JP2014206684A - 光学フィルム、光学フィルム用転写体、画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルム用転写体、画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表示画面の正面方向及び法線に対する斜め方向からの観察における表示画面の外観を向上することができる光学フィルム、光学フィルム用転写体、画像表示装置を提供する。【解決手段】光学フィルムは、直線偏光板の光学機能層と、1/4波長位相差板の光学機能層とが積層され、1/4波長位相差板の光学機能層が、透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長板用位相差層と透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板用位相差層とを有する多層構造であり、K=2(R1(450)/R1(550))−R2(450)/R2(550)とし、L=2(R1(650)/R1(550))−R2(650)/R2(550)としたときに、1/2波長板用位相差層及び1/4波長板用位相差層は、40?<|θ1|<50?と130?<|θ2|<140?と0.75≰K<0.98と1.00≰L≰1.25との関係を満たすことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば画像表示パネルに配置して、偏光面の制御により外来光の反射を低減する光学フィルム、光学フィルム用転写体、画像表示装置に関するものである。
従来、画像表示パネル等に関して、画像表示パネルの出射面に光学フィルムを配置し、この光学フィルムによる偏光面の制御により外来光の反射を低減する方法が提案されている。この光学フィルムは、直線偏光板、1/4波長位相差板により構成され、画像表示パネルのパネル面に向かう外来光を直線偏光板により直線偏光に変換し、続く1/4波長位相差板により円偏光に変換する。ここで、この円偏光による外来光は、画像表示パネルの表面等で反射するものの、この反射の際に偏光面の回転方向が逆転する。その結果、この反射光は、到来時とは逆に、1/4波長位相差板より、直線偏光板により遮光される方向の直線偏光に変換された後、続く直線偏光板により遮光され、その結果、外部への出射が著しく抑制される。
この光学フィルムに関して、特許文献1等には、1/2波長板、1/4波長板を組み合わせて1/4波長位相差板を構成することにより、この光学フィルムを逆の分散特性により構成する方法が提案されている。この方法の場合、カラー画像の表示に供する広い波長帯域において、逆の分散特性により光学フィルムを構成することができる。
ところで、このような光学フィルムは、有機EL等からなる画面表示パネルに配置された場合、表示画面の正面方向や法線に対して斜め方向から観察したときに、青味や、緑味等の色味が視認される場合があり、表示画面のより一層の外観向上が望まれている。
特開平10−68816号公報
本発明の課題は、表示画面の正面方向や法線に対する斜め方向からの観察における表示画面の外観を向上することができる光学フィルム、光学フィルム用転写体、画像表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、1/2波長板用位相差層及び1/4波長板用位相差層のリタデーションや遅相軸の設定を特定の範囲にする、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
(1) 直線偏光板としての機能を担う直線偏光板の光学機能層と、1/4波長位相差板としての機能を担う1/4波長位相差板の光学機能層とが積層され、前記1/4波長位相差板の光学機能層が、透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長板用位相差層と、透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板用位相差層とを少なくとも有する多層構造であり、波長が550nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(550)とし、波長が550nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(550)とし、波長が450nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(450)とし、波長が450nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(450)とし、波長が650nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(650)とし、波長が650nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(650)とし、前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/2波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ1とし、前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/4波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ2とし、前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層の各遅相軸が前記直線偏光板の吸収軸に対して同じ方向に傾いているものとし、K=2(R1(450)/R1(550))−R2(450)/R2(550)とし、L=2(R1(650)/R1(550))−R2(650)/R2(550)としたときに、前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層は、40°<|θ1|<50°と、130°<|θ2|<140°と、0.75≦K<0.98と、1.00≦L≦1.25との関係を満たすことを特徴とする光学フィルムである。
(2) 直線偏光板としての機能を担う直線偏光板の光学機能層の上に転写される転写層を有した光学フィルム用転写体であって、透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長板用位相差層と、透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板用位相差層とを少なくとも有する転写層と、前記転写層を保持する支持体とを備え、波長が550nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(550)とし、波長が550nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(550)とし、波長が450nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(450)とし、波長が450nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(450)とし、波長が650nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(650)とし、波長が650nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(650)