JP2014210850A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および大型成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】反りが極めて低減され、外観および耐熱性に優れた成形品を得ることのできるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれを成形してなる大型成形品を提供すること。
【解決手段】(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂70〜99重量部と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂1〜30重量部の合計100重量部に対し、(C)繊維状無機充填材30〜50重量部、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩30〜50重量部ならびに(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂20〜40重量部を配合してなることを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【選択図】図3

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物とそれを成形してなる大型成形品に関する。
ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記することがある)樹脂は、優れた結晶化特性、耐熱性、成形性、耐薬品性および電気絶縁性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として、各種自動車部品、電気部品、機械部品および建設部品などの用途に使用されている。最近では、従来は金属により製造されていた部品の樹脂化も進んでおり、これら部品の樹脂化に向けて、ポリブチレンテレフタレート樹脂のさらなる高機能化も求められている。樹脂化のニーズが高い代表例として、例えば、充電器カバーやバッテリーACアダプターケース、コンデンサーケース、電力メーターなどの外装大型部品が挙げられる。このような用途においては、箱型成形品の勘合性や密封性が重要とされることから、成形品の反りが極めて少ないことが求められる。また、優れた外観や、高電流による発熱対策のための高い耐熱性も求められる。
耐熱性に優れ、成形品のそりが少ない熱可塑性樹脂組成物として、例えば、PBTとポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある)とからなるポリエステル樹脂混合物、ガラス繊維、長さ/径または長さ/幅の比が10以下の無機質充填剤とからなる強化熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この強化熱可塑性樹脂組成物は、反りは低減されるものの不十分であり、耐熱性も不十分となる課題があった。
PBTとPETを配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物としては、例えば、PBT樹脂またはPBT樹脂とPET樹脂に対して、ビニル系樹脂、燐酸エステル、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩およびアルカリ土類金属化合物を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このポリブチレンテレフタレート樹脂組成物もなお反りが大きい課題があった。
また、流動性と機械特性に優れた熱可塑性樹脂組成物として、PBTなどのポリエステル樹脂に対し、3つ以上の官能基を有する化合物を配合してなる熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この組成物もなお反りが大きい課題があった。
特開昭53−137252号公報 特開2002−294050号公報 特開2008−31439号公報
本発明の課題は、反りが極めて低減され、外観および耐熱性に優れた成形品を得ることのできるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれを成形してなる大型成形品を提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決するために、鋭意研究、検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、主として次の構成を有する。
(1)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂70〜99重量部と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂1〜30重量部の合計100重量部に対し、(C)繊維状無機充填材30〜50重量部、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩30〜50重量部ならびに(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂20〜40重量部を配合してなることを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(2)前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100重量部に対し、さらに(F)エポキシ化合物0.1〜10重量部を配合してなる上記(1)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(3)上記(1)または(2)記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる大型成形品。
本発明によれば、反りが極めて低減され、外観および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
実施例および比較例における反り量測定用箱型成形品の成形方法を説明するための概略図である。 図1における箱型成形品の概略側面図である。 図1における箱型成形品の概略平面図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、結晶化特性、耐熱性、成形性、耐薬品性および電気絶縁性に優れている。本発明に用いられる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とを重縮合することによって得られる重合体である。テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルなどが挙げられる。1,4−ブタンジオールのエステル形成性誘導体としては、例えば、1,4−ブタンジオールエステルなどのジオールのアルキルエステルなどが挙げられる。
