JP2014208941A - 弾性繊維用処理剤および弾性繊維 - Google Patents
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Abstract
Description
また、前記処理剤の粘度(25℃)は3〜20mm2/sであることが好ましい。
前記処理剤全体に占める前記ベース成分(A)の重量割合は40〜99.99重量%であることが好ましい。
本発明のベース成分(A)は、シリコーン油、鉱物油およびエステル油から選ばれる少なくとも1種である。従って、ベース成分として、1種または2種以上を併用してもよい。
前記処理剤全体に占める前記ベース成分(A)の重量割合は、40〜99.99重量%が好ましく、50〜99重量%がより好ましく、70〜95重量%がさらに好ましい。40重量%未満の場合、糸の平滑性が不足することがある。
シリコーン油の数平均分子量は、700以上が好ましく、800〜4000がより好ましく、1000〜3000がさらに好ましい。シリコーン油の粘度(25℃)は、5mm2/s以上50mm2/s未満が好ましく、6〜40mm2/sがより好ましく、9〜30mm2/sがさらに好ましい。
シリコーン油のシロキサン結合(SiOR1R2:R1、R2は有機基を示す)の結合量は、10〜55が好ましく、12〜45がより好ましく、14〜40がさらに好ましい。
ベース成分全体に占めるシリコーン油の割合は、50重量%以上が好ましく、55重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。50重量%未満の場合、低分子シロキサンとの相溶性が悪くなることがある。
鉱物油の粘度(25℃)は、5mm2/s以上が好ましく、5〜50mm2/sがより好ましく、5〜30mm2/sがさらに好ましい。粘度(25℃)が5mm2/s未満であると、糸を膨潤させることがあり、好ましくない。
ベース成分全体に占める鉱物油の割合は、特に限定はないが、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。鉱物油が50重量%超であると低分子シロキサンとの相溶性が悪くなることがある。
アルコールは、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、高級アルコールであっても、環状のアルコールであっても、芳香族環を含有するアルコールであっても良い。前記アルコールとしては、たとえば、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ソルビトール、ソルビタン等が挙げられる。
ベース成分全体に占めるエステル油の割合は、特に限定はないが、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。エステル油が50重量%超であると、低分子シロキサンとの相溶性が悪くなることがある。
本発明の処理剤は、上記一般式(1)で示されるシロキサンおよび上記一般式(2)で示されるシロキサンから選ばれる少なくとも1種の低分子量シロキサン(B)を必須に含有する。これら低分子量シロキサンは、1種または2種以上を併用してもよい。
上記ベース成分(A)に加え、低粘度で平滑性のよい低分子量シロキサン(B)を含有することにより、処理剤粘度の低下を図れ、オイリングローラーや給油ノズルでの摩擦を低減して糸切を防ぐことができる。それと共に、Cheeseとなった後、低分子量シロキサン(B)が不純物として残らずに揮発または分解揮発するので、糸表面上の処理剤の粘度は高くなり、Cheeseとした後の解舒性を良好に保ち、さらに処理剤の移行による内層でのべたつきやスカム発生を抑制することができる。
揮発性溶剤として、粘度(25℃)が5mm2/s未満のような鉱物油やエステル油などの低粘度の炭化水素系有機溶剤を用いると、平滑性の低下、糸の膨潤を引き起こすことがある。また、これらは人体に対する毒性を有する場合がある。しかし、本発明の低分子量シロキサン(B)は臭気が少なく、人体に対する安全性も高い。さらに、平滑性の低下や糸を膨潤させることもない。
上記一般式(2)で示されるシロキサンは、環状の低分子量シロキサンである。一般的に環状シロキサンとしては、シロキサン結合(SiOR1R2:R1、R2は有機基を示す)の結合量が3〜20の環状シロキサンDn(nは結合量を示す整数)が挙げられるが、本発明の処理剤では、ジメチルシロキサン(SiO(CH3)2)の3〜6量体である環状の低分子量シロキサン(D3〜D6)を用いる。従って、式(2)中、nは3〜6の整数を示す。揮発性の点から、nは4〜5が好ましい。
低分子量シロキサン(B)の粘度(25℃)は、0.5〜4.5mm2/sが好ましく、1〜4mm2/sがより好ましく、2〜4mm2/sがさらに好ましい。