とし、前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/2波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ1とし、前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/4波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ2とし、前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層の各遅相軸が前記直線偏光板の吸収軸に対して同じ方向に傾いているものとし、K=2(R1(450)/R1(550))−R2(450)/R2(550)とし、L=2(R1(650)/R1(550))−R2(650)/R2(550)としたときに、前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層は、40°<|θ1|<50°と、130°<|θ2|<140°と、0.75≦K<0.98と、1.00≦L≦1.25との関係を満たすことを特徴とする光学フィルム用転写体である。
(3) 前記支持体は、セパレータフィルムであり、前記転写層は、前記支持体により被覆される粘着層を備えることを特徴とする(2)の光学フィルム用転写体である。
(4) 透明フィルムによる基材と、直線偏光板としての機能を担う直線偏光板の光学機能層と、1/4波長位相差板としての機能を担う1/4波長位相差板の光学機能層とが積層され、前記1/4波長位相差板の光学機能層が、(2)又は(3)の光学フィルム用転写体に設けられた前記転写層による光学機能層であることを特徴とする光学フィルムである。
(5) 画像表示パネルを備え、(1)又は(4)の光学フィルムを前記画像表示パネルに配置したことを特徴とする画像表示装置である。
本発明によれば、表示画面の正面方向や法線に対する斜め方向からの観察における表示画面の外観を向上することができる。
本発明の第1実施形態に係る画像表示装置1を示す図である。 図1の画像表示装置1に設けられる光学フィルム3の説明に供する図である。 本発明の光学フィルム3に含まれる1/4波長位相差板6の製造工程を示す略線図である。 本発明の第2実施形態に係る画像表示装置201を示す図である。 第2実施形態に係る転写フィルム220を示す図である。 本発明による実施例1〜6の画像表示装置1と、比較例1〜3の画像表示装置との表示画面の評価結果を示す図である。 本発明による実施例11〜12の光学フィルム3と、比較例11〜13の光学フィルムとの色度のシミュレーション結果を示す図である。 本発明による実施例11〜12の光学フィルム3と、比較例11〜13の光学フィルムとの輝度のシミュレーション結果を示す図である。 本発明による実施例21〜22の光学フィルム3と、比較例21〜23の光学フィルムとの色度のシミュレーション結果を示す図である。 本発明による実施例21〜22の光学フィルム3と、比較例21〜23の光学フィルムとの輝度のシミュレーション結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置1を示す図である。この画像表示装置1では、画像表示パネル2のパネル面に、光学フィルム3が配置される。画像表示パネル2は、本実施形態では、可撓性を有するシート形状による有機ELパネルであり、所望のカラー画像を表示する。なお、画像表示パネル2は、有機ELパネルに限定されるものでなく、液晶パネル等を適用することも可能である。
光学フィルム3は、偏光面の制御により、画像表示パネル2に到来する外来光の反射を抑圧する光学フィルムである。このため光学フィルム3は、直線偏光板5、1/4波長位相差板6を積層して構成される。光学フィルム3は、図示しないセパレータフィルムを剥離して感圧接着剤による粘着層4を露出させた後、この粘着層4により、画像表示パネル2のパネル面に貼り付けられて保持される。また直線偏光板5及び1/4波長位相差板6は、粘着層7を介して一体化される。
1/4波長位相差板6は、透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板として機能する部位8(1/4波長板用位相差層と呼ぶ)と、透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長板として機能する部位9(1/2波長板用位相差層と呼ぶ)との積層体により構成される。これにより1/4波長位相差板6は、カラー画像の表示に供する広い波長帯域で逆の分散特性を確保し、光学フィルム3は、広い波長帯域で十分に外来光の反射を抑圧する。
これらにより画像表示装置1では、画像表示パネル2の表示画面側より、順次、1/4波長板用位相差層8、1/2波長板用位相差層9、直線偏光板5が配置される。また図2に示すように、矢印により示す直線偏光板5の吸収軸Sに対して、1/2波長板用位相差層9及び1/4波長板用位相差層8の遅相軸(それぞれ矢印により示す)が、それぞれ反時計回りにθ1度、θ2度の角度を成すように配置される。
ここで、 波長が550nmの透過光に対する1/2波長板用位相差層9の面内のリタデーションをR1(550)とし、波長が550nmの透過光に対する1/4波長板用位相差層8の面内のリタデーションをR2(550)とし、波長が450nmの透過光に対する1/2波長板用位相差層9の面内のリタデーションをR1(450)とし、波長が450nmの透過光に対する1/4波長板用位相差層8の面内のリタデーションをR2(450)とし、波長が650nmの透過光に対する1/2波長板用位相差層9の面内のリタデーションをR1(650)とし、波長が650nmの透過光に対する1/4波長板用位相差層8の面内のリタデーションをR2(650)とし、
K=2(R1(450)/R1(550))−R2(450)/R2(550)とし、
L=2(R1(650)/R1(550))−R2(650)/R2(550)とした場合に、1/4波長板用位相差層8及び1/2波長板用位相差層9は、以下の関係式を満たすように形成される。
1) 40°<|θ1|<50°
2) 130°<|θ2|<140°
3) 0.75≦K<0.98
4) 1.00≦L≦1.25
ここで、θ1及びθ2は、上述したように、それぞれが直線偏光板5の透過光の吸収軸に対する1/2波長板用位相差層9及び1/4波長板用位相差層8の遅相軸の傾きである。1/2波長板用位相差層9及び1/4波長板用位相差層8の各遅相軸は、直線偏光板5の吸収軸Sに対して同じ方向に傾くものとする。すなわち、θ1が正の値である場合、θ2も正の値であり、θ1が負の値である場合、θ2も負の値となる。また、1/2波長板用位相差層9及び1/4波長板用位相差層8は、550nmの波長の透過光を基準とした位相差層である。
上記1)〜4)の関係式を満たすことにより、本実施形態の光学フィルム3は、画像表示パネル2に配置された場合に、表示画面の法線に対する斜め方向から観察される表示画面の色味を黒色又は赤味や青味といった色がつかないニュートラルな色に近づけることができ、表示画面の外観を向上させることができる。また、望ましくは|θ1|=45°、|θ2|=135°を満たすことで上記効果を更に向上することができる。
1/4波長位相差板6は、画像表示パネル2側から、粘着層4を介して1/4波長板用位相差層8、1/2波長板用位相差層9が順に設けられる。
ここで、1/4波長板用位相差層8は、基材、1/4波長板用賦型樹脂層、1/4波長板用液晶層を順次、積層することによって形成される。