特性を損なわない範囲であれば、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体とともに、他のジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を共重合したものであってもよいし、1,4−ブタンジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とともに、他のジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を共重合したものであってもよい。共重合成分として用いられるジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、イソフタル酸、アジピン酸、シュウ酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸やこれらのアルキルエステルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。また、共重合成分として用いられるジオールまたはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、分子量400〜6000のポリエチレングリコールやポリ1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの長鎖グリコールやこれらの脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これら共重合成分は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂を形成する原料の20重量%以下が好ましい。
このような共重合体の好ましい例としては、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、耐薬品性、電気特性に優れている。また、結晶化速度が適度に低いため、金型転写性に優れ、外観の良好な成形品を得ることができる。本発明に用いられる(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂とは、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体をと重縮合することによって得られる重合体である。テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂を構成する成分として例示したものが挙げられる。エチレングリコールのエステル形成性誘導体としては、例えば、エチレングリコール脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステルなどが挙げられる。
特性を損なわない範囲であれば、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体ともに、他のジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を共重合したものであってもよいし、エチレングリコールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とともに、他のジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を共重合したものであってもよい。共重合成分として用いられるジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体としては、(A)ポリブチレンテレフタレートを構成する共重合成分として例示したものが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これら共重合成分は、(B)ポリエチレンテレフタレートを形成する原料の20重量%以下が好ましい。
本発明に用いられる(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂および(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂は、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができる。バッチ重合法および連続重合法のいずれを適用してもよいが、カルボキシル末端基量を少なくすることができ、流動性向上効果がより大きくなるという点で、連続重合法が好ましい。また、エステル交換反応および直接重合反応のいずれを適用してもよいが、コストの点で、直接重合反応が好ましい。エステル化反応、エステル交換反応および/または重縮合反応を効率よく進めるために、これらの反応時に触媒を添加することが好ましい。触媒の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどの有機チタン化合物、ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイドおよびブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸などのスズ化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも有機チタン化合物およびスズ化合物が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルがより好ましい。触媒の添加量は、(A)ポリブチレンテレフタレートまたは(B)ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.01〜0.2重量部が一般的である。
本発明のPBT樹脂組成物における(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂および(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の配合量は、両者の合計100重量部に対して、(A)PBT樹脂70〜99重量部、(B)PET樹脂1〜30重量部である。(A)PBT樹脂の配合量が70重量部未満であり、(B)PET樹脂の配合量が30重量部を超えると、耐熱性が低下する。また、結晶化速度が大幅に低下するため、成形加工性が低下する。(A)PBT樹脂75重量部以上、(B)PET樹脂25重量部以下がより好ましく、(A)PBT樹脂80重量部以上、(B)PET樹脂20重量部以下がさらに好ましい。一方、(A)PBT樹脂の配合量が99重量部を超え、(B)PET樹脂の配合量が1重量部未満であると、結晶化速度が大幅に高くなるため、金型転写性が低下し、成形品の表面外観が低下する。また、成形品の反り量が増大する。(A)PBT樹脂95重量部以下、(B)PET樹脂5重量部以上がより好ましい。
繊維状無機充填材は、機械特性、耐熱性に優れている。本発明に用いられる(C)繊維状無機充填材としては、熱可塑性樹脂の強化に一般的に用いられる繊維状の充填材をいずれも用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維およびホウ素繊維がなど挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。これらの中では、補強強化のより高いガラス繊維が好ましい。PBT樹脂組成物中における(C)繊維状無機充填材のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。また、(C)繊維状無機充填材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
