から選択される1種類以上の元素を含有させることにより、HAZ靭性の向上や強度の向上等を図ることができる。以下、これらの元素について説明する。
[Ca:0.0003〜0.0060%]
Caは、CaSを形成し硫化物を微細分散させる作用がある。この効果を得るには、Ca量を0.0003%以上とする必要がある。好ましくは0.0005%以上であり、より好ましくは0.0010%以上である。一方、Ca量が0.0060%を超えると、CaSが多量に形成し、それらが凝集してHAZ靭性およびHIC特性に悪影響を及ぼす。よって本発明では、Ca量の上限を0.0060%とする。Ca量は、好ましくは0.0050%以下であり、より好ましくは0.0040%以下である。
[Mg:0.0003〜0.005%]
Mgは、MgSを形成し硫化物を微細分散させる作用がある。この効果を得るためには0.0003%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.001%以上である。一方、Mgを、0.005%を超えて含有しても効果が飽和するため、Mg量の上限は0.005%とすることが好ましい。より好ましくは0.0030%以下である。
[Ti:0.003〜0.03%]
Tiは、鋼中にTiNとして析出することで、溶接時のHAZ部でのオーステナイト粒の粗大化を防止しかつフェライト変態を促進するため、HAZ部の靭性を向上させるのに必要な元素である。このような効果を得るには、Tiを0.003%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.005%以上、更に好ましくは0.010%以上である。一方、Ti含有量が過多になると、固溶TiやTiCが析出してHAZ靭性が劣化するため、0.03%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.02%以下である。
[B:0.0002〜0.005%]
Bは焼入れ性を高めるため、HAZ靭性を向上させる。この効果を得るためには、B量を0.0002%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.0005%以上であり、更に好ましくは0.0010%以上である。しかし、B含有量が過多になると、HAZ靭性が劣化したり、溶接性の劣化を招くため、B含有量は0.005%以下とするのが好ましい。より好ましくは0.004%以下、更に好ましくは0.003%以下である。
[V:0.003〜0.1%]
Vは、強度の向上に有効な元素であり、この効果を得るには0.003%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.010%以上である。一方、V含有量が0.1%を超えると溶接性が劣化する。よってV量は0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.08%以下である。
[Cu:0.01〜1.5%]
Cuは、焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な元素である。この効果を得るにはCuを0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上である。しかし、Cu含有量が1.5%を超えると強度が高くなりすぎ靭性が劣化するため、1.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.50%以下である。
[Ni:0.01〜3.5%]
Niは、母材強度とHAZ靭性の向上に有効な元素である。この効果を得るためには、Ni量を0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上である。しかしNiが多量に含まれると、構造用鋼材として極めて高価となるため、経済的な観点からNi量は1.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.50%以下である。
[Cr:0.01〜1.5%]
Crは、強度の向上に有効な元素であり、この効果を得るには0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上である。一方、Cr量が1.5%を超えるとHAZ靭性が劣化する。よってCr量は1.5%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.50%以下である。
[Mo:0.01〜1.5%]