基材は、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルムである。
1/4波長板用賦型樹脂層は、微細な凹凸形状の賦型に供する賦型用樹脂層であり、この実施形態ではこの賦型用樹脂に紫外線硬化性樹脂が適用される。なお、この紫外線硬化性樹脂については、例えばアクリル系等、賦型処理に供する各種の樹脂を広く適用することができる。1/4波長板用賦型樹脂層は、その表面に、賦型処理により微細な凹凸形状、すなわち1/4波長板用配向膜形状が形成される。
1/4波長板用液晶層は、屈折率異方性を保持した状態で固化(硬化)された液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を1/4波長板用配向膜形状の配向規制力によりパターンニングする。以上により、1/4波長板用位相差層8が形成される。
また、1/2波長板用位相差層9は、上述したように、1/4波長板用位相差層8の上に形成される。ここで、1/2波長板用位相差層9は、1/2波長板用賦型樹脂層、1/2波長板用液晶層を順次、積層することによって形成される。
1/2波長板用賦型樹脂層は、微細な凹凸形状の賦型に供する賦型用樹脂層であり、この実施形態ではこの賦型用樹脂に紫外線硬化性樹脂が適用される。1/2波長板用賦型樹脂層は、その表面に、賦型処理により微細な凹凸形状、すなわち1/2波長板用配向膜形状が形成される。
1/2波長板用液晶層は、屈折率異方性を保持した状態で固化(硬化)された液晶材料により形成され、この液晶材料の配向を1/2波長板用配向膜形状の配向規制力によりパターンニングする。以上により、1/2波長板用位相差層9が形成される。
これら1/2波長板用配向膜形状及び1/4波長板用配向膜形状に係る微細な凹凸形状は、一方向に延長するライン状(線)の凹凸形状により形成され、この一方向に延長する方向が直線偏光板5の吸収軸Sに対して、それぞれ反時計回りにθ1度、θ2度の角度を成す方向となるように作成される。
また、1/2波長板用位相差層9は、上述のような賦型処理等によって1/2波長板用賦型樹脂層、1/2波長板用液晶層を形成する代わりに、光学的異方性を備える透明フィルムを適用することも可能である。この場合、1/2波長板用位相差層9には、例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂環式ポリカーボネート等からなる透明フィルムに延伸処理を施し、光学的異方性を持たせたものを使用することができる。
なお、1/2波長板用位相差層9に逆分散特性の液晶材料を使用する場合、1/2波長板用液晶層には、例えば、特表2010−522892号公報に記載の逆分散特性の液晶材料を使用することができる。
直線偏光板5は、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルムからなる基材15の下面側が鹸化処理された後、光学機能層16が配置される。なお基材15は、これに代えてポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等のアクリル樹脂等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛硝子、石英硝子等の硝子等を適用することができる。
光学機能層16は、直線偏光板としての光学的機能を担う部位であり、例えばポリビニルアルコール(PVA)によるフィルム材に、ヨウ素化合物分子を吸着配向させて作製される。
〔製造工程〕
図3は、この1/4波長位相差板6の製造工程20の一例を示す略線図である。この製造工程20は、基材がロールにより提供され、この基材を供給リール21から供給する。製造工程20は、ダイ22によりこの基材に紫外線硬化性樹脂10の塗布液を塗布する。この製造工程20において、ロール版30は、1/4波長板用賦型樹脂層の1/4波長板用配向膜形状に係る凹凸形状が周側面に形成された円筒形状の賦型用金型である。製造工程20は、紫外線硬化性樹脂が塗布された基材を加圧ローラ24によりロール版30の周側面に押圧し、高圧水銀燈からなる紫外線照射装置25による紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂を硬化させる。これにより製造工程20は、ロール版30の周側面に形成された凹凸形状を基材に転写する。その後、剥離ローラ26により硬化した紫外線硬化性樹脂10と一体に基材をロール版30から剥離し、ダイ29により液晶材料を塗布する。またその後、紫外線照射装置27による紫外線の照射により液晶材料を硬化させ、これらにより1/4波長板用位相差層8に係る構成を作成する。
続いてこの工程20は、搬送ローラ31により基材をダイ32に搬送し、ダイ32によりこの基材の1/4波長板用位相差層8上に紫外線硬化性樹脂の塗布液を塗布する。この製造工程20において、ロール版40は、1/2波長板用賦型樹脂層の1/2波長板用配向膜形状に係る凹凸形状が周側面に形成された円筒形状の賦型用金型である。製造工程20は、紫外線硬化性樹脂が塗布された基材を加圧ローラ34によりロール版40の周側面に押圧し、高圧水銀燈からなる紫外線照射装置35による紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂を硬化させる。これにより製造工程20は、ロール版40の周側面に形成された凹凸形状を基材に転写する。その後、剥離ローラ36により硬化した紫外線硬化性樹脂と一体に基材をロール版40から剥離し、ダイ39により液晶材料を塗布する。またその後、紫外線照射装置37による紫外線の照射により液晶材料を硬化させ、これらにより1/2波長板用位相差層9に係る構成を作成する。
なお、上述したように、1/2波長板用位相差層9に光学的異方性を有するフィルムを使用する場合、上記工程の代わりに、作製した1/4波長板用位相差層8の上に光学的異方性を有するフィルムを貼付することで、1/2波長板用位相差層9に係る構成を作製することができる。
製造工程は、続いて粘着層4を、この粘着層4に係るセパレータフィルムと一体に配置した後、別工程で作成した直線偏光板5と一体化し、光学フィルム3を作成する。
以上より、本実施形態の光学フィルム3は、上記1)〜4)の関係式を満たすようにして、1/4波長板用位相差層8及び1/2波長板用位相差層9を形成しているので、画像表示パネル2に配置された場合に、表示画面の正面及び法線に対する斜め方向から観察される表示画面の色味を黒色又は赤味や青味といった色がつかないニュートラルな色に近づけることができ、表示画面の外観を向上させることができる。
〔第2実施形態〕
図4は、図1との対比により本実施形態に係る画像表示装置201を示す図である。また、図5は、本実施形態に係る転写フィルム220を示す図である。なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の画像表示装置201は、1/4波長位相差板206が転写フィルム220の転写層によって形成されている点で第1実施形態の画像表示装置1と相違する。
光学フィルム203は、図4に示すように、粘着層207を介してこれら1/4波長位相差板206、直線偏光板5が一体化され、この一体化の処理に、転写法が適用される。
ここで、転写法は、例えば基材の上に所望の層を形成する場合に、この層を直接当該基材上に形成するのでは無く、一旦、離型性の支持体上に剥離可能に該層を積層形成して転写体を作成した後、工程、需要等に応じて、該支持体上に形成した層を、最終的に該層を積層すべき基材(被転写基材)上に接着、積層し、その後、該支持体を剥離除去することにより、該基材上に所望の層を形成する方法である。