本発明の処理剤は低分子量シロキサン(B)の揮発後に糸と糸の間に処理剤を留まらせやすくするという理由から、粘度(25℃)が50mm2/s以上であるオルガノポリシロキサンおよび/またはアミノ変性シリコーンからなる成分(C)をさらに含有することが好ましい。
また、処理剤全体に占める成分(C)の重量割合は、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜8重量%がより好ましく、0.1〜5重量%がさらに好ましい。
成分(C)のオルガノポリシロキサンの粘度(25℃)は50mm2/s以上であるが、50〜100000mm2/sが好ましく、50〜50000mm2/sがより好ましく、50〜10000mm2/sがさらに好ましく、50〜5000mm2/sが特に好ましい。
成分(C)のオルガノポリシロキサンの数平均分子量は、4500〜100000が好ましく、5000〜50000がより好ましく、5500〜40000がさらに好ましい。
成分(C)のオルガノポリシロキサンは、そのシロキサン結合(SiOR1R2:R1、R2は有機基を示す)の結合量が60〜2000のオイル状のものであってもよく、5000〜10000のゴム状のものであってもよい。解舒性の点からは、ゴム状のものが好ましく、その結合量は5000〜9000がより好ましく、6000〜8000がさらに好ましい。
R1(R2)2SiO−[(R2)2SiO]k−[(R2R3)SiO]l−SiR4(R2)2 (3)
また、成分(C)のアミノ変性シリコーンのアミン価は、0.1〜200(KOHmg/g)の範囲にあるものが好ましく、1〜160(KOHmg/g)がより好ましく、1〜50(KOHmg/g)がさらに好ましい。アミン価が0.1(KOHmg/g)未満では、解舒性、制電性、チーズ捲形状、平滑性、風綿吸着防止の効果が不十分となることがあり、200(KOHmg/g)を超えると、分散媒体への溶解性が悪くなることがある。
成分(C)のアミノ変性シリコーンのアミノ当量としては、200〜1000000(g/mol)の範囲にあるものが好ましく、4000〜100000(g/mol)がより好ましく、400〜60000(g/mol)がさらに好ましい。
本発明の弾性繊維用処理剤は、解舒性、平滑性、および制電性の効果を高めるために、高級脂肪酸の金属塩(金属石鹸)をさらに含有していてもよい。本発明の弾性繊維用処理剤全体に占める高級脂肪酸の金属塩の重量割合は、特に限定はないが、0.01〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%がさらに好ましく、0.5〜3重量%が特に好ましい。高級脂肪酸の金属塩の重量割合が0.01重量%未満であると、少なすぎて添加による効果が見られないことがある。一方、10重量%超であると、多量の添加に見合う効果が得られず、経済的に不利なことがある。
高級脂肪酸の金属塩としては、従来弾性繊維に用いられている公知のものを用いることができ、たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらの高級脂肪酸の金属塩のうちでも、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が好ましい。
シリコーンレジンとしては、たとえば、MQシリコーンレジン、MQTシリコーンレジン、Tシリコーンレジン、DTシリコーンレジン等のシリコーンレジン等を挙げることができる。
MQTシリコーンレジンとしては、たとえば、1官能性構成単位であるR1R2R3SiO1/2(但し、R1、R2およびR3はいずれも炭化水素基である。)と、4官能性構成単位であるSiO4/2と、3官能性構成単位であるRSiO3/2(但し、Rは炭化水素基である。)と含むシリコーンレジン等を挙げることができる。
Tシリコーンレジンとしては、たとえば、3官能性構成単位であるRSiO3/2(但し、Rは炭化水素基である。)を含むシリコーンレジン(その末端は炭化水素基のほか、シラノール基やアルコキシ基となっていても良い。)等を挙げることができる。
DTシリコーンレジンとしては、たとえば、2官能性構成単位であるR1R2SiO2/2(但し、R1、およびR2はいずれも炭化水素基である。)と、3官能性構成単位であるRSiO3/2(但し、Rは炭化水素基である。)等を挙げることができる。
本発明の弾性繊維用処理剤の製造方法としては、公知の方法を適用でき、ベース成分(A)、低分子量シロキサン(B)、必要に応じて成分(C)を任意の順番で添加混合できる。低分子量シロキサン(B)は、他のシリコーン成分に含有した状態で使用してもよい。例えば、低分子量シロキサン(B)は、ベース成分(A)のシリコーン油、成分(C)のオルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、またはその他成分としての変性シリコーンに、含有した状態で用いることができる。