Moは、母材強度の向上に有効な元素である。この効果を得るには、Mo量を0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上である。しかし、Mo量が1.5%を超えるとHAZ靭性および溶接性が劣化する。よってMo量は1.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.50%以下である。
(介在物組成)
[鋼中に含有される幅が1μm以上の介在物の組成]
[Zr量が5〜60%]
Zr酸化物は鋼よりも熱膨張率が小さいため、介在物中のZr量が確保されると周囲の鋼母相とのボイドを低減でき、耐サワー性確保に有効に機能する。また、Zr酸化物は介在物の融点を低下させて粒内生成率を高め、HAZ靭性を向上させるのに有効である。このような効果を発揮させるには、介在物中のZr量を5〜60%とする。Zr量が5%未満では、耐サワー性および/またはHAZ靭性が不十分となる。一方、Zr量が60%を超えると、介在物と鋼母相との格子整合性が低くなるため粒内α生成率が低下し、HAZ靭性が低下する。
[REM量が5〜50%]
REM酸化物は鋼よりも熱膨張率が小さいため、介在物中のREM量が確保されると周囲の鋼母相とのボイドを低減でき、また、Sを固定し、かつ微細分散でき、耐サワー性確保に有効に機能する。さらに、REM酸化物は介在物の融点を低下させて粒内生成率を高め、HAZ靭性を向上させるのに有効である。このような効果を発揮させるには、介在物中のREM量を5〜50%とする。REM量が5%未満では、耐サワー性および/またはHAZ靭性が不十分となる。一方、REM量が50%を超えると、介在物と鋼母相との格子整合性が低くなるため粒内α生成率が低下し、HAZ靭性が低下する。
[Al量が5〜30%]
Al酸化物は鋼よりも熱膨張率が小さいため、介在物中のZr量が確保されると周囲の鋼母相とのボイドを低減でき、耐サワー性確保に有効に機能する。また、Al酸化物は介在物の融点を低下させて粒内生成率を高め、HAZ靭性を向上させるのに有効である。このような効果を発揮させるには、介在物中のAl量を5〜30%とする。Al量が5%未満では、耐サワー性および/またはHAZ靭性が不十分となる。一方、Al量が30%を超えると、介在物と鋼母相との格子整合性が低くなるため粒内α生成率が低下し、HAZ靭性が低下する。
[S量が0%超20%未満]
粗大硫化物は耐サワー性を劣化させるため、これを低減する必要がある。粗大硫化物の耐サワー性への悪影響を低減させるには、脱硫によって鋼中のS量を低減させると共に、微細分散させることが有効である。REM添加によりSを固定し、かつ微細分散できる。この効果は介在物中のS量測定により間接的に把握することができ、介在物中のS量が0%超20%未満の場合に、粗大硫化物の耐サワー性への悪影響を抑制することができる。S量が0%の場合は、S固定ができていないことを示しており、耐サワー性が劣化する。一方、S量が20%の場合は、Sは固定できているものの、粗大硫化物を形成し易く、耐サワー性が劣化する。
(製造方法)
[溶鋼処理工程]
次に、本発明鋼板の製造方法について以下に詳説する。
上記組織の本発明鋼板を得るにあたっては、溶鋼処理工程において、
(A)Fe:0.1〜10%を満たすスラグを用いてSを0.004%以下にする脱硫工程、
(B)溶鋼の溶存酸素濃度Ofを、溶鋼のS濃度との比(Of/S)で10以下にする脱酸工程、
(C)Zr、REMおよびCaを、Zr、REM、Caの順に添加するか、またはZrとREMを同時とし次いでCaの順に添加する工程(但し、REM添加からCa添加までの時間を4分以上とする)
をこの順で含み、かつ、Ca添加から凝固完了までの時間を200分以内とし、鋳造時1300℃〜1200℃のスラブt/4位置の冷却時間を460秒以内とする必要がある。
上記各工程について、以下、順に説明する。
(A)脱硫工程
耐サワー性を確保するには粗大硫化物の低減が重要であり、これを達成するにはS量を制御することが重要である。転炉または電気炉にて、溶鋼温度が1550℃以上となるよう溶製した溶鋼に対し、Fe:0.1〜10%を満たすスラグを用い、Sを0.004%以下にする。スラグ中のFe濃度を高めることによって、脱硫・脱酸後に添加するZrが、溶鋼に固溶することなく優先的に酸化物を形成することができる。この効果を得るため、上記スラグ中のFe濃度を0.1%以上とする。スラグ中のFe濃度は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上である。一方、スラグ中のFe濃度が10%を超えると、酸化物が多量に生成し、酸化物が水素誘起割れの起点となるだけでなく、母材と溶接熱影響部の靭性を劣化させる。よって、スラグ中のFe濃度は10%以下とする。好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下である。また、Caを添加する場合は、スラグでの脱硫を十分に行ってSを0.004%以下に抑えることによって、REM添加後にCaを添加した際にCaSが多量に形成されることを防止でき、耐サワー性を確保することができる。