本発明のPBT樹脂組成物における(C)繊維状無機充填材の配合量は、(A)PBT樹脂と(B)PET樹脂の合計100重量部に対して30〜50重量部である。(C)繊維状無機充填材の配合量が30重量部未満であると、成形品の耐熱性が低下する。35重量部以上がより好ましい。一方、(C)繊維状無機充填材の配合量が50重量部を超えると、流れ方向と直角方向の成形収縮率の差が大きくなり、成形品の反りが増大し、成形加工性も低下なる。また、成形品表面において(C)繊維状無機充填材の浮きが多くなることから、表面外観が低下する。45重量部以下がより好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物は、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩を配合してなる。(D)アルカリ土類金属の炭酸塩は、異方性がないため、成形品の反りを大幅に低減することができる。本発明に用いられる(D)アルカリ土類金属の炭酸塩におけるアルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられる。(D)アルカリ土類金属の炭酸塩の具体例としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。これらの中でも、炭酸カルシウムが好ましい。
また、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩は、シランカップリング剤などの一種以上の表面処理剤で処理されていてもよく、樹脂との密着性を向上させ、成形品の機械特性を向上させることができる。
(D)アルカリ土類金属の炭酸塩の形状は、粉末状、板状などのいずれでも構わないが、粉末状が好ましく、分散性の観点などから、数平均粒子径10μm以下の粉末状がより好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物において、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩の配合量は、(A)PBT樹脂と(B)PET樹脂の合計100重量部に対して30〜50重量部である。(Dアルカリ土類金属の炭酸塩の配合量が30重量部未満であると、成形品の反りが増大し、耐熱性も低下する。35重量部以上がより好ましい。一方、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩の配合量が50重量部を超えると、成形加工性が損なわれる。45重量部以下がより好ましい。
(E)スチレン系樹脂とポリカーボネート樹脂は、非晶性樹脂であり、成形収縮率が低いため、反りを低減させる効果がある。
本発明で用いる(E)スチレン系樹脂とは、スチレン由来の構造単位を有する(共)重合体であれば任意であり、スチレン系化合物を、またはスチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な他の化合物とを、ゴム質重合体存在下または非存在下に重合して得られる(共)重合体である。
スチレン系化合物の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
スチレン系化合物と共重合可能な他の化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ゴム質重合体としては、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。耐熱安定性の観点から、共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエンが好ましく、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
スチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、HI(ハイインパクト)ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)、スチレン系樹脂とジエンとのブロック共重合体などが挙げられる。上記ブロック共重合体は、その構成単位のジエンが水添されていても未水添であってもよい。ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ブタジエンおよび1,3−ペンタジエンなどの水添または未水添共役ジエンが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。未水添のジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく使用できる。スチレン系樹脂とジエンとのブロック共重合体の具体例としては、水添または未水添SBS樹脂(スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体)、水添または未水添SIS樹脂(スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体)、水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体(SEBS樹脂)等が挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。これらの中でも、AS樹脂、ABS樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いられる(E)ポリカーボネート樹脂とは、2価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物などのカーボネート前駆体とを反応させることにより得られる重合体である。例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、2価フェノールとホスゲンなどのカーボネート前駆体との反応により、あるいは2価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって製造される。2価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ハイドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が好ましい。また、炭酸エステル化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂としては、平均分子量が10000〜60000の範囲にあるものが好ましい。平均分子量が10000〜60000であると、機械的特性や成形性が一層向上する。15000〜40000の範囲にあるものがより好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物における(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂の配合量は、(A)PBT樹脂と(B)PET樹脂の合計100重量部に対し、20〜40重量部である。なお、(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂の配合量とは、スチレン系樹脂またはポリカーボネート樹脂のいずれか一方のみを配合する場合にはその配合量を、両方を配合する場合にはそれらの合計配合量を言う。(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂の配合量の配合量が20重量部未満であると、成形品の反りが増大する。25重量部以上がより好ましい。