本発明の弾性繊維は、弾性繊維全体に上記弾性繊維用処理剤が0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%付与されている弾性繊維である。0.1重量%より少ないと本発明の効果が充分でなく、15重量%を越えると不経済である。付与方法については、公知の方法を採用できる。
本発明の弾性繊維の用途として、CSY、シングルカバリング、PLY、エアーカバリング等のカバリング糸等の加工糸や、丸編み、トリコット等により、布帛として使用することができる。また、これらの加工糸、布帛を使用してストッキング、靴下、下着、水着等の伸縮性が必要とされる製品や、ジーンズ、スーツ等のアウターウェア等に快適性のために伸縮性を付与させる目的でも使用される。さらに最近では、紙おむつにも適用される。
本発明の処理剤は、通常、弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与される。0.1重量%より少ないと本発明の効果が充分でなく、15重量%を越えると不経済である。
(粘度)
キャノンフェンスケ粘度計を用い、25℃における試料液の動粘度を求めた。
(7日間経時後の粘度)
直径10cmの時計皿に処理剤1gを入れて、40℃ギアオーブンにいれ、一週間後の粘度を測定した。
イソプロピルアルコール、キシレン/イソプロピルアルコール(1/1)混合等の溶剤に溶解した試料を、0.1N−HClエチレングリコール/イソプロピルアルコール溶液で自動電位差滴定装置(平沼社製COM−900)を使用して電位差滴定して、終点の滴定量(ml)を測定し、下式aよりアミン価を算出した。尚、アミン価とは試料1gを中和するのに要するHClと当量となるKOHのmg数で表されるものである。
アミン価(KOHmg/g)=(A×F×5.61)/W (式a)
(式aにおいて、A=滴定量(ml)、F=0.1N−HClの力価、W=試料重量(g))
図1において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(1)をセットし、50m/分の周速で回転させ、チーズ上2cmのところにおいて、春日式電位差測定装置(2)で、回転を始めて1時間後の発生静電気を測定する。
(編成張力)
図2において、チーズ(3)から縦取りした弾性糸(4)を、コンペンセーター(5)を経てローラー(6)、編み針(7)を介して、Uゲージ(8)に付したローラー(9)を経て速度計(10)、巻き取りローラー(11)に連結する。速度計(10)での走行速度が定速(例えば、10m/分、100m/分)になるように巻き取りローラーの回転速度を調整して、巻き取りローラーに巻き取り、そのときの編成張力をUゲージ(8)で測定し、繊維/編み針間の摩擦(g)を計測する。走行糸条より1cmのところで春日式電位差測定装置(12)で発生静電気を測定する。
図3において、処理剤が付与された弾性繊維のモノフィラメントを50〜60cm程取り、一方の端に荷重T1(13)を吊り、ローラー(14)を介して、Uゲージ(15)にもう一方の端を掛けて定速(例えば、3cm/分)で引っ張り、そのときの2次張力T2をUゲージ(15)で測定し、下式bにより、繊維間摩擦係数を求める。
摩擦係数(F/FμS)=1/θ・ln(T2/T1) (式b)
(式bにおいて、θ=2π、ln=自然対数、T1は22dtex当り1g)
図4において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(16)をセットし、巻き取り側に紙管(17)をセットする。巻き取り速度を一定速度にセットした後、ローラー(18)及び(19)を同時に起動させる。この状態では糸(20)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れないので、解舒点(21)は図4に示す状態にある。解舒速度を変えることによって、チーズからの糸(20)の解舒点(21)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(22)と一致するように解舒速度を設定する。解舒速度比は下式cによって求める。この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。
解舒速度比(%)=(巻取速度−解舒速度)÷解舒速度×100 (式c)
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比率1:2で反応させ、次いで1,2−ジアミノプロパンのジメチルホルムアミド溶液を用いて鎖延長し、ポリマー濃度27%のジメチルホルムアミド溶液を得た。30℃での粘度は1500mPaSであった。