上記Sを0.004%以下にする手段としては、以下の(a)(b)が挙げられる。
(a)例えば取鍋脱硫設備(LFなど)を用い、流量5Nm/h以上(好ましくは10Nm/h以上、流量の上限はおおよそ300Nm/h)の不活性ガス(Arなど)を吹き込んで3分以上(好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上、撹拌時間の上限は生産性の観点から200分程度)撹拌することが挙げられる。
(b)また、Caを添加する場合は上記スラグ中のCaO濃度を10%以上とする。Caの添加より、スラグ中のCaOが溶鋼中の溶存Sと反応し、CaSに変化することによって溶鋼中のSの低減、即ち、脱硫を十分に行うことができる。そして、このときスラグ中のCaO濃度を10%以上とすれば、Sを0.004%以下にすることが可能となる。スラグ中のCaO濃度は、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。一方、スラグ中のCaOが多過ぎても脱硫が困難となるため、上限は80%程度である。
(B)脱酸工程
HAZ靭性を向上させるには、酸化物制御が重要であり、これを達成するにはO量を制御することが肝要となる。この工程では、耐サワー性にとって影響的なS量がやや増える、いわゆる復Sが起こるために、O量とS量を同時に制御することが重要である。この工程では、後述するREM添加の前に、溶鋼の溶存酸素濃度Ofを、溶鋼のS濃度との比(Of/S)で10以下にする。REMは溶鋼中に添加された際に、その硫化物を形成すると同時に酸化物も形成する。上記Of/Sが10を超える場合、添加されたREMの多くが酸化物を形成し、Sを固定し粗大硫化物形成を抑制するRES(REMの硫化物)の形成量が不十分となる。その結果、粗大硫化物(硫化物のクラスタを含む)が生成し、耐水素誘起割れ性が劣化する。よって本発明では、上記の通りOf/Sを10以下とする。Of/Sは、好ましくは5以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは2.0以下である。尚、Of/Sの下限値はおおよそ0.1程度である。上記Of/Sを10以下にするには、RH脱ガス装置による脱酸、さらに/またはMn、Si、Ti等の脱酸元素を投入による脱酸によって達成できる。
(C)Al、Zr、REM(及びCa)の添加工程
Al、Zr、REMの溶鋼への添加は、先にAlを添加し、次いで(Zr、REM)添加するものとする。これは、Alと(Zr、REM)の脱酸能を比較すると、(Zr、REM)の脱酸力はAlよりも強いため、Alに先んじて(Zr、REM)を添加すると、介在物中のAl量を所望の値とできない。そのため、添加順はAl→(Zr、REM)とする必要がある。
これらの元素に加えて、さらにCaを添加する場合は、以下に述べる各添加元素の脱硫力および脱酸力を考慮すると、最初にAlを添加し、次いでZrを添加し、その次にREMを添加し、最後にCaを添加するか、あるいは最初にAlを添加し、次いでZrとREMを同時に添加し、最後にCaを添加する方法の何れかを採用するものとする。但し、何れの場合もREM添加からCa添加までの時間を4分以上とする。
この理由について説明する。先ず、REMとCaの脱硫能を比較すると、REMの脱硫力はCaよりも弱いため、REM添加前にCaを添加すると、RESを形成させることができず、多量のCaSが生成してしまい耐サワーを劣化させてしまう。よって、Ca添加前にREMを添加する必要があり、そのため、Al、Zr、REM及びCaの添加順はAl→(Zr、REM)→Caとしなければならない。また、RESを十分に生成させるためにはREM添加からCa添加までの時間を4分以上空ける必要がある。REM添加からCa添加までの時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは8分以上である。尚、生産性の観点から、REM添加からCa添加までの時間の上限は、おおよそ60分程度となる。