一方、(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂の配合量が40重量部を超えると、成形加工性および成形品の耐熱性が低下する。35重量部以下がより好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、さらに(F)エポキシ化合物を配合することができる。(F)エポキシ化合物を配合することにより、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂および(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基を封鎖し、耐加水分解性を向上させることができる。本発明においては、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩、(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂と(F)エポキシ化合物を組み合わせることにより、相乗的に耐加水分解性の向上効果が奏され、高い耐加水分解性を付与することが可能となる。エポキシ化合物としては、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、およびグリシジルエステルエーテル化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
PBTの耐加水分解性を向上させるためには、エポキシ当量500未満のエポキシ化合物が好ましく、エポキシ当量400未満のエポキシ化合物がより好ましい。ここで、エポキシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物のグラム数を指す。エポキシ当量は、エポキシ化合物をピリジンに溶解し、0.05N塩酸を加え45℃で加熱後、指示薬にチモールブルーとクレゾールレッドの混合液を用い、0.05N苛性ソーダで逆滴定する方法により求めることができる。
グリシジルエステル化合物の具体例として、安息香酸グリシジルエステル、tBu−安息香酸グリシジルエステル、p−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステルなどの単官能のグリシジルエステル化合物、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ビス安息香酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどの多官能のグリシジルエステル化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
グリシジルエーテル化合物としては、限定されるものではないが、具体例として、フェニルグリシジルエ−テル、o−フェニルフェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[p−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよびビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのその他のビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるジグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
上記のエポキシ化合物の中でも、単官能のグリシジルエステル化合物や、単官能のグリシジルエステル化合物とグリシジルエーテル化合物との組み合わせが好ましく用いられ、得られるPBT樹脂組成物の粘度安定性と耐加水分解性のバランスの観点から、単官能のグリシジルエステル化合物がより好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物において、(F)エポキシ化合物の配合量は、機械特性と耐加水分解性の面から、(A)PBT樹脂と(B)PET樹脂の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましい。(F)エポキシ化合物の配合量が0.1重量部以上であると、より高い耐加水分解性を付与することができる。一方、(F)エポキシ化合物の配合量が10重量部以下であると、成形加工性がより向上する。4重量部以下がより好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、離型剤、難燃剤などの通常の添加剤および少量の他種ポリマーを配合することができる。これらを2種以上配合してもよい。なお、例えば酸化防止剤として以下に例示する添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示するものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定するものではない。
酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物等が挙げられる。
安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、モノまたはジステアリルホスフェート、トリメチルホスフェートなどのリン酸エステルなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物などが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン等を挙げることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物等を挙げることができる。ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等を挙げることができる。
着色剤としては、例えば、黒色顔料としてカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)、白色顔料として酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛など、黄色染顔料(カドミウムエローなどの無機顔料、ベンジジンイエローなどの有機顔料)、橙色染顔料(ハンザイエローなど)、赤色顔料(酸化鉄赤などの赤色顔料などの無機顔料、レーキレッドなどの有機顔料)、青色顔料(コバルトブルーなどの無機顔料、フタロシアニンブルーなどの有機顔料)、緑色染顔料(クロムグリーンなどの無機顔料、フタロシアニングリーンなどの有機顔料)、紫色染顔料などが挙げられる。このような着色剤は、単独で用いてもよく、複数の着色剤を組み合わせて用いて所望の色調に調整してもよい。例えば、減色混合(複数の染顔料、例えば、黄色染顔料と紫色染顔料との組み合わせ、黄色染顔料と赤色染顔料と青色染顔料との組み合わせなど)を利用して樹脂を無彩色(灰色や黒色)に着色することもできる。