処理剤(表中の配合量は重量部)は、表1および表2に記載の成分を任意の順番で混合することで調製した。また、ステアリン酸マグネシウムを含有する処理剤については、処理剤の全成分を混合後、ビーズミルを用いて、平均粒子径が3μmになるまで分散を行うことで調製した。
次に、ポリウレタン紡糸原液を210℃のN2気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に調製した処理剤を繊維に対して6重量%付与した後、毎分500mの速度でボビンに巻き取り44dtex/4fチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。これらの結果を表1、表2に示す。
アミノ変性シリコーンKF−880(信越化学株式会社製、アミノ当量1800g/mol、アミン価30KOHmg/g、D4を5重量%含有。)を1.3kPaの減圧下、攪拌しながら80℃で3時間加熱し、D4の含有量を0.01重量%以下にしたもの(KF−880Mとする)を用いた以外は、前記実施例と同様に行った。この結果を表2に示す。
1)ベース成分(A)
ジメチルシリコーン(15mm2/s):平均分子量2000。
ジメチルシリコーン(20mm2/s):平均分子量2500。
流動パラフィン:鉱物油、12.8mm2/s。
イソオクチルラウレート:エステル油、7.3mm2/s。
2)低分子量シロキサン(B)
D4:環状シロキサン4量体、2.4mm2/s。
D5:環状シロキサン5量体、4.0mm2/s。
D6:環状シロキサン6量体、2.5mm2/s。
3)成分(C)
アミノ変性シリコーンKF−861:3500mm2/s、アミノ当量2000g/mol、アミン価28KOHmg/g、D4を1重量%含有、信越化学株式会社製。
アミノ変性シリコーンKF−880:650mm2/s、アミノ当量1800g/mol、アミン価30KOHmg/g、D4を5重量%含有、信越化学株式会社製。
アミノ変性シリコーンKF−880M:700mm2/s、KF−880のD4削減品。
ポリジメチルシロキサン:ジメチルシリコーン、3000mm2/s、平均分子量40
000、信越化学株式会社製。
アミノシリコーン生ゴム:40000mm2/s、ジメチルシリコーン20mm2/sの20%溶液。
4)その他の成分
ステアリン酸マグネシウム:99%、200メッシュ通過品。
2 春日式電位差測定装置
3 弾性繊維のチーズ
4 糸
5 コンペンセーター
6 ローラー
7 編み針
8 Uゲージ
9 ローラー
10 速度計
11 巻き取りローラー
12 春日式電位差測定装置
13 荷重
14 ローラー
15 Uゲージ
16 チーズ
17 巻き取り用紙管
18 ローラー
19 ローラー
20 走行糸条
21 解舒点
22 チーズとローラーの接点
Claims (9)
- ベース成分全体に占める前記シリコーン油の割合が50重量%以上であり、前記鉱物油の割合が50重量%以下であり、前記エステル油の割合が50重量%以下である、請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
- 前記処理剤全体に占める前記ベース成分(A)の重量割合が40〜99.99重量%である、請求項1又は2に記載の弾性繊維用処理剤。
- 前記シリコーン油の粘度(25℃)が5mm2/s以上50mm2/s未満であり、前記鉱物油の粘度(25℃)が5〜50mm2/sであり、前記エステル油の粘度(25℃)が5〜50mm2/sである、請求項1〜3のいずれかに記載の弾性繊維用処理剤。
- 前記低分子量シロキサン(B)の粘度(25℃)が0.5〜4.5mm2/sである、請求項1〜4のいずれかに記載の弾性繊維用処理剤。
- 前記処理剤の粘度(25℃)が3〜20mm2/sである、請求項1〜5のいずれに記載の弾性繊維用処理剤。
- 前記処理剤全体に占める前記低分子量シロキサン(B)の重量割合が0.001〜50重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の弾性繊維用処理剤。
- 粘度(25℃)が50mm2/s以上であるオルガノポリシロキサンおよび/またはアミノ変性シリコーンからなる成分(C)をさらに含有し、前記処理剤全体に占める前記成分(C)の重量割合が0.01〜10重量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の弾性繊維用処理剤。
- 弾性繊維本体に、請求項1〜8のいずれかに記載の弾性繊維用処理剤が0.1〜15重量%付与されている、弾性繊維。
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