次に、Zr,REM,Caの脱酸能を比較すると、一般的に脱酸力はCaが最も強く、Ca>REM>Zrの順と考えられ、Zrが最も弱い。従って、介在物中にZrを含有させる(即ち、酸化物系介在物としてZrO2を形成する)には、Zrよりも脱酸力の強いCaやREMやの添加に先立ち、Zrを添加しなければならない。そのため、Al、Zr、REM及びCaの添加順はAl→Zr→REM→Caとする必要がある。但し、REMはCaと比較して脱酸能が小さいため、Zrと同時に添加しても介在物中にZrを含有させることが可能であるため、これらの添加順はAl→(Zr、REM)→Caとしても良い。
上記各元素の添加量については、所望の各元素量の鋼板が得られればよく、例えば、Zrを溶鋼中の濃度で3〜100ppmになるよう添加し、その後もしくは同時に、REMを溶鋼中の濃度で2〜500ppmになるよう添加してから4分以上経過した後、Caを溶鋼中の濃度で3〜60ppmになるよう添加することが挙げられる。
〔鋳造工程〕
上記Ca添加後は、速やかに(例えば80分以内に)鋳造を開始し、Ca添加から凝固が完了するまでの時間が200分以下となるよう鋳造する。その理由は次の通りである。即ち、Caは、脱硫能、脱酸能ともに高い元素であるため、Ca添加後の時間経過に伴いRESやZrO2が安定的なCaSやCaOとなりやすく、RES/CaSおよび介在物中のZr濃度を所定範囲とすることができなくなる。よって本発明では、Ca添加から凝固完了までの時間を200分以内とする。好ましくは180分以内であり、より好ましくは160分以内である。尚、上記時間の下限は、Caを均質化する観点から、4分程度となる。
また、鋳造時の1300℃〜1200℃の冷却時間を270〜460secとすることが重要である。同冷却時間が上限を上回ると、介在物上への主に硫化物系の二次介在物の複合生成が助長され、耐サワー性を劣化させてしまう。一方で、同冷却時間がその下限を下回ると、冷却負荷が大きく増加するため、実用上は好ましくない。
[圧延以下の工程]
上記凝固後は、常法に従って熱間圧延を行い、鋼板(厚鋼板)を製造することができる。また、該鋼板を用い、一般的に行われている方法でラインパイプ用鋼管を製造することができる。圧延以下の工程については、特に限定するものではないが、例えば、鋳造されたスラブを1100℃以上に加熱し、再結晶温度域で、40%以上の圧下率で熱間圧延を施し、これを720℃から冷却速度3〜8℃/sで冷却すれば良い。なお、その後の調質は不要である。
[実施例]
常法により240t転炉で精錬された溶鋼をLF炉を用いて、脱硫、脱酸、成分調整、介在物制御などの処理(溶鋼処理)を行い、表1、2(発明例)及び表3、4(比較例)に示す組成及び鋼中介在物組成を有する各種の溶鋼を連続鋳造法によりスラブとして、これらを熱間圧延して厚み40mm、幅3500mmの鋼板(厚鋼板)を製造した。表5(発明例)及び表6(比較例)は上記溶鋼処理及び連続鋳造法における主要なプロセス条件を示したものである。表7(発明例)及び表8(比較例)はこうして得られた各鋼板の特性を示したものである。
表2、4に示した介在物の組成の分析方法及び表7、8の各特性の測定(試験)方法及び評価の仕方について以下に説明する。
〔介在物の組成の分析〕
介在物の組成の分析は次のようにして行った。即ち、圧延材の板厚方向断面において、板厚中央部を中心に、島津製作所製EPMA−8705で観察した。詳細には、観察倍率400倍、観察視野約50mm2(板厚中心部が観察視野の中央となるように、板厚方向に7mm、板幅方向に7mm)で3断面観察し、幅が1μm以上の介在物を対象に、特性X線の波長分散分光により介在物中央部での成分組成を定量分析した。
分析対象元素は、Al,Mn,Si,Mg,Ca,Ti,Zr,S,REM(La,Ce,Nd,Dy,Y),Nbとした。既知物質を用いて各元素のX線強度と元素濃度の関係を予め検量線として求めておき、次いで、前記介在物から得られたX線強度と前記検量線からその介在物の元素濃度を定量した。
そして、上記3断面における幅が1μm以上の介在物の上記各元素の含有量の平均値(介在物の組成)を求めた。
〔母材の降伏強度YS、引張強度TSの測定、評価〕
各鋼板のt/4位置から、C方向に平行にJIS Z2241の4号試験片を採取し、ZIS Z2241に記載の方法で引張り試験を行い、引張り強度TS、および降伏強度YSを測定した。本実施例では、YSが390MPa以上、TSが490MPa以上のものを母材強度に優れる(合格)と評価し、これらがそれぞれ390MPa未満、490MPa未満のものを母材強度に劣る(不合格)と評価した。