この実施形態では、直線偏光板5に、1/4波長位相差板206に係る層構成を転写法により積層する。従って被転写基材は、直線偏光板5であり、転写に供する層(転写層)は、1/4波長板用位相差層8、1/2波長板用位相差層9の積層体である。
図5は、この転写体である転写フィルム220の構成を示す図である。転写フィルム220は、支持体基材221上に、順次、1/4波長位相差板206に係る1/4波長板用位相差層8、1/2波長板用位相差層9が設けられる。
ここで支持体基材221は、転写に供する層(転写層)を剥離可能に担持し、転写層を被転写基材上に接着、積層した後は、適宜時機に剥離、除去に供される基材である。この実施形態では、透明な低配向のPET(Polyethylene terephthalate)フィルムが適用され、これにより転写フィルム220は、光学特性を検査可能に構成される。なおPETフィルムは、コロナ処理され、これにより後述する離型層との間の密着力を適切に設定する。なお支持体基材221は、全体の形状をシート形状としても良い。また支持体基材221は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンアフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂等の樹脂からなる樹脂性フィルム材を適用してもよい。なお支持体基材221の厚みは、20〜100μmである。なお転写層との剥離性が不十分な場合は、支持体基材221には、転写層側に、剥離を促進する離型層を設ける。
離型層は、相対的に、支持体基材221との密着性は高く(剥離性は低く)、転写層との密着性は低い(剥離性は高い)材料を適用することができる。この実施形態では、転写層の最下層が紫外線硬化性樹脂による1/4波長板用賦型樹脂層であることにより、上述の支持体基材221に対して、例えばシリコン樹脂(有機珪素系高分子化合物)、弗素系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はこれら樹脂と適宜の他の樹脂(アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂等)との混合物が用いられる。この実施形態では、上述したPETフィルムによる支持体基材221上に、メラミン樹脂による離型層を設け、離型層の上に設ける紫外線硬化性樹脂の塗布液に対する濡れ性を確保する。
なお、このようにコロナ処理したPETフィルムにメラミン樹脂による離型層を設ける代わりに、何ら表面処理してないPETフィルムを支持体基材に適用して離型層を省略してもよい。またこれに代えていわゆるノンソルと呼ばれる浸透層を設けていないTACフィルムを支持体基材に適用して、離型層を省略してもよい。このようにすると構成を簡略化することができる。
因みに、離型層による剥離性が不十分な場合、支持体基材221と離型層との間に、剥離層を設け、この剥離層により離型層による剥離性を補うようにしてもよい。なお剥離層は、相対的に、支持体フィルムとの密着性が低く(剥離性は高く)、剥離層との密着性が高い(剥離性は低い)材料を適用することができる。より具体的には、この実施形態において、剥離層には、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、又は以上の中から選択した2種以上の混合物、或いは以上のなかから選択した1種以上とその他の樹脂との混合物が用いられる。剥離層の厚みは、通常、1〜10μm程度である。また剥離層は、支持体基材221に設けても良く、剥離層に設けてもよい。
1/4波長板用賦型樹脂層は、この支持体基材221の上に、又は支持体基材221の上に形成された剥離層の上に、紫外線硬化性樹脂の塗付液を塗付して作成される。また、1/4波長板用配向膜形状が、賦型に供する微細凹凸形状を周側面に形成した賦型用金型(ロール版)を用いて1/4波長板用賦型樹脂層を賦型処理することによって形成される。1/4波長板用液晶層は、1/4波長板用賦型樹脂層の1/4波長板用配向膜形状の上に、液晶材料を塗付して硬化させることにより作成される。これにより、1/4波長板用位相差層8が作成される。
1/2波長板用賦型樹脂層は、1/4波長板用位相差層8の上に、紫外線硬化性樹脂の塗付液を塗付して作成される。また、1/2波長板用配向膜形状が、1/4波長板用配向膜形状と同様に、賦型用金型を用いて1/2波長板用賦型樹脂層を賦型処理することによって形成される。1/2波長板用液晶層は、1/2波長板用賦型樹脂層の1/2波長板用配向膜形状の上に、液晶材料を塗付して硬化させることにより作成される。これにより、1/2波長板用位相差層9が作成される。しかして転写体では、これら1/4波長位相差板に係る層構成である、1/4波長板用位相差層8、1/2波長板用位相差層9が転写に供する転写層である。
なお、1/2波長板用位相差層9は、上述の第1実施形態と同様に、賦型処理により1/2波長板用賦型樹脂層、1/2波長板用液晶層を形成する代わりに、光学的異方性を備える透明フィルムを適用することができる。
さらに転写フィルム220は、1/4波長位相差板206に係る層構成に係る転写層の上に、粘着層207、セパレータフィルム223が設けられる。
ここで粘着層207は、転写層と被転写基材とを接着するための層である。転写層の材料と被転写基材の材料に応じて、両者に密着性の高い材料が適用される。この実施形態では、アセチルセルロース(酢酸纖維素)、ニトロセルロース(硝酸纖維素又は硝化綿)、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース(纖維素)系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、天然又は合成ゴム等の材料が用いられる。接着剤層の厚みは、1〜30μm程度である。
なお、粘着層207は、紫外線硬化性樹脂を使用してもよく、この場合は、光学フィルムの厚みを一段と薄くすることができる。
セパレータフィルム223は、粘着層207の表面を離型可能に被覆する離型シートである。セパレータフィルム223は、粘着層207が露出して不要な物品と不要な接着をすることを防止するために設けられ、転写の直前に剥離除去される。
以上より、本実施形態では、1/4波長位相差板206を転写層により形成している場合においても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態の光学フィルム203は、転写層により直線偏光板5に1/4波長位相差板206を貼付しているので、第1実施形態の光学フィルム3に比べ、1/4波長板用位相差層の基材を省略することができ、光学フィルム203の全体の厚みを薄くすることができる。
〔画像表示装置の表示画面の色味の評価〕
次に、本発明による光学フィルム3を備えた画像表示装置1(実施例)と、本発明とは相違する光学フィルムを備えた画像表示装置(比較例)との表示画面の評価結果について説明する。図6は、本発明による実施例の画像表示装置1と、比較例の画像表示装置との表示画面の評価結果を示す図である。
図6における色度の評価は、画像表示装置の表示画面の法線に対して水平方向に8°傾斜した方向から光を入射し、表示画面に正反射した光の反射率及び色度を示している。色度の測定は、D65光源を使用した。色度は、L*a*b*表色系による色の表示方法(日本工業規格:JISZ8729)に基づいて測定したものである。ここで、図6中のa*、b*は、対応する色味における色味の程度を示しており、a*は、プラス方向が赤方向を、マイナス方向が緑方向を示し、b*は、プラス方向が黄方向を、マイナス方向が青方向を示す。また、図6における正面方向及び斜め方向の色味の評価は、表示画面の正面方向及び斜め方向から測定した測定者の視認による官能評価である。