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、蜜ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油およびその誘導体、高級脂肪酸及びその誘導体等の油脂系ワックスなどが挙げられる。高級脂肪酸誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸と、1価または2価以上のアルコールとのエステル、これら高級脂肪酸エステルを部分的に金属酸化物を用いてケン化した部分ケン化エステル、高級脂肪酸と金属酸化物または金属水酸化物とから得られる完全ケン化物、高級脂肪酸、多価アルコールのエステルにつなぎ剤としてアジピン酸等のジカルボン酸を用いて縮合させた複合エステル、高級脂肪酸とモノアミンまたはジアミンから得られるモノまたはジアミドなどが挙げられる。金属酸化物としては、例えば、CaO、NaO、MgO、ZnO、LiO、Alなどが挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、Ca(OH)、NaOH、Mg(OH)、Zn(OH)、LiOH、Al(OH)などが挙げられる。
難燃剤としては、臭素系難燃剤などの有機ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。難燃性を向上させる観点から、臭素系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤の具体例としては、ハロゲン化ポリカーボネート(例えば、テトラブロモビスフェノールAのカーボネートオリゴマー)、ハロゲン化アクリル樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノキシ樹脂、ハロゲン化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールA・エチルエーテルオリゴマー、ハロゲン化ポリフェニレンエーテル(例えば、ポリジブロモフェニレンオキサイド)などの高分子量有機ハロゲン化合物;デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモフェノール、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのエポキシ化物、テトラブロモビスフェノールA・ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA・ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA・2−ヒドロキシエチルエーテル等の臭素化ビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモ無水フタル酸、トリブロモフェノール、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、臭素化スチレン、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールSのビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)などの低分子量有機ハロゲン化合物などを挙げることができる。なお、本発明において、難燃剤として配合される臭素化ポリカーボネートは、(E)ポリカーボネート樹脂には分類しないものとする。
他種ポリマーとしては、例えば、ナイロン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどを挙げることができる。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、通常公知の方法で製造することができる。例えば、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂、(C)繊維状無機充填材、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩および必要によりその他成分を溶融混練することにより、PBT樹脂組成物を調製することができる。溶融混練には、例えば、“ユニメルト”あるいは“ダルメージ”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機などの多軸押出機、ニーダータイプの混練機などを用いることができる。
必要により、一部成分を予備混合した後、他の成分を配合して溶融混練してもよい。予備混合の例として、ドライブレンドする方法、タンブラー、リボンミキサーおよびヘンシェルミキサー等の機械的な混合装置を用いて混合する方法などが挙げられる。また、(C)繊維状無機充填材は、多軸押出機の元込め部とベント部の途中にサイドフィーダーを設置して添加してもよい。また、液体の添加剤を配合する場合は、多軸押出機の元込め部とベント部の途中に液添ノズルを設置してブランジャーポンプにより添加する方法や、元込め部などから定量ポンプで供給する方法などを用いることができる。
各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
本発明のPBT樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形、真空成形など一般に熱可塑性樹脂の公知の成形方法により成形されるが、なかでも射出成形が好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物によれば、反りが極めて低減され、表面外観および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。本発明のPBT樹脂組成物を成形してなる成形品は、かかる特性を活かして、電気、電子部品としてケース類、カバー類、定着機部品、電装部品などに好ましく使用することができる。ここで、電気、電子部品とは、電気、電子機器に用いられる部品のことを言う。また、本発明のPBT樹脂組成物を成形してなる成形品は、前記特性を活かして、特に、反りが極めて少ないことが求められる大型成形品に好ましく用いられる。充電器カバーやバッテリーACアダプターケース、コンデンサーケース、電力メーターなどの外装大型部品により好ましく用いられる。なお、本発明における大型成形品とは、縦、横、高さの和が200mm以上の成形品である。
以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。各特性の評価方法は以下の通りである。
(1)表面外観
各実施例および比較例により得られたペレットを、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃の条件で80mm×80mm×厚み3mmの角板を射出成形した。射出成形後の角板の外観を目視観察し、下記基準により表面粗さを評価した。
◎:光沢があり、表面に凹凸が確認されない。
○:光沢がなく、表面に凹凸が確認されない。
×:光沢がなく、表面に凹凸が確認される。
(2)内反り量
各実施例および比較例により得られたペレットを、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、図1に示すように箱型成形品bを側面のピンゲートから成形した。箱形成形品の大きさは、図2および図3に示す(W)縦30mm、(D)横30mm、(H)高さ30mm、(t)厚み1.5mmである。得られた箱型成形品各5個を、23%、50%RH環境下で24時間静置後、その側面の反ゲート側の内側への面の倒れ量αをミツトヨ(MITUTOYO)製3次元寸法測定機で5個それぞれ測定し、その平均を内反り量とした。
(3)耐熱性
各実施例および比較例により得られたペレットから、ISO75に準拠して射出成形した試験片を用いて、荷重1.8MPaで荷重たわみ温度を測定した。
(4)成形加工性