〔母材耐HIC性の試験、評価〕
NACE standard TM0284−2003に規定される方法に従って試験、評価した。具体的には、試験片を、1atmの硫化水素を飽和させた25℃(0.5%NaCl+0.5%酢酸)水溶液中に96時間浸漬した。
HIC試験の評価は、各試験片の長手方向を10mmピッチで切断し、その切断面について研磨後、光学顕微鏡を用い100倍の倍率で全断面を観察し、HICの割れ長さが200μm以上の割れの個数および1mm以上の割れの個数をそれぞれ測定した。そして本発明では、上記HICの割れ長さが1mm以上の割れがないものを耐HIC性に優れている(合格)と評価し、1mm以上の割れが1個以上存在する場合を耐HIC性に劣る(不合格)と評価した。
〔HAZ靱性(C方向における脆性破面率)の測定、評価〕
各鋼板のt/4位置(t:板厚)から、C方向に平行に熱サイクル試験片(12.5t×33L×55W)を採取し1400℃(最高温度)×5秒(保熱時間)、Tc(800〜500℃の冷却時間)=400秒の熱サイクルを行った。その後、熱サイクル試験片から各2本ずつシャルピー衝撃試験片(JIS Z 2242のVノッチ試験片)を採取し、各測定温度ごとに3本ずつJIS Z2242に記載の方法で衝撃試験を行いvTrsを求めた。そして、vTrsが−35℃以下であるものをHAZ靭性に優れる(合格)と評価し、vTrsが−35℃を超えているものをHAZ靭性に劣る(不合格)と評価した。なお、上記熱サイクル試験は入熱=60kJ/mm相当の大入熱溶接条件に対応する。
これらの実施例の結果を示す表7の発明例と表8の比較例の各特性の対比から明らかなように、本発明が規定する鋼組成及び鋼中の幅が1μm以上の粗大介在物の組成を満足する発明例の鋼板は降伏強度(YS)390MPa以上、引張強度(TS)490MPa以上の高い機械的強度が得られているとともに、HIC試験による割れが発生せず、耐サワー性に優れ、且つ衝撃試験によるvTrsが−35℃を超え、大入熱溶接条件下においても優れたHAZ靭性を有していることが分かる。一方、本発明が規定する鋼組成または粗大介在物の組成を満足しない比較例の鋼板は上記機械的強度についてはその大部分が発明例とほぼ同等の特性が得られているものの、耐サワー性及び/またはHAZ靭性においては発明例と比べて著しく劣っていることが判明する。
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Claims (5)

  1. C:0.02〜0.20%(質量%の意味。組成について以下同じ)、
    Si:0.02〜0.50%、
    Mn:0.6〜2.0%、
    P:0.030%以下(0%を含まない)、
    S:0.004%以下(0%を含まない)、
    Al:0.010〜0.08%、
    N:0.001〜0.01%、
    Nb:0.002〜0.06%、
    O:0.0040%以下(0%を含まない)、
    REM:0.0002〜0.05%、および
    Zr:0.0003〜0.020%を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、
    鋼中に含有される幅が1μm以上の介在物の組成において、
    介在物中の
    Zr量が5〜60%、
    REM量が5〜50%、
    Al量が5〜30%、
    S量が0%超20%未満
    であることを特徴とする耐サワー性とHAZ靭性に優れた鋼板。
  2. 更に、
    Ca:0.0003〜0.0060%、及び
    Mg:0.0003〜0.005%
    から選択される1種類以上の元素を含む請求項1に記載の鋼板。
  3. 更に、
    Ti:0.003〜0.03%、
    B:0.0002〜0.005%、
    V:0.003〜0.1%、
    Cu:0.01〜1.5%、
    Ni:0.01〜3.5%、
    Cr:0.01〜1.5%、及び
    Mo:0.01〜1.5%、
    から選択される1種以上の元素を含む請求項1または2に記載の鋼板。
  4. ラインパイプ用である請求項1〜3のいずれかに記載の鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板を用いて製造されるラインパイプ用鋼管。
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