各位相差層の面内リタデーション(R1(450)、R1(550)、R1(650)、R2(450)、R2(550)、R2(650))は、王子計測機器(株)社製、KOBRA−WRを用いて測定した。
なお、上記評価において、各画像表示装置に使用する画像表示パネルとして、携帯式電話機(サムスン製、ギャラクシーS III)の有機ELパネルを使用した。また、上述の色度及び色味の各評価は、画像表示パネルの表示画面に何も画像を表示させない状態(黒色の状態)で行った。また、以下の実施例において、1/4波長板用位相差層及び1/2波長板用位相差層は、それぞれ550nmの波長の透過光を基準とした位相差層である。
実施例1の画像表示装置1は、1/2波長板用位相差層9が、直線偏光板5の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ1=45°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR1(550)=286nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=0.96である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.05である。
また、1/4波長板用位相差層8は、直線偏光板5の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ2=135°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR2(550)=143nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.10である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.95である。
実施例2の画像表示装置1の1/2波長板用位相差層9は、θ1=45°であり、R1(550)=286nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.00であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.00である。
また、1/4波長板用位相差層8は、θ2=135°であり、R2(550)=143nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.18であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.93である。
実施例3の画像表示装置1の1/2波長板用位相差層9は、θ1=42°であり、R1(550)=286nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=0.96であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.05である。
また、1/4波長板用位相差層8は、θ2=138°であり、R2(550)=143nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.10であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.95である。
実施例4の画像表示装置1の1/2波長板用位相差層9は、θ1=43°であり、R1(550)=286nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.00であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.00である。
また、1/4波長板用位相差層8は、θ2=137°であり、R2(550)=143nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.18であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.93である。
実施例5の画像表示装置1の1/2波長板用位相差層9は、θ1=45°であり、R1(550)=288nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=0.96であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.05である。
また、1/4波長板用位相差層8は、θ2=135°であり、R2(550)=144nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.10であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.96である。
更に、実施例5の光学フィルムは、1/4波長板用位相差層8の下に正Cプレートを設けており、この正Cプレートの波長が550nmの透過光に対する厚み方向のリタデーションは、Rth(550)=−120nmである。
ここで、正Cプレートとは、面内屈折率が厚み方向の屈折率よりも小さく形成されたフィルムをいい、負Cプレートとは、面内屈折率が厚み方向の屈折率よりも大きく形成されたフィルムをいう。
実施例6の画像表示装置1の1/2波長板用位相差層9は、θ1=45°であり、R1(550)=288nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.00であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.00である。
また、1/4波長板用位相差層8は、θ2=135°であり、R2(550)=144nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.18であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.93である。
更に、実施例6の光学フィルムは、実施例5の光学フィルムと同様に、1/4波長板用位相差層8の下に正Cプレートを設けており、この正Cプレートの波長が550nmの透過光に対する厚み方向のリタデーションは、Rth(550)=−120nmである。
これに対し、比較例1の画像表示装置は、1/2波長板用位相差層が、直線偏光板の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ1=39°であり、550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR1(550)=286nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=0.96である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.05である。
また、1/4波長板用位相差層は、直線偏光板の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ2=141°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR2(550)=143nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.10である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.96である。