各実施例および比較例により得られたペレットを、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度265℃、金型温度80℃の条件で、図2および図3に示す(W)縦30mm、(D)横30mm、(H)高さ30mm、(t)厚み1.5mmの箱型成形品を射出成形した。射出時間と冷却時間を変化させてサイクル秒数を35秒から25秒まで1秒ずつ短くしながら射出成形し、末端まで充填された小箱を突き出した時の小箱の変形有無を目視で観察した。小箱が最初に変形した時の成形サイクル秒数を計測し、下記基準により評価した。
◎:サイクル秒数25秒以上28秒未満。
○:サイクル秒数28秒以上33秒未満。
△:サイクル秒数33秒以上35秒未満。
×:サイクル秒数35秒。
(5)耐加水分解性
各実施例および比較例により得られたペレットをISO527−1/527−2に準拠して射出成形した試験片を用いて、引張強度を測定した。また、得られた試験片について、(株)TABAI ESPEC製HASTCHAMBER EHS−221Mで121℃、100%RHの加水分解処理を50時間行った後、引張強度を測定した。加水分解処理前の引張強度に対する加水分解処理後の引張強度の比(引張強度保持率)により、耐加水分解性を評価した。引張強度保持率が50%以上であれば、○と判断した。
また、実施例、比較例で使用する原料の略号および内容を以下に示す。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
(A−1):ポリブチレンテレフタレート樹脂 東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1050M(商品名)
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂
(B−1):ポリエチレンテレフタレート樹脂 東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)TSB900(商品名)
(C)繊維状無機充填材
(C−1):ガラス繊維 日本電気硝子(株)製“ガラスチョップドストランド”(登録商標)ECS 03 T−187(商品名)
(D)アルカリ土類金属の炭酸塩
(D−1):炭酸カルシウム 同和カルファイン(株)“重質炭酸カルシウム”(登録商標)KSS−1000(商品名)
(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂
(E−1):スチレン系樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)
ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.25μ、ゲル含率80%)60重量部(固定分換算)の存在下で、スチレン70重量%、アクリロニトリル30重量%からなる単量体混合物40重量部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(E−1a)を調製した。一方、スチレンとアクリロニトリル、グリシジルメタクリレートを懸濁重合してビーズ状のエポキシ基含有ビニル系共重合体(E−1b)を調製した。アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体各成分の重量比は23.9/75.8/0.3重量%であった。得られた(E−1a)と(E−1b)を60:40(重量%)の比率で混合し、ABS(E−1)を調製した。
(E−2):ポリカーボネート樹脂 出光興産(株)製“タフロン”(商標登録)A1900(商品名)
(F)エポキシ化合物
(F−1):エポキシ化合物 三菱化学(株)製“エピコート”(登録商標)(単官能のグリシジルエステル化合物、エポキシ当量200)jER819(商品名)
(G)臭素系難燃剤および難燃助剤
(G−1):臭素系難燃剤 帝人化成(株)製“ファイヤガード”(登録商標)FG−8500(商品名)
(G−2):三酸化アンチモン鈴裕化学(株)製“ファイヤーカット”(登録商標)AT−3(商品名)
実施例1〜15、比較例1〜9
シリンダー温度260度に設定したスクリュー径57mmφの2軸押出機を用いて、表1〜5に示す(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂、(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩、(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂、(F)エポキシ化合物、(G)臭素系難燃剤および難燃助剤を元込め部から、また、(C)繊維状無機充填材をサイドフィーダーから供給して、溶融混練を行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られたペレットを、130℃の熱風乾燥機で3時間以上乾燥した後、前記評価方法記載の方法により評価を行った。
実施例1〜15および比較例1〜9の配合処方並びに評価結果を表1〜5に示す。
Figure 2014210850
Figure 2014210850
Figure 2014210850
Figure 2014210850
Figure 2014210850
実施例1〜15は、いずれも内反り量が極めて低減され、表面外観、耐熱性、成形加工性に優れた結果を得た。
(B)PET樹脂を配合しない比較例1〜2は、内反り量が大きく、表面外観も低下した。一方、(B)PET配合量が多い比較例3は、耐熱性と成形加工性が低下した。また、(C)繊維状無機充填材の配合量が少ない比較例4は、耐熱性が低下し、(C)繊維状無機充填材の配合量が多い比較例5は、内反り量が大きく、表面外観も低下した。また、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩の配合量が少ない比較例6は、内反り量が大きく、耐熱性も低下し、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩の配合量が多い比較例7は、成形加工性が不十分であった。また、(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂の配合量が少ない比較例8は、内反り量が大きく、(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂の配合量が多い比較例9は、耐熱性と成形加工性が低下した。
a:スプルー/ランナー
b:箱型成形品
c:ゲート
W:縦(mm)
D:横(mm)
H:高さ(mm)
t:厚み(mm)
α:内反り量(mm)

Claims (3)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂70〜99重量部と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂1〜30重量部の合計100重量部に対し、(C)繊維状無機充填材30〜50重量部、(D)アルカリ土類金属の炭酸塩30〜50重量部ならびに(E)スチレン系樹脂および/またはポリカーボネート樹脂20〜40重量部を配合してなることを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100重量部に対し、さらに(F)エポキシ化合物0.1〜10重量部を配合してなる請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる大型成形品。
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