比較例2の画像表示装置の1/2波長板用位相差層は、θ1=39°であり、R1(550)=286nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.00であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.00である。
また、1/4波長板用位相差層は、θ2=141°であり、R2(550)=143nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.18であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.93である。
比較例3の画像表示装置の1/2波長板用位相差層は、θ1=45°であり、R1(550)=286nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.00であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.00である。
また、1/4波長板用位相差層は、θ2=135°であり、R2(550)=143nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.00であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=1.00である。
図6に示すように、比較例1、比較例2に係る画像表示装置は、表示画面の正面の色味が、紫色がかったものであり、表示画面の法線に対して斜め方向から観察した表示画面の色味が青白色がかったものであった。また、比較例3に係る画像表示装置は、表示画面の正面の色味が黒青色がかったものであり、斜め方向からの色味が紫色がかったものであった。
これに対して、各実施例(1〜6)に係る画像表示装置1は、表示画面の正面の色味が黒色若しくは黒青色であり、また、斜め方向からの色味が青色若しくは青紫色であったため、上述の比較例に比して、正面及び斜め方向からの色味を黒色に近くすることができる。従って、本発明の画像表示装置1は、比較例の画像表示装置に比べ、表示画面の黒味を強調することができ、表示画面の外観を向上させることができた。
ここで、比較例1及び比較例2は、1/4波長板用位相差層及び1/2波長板用位相差層の上述の関係式3)及び4)を満たすが、関係式1)及び2)を満たさず、比較例3は、関係式1)、2)4)を満たすが、関係式3)を満たさない。
これに対して、各実施例に係る画像表示装置1は、それぞれ、関係式1)〜4)のいずれも満たすものとなり、上記関係式1)〜4)を全て満たすことによって、画像表示装置1の表示画面の正面及び法線に対する斜め方向から観察した表示画面の外観を向上させることができることが確認された。
〔光学フィルムの輝度及び色度のシミュレーション評価〕
次に、本発明による光学フィルム3に対する反射輝度と、色度とのシミュレーションの評価結果について説明する。
図7は、本発明による実施例の光学フィルム3と、比較例の光学フィルムとの色度のシミュレーション結果を示す図である。図7(a)は、実施例及び比較例の色度の平均値を示す図であり、図7(b)は、実施例及び比較例の色度の標準偏差(3σ)を示す図である。
図8は、本発明による実施例の光学フィルム3と、比較例の光学フィルムとの輝度のシミュレーション結果を示す図である。図8(a)は、実施例及び比較例の反射輝度の平均値を示す図であり、図8(b)は、実施例及び比較例の反射輝度の標準偏差(3σ)を示す図である。
図9は、本発明による正Cプレートを備えた実施例の光学フィルム3と比較例の光学フィルムとの色度のシミュレーション結果を示す図である。図9(a)は、実施例及び比較例の色度の平均値を示す図であり、図9(b)は、実施例及び比較例の色度の標準偏差(3σ)を示す図である。
図10は、本発明による正Cプレートを備えた実施例の光学フィルム3と比較例の光学フィルムとの輝度のシミュレーション結果を示す図である。図10(a)は、実施例及び比較例の反射輝度の平均値を示す図であり、図10(b)は、実施例及び比較例の反射輝度の標準偏差(3σ)を示す図である。
まず、Cプレートを備えない光学フィルムに対するシミュレーションの評価結果について説明する。
ここで、図7及び図8に示す実施例11の光学フィルム3は、賦型処理により作製された1/4波長板用位相差層8、光学的異方性を有するフィルムから構成される1/2波長板用位相差層9、直線偏光板5を順次積層させたものである。
1/2波長板用位相差層9は、直線偏光板5の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ1=45°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR1(550)=276nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=0.95である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.06である。
また、1/4波長板用位相差層8は、直線偏光板5の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ2=135°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR2(550)=138nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.09である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.95である。
実施例12の光学フィルム3は、上記実施例11の光学フィルム3と同様の層構成を有する。
1/2波長板用位相差層9は、θ1=45°であり、R1(550)=240nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=0.95であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=1.06である。
また、1/4波長板用位相差層8は、θ2=135°であり、R2(550)=100nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.09であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.95である。
比較例11の光学フィルムは、賦型処理により作製された1/4波長板用位相差層9、同処理により作製された1/2波長板用位相差層8、直線偏光板5を順次積層させたものである。
1/2波長板用位相差層は、直線偏光板の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ1=15°であり、550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR1(550)=240nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.09である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=0.95である。
また、1/4波長板用位相差層は、直線偏光板の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ2=73°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR2(550)=120nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.09である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.95である。
比較例12の光学フィルムは、上記比較例11の光学フィルムと同様の層構成を有する。
1/2波長板用位相差層は、θ1=15°であり、R1(550)=250nmである。また、R1(450)とR1(550)との比が、R1(450)/R1(550)=1.09であり、R1(650)とR1(550)との比が、R1(650)/R1(550)=0.95である。
また、1/4波長板用位相差層は、θ2=73°であり、R2(550)=140nmである。また、R2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=1.09であり、R2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=0.95である。
比較例13の光学フィルムは、1/2波長板用位相差層を有さず、逆分散特性の1/4波長板用位相差層、直線偏光板が順次積層された構成である。
1/4波長板用位相差層は、直線偏光板の透過光の吸収軸に対する遅相軸の傾きがθ2=45°であり、波長が550nmの透過光に対する面内のリタデーションがR2(550)=145nmである。また、波長が450nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(450)とR2(550)との比が、R2(450)/R2(550)=0.91である。更に、波長が650nmの透過光に対する面内のリタデーションであるR2(650)とR2(550)との比が、R2(650)/R2(550)=1.02である。
上述の実施例及び比較例を比較すると、極角10度における色度の平均値の座標は、図7(a)に示すように、実施例11の光学フィルム3が、他の比較例に比してx座標、y座標ともに最も0.33に近似した値となった。
ここで、極角10度における色度の平均値とは、光学フィルムの表面の法線から10度傾けた範囲における色度の平均値をいう。また、極角60度における色度の平均値の座標は、実施例11、実施例12の光学フィルムが、他の比較例とほぼ同等に、x座標、y座標ともに0.33に近似した値となった。なお、色度図において、x=0.33、y=0.33の座標は、無彩色(白色)を示す。
以上より、実施例11の光学フィルムは、極角の大きさに関係なく、比較例に比べて色味が白色(ニュートラル)になることが確認された。
極角10度における色度の標準偏差(3σ)は、図7(b)に示すように、実施例11、実施例12の光学フィルムが、他の比較例と同等若しくはそれより高くなり、色度のばらつきが確認されるが、視覚による評価において問題のないレベルである。一方、極角60度における色度の標準偏差(3σ)は、実施例11、実施例12の光学フィルムが、他の比較例に比して低く、色度のばらつきが少ないことが確認された。
極角10度における入射光に対する反射輝度は、図8(a)に示すように、実施例11、実施例12の光学フィルム3が、各比較例に比して低く抑えられることが確認された。
特に、実施例11の光学フィルムは、図8(b)に示すように、反射輝度の標準偏差(3σ)が、他の比較例と同等若しくはそれよりも低く抑えられており、反射輝度のばらつきが低減されることが確認された。
以上より、比較例11〜13に係る光学フィルムは、上述の関係式1)〜4)を満たさない。これに対して、各実施例に係る光学フィルム3は、それぞれ、関係式1)〜4)のいずれも満たすものとなり、画像表示装置1の配置された場合に表示画面の正面及び法線に対する斜め方向から観察した表示画面の外観を向上させることができることが確認された。
次に、正Cプレートを備えた光学フィルムに対するシミュレーションの評価結果について説明する。
ここで、図9及び図10に示す実施例21、実施例22、比較例21〜23の各光学フィルムは、それぞれの1/4波長板用位相差層の下に正Cプレートが設けられており、この正Cプレートが設けられている点以外では、上述の実施例11、実施例12、比較例11〜13の各光学フィルムと同様である。
なお、実施例21の正Cプレートは、波長が550nmの透過光に対する厚み方向のリタデーションが、Rth(550)=−300nmであり、実施例22の正Cプレートは、Rth(550)=−60nmである。
また、比較例21の正Cプレートは、波長が550nmの透過光に対する厚み方向のリタデーションが、Rth(550)=−120nmであり、比較例22の正Cプレートは、Rth(550)=−40nmであり、比較例23の正Cプレートは、Rth(550)=−120nmである。
上述の実施例及び比較例を比較すると、極角10度における色度の平均値は、図9(a)に示すように、実施例21の光学フィルム3が、他の比較例に比してx座標、y座標ともに最も0.33に近似した値となった。また、極角60度における色度の平均値は、実施例21、実施例22の光学フィルムが、他の比較例に比してx座標、y座標ともに0.33に近似した値となった。
以上より、実施例21の光学フィルムは、極角の大きさに関係なく、比較例に比べて色味が白色(ニュートラル)になることが確認された。また、実施例22の光学フィルム3は、極角60度における色味が、実施例21の光学フィルム3とほぼ同等に白色になることが確認された。
図9(b)に示すように、極角10度における色度の標準偏差(3σ)は、実施例21、実施例22の光学フィルム3が、他の比較例と同等若しくはそれより高くなり、色度のばらつきが確認されるが、視覚による評価において問題のないレベルである。また、極角60度における色度の標準偏差(3σ)は、実施例21、実施例22の光学フィルム3が、他の比較例に比して低くなり、色度のばらつきが少ないことが確認された。
図10(a)に示すように、入射光に対する反射輝度は、実施例21、実施例22の光学フィルム3が、各比較例に比して低く抑えられることが確認された。
特に、実施例21の光学フィルムは、図10(b)に示すように、反射輝度の標準偏差(3σ)が、他の比較例と同等若しくはそれよりも低く抑えられており、反射輝度のばらつきが低減されることが確認された。
以上より、比較例21〜23に係る光学フィルムは、上述の関係式1)〜4)を満たさない。これに対して、各実施例に係る光学フィルム3は、正Cプレートが設けられた場合においても、それぞれ関係式1)〜4)のいずれも満たすものとなり、画像表示装置1の配置された場合に表示画面の正面及び法線に対する斜め方向から観察した表示画面の外観を向上させることができることが確認された。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々に組み合わせ、さらには上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
(1)第1実施形態では、1/4波長位相差板6は、基材の上面に、順次、1/4波長板用位相差層8、1/2波長板用位相差層9を構成した例を示したが、これに限定されない。例えば、基材の下面に、順次、1/2波長板用位相差層9、1/4波長板用位相差層8を構成するようにしてもよい。なお、この場合、1/4波長位相差板は、基材の上面に粘着層7を、1/4波長板用位相差層8の下面に粘着層4を設ける必要がある。
また、基材の上面に、1/2波長板用位相差層9を構成し、基材の下面に、1/4波長板用位相差層8を構成するようにしてもよい。
(2)第2実施形態において、転写層は、支持体基材221を剥がして画像表示パネル2に貼付する例を示したが、これに限定されず、セパレータフィルム223を剥離して画像表示パネル2に貼付するようにしてもよい。
この場合、1/2波長板用位相差層、1/4波長板用位相差層の順で積層させた転写体を支持体基材上に形成する必要がある。
(3)各実施形態では、転写層側に粘着層7を設けるようにして、この粘着層7により直線偏光板5と転写層とを一体化する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この粘着層7を直線偏光板5側に設けるようにしてもよい。
(4)各実施形態では、ロール版により賦型処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、平板により賦型処理する場合にも広く適用することができる。
1 画像表示装置
2 画像表示パネル
3、203 光学フィルム
4、7 粘着層
5 直線偏光板
6、206 1/4波長位相差板
8 1/2波長板用位相差層
9 1/4波長板用位相差層
16 光学機能層
220 転写フィルム
221 支持体基材
223 セパレータフィルム
20 製造工程
21 供給リール
22、29、32、39 ダイ
24、34 加圧ローラ
25、27、35、37 紫外線照射装置
26、36 剥離ローラ
30、40 ロール版
31 搬送ローラ

Claims (5)

  1. 直線偏光板としての機能を担う直線偏光板の光学機能層と、
    1/4波長位相差板としての機能を担う1/4波長位相差板の光学機能層とが積層され、
    前記1/4波長位相差板の光学機能層が、透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長板用位相差層と、透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板用位相差層とを少なくとも有する多層構造であり、
    波長が550nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(550)とし、波長が550nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(550)とし、
    波長が450nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(450)とし、波長が450nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(450)とし、
    波長が650nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(650)とし、波長が650nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(650)とし、
    前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/2波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ1とし、前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/4波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ2とし、前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層の各遅相軸が前記直線偏光板の吸収軸に対して同じ方向に傾いているものとし、
    K=2(R1(450)/R1(550))−R2(450)/R2(550)とし、
    L=2(R1(650)/R1(550))−R2(650)/R2(550)としたときに、
    前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層は、
    40°<|θ1|<50°と、
    130°<|θ2|<140°と、
    0.75≦K<0.98と、
    1.00≦L≦1.25との関係を満たすこと、
    を特徴とする光学フィルム。
  2. 直線偏光板としての機能を担う直線偏光板の光学機能層の上に転写される転写層を有した光学フィルム用転写体であって、
    透過光に1/2波長分の位相差を付与する1/2波長板用位相差層と、透過光に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板用位相差層とを少なくとも有する転写層と、
    前記転写層を保持する支持体とを備え、
    波長が550nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(550)とし、波長が550nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(550)とし、
    波長が450nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(450)とし、波長が450nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(450)とし、
    波長が650nmの透過光に対する前記1/2波長板用位相差層の面内のリタデーションをR1(650)とし、波長が650nmの透過光に対する前記1/4波長板用位相差層の面内のリタデーションをR2(650)とし、
    前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/2波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ1とし、前記直線偏光板の透過光の吸収軸に対する前記1/4波長板用位相差層の遅相軸の傾きをθ2とし、前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層の各遅相軸が前記直線偏光板の吸収軸に対して同じ方向に傾いているものとし、
    K=2(R1(450)/R1(550))−R2(450)/R2(550)とし、
    L=2(R1(650)/R1(550))−R2(650)/R2(550)としたときに、
    前記1/2波長板用位相差層及び前記1/4波長板用位相差層は、
    40°<|θ1|<50°と、
    130°<|θ2|<140°と、
    0.75≦K<0.98と、
    1.00≦L≦1.25との関係を満たすこと、
    を特徴とする光学フィルム用転写体。
  3. 前記支持体は、セパレータフィルムであり、
    前記転写層は、前記支持体により被覆される粘着層を備えること、
    を特徴とする請求項2に記載の光学フィルム用転写体。
  4. 透明フィルムによる基材と、
    直線偏光板としての機能を担う直線偏光板の光学機能層と、
    1/4波長位相差板としての機能を担う1/4波長位相差板の光学機能層とが積層され、
    前記1/4波長位相差板の光学機能層が、請求項2又は請求項3に記載の光学フィルム用転写体に設けられた前記転写層による光学機能層であること、
    を特徴とする光学フィルム。
  5. 画像表示パネルを備え、
    請求項1又は請求項4に記載の光学フィルムを前記画像表示パネルに配置したこと、
    を特徴とする画像表示装置。
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